えちぃくはないけどちょっと不快感を感じる表現あるかもです。 #hr ・・・ 息ができないっ。苦しい・・・ここは水の中? 身体が揺れてる・・・ フ!・・・・イフ! 「あ・・・ごしゅじん・・・」 「どうしたの?すっごいうなされてたよ?」 「なんでもない・・・なんでもないよぉ・・・」 涙目で涙声の僕は窓を見る・・・明るい。もう起きないと・・・ご主人は心配そうに僕を見つめる。 僕の名前はイフ。ガーディだ。 隣のでくのぼう・・・あっ何考えてるかバレた。ごめんなさい・・・ 失礼、隣の僕とともに生活をしてくれる人間がご主人だ。 そしてさらに横で眠そうにしてうっとうしそうに僕を見てるのがリーフィア。 この1人と2匹で僕たちは生活をしている。 僕は他のガーディよりも身体が小さい。ご主人が言うには8割くらいしかないそうだ。 そのせいで仲間からいじめられてた。このことがいつもコンプレックスだった。 ご主人と出会う前までは。 ご主人は怪我だらけの僕を見つけるとほかのガーディを抑えつけて僕を治療してくれた。 その時はなんでこんなことするのかな・・・って思ってたけどご主人からは優しさを感じてる。今もね。 僕がどんなのでも僕を助けたってご主人は僕に言う。 まあご主人も変な人なんだけどね・・・学校を中退してからはバイトで生活してるし。 部屋にはなぜか22点の数学のテストが貼ってあるし。 ご主人曰く「どうせだれも見ないからいいじゃん。」僕は見てるよ。にやにや。 しかも僕の名前。 イフなんだけど、ご主人は畏怖っていう言葉からつけたって行ってたけど。イヌから棒を引いたらイフになる。 イフなんだけど、ご主人は畏怖っていう言葉からつけたって言ってたけど。イヌから棒を引いたらイフになる。 そうリーフィアが教えてくれた。犬も歩けば棒に当たるってことらしいけど僕には意味がわからない。 「イフ、ごはんだよ。リーちゃんも起きて起きて。」 ご主人がご飯を用意してくれる。 ご主人はなぜか人間が食べるものを僕たちが食べやすいようにわざわざ調理して僕たちにくれる。 リーフィアはリーちゃんって呼ばれる。♀だけど僕の天敵だ。朝が苦手らしい。 もともと僕が小さいから体格差がすごいんだよね。喧嘩でもじゃれあいでも僕がいつもご主人に助けを呼ぶまで終わらない。 「何よ。何見てんのよ。ご飯は分けてあげないよ。」 鋭い眼光・・・ひいっ、リーフィア怖い・・・ 「い、いらないよ別に・・・」 でもリーフィアももとは別の主人がいたけど、虐待されて瀕死の重傷を負ったところをご主人に助けてもらってそれ以来ご主人の所にいる。 治療とそのリハビリを兼ねてちょくちょくまだお医者さんに行く。ご主人も結構気にしてるらしい。 ぼ、僕のほうがご主人のところには先にいたんだからねっ! リーフィアはご主人が変わり者だとは思ってないらしい。僕のことでもご主人が言うなら・・・って感じだし。 僕はご飯にかぶりつく。 「ご飯おいしい?」 「おい・・・」 「おいしいよ!」 僕が言うのと同時にリーフィアが僕の声をかき消すように言った。わざとだ。やけになって僕は急いで食べる。 「そう、よかった。でイフは?」 「おいしい・・・よ。」 「そう落ち込むなよ。ちゃんと最初ので聞こえてたから。」 聞こえてたんだ。僕はちょっと元気になった。 ご主人もリーフィアの性格は把握してるらしく、昼間、僕とリーフィアだけの時は僕から目を離さない。 「ごしゅじ~ん。」 リーフィアの甘えた声だ。僕のそばにいるご主人を呼んでる。ご主人はリーフィアのほうへ行く。 「何?」 「暇です。」 「そう?」 「うん」 「じゃあどこか出かけるか。イフ?」 え?僕? 「僕?僕は・・・外行きたいな。」 「そっか。」 ご主人が僕のところに戻って来る。 「わっわっ・・・ごしゅじん・・・」 ご主人は僕を抱きかかえてくれる。リーフィアの視線が痛い。痛い痛い。殺気を感じるよ。でもここが一番安全だもん。 実は僕は外が苦手だ。街に出たら出たでごつい♂にナンパされるし。僕は♂だってのに。最初はただの勘違いかなと思ってたんだけど・・・ 森に行くとご主人が嫌がる。昔スピアーに襲われたらしくそれ以来、森が苦手らしい。 だから町か、川、海のいずれかになっちゃう。僕は火ポケモンでしょ。海とか川はあんまり水の多いところは苦手なんです。 ・・・川に行くとリーフィアに川に落とされる。・・・海に行くとリーフィアに海に引きずり込まされる。 町に行く時はたいていご主人が僕を抱きかかえて、リーフィアはお留守番。リーフィアはご主人以外の人にあまり会いたくないらしい。 でも町に行ったらお留守番のリーフィアはすごく不機嫌になる。僕が犠牲になっちゃう。 ご主人はそれを知ってるらしくて町に行くのは一人、って時が多いみたい。 モンスターボールは生命の危機!っていうときにしか使わないってご主人は言うし。 つまりリーフィアは川か海に行きたいらしい。僕もお留守番は嫌です。 「じゃあ海だな。まだ春だし、人もいないでしょ。さっさと準備しよっ!」 「ごしゅじん~~。」 リーフィアはすごくうれしそう。僕は・・・僕はね・・・ちょっと嫌な予感しかしないです。 ご主人はショルダーバッグにタオルを入れてる。もしかして・・・もう濡れるの前提・・・ほんとにもうやだ。 「イフ、これは君のじゃないよ。リーちゃんのだよ。一応ね。一応。もう一枚持っていくけど。」 僕は抱きかかえられたままご主人にそう諭される。でも全然安心できないです。 「でも・・・」 「僕が抱きかかえてたら問題ないでしょ?」 まあそうなんだけど。ご主人が僕を離さないっていうことが一番大事だね。 ご主人の家は町のはずれの川の近くにあるから川が一番近いんだけど、海のほうがよく行く。 「行こう行こう!」 リーフィアが大喜びで飛び跳ねてる。僕はご主人の胸に身体を預けたままだ。 ご主人は僕を抱いたまま外に出た。ご主人、本当に警戒してるし。 「ごしゅじん、ほんとうに大丈夫ですか?」 「多分。でもリーちゃんがまた怒ると思うけどなあ。」 あっ。本当だ。もしなにも起こらなくてもリーフィアが怒る、僕が犠牲になる、っていうパターンは変わらないのかぁ・・・ 「ま、イフ、大丈夫だよ。」 「うん・・・」 ご主人が歩いてるうちに海が見えてくる。そんなに遠くない。 「海だよ!海だぁ!」 リーフィアがはしゃぎだす。春なのにね。僕は震えてる。怖いから。海がじゃなくて、はしゃいでるリーフィアの行動が。何されるのか・・・ ご主人は僕を抱いたまま砂浜に下りる。リーフィアはすでに波打ち際まで駆けだしている。 「僕たちはここにいようね。」 「ごしゅじん・・・」 ご主人は僕を気遣ってくれてる。 「でもちょっと水に触りたいな・・・」 「ごしゅじん、やめて・・・」 本音をこぼすご主人を僕は必死に引きとめる。 「あ、ごめん、ごめん。ついつい本音がね。」 リーフィアのほうをみると楽しそうに海に入ってキャッキャッ言いながら水音をパシャパシャ立てている。 顔をあげてご主人を見ると幸せそうに微笑んでる。 「ん?イフ、どうしたの?」 「ごしゅじんがうれしそうな顔してるから・・・」 ご主人は僕の頭をなでる。 「幸せだなって思ってね。ちょっと眠いし・・・気候がいいからね・・・」 ご主人はちょっとうとうとしてて、寝そうだ。 「昔は・・・昔はイフもなついてなかったときはよく一人で来たよ。どうしたらいいんだろうって。」 「え?」 「どうやったらイフが笑ってくれるか、元気になってくれるかなって。」 ご主人に介抱してもらった最初のころは僕はご主人を警戒してた。今までそれが普通だったから。 群れの中で一番小さかった僕はいつも孤独で誰かが近づいてきたらそれは何かされるっていうことだった。 殴られて、蹴られて、おもちゃみたいに遊ばれて・・・ 僕には親もいなかったし。絶望に打ちひしがれてたころにご主人は僕を見つけた。ご主人はすぐに僕を抱えて群れから連れ出した。 もう僕はどうなってもいい。そう思ってた。でもご主人は怪我の手当てをしてくれただけじゃなくて、温かいご飯もくれた。 でも助かると急にこの人に何されるんだろうっていう思いが出てきた。命を助けてくれたのに。 でもご主人はずっと変わらないやさしい態度で僕に接してくれた。だから警戒するよりも、ずっといたい、そう思うようになった。 「ごしゅじん・・・・」 ご主人は片腕で僕を抱えたまま寝てる。しばらく幸せな時間が流れてるように僕は感じた。 「い~ふ~・・・」 「ひっ!」 突然の声。近づいてきたリーフィアが僕を見る。怖い。 「ちょっとこっち来なさい。」 そう言いながらリーフィアは僕を引っ張る。僕は必死でご主人にしがみつく。でもリーフィアは強い力で引っ張るから僕はご主人から引き離される。 「ごしゅじん~!」 ご主人は完全に熟睡してるのか、僕の災難に気付いていない。 「抵抗したってむだむだ。下は砂地だよ。引っ張る力と押しとどまる力だったら引っ張る力のほうが強いんだって。」 リーフィアは砂浜にとどまろうとする僕の首をゆるく噛んでずりずりと引っ張っていく。砂浜にすれて尻尾がちょっと痛い。 「やめて・・・」 「口は嫌がっても身体はどんどん海に近づいて行くよ~。もう波打ち際だし。」 どんどん引っ張られていく。さっきまで海で遊んでたリーフィアの体はすでに海水でびしょびしょだ。 ・・・止まった?波の音が僕のすぐ近くでする。そこから離れようとするけどリーフィアに力は入ったままだ。 「ひゃぅっ!」 足に波がかかっる。力が抜ける。リーフィアはここぞと僕をひっぱり海に引きずり込んだ。そしてリーフィアは足を掛けて僕の体を倒した。 ばしゃっ 「ひぁっ、冷たいっ!やぁっ、やめてよ!」 仰向けにされ全身水浸しにされ嫌がる僕をみてもリーフィアは解放してくれない。むしろ楽しそうだ。 身体が上手く動かせず足を必死に動かして姿勢を変えようとするとリーフィアはいつもじゃれてるときみたいに僕を上から抑え込む。 「これで逃げれないでしょ。」 「やめてって・・・ひん・・・はぅ・・・」 ばしゃばしゃと冷たい水は容赦なく僕を攻め立てる。お腹も背中も顔も尻尾もすごく冷たい。冷たいのは本当に嫌だ。 「ひゃんっ!」 嫌な声が出た・・・リーフィアが尻尾を踏んでる。 「何するの!」 「尻尾が苦手なんだっけ。イフはおもしろいね~」 明らかになぶるのを楽しんでいる、といった顔でリーフィアは僕を見た。 「ごしゅじん~」 ご主人のほうを見るけどご主人はまだ寝てる。僕は海から出たくてリーフィアをどかそうとするけど力及ばずそれもダメっぽい。 「なんでイフはさ~お風呂には入るのに海とか川とかはダメなの?」 「お風呂は・・・」 ご主人は起きて気付いたのかあわてて駆け寄ってくる。 「リーちゃん、イフから離れなさい!」 「えーっ。仕方ないなぁ。」 リーフィアはいやいや僕の上からどいてくれた。解放された僕は身体を反転させてあわててご主人のもとに走る。 ご主人はタオルで僕をくるむと優しく水を拭いてくれた。 「イフ、ごめん~。寝てた~。」 タオルの上から僕をギュッと抱きしめる。ご主人は暖かくて優しい。 「結局予備のタオル使っちゃった・・・ごめんね。イフ。」 僕を放したあと時計を見たご主人は海で遊んでいるリーフィアを呼んだ。 「リーちゃん帰るよ。もう2時間たったし。」 「はーい。」 リーフィアもタオルで拭いてもらう。リーフィアもご満悦といった表情をしている。 僕は再びご主人に抱かれて家路につく。 「なんでリーちゃんはイフを海に引きずり込んだりするの?」 ご主人は聞く。 「ん~。わかんない。」 そんなわかんないもののために僕は今日水浸しにされたわけですか・・・納得いかない。 「あんまりひどいとペナルティー課すよ。なんでもイフを優先にするとか。」 「え~っ。」 リーフィアは納得がいかない表情をして僕を見る。 納得いかないのは僕だよ・・・もうくたくただよ・・・ 「さあ家だぞ、イフ。」 ご主人は鍵を開けて家に入る。僕はご主人から降りようとしない。だって怖いもん。 「イフ、おひるごはん作りたいから下りてくれない?」 ご主人は優しい口調で僕に呼び掛ける。 「でも・・・」 「リーちゃんが怖いなら料理中もそこの椅子の上ににいたらいいじゃん。」 ご主人は僕をキッチンがらよく見える近くの椅子に僕を下した。 そしてご主人は冷蔵庫とにらめっこしたあとで、何やら鍋で煮ている。 「イフ、出来たよ。イフだけ風邪ひかないようにあったかいスープだけど。」 「ごしゅじん、ありがと。」 「どういたしまして。」 ご主人は笑顔で僕の喉を撫でた。ご主人は僕のためにスープを・・・ 「リーちゃんもご飯出来たよ。」 リーフィアがいつも使ってる部屋から出てくる。 ご主人は僕たちにいくつか部屋を使わせてくれる。でも僕はいつもリビングにいる。ご主人がいるから。 リーフィアの昼ご飯は普通にサラダと木の実を炒めたチャンプルだった。ご主人も同じものを食べてる。 「ぴちゃぴちゃ・・・」 このスープ・・美味しい。 「これ、おいしい。」 「リーちゃんありがとう。」 「イフ、おいしい?」 「うん。とっても。」 ご主人は僕の返事にすごくうれしそうにご飯を食べている。 ご主人は眠たいのか横になっている。 スープを飲んだ僕は昼寝をするためにご主人のそばで足を投げ出してごろっとうつ伏せになる。 リーフィアも疲れたのかご主人の横で寝てる。 「これでひと安心できたかな・・・」 小さくご主人の声が聞こえる。瞼が重たいなあ・・・むにゃむにゃ