#freeze
#include(第九回短編小説大会情報窓,notitle)
「何? 奴がエントリーしているのか?」
ルカリオのクラムジイが暮らしている娯楽の町の闘技場では、自分の闘いを見世物にすることで給料やおひねりをもらえる興行が定期的にある。娯楽の町というからにはブラックな仕事や闇の深い仕事はいくらでもあるが、闘技場のオーナーが比較的清廉なポケモンということもあり、実力一つで食うに困らなくてすむ闘技場の選手は彼の出した結論だった。
さて、次の興行が一週間後に迫っていることを思い出したクラムジイ、出場手当だけでも逃しては損とエントリーのために闘技場を訪れたわけだが、そこの出場受付のハピナスから珍しい名前を聞いた。
「はい、奴に間違いありません」
昔、クラムジイには好敵手がいた。出会ったのは闘技場で選手稼業をはじめてからのことだったが、年がごく近く実力も伯仲していたこともあり一時は闘技場での話題を二頭で攫ったこともあった。私生活の面でも深く付き合っていたが、奴が大怪我をしてどこかに治療か何かのために消えてからは会っていない。いつか帰ってくるだろうと楽観的に考えていたら事実こうして帰ってきたわけで。
しかしクラムジイには自分にただいま帰ったの一言もなかったことが不満だった。
エントリー用紙を受け取って必要事項を記入する。不満をハピナスに言っても仕方がない。そのうえ、エントリーには住所を記入する必要がない。
「奴は何か言ってなかったか?」
これまでのクラムジイの戦績からすると、トーナメント形式で行われる来週の興行はシード権をとれるだろう。
シード選手の初戦は直近の成績が芳しくないか試合に出ていない選手と相場が決まっている。もしかすると彼と当たることになるかもしれないなどと考えていた。
「特には何も。もともと悪い目つきがさらに悪くなってましたけど、元気いっぱいって感じでしたよ」
エントリー用紙をハピナスに渡すときに少しだけ彼のエントリーを見せてもらった。
ウォルバック ゾロアーク 雄 24歳 選手資格アリ、直近の成績には出場なしと書かれていた。
「ははは、運命というものは本当にあるらしいな、ウォルバック」
一週間後、闘技場にて。固い地面のほかは入場口があるだけのシンプルなステージの上で、ルカリオとゾロアークが向かい合っていた。
「さあ大会3日目2回戦です。東! 第四シード クラムジイ、ルカリオ雄の24歳。西! ウォルバック、ゾロアーク雄、24歳。おなじみのクラムジイはこれが初戦です。一方のウォルバックですがこれは実に二年ぶりの顔。それまでは二頭揃って期待の若手として競い合っていましたがある日右ひざに重傷を負ったウォルバック、そのまま長らく姿を消してしまいました。しかし! 一回戦で怪我を負ったときの因縁の相手に完勝! 完全復活を印象付けております。解説にはノースさんをお呼びしています」
「……」
ウォルバックはしゃべらない。持ち前の鋭い眼光をこちらに向けるばかりだ。もともとよくしゃべる方ではなかったが、こうあからさまに無視をされるのも癪に障る。
「おいウォルバック、再開のハグくらいはいいんじゃないか?」
もちろんこういった試合開始前のやり取りも作戦のうちなのだが。奴もどうやら警戒しているらしい、審判をちらちら見て早く試合を始めろと促している。
「いいよ、始めちまおう。観客も待ちくたびれてやがる」
これが開戦の合図になった。クラムジイが距離を詰める。焦って攻撃してはいけない。ルカリオとゾロアークでまともに組み合ったら相性的にルカリオが有利に決まっている。
「さてウォルバックはどうでるでしょうかノースさん」
「セオリー通りなら距離を取って罠にハメつつ攻撃ですかね。ただ、ウォルバックも近接戦が苦手ではないです」
焦って攻撃すると見事に墓穴を掘ることが多々ある。ウォルバックも少しずつ後ろに下がり始めた。
こちとら勝ちを譲る気はない。地面を蹴って一気に距離を詰める。懐に入れれば楽だったが、さすがにそこまではさせてくれない。
そうはさせないと回り込もうとするウォルバック、すかさずクラムジイは足踏みして向き直る。そのまま引っ掻きに来ていたがあえて飛び込むことで空を掻かせた。
「クラムジイ、最初の接触は見切りました」
はがねタイプなだけあって大したダメージにはならないが、わざわざくらってもメリットがない。
低い体勢のままウォルバックにとびかかる。無策ではない。このためにしんそくを残しておいた。この速さなら飛び込める。
「はやい! が……おっと対応したぞウォルバック」
以前ならこれで入れていたはずだが。読まれていたのか首から叩き落されてしまった。気を取り直して体を転がしながら距離を取る。
ところがウォルバックはこれを追ってきた。体勢を立て直すと目の前に追撃が刺さる。
そちらから積極的に接近戦とは珍しい。お互いに飛び道具に乏しいからいつも挑発かわざと隙を作ってくるのに。
つかみかかろうとする腕を払い落としてからだをぶつける。そのまま顔を地面に叩きつけてやろうとしたが、ウォルバックのローキックを受けてしまった。脚を払われるが、急造の波導弾をぶつけてやった。
ローキックの威力も上がっている。作る時間がなかったので波導弾の威力はほとんどないはずだが、ウォルバックは大きく吹き飛ばされていた。これは自分からも飛んでいるなと、ウォルバックを追いかけようとしたとき、とっさに腕を構えた。
不自然な溜めは飛び道具の合図!
「ナイトバーストだッ! 当たったかッ!」
当たってないッ! 放出されたあくのエネルギーは広範囲をカバーする技ではないので怯まずによく見ていれば当たることなく接近できる。技が来ると気づいて避ける準備ができていればこちらのもの。しかも、放出中は硬直して動けないときている。
後ろは壁だ、追い詰めた。決める!
「イン……ファイ……ト?」
実況が疑問符をつけるのも無理なかった。
ゾロアークが、ルカリオのインファイトを、両手をつかんで受け止めている。
「生半可なきたえかたじゃつかんだそばからはじき返されますがね」
まずい。完全にフィニッシュだと思って全力を使ってしまった。悪いことに完全に捕まってしまっている。そのまま腹に一発、渾身の蹴りをくらって吹き飛ばされた。
タイプがら硬いボディのはずなのに、息ができなくなるの威力だった。むせながら立ち上がると、もう目の前にいた。
「追い打ちが決まりました!」
「顎に一発ですからね、これは効きますよ」
ガツ、と本日一番の快音を響かせるクラムジイ、脳が揺れる。本能で逃げなくてはと思うものの、インファイトで低下した身体能力とぐにゃぐにゃの視界では退避などできようはずもなく。
伸ばされたウォルバックの手に反射的に構えた腕を取られ、宙を一回転して地面に叩きつけられた。
観客の歓声が聞こえる。
「しかしウォルバックは大怪我をする前と比べて明らかに体が大きくなってますね。ハリもツヤも非常にいい」
冗談じゃねえ。前闘ったときよりも力もスピードも耐久も上がってやがる。脳の揺れが収まってきたところで、腕を引っこ抜き脱出する。まだしんそくを出せるほど回復はしていないので、両の手を大きく開いて硬化させる。振り向きざまのメタルクローならちったぁ効くだろう!
しかしこのときウォルバックは跳び上がっていた。
「クラムジイ危ないっ」
とんぼがえりだ。気づいた時にはもう遅い。メタルクロ―をかます相手はおらず、逆に自分は額をしこたま蹴られる。しかも、とんぼがえった先は自分のすぐ背後。
後頭部のおさげを引っ張り、力任せに壁に叩きつけられる。体中が悲鳴を上げ、そのまま崩れ落ちる。観客の声援には応えられそうもない。
ついにマウントポジションを取られた。右手は踏みつけられていて飛び道具を使うこともできないし、蓄積ダメージのためほかの小技で逃げることもできそうにない。
ウォルバックの右足かかとが大きく振り上げられた。おい待て、棄権させてくれないなんて聞いてないぞ。沸き立つ観客とは裏腹に、血の気が引いた。
「おい、待t」
ぐしゃ
「クラムジイ敗れました。ウォルバック強い! 右ひざの爆弾とは何だったのか!」
実況の勝ち名乗りは、クラムジイまで聞こえていなかった。
観客はスターの帰還にただひたすら湧いていた。
夕方、振り下ろされるかかとの夢でようやく目が覚めた。ドクターが言うには脳震盪と気絶だけでなくルカリオの出っ張った鼻が潰されて鼻血こそ派手に出たが、骨までは異常がないという。体のほかの部位も打撲ですんでいる。
闘技場には一部の重傷者を除けば今日のプログラムがすべて終了したこともあってほとんど選手が残っていない。クラムジイは一通りウォルバックを探してみたが、どうやらこちらももう帰ってしまったようだった。
体はところどころ痛むが数日休めば問題ないだろう。それよりもウォルバックだ。離脱前より強くなってるなんて聞いてない。
翌日の対戦カードが張り出されていた。明日もウォルバックは試合がある。ということは明日張り込んでいればほぼ間違いなく捕まえられるということだ。
一言再会の挨拶と完全復活を祝福したっていいと思うのだが。
翌日もウォルバックは勝った。
昨日負けたおかげで一日暇になったので、手ぶらもなんだと街まで出てちょっといい菓子を包んでもらった。
選手がファンの群れを嫌ってこっそり使う裏口など、自分も選手だからよくわかる。
闘技場内の歓声が外まで聞こえてくるからすぐに奴の出番終了は分かった。
しかしファンを警戒しているのかなかなか出てこない。先に出てきたリングマだとかニドキングだとかに聞くと奴は奴で何かを待っている様子だったという。
待ち始めたのは昼の弁当を食べてすぐから、出てきたのは陽が傾き始めた時間のことだった。もうこれ以上は誰も出てくる気配がなかった。
「おいウォル、今日も勝ったんだってな。おめでとう。このまま復活勝利まで一直線だな」
が、返事はない。聞こえていないふりをしているのか。まさか聞こえてないなんてことはないだろうが。
「右足はもういいのか? これ快気祝いだ。喰ってくれ」
突き返された。
「うん……その、なんだ。何か気を悪くしたなら謝るし俺と仲良くできない理由があるならはっきり言ってくれないとわからねえ」
「いいかクラムジイ。あまり俺にかかわるな。お前のことを友人だと思っていた時期も確かにあったが、今はそうべたべたとしたい気分じゃないんでね」
言うや否や、突き返した菓子折りをひっくり返した。反射的に舞い上げられたそれを追ってしまう。
何しやがるとどつこうとした時にはもう奴の姿は消えていた。
今日は準決勝だった。相変わらずウォルバックが勝った。
昨日と違ってたたかいが終わるとすぐに裏口から出てきた。声をかけてもどうせ拒絶されるだろうから、しばらくついていくことにした。
尾行は生まれて初めての経験だ。歓楽の街というだけあって遊ぶところも泊まるところもいっぱいある。どこまで行くのかも知らないが、行ける所まで行くつもりだ。
気になるのは、どんどん治安の悪い方へと向かっていること。変な知り合いでもできたんじゃないか。
と、しばらく治安悪くなったところで一軒の酒場に入っていった。知らない店だ。
ウォルバックはほかに目もくれずカウンターの端に座った。即座にアクセサリで飾ったミミロップが相手に行く。奴の体が小刻みに震えていた。
「ご注文は?」
さて自分も入ろうとすると用心棒風のニョロボンが立ちふさがった。喧噪もあって奴には気づかれていない。
「スクリュードライバー。あとしばらく一人にさせろ」
紹介制の酒場なのか入り口付近にたむろしていた連中に一斉に睨まれた。どうも初来店の合言葉が違ったらしい。仕方がないのでニョロボンに金貨を多めに握らせてやる。
サービスに振り抜こうとしていた右腕は痛いと評判のツボを押してやると何もせず奥へと消えていった。問題は睨む連中のテーブルにあった。
注射器と黄色がかった白い粉。
ウォルバックがこれじゃなければいいがと淡い期待をしながら空いたテーブルに座る。隣の席のお冷を飲んでやろうかとおもったが、床に転がる錠剤のゴミが目に入って辞めた。
しばらく待っただろうが、ミミロップの胸の谷間から薬包が取り出されて、ウォルバックが紙幣を股にねじ込んだ。これで確定。
一つ大きなため息をついた。このときカクレオンにタバコの煙を吹きかけられたから逆に火のついてないやつを堪能させてやった。
大当たりだった。カウンターで一杯よくわからない酒をあおると跳ねるように出ていった。こちらには全く気付いていないようだ。
「お待たせしましたホワイトセル」
「ごちそうさん。これで掃除屋でも雇ってくれ」
大人の対応で出されたわけのわからん酒をトレイから奪ってニョロボンにぶちまけると、ウォルバックを追う。椅子に金貨をもういくらかおいてきたので許せ。
出入口をふさごうとしたリザードを不意打ち一発で顎を外すと誰も追ってこなかった。スター選手は伊達じゃない。
足取りの軽くなったウォルバックと気の重くなったクラムジイ。
きょろきょろあたりを見回して心ここにあらずといった感じだ。と言っても、周りは似たような人種しかいないわけだが。
明らかにかたぎのルカリオは浮いていたが、ここで帰ってはプライドが許さない。
「おにーさんストーキングかい? 言っちゃおうかな」
「やかましい」
いいところで絡んできたニャオニクスを正拳一発で沈め、サーナイトは変な力を使われる前に腕を捻じって外されたくなかったら黙ってろと言ってやった。
このまま人質に使えば平和に切り抜けられる。援軍? 烏合の衆なんて大したことないね。
少し歩いて路地裏に入った。小さな公園がある。
「みんなここでキメてんだよ……社会科見学はそれくらいにして、離して……」
サーナイトが勝手に話してくれた。確かにゴミ箱にはそれらしき残骸がたまっている。
喜々として鬣の中から取り出したゴムバンドを巻きつける。腕が震えて巻きにくそうだ。
「あのゾロアークのは割と質の良い奴だね、どこで買かった知らないけどサ」
黙ってろ。注射はどこで覚えたのだろうか。血が逆流して中が赤く染まっている。構わず押し込んでいたが、それだけで顔をしかめてしまった。
そういえばこのサーナイトの腕にも変な跡がある。思わず一つ舌打ちした。
「フゥー……」
奴の体の震えがおさまっていく。恍惚の表情を浮かべてうずくまる。へっへっと不気味な笑い声をあげていた。
クラムジイにはどうすることもできなかった。
注射器をしまうのに失敗しても何も気にしない。ゴミ箱だとかベンチだとかにご機嫌でぶつかりながら消えていく。
サーナイトはニャオニクスを持って帰らせた。
「おいおい……」
念の為捨てられた注射器は拾った。ひねた、鼻につく嫌なニオイをしていた。
ウォルバック復帰の二週目。また緒戦はクラムジイと組まれた。
「くそ……」
頭が痛い。動悸がする。汗がとまらないのに目は乾く。足の先から下腹部へとビードルが這いよる感覚に襲われ悲鳴をあげそうになる。治ったはずの右ひざがパックリ割れて、中から髄液があふれ出しているようだった。
「ウォルバック選手、時間です」
もう間に合わない。右足を引きずり、壁を這いながらよろよろとステージまで向かっていった。
どうやったのか見当もつかないが、この一週間のうちにクラムジイはウォルバックがいつも持ち歩いている薬を奪ってどこかにやってしまった。
ウォルバックには自分にこれほどこだわるのがクラムジイ以外に考えられなかったし、どうせこうなるならウォルバックが犯人の方がよかった。
「さあ、2大会連続のカードです。クラムジイとウォルバック。前大会ではクラムジイがウォルバックに真正面から格闘で圧倒されるというまさかの展開。今回は何か策を練っているに違いありません。ところでウォルバックの入場が遅れているようですが……ん? 来まし……た…?」
実況が絶句する。クラムジイはステージの上で腕を組んだままたたずんでいる。
現れたウォルバックの様子は明らかにおかしかった。入場の時点ですでに息が上がっている。体は汗でぐっしょりだ。いや、ここまではまだいい。極度の緊張でこうなってしまう選手がたまにいる。
まっすぐ歩けていない。立つのもやっとというくらいだ。目は血走り、口からはだらだら涎をたらしている。
客席は水を打ったように静まり返った。審判もしばらく固まっていたが、クラムジイが睨むとようやく試合を始めた。
「あ、始まりました……」
一方的だった。
しばらくウォルバックは無抵抗のままボコボコ殴られていた。時折反撃しようとするそぶりを見せることもあったが、ことごとく阻止された。
「これは……」
腹、首、局部などの急所も厭わない普段と違うクラムジイと動けないウォルバック。クラムジイの後頭の飾り毛が大きく振れるたびに詰まったような声をあげてグロッキーになるウォルバック。
「うう……」
言葉に困った実況はただうなるばかり。実況も、観客も、審判もすべて沈黙していた。闘技場に無機質かつ容赦のない破壊音だけが響いた。左腕を取りあげる。蚯蚓腫れと静脈注射のあとをなぞるとへん、と答えやがった。
この日一番の大当たりが顔にさく裂した。
「集中しないとお得意の幻影も使えませんが……この声が届いているかどうか」
解説のノースが一人助け舟を出すが、もちろん役に立たない。一瞬クラムジイのラッシュが止まった。止めたのかもしれない。
ウォルバックが苦し紛れに切り裂いた。狙いの定まらないちゃちなものだったが、クラムジイの高い鼻の上、目の下を真一文字に切り裂いて鮮血がにじみ出していた。あっ!という悲鳴が観客席に上がった。
クラムジイが切り裂いた方の腕を避けずに捕まえていた。それだけで崩れるウォルバックを下に見ながら深呼吸をする。
おわりにしよう
背側に伸びる豊満なタテガミをひっぱって立ち上がらせると―――古傷のある右ひざの、彼の一番攻撃しにくい、“おひとよし”のクラムジイのイメージからすれば最も狙うことはないと思われていた急所を――
足刀で破壊した。一つ声にならない声が上がったのち、見るからにおかしな方向に曲がった右足を見て、観客から血の気が引いていくのを感じていた。とても治っていたとは思えないほど脆かった。
「勝ったのはクラムジイ……ウォルバックは無事でしょうか」
運ばれるウォルバックにもようやくざわつき始める大観衆にも目をくれず、クラムジイはただステージに一礼するとさっさと控え室に消えていった。一筋涙が零れていたかもしれない。
ともかく、ウォルバックは負けた。重傷を負うと出る脳内麻薬のせいか少し口角が上がっていた。
ノースが一言「試合ではなく制裁だね」と、実況にこっそり伝えた。
「やはりこうなったか」
クラムジイはウォルバックの薬物をオーナーに提出した。薬物の利用は明確な規定違反ではないが、商売に信用を第一とするオーナーは悪いイメージを望まなかった。例の一戦は分かる人には分かると今も話題になっている。
無期限資格停止処分 ウォルバック ゾロアーク雄 24歳
ハピナスの話では、その日の夜までは意識がはっきりしないので医務室に寝かされていたが、翌朝にはいなくなっていたという。協力者がまだ闘技場内にいるらしい。
一応あとから見つけたウォルバックが宿泊していたホテルにもいってはみたが、すでにチェックアウトされていた。例の酒場に入っていない。
その後奴とは一度も会っていない。