writer is [[双牙連刃]] 前話へは[[こちら>サマーバケーション! ~迷子のリオルと不思議な出会い~]] 夏休みエンジョイ中の二人、不思議な出会いはまだまだ続く模様……。 ---- バスの車窓から見える景色、俺は嫌いじゃないがもう一人には少々退屈らしい。まぁ、基本的に乗ってるだけだからな。 予定通りに俺達は隣町のデパートへ向かっているところだ。歩いて行くには三時間程掛かるんで、バスをチョイスした訳だ。自転車があればそれを使ったんだが、生憎持ってないんでな。 目的の物は海パンだけだが、あまり隣町に来る事も無いし色々見るとするか。デパートって言う位だしデカイんだろ。 おっ? あれは……ピジョットか。今日は少し曇ってるにしても、青空に鳥って言うのはなかなか絵になるよな。 「あー、長いなー」 「たまにはこういうのもいいだろ。バスなんて、こんな時くらいしか乗らないんだし」 「まぁなー。あ、でも海行く時は列車だってさ。俺、列車初めてなんだよ、楽しみだなー」 それは俺もだ。おじさんから聞いたけど、どうやら確実に休みが貰える事になったらしい。つまり、ドタキャンの類は発生しないって事だ。 そろそろ目的地のバス停だな。そこから実は30分程歩かないとならないんだが。どうせならそこまでバス停があればいいんだが、町の構造上の問題になるし、文句の言いようも無いがな。 バス賃を準備してすっと降りれるようにしておこう。降りる前でもたつくと、相当迷惑になるからな。 「司郎、そろそろ降りるから金出しておけよ」 「分かってるって。200円だっけ?」 「あぁ」 バス停に着いたと思ったら、一緒に乗っていた大部分の客が降りるみたいだな。まぁ、俺達と目的が同じだったって事か。 俺達は後ろの方の席だし、ちょっと待ってから降りるか。流石にそのまま発進される事は無いだろうし。 ふぅ、薄曇りとは言えやっぱりバスから出ると熱いな。でも明日から三日くらいは雨が降るんだったか……。 「あ~、座ってるだけって結構飽きるな。疲れた~」 「まだ歩く事になるんだ。疲れたって言うのはその後にするんだな」 「そうだった……んじゃあさっさと行くか」 日差しが弱まってるお陰で昼間でも割と快適だ。こういう時は、夏場の直射日光の力を改めて感じさせられる。日光を和らげる雲は偉大だ。 「にしても人多いよな。デパートか、そんなに大きいのか?」 「気付いてなかったのか? あのデカイのがそうだぞ」 「へ? ……うっそぉ」 地上七階建て、地下は二階まである大型デパートって見出しでチラシを配ってたんだ。それなりの物が出来てなきゃ嘘になるだろ。 ま、その所為で町から離れた郊外に立てなきゃならなくなったのは言うまでも無いだろう。交通の便が悪いのは、こういう辺りも関係してるんだ。 気付いた途端に司郎の目が輝きだした。これだけのサイズの建物は俺達の町には無いし、当然と言えば当然か。テンション上がってゾロアークに戻るなんて事になってくれるなよ? 「何ちんたら歩いてるんだよ零次! 早く行こうぜ!」 「落ち着けって。急いだってデパートの位置は変わらん。って、髪伸びてきてる伸びてきてるって!」 「おっとっと……あぶね~」 「まったく、正体がバレるとか勘弁してくれよ?」 「気ぃつけま~す」 変化が髪ならまだいいが、やっぱり突然髪が伸びていくなんてちょっとしたホラーを見せられたら誰でも引くって。見慣れてないと何事かと思うぞ。 そわそわはまだしてるが、一応落ち着いた司郎と共にまた歩き出した。しかし、金掛かってますって大きさだな。まだ遠いのに圧倒されるサイズに見えるし。 飲食店なんかも充実してるらしいから、おばさんに言って昼食はここで食べる事にしてる。たまには外食するのもまた一興ってな。 しかし結構長いな……バスに乗ってた時間も合わせて約一時間だし、そんなに頻繁に来る事は無さそうだ。 ん? なんか他の人達が上を見だしたぞ? なんだ? 「ん? 上に何かあるのか?」 「上?」 見上げると……は? えっ、ちょっ。 「おぉあ!? ふぐぅ!」 「のわぁ!? 零次!?」 ……強い衝撃と共に何かが俺に覆い被さってきたのが分かる。何がどうなったんだ? ダメージは、動けなくなる程じゃない。ただし、上に乗られてるから動けないんだが。 「いつつつ……司郎、どうなったんだ?」 「大丈夫、みたいだな。そいつが突然零次の上に落ちてきたんだよ」 そいつって事は生物だな。人って言わない辺り、サイズ的にポケモンだろう。 触ってみると、やけに毛がサラサラした奴だな。下ろしたいんだが、割と大きくてなんともしがたい。 「ちょちょっ、あんまり変な所触らない方がいいぞ? 確かそいつ、牝しか居ない筈だし」 「は? なんなんだよこいつ? 赤いのは分かるけど」 「えっと、ラティアス」 ……はい? ラティ、アス? それって、どっかの町では護り神なんて呼ばれてるポケモンだよな? うぉぉ、気付いたら顔が横にあるし。びっくりした……でも、確かに見た事あるな。ん? こいつ……。 額だと思われる場所を触ってみると、予想した通りだ。これは早く手当てした方がいい。 「司郎手伝え。こいつを日陰に入れる」 「え? どうしたんだ?」 「熱中症に近い症状が出てる。熱もあるし呼気も荒い、すぐに休ませるぞ」 近くにポケモンセンターは無い。だから最低限の熱中症の対応をせざるをえない訳だ。おっと、通りがかりの大人が数人手伝ってくれるようだ。助かる。 俺がメインでおぶるようにして、司郎達で補助してもらう。辛いだろうがもう少し待ってくれよ。 デパートまではもう少しあるが、治療用の品が揃ってるし休憩出来るスペースもある。全員で急ぎ目に進んでいく事になりそうだな。 それなりに本気で走ってデパートまで来た。暑いしこいつをおぶってるしでかなり疲れたぞ……。 「ぶはぁ、はぁっ、はぁっ……き、君、随分スタミナがあるね!?」 「わ、私達はここまでで……」 「あ、ありがとうございました。ここからは俺達で何とかするんで大丈夫です」 「お、俺も結構バテてんだけど!?」 子供達にカッコいいお父さんを見せれたから良いさ。って言って休憩用のベンチへ行った。なるほど、見栄を張るのもあったわけだ。何にしても助かったのは事実だけど。 とにかくこいつを回復してやらないとな。体……いや、頭を冷やす物と水分補給用の飲み物だな。 「司郎、これで飲み物と氷、この際冷却シートとかでもいい。急いで買ってきてくれ」 「じ、自分用の飲み物を買うのは有りでありますか!?」 「許可する。が、急ぎで持ってきてくれ」 「ラジャーっす!」 一万も渡せば十分だろ。空調も効いてるし、ここで休ませれば症状が進む事は無いだろう。 何事かと思って見に来たギャラリーが増えてきたが、構わずに撫でていてやろう。せめて、不安にならないようにな。 「大丈夫だ、俺が助けてやるからな」 虚ろではあるが、こいつの目が俺を捉えた。ん、手を伸ばしてきたな? ……握ってやればいいのか? 手を取ってやってそのまま撫でるのを続ける。司郎、なるべく早く頼むぞ。 ちっ、これだけ騒がしくなれば警備が来るのは当然か。ギャラリーを分け入ってきた。でもこいつを今動かす訳にはいかないぞ。 「これは何事で……ん? 君は? それにそのポケモンは」 「すいません、こいつが回復したらすぐに移動するんで、もうしばらくここに居させてください」 「う、うぅむ、緊急事態のようだし……分かった、事情だけは先に聞かせてもらうが協力しよう」 「ありがとうごさいます」 話の分かる人でよかった。事情って言っても、突然降ってきて具合が悪そうだったから成り行きで助ける事になったんだが……そのまま伝えるしかないか。 「なんとまぁ……君には災難だったが、こいつにとっては幸運だったと言う辺りか。治りそうなのかい?」 「体温を下げてやれれば、あるいは。それの為に友人を走らせてるんですが……」 「おっしゃあ俺参上! 零次、買ってきたぜ!」 「ナイス司郎。こっちに持ってきてくれ」 俺の見た方の人達がさっと道を作ってくれた。うーん、人の親切さが身に沁みる。ありがたい事だ。 熱中症の原因は体温上昇による発汗、そして水分不足での体温の低下を出来なくなっての更なる上昇っていう悪循環によって起こる。下手をすれば命に関わる症状だし、俺の緊迫感が周りにも伝わってるって事かな。 氷に飲み物数種類、それに冷却シートと……とりあえずはパーフェクトだ。司郎、グッジョブ。 まずは冷却シートを額に貼ってやって、氷を体の周りに置いてやる。これで多少は冷却効果も上がるだろう。 「飲み物どうする?」 「いや、それはまだいい。意識がはっきりしてない時に飲ませるのは、気管に入って危険かもしれないからな」 「それならまずは君が飲みなさい。君も随分汗を掻いているようだし、倒れてしまったら意味が無いだろう」 「そうだよ。ほら、零次の分も買ってきてあるぜ」 「……そうだな、貰うよ」 ペットボトルの水を受け取って、それを飲んだ。ふぅ、体に浸み込むってこんな感じなんだろうな。 どうやら他の警備の方も呼んでくれたらしい。俺達を囲っていたギャラリーが整理され、とりあえず邪魔にならないようにしてくれたみたいだ。 相変わらず俺の手は握られたままだ。うん、さっきまでより少し握り返す力が増してきたかな。俺の見立ても外れてなかったようだ。 「もう大丈夫、暑かったろう? ゆっくり涼んでいいんだからな」 「ん? おぉ、目を開いたようだ」 本当だ。さっきよりしっかりしてるし、飲み物をやってもいいかな。 とりあえず、普通の水よりスポーツドリンクの方がいいかな? 飲み易いように口に運んだら、ゆっくりと飲みだした。危ないところはもう過ぎたと思っていいだろう。 「ゆっくりでいいからな。焦らないで、落ち着いて飲むんだ」 ちゃんと飲めてるようだし、このまましばらくすれば良い感じに体温も落ち着くだろう。一安心だ。 「どうやら、落ち着いてきたようだね」 「はい、もう少しすれば動けるようになると思います」 「よかったぁ~。突然降ってきた時は何かと思ったけど、元気になってきてよかったぞ」 「まったくだ。っと、飲み終わったか? まだ要るか?」 ゆっくりと頷いた。それなら次を……おっと、もう自分で持って飲むか? ふむ、ポケモンは人間より回復が早いのか? ま、そう出来るなら俺もそれで構わないけど。 警備の方達がラティアスがもう心配無い事を周りに伝えると、この一帯が安堵に包まれた。ははっ、有名なポケモンだって事もあるけど、多くの人に心配されてこいつも幸せ者だ。 ほう、もう体も起こせそうだな。って、まだふらつくか。それなら、もう少し支えていよう。 「……ありがとうだってさ」 「気にするな。俺が勝手にやった事さ」 ん、今笑った、か? 何にせよ、半信半疑でやった治療が実を結んで本当によかった。こういうの、本当は専門の知識が無い奴がやったら危険だからな。 ギャラリーも散り始めたし、迷惑掛けたのもあるし、ラティアスが動けるようになったら俺達も移動しよう。 ---- 目的の海パンを見に来たんだが……やっぱり目を引くよな、この状況。 現在俺のパーティは俺、司郎、そして何故かラティアスがついて来ている。どうしてこうなった。 なんていうか……あの後、ラティアスは飲み物をあと2本ほど飲んで浮けるようになったんだが、何故だか俺達について来るようになった。司郎に事情を聞かせると、 「こんなに人間の居るところで一人にされると怖いって」 との事だった。確かにここまで目立ってしまうと、外に飛んでいってもトレーナーに追い掛けられる危険性は高い。 助けた手前、放っておく事も出来なくてこうなった次第だ。やれやれだぞ。 「やっぱり安定のトランクスか? それとも、変化球でビキニパンツ?」 「トランクスでいいだろうに……なんで変化球を投げようとする」 「いやほら、渚の目を釘付けみたいな?」 「目立ってどうする。っていうか、さっき分のお釣りを出せ」 「うっ、やっぱり忘れてなかった……ほーい」 七千円か……チラ見してくる辺り、小銭はくれって事だな。はぁ、まぁいいか。パシリ賃だな。 そんな俺達の横で、これは何? とでも言いたげにラティアスは首を傾げてる。説明してもいいんだが、ポケモンには無用の長物だしな? しなくてもいいだろう。 無難にシンプルな緑をチョイスして会計。司郎は何故か、顔文字がプリントされている物を選んでた。ここが落とし所かぁとか呟いてたが、どう考えてもおかしいと思うのは俺だけだろうか。 狙っていた物も買って店から出ると、やっぱりラティアスに視線が注がれる。困ったな、これじゃあ身動きが取りにくい。 「うーん、どうしようも無いとはいえ、この状況はやっぱり目立つな」 「俺みたいに姿を変えられたら苦労は無いけど、そんなん無理だろうしなぁ」 チラッとラティアスを見ると、すぅっとこっちに近付いて来た。常に浮遊してるのはちょっと便利かもしれない。 って、ちょっ、近い近い。なんで俺はでこをくっ付けられてるんでしょ? 『なるほど……私が目立ってしまってるんですね』 「!? な……」 今のは!? 頭に直接声が……。 『すいません、あなたの心と私の心を少しだけ繋げさせてもらいました。これなら、私の声も届きますよね?』 「あ、あぁ……」 「へ? 何? なんなの?」 ラティアスが司郎に事情を説明してるみたいだ。司郎には普通に声が届くって理解してるらしい。 しかし心を繋ぐって……大丈夫なのかそれ? なんか、俺が思ってた事が若干見られたみたいだし。 『大丈夫ですよ。あなたの心を盗み見ると言うわけでは無いので』 「そうなのか? って現在進行形で読み取られてるんだが」 『あ、す、すいません……』 いや、しょげられても困るんだが……まぁ、俺が変な事を考えなければいいだけか。 ようはテレパシー用の回線を開いたって事か。どうなんだ? 『それで間違いありません。凄い、もう使いこなせるんですね』 「いや、なんとなくやってみただけだから、普段はこうして喋るぞ?」 『はい、分かりました』 喋ったら不味そうな時はこうして言葉を送れるか……便利と言えば便利なのか? それで、君が目立ってるって事は伝わったらしいけど、打開策はあるっぽいのか? 『えっと、人目の無いところでなら何とかなると思います。何処かありませんか?』 「人目の無いところか……そう言えば、屋上があるって警備員の人が言ってたな。そこに行ってみるか」 「ちょちょっ、喋って!? 俺には何が起こってるか分からないんですけど!?」 ……若干面倒だな、これ。まぁいい、とにかく屋上へ行こう。 エレベーターに乗って屋上へ。相乗りにならなくて幸運だった。変な混乱が生まれても嫌だったし。 よし、読み通り。暑いから屋上に人は少ない。それに、影も多そうだ。 「ここならどうだ?」 『大丈夫です。ちょっと待ってて下さいね』 そう言ってラティアスは物陰に入っていった。どうするつもりなんだ? なんて考えてる内に、ラティアスが入った物陰から一人の女の子が出てきた。白いワンピースに白いサンダル。そして……ラティアスの体毛と同じ、赤色の髪の女の子が。 『こんな感じでどうでしょうか? 変なところ、あります?』 「まさか、ラティアス……なのか? 変なところは無いけど」 『はい! よかった、これなら大丈夫そうですね』 「へぇ、自分の周りの像を弄って、人間の姿に見せてるんだ。凄いなー」 さ、流石変身のスペシャリスト、一瞬で見抜きやがった……なるほど、種明かしはそういうことだったのか。 「でもこうなると、ラティアスって呼ぶと変になるんじゃね?」 『あ、確かにそうですね……』 え? どうして俺の方を見る? 『あの……よければ何か、呼び名を決めて頂けませんか?』 「お、俺が?」 「助けたのは零次なんだし、いいんじゃね?」 簡単に言ってくれるなよな。呼び名とはいえ結構大事だろうし……。 えーっと髪は赤いし、ラティアスだろ? 心を繋げるとかって事が出来るらしいし……。 「心紅(しんく)、とか? 心に紅で」 『心紅……』 「おっ、いいんでない? 覚えやすいし」 『はい! 私もそれでいいです!』 うぉっ、いきなり抱き付かれるとは思わなかった。と、とにかく気に入ってもらえたみたいだからいいか。 でも、これ決める必要あったのか? どうせこのデパートに居る間だけだろうし……まぁいいか。 とにかく、これで動き易くなったな。時間もなんだかんだあって昼過ぎてるし、腹も空いてきたかな。 「とりあえずこれでなんとかなるだろうし、飯でも食いにいくか」 「賛成ー。何食べる? あ、心紅が食べたい物とか行ってみる?」 『え、私ですか? あの、私、人の食べる物ってよく知らないんですけど……』 だろうな。あっ、因みに今心紅は喋りながら俺に念を送ってる状態だ。まぁ、心紅の鳴き声は聞こえないようにしてるらしいから、俺には口パクしてるようにしか見えないんだがな。 声を出せないって事で誤魔化すか……俺と司郎が分かってれば問題無いし。 任せるって事なんで、ついでだから色々勧めてみようか。フードコートあったし。 で、とりあえず色々ファストフードを揃えてみた。俺達はともかく、心紅は初めてだろうし気に入る物があればいいんだけどな。 俺はオーソドックスなハンバーガーを食べながら二人……うん、見た目的には合ってるよな。の様子を見てるところだ。 『あ、このクレープっていうの美味しい』 「ナゲット美味いー」 「……幸せそうだな」 こうして見てると、ポケモンの賢さには脱帽だな。人間し過ぎだろどっちも。 そうだ、心紅には聞きたい事があったんだ。どうして俺の上に落ちてくるような事態になったか聞きたかったんだ。 「心紅、食べながらでいいんだけど聞いていいか?」 『はい、なんでしょう?』 「落ちてきた時、何があったんだ? あんな事になってたんだから何かあったんだろ?」 『……実は、ある場所を探して三日くらい飛び続けてたんです。それで、今日力尽きちゃって』 「零次の上に落ちてきた、と。一体何処を探してたんだ?」 『アルトマーレ、私達ラティアスやラティオスが世界を巡る内でただ一箇所、立ち寄り休むと定められた場所です』 あぁ、そこだ。ラティアスともう一匹、青いラティオスが護り神とされてる町。そうか、それを探して……て、ちょっとおかしくないか? 「定められてるなら、場所を知ってるんじゃないのか?」 『えっと、私は四匹で群れを作って色々な場所を見て回ってたんですけど、そこから逸れちゃいまして、言い難いんですけどその……ほ、方向音痴で……』 「あー、何処に向かってたかも分からなくなったと」 『あぅぅ、その通りです』 なるほどな……いやそれ致命的じゃないか? 逸れてからもう三日も経ってるんだろ? 「なぁ、それならこれからどうするんだ? やっぱりアルトマーレ探す感じ?」 『正直、どうしようか分からなくなってるんです。また飛び始めても結局私じゃ見つけられない気もしますし……』 「それに、どれだけ飛べるか分からないが、ここからアルトマーレって所まで行くのは一日やそこらじゃ無理だぞ? 多分」 『うぅぅ……他の皆ももう向かってるだろうし、どうしよう……』 はぁ……これも巡り合わせって奴か? このまま放っておいたら今度こそどうなるか分からないよなぁ。 「そんなら、俺達と来る? 分かってるだろうけど、俺本当は人間じゃないし、零次もそれを知ってて友達だし、他のところよりは居心地良いと思うけど?」 『えっ!? いいんですか!?』 「司郎もなかなか良いところあるじゃないか。そうだな、どうするか決めるまでは俺達と行動するのも有りだろう。でも、おじさん達なんて言うかな?」 「多分大丈夫。困ってるみたいだし、父さん達も同じこと言うと思う」 『あ、ありがとうございます~』 涙目になるくらい感謝されるとは……内心、心細かったんだろうな。そりゃ、仲間から逸れて見知らぬ土地に取り残されたら不安にもなるか。 こうなった以上、事情の説明もあるし帰っておばさんに話をしよう。とりあえず、買った分の物を食べてから。 「じゃ、これ食べたら帰るぞ」 「オッケー」 『よろしくお願いします!』 こうして、どれくらいになるかは分からないけど、夏休みを共に過ごす者が一人? 増えた。 ラティアスの心紅、……よく考えたら紅一点だな。俺達だけじゃ華が無かったし、丁度いいかもな。 ---- 後書き的な? ついに男二人だけのメインから紅一点を加えた三人パーティに! 物語の設定上、人の姿になれるポケモンを起用がちなので他のポケモンを出し難い…なんとかせねば! 前話へは[[こちら>サマーバケーション! ~迷子のリオルと不思議な出会い~]] 次話へは[[こちら>サマーバケーション! ~強き者~]] #pcomment IP:119.25.118.131 TIME:"2012-08-06 (月) 06:32:47" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E3%82%B5%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%90%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%EF%BC%81%E3%80%80%EF%BD%9E%E8%88%9E%E3%81%84%E9%99%8D%E3%82%8A%E3%81%9F%E8%B5%A4%E3%81%84%E7%BF%BC%EF%BD%9E" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; Trident/5.0)"