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プテラズアイズ 1 の変更点


『剣術を磨きあげろ…。
私はもう動けない…。
私はお前にすべてを託そう。
表だけで物事を判断するな!
そして皆を守るんだ!!』


 俺が4歳の時に父が最期に残した言葉だ。俺は弱くてみんなに守られ、常に誰かの足を引っ張ってきた…。悔しい…。悔しいのだ!いつか父を倒した犯人を見つけてやる!あの世で見ていてくれ…父さん…。


ここは平和な町『ロック・タワー』だ。高さは30mもあり、その中では岩ポケモン達がルームシェアをしている。その周りには半径500mの緑一面の大草原が広がっており、水飲み場や雑貨屋がある。モダンとクラシックが混じっている…そんな風景だ。なんて綺麗な街なんだ。俺は幸せものだな。

おっと申し遅れたな。俺の名前は『スーレイ』!ロック・タワーに住んでいる雄のプテラだ。でも俺は普通のプテラと違うんだ。普通のプテラの目は黒と緑が混じったような色なんだけど俺の瞳は赤いし、体も少し小さいんだ。歳は18で趣味は剣術修行!え?恐竜が剣を使えるのかだって?恐竜だからってなめんなよ!こう見えても剣術4段はもっているぜ!皆は2段が限界って言っているけど俺にとってはそうでもない。…剣術以外は何もできず、みんなによく馬鹿にされるが…。
今は両親もいなくて10歳の弟プテラ『ケイ』と一緒に暮らしている。『ケイ』は俺と良く似て目も赤色だ。可愛くて優しい…俺にとって大切な存在だ。

さてとコーヒーでも飲むか…

ロック・タワーの一階はロビーとレストランとなっている。二階からホテルのように一つ一つの部屋となっている。俺の部屋は505号室だ。

…いつもは弟と一緒に食べるんだが…今日はいないようだ。

一階に誰かがきた。

「あっ、お兄ちゃんだ!おはよう!今日で10歳になったよ♪もう一人でも大丈夫だから!僕『アクア・パレス』に行ってくるよ!」

俺を見つけた弟が元気そうに話してくる。シャイな俺は顔を赤くし笑顔で弟に返事を返す。

「おめでとう。でも…あまり一人でうろちょろするなよ。夕方の五時までにはロック・タワーの705号室に戻ってこいよ」

弟は705号室に住んでいる。兄弟なのに部屋が違うってなんか嫌だよな~。俺は弟に剣術を教えたり、ゲームで遊んだりしたいのに。

俺がそう言うと弟は勢いよく部屋を出た。

今まだ朝の8時だっていうのにあいつは元気だな~。しかもちゃんと705号室に帰ってこられるのか?心配だな~。でも…あいつはもう10歳になったんだ。大丈夫だろう。
さてと俺は飯も食ったことだし、剣術の特訓でもしてくるか~。こんな平和な毎日でもいつ争いが起きるか分からないからな。

俺は自慢の『レッド・ウィング』という剣を手に取った。『レッド・ウィング』とは数少ない父からの贈り物の一つだ。その剣には赤い羽のような紋章がついており、先は鋭く、丈夫で片手で軽々と持ち上げることができる…非常に戦いに優れた剣だ。しかし、俺は今までにこの剣を他の店で見たことがない…。この剣…まさかの不良品?…いやいや!他国でも活躍していた父さんがこんなものを俺に渡すはずがない。
そんなことを思いながら俺は眠たそうにあくびをしながら外へ出た。

「さてと集中するか…」

俺は赤い瞳を閉じた。そして頭の中で相手の動きをイメージし、風を斬るような勢いで無我夢中に剣を振り回した。


「おつかれさ~ん!いつも頑張っているね!スーレイの剣術何回見ても感動するよ!」

こいつはロック・タワー605号室のアーケオス。こいつも実は数少ない剣術4段の持ち主の一人なんだ。いつも俺をてがってくるけれど、こいつとは竹馬の友であり、良きライバルでもある。…HPが少なくなると弱気になるけどね。

「スーレイは相変わらずオリジナルの剣の構えで特訓しているんだね。その変態構え…僕は好きだよ!」

「誰が変態構えだ!これは父さんに教わった構えなんだ。アーケオス、お前の剣の構えはどこで習ったんだ?」

「僕はドサイドン先生から教えてもらった『岩派』の構えで特訓しているよ」

剣の構えすなわち『流派』は種族やタイプによっていろいろ異なる。ドラゴンタイプから教えてもらう『竜派』や毒タイプから教えてもらう『毒派』、そして氷タイプから教えてもらう『氷派』などたくさんあるのだ。でも俺は『岩派』でも『空派』でもない、名無しの流派である。普通はちゃんと流派があるのに何で俺にはないんだろう?これは父から教わった構えなのに…。

「ドサイドン先生か…。あの『5段』で有名な…。一度会って戦ってみたいな~。どこにいるの?」

「今は『ドラゴン・タウン』にいるよ。先生岩タイプだけどいろんなところでみんなに剣術を教えているからね~。でも絶対勝てないと思うよ?僕は先生と何回か戦ったことがあるけど1回も勝ったことがないんだよ~。僕が勝てないのにスーレイが勝てるわけないでしょ~?…まあ、倒したら『5段』もらえるのはうれしいけどさ~。ありゃ、もうこんな時間だ!じゃあ僕は用事があるからまたね~」

俺は笑顔で手を振りながらアーケオスを見送った。

「よし、ドサイドン先生を目標に頑張るか!」

俺は大きな独り言を言い、剣と共に舞い上がった。


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正午となった。俺は汗だくで草原で倒れ込んでいた。俺は何も考えずに体を伸ばし、リラックスする。すると当然大きな影が俺を覆う。

「そんなところで寝ていると風邪ひきますよ~♪」

「わあ!?びっくりした~」

ったく…。俺、せっかく一人でリラックスしていたのに…。…って、あんた誰?

「…その様子だと私のことはあまりご存知ではなさそうですね?」

「…」

俺は何も言い返せなかった。彼女は…自分と同じ『プテラ』だった。体がピンク色で翼は青く、容貌は非常に美しい。俺はしばらく彼女の美しさに見とれていた。

「ど~したの?私のことジロジロ見て?」

「!?いや、何でもないよ!」

『あなたに一目惚れしました~』な~んてこと言えるわけないよね。俺はトマトのように赤くなった顔を手で隠し、自分の剣をいじり始めた。

「ふふ~ん。さては私の美しさにクギ付けになったんでしょうね~?」

「ふ、ふざけるな!た、ただ自分と同じ『プテラ』だったからびっくりしただけだ!!」

赤くなっていた顔がさらに赤くなった。俺は必死に彼女に言い訳を言う。ここで『はい、そうです』というわけにはいかなかった。それはおそらく俺の中のプライドのせいだ。雌なんかに負けたくない。そういう気持ちがきっとどこかにあるのだ。

「そうなの?まあいいや。それはさておきあなた剣士ね?私も剣士なの!私の言いたいこと…分かるでしょう?」

彼女は華麗に自分の剣を抜き、鋭い剣先を俺に向ける。彼女の顔は自信で満ち溢れている…。彼女は俺と戦う気満々なのだ。
やべぇ…俺緊張してきた…。
でも、ここで勝負を断ることなんか雄としてみっともない。しかたねぇ…

「分かった…。剣での勝負だな…。その勝負受けて立つぞ!」

「いい声ね…。期待しているわよ。プテラ君♪」

壮大な緑の上に剣を構える2人…。そして静かな風が二人をたなびかせる…。まるで日本の武士どうしの名誉をかけた争いのようだ。

「では…、俺からいくぞ!うりゃー!」

俺は勢い良く彼女に突進し、剣を力いっぱいに振り落とした。
相手は所詮、女だ…。俺が負けるわけがない。

しかし…そう甘くはなかった…

「!?」

ガキン!という激しい金属音が鳴り響いた。彼女は余裕な顔で俺を見つめる。俺の攻撃を軽々と受け止めたのだ。
俺、4段持っているのに…!?軽々受け止められるなんて!くそ~!

「あなたなかなかいい攻撃してくるわね。でもまだまだね~♪」

彼女はそう言うと素早く俺から離れた。そして彼女は攻撃体制に入った。
あの構えは…『空派』か!くっ!『空派』とは戦ったことねぇ!!

どんな攻撃をしてくるんだろうと思っていると、彼女はいきなり俺に突進してきた。
しかも俺よりも速いスピードで…

速い!来るぞ!
そう思って剣を受ける態勢に入った。しかし、自分の剣で自分の視界を隠してしまった!

その刹那、彼女はその場から姿を消した。

「!?!?」

あまりの素早さに俺は言葉を失なった。
どこに消えたんだ!?あんな短時間に消えるはずがない!くそっ!全く分かんねー!

俺は前180度あたりを見渡した。それでも彼女はいない!
剣を力強く握った。そのとき、

「はあ~い!私の勝ちね♪」

「な!?なに!?」

いつの間にか俺の背後に彼女がいた。そして俺の後ろ首には剣先が向けられている。
金属の冷たさが体全体に感じた。
ものすごい殺気を感じる…。
俺は草原に膝をついた。

つ…強い!?こいつ…何もんだ!?

「…参ったよ…。降参だよ…」

俺はそう言うと彼女は嬉しそうに剣をしまった。

「ふふ…。びっくりしたでしょ~?私ね~剣術『5段』持っているのよ~♪」

「!?」

これが4段と5段の違い…!?
俺は4段と5段の間に分厚い壁があることを実感した。

「あなた弱いのね~。強くてかっこいい雄だと思ったのに……期待した私がバカだったわ。はあ…強い雄はいないのかしら…。ふふ…でも暇つぶしにはなったわ。じゃあね、プテラ君♪」

彼女は冷たい風と共に去っていった。
俺は彼女の強さと美しさに心を奪われてしまった。
俺は静かに目を閉じ、周りの風を感じた…。

俺は…まだまだ弱い…。こんなことじゃ大切な仲間を守りきれない…。この借りはいつか絶対に返す!俺は…あいつ以上に強くなる!!!

俺は悔し涙を流しながら剣と共に一夜を過ごした。


朝日が昇ってきた。周りの草原も朝日と同じような色となり、何だか寂しさを感じる。
それにしてももうクタクタだ…。505号室に戻って昼ぐらいまで寝よう…。
俺は体中の努力の汗と共にロック・タワーに帰った。



「ずが~!んご~!ん…はっ!?」

どうやら俺は大きないびきをたてて寝ていたようだ。
おっさんか?俺は?

そう思いつつも俺は目をこすり、顔を洗った。俺は剣を手に取り、鏡の前に立った。
そして自分の顔をみた。

「…今日は昨日の特訓の応用をしよう」

俺は机に座り、引き出しをあさり一冊の分厚い本を取り出した。
何だかカビ臭くて、ボロボロだ…。でもこれも父の数少ない贈り物のひとつなのだ。
18年経って一回も開けたことない。だってこの本すごく臭いんだもん!
けど…開けてみるか!…おお?しおりが挟まっているぞ?

俺はしおりが挟まったページを開けてみた。
すると俺は目を疑った!

「こっ、これは…!?」


~~“紅赫眼プテラ族”1985年3月に『キラーズ』によって滅びた。このプテラ族は世界で10匹しか存在しないのだ。彼らのことはあまり良く分かっていない…。ただ分かることは2つある。一つは剣術では『流派』をもたないことだ。……~~


「キラーズ!?そいつが…父さんを殺したのか?…続きを読んでみよう…」


~~二つ目は本気になると体の色が眼の色と同じように赤く染まる。……~~


「!?本気になると体が赤く染まる!?なにいってんのこの本?馬鹿らしいな~」 

そう言いつつも本を読むのを再開した。

~~“紅赫眼プテラ族”は滅びたと言われているが私はそうとは思えない…。なぜなら死体は7つ見つかっており、残りの3つは不明であるからだ。……~~


「!?残りの3匹って!まさか……二匹は俺と弟のこと?あと一人は…誰だろう?」

俺は本を閉じた。
やっぱりこの本はただの小説や神話だな~。俺本気で怒ったことあるけど体が赤く染まったことなんか一度もないしね~。『流派』をもたないのと目が赤いのは一致しているけど単なる偶然だ♪

そう思うと再び鏡で自分の顔を見た…。

でも……なんで俺は眼が赤いんだろ?
いや、そんなことより剣の修行しないとな!

俺はあの悔しさを思い出した…

勢いよく外へ出た。
そして剣先を空に向ける…。
目を閉じ集中する。

「うりゃあー!!!」

いつも以上気合を入れて必死で剣を振り続けた。



………1週間がたった……。

「よし、今日はドサイドン先生のところにいって修行の成果を発揮してみよう」

俺は剣を背中に背負い勢い良くドサイドン先生のいる『ドラゴン・タウン』へ飛び立った。

はあ…はあ…思ったよりも遠かったな…。

一時間ほどでドラゴン・タウンに到着した。ドラゴン・タウンはロック・タワーと異なっていて、不思議な機械がたくさんあった。自然がなく人工物しかない…そんな風景だ。
おっとそんなことよりも先生を探さないとな~。

10分ぐらい歩くと『ドラゴン・フーズ』という名前の飲食店を見つけた。
見た感じそこの店は一階だけしかなくて、あまり広くはなさそうだ…。

ぎゅる~……
ああ…お腹が鳴っちゃったよ~。
お腹も減ってきたし~ここで満喫しながら、先生の場所を聞こう。

俺はガラス張りのドアを開けて中へ入っていった。

「いらっしゃいませ~」

エプロンを着たカイリュウが俺に会釈してきた。
俺も軽く会釈しカウンターに座りメニューを開けた。

ふほ~!結構美味しそうなもんあるじゃん!
全部食いて~!でもお金あんまないから二つだけメニューを注文しよう。

俺はビーフシチューとハンバーグを頼んだ。

「はい、おまちどうさま」

「ありがとう、美味しそうだね♪」

俺はシチューとハンバーグを思いっきり口に放り込み、無我夢中でガツガツ食べた。
親に早食いやめろと言われたけど、ごめんなさい。腹ペコなんです!


「ふふ、よっぽどお腹が減っていたのですね~。すみませんがどこ出身ですか~?」

「りょっくばばーふゅっしんふぇっす(ロック・タワー出身です)」

「?なんといったんですか?」

やっぱり口の中に食べ物を突っ込んだ状態だったらわかんないか~。しょうがない。

俺は水をごくごく飲んで言い直した。

「ロック・タワー出身です」

「!?ロック・タワーですか…」


どうしたんだろう?このカイリュー、ロック・タワー出身と言っただけでびっくりしているようだ。
するとカイリューは話を再開した。

「ふふ…、たしか大草原と大きな岩の風景が綺麗で有名ですよね~?」

「そうなんだよ~!俺もあの景色気に入っていてね~。いつも気持ちい風を浴びながら眺めているんだよ。あ、そんなことよりドサイドン先生ってどこにいるか知らない~?」


「ドサイドン先生ですか~。知っていますよ!確かこの近くに『剣術道場』という建物がありますよ」

「『剣術道場』ですか~。ありがとうございます!」

俺はメニューを完食すると、カイリュウに頭を下げて『ドラゴン・フーズ』を出ようとした。すると…

「ちょっと待ってください。あなた…名前は何ですか?」

「俺の名前?『スーレイ』だよ♪」

「!?…スーレイ…さん…!?」

さっきからこのカイリューびっくりしすぎだよ。変な人だな~♪
そう思っているとカイリューは安心した表情でこういった。

「スーレイさん、確か剣術を磨いているんですよね?」

「え~!?なんで知っているの?」

「あなたのことは結構有名なんですよ♪名も無い流派で剣の腕がすごいって!ドラゴン・タウンではあなたのファンがたくさんいるのですよ!わたしもスーレイさんのファンの一人なんです!」

へへ…俺ってそんなに有名なのか!?なんか照れるな~。さすが俺だ!剣術はNo.1ですよ!…な~んちって。嘘ついてごめんなさい♪

「家族とかもいらっしゃるのですか~?」

興奮したように聞く。よっぽど俺にあえて嬉しいのだろう。

「今は弟しかいませんよ」

「弟いるんですか!?きゃ~見てみたいですわ♪きっと兄弟に似ていて強いんでしょうね~♪」

「そうなんだ!弟も俺に似て強いんだぜ~♪」


……いつの間にか30分も経ってしまった。
もうそろそろ行かなければ。


「じゃあ、もうそろそろいくね~。今後も頑張るから応援してね~!」

俺はそう言って、気持ちよくドラゴン・フーズを出た。

何だかとても清々しいな~。それにしてもあのカイリュー…可愛かったな~。
俺のファンか…。ムヒヒ…。

俺何考えてんだろ?変な妄想してニヤニヤとしているなんて気持ち悪いよな?

そんなことを思いながら『剣術道場』を探し回った。

う~ん、たぶんこのあたりにあると思うんだけどな~。

俺はキョロキョロと周りを見ながら『剣術道場』という文字を探した。

そしてついに…!?

「あったー!見つけたぞ!!」

剣術道場を見つけた。
俺は戦える喜びを感じながら道場に突進した。


「すみませ~ん!ドサイドン先生いますか?」

入って見ると、中は自分が思っていたよりもはるかに大きく、床はツルツルで壁は硬い木のようなもので覆われていた。

なんか…緊張してきたな…。
そう思っていると誰かの声が聞こえた。

「ふふ…お前が噂のスーレイか?」

不気味な声で俺の前に姿を現した。体長が1.8mほどもある。俺よりも確実にでかい。目には刀で切られた傷跡のようなものがついており、体中はゴツゴツした青い皮膚で覆われている。
こいつ…何者だ…?

「俺様は全国剣術大会でも優勝を2回も果たしたクリムガンだ。悪いが先生は倉庫に閉じ込めているよ。邪魔だからな…」

…?何が言いたいんだ?先生が邪魔とか意味がわからん!
!?ま、まさか…こいつ…!?

「会いたかったぜ…。赤い目を持つプテラ…これで8人目だ!!」

「!?」


俺はあの本のことを思い出した。
心臓が破裂しそうだ!こいつ…俺を殺すつもりだ!しかもただもんじゃねー!
ものすごいオーラを感じるぞ!!

「お前…『キラーズ』の一人なのか!?」

「ほう…知っているのか…。なら話が早い…。俺様は『キラーズ』の一人だ!」

やっぱり!そうか…こいつが父さんを!?

「俺様は『キラーズ』の中でも4番目に強いと言われている…。さらに俺様は剣術『6段』を持っている…。先生は弱かったよ。あ~まじ弱かった♪ア~ハッハッハ!」

笑いながらクリムガンは言う。俺は今、こいつの恐ろしさのあまりふるえ上がっている…。5段の雌プテラに負けたのにこいつはさらに上のランクの6段だ!6段ならどんな大会でも優勝してもおかしくないレベルだ。それに比べて俺は小さな大会でも優勝したことは一度もない。

「さて…そろそろ血祭りの時間といきますか…。ふふふ…」

不気味に笑うクリムガン。
クリムガンは道場の中央の近く行き、太くて重そうな大剣を振り回した。そして軽々と片手で大剣を持ち上げ、剣先を俺に向ける。

「覚悟はいいか?」

ものすごい殺気だ。

俺は震えながら剣を構える。しかし心の中では逃げたい気持ちでいっぱいだった。
クリムガンは俺が剣を抜いても余裕たっぷりな顔をしている。
…ダメだ……逃げないと…殺される…。

ついに俺は耐えられなくなりその場から逃げようとした。
するといきなりクリムガンが大剣で床を叩いた。ものすごい砂嵐が舞い上がった。おそらく第三者から見ると何が起こっているのかよくわからないだろう。

何も見えない…!!これじゃ…逃げようがない!

……努力したのに結局はすべて水の泡となるのか!?俺はこいつに殺される運命なのか!?ちくしょーー!!!


「これで終わりだー!!」

クリムガンはそう言いながら大剣を俺の背後からおもいっきり振った。

あのプテラよりも速いスピードで相手の後ろに回り込み、剣を振る!!

「!!!!!」

どか~んと爆発するような音が鳴り響いた…。クリムガンがものすごい力で大剣を振り下ろしたのだ!
床がめり込んでいる…。攻撃力は半端ないようだ!

これではスーレイが……




砂煙がゆっくりと引いていった。


「ふ~すっきりした~♪赤プテラ刈りは面白いな~」

そしてクリムガンは満足げにめり込んだ床を見下ろした。


そこには……悲鳴を上げる前に殺されたスーレイがいた……



…………



「はあ~今日も疲れた♪今日はスーレイの部屋に遊びに行こ~と♪」
僕は剣術特訓を終えると605号室に戻ってシャワーを浴びた。岩タイプだけどシャワーは大好きだよ!あっ、自己紹介まだだったね!へ?僕のこと知ってる?あ~そうか!最初の方で出てきたよね♪僕、アーケオス!プテラのスーレイとは竹馬の友で、ライバルでもあるんだ~。

僕は505号室のドアの前で立ち止まった。

ピーンポーン!…呼び鈴を鳴らしても彼は出てこない…。なんで?スーレイの弟の『ケイ』君も最近見かけないし…。どうしたんだろ?しょうがない。力ずくで開けるか!

僕は自慢の石頭でおもいっきり力をいれドアに頭突きした。

しかしスーレイの姿はない…。
僕はあたりを見渡した。
すると机の上にあるカビ臭くて分厚い本を見つけた。
その本にはしおりが挟んでいる。僕はそこを開けて読んでみた。

これは!?……なるほど……そうなんだ……

僕は本を閉じた。
スーレイは“紅赫眼プテラ族”のうちの一人なんだ…。そして仲間も少ないんだね。
そんなことよりスーレイを探さなくちゃね。う~ん、どこに行ったんだろう?

あ、そういえば!


~~~~~~~~~~

「スーレイは相変わらずオリジナルの剣の構えで特訓しているんだね。その変態構え…僕は好きだよ!」

「誰が変態構えだ!これは父さんに教わった構えなんだ。アーケオス、お前の剣の構えはどこで習ったんだ?」

「僕はドサイドン先生から教えてもらった『岩派』の構えで特訓しているよ」

剣の構えすなわち『流派』は種族やタイプによっていろいろ異なる。ドラゴンタイプから教えてもらう『竜派』や毒タイプから教えてもらう『毒派』、そして氷タイプから教えてもらう『氷派』などたくさんあるのだ。でも俺は『岩派』でも『空派』でもない、名無しの流派である。普通はちゃんと流派があるのに何で俺にはないんだろう?これは父から教わった構えなのに…。

「ドサイドン先生か…。あの『5段』で有名な…。一度会って戦ってみたいな~。どこにいるの?」

「今は『ドラゴン・タウン』にいるよ。先生岩タイプだけどいろんなところでみんなに剣術を教えているからね~。でも絶対勝てないと思うよ?僕は先生と何回か戦ったことがあるけど1回も勝ったことがないんだよ~。僕が勝てないのにスーレイが勝てるわけないでしょ~?…まあ、倒したら『5段』もらえるのはうれしいけどさ~。ありゃ、もうこんな時間だ!じゃあ僕は用事があるからまたね~」

~~~~~~~~~~


…そうだ…『ドラゴン・タウン』にいって先生と修行しているんだ!
スーレイは剣修行に夢中になると一週間家に帰ってこないこともあるからね~。

よし、ドサイドン先生のところにいってみよう!

僕は勢いよくロック・タワーをでて、ドラゴン・タウンへ向かった。


「はあはあ…やっとついたぞ…」
僕はドラゴン・タウンに到着した。そしていつもの道場に行こうとした。

しかしその道場はなかった…。
代わりにそこには変な建物が建っていた。その建物は巨大で青色で外から中を見ることはできない。とりあえず、中に入って聞いてみよう。

僕は入口から入っていった。

ふ~ん、中は意外と明るく綺麗なんだな~。

そんなこと思っているとガチンッという音と共にドアが勝手に閉められた。
僕は気にせず奥へ進んだ。
5分ほど奥に進んでいくと何かの受付があった。

よし、あの受付の人に聞いてみよう!

「すみませ~ん、剣術道場ってどこですか?僕10日に一回道場で修行しているんですけど…そしたら道場が潰されていたんだ。その代わりにこの建物が建てられていたので…。ひょっとしてここが道場になったのですか?」

「はい、もちろん、そうですよ♪」

ニッコリと笑顔で受付の人は答えた。その受付人は顔が赤く、体は青い頑丈な皮膚で覆われている。受付人は“ク リ ム ガ ン”だ。

優しそうな人だな~♪
よし、本題に入ろう!

「クリムガンさん、この道場にドサイドン先生はいらっしゃいませんか?あとプテラを見かけませんでしたか?」

「!?」

クリムガンは何故かびっくりした顔をしている。どうしたんだろ~?

クリムガンの顔が優しい表情に戻った。

「先生でしたらこのビルの5階にいらっしゃいますよ。ふふ…あなたはプテラさんの友達なのですか?」

「そ~だよ♪プテラとは竹馬の友なんですよ~!」

「竹馬の友…ですか…。もしや…プテラさんに特別な名前のようなものはありませんか?」

「名前か~。あるよ!『スーレイ』って言うんだ!とっても優しくてかっこいいんだ~」

「す、『スーレイ』…さん…ですか…」


「んん?どうしたの?」

「いや…なんでもありませんよ♪スーレイさんなら4階にいます。それではこのエレベーターで4階へいってください…。へへ…」

?今クリムガンがかすかに笑ったような…?

そう思いつつも僕はエレベーターに乗り、『4』という数字を押した。ウィ~ンという音と共にエレベーターのドアが閉じる。


ピンポーン!4階に到着した。

よし、スーレイ待っていろよ!

エレベーターのドアが開いた。
すると中は…真っ暗…。おかし~な~?

「おーい!スーレイいる!?アーケオスだよ!?」

……返事はない…。そのかわり変な声が聞こえた。
「んん!…んん!ん…!!…」

誰だろう?僕は暗闇のなかを、手探りで進みながら声のする方へいった。
すると驚くことが起こっていた!

「せ、先生!?」

「んん!…ん!!…ん!」

そこには丈夫なロープで締め付けられ、口にはタオルで口封じされているドサイドン先生がいた。

僕は慌てて先生の口を塞いでいる白いタオルをとってあげた。
すると先生は必死で僕に言った!!

「あ、あいつが来るぞ!急いでここから逃げろー!!」

「え!?あいつって誰なの先生!?」


遠くから声が聞こえた。


「ふふ…。それは…俺様のことかな?」

ぴか!っとたくさんの白いライトが天井から照らされた…。
すると、僕は声がした方を見た。


「え…!?なんで!?どうしてクリムガンさんが…ここにいるの?」

「アーケオス!分からんのか!あいつは…赤い目のプテラを殺しまくっている『キラーズ』のうちの一人だ!!!!」

先生は必死で言った!

「ええー!!そんな…あの優しそうなクリムガンさんが…『キラーズ』だなんて…」

クリムガンは不気味に笑いながら言った。

「ふふ…。その通り…俺様は『キラーズ』の一人だ…。俺様は全国剣術大会でも優勝を2回も果たしているし、剣術6段も持っている…。悪いが『紅赫眼プテラ族』に関係している者は消すように言われているんでねぇ…」

「!?」

僕はあまりの怖さに言葉を失った…。でも、なんとかしないと…殺される!!

「お、お前―!ぼ、僕を騙したなー!!スーレイはどこだ!!」

「スーレイ!?ああ…あいつね~。そいつなら『こ ろ し た よ』…」

「!?!?!!そ、そんなことありえるもんかー!!!!」

僕は必死でクリムガンの言葉を否定する。
その僕の様子を見てクリムガンは嬉しそうな顔をして言う。

「ふふ…本当だよ…。この俺様の大剣で殺したんだ♪」

「!?!!」

不気味に笑うクリムガン。
クリムガンはこのフロアの中央に行き、太くて重そうな大剣を振り回した。
その剣先には…誰かの血がついている!

!?まさか!?本当なのか!?スーレイ!?

「ふふ…見えるか?ここに血がたっぷりついているだろ?そう…あいつの血だ!ふふ…あいつが死んだとき…体には大きな切れ目ができていて、口には大量のトマトケチャップを吐き出していたよ♪」

「う…嘘だ…」

絶望的だ…。スーレイ…僕…どうしたらいいの…。

そんな僕の感情を無視し、クリムガンは軽々と片手でその大剣を持ち上げ、赤く染まった剣先を僕に向けた。

「皆殺しだ…」

ものすごい殺気を感じる。逃げないと…殺される!!でも…足が…動かない…

「お前もドサイドンも皆…殺してやろう…。まずはお前からだ…アーケオス…。スーレイが死んだときのようにお前も血まみれになってもらうぞ…。あいつと同じ方法で殺してやる…。2人仲良く地獄へ行くんだな!!!」

するといきなりクリムガンが大剣で床を叩いた。砂煙が舞い上がり、周りは真っ白になった。

くっ…何も見えない…!!
……ごめん……スーレイ…僕ダメだよ…本当に…ごめん……

僕は悔し涙を流しながら地面に膝をついた…

「これで終わりだー!死ねー!」

クリムガンはそう言いながら大剣を僕の背後からおもいっきり振った。

「アーケオス逃げるんだ!!」

先生は必死で叫んだ!

「もうダメだー!!逃げきれないよー!!!」

そう……もう手遅れなのだ……
僕たちに勝ち目はない……


ガキーン!という岩を切るような音が鳴り響いた。クリムガンが剣を振り下ろしたのだ。

これで石頭のアーケオスも戦闘不能であろう…。


「ふ~すっきりした~♪アーケオス刈りも面白いな~♪てかアーケオスの頭ってかたいんだな~♪でも粉々にしてやったぜ!!あーはっはっはっは!!」




…………




「「誰がアーケオス刈りが楽しいだって?」」


「!?何!?誰だ!?お前は!!」

クリムガンは焦ったように言う。

砂煙がゆっくりと引いていった。
すると…驚くことが起こっていた。

大剣を振り下ろしたはずなのに……アーケオスの前で止まっている!!

そう……誰かがクリムガンの強烈な大剣振りを受け止めたのだ!!

完全に砂埃が消える…するとそこには……

「な……!なぜだー!!お前は……死んだはず!?!」

「ふん…甘いな…。これはな…俺の作戦だったんだよ!」

「!?!」



へへ…待たせたな……。俺だ……『スーレイ』だ。こんなところで俺はくたばらないぜ?なんたって俺には大切な人がいるからな。しかもこの物語の主人公は俺だぞ♪ん?死んだふりするなだって?わりぃ~わりぃ~!てっことで主人公は俺に戻してもらうよ。アーケオス、ご苦労さん♪

……あとは……俺に任せろ!!!!


「スーレイ!!やっぱり生きていると思ったよー!!」

アーケオスは嬉しそうに言う。先生は嬉し涙を流しているようだ。
ったく皆大げさだな…。

ガキンという金属音を鳴らし、俺はクリムガンの大剣を払い、その場から離れた。

「……まあいい。どうせ俺は…お前よりも強いのだからな!!今すぐにでも血祭りに上げてやる!そして今度こそ皆殺しだー!!!あーはっはっはっは!!」

ふざけるな……

俺の体が赤色に染まった…。そして『レッド・ウィング』も俺の瞳も赤色となった。
すべてが一つになったのだ。

俺はクリムガンに鋭い百熱の眼差しを向ける。そして無表情で迅速で剣を振り回しクリムガンに剣先を向ける。

「!?そ、その構えは!?なんだ!!??」

「…さあな…」

俺は冷たく返事を返す。そして瞳を閉じ気持ちを集中させた…。


「!!…そ、そんなことしても、無駄だ!!ゆくぞ!今度こそ死ねー!!」

クリムガンはものすごい勢いで突っ込んでくる!そして大剣を力いっぱいに振り下ろした。俺を真っ二つに切断するような勢いで!!

だがな…甘いぜ!

「フン!」

「!?は、速い!?!」

俺は目をカッ!と開け、クリムガンの攻撃を軽々とかわした。

「ま、まだまだだー!!!これでも喰らえ!!!」

今度は大剣を横ぶりに振った。俺は足に力をいれて地面を蹴り、クリムガンの攻撃をかわした。

「遅い!」

「な、何!?」

俺は空中に舞い、冷たい眼差しでクリムガンを見下ろす。そして空中で剣を構えて再び目を閉じた。

「いい加減に攻撃してこいよ!クソ野郎!!」

クリムガンも負けずに地面を蹴り、空中にいる俺を下から上に向かって斬ろうとした。


空中で2人が静止する…。
今は二人共空中にいるのだ。これは逃げ場がないことを示している。さすがの飛行タイプでも簡単には方向を変えて飛ぶことはできないのだ。でも今の俺にはそんなことはどうでもいい。なぜなら負ける気が一切しないからだ!!




「死ねー!クソプテラ!!!」


「本気でいくぞ!!!」





  『勝負だ!!!!!!!!』





カキカキカキーン!っという音がこの部屋全体に鳴り響いた…



「う…」

俺は胸を斬られてしまった。傷口から俺の目と同じような赤色の液体が出てきた。
でも…縫えば大丈夫だ…。傷口は浅い…。
俺はその場で膝をついた…。ちっ!さすがは6段だな…。


俺は背後にいるクリムガンの方を見た…。


「ギャハハハハ!!やっぱり俺の方が強いんだな!!」



…俺はニヤリと微笑んだ…。



「お前…もう無理をするな……。お前の背中は……ズタズタだろう?」


「!?…くっ、くそー!!ちくしょー!痛えよー!!俺が…俺がこんなところでくたばるわけが……うぐ……」

バタン!…そう叫びながらクリムガンは地面に倒れた。クリムガンは俺が攻撃した痛みを認めたくなかったのだろう…。


「お前のような奴に…負けるわけにはいかなかった…。許せ…」


俺は倒れているクリムガンにそう言った。
すると俺は普通の灰色の体に戻った。


「スーレイ!やったね!」

アーケオスが目を輝かせながら言う。やれやれこいつも相変わらず俺の足引っ張りやがって…。まあ、なにわともあれ無事でよかった…。


3人はスーレイの部屋に戻った……


一週間後…2人はスーレイの部屋にいた。


「イタタ…。って!ふざけるな~!もっと優しく包帯巻けよ!石頭!!」

俺はアーケオスに言った。

「動いちゃだめだよ~!傷口が開いちゃうよ?ほら?」

「!?うぎゃああああ!触るなー!!バカ野郎!!!」

傷口が開いた…。しょうがない…。もう少し体を休めるか…。

「ところでアーケオス?先生は無事なのか?」

「うん!昔と同じようにいろいろなところにいって子供達に剣術を教えているよ♪」

「そうか!それはよかった~!」

「あ、そうそう!これ…先生からの贈り物だって!」

アーケオスは白い封筒を俺に差し上げた。
その封筒は少し大きめで宛先に『スーレイ様』とかかれている。

ちぇ…ラブレターじゃないのか。つまんないの~。

俺はつまらなさそうな顔をして封筒を開けてみた。
すると中には一枚の硬い紙切れが入っていた。

「これは…剣術試験の表彰状だ!!」

「うそ~!僕に貸して!読んであげるよ!え~と…『スーレイ殿。お主の剣術は見事であった。よって6段を賞する。』…って!ええ~!!すごいよ~!!6段なんてこの辺じゃ誰もいないよ!」

6段か…。やっと父さんに追いついたぜ…。そして先生…ありがとう。てか5段持ってないのにいいのかな~?…まあ…いいか!!気にしな~い、気にしな~い♪これは俺の実力だ♪

「スーレイ?ところでさあ~聞きたいことあるんだけど?」

「ん、なんだ?」

「クリムガンとの対決の時…、クリムガンは『お前を殺した』って言っていたよね?しかも大剣の先には血もついてたし…。どうやって死んだふりをしたの?理由も聞きたいな~♪」

「ああ、あれね…。長くなるけど…話すか…。あの時ね、アーケオスと同じように背後から攻撃してきただろう?煙で周りを見えないようにされた時は『やばい…』て思ったんだけど、とっさに思いついたんだ。これは『チャンス』だとね。煙で隠れて見えないのは俺だけじゃない!相手もなんだ!おそらく相手は陰で俺の位置を把握したんだろう。でもそこには大きな弱点があったんだ。陰は見えるけど“俺自身は見えない”のだと気がついたんだ。俺は剣で自分の腹を切った。そしてその血を口に含んだ。俺はその場から少し離れてクリムガンの攻撃をかわしたんだ。その時に、床がめり込んだところに口いっぱいにふくんだ俺の血を吐き出したんだ!床もめり込んでいるし大剣も刺さっていたから、簡単に相手の大剣に血がついたよ!そしてあとはそのめり込んだ穴に入って死んだふりをしたんだ♪」

「ええ~!!そんな短い時間によく思いついたね!」

「実はな…お前がいないとき、同じ『プテラ』と戦ったんだ。そいつと戦うとき、俺は自分で自分の視界を隠してしまってさ~。どこに消えたんだと前のほうばかり見ていると後ろから攻撃してきたんだよ。クリムガンと戦うときにこのことを思い出したんだ♪『相手を見失う』といった同じような状況だったからね~」

「そんなことがあったんだ~!!」

アーケオスは非常にびっくりしているようだ。そりゃそうだろな。自分で自分の腹は切るやつなんていないよな♪

「死んだふりをしたのは逆に『キラーズ』のことを調べるチャンスだと思ったんだ。俺はクリムガンの後をこっそりとつけてきて情報収集をしてきたよ♪」

「そんなことまでしてきたの!?僕、あまりの凄さに何も言えないよ!」

俺は笑顔で返事を返した。

ところが何故かアーケオスが不思議そうな顔をしている。どうしたんだろう?

「なあ?アーケオス、どうしたんだ?」

「いや~、ただね…僕、ちょっと引っかかるんだ…。」

?引っかかる?どういうことだ?

アーケオスは続けて言う。

「あのね、クリムガンってどこで『スーレイ』っていう名前を知ったのかな~て?」

「え?アーケオス、お前がクリムガンに俺の名前を教えたんじゃないのか?」

「違うよ~。だってクリムガンと初めて会った時にスーレイっていう名前を教えたんだよ」

「…じゃあ…あいつはもともと俺の名前を知っていたことになる…」

まあ…気にすることじゃないか…。

「ひょっとしたら『キラーズ』の誰かがどこかスーレイの情報を得て、クリムガンに伝えたんじゃないのかな?」

「なるほど…。ドラゴン・タウンでは有名だって言われているぐらいの俺だもんな♪」

「へ?そうなの?僕、ドラゴン・タウンに行ったとき『剣を持ったプテラのことしりませんか~』って10人ぐらいの人に聞いたけど、みんな『知らない』って言っていたよ」

「!?何!?」

おかしい…よく考えろ…俺!
まてよ……もしアーケオスが言ったことが本当ならば……たしか……ドラゴン・タウンで腹が減って、ドラゴン・フーズにいったな…。そこで…ハンバーグとシチューをカイリューに注文して…それからいろいろ聞かれたな…。出身や家族のこと…そして名前……!?!ここで俺の名前を知ったんだ!……………はっ!?

!?!?!?!


「おい…アーケオス…」

「?どうしたの?スーレイ?そんな深刻な顔して?」


「弟は……弟は大丈夫なのか!?!?!」

「弟!?そういえばずっと見てないよ!!」

なんだって!!おい!『ケイ』!大丈夫なのか!705号室でずっと寝ているのか!?

俺とアーケオスは急いで705号室にいった。
そして弟の『ケイ』に言う。

「ケイ!いたら返事をしろ!」

俺は必死にドアにノックをする。
返事は帰ってこない…。
なんだ…この感じ……胸騒ぎがする!!

「スーレイ!僕がドアを壊すよ!」

アーケオスはおもいっきりドアに頭突きした。
ドガン!っという音を立ててドアをぶち破った。

「ケイ!いるか!?」

…そこにはケイの姿はなかった…。俺とアーケオスはあたりを見渡した。
するとアーケオスはケイの机の上にある白い封筒に気がついた。

「スーレイ!机の上に何かあるよ!?」

俺はその封筒を開けた。

「!?!?こ、これは!!?」

手紙にはこう書いてあった。

~~“紅赫眼プテラ『スーレイ』へ”~~

      前は見事にクリムガンを倒したな。
      お前は素晴らしい剣の腕を持っているようだ。
      こんな強い剣士がいた事が何よりも嬉しい。

      そして…もうひとつ…。
      同時に私はお前に憎しみをもった…。
      よくも…よくも私の計画を壊してくれたな!
      どちらが、本物の剣士なのか今こそ決着をつけようではないか!?
      『アクア・パレス』で待っているぞ。
      そこにはたくさんの噴水と建物がある。
      しかしその噴水の中に一つだけ巨大な地下室へと通じる階段があるのだ。
   一人でそこに来い…
      できるだけ早く来ることを勧める。

いつまでたっても来なければ…弟の命はない…
   
             

~~~~~~


これは…果し状だ!!犯人は…見当はついている…。『キラーズ』だ!
弟を人質にとるなんて…酷すぎる!!

「そ…そんな…。ケイ……。ケイーー!!!!」

「スーレイ!落ち着くんだ!」

アーケオスが大暴れしている俺を落ち着かせようとした。
しかし俺は大切な弟を人質にとられているのだ!
我慢できるはずがない!!!

「うるせぇ!!もたもたしているとケイが!ケイがー!!」

アーケオスは俺の顔を力いっぱいに殴った!

「ぐおっ!」

俺は5mも吹き飛ばされた…。
そしてやっと落ち着いた…。

「はあはあ…すまなかったな、アーケオス」

「いいよ…スーレイの気持ち…よく分かるよ…」

俺は大粒の涙を流した………。
そして外へ出た……。

弟よ…すまない…。
俺がもっとしっかりしていればこんなことにはならなかったのに!!


日が沈んで真っ暗になった。
そしてスーレイはアーケオスにいった。

「アクア・パレスはどこにある?」

「ここから西のほうだよ」

俺は赤い瞳を閉じ、気持ちを集中させた。

ケイ…
俺はゆくぞ!
どんなに離れていても俺が助ける!
たとえこの身が滅びようとも!!


俺は鋭い眼差しを西へ向ける。

「キラーズ!!!お前らは俺が叩き潰す!!!!」


&ref(プテラズアイズ1(Sulay's eyes-by Puteran).jpg);


『~スーレイはまだまだ強くなる。
赤い瞳で剣を焦がし華やかに舞う。
  どんな相手でも勇敢に立ち向かえ!
   頑張れスーレイ!負けるなスーレイ!~』
                     

   
                                                               ~『プテラズアイズ 2』に続く~

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今回は普通の小説にチャレンジしてみました。今度は台本形式の『アーケオスの学校生活2』を作りたいと思います。
文章表現があまり上手でない僕ですが、皆さんのアドバイスを参考にしてかいたつもりです(>_<)

これで作品は二つとなりました。これもアドバイスをしてくれた皆さんのおかげです。
本当に感謝しています。

最後まで読んでくださってありがとうございました(^^)      By[[プテラン]]


- またプテラとアーケオス・・・本当に好きなんですね。読んで面白かったです。それにしてもいきなり主人公死亡とか無いわーと思いました。演技と知って良かったです。
ところで・・・カイリュー初登場時「カイリュウ」になってました。あと、「赤プテラ刈り」「アーケオス刈り」は仕様ですか?(自分的に「狩り」のミスと思ったんですけど・・・)
ちょっと長くて失礼しました。これからも執筆頑張って下さい。
―― &new{2012-11-05 (月) 04:40:01};
- コメントありがとうございます(*´∀`*)
はい!ポケモン好きというよりは、プテラ好きやアーケオス好きです(笑)

カイリューや『狩り』の部分は直しました。

これからも執筆頑張っていくのでよろしくお願いします!
――[[プテラン]] &new{2012-11-05 (月) 17:43:34};
- プテランさん、「プテラズアイズ」も面白いです。
2つの作品の同時進行は難しいと思いますが、がんばってくださいね。
――[[082319]] &new{2012-11-05 (月) 23:41:18};
- 感想ありがとうございます。

遅くなってすみません。

僕の作品、二つとも読んでくれたんですね。
とても嬉しいです。

今後も頑張っていこうと思うので応援よろしくお願いします(*´∀`*)
――[[プテラン]] &new{2012-11-06 (火) 20:00:36};

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