&size(20){''ポケモン不思議のダンジョン 探検隊アドバンズ物語''}; 作者 [[火車風]] まとめページは[[こちら>ポケモン不思議のダンジョン 探検隊アドバンズ物語]] 第二十九話 ライナの里帰り 後編 次の日の朝、家の周りは一面銀世界に覆われていた。 昨日の夜は確かに寒かったが、雪が降るとはだれも予測してなかった。 雪の中では、雪合戦をするソウイチ達の姿があった。 寒さは苦手でも、雪が降ると別なのだ。 「おりゃあああああ!!」 ソウイチが全力で雪玉を投げる。それをソウヤがさっとかわす。 「まだまだ甘いね!ぶほっ!!」 よけた途端にヒカルの雪玉が飛んできたのだ。 「そっちもまだまだ甘いね!!」 そう言って雪玉を作っていると、今度はドンペイの雪玉が後ろに命中。 「僕だって負けませんよ~!!」 「それええ!!」 「それそれそれ~!!」 モリゾーやゴロスケもたくさんの雪玉を投げてくる。 みんな大はしゃぎだった。ほかのみんなはその様子を楽しそうに見ていた。 「そう言えば、私たちが出会った次の日も、雪が降ってたわよね~。」 ライナはソウマに言った。 ソウマの薬で、ライナは一晩ですっかり元気になったいた。 「ああ。俺たちも雪合戦やったっけな~。」 懐かしそうに言うソウマ。 「私たちも混ぜてもらう?」 「う~ん、たまにはやってみるか!」 そういうことで二人も雪合戦に参加し、チーム戦をやったり、個人戦をやったりとみんないろいろ楽しんだ。 そして、楽しい時間は流れ昼近くになった。 「みんな~、そろそろお昼にするわよ~。」 ライカがみんなを呼んだ。 「うわ~、いいにおい~。」 みんな遊びまわっておなかぺこぺこだ。 「オレ一番~!!」 ソウイチが真っ先に駆け出した。 「あ~、ずるいぞ~!!」 「抜け駆けさせてたまるか~!!」 ほかのみんなもあわてて後を追った。 「そんなに急がなくてもたくさんあるわよ。」 ライカはおかしそうにくすくす笑っていた。 家の中に入ると、木の実の甘い香りが漂っていた。 「うわ~、おいしそうなにおいだ~・・・。」 みんなうっとり。テーブルの上にはパイやケーキ類がたくさん並んでいた。 昼ごはんというよりはおやつパーティのようだ。 「じゃあ、手を合わせて・・・。」 「いったっだっきま~す!!」 ドンペイの掛け声でみんな食べ始めた。 「うわ~、このパイおいしい~!」 「ほんと、甘くておいしい~!」 モリゾーとゴロスケはパイをパクパク平らげている。 生地はサクサク、中身には木の実ジャムがいっぱい入っていた 「あ、ソウヤ!!それオレが目つけてたクッキーだぞ!!」 「早い者勝ち・・・、ああ!!」 「早い者勝ちでしょ?」 ソウイチ、ソウヤ、ヒカルはクッキー争奪戦の真っ最中。 「もう、少しはお行儀よくしなさいよ!」 早速ライナが注意する。ライカはその様子を見てくすくす笑っていた。 「さて、昨日の宴会のやり直しと行こうじゃないか。モモン酒でもどうだい?」 デンジロウは結構な酒好きのようだ。 「えええ!?今から飲むんですか!?」 「そりゃあそうさ。さあ、ぐぐっと一杯。」 「だからオレ未成年だから酒は・・・、おう・・・。」 とうとうお酒を飲まされてしまったソウマだったが・・・。 「ん?おお!こりゃうまいや!」 どうやら気に入った様子。 「そうだろうそうだろう!さあさあ、もっと飲みなさい。」 気を良くしてさらにお酒を注ぐデンジロウ。 「いや~、すんませんね~、ほんとに。」 そう言いながらぐびぐびとお酒を飲むソウマ。 酒に弱いと言っておきながら、意外といける口なのだろうか? 「おいソウマ、そんなに飲んだら・・・。」 カメキチがやめさせようとしたが・・・。 「んあ~?せっかくすすめてもらってるのにわりぃだろうがよお~。」 どこか言葉遣いがおかしい。酔うのはやっぱり早いようだ。 「ったく、どうなっても知らんぞ・・・。」 とうとうカメキチも諦めてしまった。 「ふ~、くったくった~。」 満足そうにおなかをなでるソウイチ。あれだけの量の半分を一人で平らげてしまったのだ。 「よくこの体であの量が入るよね~・・・。」 ソウヤはあきれるのを通り越して感心していた。 「胃袋と体の大きさは比例しないのさ。」 ありそうでなさそうなことを言うソウイチ。 「ヒック・・・。うい~、このうまさはくせになる~、ィック・・・。」 ものすごく酔っているソウマ。 いつものきりっとした姿はどこへやら。 「そうかそうか~。やっぱり相手がいるというのは楽しいもんだ。」 デンジロウはものすごく上機嫌になっていた。 「アニキ、そろそろやめとかねえと後がきついぜ・・・?それに未成年だろ・・・?」 ソウイチが注意するものの・・・。 「んあ~?お前ものみゃあこのうまさがわかるって。イヒヒヒ・・・。」 なぜか妙な方向へ悪酔いしている。 これ以上突っ込むと飲まされかねないので、ソウイチは身を引いた。 「もう、ソウマったら・・・。」 さすがのライナもあきれ顔だ。 「お父さん、いい加減にしないとソウマ君酔いつぶれちゃいますよ。」 ライカがじろりと睨んだ。 「な~に、こんなのまだまだ序の口・・・。」 そう言いつつソウマのほうを見ると、ソウマはすでに大きないびきをかいて寝ていた。 酔いつぶれてしまったのだ。 「う~む、酒に弱いというのは本当だったのか・・・。」 デンジロウは内心しまったと思ったが、もう取り返しのつく状態ではなかった。 「だから言ったでしょ?これじゃあ起きそうもないわね・・・。ライナ、上の部屋にソウマ君寝かせるから手伝ってちょうだい。」 「は~い。二日酔いにならないといいけど・・・。」 ライナは不安そうだ。 「大丈夫よ。いざとなったら二日酔いに効く木の実があるから。ま、明日になってからね。」 二人はソウマの肩を担ぐと、そのまま上の部屋へと運んで行った。 「酔ったソウマもなんかいいな~・・・。」 よくわからないことをひそかに思うヒカルであった。 「あの調子じゃあ、当分帰るのは無理だね・・・。期限までに間に合うかな・・・。」 ゴロスケが言った。 「いまさらそんなこと考えたってしょうがねえよ。今のうちに遊んでおこうぜ!行くぞモリゾー!」 ソウイチはモリゾーを引っ張って外へと行ってしまった。 なんと楽天的なことだろう。 「あ・・・。こういうときは早いんだから・・・、もう・・・。。」 ソウヤはため息をついた。 「じゃあ、出遅れたついでにそり持っていくの手伝ってくれる?」 ヒカルが聞いた。 「そり?」 ヒカルは二人を裏の倉庫へ案内すると、中から大きなそりを引っ張ってきた。 「うわ~、大きいね~!」 ソウヤもゴロスケも驚いていた。 「たくさん乗れるようにって父さんが作ってくれたんだ。今まで使う機会はあんまりなかったけどね。」 ヒカルは恥ずかしそうに言った。 「でも、これならみんなで楽しめるよ。早速持っていこう!」 ゴロスケはとてもわくわくしていた。 「でも、その前にソウイチ達を呼んでこないと・・・。」 ソウヤはうんざりしたように言った。 「あ、そうだね・・・。じゃあそりは置いておいて、まずは二人を探しに行こうか。」 三人はソウイチ達を探しに出かけた。 三人がソウイチ達を探しているとき、二人は森の奥のほうへ来ていた。 昨日の一件でごろつきどもは逃げ出したようだ。 「こっちのほうはいっぱい雪があるな~。かまくら作れるんじゃねえか?」 ソウイチとモリゾーは森の奥のほうへきていた。 「二人じゃさすがに無理だよ・・・。でも、作ってみたいよね。」 モリゾーも興味はあるようだ。 「じゃあさ、ほかのみんなが来たときのために雪あつめておこうぜ!」 ソウイチは作る気満々だ。 「そうだね!じゃあ、オイラはこっちの雪を集めてくるよ。」 モリゾーは左のほうへ集めに行った。 「じゃあ、オレはこっちだな。」 ソウイチは右のほうへ進んだ。 そのころヒカルとソウヤたちは、ソウイチ達を探していた。 「どこにいったのかな~・・・。全然見つからないや・・・。」 ソウヤがため息をついた。 この森、面積がかなり広いのだ。 「とにかく、足跡を見つけよう。それをたどっていけばきっと見つかるよ。」 ヒカルは辺りを見回して二人の足跡を探した。 そして、とうとう二人が別れたところにたどり着いた。 「ここで別れてるね・・・。どっちに行こうか?」 ゴロスケが二人に聞いた。 「じゃあ、僕は右のほうへ行くよ。二人は左のほうをお願い。」 そう言うと、ヒカルは右のほうへ駆け出した。 ソウヤとゴロスケは左のほうへ進んだ。 そのころ、ソウイチは雪集めに精を出していた。 「いっぱいあるな~。これ絶対かまくら作れるぜ。」 ソウイチはうきうきしながら雪をかき集めていた。 すると、突然あたりが暗くなった。 「ん?まだ夜じゃねえよな・・・?」 ふと後ろを振り向くと、そこにはお化けみたいなものがいた。 「は・・・、あああ・・・。」 ソウイチは逃げようとしたが体が反応しなかった。 「遊びましょ~♪」 向こうはそのつもりで言ったかもしれないが、ソウイチはものすごい恐怖感を味わった。 そして、ようやく体が言うことを聞き始めた。 「ぎゃああああああああ!!!助けてくれええええええ!!!」 全速力でその場から逃げ出すソウイチ。 わき目も振らずに走りに走ると、向こうからやってきたヒカルと激しく衝突してしまった。 「いたたた・・・。あ、ソウイチさん!よかった~、見つかって~。」 ヒカルは一安心だったが・・・。 「たたたた助けてくれ!!お化けが追いかけてきてるんだよ!!」 ソウイチは怖さのあまり涙目になっていた。 そう、まだ誰にも言ってないと思うが、ソウイチはお化けが大の苦手なのだ。 「お、お化け・・・?それってどんなお化けですか?」 ヒカルは聞いた。 「ど、どんなって・・・。ってわあああ!!きやがったああ!!」 ソウイチはヒカルの後ろに隠れた。 これではどっちが年上か分かったもんじゃない。 「う、うるせえ!!怖いもんは怖いんだよ!!」 「あの~、誰と話してるんですか・・・?」 ヒカルはすごく不思議そうだった。 「な、なんでもねえよ!ってかきたぞ!」 ソウイチの指差す方向から確かに何かがやってきた。 ソウイチはガクブルだったが、ヒカルは冷静そのもの、というよりもあのお化けを知っているようだった。 「ソウイチさん、あれはお化けじゃなくて、僕の友達のリゲルですよ。」 シリウスはくすくす笑っていた。 ヒカルはくすくす笑っていた。 「へ?友達・・・?」 確かに近くまで来てよく見ると、それはムウマだった。 「な~んだ・・・。おどかしやがって・・・。」 ソウイチはほっと胸をなでおろした。 「そっちが勝手に驚いたんでしょ?おおげさね~。」 リゲルはあきれていた。 1歳違いとはいえ、年下にバカにされるほどいやなことはない。 「な、なんだと!?初対面のくせに生意気なんだよ!!」 ソウイチの頭に血管が浮いた。 「なによ!?呪うわよ!!」 いきなりの呪い宣言にソウイチはたじろいだ。 呪われては自分の命にかかわる。 「ちぃ・・・。」 こみ上げる怒りを必死で抑えたソウイチ。 それでもまだ怒っているのは明らかだった。 「だけど、探検隊のリーダーのくせに臆病なのね~。」 リゲルはくすくす笑った。 「んだとお!?」 さすがに怒りを抑えるのも限界だった。 「お~い!ソウイチ~!」 向こうから、モリゾーたちが走ってくるのが見えた。 ソウイチは何とか怒りを飲み込んだ。 「もう~!先に行かないでよね!探すの大変なんだから!」 ソウヤが怒って言った。 「うっせえなあ!!トロトロしてるやつが悪いんだよ!!」 ソウイチは今までの鬱憤をソウヤにぶつけた。 いわゆる八つ当たりだ。 「せっかちなのが悪いんでしょ!?」 逆切れされてソウヤもかなり怒った。 「二人とも落ち着いて!!」 モリゾーとゴロスケが二人を止めに入り、何とか大喧嘩は回避できた。 「あ、そういえばこの子は?」 ゴロスケが聞いた。 「僕の友達のリゲルだよ。え~と、この人たちは・・・。」 「言わなくても大丈夫。全部分かってるから。」 ヒカルが紹介しようとするのをリゲルはとめた。 リゲルには、相手が何者なのかを見抜く能力があり、名前や年齢、役職などが分かるのだ。 「じゃあ、みんなそろったことだし、そりすべりしようか!」 「あ、そうだそうだ。それが終わったらかまくら作らねえか?」 怒りが抜けたのか、ソウイチはみんなに聞いた。 「かまくらか~。いいね!そりすべりが終わったら作ろう!」 さっきの怒りはすっ飛び、ソウヤもこれからの遊びに期待を膨らませていた。 そして、家の倉庫にそりを取りに戻り、斜面のほうまでみんなでそりを押した。 そして、ようやく斜面のてっぺんにたどり着いた。 周りは障害物がなく、思いっきりそりすべりを楽しめる場所だった。 「僕が見つけた場所なんだ。ここなら思いっきり楽しめるよ!」 ヒカルは自慢げに言った。 「こりゃあ大迫力だぜ!早速乗ろうぜ!」 みんなは順番にそりに乗った。 舵は、そりに何回も乗っているヒカルが担当することになった。 「あんまりくっつかないでよね。」 リゲルはソウイチをにらんだ。 「わかってるよ!」 ソウイチも思いっきり睨み返した。 この二人は仲良くはなれそうもない。 「じゃあ、行くよ!」 ヒカルがそりを押すと、そりは勢いよく斜面を滑り出した。 「わああああ!!早い~!!」 「ひゃっほ~!!いけいけ~!!」 モリゾーとゴロスケは少しびびっていたが、ソウイチとソウヤ、リゲルとヒカルはすごく楽しそうだった。 そして、あっという間に下まで滑り降りてしまった。 「そりってとても早いんだね~・・・。」 初体験のモリゾーとゴロスケはまだ心臓がどきどきしていた。 「よ~し!もう一回滑ろうぜ!」 「やろうやろう!」 他の4人はかなり楽しんだようだ。 それから何十回もすべると、モリゾーとゴロスケもだいぶ慣れてきた。 そして、さすがに何十回もやると飽きてきたので、さっきの場所でかまくらを作ることにした。 「とりあえず雪はしっかり固めないとな。崩れてきたら大変だしな。」 ソウイチは以前作り方を見たことがあるらしく、作業は手馴れたものだった。 みんなへの指示の出し方も適切で、かまくらはあっという間に完成した。 「うわ~!おっきいね~!」 みんなかまくらの実物は初めて見るので大興奮だった。 「じゃあ、中に入ってみようぜ。」 みんなはソウイチの後に続いてぞろぞろと中に入った。 「うわ~、中って意外にあったかいんだね~。」 モリゾーとゴロスケは感嘆の声を漏らした。 「それに大きいから、たくさん入っても大丈夫だね。」 ソウヤも感心していた。 「へへっ。オレだってやるときはやるんだぜ?」 ソウイチは鼻高々だった。 「あ、そうだ!家からクッキーとか持ってきたんだ。みんなで食べよう!」 ヒカルは袋を広げ、クッキーなどを並べた。 ちょうどみんなおなかもへっていたので、おやつを食べることにした。 体を動かした後のおやつはとてもおいしかった。 いろいろな話をしながらおやつを食べていると、あっという間に日が傾いてきた。 「あ、私そろそろ帰らないと。今日はとっても楽しかった!またね!」 「うん、またね~!」 リゲルはみんなにさよならを言うと、森の奥へ帰っていった。 「じゃあ、僕たちも暗くならないうちにそろそろ帰ろうか。」 「そうだね。あんまり遅くなるとみんな心配するだろうし。」 みんなはもと来た道を引き返し、家へ帰り始めた。 家では、ライカがすでに晩御飯の準備をしていた。 「おかえりなさい~。今晩御飯作ってるからもう少し待っててね。」 台所からはいい匂いが漂ってきた。 「うは~、またまたうまそうなにおいだ~・・・。」 ソウイチはよだれがたれそうになった。 「姉ちゃん、ソウマの様子はどう?」 「さっき二日酔いに利く薬を飲んだから、たぶん明日には元気になると思うわ。」 「よかった~・・・。もう、お父さんも限度ってものを考えなよ!」 ヒカルはデンジロウを横目でにらんだ。 「いや~、すまんすまん。無理やり飲ませないほうがよかったよ。」 デンジロウは苦笑いした。 結構反省しているようだ。 「普通未成年には飲ませないよね・・・。」 「だな・・・。飲むのも飲ませるのも法律違反だよな。」 ソウイチとソウヤは周りに聞こえないように言った。 それからしばらくして、テーブルにはいろいろな種類の料理が並んだ。 みんなは舌鼓を打ちながら料理を楽しみ、いろいろな話に花を咲かせていた。 これこそ、一家団欒ということであろう。 晩御飯が終わっても話はなかなか絶えず、あっという間に寝る時間になってしまった。 ソウイチ達はまだ起きていたかったが、明日には帰らなくてはならないので、しぶしぶ寝床についた。 それでも、興奮してなかなか眠ることができないのであった。 そして翌朝、ソウマも元気になり、朝ごはんを食べるとみんなは帰り支度を始めた。 ライカとデンジロウはもう少しゆっくりしていってほしかったが、日数に限りがあるので、それはできなかった。 「いろいろお世話になりました。」 ソウマはデンジロウたちに礼を言った。 「いやいや。こちらこそ楽しかったよ。ライナも久々に帰ってきてくれて本当に嬉しかった。帰り道は十分気をつけるんだぞ。」 「探検隊の仕事も大事だけど、たまには帰ってきてね。」 デンジロウとライカは笑顔だったが、どことなくさびしそうだった。 「ええ。きっとまた来るわ。お父さんとお母さんも、元気でね。」 ライナは二人と抱き合った。 やっぱり別れるのは誰だって寂しいものだ。 「ヒカル、お父さんとお母さんのこと、しっかり頼んだわよ。」 ライナはヒカルの頭をぽんぽん叩いた。 「わかってるよ!僕がしっかり父さんと母さんの面倒見るよ!」 ヒカルは自信たっぷりに言った。 「本当に頼もしくなったな。これなら探検隊でも十分通用するぜ。」 ソウマはまんざらでもない言い方をした。 「ほ、ほんと?照れるな~・・・。」 ヒカルは顔を赤くして頭をかいた。 みんなその様子がおかしかったのか、声を出して笑った。 「それじゃあ、帰ろうか。」 みんなが帰ろうとすると・・・。 「あ、ちょっと待って!」 ヒカルがみんなを引き止めた。 「ん?どうした?」 「今度、そっちのほうに遊びに行っちゃだめ?」 ヒカルはおずおずと尋ねた。 「遊びに?」 「うん。今回はソウマたちが来てくれたから、今度は僕たちが遊びに行きたいんだ。ねえ、いいでしょ?」 ヒカルはすがるような目でソウマに訴えた。 「オレ達は別にいいけど、そういうことはお前の父さんや母さんに聞いてみないとな。」 「ねえ、父さん、母さん。いいでしょ?お願い!」 ヒカルは必死で二人にお願いした。 「ヒカル!二人を困らせちゃだめでしょ?」 ライナが注意したが、ヒカルは引き下がらなかった。 「しょうがないな。時間がいつ取れるかは分からないが、時間ができたときはお邪魔させてもらうことにしよう。」 「そうね。だけど、その間はちゃ~んとお手伝いとかするのよ?」 二人はヒカルに念を押した。 「うん!ありがとう~!!」 ヒカルは嬉しくって二人に抱きついた。 「よかったな、ヒカル。俺達も待ってるからな。」 ソウマはヒカルの頭をなでながら言った。 「きっと行くよ!きっとね!」 ヒカルは満面の笑みを浮かべていた。 「じゃあ、また今度会おうぜ!」 「さよなら。とっても楽しかった!」 「またそりすべりしような!」 みんなは口々に別れの挨拶をすると、ライナの家を後にした。 ヒカルたちは、みんなが見えなくなるまで手を振り続けた。 帰りは行きより道を知っているためそれほど時間はかからず、予定より早くギルドにつくことができた。 ぺラップに嫌味を言われることもなかったので、みんなは楽しい気分で里帰りを終えることができた。 そして、いよいよ物語は、大きく動こうとしていた。 ---- [[アドバンズ物語第三十話]] ---- ここまで読んでくださってありがとうございました。 誤字脱字の報告、感想、アドバイスなどもお待ちしてます。 #pcomment(above)