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アドバンズ物語第二十三話 の変更点


&size(20){''ポケモン不思議のダンジョン 探検隊アドバンズ物語''};
作者 [[火車風]]
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第二十四話 アドバンズVSグラードン! 炸裂!バーニングストーム!
第二十三話 アドバンズVSグラードン! 炸裂!バーニングストーム!


両者はにらみ合ったまま、しばらく動かなかった。
そして、先に静寂を破ったのはグラードン。

「まずはこちらから行くぞ!!げんしのちからだ!!」
グラードンの目が青く光ると、近くの岩の塊が次々と持ち上がった。

「な、なんだよあれ!?」
ソウイチ達は大量に浮かんだ岩に驚いていた。

「岩もろとも埋もれてしまえ~!!」
グラードンは大量の岩を投げつけた。

「ごふう・・・!!」

「ぎゃっ!!」
ゴロスケとモリゾーは回避が間に合わず、しかも急所に当たってしまった。

「モリゾー!!やろう、やりやがったな!!」

「お前なんか絶対に倒してやる!!」

「てめえは絶対にゆるさねえ!!!」
ソウイチ達の怒りのボルテージはどんどん上がっていった。
ソウイチとソウマはかえんほうしゃ、ソウヤとシリウスはアイアンテールをくりだしたものの、マッドショットであえなく粉砕され、大量の泥をかぶってしまった。
いくら人間とはいえタイプはほのおと電気、そのダメージは計り知れなかった。

「ぐ・・・。さすがに伝説だけはあるぜ・・・!」
ソウイチは傷を負った部分を手で押さえた。

「これじゃあ至近距離まで近づけないよ・・・。」
ソウヤも顔をゆがめた。

「でも、負けるわけにはいかねえんだよ!!相棒を傷つけたらどうなるか・・・、思い知らせてやる!!」
シリウスはなおもグラードンに突っ込んでいく。
相変わらずの無鉄砲だ。

「アホ!!電気がじめんにかなうか!!」
カメキチがすんでのところでシリウスの首根っこをつかみ、安全なところまで引き戻した。

「放せカメキチ!!オレは、こいつを・・・。」

そのとたん、カメキチはシリウスの横っ面を張った。

「あほぬかせ!!アイアンテールしか対抗できる技のないお前が一人で勝てるわけないやろうが!!」

「じゃあ、どうやったら倒せるんだよ!?コンを傷つけられたまま引き下がれるかよ!!」

「お前らであいつの注意を引いてくれ。その隙に、オレとゴロスケとモリゾーで背後から技を当てる。それしか大ダメージを負わせる方法はない。」
カメキチは真剣な目つきでみんなに作戦を話した。

「うまくいくんだろうな?」
ソウマは慎重だった。
カメキチを疑っているわけではなかったが、やはりリスクが伴うので、決めかねていた。

「わからん。確証はないけど、やるしかないやろ!」
カメキチの言葉を聞き、みんなも決心を固めたようだ。

「何をごちゃごちゃしている!!食らえ!ふんか!!」
グラードンの背中から、真っ赤に燃えた岩が噴き出した。
それと同時に、溶岩なども飛んできた。

「わわわ!!あちちちっ!!」
ソウヤやシリウス、モリゾーは必死で溶岩をよけた。
ソウイチとソウマは耐性があるので、溶岩の合間を縫ってさらに攻撃を仕掛けた。
ゴロスケとカメキチは水技で溶岩を冷やし回避していた。

「こしゃくな!!ならば、奥義ソーラービームを食らうがいい!!」
グラードンはソーラービームの準備を始めた。

「今や!!みんな頼むで!!」
カメキチの合図で、みんなは二手に分かれた。

そんな様子を、ライナたちはじっと見守っていた。

「(みんな、私たちの分まで頑張ってください・・・!)」

「(先輩、しっかり!!)」

「(ソウマ、絶対に負けないで!!)」
本当は自分達も協力したかったが、傷ついた体で戦ってはかえって足手まといになる。
それがもどかしくてならなかった。

「今のうちにダメージ与えるぞ!!食らえ体当たり!!」
ソウイチはグラードンの左足へ体当たりをした。
足へ攻撃することでバランスを崩そうとしたのだ。
ソウヤとシリウスはアイアンテールで右足を攻撃、ソウマはスピードスターで左足を攻撃した。

「そんな攻撃など効くものか!ソーラービーム発射!!」
体制が整い、グラードンは足元に向かってソーラービームを打った。
あたり一面に砂埃が舞い上がり、何も見えなくなった。

「これで勝負ありだな。」
グラードンはにやりと笑った。
視界がはれると、そこにはソウイチ達の姿はなかった。

「何!?やつら、どこへ消えた!!」
グラードンはあわてて辺りを見回した。
すると、背後からゴゴゴゴゴという音が聞こえてきた。
グラードンが振り返ると、そこには巨大な波に乗ったカメキチ、ゴロスケ、モリゾーの姿があった。

「おのれ!!」
グラードンは再びソーラービームの準備を始めようとしたが、目元にモリゾーのタネマシンガンが飛んできた。

「うぐおおおお!!」
グラードンは目元を手で覆った。
その隙に、ゴロスケがみずでっぽうを発射、そのみずでっぽうの一部にカメキチがれいとうビームを当て、とがったツララがグラードンへ飛んだ。

「いい気になるのもたいがいに・・・。」
グラードンの言葉が途中で途切れたかと思うと、ものすごい音を立てて横に倒れた。
足元を見ると、大きな穴が開いていた。
そう、ソーラービームが来る直前、シリウスの穴を掘るで、4人は地中を伝って何とか回避していたのだ。
再び立ち上がろうとしたグラードンの前には大きな波が迫り、その波は一瞬でグラードンを飲み込んだ。

「どうじゃ!!これが俺らの本気じゃ!!」
カメキチがグラードンをにらんだ。
グラードンは、くさ、みず、こおりの効果抜群3タイプの技を一度にうけ、かなりのダメージを受けていた。

「フン!!これぐらいでやられると思ったか!!」
あれだけのダメージを受けながらも、グラードンはなおも立ち上がってきた。
さすが伝説のポケモンというべきであろうか。

「そんな・・・。まだ戦えるなんて・・・。」
ゴロスケとソウヤはグラードンの尋常でない体力に舌を巻いていた。

「くそお!!いったいいつになったら勝てるんだよ!!」
シリウスはあせってかなりいらいらしていた。
ソウイチもソウマも、奥歯をぎりぎりとかみ締めていた。
そして不意に、グラードンがソーラービームを発射した。
あまりにも急だったのでみんなはよけることで精一杯だった。
そこへ追い討ちをかけるように、グラードンは尻尾を使って攻撃、ソウマ以外はよけきれず、みんな岩壁に叩きつけられてしまった。

「みんな!!」
ソウマはみんなのもとへ駆け寄った。
あまりにも強い力で叩きつけられたためか、みんな気を失っていた。

「フハハハハ!!無様なものだ!!」
グラードンは勝ち誇ったように笑った。

「てめえ・・・。これですむと思うなよ・・・!!」
今まで冷静を保っていたソウマだったが、とうとう切れてしまった。

「ほのおタイプの貴様に何ができる!さっさと負けを認めるんだな。」
グラードンはソウマをあざ笑った。

「そんなの、死んだって認めるか!!!!」
怒りが頂点を通り越した瞬間、ソウマの体全体がほのおに包まれた。
そして、猛スピードでグラードンに向かって突っ込み、途中で体がぐるぐると回転し始めた。
そう、ソウマの5個目の技は、ソウイチと同じかえんぐるまだった。
しかしその大きさはソウイチをはるかに上回り、まるで観覧車が回っているような大きさだった。

「じめんタイプにほのお技が効くものか!!げんしのちから!!」
再びグラードンは、げんしの力で岩をソウマに投げつけた。
普通ならば、岩がほのおを貫通し、ソウマはダメージを受ける。
ところが、ほのおの層が普通よりも格段に厚いため、岩を途中で粉砕してしまったのだ。
さすがのグラードンもこれは予想外で、マッドショットで応戦しようとするが、ソウマはそれを軽々とよけた。

「おのれえええ!!」
グラードンはとうとう怒りでわれを見失った。

「オレの仲間や弟を傷つけた報いは、ここで受けてもらう!!覚悟しやがれ!!」
ソウマはさらにスピードを上げ、グラードンの間近をぐるぐる周った。
すると、だんだんとほのおが渦になり、グラードンを包み込んだ。

「ほのおのうずか。これぐらいで倒せると思っているのか!!」

「これで終わりだと思ったか?」
ソウマはにやりと笑った。

「何!?」

「燃え上がれ・・・、怒りと正義のほのお・・・!バーニングストーム!!!!」

突如竜巻のようにほのおが回転し、この世のものとは思えない熱がグラードンを包んだ。
その熱さは、じめんタイプでも根を上げるほど熱かった。

「バカな・・・!じめんタイプのわれが、番人のわれが負けるなんて・・・!!ぐああああああああああ!!」
灼熱のほのおは、グラードンの戦意までをも焼き尽くすかのようだった。

「うおおおおおおお!!!!」
ソウマは力の限り攻撃し続けた。
体力のことなど全く考えず、ただひたすらに、こいつを倒したいという思いで体は動いていた。

「(ソウマ・・・、がんばって・・・!!)」
必死に戦うソウマを、ライナも必死で応援していた。
他の二人も、戦いの結末がどうなるのか、息を呑んで見守っていた。

ほのおの嵐が消え去ると、グラードンは大きな音を立てて地面に倒れこんだ。
もう、戦う力は少しも残っていなかった。

「はあ、はあ・・・。仲間や兄弟を思う気持ちが、負けるはずねえんだよ・・・!!例え相性が不利でもな!!」
勝ったものの、あまりに本気を出したため、ソウマの体力の消耗は激しく、立っているのが精一杯だった。

「ううう・・・。いててて・・・。」
ソウイチ達もようやく気がついたようだ。
そして、グラードンが倒れている様子を見て飛び上がった。

「えええ!?何で倒れてるの!?」
いったい自分達が気絶してる間に何が起こったのか、ソウイチ達は全く理解できなかった。

「先輩がやったんですよ!本当にすごかったです!」
ドンペイは興奮したように叫んだ。

「うそだろ・・・?アニキ一人であの怪物をやっつけたってのか・・・?」
ソウイチは自分の目が信じられなかった。
不利なほのおタイプでありながら、しかも一人で倒したとなっては驚かざるをえないだろう。

「へへっ、勝ったぜ・・・。」
ソウマはみんなのもとへ来ると笑顔を見せた。

「アホ!一人でやっつけよってからに、もし倒せんかったらどうするつもりぞ!!」
カメキチは心配のあまり怒った。

「でも、倒せたからいいだろ?あいつに思い知らせてやることができれば・・・、大事な仲間や兄弟を守れれば、オレはそれでいい。」

「バカアニキが・・・。」
そうは言うものの、ソウイチはソウマにものすごく感心していた。
体を張って仲間を守る、その強さと正義感にひかれたのであろう。

「ほら、アニキ。オレンのみ食べて元気出して。」
ソウヤはオレンのみをソウマに差し出した。

「悪いな・・・。ソウヤ・・・。」
ソウマは素直に受け取り、その味をかみ締めるようにオレンのみを食べた。
オレンのみの力はすごく、ソウマの体力はかなり回復した。

「ライナ、ドンペイ、コン。けがのほうは大丈夫か?」
体力は回復したといっても、疲れが完全に取れたわけではなかった。
そんなときでも、自分より仲間のことを気遣うソウマだった。

「僕は大丈夫です。もう歩けます。」

「私も大丈夫です。」
まだ少し痛むものの、ドンペイとコンは休んでいる間にあらかた回復したようだ。

「私も大丈・・・。いたっ!」
ライナは立ち上がったとたんに足を押さえた。

「ライナ!大丈夫か!?」
ソウマは倒れそうになったライナを支えた。
足を見ると、ひどく腫れあがっていた。

「これぐらいなんとも・・・。っつ・・・!」
ソウマに心配をかけまいとするライナだったが、やはり痛むようだ。

「無茶するな!今無茶したら余計悪くなるぞ。」
ソウマはバッグから湿布薬を取り出し、ライナの足に塗った。
そして、マントの下側を引きちぎって、包帯の代わりにライナの足に巻いた。

「これで多少は痛みが引くはずだ。特効薬があればよかったけど、材料がなかったからな・・・。」

「ねえソウマ。ソウマって薬が作れるの?」
モリゾーが聞いた。

「ああ。いろいろな薬草を組み合わせて、かぜや傷なんかに聞く特効薬を作っててな。今はないけど、薬草さえあればすぐに作れる。」
ソウマの特技にはみんなが驚いた。
長い間一緒にいるカメキチ達でさえそこのことには気付かなかった。

「あ!!あれ見て!!」
ゴロスケが突然叫んだ。
みんながそのほうを見ると、グラードンの体がひかり、そして消えてしまったのだ。

「ええええええ!?」
みんなが何事かと思っていると・・・。

「あれは、本物のグラードンではありません。あのグラードンは、私が作りだした幻です。」
どこからか声がした。
みんながきょろきょろと辺りを見回すとさらに声が言った。

「私はここを守るもの。この先を通すわけにはいきません。」

「ちょ、ちょっと待てよ!!俺達はここを荒らしに来たわけじゃねえよ!」

「ただ確かめたいことがあってここに来たんだ!」
ソウイチとソウヤは反論した。

「・・・確かめたいこと?」
声が聞き返した。

「うん!ほんとだよ!そりゃあオイラたちは探検隊だから、来たからにはお宝とかもらえたほうが嬉しいけど・・・。」

「でも、それが悪いことになっちゃうんなら全然いらないよ!それに、僕たちはここまでこれたことが嬉しいんだ!ねえ、信じて!!」
ゴロスケとモリゾーは必死で訴えかけた。

「・・・・・・分かりました。あなた達を信じましょう。」
すると、目の前に黄色のポケモンが現れた。

「はじめまして。私はユクシー、霧の湖の番人です。」
黄色のポケモンは自己紹介をした。

「えええ!?ユクシー!?」
みんな見るのは初めてだったので、ユクシーをしげしげと眺めた。

「はい・・・。私は、霧の湖であるものを守っているのです。今からその霧の湖へご案内します。どうぞこちらへ。」
ユクシーはどんどん奥のほうへと進んでいった。
みんなもついていこうとしたが、ライナが歩けないのでどうしようか迷っていた。
すると・・・。

「ほら、乗れよ。」
ソウマはライナの前にしゃがんだ。
背中に乗れということだろう。

「だ、大丈夫よ!」
ライナは恥ずかしかったのか、背中におぶさることを拒んだ。

「遠慮すんなよ。歩くと痛いんだろ?」

「・・・うん・・・、わかった・・・。」
ライナは顔を真っ赤にしてソウマの背中におぶさった。
ソウマの背中は、炎ではないあたたかさがあった。

「ソウマ・・・。」

「ん?」

「ありがとう・・・。」
ライナは笑顔でソウマに礼を言った。
顔は赤いままだったが、それは、恥ずかしさではなく、ソウマの優しさを感じているからであった。

「気にすんなよ。困った時はお互い様だろ?」
そういうソウマの顔も、みんなが見ているせいか少し赤くなっていた。


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[[アドバンズ物語第二十四話]]
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ここまで読んでくださってありがとうございました。
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