&color(red){※この小説はfriendly × ordinaryのあとがきとして書かれたものです。こちらは少しだけポケモン×人間の官能表現を含みますので、ご注意ください}; 本編は[[こちら>friendly × ordinary]] author:[[macaroni]] 博士の研究所を出た後、ヴィヴィアンとジバンは終始無言で歩いた。 常識的にこれが普通なのだが、どうもジバンと一緒にいると人間とポケモンという関係である事を忘れてしまう。 ヴィヴィアンはジバンの少し後を着いて行き、彼の家へと向かう。 さっきは少し強引過ぎたかしら、とヴィヴィアンは後悔していた。 彼の意向はほとんど無視して居候する形になってしまったので、その点に関しては反省している。 今まで人間と会話をするという想定をして生きてこなかったので、実際にどう接していいのかわからない。 それは彼が自分の言葉を理解できる唯一の人間だからなのか、それとも彼に特別な感情があるからなのかまだはっきりしていない。 ヴィヴィアンは少なくともジバンという男に好意を抱いていることを自覚していた。 ジバンと一緒にいると胸の奥の辺りがじん、と鈍い痛みにも似た感覚に陥る。 こんな経験は今まで出会ったどんなトレーナーからも感じたことがなかったので、彼女は戸惑いを感じていた。 ジバンはまだ無言で歩いている。 せっかく会話ができるのだから、少しくらい話しかけてくれてもいいのにと思う。 彼は時折ヴィヴィアンがちゃんと自分のうしろに続いているか確かめるように振り返り、また何も言わずに前を向くという事を繰り返していた。 彼女は少し歩調を早めて彼のほぼ真横に追いつくと、改めてこの不思議な男の容姿を観察した。 男性にしては線が細く、今まで出会った男の中では一番痩せている。 年齢はわからないけど、多分成人はしているだろう。 髭はきちんと手入れされているのに、髪の毛はボサボサでまとまりが無い。 服装もTシャツにジーンズというラフな格好である。 ジーンズには所々土が付着していて、先程のバトルでついた汚れのようだ。 同じような汚れがTシャツにもあり、更に彼自身の汗で湿っている。 時折Tシャツが汗で張り付いて彼の肌が透けて見えることがあり、その度に彼女はドキドキした。 彼の容姿を観察すると、今度は自分の容姿が彼の目にどのように移っているのか気になって仕方がなくなってしまう。 自分の体を確認すると、残念ながら今の彼女は全身に汚れや毛羽立ちがあり、とても美しいとは言えない状態だ。 特にひどく毛羽立っている腹部を自分の羽根で撫でつけてみたが、一向に良くならなかった。 ムキになって腹部を何度も押さえつけていたので、その様子をジバンにじっと見られていたことに気がつかなかった。 「何ジロジロ見てるのよ…」 彼女はまた反射的に冷たい言葉を吐いてしまい、言ってしまった後で後悔する。 どうしてあたしはこうなんだろう。 心の中で自分に罵声を浴びせていると、ほとんど不意打ちに近い形でジバンに言われた。 「別に。可愛いなと思って」 彼の言葉で体温が一気に上昇するのを感じた。 これは冗談に決まっている。 この男は特に意味もなくこういう言葉を言う奴なんだと自分に言い聞かせて、彼女は胸の高まりを落ち着かせた。 ジバンの家についた頃には時計は既に9時を回っていた。 目の前のアパートは先程のルイスのものと比べると幾分新しく見える。 彼は明日の朝からバイトという用事があるらしく、今日は早めに寝たいと言っていた。 緑色のドアを開けて中に入ると、玄関には履きつぶしたスニーカーが1足だけ置いてあった。 ヴィヴィアンは珍しいものでも見るようにキョロキョロと部屋の中を見回した。 家具は極端に少なく、シングルサイズのベッドと白色の丸いテーブル。そして中身のスカスカな本棚があるだけだった。 彼女は人間の部屋に入るのは初めてでは無いが、こんなに殺風景な部屋は初めてだ。 「随分つまらない巣ね」 「何を期待していたのか知らないけど、一人暮らしの男の部屋なんてこんなものだぞ。あと、巣とかいうな」 ヴィヴィアンはジバンの部屋に入ってからもう一つ気づいた事がある。 ジバンのそばにいる時にもほのかに感じていた彼の匂いが、この部屋には充満している。 嫌な匂いではない。 しかし長い間オスとの接触が無かった彼女にとって、濃いオスの匂いはいささか刺激が強すぎる。 頭がクラクラする。それになんだか熱っぽい。 ジバンはクローゼットから白いバスタオルを取り出していたが、部屋の入り口でドアにもたれかかっている彼女を見て流石に異変を感じ、歩み寄ってきた。 「大丈夫か?」 「だ、大丈夫よ。ちょっとオスの匂いに、当てられただけ…」 ヴィヴィアンは肩で呼吸をしながら答えた。 「そんなに臭いのか、俺の部屋」 「そんなに臭いのか、僕の部屋」 彼女の言葉を悪い意味ととらえたジバンは、少しショックを受けたようだ。 くんくんと鼻を動かして自分の匂いを確認している。 「とりあえず、お前から風呂に入れよ。その間に部屋の匂いも消しておくから」 「うん…」 ジバンはヴィヴィアンの羽根にバスタオルを引っ掛け、空中に向かっておもむろに消臭スプレーを散布しはじめた。 フラフラと頼りない足取りで風呂場へ向かうと、湯船にはたっぷりとお湯が溜まっている。 ヴィヴィアンは風呂が苦手だ。 前のトレーナーの元で暮らしていた時も風呂には浸からず、いつもシャワーだけで済ませていた。 しかしこの家のシャワーは蛇口を捻るタイプのようで、彼女の羽ではお湯を出す事ができない。 仕方なく彼女は湯船からお湯をすくって身体にかけはじめた。 ジバンの匂いは風呂場までは匂ってこないので彼女は少しずつ平静を取り戻してきた。 蒸し暑い風呂場から早く出たかったので、簡単に身体だけ洗ってすぐに脱衣所へ向かった。 脱衣所で体を拭いていると、彼女の様子が心配で見に来たジバンと鉢合わせになった。 「お、随分早かったな」 彼女の身体を見た瞬間、ジバンは顔を引きつらせた。 「お前湯船にはちゃんと浸かったんだろうな…?」 彼の問いに対してヴィヴィアンはツンとそっぽを向いて答える。 「あんな熱いお湯に浸かれるわけないでしょ」 「汚れが全然落ちてないじゃないか…ちょっと来い」 「ちょっ、何するのよ?」 ヴィヴィアンはジバンに引っ張られるようにして再び風呂場へ連行された。 ジバンは自らも服を脱いでトランクス一枚の格好になった。そして無理やりバスチェアに座らされると、背後から押さえつけられる。 「いいか。僕とこれから同居するなら風呂の入り方をちゃんと覚えてもらうぞ」 今の彼は上半身が裸になっており、背中に彼の素肌が触れている。 ジバンはボディーソープを手に取って両手でしっかりと泡立てると、ヴィヴィアンの身体に泡を塗り始めた。 「あはっ…!やめ、くすぐったい…!」 「これくらい我慢しろ」 身体中を素手で撫でられることに慣れていない彼女は最初のうち身体をよじったりして抵抗していたが、だんだんそれも気持ちよく感じられてきてすぐに大人しくなった。 なによりも汚れた自分の体を彼の手が少しずつ奇麗にしてくれていることがうれしかった。 ヴィヴィアンの真っ黒な身体が次第に白い泡で染まっていく。 顔、胸、両の羽根と順番に洗われていく。 そして彼の手が彼女の下腹部辺りに伸びてきた所で、ヴィヴィアンは顔を真っ赤にして再び抵抗した。 「そっ、そこは自分でできるから!」 「そうか?」 ヴィヴィアンは羽根を使って丁自分の秘部にそっと泡を塗り、洗い始めた。 こんな無防備な姿をオスの前でさらしたことは一度も無い。 もしもこの部分を彼に洗ってもらえたら…。 考えると恥ずかしさで頭がおかしくなりそうだったので、彼女はひたすら無心で洗い続けた。 「もういいか?」 ジバンはシャワーベッドをつかんで泡を洗い流す準備をしている。 頭から一気にシャワーをかけられ、彼女の身体から泡が流れ落ちていく。 これで身体中の汚れはすっかり洗い流され、もとの艶のある黒い羽に元通りだ。 やっぱり風呂はキライだが、こうして身体が綺麗になる瞬間はやはり気持ちがいい。 「ほら、終わったぞ。明日からはちゃんと自分でやれよ」 「えっ…」 せっかくいい気分になっていたのに、幸せな気分は彼の言葉で急速に萎んでいった。 「もう、一緒に入らないの?」 「なんだよ、お前だって毎日僕に洗われるのは嫌だろう?」 そんなことはない。 もっとジバンに私の体を触れてほしい。 「そうだ節約!」 「…節約?」 「お風呂はやっぱり一緒に入った方がいいんじゃない?別々に入るよりきっと水道代は安く済むでしょ」 「うーん、確かに言われてみればそうだけど」 咄嗟に出た意見にしてはなかなか有効なのではないかと彼女は思った。 しばらく思案していたジバンだったが、結局彼女の意見を受け入れた。 「まぁ、お前がその方がいいならそうするよ」 これで毎日ジバンと一緒にお風呂に入る事ができると思うと、ヴィヴィアンは嬉しい気持ちを隠せなかった。 「随分うれしそうだな。そんなに自分で体を洗うのが面倒くさいのか?」 「か、勘違いしないでよ。あたしはあんたの金銭面を心配して仕方なく一緒に入るんだからね!」 「はいはい。でも自分の身体くらい自分で洗えるようになれよ。子供じゃないんだから」 ---- 本編でイチャイチャ成分が足りなかったので付け足しました。 中身がうっすいですがご容赦ください。 ※ジバンの一人称が一部「俺」になっていましたので変更しました。 #pcomment(フレンドリィな日記①コメントログ,10,) IP:49.133.86.231 TIME:"2013-05-27 (月) 07:30:36" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%A3%E3%81%AA%E6%97%A5%E8%A8%98%E2%91%A0" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (Macintosh; Intel Mac OS X 10_8_3) AppleWebKit/537.31 (KHTML, like Gecko) Chrome/26.0.1410.65 Safari/537.31"