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ユキの降る町 の変更点


ユキの降る町	1	作者:[[大和]]

001:始まりの日(1)

カントー地方のとある森の中を一匹のイーブイが逃げていた

――逃げなきゃ、あんな奴等の所から逃げなきゃいけない。
「待て!!」
すると、後ろから黒い服を着た、数人の男達が追ってきた。
――やばい!!もう追ってきた。
「お前達、あいつを逃がすな!!」
「分かりました!!」

――追いつかれる。私、どうなるんだろう?
そうイーブイが考えていると急に景色が開け、海が現れた。
「キャー!!」
そしてイーブイは、初夏の大海原の波にさらわれていった。

「はあ、取り逃がしたか……。あいつに報告しなければ……」
そう言って、リーダーと思われる赤髪の男は、トボトボと元の道を戻っていった。


……スター。起きてください。
――なんだよ。こっちは眠いのに……
「起きて……ください……マスター……」
「ふぁー」
俺の名前はリュウ。どこにでもいる普通の男。
そして、彼はハッサムのクィン。普段は物凄く静かな奴だ。
「ハハハ、寝坊してやんの」
「ナサ、笑うな」
今、笑ったのはボーマンダのナサ。
こいつの世話には本当に一苦労する。

こんな何気ない会話をしていると、扉が開いた。
「おはようございます、マスター。
朝ご飯は作っておきましたので、食べてください」
「ああ。クリス、ありがとう」
「どう致しまして」
彼女は、サーナイトのクリス。
俺の初めて捕まえたポケモンである。

階段を降り、俺がリビングに行くと、ミミロップのリーがいた。
「おっはよう~マスター」
「おっ、リーにしては珍しく早起きだな」
「だって今日から旅に出るんだもの。わくわくして寝れなかったわ」
「歩いてて、寝ても知らないぞ」
「いいもん。クィンにおぶってもらうもの」
「……」
「いいわけないだろ。まあいいや。では全員揃った所で、」
『いただきまーす』
みんなが揃って食べるのは、毎朝の風景だ。
「ヤッパリ、マスターより料理上手いぜ」
ナサがはっきり言ってきた。
「悪かったな、料理下手で……」
しばらく食べていると、クリスが質問をしてきた。
「マスター、今日はどうするんですか?」
「昨日、オーキド博士にポケモン図鑑を貰ったから、
海岸沿いを少し散歩してから出掛けようと思う」
俺の住んでいるマサラタウンには、オーキド博士という偉いポケモン学者がおり、昨日会いに行ってきてポケモン図鑑とやらを貰った。
「この町を出るのが名残惜しいのですか?」
さすがは、クリス。長年一緒にいるだけの事はある。
「少しな。さあ、食べ終わったことだし、散歩に行くか」
「待って!!」
リーが叫んだ。
「どうした?」
「まだ食べ終わってない!!」
「ゴメンゴメン」


リュウ達がマサラタウンを歩いていると、リーが、遠くの白砂の浜辺に茶色い物体があるのに気がついた。
「でかいわね。ゴミかしら?」
「珍しいな、この町にゴミがあるなんて」
「マスター、いってみましょう」
「そうだな」

しかし近づいてみると……
「コイツは……」
「……確か、イーブイよね……。何でこんな所にいるのかしら?」
「とりあえず、家に連れて帰りましょう」
クリスが提案してきた。
「勿論だ。置き去りには出来ない」



――ここはどこ?
私は、生きているの?

「ええ、生きているわ」
誰かいることに気づいたため、イーブイは戸惑った。
「……え、えっと、あなたは……?」
イーブイが、恐る恐る質問すると
「私はクリス。よろしくね」
「は、はい。……ここは……どこですか?」
「私達のマスターであるリュウの家よ。ところで、あなたの名前は?」
「私の名前……」
いつまでたっても、答えが出てこなかった。
「まさか記憶喪失とか?」
「いえ。……名前がないんです」
重い空気になったので、クリスがそれを払拭するように言った。
「……そっか。じゃ、少し待ってて。お腹は空いてる?」
「はい、少し……」
「分かったわ」
そうしてクリスは部屋から出て行った。

周りを見ると、自分がベッドにいることに気付いた。
部屋は掃除されていて、塵の一つもなくとても綺麗な部屋だった。

なんでこんな私を助けてくれたのかを考えていると、クリスがエプロン姿で入ってきた。
「お待たせ!! チャチャっと作ったから、まずかったらゴメンね」
「ありがとうございます!!」
クリスはこんなことを言っているが、見た目はすごく旨そうで、唾が出てきてしまいそうなくらいだった。
「ドンドン食べてね」

5分後には、山盛りだったはずの料理がきれいになくなっていた。
「味はどうだった?」
「おいしかったです!!」
うれしそうにイーブイは答えた。
「クリス、どんな感じだ?」
突然、入口からリュウが入って来た。
「あっ、マスター」
「えっと、リュウさんでしたか?」
自分の名前を知っていて、一瞬戸惑ったがまた普通に戻った。
「そうだよ。それで、雌か……」
「……どうしましたか?」
リュウが急に真剣な顔をしたので、イーブイが質問した。
「名前をどうするか決めていてな……。よし!!」
「決まったんですかなんです?」
「発表します!!名前は……ユキだ!」
「ユキ、ですか」
イーブイがとても冷静だったので、不安そうにリュウが聞いた。
「ダメか?」
「いえ、いい名前です!!」
「よかった。じゃあ、それでいいな」
「はい!!」
「しかしマスター、なぜ“ユキ”なんです?」
「こいつが、清らかな心を持っていると思ったから、清らかだと思う雪からとったから……」
リュウは、少し恥ずかしそうに語った。
「ところで、ユキはこの先どうするんだ?」
「……どうしましょう?」
すると、リュウが提案をしてきた。
「ならば、俺と一緒に来ないか?クリスもいいよな?」
「勿論ですよ!!」
「ありがとうございます!!」
机の上に置いてあった、未使用のモンスターボールを手に取った。
「じゃ、決定な。いけー、モンスターボール!!」
ユキは、ボールが投げられても抵抗しなかった。
「ユキ、ゲットだぜ!!」
そしてすぐに、ボールからユキを出した。
「これからもよろしくなユキ」
「こちらこそよろしくお願いします、リュウさん」


002:始まりの日(2)

午後になり、ユキも元気になったので出発することにした。
「いざ出発よ!!」
「朝から相変わらず元気だな、リー」
「当然よ!!」

歩きだして、2、3分後に
「ところで、リュウさん達はどこかから引っ越されてきたのですか?」
ユキが聞いてきた。
「おっ、よく分かったな。
俺達は、五年前に親の仕事の関係でシンオウ地方から引っ越してきたんだ」
「シンオウ地方、ですか?」
ユキはカントーのポケモンなので、他の地域の事は全くといっていいほど知らないのだ。
「そうなんだぜ。しかも、北の方にあるキッサキシティに住んでいたから寒かったんだぜ。な、マスター!!」
ナサが、とてもうざいほど大きな声で答えた。
「ああ。しかしナサ、声がでかい!!耳がギンギンする!!」
「いいじゃん、聞こえないよりはマシじゃん」
「そうだけどな、鼓膜が破れるかと思ったんだぞ!!」
リュウとナサが口論しあっている方が数倍もうるさいのだが。
「止めてください。リュウさん、ナサさん」
ユキが止めに入るが、二人は一向に静かにならない。
すると
「二人とも、止めなさい」
クリスが口論を止めに入った。
「あ、ああ」
「ゴメーン」
「解ればよろしい。行きますよ」
なんと、あんなうるさかった二人を一言で静かにしてしまった。
「す、凄い……」
この時、ユキはわかっていなかった。二人が大人しくなった本当の訳を……。
少し喋りながら歩いているとクィンが
「マスター……あれを……見てください……」
「ん?」
クィンが指差した方には
「なんだこれ?」」
使い方のよくわからない赤色の“R”が落ちていた。
「どうしますか、リュウさん?」
「拾っとく?」
「一応、なにかあるかもしれないしな。拾っとくか」

その後、使い方等を話し合っているとトキワシティに着いた。
「マスター、早速ジム戦行くわよ!!」
「行くから、慌てるな……」

トキワジム前

「いよいよわね、ドキドキする!!」
リュウは重厚感たっぷりの扉を、力いっぱい叩いた。
「ジムリーダーに挑戦しに来ました!!」
しかし、返事は返ってこなかった。
しばらくすると、リュウが何かに気づいた。
「ん、なんだ?」
「どうしたんだマスター?」
「紙が貼ってあるぞ。なになに、
“ジムリーダーが行方不明の為、当分の間お休みします”ってさ」
「ということは……」
「諦めろ」
「エー!!」
「仕方ないからな、また今度。今日は帰るぞ」
その日一日、ポケモンバトル出来なかったので、リーが文句を言い続けた。

▼リュウ目線

ポケモンセンター
ここでは主に、ポケモンの回復や大会への出場登録を行っている。
宿も一緒な為、トレーナーならば誰でも使用が可能な、うれしい施設なのだ。

「はい。こちらが、201号室の鍵になります」
「ありがとうございます」

今、笑顔で鍵を渡してくれたのはジョーイさんという、いわばポケモンセンターの顔となる人で、どこのセンターでも同じ顔が見れるのだ。

「疲れたぜ」
「久しぶりに歩いたですもの」
「風呂入るぞー」
俺が提案すると、
「ハーイ」
みんなは返事を返してモゾモゾ動き出した。
風呂は、部屋にある露天風呂にした。

やっぱり、皆で入ることに決めた。
だって、一人より大人数の方がいいもの。

クリスは、体に纏っているベールを脱いだ。
昔は、女の子という感じだったが、サーナイトに進化してからは大人の女性という感じの、スラッという俺好みのt(ry
他の四匹は服を脱ぐ必要がないので、そのまま風呂に入った。

俺が体を洗い終わってみると、皆は既に温泉の中に入っていた。
「いや~。気持ちいい~」
ナサ、お前はオッサンか。
「いい湯加減でさっぱりします」
クリスが、上品に言った。
「私は、今日がこんな幸せな日になるとは思いませんでした」
「そうだったわね。今日の朝出会ったばっかりだものね~」
「なんか、もっと出会ってから時間が経ったような気がしたな」
そういえば、シンオウでクリスを捕まえてもう14年経ったのか………。早いものだ
「ところで、ご飯はどうします?」
ふと、クリスが聞いてきた。
「そうだな。お前達、何がいいか?」
リー「和食でいいわ」
クリ「和食料理がいいです」
ナサ「中華料理」
クィ「なんでも……いいです」
ユキ「なんでもいいですよ?」
「じゃあ、多数決の結果、和食料理に決まりました!」
「じゃ、行こうぜ!!」
「ええ」
「はい!」

皆が元気に風呂場から出て行った。
和食料理店で何が起こるかも知らずに……?

003:初戦

リュウ達はポケモンセンターの近くの少し寂れた和食料理店に入った。
「いらっしゃいませ……」
とても元気がない、店主とおぼしき男性が厨房から出てきた。
それもそのはず、五つあるテーブル席はすべて空席で、七席あるカウンターには常連とおぼしき人が二人座っていただけだった。
「お好きな席へどうぞ……」
「ここ、すごく寂れてますね……」
「どうします?出ますか?」
「入ったからには、食べていかないと申し訳なさそうだし……」
やむを得ず出口に近いテーブル席に座った。
しばらくすると、水を持った店主がのんびりやってきた。
すると急に
「今日は、なんでも半額になっております……」
驚きの言葉が店主から出てきたので
「なんでですか?」
と、聞いた。
店主は
「本日をもって、この店を閉めるため、閉店セールとなっております……」
リュウ達は驚いた。本日でこの店が閉店になることに。
「リュウさん、本当に大丈夫ですかね?」
「やばくない?」
「……でも、半額だし……」
「チャチャっと食べて、出ちゃおうぜ!」
「オススメはなんですか?」
「おすすめは、ボーマンダの蒸し焼き(1860円)、ミミロップの胡麻和えほうれん草添え(660円)、ハッサムの龍田揚げ(2100円)です……」
と、店主が言った途端にリーとナサが怒りだした。
「ふざけてんじゃないわよ!!(しかも他の二つに比べて安いじゃないの!!)」
「俺達にケンカ売って、上等だ!!」
すると、さっきまで静かだった店主も
「オススメを言っただけなのに、なぜ怒られなきゃならない!!」
カウンターに座っていた常連客とおぼしき客も
「店長、ポケモンバトルだ!!」
「そんなやつ、捻り潰しちゃえ!!」
「マスターやるわよ!!」
ここまできたらやるしかない……。
「はあ、分かった。形式はどうする?」
向こうが
「ダブルバトルだ!!」
と、言ってきたので店の前でやることになった。


「いけ、リー、ナサ」
「弱っちいナ。いけ、ボスコドラ、ニドキング」
審判は常連客にやってもらった。
「試合始め!!」
「ニドキング、じしん!ボスコドラ、まもる!」
「最初からやるな。リー、とびはねろ!ナサはニドキングにドラゴンクロー!」
「オッケー、俺の攻撃をくらえ!!」
ナサは大きく前脚を振りかぶって、ニドキングにドラゴンクローを繰り出した。
「グハッ!!」
ドラゴンクローは急所に当たり、倒れはしなかったもののニドキングは大怪我を負った。
「ちっ。ボスコドラ、すてみタックル!」
「そうはさせないわ、くらえー!!」
上からリーが降ってきて、攻撃がボスコドラに当たった。
あまり効果はなかったものの、ひるませるのには十分だった。
「ナサは、ボスコドラにかえんほうしゃ。リーは、ニドキングに対してピヨピヨパンチ!」
「喰らえ、かえんほうしゃ!」
「喰らえ、ピヨピヨパンチ!」
二匹が同時に叫んで各ポケモンに攻撃して、ニドキングは即瀕死、ボスコドラは最初は耐えていたが最後には耐え切れずに倒れてしまった。
「ま、まさか……」
「ニドキング、ボスコドラ戦闘不能。よってこの勝負、リュウの勝ち!!」
「うぉしゃー!!」
少しの間喜んでいると、相手が近づいてきた。
「……おれの負けだ。……気に入った、うちの店で食っていけ!」
「変な料理は……」
「出さん!!しかも、無料でいいぞ!!」
「無料!!」
「早く食べようぜ、戦って腹減った!」
「リーもお腹すいた!」
「ハッハッハ、元気がよろしい。たらふく食わしてやる!!」
「そういえば、お名前は?」
「俺の名はミネイチ、ミネさんと呼んでくれ。お前は?」
「リュウと申します」
「硬くならなくていいぞ。まあよろしくな」
「こちらこそよろしくお願いします」

004:起床

翌日、人々が行動し始める時間帯にリュウは目覚めた。
「……ん」
昨夜は、ミネイチの出す料理をこれでもかというくらい食わされ、ポケモンセンターに着いたのが深夜二時くらいだった。
「皆起きろ~」
「ふぁー」
「うぅ」
「マスター、おはようございます」

「おはようクリス。今日はニビシティまで行くから準備しろよ」
「分かりました」
「マスター、リーさんはどうしますか?」
「全く……起こしといてくれ」
「はい」
いつもリーは、とても寝起きが悪いのだ。
昨日は本人も言っていた通りで、ポケモンバトルが出来ると興奮していただけなのだ。
「おはようございます、リーさん」
「……グー」
「はー、まったく。クリス、やれ」
「いいのですか?」
「問題ない、死なない程度にな」
すると突然、リーの体が浮かび上がった。
「キャー!!クリス降ろして!!」
「分かりました。」
リーは、ゆっくりベッドに下りた。
「怖かった!!」
「でも、お前が早く起きないのが悪いんだからな」
「うっ……」
図星だったため、リーはなにも言えなかった。
「さて、全員起きたところだし食べに行くか」
「さんせーい」
「うーい」
部屋を出て、ポケモンセンターの中にある食堂に向かった。

「そういえば、リュウさん」
「ん?」
食堂に着いて、席を探している時にユキが質問してきた。
「皆さんとはどのように出会ったのですか?」
「えっと、一番最初のクリスとは13、4年前だったかな」
「どんな感じにでしたか?」
「どんな感じ、と言われても……」

――確か5歳の時に、モンスターボールとポケモンを親から借りて、近くの道路に行ったんだ。
だが、いろいろなポケモンと遭遇して、逃げられた。
諦めようかなと思ったときにラルトスに出会った。
必死になって、ボール10個目でやっと捕まえられた。
俺は、このラルトスにクリスと名付けた。
しかし、最初はとても懐いてくれなかった。ポケモンフーズを与えてもなかなか食べてくれなかった。
しかし、あの事件からとても懐くようになったんだ。

「あの事件とは?」
「後で説明するから、とりあえず食べるぞ。では」
『いただきます!!』

しばらくして、全員が食べ終わった。
「では、今日はニビシティに行くぞ」
『はい!!』

005:あの事件

テクテクと順調に道を歩いていた。
「リュウさん、あの事件とは?」
「そうだったな」

―クリスと出会って一ヶ月たったある日、その日は雲に覆われて今にも降りそうな天気だった。
「一雨きそうだな。クリス、早く帰るぞ」
「……」
「は~(いつになったら懐くのやら……)」
しばらくして、雨が降ってきた。
「ちっ、降ってきたぞ」
すると、後ろのほうから崖が崩れるような音と誰かの悲鳴がしたので、ふと振り返ってみると……
「クリス!!」
ついて来ているはずの、クリスがいなかった。
崩れ落ちた土石流に巻き込まれたのだ。
急いで崖を見ると、今にも折れそうな枝にしがみついて必死なクリスがいた。
「待ってろよ、今助けてやるからな」
しかし、近くには長い棒などはなかった。
「(どうするか……)」
すると
「キャー!!」
突然枝が折れ、クリスが深い谷底に落ちた。
気付くと、体が浮いていた。そして空中でクリスをキャッチした。
「心配するな、俺が助けるからな」
「……」
「ウワー!!」
そして、俺は下に広がる木の枝に引っ掛かって止まった。
「うぅ……」
「……マスター……」
「大丈夫か?」
「……はい……」
「なら良かった」
「……ありがとうございます」

「という感じで今に至る訳だ」
「そうでしたね~」
そんな事はなかったように、クリスが笑顔で喋った。
「それまで、苦労なされたんですか?」
「それはもう」
「それまで嫌いだった人間に捕まえられて、そう簡単に懐けませんよ」


しばらくすると、トキワの森に着いた。
「うっそうとしてますね……」
「虫がいっぱいいると思うぞ」
「キャアー!!」
ユキが突然叫んだため、全員が立ち止まった。
「どうした?!」
「く、蜘蛛の巣に引っ掛かってしまって……」
「蜘蛛じゃないと思うぜ……」
「ど、どういう意味ですか」
「後ろ……」
後ろを見るとなんと
「あ、アリアドス……」
アリアドスが今にもユキを喰いそうな距離まで近づいてきた。
ユキは虫ポケモンが前にいるということで、今にも気絶しそうである。
「……うう」
「フフフ。久しぶりの獲物だぜ!!」
「キャー!!」
ユキは恐ろしさのあまりに、暴れだした。
ユキのはかいこうせん!!(普段は使えない)
「な、なんで使えるの!!ギャー」
やせいのアリアドスはたおれた。
「ユキちゃん、凄すぎ……」
「ユキ……」
「リュウさん!!」
ユキが急に飛び付いてきたため、リュウは倒れそうになった。
「うゎ」
「怖かったです!!」
「よしよし、もう大丈夫だからな」
この後、ユキのはかいこうせんが繰り出される事もなく、昼前に無事にニビシティに着いた。

「今度こそジム戦よ!!」
「分かったから、そんなに引っ張るな(腕に胸が……)」
何とかリュウは理性を保ち、ジムの前に着いた。
「ジムリーダーに挑戦しに来ました!!」
すると、とても重そうな扉が金属音を立ててゆっくり開いた。
「君は?」
ジムの中央に、一人の男性が仁王立ちしていた。
「リュウと申します」
「俺はタケシ。このジムのリーダーをしている」
「さっそくですが、勝負をお願いします!!」
「よし、受けて立とう。形式は、3対3のシングルバトルでいいかな?」
「はい!!」
リュウは元気よく返事をした。
「いい返事だ。では、行けゴローニャ!」
「リー、行ってこい」
「OK!!すぐに倒しちゃうんだから」
すると、審判がやって来てコールした。
「試合開始!!」
「ゴローニャ、いわおとし!」
すると、空から沢山の岩がリー目掛けて降ってきた。
「かわしてピヨピヨパンチ!」
華麗にかわして、ピヨピヨパンチを繰り出すが、ゴローニャにはあまり効果はなかった。
「あまり効いていないようだが?」
「いや、かなり効いていますよ」
タケシが慌ててゴローニャを見ると、ゴローニャは自分に攻撃していた。
「なるほど。技の威力が狙いではなく、混乱状態にすることが狙いか」
「その通りです。では、リー!!」
「喰らえ、ばくれつパンチー!!」
ばくれつパンチをもろに喰らった、ゴローニャは倒れた。
「ゴローニャ戦闘不能、リーの勝ち!」
タケシは、倒れたゴローニャをボールにしまうと、次のポケモンを出した。
「イワークですか。ならば、行ってこいクィン!!」
「……」
「ハッハッハ。弱そうだ」
イワークが挑発してきた。が
「……」
「何か反応しろよ!!」
何かイワークがブチ切れて、勝手にアイアンテールを繰り出した。
「……」
「イワーク、やめろ!!」
いらっとしたクィンが、アイアンヘッドを繰り出した。
「……五月蝿い」
すると、攻撃を喰らったイワークは一撃で倒れてしまった。
「つ、強い」
流石のタケシもア然としている。
「仕方ないやつだ。最後だ、行けサイドン」
「強そうだなぁ。誰を出そう?」
するとクリスが、こう言った。
「では、私が行きましょうか?久しぶりに運動をしたいので」
「おお。クリス、行ってくれるか」
フィールドにクリスが出た。相手のサイドンは岩のようにとても大きかった。
「サイドン、じしんだ」
「とりあえず回避だな」
サイドンがじしんを繰り出すが、クリスは自分の体をサイコキネシスによって浮かしたため、効果は無かった。
「クリス、いつものでいくぞ」
「はい」
すると、クリスはめいそうをし始めた。
「隙あり!」
サイドンがロックブラストを繰り出そうとしたが、クリスのにらみつける(技ではない)によってひるんでしまった。
「どうした、サイドン!!」
「次は、サイコキネシスでサイドンを持ち上げろ」
すると、とても重いはずのサイドンが軽々と空に浮かび上がった。
「コノヤロ、早く降ろせ!!」
「分かりました。降ろしましょう」
クリスは少し怖い笑顔を造って、サイコキネシスをやめた。
「え、……ギャー!!!!」
いい音を立ててサイドンが落ちたため、砂煙が立ち込めた。
だが、むだに体が丈夫なのか、サイドンはふらふらしながらも何とか立ち上がった。
「……く、クソ。こんな弱そうな女になら勝てると思ったのに……」
「……貴方は二つの間違いを犯しています。」
クリスが、ゆっくりサイドンに向かって喋っているが、なにか狙いがあるような……。
「一つ目は、今の貴方の発言です。今の発言から、貴方はこの勝負を諦めているような感じがしますよ。
二つ目は、相手を見かけで判断してしまったことです。敵は、外見で判断しない事ですね。
さて、長く話しすぎましたね。そろそろ終わりにしましょうか。結構楽しかったですよ」
すぐに、クリスがマジカルリーフを繰り出した。
決して外れることのない葉っぱは、サイドンに当たった。
サイドンは大きな音を立てて倒れた。
「さ、サイドンが……」
「ふぅ」
「よくやった」
リュウは冷静に、クリスに言葉を掛けた。
「結構楽しかったですよ」
クリスは、満面の笑みでリュウの方に振り向いた。
「……完敗だ……。久しぶりに楽しい勝負だったよ」
「こちらこそ、お相手ありがとうございました」
「君は、ただ者じゃないね?」
タケシはリュウに質問するが
「いえ、普通の駆け出しトレーナーです」
リュウはサラっと質問に答える。
「そうか。では、君にグレーバッジをあげねばな。」
「ありがとうございます」
「今度、また戦ってくれるか?」
「勿論です!!ではこの辺で」
「おう!!元気でな」
リュウ達はジムの外へ出た。

「クリスさん、なんでお説教みたいな事してたんですか?」
ユキが、疑問をクリスに聞いた。
「実はあの時、めいそうをひそかに繰り出していたのよ」
「だからあんなにゆっくり喋ってたんですか」
「気づかなかったでしょ」
「全く」
「あれやるとき、本当に大変なんだから。集中が切れたらばれちゃうし、攻撃されたら受け身取れないし」
「なので、先にダメージを与えたんですね?」
「大正解」
話が一段落したのを見計らって
「じゃあ、そろそろポケセン行くか」
『はーい』
皆の返事が重なった。



処女作ですので誤字脱字があればよろしくお願いします。
- 更新楽しみにしてます。
――[[.admjgptw/]] &new{2010-06-15 (火) 19:04:57};
- 続き期待してます!頑張ってください!
―― &new{2010-06-15 (火) 20:14:27};
- 続き期待してます!頑張ってください!
―― &new{2010-06-15 (火) 20:16:00};
- どんだけ更新が遅いのでしょうか……
文章力がないことを後悔する日々です……。
――[[大和]] &new{2010-08-10 (火) 12:01:35};

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