「相手は破壊の凶鳥です、決して油断しないように」
生の喜びを伝えているかのような森の緑、その木漏れ日に照らされる、青と黒のゼルネアスの瞳。
全てのポケモンの中でゼルネアスだけが持ち合わせる、斜め十字の瞳。
「分かってる、僕だって」
生の瞬きを感じさせるかのような森の緑、その木漏れ日に照らされる、青と白のゼルネアスの瞳。
全てのポケモンの中でゼルネアスだけが持ち合わせる、斜め十字の瞳。
「理解していないと思ったので、忠告しました」
「いつだってあなたは僕を未熟者扱いする」
「本当に未熟者だと思っていたら、俺はあなたをあのポケモンのもとへ行かせません」
「僕の決意は変わらない」
「知っています。だから、これが本当に最後の忠告」
眉間に皺を寄せるゼルネアスに構わず、ゼルネアスは万物に己の威を誇るかのような歩調でゼルネアスに寄る。
そして。
ゼルネアスの鼻先下が、ゼルネアスのそれに触れた。
口という器官を持つ必要がない、生を司る伝説のポケモンの接吻。
ゼルネアスは目を閉じる、ゼルネアスは目を見開く。
ゼルネアスは理解する、ゼルネアスの慈愛を。
しかし、それに応える事は出来ない。
ゼルネアスの斜め十字に焼きついているのは、イベルタルだ。
のち、ゼルネアスが微笑む。
「心も身体も一つになりたい時は、キスをねだりなさい。心が離れ別れを告げたい時は、キスをしてあげなさい」
「ゼルネアス…」
「行きなさい、ゼルネアス。もう二度と会う事はないでしょう。あなたなら俺が出来なかった事を、彼と幸せになる事ができるでしょう。そして、俺という存在の意味は、今この瞬間の為にあるのですから」
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