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ポケタン! ~消えた同級生と僕達の初事件~ の変更点


writer is [[双牙連刃]]
筆休め…と言いますか、脳休めの為に書いていた駄文が出来上がっちまいましたのでちょっとアップ!
駄文ですよ。本当ですよ。
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 月の光も、星の瞬きも届かない真っ暗な夜、一匹のポケモンが公園の中に駆け込んできた。
 「はぁ、はぁ、はぁ……もう嫌ぁ……」
 その瞳にはありありと恐怖が見て取れ、今自分が走ってきた方向をまた振り返った。
後ろには誰も居ない。しかし、確実に自分が誰かに追いかけられている感覚はある。
何故自分は追われなければならないのか? 自問自答しても答えは出ない。悪い事もしていなければ、狙われるような事もしていない。
自宅へ帰る。ただそれだけの目的を果たしたいだけなのに……何故?
考えても考えても答えは霞の向こう、追いかけてくるであろう輩にしか分からないだろう。

 公園でしばらくじっとしていたが、追跡者の来る様子は無かった。
逃げ……切れた? 心に少しだけ明かりが差す。後は自宅まで急いで帰ればいいのだからね。
 「早く帰らなきゃ!」
 意を決して踵を返し歩き出そうとした。
だが、追跡は終わっていなかった。否、このポケモンが公園に入った時点で追跡は最終局面を迎えていたのだ。
何故なら、この公園こそが彼等の『狩り場』そのものだったから。

 公園の出口へと向かうポケモンは、自分の身の危険にまだ気付いていない。
もう頭の中は早く帰ることで意識を統一させていたからだ。だから初動が遅れてしまった。
自分の横の草むらが一度激しく揺れ、そこから青い触手が自分を捕縛しようとしているのに、だ。
 「な、何!? 嫌あああぁぁぁぁぁああああ!!!!!」
 こうしてまた一匹、公園の闇の中にポケモンが消えた。
こんな事件が僕の暮らす街で騒がれ出したのはつい最近。それまでは至って平和な街だった。
この事件が起きた後、夜の街を行くポケモンは激減した。それでも、事件の被害は増えていく一途を辿っている。
保安官を務めているコイル達も頭を抱えるばかり。犯人は姿形さえも分からずにいた。
そんな事件があっても、僕の生活は変わらない。いつも道理学校へ行き、暇な時間を過ごし家路に着く。
何も変わらない……筈だった。僕の友人(馬鹿)が余計な事さえしなければね……。

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 「おーい! 聞いたか!? また神隠しがあったらしいぜ!」
 煩い。人の食事を邪魔する奴は、ポニータに蹴られて重傷を負えばいいのに。
僕は無視して右手に持つリンゴに噛り付く。うん、程よく甘酸っぱくて美味しい。
 「ちょいちょい聞いてる!? 神隠しだよかーみーかーくーしー!」
 「煩いなぁ。僕リンゴ食べてるの! そっとしといてよ……」
 全く、神隠しがどうしたっていうのさね? そんなの僕には関係無いし、余計な事に首突っ込んだら痛い目見るのはこっちなんだよ。
分かってない、分かってないよ!
 「リンゴなんて何時でも食べれるだろ! それよりさ、なんとついにこの学校の奴が被害に遭ったんだってよ!」
「あっそう。僕にはリンゴを食べることより優先すべき事だとは思えないね。関係ないし」
「あのな、同じ学校の同じ学年の奴が居なくなったんだぞ!? 心配だったり、不安になったりしないのか!」
「全然。僕自身が居なくなった訳じゃないし、居なくなった奴に面識がある訳じゃないしね」
「くー! この冷徹ピカチュウめ! その赤いほっぺは飾りか!」
「何とでも言うがいいさ。それにほっぺが赤いのは関係無い」
 馬鹿な友人を持つと苦労するよ……同学年であれ、クラスが違えば面識なんて無いし、そんな面識の無い奴が居なくなったってどうこうする事は無いでしょ?
しかし、何でこんな話をしてきたんだろ? 嫌な予感がするな……。

 キーンコーンカーンコーン……。

 「あ! チャイム鳴っちまった……よし! 午後の授業終わったら話しあるから残ってろよ!」
 言いたい事だけ言って自分の席へ戻っていった。
バックれたい……物凄く嫌な予感しかしないんだもん。



 「よし! 現場へ行くぞ!」
 終礼が終わった瞬間に友人が僕の所へ来て言った言葉だ。バックレ失敗……。
で、目の前の黒い毛むくじゃらは何を言ってるんだろう。現場に行く? 何となく分かってはいるけど、何を言ってるんだろう? 馬鹿なの? 死ぬの?
 「現場って……何処? 何しに?」
「決まってるだろ! ヒーローになりに行くのだ! おいら達でこの事件、解決しちゃおうぜ!」
 こんな事を言う彼は悪タイプ。ヒーローには程遠いタイプです。
そして無知! ニュースとか世間話とか聞かないのかな? 保安官が何の足取りも掴めていないものを子供の僕達で何とか出来ると?
断固僕は行かないよ。馬鹿げてるし、何よりこの若さで一生を不意にしたくないし。
 「行くならどうぞご自由に。僕は行かないからね」
「いーや! 絶対に行く! そしておいらの隣には……カーッツ! お前という助手が必要なのだ!」
 何その勝手理論!? いつ僕が助手になったんだ! そんなものになった覚えは無い!
「ちょっとビル? 勝手に決め」「問答無よーう! いざ行かん危険でワクワクな事件現場へー!」
 聞けよ! そして躊躇って言葉を三千回書いて来い! なんで面倒事に僕を巻き込むの!?
あーもう教室飛び出して行っちゃったよ……よし。このまま帰ろう。それが良い。
僕の考えは一瞬で破綻させられました。戻ってきたビルに首を甘噛みされながらズルズル引き摺られる事によってね。
もうイヤー帰りたいよー。でもそんな僕の気持ちは華麗にシカトされ、僕達は校門をくぐる事となった。

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 僕の名前はカッツ。カッツ=ピカチュウ。
雄のピカチュウで、成績は中の下くらい。面倒な事は大嫌い。
トレードマークはギザギザ尻尾。アイアンテール化するとリンゴの皮とか剥けて中々便利だよ。
好きな物? 食事とリンゴと……昼寝かな?
 
 隣を意気揚々と歩くのはビル。ビル=デルビルが正式名称。通称は黒い毛むくじゃら。(僕はたまにそう呼んでる)
何にでも首を突っ込みたがるし、いつもヒーローってものに憧れてる。(悪タイプなのにねぇ)
成績は下の中。さっきは僕の事を助手って言ってたけど、成績的に言えば助手はこっちだ。(ザマァ)
説明は要らないだろうけど、雄のデルビルです。

 トコトコと僕は『仕方なく』ビルと神隠しがあった公園へと向かっている。
面倒臭い……大体、僕達が言ってどうなる物でもないと思うんだよ。
捜査のプロがお手上げ侍な状況だよ? 素人の僕達で何か見つけられたら奇跡だよ。
それでも行くって言ったら聞かないこの毛むくじゃらが恨めしいよ。まぁ、数少ない友人が居なくなるのは多少気が引けるから付き合ってるけどさ。
 「いよっしゃあ着いた! さーあ、中に入るぞ~♪」
 めっちゃ『キープアウト』って書かれてますけど? 入ったら間違いなく怒られるよね。
冗談はやめてほしいな。え? ちょ、ほんとに入ろうとするの? 待とうよ。ねぇ!
 「何してんだよカッツ。おいらおいてっちゃうぞ?」
 寧ろ置いていってほしいよ。はぁ……。
 「今行く」
 テープを切らないように……抜けれた。体の柔軟性が恨めしい! 入れなければ良かったのに!
入っちゃったものは仕方ないか……ふぅん、事件があったって言っても普段と全然変わらないな。
 「おぉー此処で同級生が居なくなったんだなぁ。へー」
「ビル何しに来たか分かってる? その同級生の捜索でしょ?」
「犯人捕まえるんだよ! 同級生は後々!」
 この馬鹿を誰かどうにかして下さい。犯人捕まえるのも同級生探すのもほぼ目的は一緒だろうが!
しかーも! 犯人捕まえる? 今まで何の証拠も無く二十匹近いポケモンを攫った奴を? 僕達が? ありえないでしょ!
そもそも犯人なんて居るかも分かってないんだよ!? そこまで考えて行動してほしいよ……。
そういえば、僕は居なくなった同級生がどんなポケモンか知らないや。分からないものは探しようが無いよね。
 「ビル、聞きたいんだけど、居なくなった同級生って何?」
「ん? えーっと……フィーエっていうエーフィの女の子だってさ」
「ふーん、エスパータイプか」
 フィーエ……ひっくり返すとエーフィ。安直な名前だね。ビルもそうだけど。
にしても感覚で周囲の状況が分かるエスパータイプが攫われた……のかは分からないけど、攫われたんなら相手は悪タイプかゴーストタイプかな?
どっちも相手にしたくないなぁ。バトル嫌いなんだよな。出来なくはないけど。
それにしても何も無いな。これは素直に帰るべきだと思う。夕方だし、てかもうすぐ日が沈むし。
 「ビルー暗くなるからそろそろ帰……!?」

 尻尾の先がピリピリする……これは、ビルが居る方からだ!
 「ビル下がれ!」
「おふ!? カッツどうし……うわあああぁ!?」
 ビルの前足に何かが絡み付いて引っ張ろうとしている。ヤヴぁいと僕は思う。
近くに居てよかったよ。絡みつくと同時くらいに動き出せたからね。
ビルは助かるよ。だって、僕がもうアイアンテールを放ってるからね。
 「叩き切れろ!」
「グアアアアァァ!」
 絡み付いていた物を切ると、その先の茂みから悲鳴が聞こえた。分かり易くて助かるよ。
これは……青い触手? どっかで見た事あるような……。
 「待てー! ポケ攫いー!」
「ビル待って! ってもう遅いか……」
 何も考えないでの行動力ならビルが一番だと思う。まぁ結果は……。
 「待て! って……ぎゃー! 助けてー! むぐぅぅぅぅ!」
 捕まるのがオチだけどね。罠に気を付けるとかそういう考えは……無いんだろうね。
捕まえたのは……くそっ、暗くてよく分からない。とりあえず二足歩行タイプのポケモンであるのは分かる。
 「逃がさないよ!」
「くっ、奴がしくじらなければ俺が出張る事は無かったのに……」
「むー! むぐう、ぐー!(わー! カッツ、助けてー!)」
 ビルを抱える奴が何か言ってる。恐らくはさっきの青い触手の奴のことだろうね。
ビルの言ってる事は僕の中の解釈ね。一人で行かせないでよかった。ビル一人ならさっきの触手野郎の時にジ・エンドだったからね。
にしても結構足速いな。追いつけないや。離されもしてないけど。

 「しつこいガキだな……面倒だ、此処で始末するか」
 あ、止まった。でも不吉ワードはしっかり聞かせてもらったよ。いやん始末されちゃう。
相手がビルを下ろした。さぁビル騒げ! 喚け! それで僕の生存確率は上がる!
 「おっと、大人しくなってもらうからな」
「うわ……」
 あっさり大人しくされるビル。ほんと何しに来たの? そして何されたの? てかこの公園こんなに広かったっけ? 変だな? 大分走ったけど?
暗くなっちゃったから周りがよく分かんないんだよね。木とかはあるから多分公園な筈。
 「さーて、ピカチュウの小僧一匹か……ピカチュウは高値で売れるからな。お前も大人しくなってもらおうか」
 月明かりの中にビル誘拐犯が姿を現した。無理。勝てる気がしないよ。
だって……あの有名な戦闘タイプポケモンのチャーレムが目の前に居るんだもん♪
ビルを気絶させた技は多分『発剄』だろうね。あの技たしか麻痺できた筈だし。
で、僕も食らえば麻痺して捕まって……あの口ぶりから行くと何処かに売られてサヨウナラってとこかな? 冗談じゃない。
 「簡単には……やられないよ」
「ほう? ピカチュウ一匹に何処まで出来るか、見せてもらおうか?」
 相手は余裕みたいだね。そりゃそうか、ピカチュウの子供一匹が相手だもんね。
正攻法で戦っても勝てないし……嫌だけどあれ使うしかないかな。
 「やっぱりごめんなさい! 大人しくするからぶたないで!」
「はっはっは! さっきの威勢はもう尽きたか。安心しな。大人しくすれば痛い目だけは見なくて済む」
 大人は単純だね。子供だからって騙そうとしないと思った? おあいにく~。
さあ近付いて来い! ドギツイ一発を心をこめてプレゼントするから!
俯いて顔見せないようにしてカウントダウン。3、2、1、ミッションスタート!
 「ボルテッカー」
「な!? ぐわあああああ!?」
 はいチュドーン♪ この技、自分も痛いから嫌いなんだよね~。
驚くよね。だってこの技、一部の特殊なピカチュウしか使えないし。でも僕は使える。使えるから利用する。以上説明終わり!
もう動けないかな? 念のために電磁波も掛けておこう。それ。
 「はうううううう……」
「情けないね。喋る事が出来るくらいに加減はしたよ。攫ったポケモンたちは何処?」
「くぅぅ、お前は……一体……」
「質問に質問で返さないで。答える気がないなら止め刺すよ?」
 わー、自分でも怖いと思う。無抵抗な相手にこんな事、僕言えたんだ。
 「は、話す! 俺は雇われただけなんだ! そこの屋敷の奴に!」
「屋敷? って……この建物?」
 確かに公園の横には普通の家よりは大きな家があるよ。でも、屋敷って程じゃないね。
大げさに言ってもマンション……アパート、だね。
 「屋敷と言わないと突然激昂するんだ! それで仕方なく……」
「雇い主はどうでもいい。攫ったポケモンもあそこに居るんだな?」
「う、ガキの癖に、なんなんだよお前! そうだよ! あそこの主が高値で買ってるんだ!」
「そう。分かった。じゃあお休み。」
「な、ぎゃあああああぁぁぁ!」
 ……勘違いしないでね? 電磁波を強めに食らわせただけだから。
はぁ……僕はビルのついでで来ただけなのにすっかりメインだよ。
ビル起こしてさっさと攫われたポケモン助けて、それで終わり! 凄い事になっちゃったな。

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 「ここに攫われたポケモンと真犯人が居るだって!?」
「煩いよビル。さっきのチャーレムはそう言ってた」
 僕達は今、教えられた建物の玄関……だと思う所に居る。
見れば見るほどアパートだよ。でも出入り口は一つ。変な建物。
見た目が結構ボロッちいから今まで気付かなかったんだな。うん。
 「よーし、此処はおいらが良いとこ見せちゃうもんね! 突撃ー!」
 折角偶然近くにあったクラボの実で治してあげたのに、反省とかは無いみたいだね。
また豪快に玄関開けて突入。まぁ結果はやっぱり……。
 「とーう! ん? わぁ! 落とし穴!? うわぁぁぁぁぁぁ!」
「こうなるよねぇ……」
 やっぱり僕一人で攻略するしかないみたいです。二度とビルは連れてこないよ。
というか連れてこられてのは僕! もう疲れたよ……。
さて、救助目標にビルが追加された所で中の確認。
うわぁ、空っぽだ。誰も居ないどころか何にも無い。外と比べてみたら分かったけど、只の空の箱が建物の振りしてるみたいだ。
落とし穴は避けて、と。尻尾がピリピリしない。他に罠は無いみたいだね。
僕の尻尾は凄く便利なんだ。危険が近付くとピリピリッとして知らせてくれるの。さっきの触手に襲われたときみたいにね。
そう言えば逃げてった奴も此処に居る筈だよな? でも何にも……あった。下り階段だ。
降りるしかないよねぇ。嫌だな、面倒臭くなってきた。そうも言ってられないけど。

 降りてきたはいいんだけど、何枚か扉があるな。どうしようかな?
扉の数は六枚。片っ端から開くかどうか試してみようか。
まず一枚目。一番左の扉。開きません。
続いて二枚目、その横の扉。開きません。
三枚目、その更に横の扉。開きませ……開いた。うっそぉ。
中には何が……あれ、なんか聞こえる。
 「お腹空いたよぉ……帰りたいよぉ……」
「誰か……居るの?」
 僕が声を掛けると中の声が止まった。少しだけ開いた状態で扉は止めている。入るべきかな?
返事は無いし、入るか。
 「お邪魔しま~す……」
 中に居たのはエーフィが一匹。エーフィ……エーフィ!?
 「誰!? 私は行かないからね!?」
「う~んと、まずは落ち着いて? 君って、もしかしてフィーエって名前?」
「え、私の名前知ってるの? あなた誰?」
「僕はカッツ。ちょっと事件に巻き込まれて、君を助けに来た、ってとこかな? 因みに同級生」
 間違ってはいないよね? 神隠し事件に巻き込まれたのは確かだし。
 「助けに来てくれたの?」
「うん」
「本当に、本当?」
「うん」
「ああああぁぁぁん! 怖かったよー!」
「うわぁ! だから落ち着いてって!」
 いきなり抱きつかれたらドキドキするじゃないか! 僕だって男の子だもん。
 「ゴメン……」
「いや、そんなにしょげかえらなくてもいいけどさ、なんでここだけ開いてたんだろ?」
「うん……変な奴がね? 来る気になったら私の所へ来なさいって開けていったの。他の所にはいけないからって」
 おかしいな? 僕は普通に降りて来れたぞ? ま・さ・か。
急いで階段の所へ! 行っても遅かったか! 階段の出口に無かったはずの扉がある!
しかも……予想通り開かない! まんまと閉じ込められちゃったよ。
はぁ……溜息しか出ないや。
 「ね、ねぇ? 君は入って来れたんだから出られるんだよね?」
 後ろからついて来たフィーエが問いかけてきました。答えにくいな。
 「僕ね? 此処から入ってきたんだよね」
「え、でもそこの扉って、私何度も押したけど開かなかったよ?」
「それが僕が来た時は開いててね。だから入ってこれたの」
「今は閉じてるよね?」
「うん。僕も帰れなくなったみたい」
「わーん! 結局帰れないんだー!」
 また泣いちゃったよ。困ったなぁ。
お腹減ってるって言ってたっけ。とっておきだけど……あげるしかないかな。
 「はい。これあげるから泣かないで?」
「ぐすっ、あ、リンゴだ。おっきぃ」
「お腹減ってたら余計に悲しくなっちゃうもんね」
「ありがとう!」
 あ、笑った。ビル並みに現金かも。
でも流石太陽ポケモンだね。君の笑顔はサンシャイン! なんちゃって。でも、元気になる笑顔だよ。
そして誰か褒めて。こんなにドタバタしてたのに自分の鞄を失くしてない僕を。背負ったままよく此処まで来れたと思う。
そうだ! ビルの事も探さなきゃ! どの辺に落ちたんだろう?

 「イヤダァァァァァァ!」
「みゃあ!? 何? 何なの?」
「あそこだ!」
 探す手間が省けたよ。ビルの叫び声だ。
聞こえたのは一番左の部屋。さっきは開かなかったけど、開いた!
 「ビル! 助けに来た……うわぁ……」
「カッツ……助けて……」
「カッツ君どうしたの!? ひっ……」
 予想以上の惨状に絶句です。気持ち悪くなってきた……。
まず目に付くのはモジャンボ。モンジャラの進化した奴ね。それがいっぱい居る。それだけならまだいいよ。
そのモジャンボの体の触手に色んなポケモンが絡みつかれてる。全身を。
一部のポケモンについてだけ言えばもうモジャンボに取り込まれてる。顔は出てるけど。
皆ぐったりしてるけど生きてる……んだよね?
で、ビルがモンジャラに引っ張られてモジャンボの餌食になりそうになってる。とりあえず、ビルだけでも助けないと!
 「僕の友達に触るな!」
 唸れアイアンテール! モンジャラをばっさりだ!
 「ぐはぁ! ま、またしても……」
 なんか言ってる。あ、こいつさっきもアイアンテールで切ってやった奴か。
あの時の青い触手はこいつのか。通りで見た事あるわけだ。(モンジャラをって意味ね)
 「ビル大丈夫?」
「大丈夫じゃないよ! 危なかった~」
「カッツ君! モジャンボが来てるよ! 早く逃げて~!」
 フィーエナイス! 危うくグルグル巻きの仲間入りするとこだった。
脱出! ア~ンド扉閉鎖! カチンていった。閉まったみたいだね。
 「ふぅ~、危機一髪。助かったよフィーエ」
「また一人になるの嫌だったんだもん。よかった~」
「ほぐ!? この子がフィーエ!? ってことはやっぱり此処がポケ攫いのアジトなんだな! 真犯人は何処だ~!」
 痛い目散々見たのにこの調子。ポジティブなんだか馬鹿なんだか……馬鹿なんだね。
なんとかビルとも合流出来たけど、帰れなかったら意味無いよね。出口は閉まってるし……。

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 「いやぁお見事! ピカチュウ君、君は凄いねぇ」
「誰だ!」
 暗いからよく分かんないけどなんか居る。このタイミングで出てくるのは犯人だろうけどさ。
 「私はこの館の主、スリーパー。歓迎するよ。私のコレクションとしてね!」
「スリーパー? それに、コレクション? 何の事だ!」
「うぉぉ、カッツかっこいい~!」
 ビルは尻尾でビンタしときました。茶化してる場合じゃないでしょ!
 「君も今まさに見たばかりでしょう? 素晴らしいとは思わないかい? 触手に攻められるポケモン達を!」
 コレクションて……まさかあの絡みつかれてたポケモンの事? うわぁ変態だぁ。
 「こいつだ! 私に自分の所に来いって言った奴! 声がそうだもん!」
「何故フィーエだけはコレクションとやらにしなかったんだ! しておけば僕等もやすやすと捕まえれてたろうにな!」
「その子はとびきり可愛かったからね。私自身が美味しく頂こうと思ったんですが、裏目に出てしまいましたねぇ。」
 しかもロリコン最悪だ! もうさっさとぶっ飛ばして扉の開け方聞きだそう。
 「私をぶっ飛ばす? 出来るでしょうかね?」
「心を読むな! 卑怯者!」
「ええ、卑怯で結構。卑怯だからこんな事も出来ますよ」
 スリーパーが自分の指をパチンと弾いた。何してるの?
 「カ、カカカカカ、カッツ! 扉が……開いちゃった!」
「え? ウソォ!」
「さぁ、モジャンボ達よ! 新たなコレクションの作成開始です!」
 出てきた出てきたモジャンボ軍団! その数5! ヤバイなんてもんじゃないよ!
 「囲まれちゃったよ! カッツ君!」
「くぅっ! フィーエ! 僕の後ろへ! 君だけでも守るから!」
「うぇぇ!? おいらは!? 助けてよぉ!」
「ビルは火炎放射で僕の援護! 絶対に諦めるもんか!」
 僕ってこういう熱い状況嫌いなんだけどな。ガラじゃないし。
そんなこと言ってる場合じゃないか。何とかしないと本当にコレクションの仲間入りだよ!

 片っ端から伸ばしてくる触手を切る。切る。切る!
モジャンボっておっき過ぎるんだよ! きりが無い!
 「おやおや頑張りますねぇ。早く楽になってしまったほうが疲れませんよ?」
「ふざけろ! お前みたいな奴の言いなりになんかなるもんか!」
「カッツ君頑張って!」
「おいらも頑張ってるのにー!」
 ビルの火炎放射も有効なんだよね。モジャンボって草タイプだし。
ん、そうか!
 「フィーエ! サイコキネシス使える!?」
「え、使えるけど、どうするの? 私はこんなの倒せるほど強くないよ!?」
「今から少し手伝って! 僕が……こいつ等を倒すから!」
 僕は体に電気を纏う。チャーレムを倒したボルテッカーだ!
 「ほおお、ボルテッカーを使えるピカチュウが手に入るとは思ってもいませんでしたよ。ですが、モジャンボは草タイプですよ? 無駄な足掻きですね」
「無駄かどうかは……ぐぅっ、食らってから決めなよ!」
 体が痛い! ボルテッカーの連続使用は負担が大きいから絶対にしたくなかったんだよ。こんな状況にならなかったら絶対にしなかったね。
 「フィーエ! 僕の体をサイコキネシスで覆える!?」
「やってみるからちょっと待って!」
「分かった! ビル! フィーエのサポートして! 絶対に捕まらないでよ!」
「頑張るぜ!」
 虹色の膜が僕の周囲を包んでいく。フィーエもかなり優秀なエスパータイプみたいだね!
準備は出来た! このまま……特攻だぁ!
 「いっくぞぉー!」
「んな!? 馬鹿な、サイコキネシスを纏う!?そんなことが!?」
「出来てるんだから、認めろぉー!」
 僕は飛び込む。モジャンボの懐へ。そしてそのまま体当たり!
普通のボルテッカーだったら電気を散らされてたいした威力にならないかもしれないけど、これは……効き目ばっちりだ!
草タイプの弱点は何も火だけじゃない。実はエスパー技も効果抜群なんだよね。
サイコキネシスで包まれてるから電気も散らない。だからまるごとモジャンボのダメージに出来てるんだね。
一撃でモジャンボ一体撃破! 名前を付けるなら、サイコボルテッカーかな?
何でもいいからどんどんアタック! コレクションにされてるポケモン達は部屋から出て来てないみたいだから本気で戦えるよ!
 「そんな馬鹿な……こんな子供に何故このような力が!?」
「焦ってるみたいだねスリーパーさん? こいつ等片付けたらお前の番だからな!」
「やっちゃえカッツ君!」
 これで最後の一体! 五匹全部仕留めたどー! 体中痛ーい!
 「カッツすっげぇ! やっちゃったよ!」
「お陰で動けなさそう……ゴメン……ビル後任せた」
 倒れるー、無理し過ぎたよー。
 「カッツ君? カッツ君!?」
「動けないだけー、だいじょぶだいじょぶ」
「それって大丈夫って言わないよぉ! しっかりしてー!」
 いやぁ、フィーエって優しいね。今日始めて話した僕なんかの心配してくれてるよ。
ビルは……あ、スリーパーにしこたま噛み付いてる。あれならもう動けないだろうね。
よかった……これで……帰れる……。
 「ってまだ扉の開け方聞いてないよ! ビルストーップ!」
「ん!? 後は任されてるぞカッツ! こいつサイコキネシス使ってわざわざ階段のとこの扉開けてやんの!」
 心配要らなかったー! スリーパー折れるの早かったなー。自分では何にも出来ない困ったチャンだったみたいだね。
なんにせよこれで一件落着……だよね? 僕は……頑張り過ぎたみたいです。
意識が……皆さんさよーならー。

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 んー僕が寝てるのに周りが煩い! 何なの一体?
 「カッツ君! よかった! 気が付いたんだね!」
「あれ? フィーエ? 僕は倒れたんだよね? 何で外にいるの?」
「あの後ビル君が先生とか保安官を呼んで来てくれたの。モジャンボに捕まってたポケモンさん達も皆病院まで運ばれたよ」
 僕を病院まで運んでくれる優しいポケモンは居なかったのかな? 草の上にダイレクトって……。
 「いやー、攫われたポケモン達が皆無事で良かったです! おいらも頑張ったかいがありました!」
「あの黒い毛むくじゃらは囲まれて何を言ってるの?」
「あはは、ビル君が大人達を呼んで来たでしょ? だから、ぜーんぶビル君がやった事になってるみたい」
「僕は?」
「うんと……間一髪の所をビル君に助けられて、そのまま気絶しちゃった事になってる」
 ぅおのれビルー! 良いとこ全部持ってかれちゃってるよ! ……ま、いっか。
ちやほやされるためにやった訳じゃないしね。元々の言いだしっぺはビルだし。

 「また何かあったらこのポケモン探偵、略してポケタンのビルにお任せあれ!」
「ははっ、上手い事言っちゃってるよ。ポケモン探偵のビル、か」
 周りを大人達に囲まれてご満悦のビル。片や僕の傍にはフィーエだけ。もうちょっと労わってくれてもいいんじゃない?
 「ポケタンか……私は知ってるもん。本当のポケタン」
「ん? 誰の事?」
「キ・ミ♪」
 顔が赤くなりました。見た目じゃ分かんないだろうけど。
ちょっとは、頑張ったかい、僕にもあったかな。

 こうして、公園の神隠し事件は幕を閉じた。ビルの功績として。
それからはまた元通り。学校行って退屈な時間過ごして家に帰っての繰り返し。
ビルは皆からちやほやされて大分人気が上がったみたい。殆ど何にもしてないのにね。
僕は窓から空を眺めて溜息を付くだけ。いつも道理ね。
僕の周りで変わった事といえば……。
 「カッツくーん! かーえろ!」
「うん、今行くよ」
 このやり取りぐらいかな?

            ~END~

----
後書き~
えーっと、いかがでしたでしょうか?
とりあえずタイトルは某ドラマからパクったという事だけはお伝えしときます。
それでは!
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アドバイス、批評などはこちらへ!
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