まえがき !R-18 !かなりの短編 !SF !キノガッサ♂×エーフィ♀ !洗脳寝取り 要素を含みます。苦手な方はご注意くださいませ。 こんにちは、小説wiki様には3回目の投稿をさせていただきます「特ルリ」と申します。まだ緊張しています……短いお話を投げてしまっても大丈夫なのでしょうか…… 普段は別所で明るいものばかりを書いておりますが、今回は光の要素はほとんどございません。悪です、いや悪とは或いは相対的なものであり……時代が変わればそれも悪ではないのかもしれませんね。もしかするとそれはタイムマシンを使うほど隔たった時代なら…… もしよろしければ御読みいただけましたら幸いです。 御読みくださった全ての方、小説wiki様を盛り立ててくださっている全ての方に感謝を……ありがとうございます! 「タイム・マシイン」 タイムマシン、時間をときわたりなどを使わずに遡及し、原始の時代を、遥か未来を見ることができる装置です。 得意げに説明するのは、指輪をして眼鏡をかけたエーフィ。 ―仮に「博士」としよう、彼女の実験第一号となるのが私だ、遙か古代 石炭の時代へとゆき当時のポケモンがどのような生活をしていたのかを調べてくる、と云う使命を帯びている。 「君なら大丈夫だろうが……データを取る人が一切いなくなるのは困るため一緒に行けないのは惜しい、無事に帰ってきてくれることを祈る、どんな発見より助手が無事なことの方が大事であるから……ね」 ……そう言う博士は、とても眩しく見えた。 ―きっと彼女はありきたりの結婚をするだろうし……もしかすると平和な家庭を持つかもしれない。 ―知らない指輪を、彼女の姿を見てそう思う。 ―私は、それを世界の誰よりも守りたいのだ。そのためにはこの発明が本当であると観測できなければならない。 ―自分の感情を気づかれてはならない、心を読まれないよう……血の滲むような努力もした。 「……任せてくださいよ博士、50メートルくらいある種族とかがいれば写真に収めてきます」 ……だから、その事実に比べればどんな恐ろしい時代を想像しても躊躇わずレバーを引けたのだ。 未知が怖くても、想像される理性なき太古を畏れても。 ======== 鬱蒼たる大森林。 原始の巨大盤面であるそこにあるのは鱗のようなものに覆われた木、空を飛ぶ花の一種、そして現代よりもむせ返るように濃度が高いため呼吸器を通さないと少し息苦しくなるほどの酸素の濃度。 ―脚部のパーツだけで歩く生物が群をなして駆け抜けていくのが見えた時は何事かと思ったが、見間違いでありどこかに頭はついているのだろうか……? そこにあるのは今はなき光景、ポケモンが理性を持つ前の……鳴き声に込められた意思すら、剥き出しの世界。 ―いつ自分がその毒牙にかかるか、或いは正気を失ってしまうのか。 ―それが怖くとも、私は進めるのです博士のためなら。 巨大たる昼なおくらき、そして時折差し込む木漏れ日は現代のそれよりずっとまぶしい密林を進んでゆくと。 唐突に、視界が開けた。 ======== ―そこにある太古の光景は。 「ふ……あ……もっと……」 「僕頑張って孕ませるからねっ……!いっぱい産んでね……っ……!」 ……ただただ異様で、しかしてあてられてしまいそうなほどの香気に満ちていた。 ―だだっぴろい草原と湖の傍で、何組のもつがいがまぐわっている。 ―おそらく集団での繁殖の儀式のような物である……のかもしれない。 ―何らかの文明のようなものが存在していなくても……「その行為」を神聖視するような習慣はあったのだろうか。 ―その様子自体は現代でも広すぎる世界を探せば存在しているであろう、だが ……恐怖した。 ―ただただ身体はその場の嬌声に興奮しているのに、恐怖しているのだ。 例え恐慌に中にあろうが、彼は記録は付ける。 その事実と、いっそ慕っている者のためという自分の執念に怯えている事もたしかであろうが…… 彼ら彼女らの頭には、クラゲのようなポケモンがまるで帽子のように収まっていたのだから。 ======== ―はあ、遠いところから……ですか ―いつしか記録を終え、へたり込んでいるところを、「そのポケモン」に声を掛けられる。 とっさに身構えようと震える身体を起こしたが……聴き慣れた、翻訳する必要のない言語で彼……あるいは彼女は話しかけてきたからである。 ―ビースト語。 この世界と次元が違うポケモンの話す……言語の一種。 「わらしは0341っていいます、こっちは友人の0450……遠いとこから来たひとよ、歓迎しますよ」 ……想像していたのは、ポケモンを操る恐ろしい怪物ではなかった。 ―番号で呼び合う、彼女ら曰く。 「わらし達は、誰とも交わらず死んでゆく生命を救いたいって思ってるんです」 「その生命が自ら異性の意志に反してそう云うことをすれば……それは子作りでも気持ち良い行為でもに、ただただ独りよがりな悪意だと思うんですんなお客人は」 「だけんど」 ……想像していた「ほど」は、恐ろしい怪物でもなかった。 ……そして想像していた「より」、恐るべきことをしていた。 そのウルトラビースト……きせいポケモンのウツロイドは。 「わらし達の種族なら、そう云うお方同士だったりそう云うお方と、頼るすべをなくしたお方を欲望のままに交わってもらうお手伝いができる」 「そこにある罪や苦しみをなくし、ただ満たされることが出来る」 「子孫も繁栄す、愛し合うものもできる、愛し合うものが例えば一人のおとこにおなごふたりいてもよい、すばらしかこと」 ……切子細工のような模様は、誇らしげに輝く。 ……それは。 異様な光景が意味していたものは。 現代の倫理がどうなどではない、太古の彼らが考えたウツロイドなりの社会奉仕、であった。 「遠くからきた人 あんしもきっとそうだろう そのような雰囲気がある」 「お客人さえ良ければ綺麗なエーフィも、悩めるグレイシアも誰でもきっと番になりたがるだろう」 「おとこは足りぬ、まだ足りぬ 空から火が降ってきて、大勢死んだ」 「お言葉は嬉しいですが」 ―ああ、 「半分だけお受けいたします」 ―私は、狂ってしまったのだろう。 この導き手に、感情を操られているわけもないのに。 「はんぶん……?」 ふわりと触手を首を傾げるように動かす彼女らに、自分の欲を伝える。 ただ太古の、なんの装飾も必要ない欲を。 ===== 「や、やんっ……助手のせーえき、せーえきすきっ……もっといっぱいびゅーびゅーしてっ……!わ、わたしがんばってタマゴ産むからっ……!!」 淫語と、「助手くんの肉便器」といったような淫猥な落書きを身体にされたエーフィが、ただ研究室の中でキノガッサに突き上げられる。 その尻尾を、腕をお互いに絡めながら……ただ彼の思うままに、繁殖と愛だけを目的に。 「『キノコのほうし』で眠らせ、その間にわらしが取り付く……お客人もなかなか考える」 ……二人を満足げに見ているのは、時間を渡ってきたたった1匹のウツロイド。 ……未来でたった一度だけ、キノガッサと共にこの時代で言えば罪である行為を被ることを躊躇なく行った、そんなポケモン。 「……僕……博士が結婚なさるってお聞きして、そんなのっ……そんなの、あんな乱暴なポケモンと結婚したら苦労するだけですし僕の方が愛してあげられるのにって……っ」 ー本当に。 ー本当に幸せですよ、太古の救済があって、ありがとうございます。 「あんしが喜ぶならよい、苦しみの未来も、たった一つでも助力があれば救われる……この時代のポケモンは少し、生きるという事に装飾をしすぎてると思う……ふふ」 寄生の海月は、ただ満足げに……するりとエーフィの手から指輪を外して、笑っていた。 了 ====== あとがき 拙作をお読みいただきましてありがとうございました。本編のネタバレを多分に含むため、あとがきから読まれるお方はUターンを推奨いたします。 誰かに愛されるすべのない者が、誰かに愛されるものを奪う。それは決して現代の倫理で見れば許されるものではない……決して。 与えられなかったものはただ黙って代わりを見つけるか、苦しみ続けるしかない。それこそが正しい。僕もそう思います。 けれども……気の遠くなるような原初の過去には、サイエンスフィクションの果てには全てが違う世界もあって。 その世界に「あてられて」しまった者は……それこそ、ウツロイドの毒が無くても狂ってしまうのかもしれませんね。 それがたとえ、紛れもない「悪」だとしても。 ところで今回エーフィ要素もキノガッサ要素も薄いですが……推しとのことでご容赦を頂けましたら……ハイ…… 今回もお読みいただいた全ての方に感謝を……ありがとうございます。 よろしければコメントでご指導ご鞭撻のほどいただけましたら幸いです。 #pcomment()