writer is [[双牙連刃]] 前々から書いていたポケタン、エピソード2の後の日常編のような物が出来たので、少し投下していこうかと……。 この物語はポケタンの設定を使っていますが、インターミッションという事で特に事件は起きません。ピカ達のまったりとした日常をお楽しみ頂ければ幸いです。 ---- 「……あのさ、母さん。そんなに見たって僕の傷跡は無くならないってば」 「まぁでも、怪我はもう心配無いみたいね。久々に家から出る感想は?」 「もう二度とこうなりたくない以外には無いよ」 あれだけ盛大に倒れたんだから仕方ないけどね。ま、あの日からプラスで二週間も寝たきりにさせられるとは思わなかったけどさ。 お陰で普通に動くのも久々なくらいだよ。家から出る事も許されないのは普通に拷問だと思うんだよね。一週間前くらいから体の状態を普通に戻す為に慣らしはしたけどさ。 「でも、これでピカ君と一緒に学校に行けるね」 「本当だよ。ミセルちゃんはしっかり学校に行ってるのに、元気なのに見送るしかないのは正直心苦しいのもあったしね」 ミセルちゃんが家に来てからも二週間経ったって事なんだよね。この家にも馴染んでくれたみたいだし、今じゃもう完全に家族の一員だよ。 そして今日は、初めてのミセルちゃんと一緒の登校って事。学校の方では、もうミセルちゃんがこの家に住所が変わってるのは知られてる事だし、そこまで騒がれる事じゃないだろうけどさ。 カバンも持ったし、そろそろ行こうか。復帰日にいきなり遅刻って言うのも冴えないしね。 「じゃ、はいこれお弁当。ミセルちゃん、ピカが無茶しないように見てあげてね」 「いや母さん、ミセルちゃんと僕はクラス違うから」 「あははは……でも、休み時間とかには会いに行けるし、お昼は一緒に食べられるから。ピカ君なら心配要らないと思ってるけどね」 そうそう、僕だってよっぽどの事が無ければ無茶なんかしたいとも思ってないんだから、母さんは心配し過ぎなんだよ。……まぁ、今までが今までだから言えないけどさ。 じゃ、お弁当も持ったし行こう。うーん、外に出る事自体が久々だから、日差しが気持ち良いよ。 「それじゃあ気を付けてね二匹とも。行ってらっしゃい」 「はい、行ってきますフランマさん」 「母さんも仕事入ってるんだから忘れないようにね。行ってきまーす」 今回母さんが依頼されてたのは、ガラスのお皿を20枚くらいだったかな? 結構量あるからぶーぶー言ってたっけ。 さて、久々の通学路だよ。学校へ向かうポケモン達のこの感じ、一ヶ月なのにかなり懐かしく感じるものだねぇ。 「でも良かったね、ピカ君。学校へ行ってもいいって許可出て」 「全くだよ。家に居たらずぅっと母さんの授業を聞く事になるし、ある意味学校よりも拷問だよあれ」 「ま、まぁ、それのお陰で勉強が遅れるって心配も無いんだし、いいんじゃないかな」 「それはそうなんだけどねぇ……」 勉強、遅れるどころか先取りしちゃってるのが問題なんだよ。あぁ、またしばらく学校の授業が退屈になるよ……。 「冴えないオーラが背中から出てるわねー、あんたは。ミセルちゃん、おはよ!」 「……なんだキャルか。お早う」 「お早うキャルちゃん」 「なんだとは何よー。折角幼馴染が学校に復帰するから声掛けてあげたのに」 「いきなり冴えないって一言じゃなかったら僕だって多少喜ぶってばさ」 まぁ、方向は同じなんだからキャルとはタイミングが合えば会うとは思ってたよ。寧ろこの言い分だと、キャルの方が合わせたっぽいけどね。 いきなりな挨拶だったけど、こうして見慣れた顔と通学路で会うのも久々だし、悪くないね。見舞いでしょっちゅう顔は会わせてたけど。 「それにしても長かったわねー。ま、そんな目立つ程の怪我したんだから仕方ないか」 「やっぱり目立つ? これ」 「そりゃあ背中にズパーっと傷跡あったら目立たない方が無理あるでしょ。ミセルちゃんの傷は綺麗に治ってるけど」 「私の傷の方が浅かったみたいだから……本当、あの時ピカ君が庇ってくれなかったら、私……」 「思い出すとムカつくわねー。その時に私が居たら犯人のストライクねじ切ってやったのに」 「いや怖いってキャル……まぁでももう済んだんだし、僕も学校復帰出来たんだから明るくいこうよ」 「……うん、そうだね。いつまでも俯いてたら、お祖母ちゃんに叱られちゃうし」 こんな話をしながらてくてくと歩いて、しばらくして学校が見えてきた。いやー、しばらくぶりに見ても変わらないなぁ。一ヶ月じゃ変わりようもないか。 玄関でミセルちゃんとは別れて、僕とキャルはクラスへ。もうミローネ先生には話してるし、そこまで驚かれるような事は無いだろうけどさ。 教室の扉を開けると、フラシィやバスターの姿が見えた。なんだ、僕達より先に来てたんだ。 「あ、ピカ!」 「お早うフラシィ、バスター。ようやく復帰出来たよ」 「元気になってるのは知ってたから、心配はしてなかったけどな。でも……お帰り、ピカ」 おぉう、なんか改めてそう言われるとなんだか照れるね。バスターもなんだかんだ言って、かなり心配してくれてたんだ。 いやでも嬉しいからって手を取る必要は無いよフラシィ。クラスの他の皆もお帰りって言ってくれてるし、これは嬉しいなぁ。 「全く、寝てただけなのに皆大げさねー」 「とかなんとか言って、昨日ピカを迎えに行かなきゃって1番張り切ってたのは誰だったかな」 「だ、だだだ誰よそんな事言ったの! 私じゃないからね!」 「……ここまで分かり易いと、ツッコミを入れていいのか迷うね」 「し、しれっとしてるんじゃないわよ! 私じゃないって言ってるでしょ!」 あぁ、なんか帰って来たって感じがする。一ヶ月も居ないと、皆の反応が新鮮に感じる。我が友達は相変わらずで良かったよ。 ベッドで横になってると、なんだか感覚が日常に戻りきらなかったんだよ。あのレイジュと一戦交えたのを引きずってたんだよね、僕としても。 でも、これでやっと戻ってこれたんだって思った。やれやれ……本当、大変な事件だったって改めて思う。生きてて良かった~。 皆も落ち着いてきたし、そろそろ朝のホームルームも始まるから席に座ってようか。 うーん、でも皆、僕の背中の傷を見たがるのは勘弁願いたいね。嫌でも見えるんだから、そんなに注目されてもねぇ? 「はーい皆お早うー」 「ミローネ先生、やっほー」 「ピカ君! 良かった、お帰りなさい! もぉ、大怪我して寝たきりになったって聞いてずっと心配してたのよ?」 「それなら先生も見舞いに来てくれればよかったのに。別に家で寝てただけなんだから」 「それはごめんね、あの事件でうちの生徒が二匹も襲われた事もあって学校もバタバタしちゃって。っと、詳しい話は後でしましょうか。日直さん、号令をお願い」 「了解ですよっと」 起立して礼をして、久々の学校生活の始まり始まりーってね。でもあの事件で学校にも影響出てたんだ。まぁ、生徒が襲われたんだから仕方ないのかもね。 後でと言っても、多分放課後とかになるだろうけどね。ミローネ先生も、これから授業あるんだし。 それなら僕は……授業も久々なんだし、復帰初日くらいはマジメに聞くとしようか。 ---- 「んー! はぁ……久々の授業ってこんなに疲れるものかなぁ」 「ピカの場合、単に退屈だったってだけだろ? でも、寝たきりで勉強が遅れたって心配は無いみたいだな」 それはもちろん、伊達に母さんの授業は受けてなかったってね。血の気は多いけど、母さん頭は良いから。 しかし、こうして皆で屋上でお昼を食べるのも久々だよ。とは言っても、僕が居ない間に少々メンバーが増えたみたいだけどね。 同じクラスの僕達四匹は揃って上がってこれるけど、他の皆は別クラスだからそうはいかない。っと、でもどうやら他のメンバーは皆揃って上がってきたみたいかな。 「ピカー! 居たー!」 「いや、それは居るって。アーミもお見舞いに来てくれたんだから僕が元気になってるのは知ってるでしょ?」 「でも、こうやってまた学校で会えるのが嬉しくて……」 「うん、その感じだと大丈夫みたいだね、ピカ君」 「まぁね。あれ? ミセルちゃん、セレナちゃんは?」 「今着いたの。もう、アーミったらピカ君が居るって聞いたら走っていっちゃうんだもの」 「ご、ごめん。でも、早くピカ君の顔が見たくて……」 そう言ってくれるのは嬉しいよ。そう、このランチタイムに増えたのはセレナちゃんとミセルちゃん。まぁ、皆友達なんだから当然と言えば当然だけどね。 じゃ、皆揃った事だし食べようか。うん、まだ昼休みが始まって5分くらいだし、それくらいは僕だって食べずに待ってますよ。 ……予想はしてたけど、母さん気合い入れて作ったんだなぁ。なんかかなり豪華な弁当になってた。嬉しいけど……食費大丈夫なのかな? 「うわぁ……ピカのお弁当、なんだか凄いね。お祝いとか誕生日くらいにしか出てこないような物ばっかり」 「本当にね……これでしばらく食費削るとか言い出されたら素直に喜び難いけど」 「そ、そこは大丈夫なんじゃないかな? フランマさんだって何も考えないで作ったんじゃないだろうし」 「いや、母さんはたまにそういうところ度外視してやらかす事があるから油断出来ないよ。帰ったら確認しとかなきゃ」 「……はは、ピカのそういうところを見てると、帰って来たんだなって思うな」 そうかな? 僕としては、そういう難しい事言ってるので僕らしいって言われるとちょっと複雑な気持ちになるんだけどねぇ。 今回の場合、その豪華な弁当が二個あるっていうのが問題なんだけどさ。そう、ミセルちゃんの分もって事。 これは帰ってから母さんに聞くしかないか。ここであれこれ言っても仕方ないし。 折角なんだから今はこれを堪能しよう。……うん、美味しい。木の実のソテーや野菜のサラダも入ってる辺り、母さんの栄養への配慮も感じるし、唐揚げやチキンソテーもしっかり味が付いてる。この料理の腕は流石としか言い様がないかな。 「でも、こうして皆が揃って食べられるのって本当に久々だよね。ミセルちゃんが一緒に食べるようになってからは始めてじゃないかなぁ?」 「だろうね。ミセルちゃんと知り合ってからこれが僕の初登校なんだし、そうじゃないとおかしいでしょう」 「私もアーミも、そんな大変な事が起こってたなんてちっとも知らなかったから、ピカ君が大怪我をしたって聞いて凄く驚いたもの。アーミなんか、顔真っ青にして聞いた途端にピカ君のところに走って行こうとしたのよ?」 「だ、だって心配だったんだもん! セレナだって、聞いた日はピカの家行くまでずっとそわそわしてたでしょ!」 「それはそうでしょ? ピカ君も皆も凄く大事な友達だもの、心配しない方がおかしいわよ」 いやはや、こんなに心配して貰えるとは、僕もなかなか捨てたものじゃないね。体を張ったんだから、このくらいじゃないとちょっとショックだよ。 まぁでも、輸血に入院、おまけに家での療養と。そこまでの処置をされたのに見合った対価かと言われれば、微妙に疑問だけどさ。 一先ず話を軽くしながらお弁当を食べよう。休み時間だってそんなに長い訳じゃないし。 「……そう言えば、今ミセルちゃんとピカ君って一緒に暮らしてるのよね?」 「うん。そうだけど」 「フランマさんが、一人暮らしじゃ色々大変だからって誘ってくれたの。アパートの家賃を払い続けるのも大変だったし、お誘いに甘えちゃった」 家賃については、そう心配する事は無かっただろうけどね。後見者にハリエントさんがなってるし、よっぽどになったらアリエムさんの遺産を少しずつ使うって手もあったろうし。 まぁ、ミセルちゃんが遺産にあまり頼らないようにしたいって言ってたのもあるから、こういう形に落ち着いたって感じかな。母さんも娘が出来たーって喜んでたしいいんでしょ、多分。 「へぇー。……いいなぁ」 なんかぼそっとセレナちゃんが言ったような気がするけど、気にしなくていいよね? 気にしないとダメ? うん、これ以上この事には触れないでおこう。なんか話がややこしい事になりそうな予感しかしない。 えっと、後は軽く喋りながらお弁当を完食すれば昼休みは終わりかな。また午後からの授業を退屈だなぁーとか思いながら受けるとしようか。 ……で、午後の授業も終わって、帰りのホームルームも終わったと思ったら、ミローネ先生に呼ばれましたよっと。そりゃあまぁ、後で話しましょうって言われてたんだからこうなるだろうとは思ってたけど。 そんで、今は職員室までミローネ先生と一緒に来たところ。僕を合わせたいって先生が居るんだってさ。誰かは、多分予想してる通りだろうけど。 「それにしても、本当に大きな怪我ね……」 「そりゃあ、一歩間違えば致命傷だったって言われたからね。斬られたところは毛が生えても模様がずれちゃったし、跡はどうやっても消せないんだって」 「君は本当に……そんな大怪我してもしれっとしてるのね。でも良かったわ、こうして元気になってくれて」 「代償は多かったけどね。長かったよ、家での母さんとのマンツーマン授業は」 「フランマさんね。確か、襲ってきたストライクを倒したのもフランマさんだったのよね?」 「止めを刺したのはね。アッパーからの火炎放射、母さんの得意技だから」 「さ、流石ね……」 防御をカチ上げられて無防備に火炎放射受けたら、誰でもダメージは入るでしょ。ましてやストライクは虫タイプ、炎を無防備で受けてただで済む訳が無い。 でもなんでそんな事までミローネ先生が知ってるんだろ? なんて思って聞いたら、なんでも新聞に載ってたらしいよ。何処で聞きつけたんだろうね、マスコミは。 流石に襲われた僕やミセルちゃんの事は新聞にも載ってなかったらしいけど。そんなの書かれたらハリエントさんに協力してもらってその新聞社訴えてもらうけど。弁護士の知り合いって、居てくれると本当に助かるよ。 「ん? ミローネ先生、その子が?」 「え、あぁ、パリス先生。えぇ、この子がピカ・フレイボルト君です」 っと、話してたら一匹のスリーパーの先生が近付いてきてた。どうやらこのスリーパーが、僕を紹介したいってポケモンだったみたいだね。 確か、理科を教えてる先生だったかな。正直、僕ってそんなに授業で発言しないから、体育とかの目立つ授業を教えてくれるブシン先生なんかとしか話したりしないんだよね。 「紹介するわね。この先生は……」 「ミセルちゃんのクラスの担任の先生、かな?」 「あら、知ってたの?」 「いや、タイミング的にここで紹介されるならそうなんじゃないかなって思ったの。どうやら当たったみたいだね」 「あぁ、君が言った通りだよ。私はパリス、ミセルちゃんの担任をやらせてもらっているよ」 はい的中。で、そのミセルちゃんの担任さんがどうしたんだろうね? 「それで、ミセルちゃんの担任の先生が僕にどんな御用で?」 「いや、少し気になったんだよ。最近、ミセルちゃんの雰囲気が変わった事がね」 ミセルちゃんの雰囲気が変わった? どういう事だろ? 特にそういう事は感じなかったけどな。 と言っても、ミセルちゃんと僕達が知り合ったのは一ヶ月前だし、学校での様子は全く知らないしなぁ。 「あの事件の後、あの子は少し明るくなったように思うんだ。少なくとも、他のクラスの子と仲良くするような事は、以前は無かった」 「へぇ……」 確かに、会ってすぐのミセルちゃんは暗い感じだったかな。アリエムさんが亡くなったって言うのもあっただろうし、働きながら学校へ行ってたんだから相当疲れてもいたんだろうな。 おまけに、両親があれじゃあねぇ……塞ぎ込んでても仕方なかったのかも。そうそう、ミセルちゃんのお父さん……だったキュウコンは殺害教唆で逮捕されて、お母さんだったキュウコンも、共犯で逮捕されたそうだよ。自業自得だから何も言えないけどね。 「そこに、君の家に下宿をする事になったと聞いて何か繋がりがあるんじゃないかと思って、少し話を聞かせてもらおうと思ってね」 「さぁ? ミセルちゃんの心境が分かるのかミセルちゃんだけですよ。それでも強いて言うのなら……心の重荷が無くなった、ってところですよ」 「心の……重荷?」 「もう、君はまたそう意味深な事言って」 「詮索しなくても、これからミセルちゃんは明るくなると思うよ。それだけは、断言出来るかな」 僕も母さんも、それを望んでる。ミセルちゃんはずっと沢山の物を我慢してたんだもん、もう……思い切り笑ってもいいよね。 僕の一言に、パリス先生も少し驚いた後に納得してくれたみたい。納得してくれないと、これ以上言える事なんて無いから困っちゃうよ。 「……君は、不思議なピカチュウだね。なんだか、生徒と話しているというよりも、同年代のポケモンと話しているみたいだ」 「本当に、ピカ君と話すと教え子と話してるって感じがしないのよね……」 「ははっ、面白いでしょ? それじゃあ、もう行っちゃって大丈夫かな?」 「そうね、久々の学校で疲れたでしょうし、今日はこれくらいにしましょうか。ありがとう、ピカ君」 「どういたしまして。それじゃあね、ミローネ先生、パリス先生」 先生方に挨拶して、職員室から出た。後は帰るだけ、寄り道したら母さんに何言われるか分からないから、真っすぐ帰らないと。 先生に呼ばれたから皆とは別れてきたし、帰るのは僕だけでかな。別にいつものことなんだけどね。 ---- ん? 学校から出たら、校門のところに見掛けた事のある後ろ姿が……。あれって……。 「セレナちゃん? どうしたのそんなところで」 「あ、ピカ君。もぉ、どうしたのって、ピカ君を待ってたの」 僕を待ってたと来ましたか。またなんでそんな事を? しかもセレナちゃんと僕の家って別方向だしね。 疑問に思ってたら隣にセレナちゃんが来ました。あれ、これ僕がセレナちゃんを送ってく感じ? だよね、これ。 「さ、帰ろ?」 「あ、うん。……久々の外出で少し羽を伸ばした、とか言えばいいかな」 母さんへの言い訳を少し考えて、折角待っててくれたって言うんだからセレナちゃんを送って行くとしようか。 でも、こうしてセレナちゃんと並んで歩いてる自分が不思議だよ。自負出来るくらい地味な筈の僕が、学校のアイドルクラスの人気者と一緒に歩いてるとはね。 まぁ、それを言っちゃうと、普段からバスターと仲が良いのもそうなんだけどさ。牡と牝のトップクラスアイドル達と友達……ある意味、それが僕が目立たない理由なのかも? 「そう言えば……始めてだよね? ピカ君とこうして二匹っきりになる事って」 「それもそうだね。いつも僕の方に誰か居たり、セレナちゃんがアーミと一緒に居たりしてたっけ」 「ね。アーミったら、ピカ君の事になると尻尾まで立てて反応するんだもん。今日は家でお手伝いしなきゃならない事があるって言って先に帰っちゃったけど」 それ聞いて、この一緒に帰るのを計画したんだろうね。じゃないと、多分ここにアーミが加わってただろうし。後で何言われても僕は知らないよ? で、ブイゼル払いまでして僕と一緒に帰ろうとしたその心は? 多少仲良くなったとはいえ、そこまでセレナちゃんと親しくなったとは思えないけど? 「ん? どうかしたの?」 「あぁいや……なんでもないよ」 「……やっぱり、いきなり一緒に帰ろうなんて迷惑だったかな?」 「それは無いけど、少し驚いたかな。こうやってセレナちゃんとゆっくり話した事なんか無かったし」 「それは私もだよ。だってピカ君、私と一緒に居る時って、私の事少し避けてない?」 そりゃあね。だってセレナちゃんと仲良くするって事はイコールで、学校の牡から妬まれる的になる事を意味してるし。 実際今、僕とセレナちゃんの状況を学校の生徒に見られると、相当危険なんだよね。明日には噂として何が広まってるか分かったもんじゃない。と言っても、僕は噂なんて気にしないけどね。 「……あーぁ。嫌になっちゃうよね、人気があるって。こうして友達と話したりするだけで色々噂されちゃうんだもん。私だって、もっと普通に皆とお話したり、こうやって一緒に帰ったりしたいのに」 「それはしょうがないよ。エーフィは元々モデルとかアイドルとかで活躍してるし、セレナちゃんは可愛いしね」 「なんか……その言い方だと、ピカ君はそう思ってないように聞こえるんだけど」 「そう? い……うん、可愛いと思うよ。うん、うん」 「ピカ君、今一応って言おうとしたでしょ」 あはは……苦笑いして誤魔化すしかないや。ってか無駄だよね、エスパータイプであるエーフィに誤魔化しとか。考え読まれたら一発アウトだよ。 「その……ごめん、何て言うか、僕ってそういうの鈍くてさ」 「ふーん。ピカ君の考えが読み難いのってその所為なのかな? まるで波の無い水面を見てるみたい」 「出来ればそういうのはあまり見ないでほしいな。なんか恥ずかしいし」 「大丈夫、私もそんなに見たい訳じゃないから。……本当に恥ずかしいって思ってる?」 「多少ね」 って言うかだから止めて下さいってば。……でも、面白い事聞けたかも。僕の心は読み難いか、覚えておくのも悪くないかな。 しかし、なんかこうして一体一で話してると雰囲気違うねセレナちゃん。いつもはこう、お淑やかって感じなんだけど、ラフな感じって言うのかな? この感じなら話してても肩に力入れなくていいから楽だけど。 なんて思ってたら公園だ。やれやれ、ここから僕の家って地味に遠いんだけどなぁ。なんて野暮な事は、今は言えないよね。 「あ、もう公園だ。はぁ、帰り道って、こんなに早かったっけ」 「そう? 結構歩いたよ、正直」 「そうね……どうする? どうせなら、私の家に寄っていかない? 飲み物くらい出すよ?」 「止めとく。飲み物出してもらってる間に母さんの背中から火が出そうだから」 「あー……ピカ君のお母さん、相当ピカ君の事心配してたみたいだもんね。そっか、ごめんね。病み上がりで私の家まで送ってもらっちゃって」 「今度一緒に帰る時は、その辺を考慮してくれると嬉しいかな」 あれ、なんでそこで驚くのかな? 僕、変な事言った? っと、セレナちゃんの家の前に到着っと。これで僕はお役御免だね。 「あ、えっと……また、一緒に帰ってくれるの?」 「まぁ、時と場合に寄るけどね。友達と一緒に帰るくらい、付き合うよ」 「あはは……牡の子にそう言って貰えたのは、始めてかな。付き合ってとはよく言われるけど」 「そりゃまたダイレクトだね。残念ながら、僕はそういう度胸は無いよ」 「う、ううん。ちゃんと友達って言ってくれたのが嬉しくって。牡でそう言ってくれたのは、バスター君とフラシィ君。そして、ピカ君だけだよ」 他の牡はセレナちゃんを射止めるのに夢中と。ま、この分じゃそれは難しいみたいだけど。まずは友達からなんてよく言うのにねぇ。 僕やバスター達の場合は、セレナちゃんを救出して仲良くなったって経緯もあるし、他の皆とは状況が違うか。そもそも僕、それまでセレナちゃんの名前すらまともに知らなかったしね。 「ま、なんにせよ、今日はここまで。またね、セレナちゃん」 「うん。あ、ちょっと待ってピカ君」 「ん? どうし……」 ふぁ? 帰ろうと思って歩きだそうとしてて、呼び止められて振り返ったんだけど……なんで、すぐ傍にセレナちゃんの顔が? しかも、頬っぺに……触れてる? あれ、これって……えぇ!? 「ちょ、ちょっ!?」 「ふふっ、またね♪」 ……い、今の見られてないよね? だって今のって一歩的にだけど、キスって奴だよね? そんなの見られてたなんて言ったら、とんでもない事になる。明日からの学校で、他の牡の子と死闘とかやだよ僕。 ……い、今の見られてないよね? だって今のって一方的にだけど、キスって奴だよね? そんなの見られてたなんて言ったら、とんでもない事になる。明日からの学校で、他の牡の子と死闘とかやだよ僕。 何も無かったみたいにセレナちゃんは自分の家に入って行っちゃったし……か、帰ろう。本当に、急いで。 ---- ~後書き~ とまぁ、次の話(あるのか?)でピカが急に復帰とかしていてもおかしいなーと思ったので、ピカが学校復帰をしたお話を作ろうと思って出来たお話でした。だんだんピカが(一部に)モテピカチュウになっていくw 好かれるポテンシャルはあった、のか? ともかく、色々手を付けてる作品達もぼちぼち完成させてゆきます。少しでもwikiが活性化してくれれば幸いです! #pcomment IP:180.47.191.102 TIME:"2014-07-12 (土) 18:25:27" REFERER:"http://pokestory.dip.jp/main/index.php?cmd=edit&page=%E3%83%9D%E3%82%B1%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (Windows NT 6.1; Trident/7.0; rv:11.0) like Gecko"