writer is [[双牙連刃]] 去年のクリスマスにドーブルパークにてアップしたものをこっちに持ってきました! 多分変なところあります…出来れば報告をお願いします! では↓から… ---- 特にする事も無いから外に出てみたんだ。友達は全員予定があるって言ってたし、やる事も行く場所も無いけど。 でも、少しだけでも雰囲気を味わいたかった。……軽く空しくなるのは分かってるけどさ。 本当だったら嬉しい日なんだよ。子供とか、一部の牡は普通に嬉しいだろうけどさ。 でも、俺みたいにパーティーへの招待も無く、独り孤独に今日と明日を過ごす事が確定してる奴には辛い日さ。心構えが無い奴が外出なんかしたら発狂するだろうさ。 今日は……クリスマス・イブ。幸いまだ朝早くなお陰で、リア充と呼ばれる現在の俺の天敵達は少ない。 それでもやっぱり目に付くのはカップル。分かってはいたさ……そういう日だからな。 はぁ……クリスマスを独りで過ごさないといけないのはなかなか寒いぞ……体も心も。 辺りはイルミネーションで煌びやかになった街が広がってる……それを見て「綺麗だね~♪」なんて言ってる彼女を連れている牡、あぁ、妬ましい……。 いっその事、この辺り全域に俺の力で普通の町並みに変えてやろうか。……止めておこう。そんな事しても、この心に吹き抜ける北風は止みそうに無い。 こんな事なら、友達のパーティーにでもふら~っと参加すれば良かったかな……それはそれで、誘われてもいないパーティーに無理矢理参加する寂しい奴と思われてたか。ははははは……はぁ……。 ……決めた。飯でも食べてさっさと家に帰ろう。このままカップルが増えていくであろう外を散歩し続けるのは死亡フラグだ。惨め死にする。 「幾らぐらいあったかな……ん?」 羽織ったコートのポケットから財布を取り出して中身を確認してたら前方が騒がしくなってきた。 なんだ? 覚悟の無い奴が外出して辺りの様子に発狂したか? どうやら違うみたいだな。何かが……こっちに走ってきてる。 「わぁぁ~! 危ないよー! どいてどいてー!」 先頭を走ってるのは……白饅頭? 冗談だよ。確か、ねこいたちポケモンのザングースとかいうのだ。 って……その後ろ大変な事になってるんだけど。ガラの悪そうなポケモンが十匹位走ってきてるんだけど。 あのザングース追われてるのか。クリスマス・イブにそんな事になるとは可哀そうに。でも俺には関係無いね、さっさと避けようか。 ……横にあった小さい脇道に俺は避けたんだ。そう、避けたんだ。大事な事だから二回言わせて貰った。 なのに……。 「なんでこっちに逃げてくるんだよぉぉぉぉ!」 「だってこっちの方が道狭くなってるから逃げ易くなるかなって思ったんだもん! とにかく走って走って! あなたが止まったら私あいつらに捕まっちゃうよー!」 この道はポケモン一匹がある程度ゆったり通れる程度の幅。二匹は……ちょっと無理かな。だから俺もこのザングースと走る事になってる。 止めてくれよ~、後ろから「待てコラァ!」とか、「血ぃ見せんぞこの牝猫がぁ!」とか言ってるのが聞こえてくるんだけど。おまけに「前のゾロアークもやっちまうぞぉ!」とか聞こえたんだけど。全く関係無いのにかなりピンチなんだけど。 「勘弁してくれよ! なんでクリスマスにこんな事になるんだ!」 「私だって知らないよ~!」 逃げ切る為には何をしなきゃならない!? どうすれば奴らを振り切れる!? あ、振り切る必要なんか無いんだ。夢でも見てもらってさっさと満足してもらおう。 「もうすぐこの通路は終わる! いいか、出たら右に曲がるんだ! 右だぞ!」 「ふえぇ!? わ、分かった!」 俺だけ助かっても後々夢見が悪そうだから、このザングースも助ける事にしよう。あくまでついでぐらいの気持ちだけど。 よし、終わりが見えた。出る前に……幻影を発動させる! そして右に曲がる! よし、後はあいつらが通るのを待つ……って! 念を押したのにザングースの奴左に曲がってるし! 間に合うか!? 「くっ!」 「ひにゃぁ!?」 間一髪……覚えてて良かった高速移動。ギリギリ後ろの奴らにぶつからずに済んだ……。 声を出されると全部パァになるから口も抑えさせてもらう。後は全てが終わるのを待つだけだ。 「この野郎やっと諦めやがったか! やっちまえ!」 おーおー何にも無いところに踏み付けやらパンチやらしてるよ。地面のアスファルト殴ってるだけなのにも気付いてないところを見ると、上手く幻影に掛かってるみたいだな。 抑えてるザングースが震えてるのが分かる。苦しいわけじゃないよな? 鼻は塞いでないから息は出来てるだろうし。 「けっ、これに懲りたら舐めた真似は二度としないこったな!」 終わったかな? うわっ、唾吐いていったし。本来ならあれを自分がされたと思うとゾッとする。 脇道の様子を見て……よし、全部行っちゃったな。もう大丈夫でしょ。 「んー、んー!」 「あっと、ごめんごめん。今放すよ」 そういえば無意識に抱き締める形になってたな。まぁしょうがない。……それで大丈夫か? いや、大丈夫じゃなくてもやってしまった事実はどうしようもないし、仕方ないよな。 パッと両手を離してハンズアップ。 「ぷはぁっ! あービックリした。いきなりだから驚いちゃったよ」 「悪いとは思うけど、右に曲がるように言ったのに左に曲がっちゃうもんだからどうしようもなかったんだよ」 「あれは私が悪かったよね。右に曲がらなきゃとは思ってたんだけど、体が勝手に左に曲がっていっちゃってね。てへへ」 舌ペロって出しながら笑うとか……不覚にもちょっと可愛いと思っちゃったよ。 「ねぇねぇ、さっきのやつ等何で地面苛めてたの?」 「ねぇねぇ、さっきの奴等何で地面苛めてたの?」 「あ? あぁ、あいつ等は俺達を散々殴っていったんだよ。ただし、俺が幻影の力で見せたのをね。見るかい?」 自分達には見えないようにしてた幻影を見えるようにしてみた。……捨て台詞吐いていってたけどこんなボロ雑巾になるまで殴ってたのかよ……怖い怖い。 ってかやっぱり俺も無残な姿になってるし。なんで? 巻き込まれただけで死に掛けたって事だよね? 良かったー俺ゾロアークで。 「ひっ……わ、私……捕まってたらこんな風になってたって……事?」 「だろうね。一体何したんだい? かなり怒らせてたみたいだけど」 「こんな事されるような事はしてないもん……ただ、一人でお散歩してたら変なおじさんが声掛けてきて、無理矢理どっか連れてかれそうになったから爪で引っ掻いたけど」 それが運悪くヤクザか不良の偉い奴だったってところかな。ついてないねこのザングース。 「なるほどね……まぁ、これだけボコボコにしていったんだ。もう狙われないと思うよ」 いい加減幻影消そう。見てると痛々しくて堪らない。 全く……こんな事に巻き込まれるとは思いもしなかったよ。ついてないのは俺も同じだったか。 これ以上余計な事に関わるのはごめんだし、早く何か食べて帰ろう。いや、すぐに帰って寝よう。そうすれば今日なんてすぐに終わっちゃうさ。 「あ、待ってよー」 「んう!?」 コートの端掴まれたし。なんだって言うのさ? もう助けたからそれでいいでしょ? 「お礼もまだ言ってないんだからちょっと待って。私、ニコって言うの。助けてくれてありがと♪ ねぇ、あなたはなんて言うの?」 ニコか……名は体を表すって言うけど、笑ってると凄く可愛いな……。 あぁ、名前聞かれてるんだから一応答えなきゃ。 「……ロクウェル」 「ロクウェルね。うん、覚えた」 覚えられても、もう会う事なんて無いだろうけど。……覚えとくだけなら全然問題無いよね。 あの……名のったんだし、コートを放してほしいんだけどな。 「まだ何かあるの? そろそろ放してほしいんだけど」 「えっと……ロクウェルさ、今日何か……予定あるの?」 「はい? いや、無いけど……」 いきなり呼び捨てですか? 別に構わないけど。 そしてそんな事聞いてくるなんてどういう事? 一緒に過ごさない? とか言われるなら割と嬉しいけどさ。 「だったらさ、私と何処か行かない? 実は、する事無いからお散歩に出たんだ」 ……本当に誘われちゃった。いや、どうしよう……今日ばったり会った子とクリスマス・イブを過ごすなんてサプライズ、起きるなんて思わなかった。 「えっと……ニコ、って呼んでもいいよね? 君、牝だよね?」 「えっ、牡だと思った? 失礼しちゃうなー。胸とかだってちゃんとあるよ」 いや、そんなに胸張られても困るし、白いコート着てるんだから分からないって。 あ、でも膨らんでるのは分かる。って、牝ならちょっとは自重してくださいよ。 「いやごめん。一応聞いておかないと、間違ってたら余計失礼だしさ。脱線したけど、俺が聞きたいのは、今日知り合った程度の俺と過ごすなんて良いのかと思って」 「え? 全然いいよ。本当は、皆彼氏と一緒なのに私だけ独りな寂しいなと思ってたところだし」 「え? 全然いいよ。本当は、皆彼氏と一緒なのに私だけ独りなの寂しいなと思ってたところだし」 ……警戒心とか無いの? 俺がもし悪いポケモンとかだったら襲われかねないのに。 「それに、ロクウェル良いポケモンそうだもん。悪い奴だったらこんな風に助けてくれないだろうし、話してる暇があったら私なんか襲ってるだろうしさ」 なるほど、ある程度考えた結果の提案だったのか。それでも見知らぬ牡のゾロアーク……悪タイプのポケモンを誘うのはどうかと思うけどね。悪タイプ、柄の本当に悪い奴なんてざらに居るし。 それに俺はばけぎつねポケモンだよ? 相手を騙すのが言わば仕事。良い奴のふりするなんて簡単にやってのけるのに。……間違わないでほしいけど、俺はそんな事してないからね。これが素です。 「ねぇ……駄目、かなぁ?」 そんな上目遣いは反則だよ……俺みたいにあまり牝と付き合った事ない牡にはメロメロと同程度の効果あるってマジで。 「いや、俺も今日は予定無いし、ニコが良いならいいけど……」 「本当! やったぁ♪」 恥ずかしげも無しに抱きついてきちゃうのね。俺が恥ずかしいよ。顔から火炎放射どころか煉獄出るよ。 何はともあれ、家で寝て終わりのクリスマスよりはマシになりそうだな。 ---- とりあえずある程度賑やかな通りまで出てきた。……俺一匹だったら来なかっただろうな。周りカップルだらけ。幾ら覚悟してたとしても発狂してたかもしれない。 隣にニコが居るだけでこれほど心が楽になるとは……まぁ、俺達の場合カップルじゃないにしてもだけど。 「わー、周りカップルだらけだね。流石にここに一匹じゃ来れなかったかな。よかったぁ、ロクウェルが居てくれて」 「役に立ててるなら良かったよ。これからどうしようか? このままただブラブラして終わるのも味気ないし」 実はちょっとこの状況だけでも満足してる俺が居るのだけれども、どうせ今日だけのカップルなら少しでも楽しい思い出作りたいしね。 ニコが顎に指を添えて、ん~って言いながら考えてる。……仕草がいちいち可愛く見えちゃうな。これも牝と付き合う経験が少ない所為か……。 「走ったからお腹空いちゃったな。まずは何か食べようよ」 「食事ね。分かった」 ん~、手持ちが大丈夫かな? ……高い食事は無理だな、他に何も出来なくなる。 それでもファーストフード店っていうのは避けたいな。せめてファミレスくらいは行きたい。 適当に店を見ながら良さそうなところに入ろうとしてるんだけど……いかんせん昼飯時になったのがいけなかった。何処もいっぱいになってる。 空いてる店もあるけど……値段がヤバイ。 そういえばニコに何が食べたいか聞いてなかったな。高い物は言ってくれないでくれよ。 「ニコ、食べたい物のリクエストはあるかい? 叶えられる範囲でなら聞くけど」 「う~ん、どうせならケーキとぉ、フライドチキンくらい食べたい!」 ……なんとかなりそうだな。あまり高いケーキはきついけど。 お、手頃な店見っけ。ケーキもあるし、フライドチキンもあるな。 「丁度良さそうだからこの店に入ろうか」 「うん! ……あっ! どうしよう……」 「どうした?」 「散歩のつもりで出たから、お財布持ってきてない……」 そういう事か。元々奢る気だったから気を落とす事無いのに、耳まで垂らしてる。 ……なんだろう、少しドキドキする。これ、もしかして……。 「いや、とりあえずは俺が奢れるから心配しないで。さっ、入ろう」 「えっ、いいの?」 「もちろん」 扉を開けてエスコートの真似事のしてみた。 「さっ、どうぞ。お嬢さん」 「えぁ……ちょっと、恥ずかしいよぉ」 「いいじゃない。ほら……」 「う、うん……」 手を差し伸べて、店の中に招き入れてあげた。恥らってるのがまた可愛い……。 後は適当な所に座って、食事を楽しむとしようか。 まぁ、だいたい30分くらいかな。喋りながらゆっくり食べてたから割と時間掛かったな。 注文したのは、俺がフライドチキンとサンドイッチ。後はコーヒー。 ニコは注文通りケーキとフライドチキン。飲み物はジンジャーエール。なかなか渋い物を注文したから驚いたよ。 誰かと、それも牝と食事するなんて久しぶりだからちょっと緊張したよ。 「美味しかったー。ありがとう、ロクウェル」 「どういたしまして」 あまり長居しても仕方ないからお店は出たけど、これからどうしようかな? こういうのって、ある程度事前にプランを立ててからするタイプなんだよね、俺。 だからポッと出のこういう状況って苦手だよ。どうすればいいかな……。 あ、考え事してたらニコが居ない……と思ったら誰かと話してる。あれは、サンタの格好してるけどエンペルド……だな。 あ、考え事してたらニコが居ない……と思ったら誰かと話してる。あれは、サンタの格好してるけどエンペルト……だな。 戻って来た……どうしたんだろう? 「あはは……バイトしないかって誘われちゃった。サンタの格好してお客集めしてくれないかって」 「そうなの? あ、もしかして……」 「うん、受けちゃった。これでさっきの分のお金も返せそうだし」 そんなの気にする事なかったのに……バイトするってことは、その間は俺は独りになるんだし……。 「で、彼も一緒なんだけどいいか、って聞いたら「働き手は多い方が良い」だって!」 「え? それは……俺もバイトしろって事?」 「駄目かなぁ? ほら、一緒にやれば楽しいと思うし♪」 ……やれやれ、今日はサプライズが多いとは思ってたけど……まさかバイトまでする事になるとは思わなかったや。 乗りかかった船だ。もう引き受けちゃったみたいだし、一つ、頑張るとしようか。 「駄目も何も、もう引き受けちゃったんでしょ? 着替えるところまで案内してよ」 「やった! こっちだよ!」 サンタの服ねぇ……デリバードとかなら似合うだろうけど、俺にはどうなんだろ? 黒いサンタ……あまり良いイメージ無いと思うんだけど。 とりあえずは着たし、帽子も被ってと……鏡見る限りではそれなりかな。 さて、ニコの方はどうかな? 「ロクウェル~。準備出来た?」 「出来たよ。お披露目といこうか」 実は仕切られてはいるけど、この更衣室は繋がってるみたいでね。会話は普通に出来たよ。 で、さっき話してる時に、同じタイミングで此処を出て、両方の姿のお披露目をしようって事になったのさ。 さて、ニコはどんな感じになってるかな? 「お待たせ~。あ、ロクウェル結構似合ってるね。……なんで下向いてるの?」 「いや、特に意味は無いけど、出てすぐに見るのは面白くない……かなと……思って……」 ちゃんと向き合ってから見たいと思ったからだよ。ニコの事を……。 「どう? 似合ってるかな?」 「あぁ……可愛いよ、ニコ……」 サンタの服を着たニコは……本当に可愛かった。元々白い毛と赤い毛のコントラストだったから似合うとは思ってたけど、これは……予想以上だ。 「あ、あんまりじろじろ見られると恥ずかしいってば。ほ、ほら行こう。私達バイトしに来たんだからさ」 「そ、そうだね。行こうか」 どうしよう……これは今日だけの付き合いなんだよ? でも、ニコと居るとどんどん楽しくなってくるし、ニコがどんどん可愛く見えてしょうがない。 こんなクリスマスになるなんて思わなかった……いや、まずは受けたバイトをこなそう。受けたのはニコなんだから、俺がやらないとニコに迷惑掛かるからな。 五時間ほど、俺は看板を持っての客引き。ニコはチラシ配りをやるみたいだ。 じゃあ、頑張るとするか。 ---- 終わった頃には夕方になってた……まぁ、臨時収入にもなったし、本来は何もしない日だったのが有意義に使えたからよしとしようか。 「お待たせ~。ごめんね、ちょっと交渉してたら遅れちゃって」 「交渉? ……ん? その手に持ってるのは……」 「さっき着てたサンタ服! ロクウェルが似合ってるって言ってくれたから貰ってきちゃった! この季節にしか使わないし、おまけであげるって♪」 「ははっ、それは良かったね」 街が夕日に染まってる……もうすぐ、クリスマス・イブが終わる……。 ……それはつまり、ニコとのお別れって事なんだよな……。 そういう話だったんだし、当然だよな。そもそも朝、偶然に遇っただけなんだし……。 「夕日……綺麗だね。でも、私はホワイトクリスマスの方が好きだなぁ。雪が降ってる方が、クリスマスだ~って感じがするもん」 「今年は雪が降らないって天気予報で言ってたっけ……」 「うん……残念だなぁ」 沈んでく夕日が、このまま止まってほしいなんて考えたのは初めてだよ。今日が、終わってほしくない……。 おかしいよな。本当に、偶然出会っただけの子と別れるのがこんなに悔やまれるなんて。ただ単に、一日一緒に居ただけなのに……。 ……最後の思い出が、一緒に夕日を見たって言うのは……なんかやだな……。 そうだ! 出来るじゃないか! 俺には、ありえない筈の物を『見せる事』だけは出来るんだ! 「ニコ、少しだけ……目を閉じててくれる?」 「え? 何するの?」 「いいから。俺からの、ちょっとしたクリスマスプレゼントさ」 「ん……分かった」 よし、ニコが目を閉じたのは確認した。 ……俺の幻影には、こういう使い方もあるのさ! 背景は、本当はクリスマスツリーが輝く夜景とかの方が良いだろうけど、夕日で勘弁してね……。 「さっ、もう目を開けていいよ」 「はーい……うわぁ、これ、雪!?」 「俺が幻影で作ったのだけどね。……今日最後の思い出にしてはお洒落でしょ?」 「凄いよ! 夕日に照らされた雪……綺麗……」 うっとりした目で見てくれてるみたいだ……良かった。 「最後……そうだったね。私が、今日一日って言って、ロクウェルを誘ったんだったね。楽しかったから忘れてた」 「うん。今日は俺も楽しかったよ。ありがとう、ニコ……」 「……本当はね、私……今日は予定があったの。ある筈だったが正解だったんだけど」 「ある……筈だった?」 「うん。友達とね、遊ぶはずだったの。でもその子、急に行けなくなっちゃったって……」 「それで、散歩に出た?」 「そう。……ごめんね、ロクウェル。今日知り合ったばかりの私の我がままに付き合って貰っちゃって」 「気にしないでよ。俺も一日、なんだかんだで楽しめたし」 ……お別れ、だね。この雰囲気は。 「そうだ! プレゼント貰ったんだからお返ししなくちゃ! ちょっと目、閉じててくれる?」 「? いいけど……」 なんだろう? お返しなんて要らないのに。それよりもずっと良いもの、貰ったんだから……。 最高の、クリスマス・イブを、ね……。 ……!? 「じゃ、じゃあ私暗くなる前に行くね! 独り暮らしだから色々危ないんだ! じゃあね!」 ……ニコが、走っていく。 俺は、動けなくなってた。唇に残る、柔らかな感触のお陰で……。 ……なんでこんなに、ドキドキするんだろう。そして、なんでこんなに……胸が苦しいんだろう。 分かってる……分かってるよ……。 これは……俺が一目惚れをしたからなんだろうさ。 ニコってザングースの牝の子に……きっと、もう会う事がない、笑顔が素敵な子に……。 ---- 昨日の朝より遥かに気が重い……折角のクリスマスなのに……。 昨日が凄く楽しくて……失った物が凄く大き過ぎて……。 とてもじゃないけど何かする気になれない。それだけ、昨日一日で俺はニコの事を好きになってしまったんだ。 なんで引き止めようとしなかったんだろう……こんなに後悔するくらいならいっそ、思い切って「これからも俺の傍に居てくれないか!?」とか言えばよかったのに……。 窓から見える空は快晴……きっと今日も街はカップルが溢れかえってるんだろうな。余計に外に出る気が無くなったよ。はは……。 今日こそ本当に寝て過ごそうかな……でも目を閉じたら、ニコの笑った顔が瞼の裏に見えるんだ……眠る事さえも出来ないよ……。 もう一度、ニコに会いたい……。 ………コトン 「ん? なんだろう……郵便?」 入り口のドアに付いてるポストから音がした。重たい物じゃない、軽い音。多分手紙だと思う。 郵便屋さんはクリスマスでも働き者だな。俺なんか、昨日一日だけ過ごした牝の子の事を忘れられないでウジウジしてるのにさ……。 何もしたくないと言っても、手紙くらい読もうか。ポストを開けて中を見ると……やっぱり手紙だ。 ……!? な、これ……送り主の名前が……ニコ!? どういう事なんだ!? 俺は住所なんて教えてないぞ! て、手紙の内容は!? 昨日はとっても楽しかったよ。また会いたいです、ニコより 「俺だってそうだよ! ニコ……」 ……ん? この手紙……良く見たら切手も貼られてないし住所も書かれてない! あ、ニコの住所は書かれてる。 でもこれじゃ郵便なんてされる訳無い。……まさか!? 慌てて俺は玄関を開けた。そこには……。 「えへへ……こんにちは、サンタで~す。あなたにプレゼントを届けにきたよ」 昨日バイトで着てたサンタ服を着たニコが、確かに俺の目の前に居る。俺の目に焼きついた、あの笑顔で……。 思わず、何も言わずにニコの事を抱き締めていた。嬉しい……また目の前に、ニコがいてくれる事が! 「苦しいよロクウェル。そんなに抱き締めなくても、私は此処に居るよ」 「……本当に、ニコなんだよな? 夢じゃないんだよな?」 「本当だよ。ロクウェルの温かさ、私今ちゃんと感じてる」 あぁ、俺もだよ。抱き締めたニコ……とても温かい……。 「どうして俺の家が? 教えてないのに」 「へへ、ロクウェルに会いたくて頑張ったんだよ私。昨日会ったところ覚えてる? ロクウェル、あそこを目の前から来たじゃない? だから、それを逆戻りしながら色んなポケモンさんに聞いてみたの。ロクウェルって牡のゾロアークの事知りませんかって。家まで知ってるポケモンさんが居たのには驚いたよ」 確かにあの通りは俺良く使うから知ってる奴が居てもおかしくは無いけど、ニコ凄いな。 「……俺、別れた後ずっと後悔してたんだ。どうしてニコの事を引き止めなかったんだって……」 「私も……キスまでしようと思ったのに、どうしてそれ以上何も伝えなかったんだろうって……そう思ったら、会いたくて……どうしようもなくなっちゃった」 ニコも同じように思ってくれてたなんて……こんなに嬉しい事は他に無いよ。こうやって、またニコに触れられる。それだけで、凄く幸せだ……。 「あの、ロクウェル。抱き締めてくれるのは嬉しいんだけど、ここ、ロクウェルのお家なんだから入れてくれない? 外でこうやってるの、いい加減恥ずかしい……///」 「あぁ、ごめん! 何にも無い部屋だけど、さぁどうぞ」 昨日の食事した時みたいにニコを招き入れる。今度は、俺の家に。正確に言うとアパートだから俺の部屋だけど、そんな事気にしなくていいさ。 俺の部屋にある物といえば、シンクとガスコンロ、後は雑誌なんかを置くラックに箪笥くらいさ。 「へぇ~、牡の子の部屋って、もっと散らかってるイメージあったけどそうでもないんだね」 「ありがとう。そうだ、何か飲む? 外に居たんだから少し冷えたでしょ? コーヒーか紅茶なら出せるよ」 「じゃあ、お紅茶がいいな」 「分かった、すぐに淹れるよ」 「うん」 ……少し体をもぞもぞさせてるように見えたから寒いのかなと思ったんだ。幾らサンタ服着てても寒いものは寒いし。 そういえば、あの格好で此処まで来たのか? 恥ずかしくなかったのか? 「ねぇニコ、ここまでその格好で来たの?」 「え? うん。そうだけど」 「恥ずかしくなかった? 確かに可愛いけど、外歩くのにはあまり向かないと思うんだけど」 「今日はクリスマスだったから、仮装してるくらいにしか思われないよ」 「ははっ、それもそうだね」 「それに、………………」 「えっ? それに何? 後の方良く聞き取れなかったんだけど」 「あっ、いや……なな、何でもないよ。気にしないで」 「そう? 分かったよ」 話してるうちに紅茶も出来た。コーヒーと紅茶は俺が好きだから、それなりに良い物を用意してるんだ。 「さっ、どうぞ」 「頂きます。あっ、良い香り……」 「でしょう? 体も温まるよ」 ゆっくりと紅茶を啜るニコを見ながら、僕も紅茶を頂こう。なんだかいつもより香りが甘く感じるよ。 普段は見慣れた部屋も、そこにニコが居るだけで、いつもより明るいような感じがする。 はぁ、どうせなら俺もニコに会えないか、一か八かでも外に出れば良かったな。そうすれば、もっと早くニコに会えてたかもしれない。 いや、それだとすれ違いになる可能性もあったか……これが良かったんだよな。うん。 「美味しかったー。ロクウェルありがとう」 「どういたしまして」 使い終わったティーカップは受け取って……後で洗えばいいからそのままシンクに入れておこう。 それにしても、まさかニコが家に来るなんて思ってなかったから何にも用意してないぞ。困ったな……。 そういえば、プレゼントを届けにきたって入り口で言ってたなぁ。なんだろう、聞いてみようかな。 「ねぇニコ。さっき入り口でプレゼントを届けにきたって言ってたよね? プレゼントって何?」 「ふふ……気になる? じゃあ、待っててね」 ニコがいつもと違う、少し妖しさを含んだ笑顔を向けてきた……。なんだろう? スッと、ニコが帽子を取った。そして、サンタ服を脱いでいく。 !? えっ、えぇっ!? 脱いだ服の下……ニコの体には、ピンク色のリボンが巻かれてる……。 「……プレゼントだよ、ロクウェル。受け取って……くれる?」 「えっ、あ……あの……」 考えが纏まらないうちにニコがそっと近付いてきて……俺に身を寄せてきた。 頬を赤く染めてるニコが、昨日と比べても遥かに可愛い。 「駄目?」 また上目遣い……駄目だ、可愛過ぎる。 ニコの背中へ腕を回して、そのまま……抱き寄せる。 「俺なんかが、貰っちゃっても良いのかい? 昨日出会ったばかりなんだよ? お互いの事も、まだ良く知らないのに……」 「ロクウェルが優しいのは、昨日で十分過ぎるくらい分かったもん。私……ロクウェルになら、いいよ……」 ニコが俺の事を見上げて、俺達の目と目は合った。何も言わなくても伝わる……ニコが言ってる事は、本当なんだな……。 そのまま、俺は少しづつ首を下げていき……昨日の最後、ニコと別れた時の柔らかい感触が、また俺の唇に触れた。 「ん……」 ゆっくりとお互いの唇の柔らかさを味わって、そして……俺達はお互いの舌を絡ませあっていく。 舌と舌の先が触れ合って、それを少しづつニコの口の中へと滑り込ませる。 絡み、口内を撫でられる度に唾液が交換されていく。濃厚で、狂ってしまいそうなほどの興奮を呼び起こすキス……。 「ぷはっ! ロクウェル、いきなり舌入れてくるなんて……さっきまで遠慮してたのに、どうしたの?」 「ニコだって入れてきたじゃないか。一目惚れだけど、好きになった子とキスしてるのに我慢なんか出来ないよ……」 息を整えて、また、互いの唇を重ねていく。 このリボン……凄く可愛かったけど今は邪魔だな。爪を引っ掛けて……切る。よし、外れた。 そのまま右腕はニコの背に添えて、空かせた左手でニコの胸元をまさぐっていく。 弾力のある胸を揉みしだくと、俺の手の動きに合わせてニコがピクリと反応する。その反応がまた可愛くて、何度も優しくニコの胸を撫で、手に触れた突起をクニクニと弄んだ。 その内に俺は、キスをする場所をずらす。空気を含むようにニコのうなじへとキスをし、そのまま胸へと顔を持ってきた。 「は……ぁん! きゃうぅ……」 舌で傷付けないように胸をなぞって、膨らみの先にある突起を転がす。ニコの艶を含んだ声が漏れ出したことで、俺の興奮は更に加速していく……。 お腹に置いていた左手を、ニコの股へと滑り込ませて……体毛が薄くなっている部分、ニコの、牝として一番大事な部分を撫で上げていく。 「ロ、ロクウェル! そこは……はぁん!」 「大丈夫……俺は君を傷付けるような事はしないから……」 爪で傷付けないように割れ目の輪郭をなぞり、敏感なそこを壊してしまわないように拡げる。 そのまま爪をゆっくり中へと忍ばせる。触れた肉壁は乱暴をすればあっという間に傷が付いてしまうほどに柔らかく、入れた爪へと吸い付いてくる。 「ん、ぅ……そこに何か入ってるの……変な感じ」 「怖くないよ……俺を信じて」 爪を中で動かすのは危険だな……それなら、もっと柔らかい物にすればいい。 爪を引き抜いて、両手をニコの太股に置いて真正面にニコのそこを見据える。僅かに湿り気を帯びてるのが見てとれるよ。 「ロクウェルのエッチ。脚広げさせてそんなところまじまじと見ないでよ」 「ごめんごめん。あまりにも綺麗だからつい、ね」 「……! も、もぉ……」 ニコが恥ずかしがったところで……解す様に割れ目の上を舐め上げる。さっき此処に何か入るのが変な感じだって言ってたって事は、ニコはこれが恐らく初めての体験なんだ。怖がらせたり痛がらせたりしないようにしないと。 ……かく言う俺も、これが二回目だからそんなに上手くは無いけどね。 舐めてる内に膣が引く付くようになってきた。受け入れる準備が出来てきたって感じかな。焦るな、まずは舌からだ。 舐めるのを止めて、舌の先に少し力を入れながらニコの割れ目を拡げて行く。爪は結構すらっとした物だから簡単に入ったけど、あれはそう簡単じゃなさそうだからな。 さっき爪で感じた肉壁の吸いつきを、今度は文字通り味わわせてもらおう。 「ぅあ、中でロクウェルの舌が動いてるのが分かるよぉ……」 焦らず、ニコの中へ舌を這わせる。牝の子の匂いが口の中へ広がってきて、保護の為に出てきた愛液が俺の口の中へ流れてくる。不味くは無い……聞く話では甘いとも聞いた事はあるけど……なんとも言えない、何処か媚薬を口の中で味わってるような感じがする。媚薬なんて飲んだ事は無いけど……。 ぴったりと口を膣にあてがい、愛液が零れないようにした後に舌の動きを早めるようにした。その方がニコも気持ち良いだろうし。 「ふあぁ! ロクウェル……! はぁっ、ぁぁぁん!」 悦に入ったニコの声を聞く度に、理性のブレーキを解いてしまいたくなる。もっと、激しく喘ぐニコを見たくなりそうだ……。 それでもギリギリのところで踏みとどまるんだ。ニコを壊したくない。俺は、ありのままのニコをもっと見たいんだ。 一匹の牝じゃなく、ニコって牝の子の事を、もっと見ていたいんだ。 「何か……来、ちゃうぅ! あぁぁ!」 勢い良く噴出した愛液が、出口で待ち構えている俺の口の中へ流れ込んで、溢れていく。流石に量が多過ぎる。飲むにしても、全部は無理だ。 「げほっ! ……はぁ、はぁ……。結構出たね。すっきりした?」 「体から……力抜けちゃった……! ロクウェルびしょびしょになってるよ!? あぁ、ごめん!」 慌てた様子で俺の事拭こうとしてくれるのは嬉しいけど、脚や体に力入らないなら無理させられない。 なだめるように頭を撫でてあげた。それで少し落ち着いたみたいだな。 「慌てなくてもいいよ。俺が勝手に浴びたんだし、ニコのならそんなに嫌じゃないさ」 おや、今の一言でまたニコの頬が赤くなってく。 「……ロクウェル、優し過ぎるよ。本当だったら嫌がってもいいのにさ」 「しょうがないよ。嫌じゃないんだもん」 笑ってみせる俺を、ジーっとニコが見てる。 と思ったら、次の瞬間には俺は尻餅をついていた。何が起こったか分からない内に、目の前には体を起こしたニコが……。 「ロクウェルは私にしてくれたんだから、私も……お返ししないとね。へぇ……牡の子のってこうなってるんだ」 「わわっ、ニコ!? そんな事しなくてもい……うっ、く……」 少しざらりとしたニコの舌が、俺のモノに触れて、舐めあげていった。 背筋に直接電気を流されたのかと思うくらい、ゾワッとした感覚が流れた。 ニコは俺のを興味深そうに見ながら、その舌で弄んでいく。 「こんなの……汚い……から……」 止めてと言おうとしてるのにその後が続かない。 ニコの為には言った方が良い。でも、心の何処かでこれを続けてほしいと望んでしまってる。最近は自分でもシてなかったから正直気持ち良くて仕方ない。 休み無くニコの舌は俺の愚息を撫でていく。その度に響くピチャピチャって音が、俺に更に舐められている事を自覚させてくる。絶対わざとやってるよなこれ……。 「すごーい。舐めてるだけでこんなになるんだー」 「いや、あの……最近、溜まってたし……」 舐められ始めた時は半勃ちだった俺のモノも、与えられる刺激によってすっかりその肉色の姿を露わにしてしまった。見ないで、とは言えないよなぁ。俺もニコの大事な所見ちゃったし。 「なんだか美味しそうに見えてきちゃったな……えへへへ……」 「やっ、ちょっとニコ? そ、そんな! あ! ぅああ!」 小さく舌なめずりをした後、ニコは……目の前にあった俺の愚息を銜え込んだ。 温かくて柔らかいニコの口の中へ収まった愚息からは、絶えず快感が送られてくる。 舌が巻きついて全体を刺激してきて、吸い上げが否応無く射精感を煽ってくる。 迫り来る射精感を和らげる為に俺は必死だった。仰け反ったり、丸くなったり、何とかして出てこようとする精子を制御しようと必死だった。 でも、そんな俺を見ている筈なのにニコの責めはエスカレートしていく。先端の亀裂を容赦なく舌でぐりぐりと攻め立ててくる。 「だ……ぁ……に、こ……出る……離、して……」 ニコは聞こえてる。俺の声に反応して耳がピクッって動いたから分かる。 それでも離すどころか更に銜え込んでくる。そして、止めだと言わんばかりに吸い上げた。 「あっ! んぐっ、うぁぁぁぁぁ……」 「ぷはっ! にゃぁぁ、白くてベタベタだぁ~」 俺が出す一瞬前……愚息が大きく跳ねようとする正にその瞬間にニコは口を放した。 当然そんなタイミングで離されても俺の方の抑えは効かない。溢れて弾けた俺の精液は、目の前にあったニコの顔を、体を汚していく……。 最後にビクビクと震えて、残りの精液をモノが吐き出す頃にはニコは精液を散々浴びていた……。 久々の精通で俺はかなり疲れた……。でも、今はまずニコを拭かないと。 「ご、ごめんニコ!」 箱ティッシュに手を伸ばそうとした俺は、結局ティッシュを掴む事はなかった。 それよりも早く、ニコの手が俺の頬に添えられて、導かれるように俺達はまた、唇を重ねる。 それは、さっきのように濃厚ではない、唇同士が触れ合うだけのキス。それでも俺に直前の行動を忘れさせるのには十分だった。 「これで、おあいこだよ。ロクウェルだけが濡れてるんじゃ不公平でしょ?」 「え? ……あ」 そうか、浴びたのはわざとだったって事か。ニコなりに俺に浴びせた事への埋め合わせって事? 「で、でも、俺のはベタベタしてるし……」 「えー? 別に変わらないよ。ロクウェルのなら、嫌じゃないよ♪」 それ、俺がさっき言った事……ははっ、敵わないなぁ……。 笑うニコをゆっくりと抱き締める。愛おしい……本当に、昨日出会ったのは偶然でしかなかったのに、今は……ニコが、愛おしくて堪らない。 「……ロクウェル……お願い、聞いてくれる?」 「……分かってるよ、ニコ……」 軽いキスをして、ニコを寝かせる。 これから、俺が一つになるニコの体をゆっくりと眺めさせてもらおう。 無理をすれば壊れてしまいそうだ。僅かに震えてるみたいだし……やっぱり怖いんだよな。初めてなんだし。 心配を和らげたいから、頭を撫でてあげた。目を細めて喜んでくれてる。焦らないで、ゆっくり行こう。 自分の愚息を彼女の恥部に近づける。先端が……触れ合った。 「じゃあ、挿れるよ……」 「う、うん……お手柔らかにね?」 「分かってるよ。俺を信じて」 「うん、信じてる……」 僅かに力を込めて、触れ合っていた先へと進んでいこう。 温かい……それに、凄く柔らかだ。俺を受け入れてくれているのが伝わってくる……。 「ロクウェルの、凄く……熱い」 「だって、ニコと……一つになりたいから、ね」 中で何かに触れた。これは、ニコの純潔の証。これを超えれば、俺は本当にニコと一つになれる。 「ちょっと、怖い……かな」 「大丈夫。俺が居るから……怖くても、我慢しなくていいから……」 震える唇にキスをして、進むのを再開する。拒むように純潔の証は進むのを阻む。それでも、これを破る為に俺は力を入れていく。 やっぱり痛いんだな、ニコが急に抱きついてきた。焦らないようにゆっくりと頭を撫で続けよう。大丈夫、もう少しで終わるから。 ぱつんと、拒み続けていた門は弾けた。同時にニコの手にグッっと力が入り、爪が俺の背に軽く食い込んだ。 こんな痛み……ニコに比べれば屁でもない。ニコは我慢したんだ。俺だって耐えてやるさ。 更なる奥へと進む事が出来るようになって……俺のモノが全てニコの中へと収まった。 「ニコ、よく頑張ったね」 「はぁ……はぁ……だって、ロクウェルと一緒だもんね」 包むように、ニコを抱き寄せた。鼓動が重なって、本当に一つになったみたいだ……。 「私の中に、ロクウェルが居るのが分かるよ。熱くて、脈打ってる」 「俺達、一つになってるんだ。ニコに包まれてるのが嬉しい」 「……動いて、ロクウェル。もっと、あなたを感じたい」 「もう大丈夫なんだね?」 「うん!」 一つ深呼吸して、焦りを払拭しよう。大丈夫、ニコと俺は……もう繋がってるんだから。 腰を浮かせて、外れない程度まで引き抜く。動くといっても、抜けてしまうのは嫌だから。 そしてそれを……一気にまた押し込む! 「ふあぁぁぁぁ!」 「んあぁぁぁぁぁ!」 激しい快感が押し寄せてきて、思わず声をあげていた。 ジュプジュプと音を立てながら愛液をかき混ぜ、ニコの膣を掻き分けていく。何度も、何度も。 動く度にニコの膣は締め付けを強くしていく。これが、さっきまで柔らかく包んでくれていた肉壁と同じとは思えないくらいだ。 「ロクウェルぅ! す、ごいよぉ! 突かれる度に、おかしくなっちゃいそぉ!」 「ニコ、最高だよ! 凄く、気持ちいい!」 貪るように互いの口内を犯し、ぶつかり合う体と肉の感触に俺達は酔っていた。 体が重なる度に、ニコとの距離が近付いていく感覚……心が響きあうような、不思議な安心感。 出会いは偶然だったかもしれない。でも、俺達は望んでいたんだ。この出会いを……。 自分にとってかけがえの無い、最高の相手との出会いを。そして……俺達は出会えたんだ。 「俺……もう……!」 「お願い! 私に、ロクウェルを頂戴! 私の全部を……あなたにあげるから!」 「あげるよ! 俺の……これからも! ニコおぉぉぉぉぉ!」 「ロク……ウェルぅぅぅぅぅ! にゃぁ、ああああああぁぁぁぁぁああああ!」 離れないように、抱き合いながら俺はニコの中に精液を放った。 脈打ちながら、次々と白濁とした液がニコの中を満たしていく。 止められない、いや、止める必要が無いんだな。 俺の全てを、ニコにあげよう。それが……ニコを貰う、俺の義務。 「いっぱい……出てる……」 「うん……ニコとずっと……一緒に居たいから……」 「ありがとう、ロクウェル……」 「ありがとう、ニコ……」 抱き締めあったまま、俺達は眠りの中に落ちていった。 お互いに、最高のプレゼントを貰った幸せに包まれながら……。 ---- 俺は今、今年のクリスマス最後の散歩に出てる。街に飾られている一番大きなクリスマスツリーを見に行く為に。 道行くポケモン達が皆こっちを見てるんだけど、どうしたんだろう? 特に目立った格好もしてないんだけどな? いつものコートだよ? 「ね、ねぇ……なんで皆こっち見てるんだろ?」 「さぁ? コートは着てるし、おかしいところは無いと思うんだけどね?」 隣のニコも不思議そうにしてる。腕は組んでるけど、それは他のカップルもしてるし……注目を引くような要素は無いと思うんだけどな? イルミネーションで輝く夜の街は綺麗だ。いつもなら、こんな時間に出歩かないから新鮮だな。 ……あ、クリスマス限定の話ね。 惜しいなぁ……こんなに良いクリスマスも、もうすぐ終わるんだ。正直、名残惜しいよ。 「あ、見えたよロクウェル」 「本当だ。うん、綺麗だね」 「……ねぇ、私とツリー、どっちの方が綺麗?」 悪戯っぽく笑いながらそんな事聞いてくるのね。どう答えようかな……君の方が綺麗だよ、はありきたりだって言われそうだし。 「そうだな……ニコにはニコ、ツリーにはツリーの綺麗さがあるよね」 「え~? そこはやっぱり「君の方が綺麗だよ」って言おうよ~」 あれ、当てが外れたな。どうしよう。 上手くフォロー……出来るかな? 「比べる必要なんか無いんだよ。ニコは可愛くて綺麗、それは事実なんだから」 「え、にゃ……ロクウェルはなんでそういう恥ずかしくなる事言っちゃうかな~///」 「本当のことだから、さ」 もじもじしちゃった。俺は本当に思った事と事実しか言わないよ。ゾロアーク的にそれで良いのか疑問はあるけど。 ツリーの傍まで来た。……やっぱり周りが俺達の事見てる……どういう事だ? 「あれ? ニコじゃない!?」 「……ステア? 何でこんな所に居るの? 確か、クリスマスパーティーに誘われたから今日は忙しいって……」 ん? ニコの知り合いかな? マフラーを首に巻いてる牝のギャロップがこっちに来た。 「あぁ、あの子ステアって言うの。昨日話したと思うけど、本当だったらクリスマス一緒に遊んでた子」 「そうなんだ」 「ニコ~。……そ、そのカッコいいゾロアークさん何!?」 「え? 私の彼」 ステアってギャロップの子、聞いた瞬間に固まっちゃったよ。……俺、カッコいいなんて初めて言われたぞ。 あ、首振って正気に戻ったみたいだ。 「ちょっと頭の整理させて……ニコって、最後に会った時には彼氏なんて居なかったよね?」 「うん」 「じゃあ、彼は何!?」 「昨日知り合って、今日告白しあって付き合ってるの」 「……うそぉ!」 「えっと……本当です」 今度は唖然とした……なかなか表情豊かな子だな。 「そ、そんな……私だって作ろうとしたのに……それに、そんなカッコいいポケモンとなんて……う、う~ら~ぎ~り~も~の~!」 そして走っていったー! なんか凄い子だなー。 「私と遊ぶの断ってそんな事してたのね……」 「ま、まぁ……失敗したみたいだけどね……」 カッコいい、か……パッとしないとか、居たの気付かなかったとかは言われた事あったけど、これは本当に初めてだ。 「……ん!? お前……ロクウェル、か!?」 「あ、カッツァ……」 ニコに続き俺のダチも現れたぞ。まぁ、クリスマスの最後くらい皆ツリー見に来るか。 こいつはゴウカザルのカッツァ。まぁ、クリスマスパーティーで彼女作るぞーとか意気込んでたな。 「……本当にお前ロクウェルか? なんかもっと冴えない感じだったろお前」 「いきなり現れて失礼三昧だな。何してるんだよ」 「終わり行くクリスマスを惜しんでる……わけねぇだろこのヤロー! 最後の悪あがきじゃ~」 ようはナンパか。そういう奴ですよ。 「ところで、そのザングース誰よ? ま、まさかお前もナンパリストか!? しかも成功!?」 「変なものに入れようとするな! それに、ニコは俺の彼女だ。ナンパした訳じゃない」 「こんにちは。へぇ~、ロクウェルの友達なんだ」 「……なん、だと? か、彼女!? 嘘だろ!?」 さっきのステアって子よろしく、固まってるな。 うぉ、自分で自分にビンタした。 「信じないぞ! だってお前、クリスマス前は彼女なんか居なかったろ!」 「あぁ、ニコとは昨日……」 「うわぁぁぁ! 聞きたくない! リア充弾けとべぇ! 幸せオーラ出しやがってぇぇぇぇ!」 ……走っていった。うん、気にしないでおこう。 「元気なゴウカザルさんだね……幸せオーラかぁ……えへへへへ」 「ん? どうしたの?」 「周りのポケモンさん達が見てくるのもその所為かもね。だって私……今凄く幸せだもん」 「はは……それなら、俺も納得かな」 俺の腕にキュっとくっ付いてきたニコの頭をゆっくり撫でてあげた。俺も今、幸せだ。 夜空に映えるクリスマスツリー……これで雪が降ってれば、昨日俺が作った幻影の完成系なのにな。 ……なんでしないかって? さっきので疲れた所為か、上手く幻影が作れないんだよ。昨日の夕方みたいに、雪の幻影作りたいところだけどな。 「……ツリー、綺麗だね……」 「あぁ……」 「私、今年のクリスマスは絶対忘れないよ。だって、最高のプレゼントを貰えたもん……」 「俺もだよ……絶対に無くしたくない、最高のプレゼントだ……」 笑いあって、そのまま抱き締める。他のポケモンの目なんて気にしないさ。 「……あっ! ロクウェル見て!」 「これは……雪だ」 「もしかして、またロクウェルが?」 「いや、さっき試したけど、疲れてる所為か幻影が上手く使えなかったんだ……それに、これは冷たいし……本物の雪だよ」 降らないって言われてた雪……ははっ、サンタからの本当のクリスマスプレゼントかな。だとしたら……最高過ぎるよ。 ヒラヒラと舞い落ちる雪に包まれながら、俺達は、このクリスマス最後の口付けをする。 これから始まる幸せが、決して終わらない事を祈るように……。 ---- 後書き~ 全くもって官能表現が久々で陳腐! ……おっそろしくブランクがあるのですよ。 そして容量が多過ぎてパソコンの処理が非常にラグい。頑張れCP! コメントはこちらへ #pcomment