[[不器用なこの背に窩を打つ]] -まず、もう、テッカニンくん(かつヌケニンくん)が尊い! 漢語を多く交えた侍口調がピッタリハマって、とても魅力的。テッカニンという種族の秘密に薄々気づきながらもそれを抑圧し、子孫を残すという虫としての義務すら捨てて「弟」を探し求める忠義深い姿も、さりながらレディアンの誘惑に耐えることのできない弱い雄としての姿も、すごくよかったです。とかくテッカニンとヌケニンの設定は創作心を燃えたたせますね……! テッカニンものが多く書かれるのも納得…… しかし、打って変わって中編、レディアンの面影を探るようにセレビィを凌辱するテッカニンくんの劣情剥き出しのサイコっぷりは流石ミドリさんという官能描写。言うまでもなく『カクレミノ』のシビルドンくんとユクシーを彷彿とさせるし、パラくんの暴走っぷりも思い出させるし、テッカニンくんの欲丸出しの暴言には思わず笑ってしまった……腕っぷしは強いけれど、なんだかちょっと情けない雄っぷりがたまらないもんです。これでショタ(?)だし、侍だし、それにサイコだし、とても可愛い。 しかしその弱みも含めて、テッカニンくん(もといヌケニンくん)が虫たちの輪廻の中に組み込まれていたというのには一本取られました。そう考えるとセレビィ、ただヤられてるだけではなかった……? 結構な食わせ物だったり……? これまでのパラくんとレイちゃんの姿を、ヌケニンくんは恋い慕いながらも、影のように見守っていたのだなあ、と同時に、レイちゃんにコロトック、さらにはさりげなくあの子レディバたちの死がほのめかされていることに、改めて虫の世界の無常さを思い知らされてはっとさせられます。 こうなると、パラくんサイドの物語の最後がいよいよ気になります。二匹(そしてヒマリちゃん)がどうさよならをするのか、ヌケニンくんはどうするのか、最後は迎えたくないけれど、どう書き切るのか、期待してます! -- [[群々]] &epoch{1608359119,comment_date}; ->群々さん ご丁寧な感想ありがとうございます! これもう解説でいいんじゃないかな……。 同胞たちのいる森しか知らない井の中の蛙だった彼は、脱殻の秘密に気づき追い払われるまま故郷を飛び出し、時には格上のドラピオンに立ち向かったり、時にはレディアンの誘惑に流さたり、紆余曲折しながら種族の抱える役割に気付いていく。これはサイコパスショタ侍ことテッカニンくんの成長物語なのです。 言い慣れていない暴言を情動のまま喚き散らすみたいなところ、伝わったようで一安心です。神に対する畏怖の裏返しとでも言うべきか、冒涜的なシーンを書くのは楽しいですね。構造としてはおっしゃる通りカクレミノのユクシーと全く同じなんですよ。一辺倒で遊びがないのですがこれが好きなんじゃ。 セレビィはテッカニンを過去に送る役割を担っていましたが、流石にバトルで負けて犯されるつもりはありませんでした。あんな事故が起こったのはひとえにテッカニンがレディアンを恋い慕っていて彼女の面影を空目したからで、本来ならば腕づくでも時の歪みへと投げ込んでいたんだと思います。まあでもセレビィて男日照りはしてそうなんだよな……。 ちなみにコロトックの魂はヌケニンが拾い、あまり接点のなかったそのふたりでぎこちないやりとりがあったりするのですが、物語の焦点がズレるのと時系列的に盛り込むのが難しかったので見送りました。同様に幼いレディバの魂を送るシーンも省くことに……(こっちは既に書いていた)。なくてもレディアンに掛ける言葉は想像できるかな、と読み手に託しました。想像してね。 -- [[水のミドリ]] &epoch{1608469999,comment_date};