今年最後の日、PCの買い替えも無事終了し、うpもギリギリ間に合いました。 てことで今年最後の駄文お読みくださいな。&明けましておめでとう! ---- 登場人物 --バーク(バクフーン♂)主人公。腹の立つ一人語り中。 --マール(マグマラシ♀)可愛らしいバークの妹、お兄ちゃんっ子。 --ザルバ(ザングース♂)未練たらしい男、バークの親友。 --タマナ(タブンネ♀) ザルバの彼女、テンション高め。 --ニオ (ニューラ♂) ザルバの親友でバークの親友、友達の友達は友達ということで… --ローナ(チョロネコ♀)ニオの彼女、物静かで発言は少ない。 --チコ (チラーミィ♀)物静かそうなバークの彼女、彼女はメインヒロインであることを忘れる事なかれ。 --ローク(ゾロアーク♂)クールで無口なイケメン、しかし乗りはいい方。 --アレナ(アリゲイツ♀)可憐で御淑やかな最年少、現在片思い中。 --ダッチ(ユンゲラー♂)喫茶店のマスター、コーヒーのことを喋らせると止まらなくなるので注意。 では本編の方をどうぞ! ---- 第三話 恋人 作者:[[COM]] 暑い夏、暑い日差し…そして熱々の僕達♪ 確かに出会って間もないかもしれないかもしれないけど、お互いに運命を感じた相手なんだから気にしなくてもいいよね?うん、きっとそうだ。 さっきまで暑さでイライラしていたのが嘘のように汗が引いた。むしろ涼しいぐらいだ。これが愛の力さ!あ。これ以上言うと怒られそうだ。 そのままいつも僕達がよく寄っている、駅前の喫茶店に歩いて向かった。メールにもあったようにすでにみんなが揃っていた。 その喫茶店は駅前という便利さとカジュアルさを兼ね備えた若者に人気の喫茶店だった。 店内にテーブルが数席、屋外にもテーブルが並んでいるのでぱっと見ただけでも雰囲気のいい店だ。 メニュー自体も若者向けかと思いきや、老若男女問わず好みそうなメニューが意外と多い。これがこの店がずっと生き残ってる理由なのかもしれない。 理由といえば、この喫茶店のマスターは常連客の好きなメニューを覚えててくれるだけでなく、そのお客さんの好きな話題なんかも合わせてくれるもんだからマスター自体も評判が良い。 そして、僕達がいつも座っている席が、屋外の一番右端の席。ここがきれいに街路樹の真横で、さらにお店が植えてる植物のお陰で店内にいるよりよっぽど涼しいんだ。 まだ向こうは気付いていないようなので、こっそりと近付こうと思い、 「チコ、あそこに僕の友達がいるから少し驚かしちゃおう!」 そう、いたずら小僧のような小憎たらしい、しかしどこか憎めない笑顔でこっそり彼女に言った。 すると彼女はコクンと頷き、ばれないように僕の後ろを付いてきてくれた。 お店の植物がいい感じに目隠しになっていてその植物を挟んで隣り合わせだというのにまだばれていない。 こういう時だけ背が低くてよかったと思う。こういう時だけ。 彼女のほうを向き、小声で 「それじゃ…僕が1・2・3って言ったら、3で立ち上がって驚かしてね…」 はっきり言って、お店の前で中腰で会話している僕達は不審者にしか見えなかったかもしれないが… 「1…2……3!!」 そんなのお構いなしにいきなり立ち上がってみんなを脅かして見せた。 …はずだったんだけど… 「よお、遅かったな。」 ザルバがごく普通に対応して、 「遅かったからなんか奢れよ~。」 ニオが遅れた僕に催促してきた。 あれ?なんでこんな反応なんだ? 「えっと…驚かないの?」 疑問に思い、そう聞くと、 「だって通りすぎる人達の目線が下にいってたから、あぁいるんだな~って勘付いた。」 ゆっくりとアイスコーヒーを飲んでいたロークがネタばらしをしてくれた。 やっぱり…目立ってたのか…?でも横にはチコがいるからそっちに驚くんじゃ? 「えっと…こっちの子の事は…気にならないの?」 そう僕から振ると、 「隣に誰かいるの?」 ローナが不思議そうにそう聞いてきた。 「何言ってるんだよ!ここに…」 そこまで言いかけてあることに気付く。 彼女が…チコが…立っても植物よりも低かったのだ。 今にも泣き出しそうに震え、目を潤ませている。 彼女の背の小ささは彼女のネックだ。自分も背が低いためよく分かるのに、よりにもよって自分がその傷を抉るような真似をしてしまった。 慌てて彼女の手を引き、足早にその席のほうへと回った。 「え…っと…この子が僕の彼女の…チコっていうんだ。」 慌てていたせいもあり、よく訳の分からない説明をしてしまった。 そんな説明で伝わるわけもなく、長い沈黙の後、チコがもじもじしながら 「は…初めまして…今日、彼女になった…チコ…です。」 そう、顔を赤らめながら彼女が僕の理解できない説明を補足してくれた。 その言葉でようやく凍り付いていた時間が動き出し、その場にいた全員から驚愕の声をもらった。 「え…?え…!!う、嘘だろ?」 「ちょっと待った…頭の整理が追いつかない…今日!?」 ザルバ、ニオ共に口をパクパクさせて驚いていた。いい気味だ。 そしてロークは、辺りをきょろきょろと確認していた。 「ん?何を探してるの?」 「いや…『ドッキリ大成功!!』の看板を…」 いつも冷静なロークでさえこの事態は冷静に判断できなかったようだ。 そのまま僕達も席に着き、ここに来るまでの経緯を事細かに説明した。 「なるほど…確かに運命的だな…」 ロークは腕を組み、少し溜めた息を吐き出しながらそう言った。 「え~!いいなーそんな運命的な出会い。私もザルくんからそんな風に口説かれたかったな~。」 「なんだか…ちょっと恥ずかしいですね…でも、確かにロマンチックな出会いかも…。」 タマナは視線をザルバに送りながらそう言い、ローナは少し顔を赤らめながらちらちらとニオを確認しているように見えた。 「運命なんてものがあるのね…私にも恋のキューピッドなんて現れないものかしらね。」 と、いつもはそういった恋愛話に興味の無いアレナさんがしっかりとその話には喰いついてきた。 「え!何?もしかしてアレナもそんなロマンチックな恋人の方がいいの?」 と、少しちゃかし気味にタマナがアレナに質問していた。 「ううん、私の恋は…片思いだから…相手が気付いてくれたら嬉しいな、ってね、思っただけ。」 その返答の声は、どこか諦めがあるように聞こえ、無理に出していた笑顔がなおさら痛々しいものに仕上げていたように見えた。 「あ、えっと…!ご、ごごごめんなさい!別に悪気があって聞いたわけじゃなかったの!本当にごめんなさい!」 さすがにタマナも慌てて謝っていた。別に気にしなくてもいい、とアレナさんは言っているが、初めて聞いたアレナさんの恋の本心はかなり複雑なものに思えた。 「それよりも、いいの?さっきからみんなチコちゃんを蚊帳の外にしてるけど?」 アレナさんはいつものような落ち着いた雰囲気に戻り、さっきから僕の横でもじもじだけしているチコの方に視線をやった。 「いえ、私は聞いてるだけで楽しいのでお気になさらず。」 「駄目!せっかくこのメンバーの一員になったんならみんなでわいわい楽しくやらないと!」 チコの遠慮を気にもせず、タマナがほぼ強引に会話の中心に持ってきた。 「でも本当にいいわよね~。そんなかっこいい口説かれかた私もしてほしかったな~。」 「さっきからなんだよ!あいあいすみませんね!ロマンチシズムの欠片もなくて!」 ちょこちょこと喋る度に視線を送り続けていたため、ザルバがついに捻くれたものの言い方で返答した。 「お二人はどんな出会いをしたんですか?」 ローナが物珍しそうに二人に質問すると、 「俺の一目惚れ。即効アタックして一度玉砕した。」 「玉砕したのにどうやって恋仲になったんですか?」 と、今回初めてチコが発言した。意外と彼女もそういうのに興味があるんだ… すぅーっと息を吸い込み、 「前の彼氏がね、私の体目的だったの。それで無理やり連れ去らせそうになった時に、ザルバがね。」 と、少し遠くを見ながら、懐かしむようにタマナは言った。 「へぇー…かっこいいと思いますよ?私は。」 とローナが、 「十分ロマンチックだと思いますよ?」 チコも賛同するようにそう言った。 「ザルバくんってそういう男らしいところがかっこいいんじゃないの?私はそう思うわ。」 アレナさんの的を得た言葉を聞き、 「い、いや…だってよ!流石にふられたっていっても、無理やり連れて行こうとしてるそいつに腹が立ってな。」 いかにもなことを言っているが、顔は赤くなっていた。 「でもね~…その後がね~…」 いかにも残念そうな顔をしてザルバの方を見ながら。 「『こんな男より俺と付き合ってくれ』なんて言われたらね~…」 そう言い、深くため息をついていた。 「それじゃあただの諦めの悪い男じゃないの。」 アレナさんが再度ど真ん中を抉った。 「あ~あぁ、なんなら私、バークくんの彼女になっちゃおうかな?」 と、こちらに寄ってきながらそう言った。 「いやいやいやいや!ザルバを大事にしてあげてよ!」 「なんで俺はバークにまで擁護するようなものの言い方をされにゃあならんのだ!!」 どこか悲しさと悔しさのこもった声でザルバは立ち上がりながらそう言った。 割れるような笑い声で、僕達の席は包まれていた…が、 「バークは…誰にも渡さない…バークは…私だけの……」 そう、微かに聞こえた気がしたが、みな笑っているだけだった。 気のせい…かな…? そんなことを思っていると、 「こら!お前たち騒ぎ過ぎだ!今日はもう帰りなさい!」 いつもは温厚な店主のユンゲラーのダッチさんが流石に文句を言いにきた。 きちんと謝り、店を後にした僕達だったが、 「とりあえず、このあとみんなどうするよ?」 ニオがみんなにそう聞くと、 「ま、集まってただ駄弁りたかっただけだからな。丁度いいし、ここで解散にするか。」 と、ザルバが笑いながらそう言った。 ただ集まって喋っていただけだったのに、楽しい時というものは簡単に流れていってしまう。 気が付けば高かった日は既に大分落ちており、まだ辺りが暗くなっているわけではなかったが時間の経過を知らせてくれた。 「それじゃあ、また明日。」 僕がそう言い、みなに手を振ると、同じように別れの言葉と共に、それぞれのうちの方向へと歩いていった。 「それじゃ、チコ。帰ろうか。」 そういい、手を引こうとしたが、彼女はどこか一点を見つめ、微動だにしなかった。 「どうしたの?」 もう一度声をかけると彼女は何事も無かったかのように頷き、僕の手を取ってゆっくりと歩き出した。 そのまま数分歩き、彼女と出会った住宅地の交差点まで戻ってくると、 「それじゃあ、私はこっちなので、また明日。」 そう言い、可愛らしい笑顔と小さな手でこちらに手を振りながら帰っていく彼女に手を振り、 「また明日、集まるときには一応連絡するよ。」 そう言い、彼女と出会った交差点で別れた。 店を離れる前にケータイの番号とアドレスを交換していたので、次からは会うのが簡単になる。 というよりもそれが普通か。 そのまま僕も家に帰っていった。 「ただいまー。」 玄関を開け、妹に帰ってきたことを伝えたつもりだったが、どうやら自分の方が早かったようだ。 妹も遊びに行ってるだろうから帰りはもう少し後かもしれない。 そう思い、自分の部屋に戻り妹が戻ってくるまでの数時間、ゆっくりと眠らせてもらうことにした。 ---- [[ヒトナツノコイ 第二話 告白]]に戻る [[COM]]に戻る #pcomment(コメント/ヒトナツノコイ,10,below); IP:210.238.252.222 TIME:"2012-09-26 (水) 13:01:29" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E3%83%92%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%84%E3%83%8E%E3%82%B3%E3%82%A4%E3%80%80%E7%AC%AC%E4%B8%89%E8%A9%B1%E3%80%80%E6%81%8B%E4%BA%BA" USER_AGENT:"Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 6.1; Trident/4.0; SLCC2; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.5.30729; .NET CLR 3.0.30729; Media Center PC 6.0; InfoPath.3; .NET4.0C; .NET4.0E)"