※&color(Red){注意!}; この物語には&color(Red){官能};表現が含まれています。 written by [[beita]] ここは人間が住んでいる街中。と言っても端の方。 とある高くそびえるマンションの足元には小さい公園が。 当然ながら人間が使うことを想定して作られたのだろうが、想定を遥かに下回る需要のあまり、もはやポケモン達の遊びと交流の場と化している。 公園の近くに住み、毎日の様に公園に現れるポケモンが数匹いた。 一匹はニドランの雌だ。いつも陽が昇る頃には公園にその姿を見せる。何かを待つように。 ニドランが現れて数分後から数時間後。その間隔は日によってまちまちだが、必ずニドランより後に公園に現れる一匹のポケモンがいた。それは雄のオタチであった。 ニドランはオタチの姿を見つけるとすぐさま傍まで駆け寄る。 「おはよ~っ。オーくん!」 「あ、お早よ、ランちゃん」 朝から妙にテンションの高いニドランの挨拶に対しオタチはどこか頼りなさげな返事をする。 この二匹、実は付き合っているのである。だからこうして毎日欠かさずにこうして公園で会っているのだ。 「あのね、あのね! あたし昨日ね、また本拾っちゃった。しかもあたしの好きな科学の本っ」 「へぇ、そぅ。良かったねぇ。毎度のコトだけど、よく人間の本なんて読めるよねぇ」 ニドランは人間達が捨てていく本に何故か興味を持ち、見ていく内にひらがななら完璧に、漢字もそこそこに文字を読めるようになっていた。 オタチも度々読書に付き合わされるコトがあったが、いくら頑張っても理解には至らなかった。 ニドランはどうも天才的な頭脳を持っているのかもしれない。 会話を交わしながら二匹は公園のベンチの上に乗り隣り合う。端から見れば仲の良いカップルにでも見えるだろう。まぁ、そういっても誤りでは無いが。 しかし、この二匹、性交はおろかキスすらしたコトが無いのだ。 普段は決まってニドランから積極的に状況を持ち込もうとはするものの、毎回オタチは上手にスルーしてしまうのである。 業となのか単に鈍いだけなのかは分からない。でもそれを追求し始めると、彼のニドランに対する感情さえも怪しくなってきてしまう。 だからニドランは深く考えないように心がけている。 しばらくすると、公園にちらほらと他のポケモン達の姿が見え始める。&ruby(ふたり){二匹};っきりの時間はもう終わってしまう。 が、何時間後だろうか。陽が暮れる頃になるとその時は再び訪れるのである。 行動を起こすならそれからが勝負! と毎日意気込むニドランだが、行為に至ったコト以前にそのような空気にすらなったコトがない。 こういうのは本来、雄から来てくれるものなハズなのに、一体どうして……。 と、これが密かにニドランの悩みでもあった。 そして今日も陽が暮れる。いつものコトだ。駄目だと分かっていてもニドランの鼓動は自然に早まる。 「ねぇ。みんな居なくなっちゃったねっ」 「う、うん」 色っぽく、全力の上目遣いで精一杯オタチを魅了する。十分過ぎる魅力を武器にオタチを真っ直ぐ見つめ続けたが、オタチの反応は相変わらずイマイチである。 ニドランが自信を失ってもおかしく無いだろうって程に。 彼女は目で、気付いてよって訴えかける。ケド、やっぱりオタチの対応は疎いもので。 「ん? 僕の顔に何かついてる?」 「い、いやっ。別に何も無いよっ」 ニドランは心の中でため息をつく。理由は二つ。 彼女の誘いかけにオタチが微塵たりとも乗じてこないコト。それともう一つは、これ以上踏み出せない彼女自身に。 ニドランはただ単にエッチなコトがしたいだけでなく、心のどこかでオタチの方から来て欲しいという願望が彼女の中に根付いているのかもしれない。 だから最後の一手はニドランから行くコトが出来ないのだ。 辺りはすっかり暗くなる。結局今日も二匹の初行為は実現しなかった。 二匹はそれぞれ自分の住処へ戻り始める。ニドランの脳内ではずっと同じ思考がぐるぐると軌道を描いていた。 どうやったら彼から攻めてきてくれるのかな。とかそういうコトである。 特に案も出ないまま、ニドランは自らの住居であるくさむらまで帰ってきた。 それからはひたすらに拾った科学の本の読書に努めた。何かに集中した方が悩みのコトも忘れられると思ったのだろう。 ニドランが本を開いてどれ程たっただろうか。読書に没頭していては時間の経過すら忘れてしまう。 かなりの時間が経ったに違いは無いのだろうが、ニドランは本のとある内容に釘付けになってしまった。 「っえ……え。これって……」 ニドランの開いているページは主に“麻薬”に関する頁である。幻覚作用や、麻酔効果のある植物等の紹介がされている。 人間達に危険を知らせて注意を促すコトが目的だろうが、ニドランは全く違う視点でそれを見ていた。そしてニドランには一つの考えが浮かぶ。 要は脳がおかしくなるのね。……この応用で彼をエッチする気にさせれないかなぁ? と。 ふと、バッと勢い良くニドランが体を起こす。そして思い立ったようにニドランは今まで拾った本を取りに動き出した。 数冊の本がニドランの目の前に並ぶ。小学生の教養の本、ポケモン飼育のための本、童話などである。 その内の一冊。木の実について描かれている本を開くと、シュババとページをめくり始めた。 真夜中のくさむらの中で紙のめくれる音が断続的に鳴り続ける。 もし人間か誰かが近くを通りかかったりしたら何事かと恐怖感を覚える程だろう。 紙のめくれる音はしばらく続いた。そして止む。 「見つけた……っ」 ニドランは思わず小声で呟く。 同時に確信した。これなら彼をスる気にさせられるっ! と。 だが、気付いた時には長いハズの夜も半分を越えていた。 徐々に攻め立てる睡魔には勝てず、ソレの準備は明日から始めるコトにした。 ニドランは本を散らかしたまま眠りにつく。その顔はどこか満足げだ。 ---- 次の日。ニドランは必要な木の実を探すために、オタチに提案するのだった。 「あたし、欲しい木の実があるのっ。今日は一緒に探しにいこうよ!」 「うん。いいよ」 すんなりと承諾するものの、声のトーンは相変わらず直線である。オタチの返事を聞くと、ニドランはすぐに動きだす。 まだ朝も早く、人間の姿はほとんど無い。 公園より外の世界では人間が何より厄介である。 戦いを挑まれたり、捕獲されそうになったり。 人間を避ける、これが鉄則である。 ニドランが辺りを警戒しながら、公園の敷地から一歩を踏み出す。 人の姿、物音は確認できず。唯一風の吹き抜ける音だけが耳をかすめる。 木の実を探すとは言ったものの、ニドランはその場所を知らない。頭に入っているのは必要な木の実の名前と見た目とそれぞれの味。 結局はいきあたりばったりに散策するしか無いのか。しかし、好奇心旺盛な彼女からすれば、アテの無い探険も楽しいものなのだろう。 そもそもこの後には……アレがある。意欲が湧かないハズも無いだろう。 しばらくあっちこっち彷徨ったが、目的の木の実どころか、木の実のなっている木すら見つからない。 「ん~っ。見つからないなぁ」 そろそろ飽きが来たのだろうか、ニドランがため息に似た声を出した。 一方のオタチはまだ辛抱強く表情を崩さないでいる。 長い間歩き続けたため脚が重たく感じてきていた。そのため、二匹は一旦休憩に移るコトにした。 「ねぇ、ランちゃん」 「どしたのっ? オーくん」 ニドランは突然話し掛けられハッとする。 「探してる木の実ってどんなの?」 ……その説明するの忘れてた。ニドランはハッの次はアッとした。 せっかく予習はばっちりしてきたのに……と、挽回すべく、ニドランは説明に移る。 「えっと。あたしが探してる木の実は。フィラ、ウイ、マゴ、バンジ、イア……」 それから延々と木の実の特徴やらの説明が続いた。 それを面倒そうな顔一つ見せず聞き続けるオタチ。 真剣に聞いていたのか、単にボーっとしていただけかは分からない。 一方、言いたいコトを全て吐き出したニドランは満足そうだ。 「でも! 肝心のどこにあるか、が全く分かんないのっ」 「一つ、僕にアテがあるんだけど、来てもらえるかなぁ?」 珍しくオタチからの提案。ここでのオタチのミスはその木の実を一体何のために集めるかを聞かなかったコトだ。 見つからなかったらどうしようかなという不安を抱いていたニドランには待ち望んでいた言葉だ。 「本当っ!? じゃあお願いしてもいい?」 ぴょんと跳ねるようにオタチに飛び付く。 その動作に対し、オタチはうんと頷くだけだった。 オタチに連れられて来たのは街の中心部。高い建物がどっと並んでいて、ポケモンの姿など場違い極まりないような所だ。 こんな所の一体どこに木の実があるのだろうか。 迷うコト無くすいすいと足を運ぶオタチ。何故か頼り気がある。 幸いにして人はまだ少ない。 こんな街のド真ん中で戦いを挑む様な輩は居ないし、オタチとニドランを必死になって捕まえたいという者も居ない。 稀に人間に遭遇してしまうも、二匹のコトなど相手にせず通り過ぎていく。 案外初めての超都会にニドランは困惑しつつ、オタチの背中を追い掛けていった。 走り続けてオタチがようやく止まった場所は花屋の前。嫌でも花の香りが鼻をつく。 立ち止まり、そこから躊躇するコト無くオタチは店内へ足を運ぶ。 その時、オタチはニドランの方を振り返ってただ一言。 「着いたよ。ここ」 流した程度の言葉なのに妙に信頼感がある。 多分こういう所に惹かれたんだろうな、とかニドランは思いながらオタチの後に続いた。 店内は見渡すの限り花、花。 赤から紫までの大概の色が視界に同時に映る。 一つ一つの香りは素晴らしいもののハズなのだが、これだけ混ざるとただの嗅覚への奇襲だと言わんばかりの匂い。 店内には一匹のポケモン、ロズレイドがいた。 彼はゼニガメを模して作られたジョウロを片手に植木鉢に水を与えていた。 「ローズさん、おはようございます」 オタチが店のロズレイドに軽く会釈しながら挨拶する。 合わせてニドランもお辞儀する。 「おはよう、朝早くから彼女とどうしたんだい?」 このローズと呼ばれたロズレイド、オタチとは以前からの知り合いであり、たまにここに訪れているようだ。 その時に色々と話もしたりするので、ニドランとの関係コトも知っている。 「あ。ランちゃんが欲しい木の実があるらしいんだ。ローズさんならここで栽培してるのかなぁ、と思って」 「なるほどね。で、それは何の実だい?」 一度説明を受けたものの、オタチには覚えられるハズも無く。 一瞬口籠もって間も無くニドランに助けを求めるような視線を飛ばした。 ニドランは自分の出番を察するとオタチの顔を見て一度頷き、説明を始めた。 「あぁ、大丈夫だよ。どれもここで扱ってる」 そう言うなりロズレイドは店の奥へ歩いていった。 ついに……。と、ニドランは高まる興奮に思わず口元が緩む。 一方のオタチは目当ての木の実が見つかって良かった、と安堵している。 少しすると、ロズレイドが木の実が大量に入った籠をさげて戻ってきた。 「はい。これでいいかな」 「うん! ありがとっ」 ニドランでは少々重たいというコトもあり、オタチが嫌そうな顔も得意気な顔もせず籠を受け取る。 「ローズさん、ありがと。また遊びにくるよ」 「あぁ。いつでもおいで」 二匹は深々と頭を下げると店から出ていった。 もちろんロズレイドは気付いていた。 それらの木の実を組み合わせるとどうなるかというコトに。 ロズレイドは嬉しそうなニドランの背中を見送りながら“ガンバレ”と心の中で呟く。 ニドランの住みかまで木の実を運ぶと、遠出で疲れたというコトもあり、まだ陽は上からさしているが、早々と二匹は別れた。 ここから、ニドランの時間が始まる。 昨日読んだ本を開く。書かれている木の実が間違いないコトを確認する。 ついニドランの口からは気味の悪い声がもれる。 &ruby(ひとり){独匹};なコトもあり、周りを気にするハズも無い。 独りなコトもあり、周りを気にするハズも無い。 ニドランの怪しい妖しい木の実の調合は始まった。 木の実の薬の調合に成功した代わりに失ったものは睡眠時間だ。 しかし、高まる気持ちがニドランの身体を活性化させ、見た目に睡眠不足を感じさせない。 今日も朝早く、ニドランはいつもの公園に出かける。 朝から行動を起こす訳じゃ無いにも関わらず、これ以上無いって程にそわそわしている。 今のニドランは誰が見ても“何かいいコトでもあったの?”とでも聞きたくなるだろう。 オタチの姿を確認して心臓がビクンと波打つ。 今更ながら、ニドランは“薬の効果”を確信した。 失敗して効果が無かったら元も子も無い。まずは自分で効き目を実践しないと。 という訳で、ニドランは昨晩、完成品を即効服用していた。 効果はこの様子を見て分かる通りだろう。 「ど、ど、どうしようっ。……今のあたし絶対変だって!」 まだオタチとは結構離れている。ニドランは自分の顔を押さえながら悶える。 今のニドランには、顔を紅潮させている自信があった。顔が赤かろうが心臓が熱いビートを刻もうがオタチは向かってくる。 「っおはよう! オーくん」 「おはよ。ランちゃん」 挨拶をかわすと同時にニドランは大事なコトを思い出した。 オタチの鈍さは半端なものじゃ無かったというコト。 ニドランの多少の変化になんか気付くハズも無かった。なるべく平然を装うよう意識していく内に次第に内部的な興奮はおさまってきた。 一時は我慢できない寸前まで追い詰められたものの、ニドランの消えかけつつも存在していた理性と、 もうすぐしたら他のポケモンが来てしまうという意識が辛うじて彼女を抑制していた。 ニドランからオタチを襲ってしまっても初セックスは達成できるものの、決して彼女の望んだ形では無い。 少しずつ、確実にソノ時は近づいてきた。 陽は沈み、公園にはニドランとオタチ、二匹だけだ。 流石に公園のド真ん中はちょっと……とか考えながらニドランは辺りをくるりと見渡す。 以前から計画していたので、場所についてもちゃんと考えていた。 公園の端から設置されている自転車置場。 ニドランが今までに確認した限りでは、この時間帯に人が来るコトはほぼ無い。ポケモンも同じ。 適度に自転車が配置され、雨避けも備わっている。 周りの視線を断つには絶好の場所と言える。 ニドランはとりあえずオタチをそこまで誘導する。 これから起こるコトを知らないオタチは何を疑うコトも無くあっさりと彼女に従って歩いた。 ついに。ついに……っ! と、ソノ時が近づくにつれて薬とは関係なくニドランの興奮は抑えられないものとなっていく。 ニドランは一度肺の空気を入れ替え、落ち着くように努めてから話を切り出した。 「ねぇ、オーくん」 「ん」 「あのねあのねっ……えーと、あたし今日さ、昨日の木の実でジュース作ってきたのっ。……良かったら、飲んでくれない?」 「うん。いいよ」 ニドランは勝手に緊張したコトを後悔しそうになる。 当然と言えば当然だが、オタチはあっさりと承諾してしまった。 ニドランはおもむろに例の薬を取り出す。 薬らしさを削ぐため、味と色には気を使って作られた、ニドランご自慢の一品。 容器に入ったそれを手渡すと、目でどうぞと告げる。オタチは一瞬の躊躇もせずに、木の実のジュースを、否、妖しい薬を口に含んだ。 そしてそのままぐいっと飲み込んでいく。 「ねぇっ? どうだった?」 ニドランは二種類の期待をこめた眼差しでオタチを見つめる。 「うん。美味しいよ」 「そう!? 良かった~っ」 もう戻れないのね、とニドランは笑顔の裏側で覚悟を決める。 薬の効果は割と早い。その効き目は徐々にだが、口にした数分後から、確実に現れるハズ。 昨日の試飲でニドランは効き目には絶対の自信を持っていた。 ふと気付くと二匹は互いに見つめ合っていた。 本来、ちょっとした気まずさが生じるのだが、ニドランとしては引いてられない。 まだ早いかな、とは思いつつニドランはとうとう行動に踏み出すのだった。 ---- ゆっくりと一定の速度で、ニドランはオタチとの距離を詰めていく。 「オーくぅん」 甘える様な声で囁く。 するといきなりニドランはオタチに体を掴まれた。 ニドランは突然のコトにびっくりしてしまうが、これは理想的状況である。 「ねぇ、なんか我慢できないんだけど……」 オタチの様子がおかしい。ついに症状が現れはじめたみたいだ。 ニドランは次第に鼓動が早く、大きくなっていく。 完全に受けの姿勢でオタチの次の行動を待った。 オタチの両腕に力が入る。同時にニドランの体は強く引き寄せられる。 抵抗するつもりも無いニドランは当然オタチと体を密着させるコトになる。 オタチの荒い息使いがニドランの耳元に響く。 少しの間、二匹はお互いの体温を感じていた。 オタチは再び腕に力をこめる。そして今度はニドランを強く押し倒す。 あまりに突然のコトで反応が全く出来なかったニドランはあっさりと仰向けにされた。 ニドランに跨る姿勢になったオタチは彼女の首筋を優しく手でなぞる。 緩い刺激にニドランはぴくりと体を動かすものの、声をあげるには至らなかった。 そのまま胸、腰、脚と少しずつ位置を下ろしてたっぷり時間をかけて愛撫していく。 こんな状況でもオタチの消極的な本性が出ているようであった。 雌の肌は敏感にできているらしく、微たる刺激にも関わらず既にニドランは十分に感じている。 脚まで下りたオタチの手は雌の最も敏感な部位へは全く近づこうとはせず、腿まで撫で終えると手を離してしまった。 極めて小さな快感の波が止んだ直後、オタチの手はニドランの頬に触れる。 その手で彼女の顔の向きを整えると、オタチは顔を近付けていく。 そして二匹の唇が重なった。 始めは優しく触れるだけのものだったが、次第に触れ合う力が強まっていく。 そうしているとオタチが突然ニドランの口内へ舌を侵入させる。 ニドランもそれに応えようと、自らの舌をオタチのそれに絡ませていく。 時折口を離すも、すぐに再び重ね、行為に酔い浸る。 淫らな音をたてながら、お互いの舌の感触を堪能する。 二匹の熱い口付けはしばらく続いた。 舌の感触を十分に楽しみ、ようやく口を離す。 いきなりの激しいキスにニドランは少々息が乱れる。 「はぁ……オーくん。結構、激しくて……いいよぉ」 普段表情が全くと言っていい程顔に表れないオタチだが、今は違った。 明らかに愉しんでいる。ニドランとの交わりを。 「そ、そうかな。でもまだまだ……これからだよ」 オタチの口からまさかこんな台詞が聞けるなんて。 と、ニドランは薬の作用に関心する。 オタチがニドランの胸の辺りをなでる。 しかし、敏感な芽には触れられず、再び絶え間無い微小な刺激が襲う。 この焦らしはニドランには我慢できないものだった。 「早く……触って、もう駄目」 耐え切れず待ち切れずニドランから攻めを促す。 ニドランの言葉から少しの間、オタチは行動に変化を起こさなかった。 早くもっと気持ち良くなりたい、と切望するニドランについに声がかかる。 「そっか……じゃあ」 ぴたりとそこで刺激は一旦止む。 限界近くまで焦らされ、ニドランの体はうずいて仕方が無かった。 ニドランはおねだりするような眼差しをオタチへと飛ばす。 オタチはニドランの表情を楽しみつつ、そっと手の動きを再開した。 「ひゃっ……んぅ」 胸の突起に軽く触れただけで、ニドランの口からは声がもれる。 オタチは一旦手をひっこめ、ちょんちょんと何度も優しく触れる。 「ぁ……っあ。……んん」 ニドランは絶え絶えに喘ぎながらピクピクと体をよじる。 さんざん焦らされたニドランの体には十分すぎる程の刺激になっていた。 あくまでスローペース。現段階のオタチは驚く程冷静だ。 十分に手で刺激したら、オタチはニドランの胸元まで顔を寄せる。 直後、さっきより一段階強い快感がニドランを襲った。 しびれそうな頭でニドランは視線を下にし、オタチが舌を使って乳首を愛撫しているのを確認する。 ニドランは既に何も考えられない程気持ちよくなっていた。 が、そんな状態にも関わらず、オタチは次々と攻めを与える。 次いでオタチの口からは歯が顔を出す。そしてニドランの芽を甘噛みする。 「ひゃっ、ぁ……!」 びくびくっと先程までと比べてかなり大きく体が反応する。 それから間も無くオタチの攻めは一時的に止んだ。 ひっきりなしに喘ぎ続けたニドランは息を整えようと音がたつくらい荒く呼吸をする。 しかし、彼女に与えられた休息は刹那に等しかった。 突然、ニドランは下半身に感覚を覚える。 まだ声を出してしまう程では無かったが、この内腿の愛撫、大事な所に近づくにつれて悦楽は大きくなるに違いない。 オタチはそれを見事に把握しており、腿を撫でる手をゆっくり中心部へ誘う。 「っ……」 一体、体ってのはどれほど正直なのだろう。 なるべく我慢しようとしていたのだろうか、ニドランが不規則に体を震わせる。 それは、手の動きに合わせて次第に大きくなってくるようであった。 「……っ!」 雌であるコトの証拠に触れた時、ニドランの口からは音にならない喘ぎ声がもれた。 その途端、オタチは急に手の動きを強める。 具体的には指を秘所に突っ込んだ、といったところだ。 泉のように溢れだした愛液が、侵入する異物を歓迎していた。 たっぷり焦らされた直後の猛攻。 ニドランは意識が一瞬飛ぶほどの快感に襲われた。 電気ショックを浴びたようにニドランの体は跳ね上がる。 「あぁっ……!」 自分の意志とは関係なく絞りだされた声が夜の静寂を切り裂いた。 突然激しさを増したオタチの攻めにニドランは呼吸すらままならない。 視線も定まらない苦悶の表情で、オタチの指から送り出される刺激に耐え続けるしか無かった。 「っうぉ……いふぅ……っ!!」 完全に回っていない舌で全身から捻り尽くすようにそれだけ発すると、間も無くニドランは達してしまった。 そこでようやくオタチの指の動きが止まる。 ニドランは久しぶりともいえる空気を胸一杯に吸い込んだ。 ぜぇぜぇと喘ぐことしかできず、それ以外の身動きは一切とれない。 そんな中、彼女は快感の余韻と共にある恐怖の種を抱えていた。 薬は徐々にその効果が濃く表れてくる。つまり単純に考えれば、今から行為は更に激しくなってくるというコト。 やり過ぎちゃったかな、と今更になって後悔が彼女の脳裏をよぎる。 気付けばオタチはまた動きだしていた。 ---- 先程まで激しく掻き回されていたニドランの大事な部分、そこへオタチは顔を近付ける。 次のオタチの行動は容易に想像ついた。 案の定、オタチは割れ目をなぞるように彼の舌を這わせた。 「ひっ……!」 来る、と分かっていても急所への攻撃は耐えられない。 ニドランは指に続き、舌の攻めにも翻弄されるのだった。 最初は表面を撫で回すだけだった舌も穴の探索に移り始める。 そうなるコトでまた一段階強力な快楽に煽られるのだった。 オタチは秘部を覆うように塗られている愛液の味も堪能する。 わざとじゃないかってくらい淫らな水音をたてながら。 じわじわと。舌が徐々に奥へ侵入を進める。 一度達してからまだ間も無いというのに、ニドランの体は再び絶頂へと向かっていく。 彼女の意向を完全に無視して、全身が痙攣したようにピクピクと動く。 「あっ……ひゃんぅ……んあぁぁっ!」 途切れ途切れに言葉を発し、早くも本日二度目のオーガズムに至った。 どこから出たのかという程の量の愛液が地面を広域に渡り濡らしていた。 「ぉ、オーくん、ぁ、粗いよぅ……」 ニドランは肩で呼吸をしながらか細い声を発する。 「そうかな? まだまだこれからだよ」 えっ……! とニドランはゾッとする。 これ以上気持ち良くなったらおかしくなっちゃう、という思考さえも浮かぶ。 「そろそろ、僕にも気持ち良くならせてもらうね」 オタチはそう言うと、倒れているニドランを跨ぐ姿勢をとり、彼の股の間で真っすぐ天を指している突起を彼女の顔の前まで持ってくる。 もちろんニドランには彼の求めているコトは理解出来ている。 躊躇しつつも、ゆっくりと彼女は口を開き、モノを受け入れた。 その直後。突然オタチはニドランの頭に手を伸ばす。 抱き抱えるように彼女の体を起こす。 更に頭をオタチの手によって押さえ付けられた。 「んっ……!」 一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐに肉棒への刺激を開始した。 まずは亀頭を中心に丹念に舐め回す。 しばらくし、攻めの中心は突起の先端へと範囲を狭める。 尿道の割れ目に沿って何度も舌で優しく愛撫する。 「あぁ……っ」 オタチは快感に声をあげる。 ニドランはそれを聞き、少し嬉しい気持ちになった。 自分の舌が彼を気持ち良くさせてるんだ、と。 そんなコトを考える余裕があったのも束の間。 オタチは更なる悦を求めてか、ニドランの頭を強く押さえ込む。 そのため、ニドランは喉の奥まで彼の雄を受け入れるコトになった。 喉を突かれる感覚に一気に苦しさを覚える。 一度呼吸を整えようにも、オタチがそれを許すハズも無く。 涙さえ浮かべながらニドランは舌を動かし続けるしか無かった。 ニドランが必死に我慢して愛撫を続けていると、次第にオタチの様子にも変化が現われてきた。 「ん……そ、そろそろ……っ」 彼の言葉にニドランもラストスパートをかけた。 激しく吸い付いてオタチの射精を更に促す。 「あっ、ぁあっ……!」 ニドランの攻撃は見事に彼の雄槍を仕留めた。 オタチは刺激を与えられると同時に声をあげ、絶頂を迎える。 ニドランからしてみれば苦痛の第二ラウンドの始まりだった。 口内で肉棒がピクピクと疼くと、先端からは粘り気の強い白濁液が射出される。 ニドランが驚いてる間にも生暖かい液体は彼女の喉をどんどん通過していく。 苦しみは次第に増すばかり。 ニドランは泣きながら次々と送り込まれてくる精液を飲み続けるしか無かった。 彼女の意識がぼやけて来たその時、暴れていたオタチの矛はようやく大人しくなった。 じゅぷ、と淫らな音をたて、肉棒が外気に触れる。 ニドランは地面に横たわったまま呼吸を整えていた。 オタチも少しの間は余悦に浸っていた。 が、静の時間は長くは続かず。オタチはまた動きだした。 一方のニドランは体力的にもかなり辛いものもあり、動きという動きは自分では起こせない状況。 二匹が行為を初めてから暫らく経つが、まだやっていないコトがある。 オタチは横を向いているニドランの体を仰向けにさせる。 そして、頭を撫でながら申し訳程度に軽く口付けする。 オタチはニドランを跨いで彼女の正面に立つ。 不意にお互いの目が合う。ニドランも今から彼が何をしようとしているのかは理解できているようだった。 ニドランの上にオタチが覆いかぶさるような姿勢になり、オタチは慎重に腰を下ろし始める。 ちょん、とオタチのモノの先端がニドランの秘部に触れた。 二度も達したニドランの雌は十分過ぎる程濡れており、侵入者を拒むコトは無かった。 それでもやはり膣の締め付けは強く、奥まで到達するのは容易では無さそうだ。 次第に生じる痛みに両者とも痛みに表情を歪ませながらこらえている。 それでもオタチの槍は非常にスローペースながらもその動きを止めるコトは無かった。 「っあ……うぅ……」 雌の大事な部分が裂かれる様な痛みにニドランは声をもらす。 が、それに比例して次第に快感も生じてくる。 二つの感覚に襲われ、彼女の喘ぎ声はどんどん音量を増してきた。 少し経ち、ニドランは痛みが一瞬引いたように感じ、僅かながら余裕が生まれる。 それでふと目線を下ろして見ると、オタチのモノが全て彼女の中に納まっていた。 「はぁ……、全部、入った……」 オタチが苦しそうに言う。 でもその表情はどこか楽しそうだ。 普段ほとんど見せない彼の表情に、ニドランも思わず顔が和らぐ。 が、それはほんの一瞬のコトだった。 再度動きだすオタチの腰にニドランは激痛との戦いを再開する。 やはり薬の効果か、彼のするコトに容赦が無くなっている気がする。 普段の彼なら、絶対自分から腰を振るなんてコトは無いハズ。 と、ニドランはうっすらとそんなコトを考える。 しかし当然ながら、この思考も刹那の内にかき消え、悦と痛に頭を真っ白にされてしまった。 「はっ、……んあっ……!」 オタチの前後運動に合わせてニドランも喘ぐ。 繰り返される刺激に、次第に快感が痛みを上回ってきた。 それは彼も同じコトだった。 興奮と悦楽が最高潮まで達し、呼吸は自然と荒れてくる。 オタチの射精はもうすぐ近くまで来ていた。 「っそ、そろそろイクよ……」 「ぁん……ま、待って! はぁっん……な、中は……っ!」 快楽の波に溺死寸前だったニドランの懇願も虚しく、彼女の体は発射寸前だったオタチに抱き締められる。 もちろんこのままじゃまず接合を解くコトは出来ない。 抱き締めるという行為が更なる密着感を与える。 これが二匹を絶頂へと誘う。 「……あぁん、オ、オーくぅん……っ!」 「うっ、で……出る……!」 ニドランは泣き叫ぶ様に声を絞り出す。 同時にオタチも宣言し、二匹は達した。 ニドランの膣内にはドクドクと勢いに乗って精液が注がれる。 その勢いと量はとても二度目というのを感じさせない程だ。 しばらく射精は続いたが、流石に一度目よりは短い時間で射出はおさまった。 半端無い脱力感にニドランは何も考えられなくなっていた。 彼女は快感の余韻に浸っていたのだが、オタチは違うようだった。 彼はすぐに復帰し、再度腰を振り始めた。 「ぇっ……ひぁ、あんぅ……」 またしても襲い掛かる刺激に反応的に声をあげてしまう。 オタチがまさかここまで積極的になるとは……。 と、ニドランは思うも、原因を辿れば行き着く先はもちろん例の薬。 薬の使用を本気で後悔し、これからの自分の成り行きに恐怖感を抱きながら彼女の意識は次第に薄れていった。 ---- 「ぼ……僕がこんなコトを……」 薬の効果が薄れてきた頃、オタチは正気を取り戻し始めた。 しばらく精液まみれのニドランをみつめた後、あろうコトかオタチは自らの体でニドランの白濁を拭き取り始めた。 一通り拭き終えると、オタチは一言呟いてこの場を後にした。 「僕、嫌われたかな……」 それから数時間後、ニドランは目を覚ました。 まず現状を確認しようと脳を稼働させる。 オーくんに薬を飲ませて、オーくんとヤッちゃって、段々激しくなって、私が耐えられず意識を失った。 落ち着いて考えれば考えるほど自業自得という言葉がよく似合う。 変な薬を飲まされてしたくもないコトを無理矢理させられて、オーくん怒ったよね……。 と、彼女の脳内で反省会が開かれる。 「……もう駄目かもしれないケド、謝りにいこう」 ニドランは今から起こすべき行動を思い付き、オタチの住みかへ足を向けた。 数分後。ニドランはオタチの住む洞穴までやってきた。 入口付近でぐずぐず躊躇っていると彼女は一つの違和感に気付いた。 洞穴の奥からはオタチの声が聞こえる。 それも何だか苦しそうだ。 どうしたんだろ。と、かえって心配になり、ニドランはついに洞穴の中へと足を踏み入れた。 奥の方まで進んでみると、呻き声に相応した状態のオタチの姿を確認した。 彼は腹を押さえてじたばたともがいている。 「オーくん! 大丈夫!?」 ニドランは思わずそばまで駆け寄り、声をかけた。 「……あ。ランちゃん。なんかさっきから、お腹の調子が凄い悪くて……」 が、明らかに調子が悪いで済むような苦しみ方では無かった。 ニドランは原因を必死に考える。 そうすると、一つの可能性に辿り着いた。 昨日、オタチに飲ませた例の薬。あれ程激しい効果を及ぼす薬に副作用が無い訳が無い。 ニドランがその結論に辿り着いた直後。彼女はさらに大事なコトを思い出した。 たくさんもらった木の実の中に薬の精製には関係ないラムの実が混じっていたコトを。 あの時はただ間違えただけかな、て思ったケド、もしかするとこのタメだったのかもしれない。 「オーくん。ちょっと待ってて!」 ニドランは勢い良く走りだすと同時に言った。 そのまま全速力でひたすら自分の住みかまで駆けていった。 数分後。息を切らせながらニドランは帰ってきた。 「オーくん。……ラムの実だよっ」 ぜぇぜぇと呼吸を整えながらオタチに木の実を渡す。 オタチはそれを受け取ると、自力で何とか飲み込んだ。 「……どう? オーくん」 「ま、まだ何とも」 ニドランはしばらく心配そうにオタチの様子を見ていた。 するとどうやら次第に効き目が現れてきたようで時間の経過と共にオタチの表情は和らいでいった。 オタチの呼吸が穏やかになったところでニドランは尋ねる。 「治っ……た?」 彼女の問いにオタチは少し考えて、体を起こして答える。 「そうみたい。ランちゃん、ありがと」 不意にニドランの目からは涙が溢れ出した。 彼女はオタチに抱きつき、口を開く。 「……良かったぁ! オーくん、ごめんね。あたし……オーくんになんて酷いコトをしたか……」 「それはむしろ僕じゃない? ……あんまり思い出したく無いケド……」 「違うの! あれは全部あたしのせいなのっ。オーくんに飲んでもらったアレ。そういう薬なの……」 え……。と、オタチの表情が一転する。 もっとも、涙で歪んだニドランのぼやけた視界には映って無いだろうが。 「あたし、辛かったのっ。……いつも積極的に迫ってみるものの、オーくんは無反応だし、ずっと不安だったの。 ……だから、薬の力を借りてでも体を重ねたくて……」 ニドランは嗚咽の混じった泣き声をあげてオタチの胸の中にうずくまる。 「そう、だった……んだ」 酷くショックを受けたようにオタチは呟いた。 それから少し考えて。オタチはニドランの頭を撫でながら言う。 「あのさ、……今度もう一度シよか。薬も使わずに」 思いの他勇気の要る発言にオタチは言い終えてから赤面してしまう。 ニドランは彼の発言により一層抱きつく力を強め、声を振るわせて言った。 「ごめん、オーくん。……ありがとうっ」 一時はどうなるコトかと思ったが、今回の件で二匹の関係は今まで以上に深まった。 ある意味ではあの薬のおかげだったと言えるだろう。 二匹は今夜もどこかで体を交わしているに違いない。 もちろん、薬など使わずに。 ソノ気にさせる! 完 ---- あとがき 読んでいただければ分かるとおり、今作は“媚薬”がテーマです。 敏感になる薬ってのも良かったんですが、なんか書きたいコトとそれてしまって、結局“ヤりたくなる”薬ってコトになりました。 媚薬を扱うってコトで毒ポケモンとかの方がいいかなぁ、と思い、雌ポケモンはニドランを。 逆に薬を飲まされる方は純粋な方がいいと思い、雄はノーマルタイプのオタチより。 途中更新速度が急激に低下したコトをこの場を借りてお詫びします。 では、最後まで読んでいただいた皆さん。今後もbeitaをよろしくお願いします。ありがとうございました。 ---- ご意見、ご感想、誤字脱字の報告などご自由にどうぞ。 #pcomment IP:119.26.168.35 TIME:"2012-05-05 (土) 07:02:19" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?guid=ON" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (Windows NT 5.1; rv:12.0) Gecko/20100101 Firefox/12.0"