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アンジュの生態レポートルポ の変更点



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[[水のミドリ]]




 あ、初めまして私トクサネ新聞社入社1年目のアンジュと申します! このたびは当社に取材協力してくださいましてありがとうございます!
 え、元気があって新人らしいですって? あはは、ありがとうございます! 私は若さだけが取り柄ですからね、きびきび働かないと!
 ところで、お話に伺っていたポケモンちゃんは…… あ、いたいた、この子ですね! わぁっ、思っていたよりも○○○○○で、特に×××なんかは△△△△△△なんですね! 
 ◇◇◇◇さんとこのポケモンちゃんはどんな関係なんでしょうか? ……へー、それはまた深いわけがあったのでしょうか。そこのところ、詳しくお聞かせください!! ――



記事ファイル
#contents


*共生1 [#c73f7a39]

 セイガイハシティを訪れたことはあるだろうか。イッシュ地方の隠された楽園、と呼ばれていたその町は近年サザナミタウンとの間に海底マリンチューブが開通し、アクセスが格段に改善された。これを機にと町は一層の盛り上がりを見せ、順調にいけば観光客は去年の4割増しと見込まれるという。
 マリンチューブは全曲面が強化ポリアセテート樹脂でできており、その内側から海中に住むポケモンたちを観察することができる。時間帯によって観察できるポケモンが異なっており、朝はマンタインがかわいらしい顔をのぞかせながらゆったりと泳ぐのだ。
 マンタインの腹側を観察する機会はほとんどない。だから、ポケモンにあまり詳しくない人は、マンタインの胸びれに別の生物がくっついていることを知らないのではないだろうか。
 というのも、くっついているこのテッポウオというポケモン、普段は群れで暮らしているから、まさかマンタインの腹にいるとは思いもしないだろう。
 こうなったのはどうやら偶然だったらしい。群れからはぐれたテッポウオがホエルオーなどの外敵から身を守るためマンタインを隠れ蓑にしたのが始まりだとか。近年の研究によると、テッポウオはマンタインの食べ残し(主にプランクトン食だがたまに腐った魚なども食べる)を頂戴しているだけでなく、主人の体に寄生した虫を食べているようだ。いつしかマンタインのほうもテッポウオなしでは生きられなくなったらしく、進化前であるタマンタはパートナーとなるテッポウオを見つけられるまで進化できない。まさしく共生関係にあるといえよう。
 ところで、私がマリンチューブに取材しに行った半月ほど前から、ちょっと珍しい光景が見られるようになったという。
 普段は1匹、多くても2、3匹しかテッポウオを従えないマンタインだが、ここ最近、なんと12匹ものテッポウオを抱えている個体が観察されるようになったという。
 発見したのはチューブ清掃員のヤシバさんだった。海風に冷たさが乗るようになった9月の終わりごろだったという。
「珍しくテッポウオの群れが深い海にまで潜ってきたなと思ったら、中から大きな影が現れてですねぇ、ええ、それがマンタインだったんですね。おおきかったですよ、翼幅10mは超えていたでしょうね」
 姿を見せるのは週に4日程度ほどで、いずれも朝から昼にかけて。大家族のマンタインはあっという間に有名になり、観光客から「マキエちゃん」と名前を付けてもらったそうだ(ちなみにオスである)。もちろん嬉しいのは客だけではない。シーズンの過ぎたセイガイハの観光客数が、いまだ高いままなのだ。町にとってもこれは嬉しい誤算だろう。新たに誕生したアイドルに、今後とも注目していきたい。



*抜け殻セラピー [#r0159cd1]

 大都会カナズミ。企業の社屋が連なるこの町は、平日の朝、出社人であふれかえる。普段は疲れを知らないおとうさん達も、温かい家族の待つ家に帰る前に(私の友人によるとそこは会社よりも疲れるらしい)、たまには癒しというものが欲しくなるようだ。そんな疲れたサラリーマンたちに人気の新しい診療所があるという。
 町の一角に、何やら怪しいテントが立っている。一見サーカスの見世物小屋のようにも見えるが、そうではない。なんでも診療所のオーナーは元旅芸人で、そのときの道具を一式使っているのだとか。
 テントを押して中に入ると、そこは4畳にも満たないような狭い空間。中央にそれらしい横長のテーブルと水晶玉が一つあるが、これは全く使わないのだそう。
「いやぁ、こういうのあると雰囲気出るじゃないですかぁ、気分ですよ気分」
 セラピストの与一さんは気さくに笑う。その手には水晶よりも一回り小さい球体が収められていた。モンスターボールだ。
「うちはこいつが全部やってくれちゃうんで」
 放たれたボールから飛び出て来たのはぬけがらポケモン、ヌケニン。どうやらこのヌケニン、普通の個体とはちょっと違う。
 きっと多くの人が想像するのは、じっと動かず不気味に浮かんでいる姿だろう。だが与一さんのヌケニンはよく動く。それこそ、自分がテッカニンであると思っているように、だ。
「進化してからずっとこうなんですよね。いやぁ、不思議なこともあったもんだ」
 音もなくぶんぶん飛び回るヌケニンは見世物としても面白いものなのだが、与一さんの施術はそうではない。お客が見るのはある一点だけ。ヌケニンの背中だ。
 ヌケニンといえば背中の割れ目から魂を吸い取ってしまうという噂がある。子供のころお母さんによく聞かされたのではないだろうか。決して覗きこんではならない、と。ゴーストタイプにはこの手の話しが付き纏うが、そもそも背中の割れ目はバトル中くらいしか開いていない。覗く機会なんてないだろう。
 与一さんによればこうだ。そもそも魂を抜かれる、というのは正確ではなく、普通ヌケニンは自らが持っていないもの――いわゆる活気というやつ――を求めるのだそう。
 つまり、ツチニンが進化して抜け殻になってしまったヌケニンは、テッカニンの持っていった生命力だとか、活力を欲しがっているというのだ。
 なるほどこれなら説明がつく。与一さんのヌケニンは抜け殻と言うにはほど遠く、足りないのはむしろ落ち着き、疲労、陰険さ。それらを吸い取ってくれるなら、人気のセラピーになりうるのかもしれない。
「まぁおにーさん、とりあえず試していってよ」
「まぁおねーさん、とりあえず試していってよ」
 帰りがけ、与一さんに背後からヌケニンを被せられてしまった。ああ、なんだか心地がいい。ぬるま湯につかっているように疲れが抜けていく。今日はいい記事が書けそうだ。


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あとがき

 どこかのサイトに「体裁はどうでもいいので1時間で集中して書け!」的なことがあったので実践してみました。せっかくなのでそれを何とか読めるように整え、公開。モチーフのポケモンは自分の好きな奴から選んでいるので偏りがありますね、できればすべてのポケモンについて書けるようになりたいです。
 設定から考えたでっちあげ生態。これも掌編集と同様、だんだんと増えてゆく予定です。本家ゲームに即したものはこっちに乗せることになりそうですね。

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記事の感想お待ちしています。

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