#author("2025-08-13T14:58:22+00:00","","") #author("2025-08-13T15:04:02+00:00;2025-08-13T14:58:22+00:00","","") CAUTION! 某覆面企画に投下するはずが読み切り限定とかいう肝心な要項を見落として没になった作品の供養作です。 wiki用の編集&解決編の執筆は随時行っていきますので、レイアウトが現状荒削りな点はご容赦ください。 (ストーリーはもちろん完成してるので、今ならハルト達よりも先に真相に辿り着けるかも…?) written by [[慧斗]] #hr ※この物語はフィクションです、実際の人物、団体、他のwiki作品とは一切関係ありませんし、実際の事件とも一つを除いて関係ありません。 どんなに強い幻影でも、真実と恋心は隠せない。 今日はたっぷり1万5千字、奇妙な事件を解き明かそう! たったひとつの真実見抜く… 「おい早く本編行くぞ」 「いいとこだったのに…」 *ハンニンだらけの推理小説(事件編) [#b21b5f5e] これまでのあらすじ 私は華の女子高校生ゾロアークのセイラ。 懸賞でペンションのペア宿泊券を手に入れたので憧れの高校生探偵カワード君を誘うつもりが事件とか怖いとか言われて拒否され、実家のカフェでバイトしてるクラスメイトのハルトと行くことに… ペンションではオーナーの計らいで他の客と楽園ツアーの切符になるコイン探しの謎解きゲームのルールを聞いてたけど、何かギスギスした客たちとまるで興味なさそうなハルト、これから本当にどうなっちゃうの? 「このペンションオーブのどこかに楽園への招待券となるライブコインが隠されてあります。共用エリアにたった一枚、明日朝までに探してくださいね!」 メインディッシュを食べながらオーナーのヤイバンテが話す謎解きイベントのルール説明。上下逆に撮られている金のコインを見つければクリアらしい。 みんな説明を聞いてる中で唯一、ハルトだけは黙々とステーキを食べていた。 「ねぇ、ちょっとは話聞いたらどう?」 「興味ねえよあんな作り話」 「詐欺って、これはイベントなんだから…」 「本当に詐欺かもね、こんな闇転売ヤーの主催イベント」 ふいに聞こえた台詞に振り返ると、雌の私でも綺麗に見える程のエンニュートがグラスを傾けていた。 (誰だあのおばさん?) (おばさんって、大物モデルのカダヴァーよ⁉︎思想強いってあんまいい噂聞かないけど…) ハルトが時事やエンタメに疎いのは知ってたけど、こんな田舎のペンションに来てるなんて私も思わなかった。 「顔見れば大体どんな連中かは分かるつもりだけど、転売ヤーやクラッカー、詐欺師もちらほらいるし、そこのゾロアークちゃんとかの若い子以外ろくな奴がいないわね…」 その一言で妙にラウンジの空気感が変わっていくのが分かった。 「うるせぇんだよ!こまけぇことをグチグチと!」 遠くに座っていたドリュウズが怒りに震えて叫ぶの皮切りに次々と怒声が飛び交い始めた。 オーナーのヤイバンテまで目に見えて機嫌が悪そうになった中、ふいに誰かがテーブルを叩く音でほとんどが驚きに動きを止めた。 「るっせぇんだよ飯マズくなるから黙ってろボケ!」 ヤドキング以外一瞬動きを止めるほどの威嚇、結果論とはいえハルトの言動でギスギスした雰囲気を一掃できただけ感謝、なのかな… 一緒に動き止まってた癖に一連の様子を見てほくそ笑むような表情を見せていたカダヴァーだったけど、しばらくしてから不意に妖艶な表情が恐怖に凍り付いていった。 「…噓、この中に軽く2桁は殺しの経験のある奴がいるなんて、そんな…」 何故か怯えた表情のままカタヴァーは廊下へ続くドアに手をかけた。 「こんな茶番に付き合ってられないわ、私は部屋に戻らせてもらうから!」 「あいつ、デザートどころかステーキも食わずに行っちまったな」 静寂に包まれたラウンジの中でただ一匹、風呂も共用なのに籠れるはずないのにな、なんて言いながらハルトはカタヴァーの食べ残したステーキ皿に取り掛かっていた… 闇夜の中、心臓が苦しくて息ができない程でも走り続けるしかなかった。 それは助けを求めるため、あるいは私が生き残るために。 久々に休暇を取れた家族とのキャンプ旅行中、突然両親が死んだ。 少し遠くが二回光ったと思った時には両親の体から血が噴き出る穴が開いて、「逃げろ」としか言ってくれずに死んでしまった。 言われるままスマホも持たずに必死に夜の帳の中を走った、確かに追ってくる感覚と弄ぶように響く銃声。 必死に逃げ続けたけれど、出っ張った木の根に転んでしまいついに接近されてしまった。 「殺さないで!」 必死に叫んでも銃口は確かに私を狙っている感覚、きっとこのまま殺されるんだ… へたり込んだまま後ずさろうとした時、その背後から少し強い光が見えて… 「…ふにゃ?」 気づいたらテーブルに突っ伏していた。いつの間に寝てたんだろ? 解きかけの謎解き用紙によだれ垂れてないことに安堵しつつ、かけられていたブランケットを背もたれに畳んでかけておく。 「起きたか、オーナーがお詫びのデザート用意してくれたからお前の分冷蔵庫に入れてるぜ」 寝起きで誰かがスイーツを差し入れてくれる、こんな少女マンガみたいな相手は一体… 「なんだハルトか…」 「失礼な奴だな、俺がいなけりゃ今頃スイーツ食い損ねて風邪ひいてるってのによ」 特注の理想展開が100均レベルの現実だったことに少しムッとしつつも、どこか悪い気はしなかった。 嘘確定の病弱設定で学校サボってるし、気づいたら名前だけ名簿にあったような変な奴だし滅茶苦茶無愛想だけど、お店でバイトする時は意外と真面目にやってるし、私が体調悪いの隠してたら変に察して栄養ドリンク握らせて先上がらせようとするし、これで意外と世話焼きタイプなのかもね… 「回復木の実タルトだ、ラムも切れてるからある意味俺ら仕様だな」 オレン、チーゴ、クラボ、ナナシ、キーといった色とりどりの木の実にオボンソースのさっぱりした甘さが引き締めて、これはプロのパティシエレベル… 「さっきうなされてたみたいだが大丈夫か?」 映画予告回のネタジン動画を止めてたスマホを置いたままドリップコーヒーを淹れながら聞かれた。 あんま言いたくないけどカップ二つに免じてあげるかな… 「小さい頃家族が殺されて逃げた時の夢、追いかけられて撃ち殺されそうになる所で終わるけどね」 「…聞いて悪かったな」 「慣れてるから平気、むしろ私がハルトに謝らなきゃなのに」 「?」 さっき荒れかけた空気を威嚇で止めてくれたり、寝起きで世話焼いてくれたり、私が面倒見てるようで意外と助けられてることに… 「とりま筋トレするからコーヒーのおかわりはタンマな」 【The brave inccneroar stopped the bullet and saved the child】 筋トレを背景にネットニュースのスクショをぼんやり眺める。 カワード君はきっと高校生探偵としてはまだまだ駆け出しなんだろうけど、こんなニュースになるようなお手柄インテレオンなんて他に思いつかない。 誘いを断られた時になんか違和感はあったけどきっと… 「…なんで筋トレ終わりにもっこりしてんの」 「…そりゃ上腕二頭筋鍛えてるからな、ったく変なとこでノルマ回収しやがってクソ作者…」 そんなスクエア倫理抵触しない程度の元ネタ回収ノルマこなしつつ、いつの間にか解かれていた謎解きの紙に困惑していた時、少し客室の方が騒がしくなった。 「一体何の騒ぎだ?」 「それが、カダヴァー様の部屋から悲鳴が聞こえたので状況確認をと思ったのですが、部屋をノックしても返事はなく鍵はかかっていて他の皆さんはご無事…」 ハルトがヤイバンテと状況確認しているが、どう考えても何かあったとしか思えない。 「合鍵とかマスターキーはどこだ?」 「マスターキーならラウンジの奥の倉庫に…」 不穏な空気に全員付いて来たけど確かに倉庫にマスターキーはあった。 「では、開けさせて頂きます」 全員が頷く中で、そっとドアが開けられた。 「カダヴァー様、カダヴァー様…?」 シングルベッドにキャビネット、何の変哲もない部屋に見えてたった一つ。 部屋の鍵を握りしめたまま既に動かなくなったカダヴァーの死体が、ただの客室を事件現場に変えていた…… 「全員動くな!」 今ひとつ実感湧かなくてぼんやりしていた私の思考はハルトの威嚇でカダヴァー以外の生きてるポケモン同様一瞬動きが止まった。 「現場を崩さないために誰も入るな、オーナーは警察に連絡を!」 「はい…!」 こんな時でもハルトは怖いぐらい冷静で、何なら死体を見慣れているかのような… 「おいおい、そう言って何か大事な証拠をもみ消そうとしてるんじゃないだろうな⁉」 誰かの罵声に続いてお前らずっとラウンジにいやがったしとか、俺らを疑う気かよとか、続け様に罵詈雑言が飛んできた。 「何だったらそこのゾロアークが殺したんじゃないのか?」 その一言が示す重さを私が理解する前に、ほとんどの矛先が私を向いていた。 「違う、私は何もやってない…!」 無意識に叫んでいたけど、冷たい視線は私を刺し殺さんとばかりに見つめて来る。 「お前は一度も部屋に戻ってないんだ、殺す時間なら十分あるはずだ!」 理不尽な宣告に便乗するように湧き立つ声がとても怖い。本当にやってないのに、これじゃ私が殺したみたいになっちゃう… 歪む視界に握り潰されそうになる心、もう身の潔白を証明する方法なんて… 「待てよ!」 不意に聞こえた咆哮が、潰れそうな心に響いた。 そしてその威嚇は、私だけじゃなくて他の全員を止めていた。 「どうせ俺たち全員警察に取り調べだ。今ここで証拠もなしにハンニン吊ろうとしても何の意味もないぜ」 ハルトの一言に意外と静まって行くのが私にはモーセを見てるみたいで… 「皆様、申し訳ありません」 静寂の中で通報していたヤイバンテが謝ってきた。 「どうやら何らかの干渉を受けているらしく、固定でもスマホでも電話が繋がりません」 「「「「「…huh?」」」」」 みんなも思い出したようにスマホを操作するけど、電話もSNSも機能してない。 「ネット検索はできてもブラウザからSNS操作とかも無理だ、相当ご都合主義なジャミングかけられてるな…」 「ほんとだ、でもこれじゃ警察も助けも呼べない…」 「…一応、明日朝に食料注文と同時に警察の定期パトロールが来るためそこまで待てば来るには来ますが…」 「来るには来るけど明日の朝…」 ハルトが庇ってくれたのも「全員警察に調べられるから責め合う理由はない」というものだったからみんな納得してくれただけだし、それが明日の朝までとなると… 「だったら今のうちに誰が殺したのか絞り込んでおく時間はたっぷりある訳だな!」 予想していたけどやっぱり飛んできた台詞、これじゃまたさっきと同じことの繰り返し… 「それもそうだな、確かに時間は十分ある」 「ハルト⁉︎」 思わず願望で叫んだけど、ここでハルトに見捨てられたらいよいよ私の味方、いなくなっちゃう… 「だったらまず、俺たちをハンニンから除外してもらおうか?」 「お前何をさっきから偉そうにアニメの真似事で根も葉もないことばっか言いやがって…!」 「いいや、根も葉もあるしなんなら茎まであるぜ?」 ようやく板についてきた、とでも言わんばかりの悪タイプらしい笑みとサムズダウンで足元の死体を指さしてる、で合ってる…? 「こいつはHPが尽きたことが死因の死体で間違いないが、その場合普通ならあるはずのものがこの死体や部屋にはない。それが何か分かるか?」 流れ星より先に死体を見るなんて昨日の私にもショックで言えないけど、これが何かの手がかりになるというなら、目を背けてちゃいけないんだ…! えっと、探偵アニメなら事件現場って所々荒らされて、血しぶきも飛び散ってて、ってあれ…? 「もしかして、現場に血が飛び散ってない…?」 「大体合ってる。この死体には出血箇所、要は致命傷になったであろう外傷やダメージを受けた場所が見当たらない」 「見当たらない…?」 「そうだ、もしこいつが射殺されたなら銃創痕が死体に残ってるし、辻斬りとかDDラリアットで殺したとしたら切り傷や打撲痕が残ってないとおかしいはずだが、そもそも外傷が存在しないってことはこいつは攻撃技自体受けていないってことになる」 ついさっきまで生きていたポケモンが死体になっていたことや、自分が濡れ衣を着せられたことへの怖さで見えなくなっていたけど、少し視野を広げるだけでこんなにいろんな情報があったなんて… 「よってこいつを殺したのは攻撃技ではないし物理的な凶器の可能性もなくなった、つまり技構成がフルアタな奴はこの事件のハンニンから除外されるって訳だ!」 さらっとつまり俺とセイラ、あとフルアタ型いるなら前に出ろ、とだけ言いながら倉庫の在庫確認して戻ってくるぐらいのノリで事件現場から戻ってきた。 「どのみち警察は朝になれば来るけどよ、お前らがお望みならやれるだけハンニン絞り込んでやるよ」 その一言が何を意味するか、疑惑から解放された喜びに浸っていた私には分からなかった… 「…さっきはありがとう」 星も月もなくダークグレーの空にカーテンで見切りをつけてシングルベッドに腰掛ける。 成り行きでハルトの部屋に来たけど、まだ頭が混乱してる気がする… 「何がだ?」 「…ほら、私がハンニン扱いされた時庇ってくれたこと」 庇ってくれなかったら今頃は、から先は上手く声にできなかった。 「…勘違いするなよ、別にお前を助けたくてした訳じゃねぇからな」 「じゃあ何だって言うの?」 「冷静に考えろ。事件まで部屋に戻ってないのは二匹、お前の次に疑われるのは誰だと思う?」 「期待して損した!」 ちょっとはヒロイックな台詞来るかと思ったのに… 「だったら部屋戻って寝てろよ、俺だけで進める」 「進めるって、一体何を?」 「捜査だよ捜査、とにかくやるだけやってハンニン見つけ出さなきゃサツから真っ先に疑われるの俺たちだぜ」 コンビニ行くぐらいの感覚で捜査と言い出すハルトに内心困惑しつつも、さっきの台詞がハッタリじゃないことに驚かされる。 「さっきの台詞、ハッタリじゃなかったんだ」 「当たり前だ、フルアタ除外はれっきとした証拠でも時間稼ぎになるかも怪しい以上、確実な証拠を持ってハンニンを見つけ出すしか助かる道はない」 キャビネットに入れてあったレターセットとボールペンを取り出して指をポキポキ鳴らすさまは、バトル漫画の主人公かカンヅメ中の作家にも見えなくもないけど、それでもどこか頼もしく見えて… 「それに、こんなとこで死なせてたまるかよ…」 「?」 「何も言ってねぇよ、とりあえず無実勝ち取るためにも手伝えよ」 「うん…!」 「という訳で今回の容疑者と覚えてる技を調べてきた。ペンションの周りは何もないし、俺たち以外の出入りはないと全員証言したからハンニンがいるならこの中だな」 俺…ガオガエン DDラリアット、ブレイズキック、吸血、アクロバット (説明不要。俺、参上。病弱だし無罪。最近ハッシュドポテトにハマってる) お前…ゾロアーク(JK) ナイトバースト、火炎放射、辻斬り、つばめ返し (バイト仲間のクラスメイト、同じ部屋で寝落ちしてたのでシロ。看板娘だが体重俺より重いかも) カダヴァー…エンニュート(モデル) ※死体につき技構成不明 (殺されたおばさん。セイラ曰く悪い噂の多いモデル、変な電波受信してそう) ヤイバンテ…イエッサン(ペンションオーブのオーナー) 【トリック】、【トリックルーム】、サイコキネシス、シャドーボール (ペンションオーブのオーナー。飯もデザートも美味い、転売ヤー説あり) ゴロー…スリーパー(保険セールス) 【どくどく】、サイコキネシス、スピードスター、みらいよち (保険セールスらしいが詳細不明。ハンニン扱いされた状況からでも入れる保険ってありますか?) ジュンショー…ローストリンダ―(プログラマー) オーバードライブ、チャージビーム、毒突き、スピードスター (地味に早口イケボなプログラマー。フルアタ型につき多分シロ。消去法で考えればクラッカーの可能性あり) ヤス…ドリュウズ(土木会社部長) 【地割れ】、ドリルライナー、地震、アイアンヘッド (晩飯の時から色々騒いでた奴。地味に一撃必殺技持ち、このペンションは建設関係で何かあったのか…?) モーリコ…ヤドキング(地方議員) 【トリックルーム】、パワージェム、サイコキネシス、スキルスワップ (政治家は疑ってかかれと師匠が言ってた。聞いたら得意げに名刺渡して来た、ウザい) 「こんな資料いつの間に集めてきたの…?」 「お前が俺の部屋来てから俺が戻るまでの5分弱」 「そんな短時間でみんな言いたがらない情報をよくそこまで…」 「企業秘密、特に技マシンとかはなさそうだしとりあえずこれで変化技持ちは炙り出せたな」 「なるほど、ってことは私とハルトは無罪で確定なんだ」 「そう考えていいだろうな、あとジュンショーってやつも無罪でいいだろ」 書き起こして行く中でハルトの推理が正しければ早くも3匹は除外できた。 「意外と私以外のお客さんのこと、知らなかった…」 「そういうもんだろ、ただでさえ普段使いでカツカツな記憶容量をわざわざ割くのも楽じゃないからな」 ぶっちゃけハルトがハッシュドポテトにハマってるのが一番意外な情報だったけど… 「やっぱりこれだけじゃ情報不足だな…」 「これだけで分かったらみんな気づくからね…」 「だからこそ、ここはもう一度現場を調べてみるか」 「昔の刑事ドラマでも現場百遍っていうからね、って、え…?」 現場ってことは、さっきの事件現場に… 「まだ一遍もしてないからな、一度調べてみた方が何か手掛かりも見つかるかもだろ」 椅子から立ち上がって早速行こうとしているけど、下手に現場に行ったらマズいんじゃ… 「ねぇ、下手に現場行ったら証拠隠滅するためと思われるんじゃ…」 「…そういやそうだな」 案外すんなり納得された。ちょっと意外… 「怪しまれたら元も子もないからな」 「うん」 「とりあえず下手な侵入はやめとくか」 「うん」 「だったら変装して行くか、お前のも作ってやるからちょっと待ってろ」 「うん……?」 客室の前に白い顔に黒い体のポケモンが二匹、そのうちの一匹は不安そうに周囲を警戒している間にもう一匹は慣れた手つきでピッキングをこなしていた。 ものの数分で開いたドアを開け、中に入ってから妙に高い鳴き声を発した…! 「この間取り、何か変…」 「……ねぇ」 「どうされましたか孤穴さん?」 「………これ変装の意味あるの?ハルト?」 「……私は虎穴です、覇穴さんはいません」 あくまでこのまま白い紙のお面だけの低予算パロディのバレバレ変装で行くスタンスなんだ… 「名前ってやっぱり虎穴に入らずんば虎子を得ず、的な…?」 「……なんでタイトル知ってんだよ」 「入らずんばと入れずんば、どっちだっけ…」 「理性怪しくなるからわりと冗談抜きで連呼するな、OK?」 意外な一面というか、何考えてるか分からないぐらい無愛想病弱キャラからは予想できない程普段の言動なりにそういう感性は正常ぽいことに内心安堵して頷いた… 「……気を取り直して、早くこの間取りを調べましょう」 結局虎穴モード継続らしく、ざっくりと部屋を見回し始めた。 「普通にベッドとキャビネットがあって…」 それは私たちの部屋と同じ配置だよね… 「部屋の広さ的にクソデカハリテヤマ一匹分ぐらいで…」 ハリテヤマで例える理由、どこ…? 「オーブの地下だからどうせガ◯ダム隠しルームと化した地下の武器格納庫は多分ベッドの下に入り口があって…」 いやいやいやいや… 「よく見たら部屋全体がポケモンぶっ殺しゾーンに進化してて…」 焦点は事件には戻ったけどゾーンなんてある訳ないから… 「うーん、どこが変なのかなぁ☆」 活き活きと虎穴されてると流石に100トンぐらいのハンマーでぶん殴りたくなってきた…… 「ああっ!」 「えっ、何⁉」 「デザートのタルト食べかけだね!」 おふざけ継続に苛立ちそうになったものの、その事実に少し違和感を覚えて感情が止まる。 「あれ、なんでこの部屋に食べかけのタルトが…?」 「そこなんだよな、ここからは俺の推理にはなってしまうが…」 仮面外して通常ボイスに戻した、しかも横目でこっち見られると、なんかこう… 「さっきステーキも食べずに部屋に戻ったはずのあいつがこのタルトを食べていて、そしてラウンジに戻って来ていないことを踏まえると、少なくとも死ぬ前に誰かと会っている、もしくは間接的にでも接触はあったことになる」 「じゃあ、このタルトに毒が入ってたとしたらそれで成立するんじゃ?」 「いや、それはない」 私でも分かると思って言ったのに一蹴された… 「タルトが毒入りなら狙って切るのも困難な以上狙ってない俺たちがお陀仏になるリスクが高いし、より毒を盛りやすいあいつのステーキ食った俺がこうして生きてる以上可能性は低いだろ」 それに毒入り料理なんてわざわざハンニン絞り込まれる殺し方普通は選ばないし、そもそも被害者毒タイプだからな、なんて言いながらお面を戻して【縁のカリカリ美味しいよね!】とか言い出してる。本当にどういうテンションでやってるの… お面越しの視界不良にため息をついてふと床を見ると、何か光るものが落ちていた。 拾ってみると、指輪より大きめの金属の綺麗な輪っかに細めのチェーンが付いている。 「ねぇハル、虎穴さん、こんなものが落ちてたんだけど…」 「これはコインネックレス、のコインフレームだね!」 「コインフレーム、ってことはさっきの謎解きイベントの…!」 「一旦これは証拠品に回収しておきましょう」 どこからか取り出したジッパー袋に回収された。けどこれでも私が少しは役に立てたんだ…! 「あとはハンニンの侵入経路だけ絞ってみましょうか」 「やっぱりドアからはないよね?」 「普通に考えたら部屋の鍵は都合よく死体が握ってるし、マスターキーも一本だけでラウンジを通らなきゃ取れない以上、ドアを使うのは難易度が高いでしょう…」 若干仮面外しが面倒になったらしく虎穴のままで推理を披露しながら窓際に歩いていく。 「やはりここは素直に窓から侵入して、ん…?」 「え?」 勢いよくカーテンを開け放った先には、周りと変わらない壁が全面に広がっていた…… 「「窓なぁぁい!!!」」 「あぁぁ、疲れたぁぁ…」 パニック状態の成り行きで現場からラウンジに緊急退避の後キャストオフで、虎穴と狐穴は強制終了。 「そういやお前イリュージョン持ってたなら始めからそれで隠れときゃ良かったな…」 私を散々振り回しておいて終わったらこの仕打ちかと思いたくもなったけど、自分の特性を使いこなせてない私自身がいるせいで怒るに怒れない。 「…でもこれで、部屋の感じとか知りたい情報は分かった?」 「そうだな、分かったこともあるが謎が謎を呼んでる現状とでも言うか…」 欠伸しながら答えられてふと時計を見ると日付はとっくに変わって25時になるのも時間の問題だった。 「分かったことだけざっとメモしてみた、とりあえずコーヒーでも飲もうぜ」 勝手にキッチン使おうと色々引き出しとかパントリー探し回る胆力を一周回って尊敬しつつ、ハルトに渡されたメモを見た。 ☆侵入方法について ・部屋には窓がなく、出入口はドアからのみ ・客室の鍵は1本ずつで死体が握っていた ・マスターキーも1本で、保管庫はラウンジを通らず確保不可能 →俺たちが開けるまで事件現場は密室だった ☆部屋に残されていた食べかけのタルト ・俺たちが食べた回復木の実のタルトと同じもの ・切り分けて提供されたことやステーキに無毒だったことを考えれば毒入りの可能性は低い(そもそも毒タイプなので無駄) →ラウンジを出てから少なくとも誰かと接触しており、タルトを食べたことは間違いない(凶器の可能性は低そう) ☆部屋に落ちていたコインネックレスのコインフレーム ・現状不明。現場にコインはなし 確かに謎が謎を呼んでいるというか、この推理が正しければこれって密室殺害事件ってことじゃん… 「おい、ちょっと来てみろ…!」 少し驚いた声に呼ばれてキッチンに入ると、ハルトは食糧庫にある何かを指さしている。 「あれって、まさかアレだよな…」 オレンとかチーゴとか木の実の箱が並んだ隣、さっき現場で見つけたコインフレームが大量に入った業務用らしき袋が置かれていた… 「そんな、あれ無関係だったの…」 「お題の都合で関係ありだと踏んでたのに謎解きイベント演出用の飾りかよ…」 袋を見つけてからお互い頷き合ってあちこち探し回ること10分、2匹合わせて現場に落ちてたのと同じコインフレームを13個見つけていた。 骨折り損のくたびれ儲け、という単語が脳内を右から左へ赤い文字で何列も流れていく光景が頭をよぎるけど、考えるだけ無駄と割り切ってコーヒーブレイクを開始していた。 「いい香りだね、僕も一杯もらっていいかな?」 ふいに聞こえた声に身構えかけたけど、よくよく考えたらここは共用スペースのラウンジだったことを思い出した。 私の心情を知ってか知らずかコーヒーポット片手に私の前に立ったハルトの背中越しに見えたのは、わりと穏やかな表情のローストリンダーだった。 「ちょっと時間経って熱くないけどそれでもいいか?」 「僕は猫舌だからその方がいいかな、ちょっと殺害事件に巻き込まれたって思うとなかなか眠れなくてね…」 (この状況、わりとヤバくない?) (…あまり介入されたくねぇよ、けどフルアタ型をシロとする推理が俺たちの無実を証明する唯一の後ろ盾な以上信じるしかない) (…それは、仕方ないかも) (むしろシロならここで味方を増やせたらデカいけどな、とりあえず様子見する) (分かった、でも声の感じが何というかストライク…) (スト違い、と言いたいとこだが名前からしてそういうことなんだよな?) 「そうだ、ハルト君とセイラちゃん、でいいかな?」 「…あぁ」 「はい、どうぞ…」 「さっきは間接的とはいえ僕の無実を証明してくれてありがとう、こんな場所で高校生探偵みたいな子たちに助けられるなんてね」 「そんなんじゃねぇよ」 素っ気なくコーヒーをカップに注いでるけど、わりと探偵の素質あるんじゃないかとさえ思えてくる。 「それで、推理ショーがないからハンニンは見つかってないだろうけどどんな感じになってるの?」 「…あなたはそれを聞いてどうするつもりですか?」 「僕も、何か手伝えることがあれば協力したくてね」 「なるほど、現場が密室でドアからしか侵入できないけど手がかり不足で絞り込めない、か…」 結局ハルトも考えあってか捜査現状を一部話すことにしたみたいだ。 現状詰まり気味だし、新しい意見を聞くのはある意味流れを変えられるかも… 「ドアからで言うと、客室の通路に防犯カメラあったの気づいた?」 「えっ?」 「あるにはあるけど、オーナーも件のジャミングのせいで映像を確認できないらしくてな…」 気づいてなかったの、もしかして私だけ…? 「なるほど、でもあの機種なら本体にハッキングすれば今夜の内蔵データぐらいは見られるはず…」 そう言いながら私たちがリアクションを取るより早く、既にノートパソコンを開いてハッキングを始めていた… 「すご、超早口…」 「文字数の都合で聞き取れねぇ…」 高速ハッキング開始からざっと15秒かそこらでディスプレイにパスワード入力画面らしきものが映っていた… 「ごめん、僕のハッキング力ではここまでみたいだ…」 「いやローラーかけろよスパコ!」 ハルトの謎ツッコミを聞きつつ画面を見ると、パスワードのヒント画面を開くところだった。 緊急解除用パスワードのヒント 001…× 002…× 006…④◯①② 049…◯②③◯ 097…◯⑧④⑦ 101…⑥◯⑦①② 132…◯②⑤⑥②⑦ ①②…キーの時、③④⑤⑥⑦⑧が表す言葉をアンノーン文字で入力せよ 「…これでどうやって解けばいいの?イベント謎より難しそうだけど」 「さぁな、検索可能とはいえジュンショーの解析も無理なら地道に探すか…」 「僕も解析試すけど、謎解いた方が速いかも…」 二者二様で解除を試すのを見ながら、そっと冷蔵庫の中身を拝借して夜食でも作ろうかな… 「っしゃあ!」 10分かそこらでハルトの歓声が響き、ガッツポーズの直後に机に倒れ伏すのが見えた。 「検索可でポケモンネタとはいえこんなとこで没ネタ供養とか覚えてろよクソ作者…」 断末魔に近しい一言と共にパスワードは解除され、ジュンショーがカメラ時間を調整しているテーブルにあり合わせで作ったクラブハウスサンドを置いた。 「とりあえず、カダヴァーの部屋に戻った時刻が20時50分で、そこから僕たち全員で部屋に入ったのが23時ちょうど。いくつか動きはあったから巻き戻して一緒に再度確認するけど、君たちはずっと映ってないから確かに疑う理由はなさそうだね」 「良かった…!」 「その言い方、何かあったんだな」 素直に喜ぶ私が恥ずかしいレベルで事件の方しか興味ないみたい… 「そうだね、一緒に見てもらった方がいいかも」 20時50分にヒステリックな状態のままカダヴァーが部屋に戻って行ったところから映像は始まった。 そのまま何匹か通路を通り、しばらく経った頃にドアが開いてカダヴァーがラウンジの方に歩き、ヤイバンテと何かを話していた。 そのまま数匹と通路をすれ違いながらドアの鍵を開けて部屋に戻った。 「一体何を話していたんだ?」 「その答えも映ってたよ、誰も映ってないから少し早送りして、と…」 映像が21時半になった頃ドアが再び開き、通路を歩くカダヴァーとラウンジから出てきたヤイバンテが出会い、何かの乗った皿を渡していた。 「画質悪いけど、これタルトか?」 「そうだろうね、ここのデザートは食べ損ねるともったいない味だったよ」 「だな、そういやオーナーもラウンジで切り分けに来てたっけな」 そのまま皿を持ったまま数匹とすれ違い、再びドアを開けて部屋に戻って行った。 それから特に何もなく、23時頃に全員でドアを開けるまで再び開くことはなかった。 「ドアはオートロックでカメラ映像を見る限り部屋への侵入者はなし、タルトも切り分けで僕たちも食べてるから毒入りの可能性は低い…」 「つまりこれまでの推理を踏まえれば大分絞り込めるな、オートロックとはいえ鍵持ち歩くとは律儀だな、んまい」 サンドを咥えながらキーボードを叩いてもう一度21時半に巻き戻し再生してるけど、鍵なんて気付かなかった… 「そういえばこのカメラって、技とか使ったら映るのか?」 「この機種では、動画とあとは時刻、これだけか…!」 「逆にそれ以外はポケモンの能力も音すら無理ってことかよ!」 「…とりあえずパソコンは貸してあげるからあとは上手くやってみてね、コーヒーとサンドイッチご馳走様」 「なんでこいつら廊下でウロウロしまくってんだよ、ヤドキングはスマホで通話してるし、ドリュウズはタバコ片手に部屋から出て来てるしさっきのあいつはエアギターしてるし、日付変わったら白いお面付けた奴らが二匹でピッキングして現場に侵入してるし…」 バッチリ狐穴映ってるのちょっと恥ずかしい… 「ざっと流れを確認したんだが、俺たち以外は全員一度以上カダヴァーと接触してるようだな」 「そうなの⁉じゃあその瞬間に決定的証拠とか…」 「残念ながら技も特性も、音すら映らないカメラだ。とりあえず接触あっただけでも収穫だろ」 ネタジンを再生途中だった画面を閉じて、私にスマホのメモを見せて来た。 ☆カダヴァーが部屋から出てきたタイミング ①タルトの注文タイミング ・部屋から出る ↓ ・ジュンショー ↓ ・モーリコ ↓ ・ヤイバンテ(この時タルトをオーダーした?) ↓ ・部屋に戻る(この間部屋のドアに近づく存在なし) ②タルトを受け取ったタイミング ・部屋から出る(この間すれ違うポケモンなし) ↓ ・ヤイバンテ(この時ラウンジ前でタルトを受け取る) ↓ ・ヤス ↓ ・ゴロー ↓ ・部屋に戻る(この間部屋に近づくポケモンなし) 「うわぁ、全員じゃん…」 「ラウンジの反対側はシャワーブースで全員行っても問題ない数あるから問題ないけど、俺たちと被害者以外全員画面外で接触してる可能性も大いにあってな…」 疲れた笑顔で私に笑ってみせたけど、どう見ても状況が芳しくないことだけは確実に分かる。 「大丈夫?さらに複雑になった気がするけどハンニン分かりそう?」 「……拳銃一発で戦闘ヘリ撃ち落とせって言われた気分だな」 「それ無理ってことじゃん!」 そんなこと言ってはみても、ずっと画面とにらめっこしながら考え続けてくれている、この事実がどこか不思議というか、こんな状況だからこそ暗闇に光る灯のようにさえ見えるのはどうしてだろう… 「あぁは言ったがここで折れたら仲良く屠殺場だ、何とか解明してやるよ」 「ハルト…」 「とは言ってもぶっちゃけ状況はヤバい、外傷なき死体に現場は密室、容疑者は一匹減っただけでおまけに文字数あと1000文字だぜ」 「突っ込んだら負けだろうけど、最後のが一番ヤバくない?」 「…なぁ、時間的に有り得ないとはいえこのお面付けた奴らがタイムスリップして殺したとかいう線ないかな?」 「それさっきの私たちだから!気を確かに…!」 いよいよ血迷い始めたハルトをパソコンごと部屋に連れ込んで一旦リフレッシュさせなきゃ… 「ほら、なんか数分でも別のことに集中できることしてリフレッシュするとかどう?」 「…それもそうだな」 普段の言動からは意外なレベルでちょっと素直、疲れてるのかな… 「空き箱とストローあるか?できれば曲がるやつ」 「コンビニの袋にストローあったかな、空き箱はティッシュのでいい?」 「十分、それだけあれば作れる」 「一体何作るの?」 「特定の相手を5種類のコマンドで意のままに操ることのできる機械だ」 「ほえ⁉」 正直そんなファンタジーでもSFでもありえなさそうな機械、ハルトに作れるなんて思えないし、それをミステリーでされたら色々破綻する気が… 「作り方は歌えるレベルだが俺も初めて作る、上手くできたらちょっと付き合ってくれ」 作り方を、歌える…? 「できた、憧れの品がようやく我が手に…!」 2分後、ハルトの疲れかけた目が輝きを取り戻すきっかけになった完成品のそれは、空き箱に平仮名5文字を書き込んだ5つのボタンを備え、曲がるストローをアンテナとして機能させた、テレビでたまに見かける全世界のお父さん操縦用スイッチのそれだった…! 「なぁ、いいか?」 「いや、そんな目を輝かせて言われても…」 「してくれる相手を失くしてから知ったせいでずっと夢だったんだ、頼む」 「…特別だけど、私雌だからね」 小さい頃はお兄ちゃんと一緒にお父さんを操縦した記憶あるだけに、そんな頼まれ方したらちょっと弱い。 それにこの一件がなかったら、きっと断ってた… 「おまえさんスイッチ、【あ】」 「……よしよし、わしゃわしゃ」 「…なんで急に顎下触って来るんだよ」 「…【あ】ごしたをなでる」 こんな時でもお前呼びのままなのがちょっと癪で少し強引な選択肢を取ってる私に自分でも驚いてる。 「…んぉっ、おまえさんスイッチ、【い】」 一瞬聞こえた声に少しの勝機を感じたけど、すぐに反撃が来て慌てて脳内wikiで【い】から始まる単語を探す羽目になった。 「…ハルトっていつも無愛想で病弱設定で学校サボりまくってるくせに、バイトでカスハラを追い払ってくれたり今日も庇ってくれたりで肝心な時だけ格好いいよね」 「…おい、【い】で始まってねぇぞ」 「【い】いこといってあげる」 「……自分で言うなよな、別に嫌って訳じゃねぇけどよ」 目を逸らしながら言わないでよ、別に珍しく嬉しそうな言動に満足してる訳じゃないけれど。 けれどもこれなら、【お】まで行かないうちにあの無愛想を治せそうな気がして来た…! 「【う】しろから抱きつく…!」 「そもそもスイッチ押してねーぞ!」 流石に動揺されたけど、【え】と【お】でいい感じにスクエアで出せそうなのがなかったしわりと最後の一手かもね… 「……これは私からのせめてものお礼、一時期だとしても生涯二度目の大ピンチから救ってくれたことのね」 「二度目?ともかく俺は自己保身しただけだ。現に殺した奴も殺し方さえも分かってないってのによ…」 「それでも戦ってくれてるから、今こうして話したり抱き着いたりできるんだから…」 「……」 「あの時、ハルトが威嚇してみんなを止めてくれなかったらきっと今頃は一晩中閉じ込められて罵声を浴びせられて…」 パシュウウウン! 暗闇の背景に斜めの白線が突き抜けたようなカットインが入る、そんな光景の主役になったとでも言わんばかりの反応をハルトがしたことは後ろからでも分かった。 「そうか分かったぜ!ハンニンの使ったトリックが!」 「本当なの⁉」 「あぁ、だからあいつはあの時あんな行動を…」 ゆっくりと立ち上がるその姿は、もはや獲物を追い詰めた悪タイプの笑みに変わっていた。 「お前のおかげだな、セイラ」 「今、私の名前…」 「今すぐラウンジに全員集めるぞ、俺たちに濡れ衣着せた真ハンニンを怒りの業火で炙り出してやろうぜ!」 to be continued… #hr ハルト「残念なお知らせだ、文字数がなくなった」 セイラ「よくあるよね、って文字数⁉」 ハルト「いわゆる事件編で1万5千字使い切ってたらもう解決編書けねぇな…」 セイラ「まさかこの状態で企画参加する気じゃ…」 ハルト「そのまさかだ、心配せずとも作者には脅してでも解決編書かせてやるよ」 セイラ「うっかり殺さないようにね、というより皆さんすみません…」 ハルト「お前は悪くないだろ、どうせいつものように作者バレするのは時間の問題だしこの際ガチの推理をみんなに楽しんでもらおうぜ?」 セイラ「わりとありそうでなかった展開かも?良かったらお時間ある時にでもお楽しみください!」 ハルト「防犯カメラのパスワードも謎解きの腕に自身あるなら解いてみてくれ、検索可ではあるがカタカナ6文字の音楽用語になったら正解だぜ」 「つまり、この犯行に及ぶことができたのは他にありえない…」 「私に濡れ衣着せておいて、絶対逃がさない!」 「セイラ、無茶な深追いはやめろ!」 「拳銃一発で、戦闘ヘリを撃ち落とせ、か…」 Next novel ハンニンだらけの推理小説(解決編) 作者のモチベ維持できたら書きます! %%Next pokemon's hint ~タルト~%% 次回 おたのしみにね