ポケモン小説wiki
スイートルーム731 の変更点


#include(第四回仮面小説大会情報窓・エロ部門,notitle)
 
 ある日のこと、旅(というよりも旅行中)の青年は、今夜から二晩泊まる宿を目指して歩いていた。
「ね、ねぇ。大丈夫なの? そんなところに泊まって」
 青年の横を歩く、黄金色の美しい毛並みが特徴のポケモン、キュウコンが訊ねた。
「大丈夫だよ、何をいまさら」

 今から半月ほど前のこと、学校が休みなので、どこか遠出しようという話になり、その宿を決めていた時のことだ。破格に安い宿が見つかったのである。
「えーっと、なになに? スイートルーム1泊70000円を7000円にします。期間、部屋数限定?」
 期間や部屋数だけでなく、他にもいろいろ条件があった。これを満たしていないといけないのだが……。
「何か変な条件が多くねぇか?」
 パソコンの画面を覗き込んでいたマニューラがそんなことを言った。
「ん、そうか?」
「若い人じゃないとダメとか、ポケモンを持っていないとダメとか」
 コツコツと、鉤爪で画面を突きながら言う。しかし、広告を出しているのは、一流ホテルとして名の通ったホテルだ。画面に間違いがあり実は1泊7000ドルだったとか、そんな詐欺同然のこと事をするだろうか?
「読めたぜ、自殺者の幽霊が出るから、ポケモンに退治させようってハラだな」
「あ、かもな。でも、出たら出たで面白くないか?」
「おい……」
 青年はあまり気にしていない様子だった。電話でホテルに確認を取ってみると、正真正銘のキャンペーンだという答えが返ってきた。しかも部屋は空いているという。どうしようか?
 青年は少し迷ったが、2泊することを決め、その場で予約を取ってしまった。
 
 ホテルに着いて、名前を告げると、フロント係がルームキーを持ってきた。その場で、2泊分の宿泊費を支払う。14000円といっても、普段なら140000円もするのだ。ただの14000円とは訳が違う。こんなキャンペーンをすれば、すぐにでも予約が殺到しそうなものだが、意外にも部屋は空いていた。きっと変わった条件に当てはまる人が少なく、認知度はあるのかもしれないが、その条件に当てはまる人がいない。そんなところだろうな、青年は思った。
 7階の31号室の前に案内された。ドアには「731」というプレートが取り付けられていた。一つ不安に思ったことがあったので、青年は聞いてみた。
「あ、あのー」
「何でしょう?」
「この部屋って何か曰くがあるんですか? 例えば自殺者が出たとか。部屋代があまりにも安くなっているので、気になって」
「いいえ、キャンペーン中ですので、特別にお安くなっているだけです」
 男性係員がとんでもない、というような顔つきになったので、それを見た青年はつまらないなぁ、と思いつつもほっとした。
 通された部屋はスイートルームで、真ん中の部屋が居間。両脇に寝室があり、それぞれダブルベットが2つずつ置かれていた。調度品がボロボロなのではないかとも思ったが、そんなことはなかった。さすがは普段は70000円もする部屋だけある。荷物を置いて、居間のソファに座る。ふかふかのクッションが疲れた体をやさしく受け止めてくれる。
 青年は夜の7時から、15階のレストランで夕食が提供されることを思い出し、それまでゆっくりと休むことにした。それにしても夕食と朝食までついているとは思わなかった。ポケモンが3匹、キュウコン、マニューラ、マグマラシ、全員よく食べるので、外出の際の食費はばかにならない。そのため食事付きというのはありがたかった。それにしても何故、こんな破格のキャンペーンができるのか、その疑問は最後まで消えなかった。
 部屋は何かのお香が焚かれているらしく、その気持ちが何とも言えない気持ちにさせてくれる。ただのリラックスではない。お香の効果なのか、それとも休んだからなのか、心なしか元気になったようだ。

 15階のレストランでの夕食は味もさることながら、夜景もなかなかのものだった。港が近いため、漁火が闇の中に浮かび上がり、幻想的な風景を作り出していた。
夕食の後、部屋で少しくつろいでから、青年は最上階にある大浴場に向かった。大浴場の湯船から港が見渡せるのがウリでその言葉にたがわず、なかなかの景色。高台にあるのが欠点といえば欠点だが、このような景色が見られるのならば、そのようなことは取るに足らないことであろう。お湯にゆっくりつかり、疲れをお湯で洗い流す。壁に二枚プレートがかかっており、お湯の成分やら効能、温度が書かれていた。成分についてはその方面の知識が乏しく、何のことかさっぱりで、効能についてはどれも当てはまらなかったので、読み飛ばした。温度は43度とある。一般家庭のお風呂と比べるとやや高めの温度だった。もう一枚のほうには、大浴場を使用するにあたっての注意書きが書かれていた。見ると「きれいに体を洗ってから湯船に入りましょう」「浴室では走らないよう、お願いいたします」「汗をかいたらきれいに洗い流してから出ましょう」といったことが書かれている。どれも当たり前のことのように思えるが、書かれている以上は守らない客がいるのだろう。裕福だからマナーや礼儀が身についているかといえば、必ずしもそういうわけではないらしい。十分にお湯につかり、青年は汗を流してから、浴室の外に出た。首を振っている扇風機の風が心地よかった。青年は部屋に戻ると、パンツとシャツの姿になり、ダブルベッドで横になりながら、雑誌を読んでいたが、いつしか睡魔が襲ってきて部屋の明かりをつけたまま眠ってしまった。

 しばらくして青年は目を覚ました。備え付けの時計から判断すると、どうやら1時間半ほど寝てしまったらしい。部屋の明かりを暗くし、ベッドに入ってもう一度眠りにつこうとしたときに、何かが足に当たった。
「ん?」
 ベッドにかかっている掛け布団の中からマグマラシが現れた。というよりもそこにいた。
「何やってんだ?」
「ね、ねぇ、ご主人、なんか眠れないんだけど。何かこうもやもやというか、むらむらしちゃって」
「は?」
 もしかすると、焚かれているお香の効果なのだろうか? 生憎青年は鼻が詰まっていて、よく分からなかったが。構わず青年はベッドに入って横になった。
「ねぇ『いれて』も、いい?」
 最初青年は何のことか分からず、冗談交じりにこう答えた。
「ああ、ただし鼻の穴と毛穴と、耳の穴はダメだぞ、小さいからな」
「じゃあ、それ以外のところならいいんだね?」
「もう寝る」
 半ば青年は無視して、目を閉じた。目を閉じて間もなく寝息が聞こえてきた。その様子を見てマグマラシは小さくつぶやいた。
「ぼくだけ気持ちよくなろうなんて思わないよ。まずはご奉仕しないとね。男同士でこんな事をするのはどうかと思うけど、でも、もう止められないんだ! 抑えきれない!」
 マグマラシは掛け布団を引っぺがした。手荒にやったために少々音が立ったが、青年は眠ったままだ。
「じゃあ、始めるからね」
 マグマラシはそっと青年に口づけをし、シャツとパンツを脱がせた。青年の裸体が純白のベッドシーツの上に現れる。マグマラシは「事」がしやすいように青年に大の字のポーズをさせた。
「『下ごしらえ』は終わった、さて『本番』といっちゃうよ」
 青年のモノを見つめていたマグマラシは、本格的に行為を始めた。口からにゅっと出した舌の先端で、青年のモノの裏側や先端を舐め始めた。
「んん、ちょっと、しょっぱい……」
 さすがに青年も寝続けることができなくなってしまったようだ。大の字になったまま上半身だけわずかに起こし、
「なっ、何やってるんだ、お前は!」
と、至極当然の反応をした。こんな事をされたら誰だってそういうだろう。しかしマグマラシは冷静に返した。
「あ、そうそう。誰かを呼ぼうなんて思わないほうがいいよ。今ご奉仕してるのはぼくなんだから、傍から見たら、ご主人がぼくに命令してやらせてるように見えても仕方ないよ。それでも、いいの?」
 性行為というのは、子孫を残す以外にも、お互いの愛情を確かめ合うという意味合いがなくはないのかもしれない。しかし、異種生物同士でこんな事やっているとばれたら……。青年は「変態」のラベルを貼られることを恐れた。今いるのは、自分が予約した部屋。プライベートな空間ではある。が、今いるのは自分の家ではなく、ホテル。れっきとした公共の空間とみることもできる。ポケモンと「やる」人間もいるだろうが、あえてそれを口外するような人間はいない。青年にはいくつかの選択肢があるが、後のことを考えると、おとなしくしているのが最善のようにも思えた。
マグマラシは続きを始める。青年のモノの裏側を舐め、先端を口に含み、前脚でモノをつついたり、裏側にこすりつける。この繰り返しだ。動きは単調といえば単調だが、青年には十分すぎる刺激だった。体の底から込み上げる快感を抑えるためにベッドシーツを両の手でわしづかみにしている。
「出すときは言ってね」
 そのマグマラシの言葉にも青年は返事をしなかった。自分で抜くならともかく、ポケモンしかも同性に抜いてもらうことになるとは。込み上げる快感に抵抗するだけで精一杯だった。
青年のモノは太く、固く、長くなっていき、生殖器としての役割を果たせる状態になっていた。小刻みに震え、いつまで持つかも分からない。
「ご主人、そろそろ?」
青年の返事はない。返事をしているつもりなのだが、快感に抗するので精一杯なため、言葉にならないのだ。マグマラシが青年のモノに顔を近づけた瞬間に、青年は快感に呑まれた。
「あううっ、ご、ご主人『不意打ち』するなんて、ひどいよぉ……」
青年のモノの先端から飛び出した白濁液は、宙を舞い、マグマラシの顔にダイレクトにかかってしまった。青年が最後の最後まで我慢していたらしく「不意打ち」も第一波が押し出された後、堤防を切り崩した濁流のように、第二波が押し出され、マグマラシに襲い掛かり、顔や首、腹を白く染めた。
声にならない言葉を発している青年。青年のモノは元の大きさに戻ろうとしているが、その先端からは、未だ少量の白濁液が垂れていた。
マグマラシはかかってしまった白濁液を拭い取るために、ベッドシーツに体をこすりつけた。マグマラシは第二ラウンドに移ることにした。
「あはは、予想以上だったよ。ちょっと刺激が強すぎたかな? じゃあ、今度はぼくの番ね。ご主人は何もしなくてもいいから」
もっとも何かをしろといわれても、青年にそんなことをする体力など残っていなかった。マグマラシは青年の上半身に跨ると、自分のモノを青年の口元に近づけた。
「じゃあ、ぼくも気持ちよくさせてもらうね」
青年が抵抗できる状態ではないのをいいことに、マグマラシは半ば強引に自分のモノを青年の口に突っ込んだ。そして、腰を振る。先ほどの行為で興奮していたためか、すぐに快感の絶頂が近づいてきた。さすがに口の中で果ててしまうのはまずいと思い、急いで腰を引いて、少し後ろに下がろうとした。
「あ、うっ『火炎放射』がっ、出ちゃうよぉ……」
ところがバランスを崩してしまい、後ろに一歩下がったとき、背中からベッドに倒れこんでしまった。そして、果てた。
「か、かえん、ほーしゃ……」
マグマラシのモノの先端から、飛び出した白濁液は放物線を描いて、青年の胸元に到達し、胸元を白く染めた。体力を使い果たしたマグマラシはそのまま寝てしまった。

 次の日、青年は今晩もこんな事をされてはたまらないと思い、対策を講じた。夕食の前に風呂に入り、夕食をとる。そして、ホテルの近くにあるお店で、ビールとつまみを買ってくると、晩酌を始めた。そして酔いが回ってしまったといい
「今日はもう寝る。ポケモンはポケモンたちで寝てくれ」
と言って部屋に閉じこもることにした。幸い部屋から出るときにドアを引いて明ける仕組みになっていたので、ドアの前に椅子を置き、その椅子の上に自分の旅行用バッグを置いた。本当は箪笥でも置いておきたいのだが、これでも何もしないよりはましだ。青年はベッドに入ると早々に眠った。朝まで自分の身に何も起きないことを祈りつつ。
 
 3匹のポケモンたちは同じ部屋で眠ることになった。普段はそうしているので、こうすることに何の抵抗もなかった。しかし、今日は何かが違うのだ。原因は分かっている焚かれているお香のせいだ。これまで嗅いだことのないような匂いだった。そのお香のせいなのか、体が妙に熱い。だんだんと心臓の鼓動が速くなってくるのを感じる。
「あ、夕立ち、というか夜立ち」
マグマラシがそう言った。キュウコンが外を見る。
「晴れてるじゃない」
「あー、そういうことじゃなくて……」
マグマラシがちらりと、マニューラを見た。
「う……」
マニューラの股間で赤のような黒のようなそんな色の雄の象徴が立っていた。
「ね、朝立ちならぬ夜立ち。出せば元に戻るでしょ?」
「やらしいわね。エロいことでも妄想してたんでしょ?」
「うるせぇ、お前だって、アソコからなにかでてるじゃねぇか!」
「私は別に立ったりしないから。雌だし」
「じゃあ、お前も同じく「やらしい」様をみせてもらおうか」
 逆上したように見せたマニューラだったが、何故か体が熱い。こうでもしなければいつもの体に戻らないような気がしたのだ。マニューラがキュウコンに蹴りを入れて、ベッドに倒した。キュウコンは避けようとしたが、体が重くて動かず、蹴りが当たってしまった。キュウコンは最初は風邪を引いたのだと思ったが、どうもそれとは違う症状のようだ。
マニューラが、手元をそっとキュウコンの胸に置く。そして、鉤爪で胸を傷つけないように注意を払いながら胸を弄る。
「きゃうっ、何すんのよ」
「あ、そう。ヤならやめるわ」
「え」
 今のキュウコンにはこんな事をされているはずなのに、なぜか異性のポケモンが自分の肉体に触れ合う感覚が愛おしくてならなかった。理性ではこんな淫らなことをすべきではない。しかし、その理性はいまや欲に押しつぶされている。自分を律するという歯止めが利かなくなってしまったのだ。
「お、お願いだから、その……つ、続けて……」
「あぁ? まぁ、そこまで言うなら、やってやってもいいかな」
 マニューラは、キュウコンの胸元に自分の顔を押し付け、雌の匂いを吸い込む。そして、キュウコンの程よく膨らんだ乳房の触れる感覚を味わう。マニューラが乳房を弄り、キュウコンがマニューラのモノにご奉仕をする、お互いが弄られ、弄る行為、関係を楽しんでいる。
「ねぇ」
「あ?」
「中のもの、私にちょうだい……」
「ああ……。いや待った。どうせだったら、後からも、な? マグマラシ」
「直列繋ぎをするの? うーん、ま、自分だけ見てて悶々とするのもね」
マニューラがキュウコンの乳房やその周りを弄り、マニューラのモノをキュウコンが咥え、後からマグマラシが自分のモノをキュウコンの穴に挿入する。そうはいっても、万が一妊娠してしまったら、隠しようのない騒ぎになってしまう。子宮へ通じる穴とは別の穴にしておいた。
「は、始めるか」
マニューラとマグマラシが前後で腰を振って、自らのモノに刺激を与え始めた。それぞれの役目をこなし、絶頂に近づく三者。ただ、性行為に及んだのは久しぶりのことで、その身には刺激が強すぎた。そのため、直列に三者がつながった時間もそう長くはなかった。
「ぐうぅ、出そうだっ」
「ぼ、ぼくも……」
マニューラは自分のモノをキュウコンの口から抜こうとしたが、キュウコンがマニューラに抱きついているような姿勢のため、外すに外せない状況になってしまった。マグマラシもそれを見て体内に出してしまうことにした。今から腰を引いても間に合うかどうか分からなかった。
「あぐぅ『冷凍ビーム』があっ、出ちまうっ」
「ぼ、ぼくも『火炎放射』がぁ」
 マニューラとマグマラシはモノをキュウコンの体内に入れたまま『冷凍ビーム』『火炎放射』を放った。もちろん、技を出したわけではなく、これらは隠語。何を意味するかは説明するまでもないだろう。
前後の穴に出されたキュウコンも、同時に絶頂をむかえたのか、秘部からは液体がとめどなく流れ出ていた。
「キュウコンがこんなにかわいいって始めて知ったよ」
モノを引き抜いたマグマラシが言う。
「まさか、お前がこんなやつだとはな」
こうして3匹は仲良く同じベッドで眠った。

 3日目、チェックアウトしなければならないので、青年は準備をしていた。そしてチェックインのときにもらった紙に何やら記入している。つまり、異常に安かったのは、この部屋が快適なのかそれともそうではないのかを実際に過ごして体験する、言葉を悪くして言えば実験台にならなければならなかったからだ。
勿論、どこが良くてどこがいけないか、正直に書かないといけないのだ。それを渡して、青年たちはホテルを後にした。

 ところが、その後問題が発覚した。7階の31号室のお香は、多量に吸い込むと副作用で性欲や運動機能の低下をもたらす。といっても麻薬のような非合法のものではないし、お香への依存性もない。通常の分量ならばそこまでにはならないのだが、青年の書いたものをホテル側が見ると、そうとしか思えないことがかかれてあったのだ。もちろん青年は「行為」に及んだことは伏せておいたが。お香をたくというのはスイートルームでよりリラックスしてもらうためだったのだが、調べていくと7階の31号室だけ、その量が違っていたのだ。本来「100g」のはずが「1000g」となっていたのだ。お香に知識がある従業員を雇っていなかったのもあるが、ゼロの数を間違えるという普通では考えられないことをしてしまったという事実をホテル側は最初のうちは隠した。
 けれど、公表しなかったが「こういう部屋があるぞ」という情報は人から人へと渡り歩いていった。世の中は広いもので、お香がむんむんの部屋でもニーズがあったのだ。それは、人間たちがタブーをあえて犯すため。タブーを犯せば、社会的制裁は免れない。でも、それを防げるならば……。よほどのことをしない限り、ホテルは客のプライベートに関わることは口外しないのが原則だ。もちろん、部屋で何をするかも自由。いつもは普通の部屋だが、キャンペーン中の予約はぎっしり埋まっている。

あなたも泊まってみてはいかがかな、731号室に。

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