作者[[GALD]] -------------------------------------------------------------------------------- 1話 story starts 外で鳥ポケモン達の声が響く朝で、俺はに爆睡していた。 朝の生暖かい兆しが、天窓から差し込んでくる。 起きているのに、なんだか布団から出る気にもなれず、いつも布団から出ない。 ただの寝坊さんなだけなのだが、昨日は興奮して眠れなかった。 要はもっと寝ていたいのだが、そうも言ってられない。 「朝よ。今日、あんた大事な日なんでしょ?」 ドアをノックせずに、1匹のポケモンが堂々と入ってくる。 いつも通り彼女がやってきた。毎回やってくる。 やっぱりきたか、早く起きないと、電流で朝の目覚めはきつい。 早く起きたいんだが、動きたくない。今日ばっかりは、もう少し寝かせてくれ。 そんな心の中で、おれはぼやいていた。 「本当にさっさと起きないわね。しかたないか。」 彼女は、すぐに力ずくに行動する。今日も例外ではなかった。 そのまま、足音が近づいてくる。そこから床を軽く蹴り、俺のいるベッドに飛び乗る。 耳元で、パチパチパチィという、いかにも当たれば痺れるであろう音が、響いてくる。 次の瞬間、俺の体中を少量の電流が流れる。が、悲鳴を上げざるえなくなるのは、言うまでもない。 俺の叫び声が、部屋中に響き渡ると、彼女は満足そうに、 「よし。下にいるから、ちゃんと来なさいよ。」 そう言って、足音がまた遠くなっていった。 体が少しはピリピリするが、また来られて流されては、さすがにもたない。 痺れて鉛のように重い体を、やっとの思いでおこす。 だるい体を動かして、だらだらしながらも着替えて、下に向かう。 「やっと、起きてきたわね。朝からしっかりしなさいよ。」 階段を降り切ると、そこには黄色いきれいな毛に、チクチクしてそうな逆立ち、首のまわりだけ白い毛をしている。彼女(サンダース)が座っていた。 見かけによらずツヤツヤなのだが、触りすぎると怒るし、異性というのもあるので、最近は少し控え気味だ。 「おまえもう少し人を、丁寧に起こす気とかないのか?」 いくら力任せだからと言って、電流を流されて何も言わないわけにもいかない。 言ってもどうせ何とも思ってはいないだろうが・・・・ 「だって、あんた起きないし、今日家でて旅するんでしょ。」 そうだった、こいつ結構楽しみにしてたんだよな。見たこともないとこに行けるとか、いろいろ胸ふくらませてたっけ。 変に期待ばっかされても、後悔する気がするんだが、言っても適当にしか受け取らないだろう。 割と勝手な奴だが、いろいろいると楽しいし、俺の最初のポケモンだからな。 さてと、早いこと飯食って出発するか。 下のキッチンにいくと、母が朝飯を作っていてくれた。 机の上には、はりきっていたのか、朝こんなに食うか?と思うぐらい、大量に色々並んでいた。 当分母のご飯が食えなくなると思うと、なんだか寂しい。今のうちに、食べとかないとな。 母は、俺が降りてきたのに気がつくと、「シュウ、やっと起きたの。」呆れた表情を浮かべた。 呆れられても無理はないか、それより早く食べたいと思う意志が、強かった。「食べていい?」 母は呆れかえって、笑いながら、「いいわよ。」と言ってくれた。 「あんたね、私のこと忘れてない?」背筋が、ゾッとした。振り向くと、サンダースが、睨んでくる。 完全に怒っている。怖い、トレーナーとして情けないんだが、こいつにはどうしても逆らえない。 力では勝てるかもしれないが、電気があるし、性格そのものが怖い気がする。 「ごめんなさいね。わざわざ起こしてきてくれたのに、フィリアの分はここにおいとくわね。」 母がフォローしてくれたおかげで、何とか無事に食事を終えることが出来た。 とわ言っても、食事中も凍り付きそうな視線が、何度か向けられた。 下手に言い訳するとどうなるか分からない、後でこっそり礼を言っておいた。 部屋に戻って、バックの中身を確認して、準備が整ったことを確認すると、バックを肩にかけると、再び下に降りた。 「ボールちゃんと持った?」玄関で母に言われて急いで、腰に巻いてあるベルトに、着いているかを確認した。 全部あるな、フィリアはどうせボールには、戻らないし。 こんな事で焦っていて、大丈夫かな俺。 「よし、じゃ、気をつけてね。」母がエールを送ってくれた。 「フィリア行くぞ。いってきます。」少し不安だったが、母に元気ずけられた気がする。 俺は軽い返事を返した。「今度は、私のこと覚えてたわね。」後ろから、足音が近づいてきた。 口調から察するに、多分さっきのことで怒っているのだろう。電撃は覚悟しなければ・・・・ 俺は旅をする覚悟と、電流を受ける覚悟を決めて、玄関の扉を開けた。 眩しい光が、扉の向こうからやってくる。俺の初めての旅が始まるのか。 そう思うとワクワクする。ちょっと子供ぽいが、この気持ちは押さえれない。 外に出るといつもの町並みが広がっている。この景色とも当分会えない。 さて、まずはいつも道理、シンジン湖を目指そう。 「フィリア。さっきは悪かった謝るから、許してくれないか。」 目的を決めても先に謝っておくことにした。その後に、体中がしびれたのは、言うまでもない。 -------------------------------------------------------------------------------- 2話 穏やかな風が吹き、日がぽかぽか照っている。 身体は痺れてるし、朝の続きで寝たいんだが、心が見えているのであろうか、鋭い視線が感じられる。 下を向くと、黄色い体毛や耳が、少し風に揺られている、フィリアの姿がある。表情は、あまり機嫌がいいとは思えないが。 「あんた、なにか不満でもあるの?」不意に痛い所をつかれて、少し戸惑ってしまったが。態度がでかいんだが、やはり逆らえない。 どっかの黄色い毛をした、凶暴な雌のせいで、だるいんだよ、というのが、本音なんだが、やはり言うことは出来ない。 「いや、何にもない。」なんとかごまかそうと必死に、適当に言葉を、急いで返した。 俺の方を見て、少しの間硬直が続いたが、「なら、別にいいんだけど、あんたとの外出も久しぶりね。」 睨むのをやめて、少し笑みを浮かべたのを見て、少しほっとした。 そういわれれば、そうだ、昔は結構出かけたんだが、とは言っても、リッシ湖やその近辺の辺りまでだが。 小さい頃は、結構行ったのだが、最近は行っても仕方ないし、めんどくさいから全く行っていなかった。 昔は湖でポケモンを見て、はしゃいでいたな。中でも1番驚いたのは、透明なんだが形だけ見えた、不思議なやつだっけ。 友達に話しても誰も見てないって言うんだけど、あれは絶対にポケモンだと、今でも思っている。 みんなには見えなかったのか、実際に存在しないのかは、未だ謎である。それで、フィリアとよく行ったもんだが、結局もう2度と、現れることはなかった。 「本当になんにもないの?」こんな事を考えていて、立ち止まっていたためだろう。 また、疑われてしまった。「すまん、考え事してただけだ。」今度は正直に答えた。 「あらそう、ならさっさといきましょ。」意外にも、怒ったりはしなかった。 そこからは、スムーズにシンジン湖に向かった。途中のトレーナーなんて、この辺で出てくる雑魚ばっかで、フィリアが1撃でダウンさせてしまう。 他の手持ちを使うまでもなく、バトルは全勝であった。見ていて、相手がかわいそうなぐらい、速攻で勝ってしまう。 それでも、勝負にかったわけで、お金が多少なりと貯まった。もらうのは、多少気が引けたが、勝ったものだし、素直に受け取った。 そんな感じで、バトルは余裕で、あっという間に着いてしまったので、リッシ湖で少し休憩することにした。 空を見上げると、ちょうど太陽が真上にある。右腕に捲いているポケッチに目をやると、ちょうど12時くらいだった。 今年の誕生日にもらって、喜んだのだが、あまり使うことがなった。やはり、旅で役立つという、宣伝は嘘ではないのか。 眺めていても暇なことに変わりない。湖の畔に座り込んだ。手を広げて腕を伸ばし、そのまま地面に腕が向かったとき、フィリアに当たってしまった。 自分でも触るのは、気にしているのに・・・・ 「ひゃっ」さすがにこんな声をあげられたら、驚いてしまう。もちろんすぐに手を引いた。 少しの間、静まり返り沈黙した時が流れた。心の中の整理で俺の頭はフル回転していた。 隣にいたなんて、全く気づいてなかった。完全におれの不覚だ。よりによって1番俺が気にしていることであり、あいつも多少は気にしていることだろう。 でも、あれだけ気が強いのに、意外な声が出るもんなんで、よけいにきにしてしまう。 何度も、俺の頭に響いてくる。そのたびに心に、不安が矢のように刺さる。 これから、どうなってしまうのだろう。空は何一つ悩むことがないように雲もなく真っ青だ。 そんな空のように、この空気も何一つ会話出てこない。寂しいんだが、どうしようもない。 「あんたね、何で黙ってるのよ。」また、大きな矢が刺さる。 刺さった矢が溶け始め、溶けて鉄のような沈殿物の様に重い不安がたまっていく。 沈澱物がかき混ぜられるように、不安がさらにえぐられる一言だった。 「い・・いや、そのだ。触っちゃったから・・ごめん。」 不安定なため、適当にしか返答できない。でも、最善を尽くした自信すらまったくもてない。 「何で、そんなに気にするの?なんか隠してるでしょ。」 体と沈殿物が固まった。不安も一気に忘れた。 何でそれを言い当ててくるのだろう。ここでそれは1番痛い。 理由なんて、軽く答えれるほど俺は勇気がない。言えといわれても、恥ずかしすぎてむりだろう。 「隠してるなら言いなさいよ。昔は普通だったのに・・・」 俺の沈殿物が、モヤモヤした変なものに変わる。彼女の言葉も固まった。 なんだろう、この変な違和感は。ここは、男として覚悟を決めろ俺。 と言ってもどうせは言わないのだから・・・・ こんな緊迫している中、自分が恥ずかしいだけなのだが。 やはりそんなこと言えるはずがない、確かにおれは人間だ。 普通ならなんともないだろう。いつでも、人間であれば・・・・ 心の中でそう思い、その言葉だけが響き渡る。なんで、あんな能力が俺に、何で俺があんなものを。 不意にこみ上げてくる、違和感とそれの答えを探そうとする意思。 いろいろな思いが頭を交差し合って、グルグル駆け巡る。 「黙り込んで何にも言わなきゃ、わからないでしょ。」 はっとした、完全に自分の世界に入っていた。彼女に言われるまで意識が飛んでいた。 そんな時だった湖のほうから何かが向かってくる、黒い布を着たような体、首の周りは赤く、頭は白くて布ような体や頭が風に揺られていて水面に浮かんでいる。 「なんだあいつは.」 不気味な外見をしたそいつは、両手を合わせ徐々に広げていく。 手と手の間には区間がゆがんでいるいるような、黒い塊が発生し始める。 最初のほうは、何をするのかさえわからなかった。 そいつは標準を定めたかと思うと、こちらに目を向ける。 ひどく濁った冷たい青い瞳をしていた。その眼には、俺たち以外の何がうつっているのだろうか。 初めて気がついた時には遅い、相手は球体を手から放った。まずい早く動かないと。 「ボサっとしてる場合じゃないでしょ。」 俺はフィリアによって倒されていた。 相手が手から離した瞬間、フィリアが素早く地面を大きく蹴る。地面から軽く跳ぶと、それは閃光のような速さで俺にぶつかった。その後、衝突音とすごい勢いで風が巻き起こる。 「すまない。」 そう言って起き上がると、俺たちの場所には傷一つない。 畔から手の届きそうな範囲で、球が何かに当たように煙が立ち込めていた。 その中に1つの影が映っている。昔見た奴とそっくりだ。その影はそのまま水面めがけて落下した。 水しぶきがたつと、不気味なやつが水面に触れることなく同じ姿勢のまま向かってくる。 突然な出来事に頭の処理が追いつかない。いったい何があるのだろう。 「しゃきっとして、あいつをなんとかするわよ。」「なんで?」 「あの水面に落ちた子助けてあげないと、それに攻撃してきたからには許さないんだから。」 いったい、どっちが命令してるんだ。腰のベルトに手をやると、そこにはいくつかのボールがある。 その2~3個の中から的とにひとつを取り出して、中央のスイッチを押し、大きくなったボールを勢いよく投げる。 「ヒサシブリノソトデワナイカ。」 1目に鋼色の球状のからだに頭の上と目の下にねじが合計3個。左右に手の代わりに磁石が付いている変な奴が三人も連なってできている。 俺が適当に選んだ奴は3人とトリオのレアコイルだ。一番上についているのが偉いらしいのだが、図鑑を見てもそんなことはどこにも書いていない。 「タイサ、ノンキナコトイッテルバアイジャナイデスヨ。」 「そうだ、頼むからジルマ。フィリアと闘ってくれ。」 たぶんどうせ下についてるやつらがおれを批判するのだろう。 「タイサヲウヤマワンカ。」 左下についている奴の目が鋭く光った。下に2人の忠誠心はそうとうなものなのだろう。 1つのポケモンとして一心同体なのだが、下にいる彼らは上にいるジルマを敬う。 「イン、キホンテキニデテキタトキハコマッテイルノダタスケテヤロウデハナイカ。」 ジルマの一言に多少は気に食わないようだが、仕方なさそうな顔をして戦う気になったようだ。 「ヨウ、オキロヨ。タタカウミタイダ。」 横を見るとそこには1人だけ目を閉じて肝心な時でもねているコイル、ヨウがいた。 自分の名前を呼ばれて初めて起きたらしく、まだ半分くらい目が閉じている。 「ファァ、タイサキョウハナンノヨウデスカ。」 「イン、ヨウ。コレカラマエニイルアノワケワカランヤツガヒョウテキダ、セントウタイセイダ。」 ジルマの呼び声に反応してラジャーと2人は言うと前にる敵を向いた。 こいつらは戦闘に入るのが遅い。毎回ヨウは寝てるし、インは俺に文句言うし、ジルマはなんだか威厳あるみたいだけど態度でかい気がするし。 黒い奴のほうを向くと、手元にあの落とされた、ピンク色の小さな奴が収められているではないか。 俺はそのことには全く気がつかなかった。 「あんたたち。いい加減にしなさい。早いとこ闘うわよ。あの子連れてかれるじゃない。」 どうやら、肝心な時に完全にややこしい3トリオのペースに流されていたみたいだ。 よそ見してる間に、エスパー系の技で運ばれたのだろう。 あの怪しい奴の手元で浮いている。もちろん気は失っているみたいだ。 「フィリア、相手は水の上だ。ジルマと2人で遠距離戦で何とかしてくれ。」 2匹の体の周りに電気が発生し始める。そのままその電気を操り、フィリアとジルマは10万ボルトを相手に浴びせる。が、相手も馬鹿ではないそれを見切って避ける。 「お前たち、ワタシの邪魔をするな。」 低い声で初めて喋った。水色の冷たい視線で俺達を睨むと、相手も戦うように身構えた。 これから起こることを何も考えずに、得体のしれないやつとの戦いが始まった。 ---- 3話 「お前は一体何なんだよ。」 俺の問いかけには返事することもなく、再び攻撃を仕掛けてくる。 溜めては1度に5~6発の紫色の球体が飛んでくる。恐らくシャドーボールだろうが、1度に連射できるなんてのは見たことがない。 「フィリア、時間を稼ぐんだ。ジルマは狙いを定めて電磁砲。」 俺の指示通りフィリアは囮として前線で容易にそれらを避け、その時間を稼いでいる間にジルマはロックオンで狙いを定め、電気を集めて圧縮させ球体を作り、前方の敵めがけて発射する。 電磁砲の命中率は低いものの威力は大きい。命中率は低いわけだが、ちゃんと狙いは定まっているため避けるのはおそらく無理だろう。 「コレデオワリニシヨウジャナイカ。」 調子にのっているが、確かにシャドーボール程度ならぶつかり合っても確実に勝てる。少なくともジルマはそう思ったし俺もそうだった。 不気味なそいつは、よける動作もなく同じくシャドーボールを連射、音と煙をを立てながら衝突し爆発する。相当な爆発であったがフィリアの影は、薄ら見えているので無事なのだろうしかし、そんなところで油断している場合ではなかった。 さすがに5~6発では相殺で終わったのかと思えば、煙の中から紫の球体飛んできて見事にこちらに命中。勝ち誇って油断していたせいで避けることはできなかったのだろうし、煙で視界があまり開けはいなかった。 それ以前に電磁砲とシャドーボールがぶつかり合って、電磁砲が押し負けたとでも言うのだろうか。 間違いなくそうだろう、だとすればそんな半端ではない威力のをまともに受けているジルマは、いくら鋼で頑丈とはいえ普通に平然として入れるはずがない。 地面で自慢の鋼の体も少し変色し3匹が目を×にしている。これはさすがに戦えないだろうと思いボールを戻そうと腰からボールを取り出しスイッチを押そうとすると、まだ視界が見えていないにもかかわらず、相手の今度は黒い球体が飛んできてジルマに当たった。 あんな状況で確実に当ててきたのだろうか、それともまぐれかどちらにしてもここでの連撃は痛いしまぐれでなければなんというやつだ。 攻撃力も負け攻撃の手数でも負けそして、正確な攻撃完全に相手が上回られてしまった。 当たったジルマの様子を見ると、ダメージを受けている様ではないが目が閉じている。 寝ている。しかも何やらうなされているようだ。眠らされるなんて、催眠術とか命中率は低いし何らかの物を飛ばす技なんてないはずだ。 水の低い波も止まり、煙が晴れると奇妙な奴は水面から数センチ浮いて、攻撃の手を止めている。 「ジルマに何をした。」 俺が問いかけている隙に、フィリアが攻撃しようとするがそれを俺は止めた。無意味だと感じたからである。助けてやりたいのは分かるが限界だ。相手が悪いとしか言えない。 「私は眠らせる相手に悪夢を見せてその命さえも削る。皮肉なものだ。」 悪夢を見せるそんなポケモンがいるのか、そんなこと聞いたこともない。、ジルマをとにかくボールに戻さないと。ボールのスイッチを押して光線をジルマに当てボールに戻す。 「フィリア下がるんだ。俺が何とかする。」 使うたびに、あの時の研究室での記憶が鮮明に思い出せれて嫌だし、フィリアにも見せてないから後で怒られる、でもそんなこと言ってる場合じゃない。 「シュウ、あんたじゃ、どうしようもないでしょ。」 本当は使いたくない、仮にも人体実験というやつで生み出されたまがい物の能力だ。 なんかその俺のDNA的なものを改良して作ったらしく、もちろん俺の体を循環している血液は体に対しては問題はないけど、そのわけのわからない血が今も流れてる。 よく覚えてないけど、水色のおかっぱの奴等に連れてかれて気がついたら家で寝てた。だから何があったなんてわからないけど、後から聞いたことは「お前の血はもう一つの血が流れてる。」父さんからと母さんから告げられボールを1つ渡された。 俺が気がついた時には父さんはどこかへ行ってしまったし、最後の1言の持つ言葉の意味は母さんも知らないと言っていたし、それよりも無事でよかったと言っていたから、気にすることでもないと思っていた。 それから数日経ったある日、月が欠けることなく空に出ていた。 満月の放つ強い月光が異変の引き金となり、焼けそうなぐらいの痛感が俺を襲った。不思議な事に頭痛はすぐに治さまり、その時の光景は自分では夢だと思った、そう思いたかった。 「いいか、少しだけしか時間は稼げないからな。すぐに逃げるぞ。」 「だから、あんたじゃ時間なんて稼げるわけないでしょ。」 旅に出るために勉強して分かったかったことがる。俺を改良するために混ぜられた血。体毛は黒く瞳は赤色、何箇所かに黄色い輪の模様。そして、月に関する能力、おそらくこれが満月に反応するのだろう。 「嘘でしょ。ありえない・・・・」 「貴様、なんなんだそれは。」 体形が少し縮、服が脱げてると中から黄色い輪がにわかに光り、漆黒の毛が体を彩る俺の姿。普通なら驚いて俺の方を向くだろう。 それが目的で時間稼ぎは始まっていた。仮にこれが通用しなかったとしても、シンクロで眠りを相手に移すって、あれ?シンクロって眠り無理だったっけ。だとしたらマズイ、ここで相手に気づかれずに逃げ切るしかないのか。 「急げ、逃げるぞ。話はあとでするから。」 「逃げるって、どうやって。追い打ちをかけられたらどうするのよ。」 急いで服を拾い上げ咥えて、4足で地面を蹴り全力駆け出すと、彼女も信じられないのだろう、疑いの目線を俺に向けながらも付いてきた。 「貴様らが私の攻撃に耐えられると思うな。」 再び激しく水面が揺れ始め、紫色の球体を打ち始めるが、俺たちに当たるはずがなかった。 奴がどんな光景を目の当たりにしているのかは知らないが、幻覚を見ているのは間違っていない。 「何。なぜだ、なぜ攻撃が当たらない。」 それは当然だ。逃げている俺たちの方とは全く別の方向を攻撃し続けているからだ。 湖の周りに茂る林に逃げ込み、そこからさらに出来るだけ遠くに逃げた。 早速フィリアの取り調べが始まった。無論対象は俺自身、何を聞かれるかなんて見当はついている。 彼女が険しそうな表情で睨んでくるのを、苦し紛れに笑ってやりすごす。 「で、あんたそれは一体どういうこと?私に黙ってるなんていい度胸してるじゃない。」 表情でも分かるのだが口調にもすぐに出てくる。怒っている時は気が強そうにしているくせに、以外に脆い事も稀にある。ややこしいことに限りない。 「それはだな。どうせ、話そうと思っていたんだけどな。」 この能力は確かに夜になると結構な割合で勝手に発動してくれる。その面では使いにくい。 鋭い目つきは一向に変わらず、俺の周りをグルグル歩き回りながら、ジロジロ見回している。 彼女の機嫌はこうなったら、1日ぐらい待つしかないのもまた困る点である。 「じゃ、いつからそんな芸当ができるようになったわけ?」 正直に話したところでたぶん彼女が求めている答えは違うのだろう。いつも通り、何で黙ってたのかどうして言わなかったのか、その辺だろう。 冷静さなんて微塵も見せずに全く落ち着きもなく、見まわしながら立ち止まるたびに、次から次へと耳に怒鳴り声が響く。 体の毛は逆立ったまま一向に戻ろうとしないし、それどころか体からは怒りを象徴するかのように電気がビリビリと音を立てている。 俺の周りをゆっくり円を描くように放電のバチバチが聞こえてくる。 「分かった。全部話すからさ、放電するのやめて止まれ。」 音が聞こえてくる方向が定まった。そちらを向くと、いまだに表情を変えていないのが目に入る。 「分かったから、早く話しなさい。これ以上無言とか焦らすと電磁波程度じゃ、おさまらないわよ。」 俺はその1言に頷くと、多少落ち着いている事を確認し話し始めた。 俺が実験台だったこと、誰に連れて行かれたのか、いつから発動するのかを知っている限りのことを全て口から吐き出した。 「何で、私が手持ちになっている時からなのに、教えなかったのよ。馬鹿。」 最後に俺に言いつけると背を向けてマサゴの方へ歩きはじめた。反対を向いたのは、彼女が涙を流しているから、というのには気づかなかった。 服を拾い上げて体にブカブカではあるが、前足と後ろ足にそれぞれズボンを裾を通すなり上着の袖を通すなりして人間に戻る。 元の姿で衣類をすべて着衣したことを確認すると、彼女の後ろを追った。 マサゴのつくまでは背を見せるだけであった。うろついているトレーナーにはつっかかられないように、タイミングを見切って視界に入らないように掻い潜った。 ハラハラしながらも走り続けると、研究所がやっと見えた。ここまでこれば急ぐ必要もないし、息が切れていて走る元気も残っていない。 彼女はもともと速いので、疲れなんて見せないどころか息切れすることもなく姿勢を保っていた。 休憩を取りたかったが、彼女が何回かは途中で止まってくれてたのだが、俺が来たのを察するとすぐに歩きだしてしまう。 最後まで振り回され続けたわけだ。研究所までやっとのことでつくと、中に入って白髪の博士と会う約束をしていた。 名前は早口で言ったら噛みそうな名前だ。面倒なので呼び方は博士に決めている。中に入り研究員の人たちに挨拶をまず最初に済ませた。 「博士、約束通りきました。それで渡すって何をですか?」 後ろから机にむかっている白髪の老人に声をかけた。 座って動かしていた鉛筆を止めると立ち上がり、やっと来たのかと白いひげが伸びている顔をしかめた。 「よく来てくれた。君の友人は先に飛び出して行ったぞ。なんともせっかちな奴だ。それに比べて気も君で遅すぎるのだがな。」 事情はあるのだがここは伏せておいた。下手にすれば誤解や問題ごとにもなりえることだ。 まして、大人にまともに相手してもらえる話でもない。 「リョウのやつは先に行っちゃったんですか、そんなことより渡すものって何ですか?」 一言遅れてきて謝らんのかと一喝された。無理もない、もらえる物のことばっかり考えているからだ。 すぐに謝ると博士は、服のポケットからある機械をだした。初めてみる形、色、コンパクトのような感じはする。 この機械について語ってくれているのを静かに聞いた。結論はポケモン図鑑というやつらしい、戦ったことのある、出会ったことのある、などのポケモンが登録される便利な物らしい。 「ところでシュウ君。君のサンダースはなぜさっきからこちらに来ないのだ?」 不意に囁いてこられた。中まで入ってきながらも会話には参加せず歩き回るっているので、不自然に思ったらしい。 「色々な事情があるんですよ。それより図鑑ありがたく使わせてもらいますね。」 彼女の方にも目をやったがすぐに反らされた。やり取りを一式を目にした博士は笑っていた。 「それでは気をつけてな。いつでも暇があれば来なさい。」 入口まで見送りに来てくれた博士にお礼を言うと次は1つ目のバッチ、クロガネを目指すことにした。 夕闇の草むらの中を彼女はすたすたと、俺はその後をうつむきながら歩いていた。 申し訳ないと責任感に押しつぶされそうだった。ここまであいつの事を気にしたのは初めてかもしれない。今夜中には解決策を見出さないと、明日から一層気まずくなる。 沈んでいく太陽にせかされながらも考えていった。しかし、焦るせいだろうか一向に思いつかないまま野宿となった。 「フィリア、許してくれよ。俺が悪かったから。」 「どうせなんとも思ってないんでしょ。」 沈黙か続く中、やっと声をかけれたのは月が顔を出し始めた頃だった。 「本当に悪かったと思る。毎朝おこしに来てくれたり色々してくれてるのにも感謝している。」 「嘘、あんたの言い訳なんて聞きたくないのよ。」 「黙っていたからこの期に及んでどう言おうと、言い逃れにしかならないだろう。それでも、俺はお前をパートナーとしていてほしかったから、俺みたいなわけのわからない能力持っている奴なんて嫌だろ?」 本当に言い逃れだ、隠して現実から逃げていただけかもしれない。大事なことを伏せたまま家から連れだしてきた。家から出る前に言っておくべきだったのかもしれない、決意したこともあるけどすぐにためらってしまう。怖かった、後のことを考えると決断を投げ捨てて逃げ出していた。 「そんなことない・・・うわああああ。」 驚いたことに彼女が泣きついてきた、それを俺は現実と共に受け止めた。逃げていた自分と初めて向かい合えた。 抱きしめるなんて初めてじゃないのだろうか、フィリアが自分から抱きしめてくれなんて言ったこともなかったし、俺も抵抗があった。 今は違った、重たくても背負い続けた苦しみを地面に投げだせた。解放感とフィリアの予想外の反応に安心感を与えられた。 ---- 4話 与えられたのは安堵だけではないが、先を考えると出始めに伝えれてよかったと同時に泣きじゃくるフィリアもいいなとは思いつつも、下心丸出しではまずいので黙っておく。 いつ以来だろう、いや初めてじゃないのだろうか、泣くこと自体がではなくここまでこうすり寄ってくるというか、密着しているというか。 服の上からでも涙がしみ、彼女が掴むのでしわくちゃになっている。バスタオルとあまり変わらないだろう。 彼女にだって不安はあるのだ、それを理解してやるのが主というのを教えられた気がする。 最低限度の事として頭を撫でるといつも通り、やはり元気じゃない彼女は印象に当てはまらない。 感触の限りでは日常の俺に言いたい放題なのが連想されてしまうが、今はわがままの欠片もなく純粋に俺に不安をぶつけている。 「いつまで俺にくっついているつもりだ?」 流石に5分以上くっついているのは精神的に耐えられない。いつからだろうか、俺が変化が可能になってからぐらいだろうか、最初は父親からのもらいもんだし初めての手持ちだ、相当喜んで出してみるとわがままに振り回されるは言うことはほとんど聞かないなので大変であった。 「あんたが悪いんだからね・・・ぐすん・・許さないんだから・・・」 あまりねには持ってほしくないのだが、それともいつもの強がりか。 どうやら当分離れてくれないらしい、依然と抱かれながらも泣いているわけだし無理に突き放すのも問題だし、でも俺も精神的にも厳しいわけだし、板挟みに陥ったとでも言うべきだろうか。 脱出策も見当たらない、カオスな状況だ。彼女相手だと何をしてもどうも俺の方が部が悪いように感じる、俺があいつに弱いだけないのだが。 抜け出せそうで抜け出せないこの状況を救いの手を向けているのか俺を振り払うための手なのか、スースーと音が聞こえてくる。だいたい察しがつく、泣き疲れたあげく眠りついているのである。 状況は変わったが悪い冗談はやめてほしい、さっきよりもいずらい環境になってしまった。 考えるにも答えは浮かばず過ぎていく時間。頭の中もパニックで暑いというかパンクしそうな領域まで達した時、我にかえってベルトに手を向ける。 ボールがあるじゃないか、何で最初から気がつかないんだよ俺。 自分でも笑いそうになった、なぜこのような単純なことを思いつかなかったのだろう。ボールから出る赤い光線に溶け込み消えるのを見守るとベルトに付ける大きさに戻す。 これで一件落着、今夜は安心して眠れそうだ。ボールの中らややこしい奴らが出てこなければの話だが。しょっちゅうあるのだ中から勝手に出てくることが、流石に真夜中に出てきたことはないが、それでも旅中は飛び出してくるのは覚悟しているつもりだ。 だけど今日は疲れたから勘弁してほしい、リュックの中から折りたたんである寝袋を広げ始める。 だるいのを少しでも紛らわそうと月が生ぬるく照らしてくるのを見上げる。どうも自分のことが気になってしまう。本当に改造だけでこの力があるのか、本当は自分自身の力じゃないのだろうか。どのみち異端なことには変わりない。他にも親父はどこへ消えたのか、親父は何で俺を助けた後姿を消したのだろうか、なぜフィリアを渡したのか、特定の日にこうも色々重なるのはまぐれとは思えない。 広げきった寝袋にうずくまり瞼を閉じると、考え事をしていたはずなのに寝込んでしまっていた。 きっとこれから先、何か分かるかもしれない淡い期待を抱きながら一日目を終えた。 耳元からバチバチ何かがほとばしる音が聞こえた時には手遅れ、目を開けるのは電流。起床するにしては刺激的すぎるきがする。 ごくわずからしいのだが、人間はそのわずかですら死ぬこともある、それを踏まえて加減していると笑っていたが、電気風呂のような気持ちがいいといえるレベルではない。 「さっさと起きなさい、私はあんたの飼育係じゃないんだからね。」 おい、俺をこいつは何だと思っているんだ。小屋の中の動物じゃあるまいし、変な言い方をするんじゃない。起してくれている時点で飼育ではないが世話してるに入るんじゃないか、毎朝のことだから当たり前になっているけど何で毎朝おこすのだろう。起こしすぎて癖にでもなったのだろうか。 「さっさと支度して動く、早くしなさいよ。」 バチバチ後ろで音をたてられながらせかされるあまり、まだしわが残ってたたみきれていない寝袋をリュックに無理やり詰め込んで髪の毛が爆発していないのをフィリアに見てもらい、チャックを閉める。寝ぐせがひどいときはすさまじいので確認しないと、とんでもないことになりかねない。 「なぁ、フィリア。」 「どうかしたの?」 「何で毎朝俺を起こすんだ?」 せかしながらもまっくれている彼女の顔の方を向くと、いつも通り目が鋭い。 さりげなく聞いてみたものの、よく考えれば平日以外の日も起こしに来るというのもあるので明らかにおかしい。旅中ならまだしも家にいた時も無理やり叩き起こすわけなのだから多少の理由なしにそこまでしないと思う。 「寂しいからよ、あんたが起きるの遅すぎるから悪いのよ。」 てれ隠しだろう顔そのものをそらす。案外普通というか子供っぽい理由ではある。 素直に答えただけで何を気にしているのだ、別に俺自身が答えによって態度を変えるわけでもないのに。所謂彼女のプライドとか意地とかその辺なんだろうが。 「それだけか。」 「あんた以外誰も相手してくれないし、トレーナーだからパートナーのわがまま少しはきてくれるでしょ。」 自分勝手な、と呟くと背中にリュックを背負い立ち上がる。意外と緊張して眠れないと思っていたが緊張以上に疲れていたみたいだ。お陰で結構な睡眠をとることができた。寝起きの体のだるさは電流が吹っ飛ばしてくれるのでこれだけには感謝である。 「あんたさっきなにぼそっと言ったの?」 歩きはじめて間もないのに早速痛い所を、ここから下手な発言をすると精神的に刺さるのがリアルな刺さるとなって返ってくるはめになる。 トレーナー<手持ちのポケモン、この定理が成り立ってしまっていることが問題なのである。そのせいで少し囁いた事でも聞かれればそれなりに攻撃される。だから、逃れるために話の話題を変えようとしているが釣れない。これに必死なため他人にバトルを申し込まれても軽くスルーしてきている。別に俺は戦ってもかまわないのだが、だぶんフィリアが嫌だろう。あがけばあがくほど戦況はあまり好ましくない方向に傾いていく。こちらも怪しい態度もとっていないのだが、表情がまずいのか嘘ついてるのを見通したような口調で、俺の言葉を突き返してくる。そのたびに表情は曇っていく。怖い、なんだかもう投げ出したくなる。 「でさ、町についたら何する?」 無理に流そうとめげずに何度も立ち向かう、でも彼女も話をそらすなと何度ども告げてくる。平行線のまま町への距離だけが縮まっていく。もちろん逃げ場は徐々になっくなって追い詰められ、できることが自白するしかなくなるであろうと思われる局面にかわりない。言い逃れなんて所詮は時間稼ぎ、稼いだところでなにか秘策があるわけもなく、やはり白旗を上げるしかないのだろうか。 「いい加減に話したらどうなの?」 これ以上は逃げ切れそうにもないな、おとなしく白旗を上げてダッシュするしかないか。シューズの紐を今一度爆走した時にほどけないようにきつく結びなおす。 「自分勝手だなって言っただけだ。」 普通の声だったが言葉の終りに近づくにつれて小さくなる。最後の方なんてぼそぼそと、発音が悪くて聞き取れないといわれても仕方のないような言い方なのに彼女は発電し始める。 「もう一回言ってみなさい。」 「自分かってだって言っただけだ。」 自然と足が地面を蹴る、自分の身に危険が迫れば自動で体が動く、日頃の経験をいかした直感により発動する条件反射というやつだ。彼女の周りに電気が発生したとなるとご機嫌斜めだろう。最大限のスピードで町の方へ向けて走りだすが、走り始めたら逃げ切れるなんてそんなに甘くはなく、俺が全速力で頑張ったところでポケモンの中でも最速争うのが相手だから無意味、おまけに彼女の持ち技の大半は特殊攻撃である遠距離技。自分で追いかけなくても技で仕留めることも可能だ。 サンダースは戦闘に入ると興奮し体の毛が逆立つ、これにより毛が通常よりも硬直して強固なものとなる。 それを連続で無数に放つミサイルバリが今回の追撃者のようだ。実戦ではあまりダメージを期待できない技だが飛んでいく速さには申し分ない。後ろを向いて見切って避けれる数ではないが直線にしか飛ばないそれが弱点、つまりホーミングはできないのである。コトブキシティまでの道はあまり開拓されてはいないの少し道をそれただけで木々が茂っている。すぐさま横の林に逃げ込む、俺の横を針は通過する。 一安心、一本も刺さればアウトである。針の一本や二本刺さったことで騒ぐことはないだろう、しかし危険な理由がある。戦闘時電流はどこから発生しているのといえばもちろん体からだが、どこから出ていくかと言えば体全体、もちろん一番体の外についている毛を通してから外部にもれていく。 つまり彼女が怒って発電すると毛にも電気がいきわたり、そのせいで毛が逆立ち、それを飛ばしているわけだから毛には若干電気が宿っているのである。 もちろんポケモン同士なら気にすることのないレベルのものだが、当てまくるとおそらく麻痺状態に陥るだろう、何発当てればいいのかは知らないが、俺は今人間の状態、電気タイプでもなくタイプなどという前に体の丈夫さが違う。 少しの電流でも人間なら死にいたるようにいくら電気の量が少ないと言われても、一回的役にさせられた時、10発ぐらいで動けなかった苦い思い出がハッキリと存在する。 技の命中率は高くはないが質より数、要は当てればいい単純で彼女らしい発想に苦しめられる。 周りの樹木の数本はサボテンのような有様、自分もああなるのかと思えば痛々しく思える。 少しは加減しろよ、あれじゃ堂々と道を歩けないだろう。木の後ろに隠れて弾丸(針)を見切って、これじゃ銃撃戦と変わらないだろ。こちら側には弾もなければ銃もない。木を貫通させるのではないと思わないわけにもいかないような、マンシンガンの連射にも引けをとらない猛攻。 彼女の自毛だと思うんだが、あとで困るんじゃないのか?いや余計な事を言っても火に油を注ぐだけか。 いや銃はないが、弾ではなく球ならある。これに戻せば逃げるどこか恐れることなく歩ける。今日こそは俺の勝ちじゃないのだろうか、考えればすぐに見つかる方法なのに以外と気づかないものである。 まだ貫通したような痕跡は目にしていないがいつするかは分からない。さっさと投げないとこのままじゃ俺が捕まるのも時間の問題だろう。焦りながらも木の影からそろりと覗き込むと偶然にも目線が合うととたんに、短気な彼女は打つのをやめて林にけしかけてきた。針を避けずに済むようになったわけだからあとは光線を当てれば終了。 「早く出てきたら少しは電圧を下げてあげるわよ。」 どんな説得の仕方だ、結論俺の体に電流が流れるといっているのとかわりないじゃないか、しかもこちらに向かってきている時点で俺が出ていく意味はあるのだろうか。 「悪いが、お前はこの中に戻ってくれ。」 言われた通り木の後ろから飛び出してボールを構えスイッチを押す、が光線が当たるのよりも早く突然姿を火花のように一瞬視界から消し、次に彼女を目に映すことが出来るのは数秒先。 別に幻を見ていたわけでもない、他のサンダースがいたわけでも、要は変な仕掛けに引っ掛かったのではなくフィリアを見ていた。それに間違いがないのなら、高速移動とかいう便利なやつだと思う。少なくとも肉眼では見えない速さである。風を切る音が耳元をすり抜けると背後からチクチクする痛み、ゲームオーバーという絶望が針から流れ込んで手に力が入らないどころか指の先は動かせる程度で、まともに物握ることができない。その辺のとれそうにないひ弱なユーフォーキャッチャーのアームのようだ。すぐに体の自由は奪われ地面にそのままバタリてから転げ落ちるボール、失敗だった。 「さてと、どうしましょうか。何してほしいの?」 痺れて動けない俺の周りをスタスタと回ってきて頭の上から見下ろしていばっている。前足で俺の頭を軽く踏んでストレス解消か。髪の毛を雑草同様の扱いで弄んでる、いや弄ばれている。好きでひれ伏しているじゃない、無理やり実力で抑えられてなんて言いわけだろうな。助けなんて求めてもこんな目立たない林の中では無意味だろう。理由が理由で助けてもらえそうにもない。 「せめて背中の針ぐらいは抜いてくれよ。」 「その前に言うことは?」 「すいませんでした、俺が悪かった。」 うれしそうに背中に飛び乗り前足で器用に針を一本ずつ引っこ抜いていく。俺に直撃するのを分かってやっていたのだろう、傷は浅く鋭いが太いわけでもないが抜かれると痛い。2,3本だったのが幸い、数が多ければ麻痺時間も長い、俺が遊ばれる時間ものびる。 「で、お礼に何かしてくれるのよね?」 機嫌の好さそうな感じはするがどことなく怖い。背中からピリピリ少しずつ電流が流れ込んできているのも気のせいではないだろう。それだけではない、声には出せないが重い、真面目な話最近成長したのだろう。全長が大きくなれば体重も増える、触れたら死刑になるだろう。 「体が痺れて動けない俺に何をしろと?」 「そうねぇ、何してもらうかしら。」 上で寝そべって楽しそうに考えこむ、何が飛び出してくるのだろう。どんな注文が来るかわからない、普段は身に危険が迫るようなことをしろとは言わないが、遊べとか言って走りまわされたり、沈黙が長いなと思えば居眠りしていたりと俺だけが疲れる。 数分が過ぎ俺はおもりを背負いながら歩いていた、首元で黄色い腕が交差して毛が首をくすぐる。なかなか腰に響く事をさせてくれるものだ。耳元で遅いだの早くしろだのそればかりでやかましい、結局街が見えるまで背中から降りてはくれなかった。 ---- 5話 ようやく町についたわけだ。ポケッチカンパニーで有名な場所が目に、とその前に半袖半ズボンで、はしゃいでる奴がいる。その辺の短パンのチビッ子なら別にかまわない、でもあのギザギザ頭はどこかで見た覚えがある。こちら向いて叫んでいるようにも見えなくもない。 俺の記憶に存在するこんな寒い地域で薄着で暴れまわる、雪が積もってはしゃぐやつは一人しかない。俺より身長は10cmあたり低いぐらいなので、その辺のチビッ子でないのは一目見ればすぐにわかる。大きさが違う。遠くなのでいまいち身長までははっきりしないので決めつけれない、というか決めつけたくない。 「遅いぞ、シュウ。1日ぐらいここで待機していたんだからな、感謝しろよ。」 声を聞くとため息しか出てこない。先に行ったとは聞いていたが、こんなところで出会うとは。町の入口まで10mぐらいにまでくると声が聞こえたので引き返そうか思ってしまう、流石にこれは冗談だが。ギザギザ頭の時点で普通に考えればその辺の元気な子供なわけがない。 上着黒くズボンは紺色とどちらも短く薄い。二枚もきているわけがない、せいぜいあったとして長そでが背中のリュックに入っている位だろう。 馬鹿みたいに大きな声で俺の返事を待っているようだ。それこそ子供じゃないんだから返事を大声でする気にはなれない。後ろの重たいのもやかましいのに怒っている。それ以上にあいつの手持ちに因縁があるやつがいるのもあるだろう。 たったこれだけの距離をこれだけ長く感じることはそうはないだろう、なんだか気が重い。走り出したらそれもそれで不自然なので、というか走ると負担がかかるからだが。担ぎながら町の入口までたどり着いた。 「返事しやがれ、あの爺さんから預かってるから待ってやったのに、代替あれか俺が薄着だからって・・・・ブツブツ。」 聞いていても永遠に続くだけ、本題に入ってほしい。その前に背中、降りろ。え?さっさと下せ?自分で降りれないのかよ。わかった下ろすから毛を威嚇して逆立てないで落ちつけ。 「なんだその預かり物って?」 「やっぱりあの爺さん忘れてたのか、自分で宣言していた通り忘れやがって。」 「何なんだよそれ。俺の分もあるだろ。」 「絶対に渡さねぇ。俺に勝ってからに決まってるだろうが。」 これがあるからこいつとの接触は嫌なんだ。昔から勝負勝負ってどれだけ戦いたいんだよ。勝ちにこだわっているわけではないので性格的にましだが戦闘大好き野郎だから困る。言い始めたら聞かない。が、どうやらあいつの連れが何かしてくれるらしい。命令を無視するのはお互いの手持ちにいるみたいだ。 「お久しぶりです、シュウさん。」 頭の宝石がチャームポイントらしく、毛は紫で無駄に元気。それがたまに迷惑らしく手持ちやリュウにもちょっかいをかけたりするらしい。昔から遊んでいるが持ち主に似てか半袖で走りまわる奴に引けを取らないほど元気、他にも明るく前向きである。過去の失敗を忘れては毎度ちょっかいを出すエーフィ。大したことはされたことはなが、相方のブラッキーが無駄に怒る。 こっちは無愛想でほとんど出てくることはないし、口調が怖い上にすぐに機嫌が悪くなる。そもそも機嫌の良かったところを見たことがないため、機嫌がいいことがあるの事態わからない。 「久しぶりだな。」 注意を払っておかないと、ポルターガイストで俺の所有物が飛ばされることがある。もちろん意図的にエスパータイプの技を使用して言い訳にポルターガイストと公言しているだけだ。 「チケットぐらいあげたらいいじゃないですか。」 「宿敵を相手に素通りするわけないだろ。いっつも勝手に出てきて・・・ソレイユ、言うこと聞けよ。」 「ということらしいので、相手してあげてくださいね。」 完全に無視してスマイルを送られてもどういう反応をすればいいんだ。エスパー相手なら電気鋼の馬鹿共で行けるがもう一匹が出てくるとフィリアと喧嘩してろくなことにならない。今のうちに戻しておこう。 「あんた、私を出さないつもり?」 戦闘モードに切り替わっているようだ。発電していないが、何かこうピリピリするものが伝わってくる。電気ではない何か電気のようなものが感じられる。ライバルに対する闘争心、いや単なる怒りに決まっている。 「いつも通りの喧嘩でいいんじゃないか?」 「もう少しましな戦いがしたいんけど、仕方ないな。」 お馴染みの流れにあまりうれしそうではない。俺達の戦の大半はこいつらだ。手持ちが少ないというのもあるのだが、何も原因がなくてもすぐにいがみ合う。 「昼間から私を呼び出すんじゃない。」 黒い毛けに満月模様、充血ではないが真っ赤な目。俺と同じ姿なので不思議な感じがする。登場早々愚痴をこぼして大きな欠伸。眠たいらしい、眼なんて半開き、自分も他人のことを言えない身の気もする。きっと昼間に自分も変化するとあんな感じなんだろうな。 「やっぱりあんたを潰さないと気がすまないのよね。」 彼女の声に反応してだろう、目を開けてギロリと睨みつける。機嫌が悪い、別に気にはしないが殺意を感じる。 「黄色のチクチク、何でお前がいる。」 「相変わらず目つき悪いわね。目の色も。」 俺もそれに当てはまらなくもないんだが。 「ふん、お前こそ鋭い目つきは何ともならないのか?」 始まったよ、リュウも頭を手に当ててこちらと同じことを思っているのだろう。ソレイユはにこにこしている。ことの重大さが分かっていないのだろう。もしくは、他人事だから楽しんでいるだけなのかもしれない。 「あいつと戦うぞ、ムカつく。目の前にいるだけで我慢できない。」 「シュウ、戦うわよ。」 「カシリアス、頼んだぞ。」 「フィリア、頼むから激しい喧嘩だけはやめてくれ。」 視界から一瞬で消えたかと思うと電光石火で相手に先制攻撃を仕掛ける。反応できずに一撃が入が物理攻撃の威力はそこまで高くはないし、相手の防御が高すぎるというのもある。わずかにひるんだが体勢を崩さずにカウンターに体当たりを仕掛ける。技の当て合いになれば防御で優れている相手が勝つのはわかりきっているので、すかさず高速接近と同じ要領で距離稼ぎ、ミサイル針を連射する。 相手もこちらの手の内は分かっている。電流がわずかに仕込んであることも最近編み出した技でもないので狙いはばれている。その分普通よりも電流を消費するため長引けばそれなりに消費するが電気タイプにとってはさほど問題ではないだろう。 ポケモン同士なら少なくとも俺よりは麻痺に至るまでの本数はいるだろうが、連射による数え切れないほどのものを食らえば麻痺を期待できるだろう。 追撃性能なんて高度な物はないので円状に走り回られると全く当てられず、徐々にフィリアとの距離が縮まっていく。 避け続けられるとむきになって当てようとするのが普段の彼女だが、戦闘においては避けられたらそのまま続行しても無駄なことは分かっているらしく、ミサイル針をやめてすぐに次の攻撃に切り替え電気をため始める。それに合わせるように相手も立ち止まって黒い怪しげな光を自分の周囲に集め始める。 「あんたが私に技の威力で勝てるかしら?」 「貴様みたいな奴には負けはしない。」 「今日こそはっきりさせてあげるわよ。」 「貴様こそ跪かせてやる。」 両方会話が怖い、ここまで必死になることなのだろうか。勝ってもらわないと困るのは事実、けれど目的なんてもう忘れているんだろうな。 彼女がためた技は放電というものだ。一定範囲内すべてに電流を放出する、そのため直線に打つ10万ボルトよりも電気必要とするため数秒時間がかかる。広範囲を攻撃でき、範囲内の敵はまずかわせないだろう、複数同時に攻撃可能という優れものだ。確実に決めるという点では問題ないのだが、やはり簡単に打てる10万ボルトに威力が劣るというのが痛手だ。防御面に関しては能力的には優秀な相手に対して一撃で終わらせれるのだろうか。もちろん相手が技の準備をしているというのもあるし、持久戦になれば相手の方が有利だろう。 彼女を中心とした半球状に電流が漏電する、これに呼応するかのように黒い波がぶつかり、半球のカシリアスの立っている側が衝突によりかけることとなる。 水面に落ちた水滴が立てる波のように円を描き範囲を急速に広げていく、こちらも広範囲な技のため数秒かかるのだろう。お互いが、ため始めてから同タイミングでの激突となった。どちらの攻撃も広がろうと押し合っている。 双方の技は共に攻撃できる極限の領域まで広がろうと押し合って勝負がつかないまま、広がれずに破裂してしまうかのように電流は空気中消え去り、黒い波も届くことなく消滅してしまった。 その瞬間に黄色い光が正面からカシリアスに直面する。技を放っていたわけだから動くことはできない、フィリアは勿論相手だって同じことだ。反動かかいち早く立ち直り、10万ボルトなら時間を必要としないのですぐに打てる。 この連撃は相手も驚いたようだ。避けることができずに大量の電気の光に飲み込まれる。相手もここで負けずと電流の中を他延期今度は向かってくる。 単純に前からぶつかりに来ているだけなのに動かずに跳ね飛ばされたのはおかしい、そこで追撃が来るのかと思えば相手も立ち止まって動かない。フィリアも体を起こしはしたが攻めの手を打とうとしないのから推測するに、さっきの10万ボルトにより相手がまひしたのだろう。 そうとなればシンクロでお互いに麻痺して機動性が低下するのでさっきまでの迫力は感じられない。 さっきのは相手の頑張りによる一撃だったというわけか。やられたらやり返すといったところだろう。 ---- 6話 「あんたなんで、技なんて出せるのよ。」 「お前のモーションが、だからだ。単細胞。」 2匹とも身動きできなくても口数は減らない。短気なのも何か似ている、これって気のせいなのか。お互い同じ性格のものを、持つと疲れるだろうな。戦う時は率先してくれるから、ありがたいが、見ていると危なっかしい所が多く、自分が出た方がいいかもしれないと、不安になる。 喧嘩してる際、とくに冷静さの欠片もない時なんて、止めるべきなのか迷う。もちろん交代しようと試みたところで無理な話だが。 少しぐらい、席をはずしても気づかれないだろう。指示送るわけでもないし、暇なんだよなどちらかと言えば。無責任とかじゃなくて、耳栓でもしてるのか、命令が全く届かない。 「俺は、その辺歩いてくるぞ。」 「特性なんてせこいのよ。蓄電なんてあんたが電気使えないんじゃ、意味ないのに。」 「ふん。特性なんて、才能と体質の差だ。」 カシリアスが、憎たらしく笑うのに腹を立てて、叫び返すと相手も叫び返す。お互い譲ることや、一歩下がるということが、できないんだろう。もちろん、俺の発言は響くこともなく終わる。 「私が麻痺したところで、のろまには、ついてこれないでしょうね。」 高速移動のような高度な動きではないが、純粋に走るだけでも決して遅くはない。負けずと相手も立ち上がって、激しくぶつかり合い、バランスを保ちながらも、押し合っている。ついてこれないと言いつつも、自分の体にも響いていることを、認めないようだ。 両方が支えの役割を果たしているため、片方が引けばもう片方は前に倒れこむんだろう。 綱引きではないので、別に下がるのも戦略的後退というやつ。普通逃げたら臆病者だが、戦闘においては気にせずに、最善の策を行うべきじゃないんだろうか。 その内終わるだろう、状態異常を伴い、ぶつかり合ってなんかいれば、体力なんてすぐに底をつくだろう。 それにさっきから気になってたんだが、相手側のトレーナーがいない。ソレイユは、横ではしゃいでるから良いとして、肝心な指示する方がいないのは気になる。 「あいつ、どこに消えた。」 「さっき、林のほうに歩いて行きましたよ。何でかは知りませんけどね。」 ちゃんと周りも見ているらしく、消えていった方角まで教えてもらい、留守番を任せて林の中へ後を追った。 どうせもう少しで決着ぐらいつくだろうし、探して見当たらなかったらすぐに帰るつもりだったが、数分探したとことで、どうもそういうわけには、いかなくなってしまった。 茂る林に入ってそう奥深くもないところで、足音に紛れてよく聞き取れないが、ある会話を耳にはさんだ。 最初の方は誰か分からなかったが、片方を声を聞くとぴんときた。リュウ、間違いなくあいつの声だ。もう片方は、かすれて聞きずらいが、こちらも初めて聞いた声にしては、不思議な感じがした。 初めてじゃないような、違和感のある声の主と喋っているようだ。 どこで会話しているかまでは、分からないが下手に動いて、察知されるのも困る。木々だけではなく、草も生い茂っている林の中だ。しゃがんでいれば探すのにも手間がかかるだろう。その間に、逃げればそれでいい。 動かずに姿勢を低くすれば、風のような自然の邪魔するものも、ほとんどなく、音もさっきよりは、はっきりと聞こえるようになり、そのまま身を潜めた。 「姉の方は見つかった、そいつの方は頼んだぞ。」 「まかせてくれ、もう少しで目的を達成出来る。」 姉が見つかったのはどうやら掠れ声で、これから何かする役は、リュウが受け持つらしい。俺が首を突っ込む話ではなさそうだったが、聞いてしまった以上、途中でやめるのは中途半端で気が治まらない。せめて声の主の招待ぐらいは、知って帰りたいものだ。 「私を前にして逃げ切ったやつだ。油断するんじゃない。先に戻る届ける物もあるのでな。」 「そうか、3匹全部集めたのか。仕事が早いな、俺もさっさと片付けないと。」 真剣な話のようだ。ふざけているような感じはしないし、3匹集めたってどういうことだ。 姉の次は、得体のしれない3匹と、発見の多い内容だがこの二点は関係するのか。その前にリュウに姉がいるとは一度も聞いたことがない。だとすれば、相手は親類関係か、なんらかの捜索班の一員辺りといったところか。俺の推論での話であって、思い当たることもないし、そう考えるのが自然であまり気にしなかった。 「そろそろ戻る。姿を消しすぎるのも不自然だしな。」 「私も行き先は同じなのだ。すこし邪魔するぞ。」 掠れている方は案外声が低い。あれだけ物音がない中、掠れているだけで、あそこまで聞きにくいこともないだろう。声が低くて掠れていれば会話するのにも、苦労しそうだ。 行先は同じだということは、行動を共にすることになるのだろう。 会話が途切れたのだから、急いで持ち場に戻らないと疑われる。足音を立てないように慎重に歩いていても、相手は待ってくれない。仮に足音が聞きとられたとしても、人間、ましてや俺だとは断定できないだろう。 つま先で地面を突きながら、足音を軽減し早足で草の間をかき分けていった。道から外れて少しのところとはいえ、方向感を狂わせるのには十分だろう。進んでも木々の緑が目につくだけで、同じ光景ばかり繰り返している。 なんとか道沿いに出ると、黄色い輪っかの黒色と、毛が折りたたまれている黄色いのがやっと目に入った。お互い完全燃焼したのだろう。ゼェゼェと息を荒くして、お互いに手も足も出せずにいた。 何があったかまでは推測できないが、ドローだろう。勝敗がはっきりしないのが一段と彼女らをピリピリさせるのだろうが、勝敗が決まったら敗北したほうがすねるんだろう。 憂鬱の彼女を励まして、元に戻せるほどの技術は持ち合わせてない。 「二人とも、遅くないですか?もう終わっちゃいましよ。」 道を目指すのに夢中で、いつの間にか背後を取られていたようだ。振り向くと口元を押さえながら笑っている。 「俺が後ろにいるのに、反応しないからさ。面白くてさ。」 立場が逆転している。そんなことより、今の話の流れから察するに、俺は尾行されていたことになる。つまり。俺の盗み聞きもばれている可能性がある。 「で、お前は何していたんだ?」 俺が先に問いかけた。今のうちに理由でも並べれるようにしておかないと。 「何にもしてないぜ。何なら、俺の持ち物でも調べてみるか?」 悪ふざけのつもりでずっと笑い続けている。が、これはチャンスだ。あいつの笑いを止めてやるとしよう。 「それじゃ、その言葉に甘えて腰のベルトでも見せてもらおうかな?」 俺も半笑いで、悪ふざけでその話に乗る。と言っても、あいつは半ズボンだから丸見えだ。見ても不思議なところはないだろうと、腹を抱えている。 もちろんボールは一個、二個・・・三個目はない。 おかしい、いったいさっきのは誰なんだ? ---- 指摘する点等ございましたらお願いします。 - 眠りはシンクロしないとか…… -- &new{2008-10-22 (水) 15:23:01}; - >名無しさん&br;ご指摘ありがとうございます。自分の勉強不足でした。 -- [[GALD]] &new{2008-10-22 (水) 17:18:49}; - 面白いです。ガンバってください -- &new{2008-12-02 (火) 21:03:44}; - >名無しさん&br;ありがたいお言葉ありがとうございます。頑張ります。 -- [[GALD]] &new{2008-12-03 (水) 13:06:23}; - 続きに激しく期待 -- &new{2009-01-01 (木) 00:38:51}; - >名無しさん&br;ありがとうございます、続きは少しは形になっているですがね。 -- [[GALD]] &new{2009-01-03 (土) 02:38:26}; - 精神が一部、先進になってますよ? -- [[ギアス]] &new{2009-02-05 (木) 23:52:22}; - >ギアスさん&br;ご指摘どうもありがとうございます。 -- [[GALD]] &new{2009-02-06 (金) 06:47:57}; - ボールがるじゃないかじゃなくて、ボールがあるじゃないかでは? 誤字脱字に気をつけてくださいね -- [[OGA]] &new{2009-03-03 (火) 22:55:12}; - >OGAさん&br;ご指摘どうもありがとうございます。 -- [[GALD]] &new{2009-03-04 (水) 12:09:57}; #comment