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そして戦士は竜を抱く Ⅴ の変更点


この小説はこの私、闇魔竜の独自の世界で物語が作られています。
尚、この小説には&color(violet){[官能的表現]}; 、&color(red){[流血表現]};が含まれます。

以上の事に注意してください。







 ユウキはもう我を見失ってマテバをケンヤに向かって乱射し始めた。弾が切れたら即装填。持っている弾を全部撃ちつくしかねない勢いで撃ちまくってる。
「貴様……貴様だけは殺してやるっ!!!よくもリズを実験台なんかに!!!!」
「ユウキ!もうやめて!!」
 そのとき、何かが地面に着地する音がした。ユウキもその音に気が付いたのか、撃つのをやめた。
「リズ……?」
 そう。カプセルの残骸の中に、あのルカリオが……リズが着地した。いや……あれはリズじゃなくて『New-Ⅲ』……
「『New-Ⅲ』、昔のパートナーにさよならを言いなさい」
 『New-Ⅲ』の右目が赤く光った。そしてその口が……ユウキにとって辛い言葉を発した。
「さよなら。人間」
 そして、波動弾を造り始めた。でも、あの綺麗な青色じゃない。紫と黒が混じった禍々しい色だ。
「ユウキ!避けて!!」
 私が声をかけるとユウキは正気に戻り、回避運動に移った。まさに間一髪、前髪を波動弾が掠めていった。
「リズ……俺が分からないのか……」
 ユウキはフラリと立ち上がると、マテバをゆっくりと『New-Ⅲ』に向けた。
「なら……せめて俺のこの手で眠らせてやろう……」

 ユウキにとって、一番辛い戦いが始まった。もちろん、私もその戦いに参加してる。なんとしてでも、ユウキに攻撃させないようにしなきゃ!じゃないと、ユウキの心に絶対に直らない深い傷が出来てしまう!!
「ユウキ!私が戦う!貴方は下がってて!」
「そんなことできるか!リズは……俺が眠らせてやらないと……!それに、お前が危険だ!」
「嫌よ!そんな酷い事ユウキにさせたくない!!」
 『New-Ⅲ』は絶え間なく攻撃を仕掛けてくる。マッドもプラズマランチャーを構える時間も無いようで苦戦してる。『New-Ⅲ』があのビームを撃ってきた。でも、プロトタイプとは太さが桁違いだった。プロトタイプは腕ほどだったのに対し、今のは直径一メートルはある!
「ジル、逃げろ!」
 『New-Ⅲ』はビームの向きを変えて私を追ってきた。慌てて飛び上がる。それに合わせてビームも移動する。流石にこんな場所だとあまりスピードを出せない。次第にビームが追いついてくる。このままだと、私がビームに焼かれて蒸発するのも時間の問題。でも、ユウキはリズを攻撃できるのかしら……!?
「ジルっ!!」
 ユウキはマテバを『New-Ⅲ』に向けて撃った。見事、左目に着弾。私に意識を集中していたようで、ユウキを気にしてなかった。でも、ユウキが撃ったのはペイント弾。
「うぁ……っ」
「……リズ……」
 『New-Ⅲ』はビームの照射をやめると、ユウキに向かって突進した。その手には黒い骨が。何かの力で強化されたボーンラッシュだ。
「そういえば……リズとは何だ?データベース上に無い。マスター、なんですか?」
 『New-Ⅲ』はユウキにボーンラッシュを仕掛けながら、頭上のケンヤに問いかけた。なんて余裕なの!?
「リズとは、その人間のパートナーだ。お前を作るときに使った素材になっている」
「……」
 ユウキはギリギリのところで攻撃をかわしてる。でも、流石に疲れてきてるみたいで表情にあせりがでてる。マッドも、ユウキと『New-Ⅲ』が近すぎてプラズマランチャーを撃てずにいる。
「くそっ、許せ……リズ」
 ユウキがマテバを『New-Ⅲ』の脚に撃った。今度は実弾。その弾丸は容易く『New-Ⅲ』の脚に穴を開けて貫通する。でも、『New-Ⅲ』はその痛みを堪えてユウキと距離をとり始めた。
「うまいぞ!ユウキ!」
 マッドがプラズマランチャーを構え、『New-Ⅲ』に向けて引き金を引く。
「……早く……早く出ろっ!」
 二本のレールの間で稲妻が走り始める。発射までに時間がかかるみたいだ。ユウキはマテバを撃って『New-Ⅲ』を近寄らせないようにしてる。けど、それもつかの間。すぐに『New-Ⅲ』は標的を変える。次の標的は、マッド。
 この中で一番脅威なのはマッドの持つプラズマランチャー。物凄く重いから、マッドのような男でなければ扱えない。そう、どちらかを始末すれば問題は解決してしまう。『New-Ⅲ』があの黒い波動弾を作り出す。
「マッドーっ!」
 マッドは逃げない。プラズマが発射されるのが先か、『New-Ⅲ』が反撃するのが先か、彼は前者に賭けたみたいだった。
「こんちくしょーっ!!」
 賭けはマッドの勝ちだった。プラズマが発射され、『New-Ⅲ』に向かう。当たった。かと思った。
「な……!?」
 プラズマは波動弾に吸収されてしまった。そして、プラズマを吸収した波動弾はさらに大きくなり、稲妻を走らせるようになった。
「……愚かな人間よ……死ね」
 その波動弾は弾で発射されなかった。弾から極太の黒いビームになってマッドに向かっていった。その瞬間、マッドはとっさにプラズマランチャーを私に投げた。その直後、マッドの上半身は消えた。残った下半身は糸の切れた操り人形のように倒れた。断面は綺麗に焼かれ、内臓が出てこない。
「ま……マッド……!!!!!」
 『New-Ⅲ』はその冷たい目を再びユウキに向けた。そう、次の脅威はユウキになった。
「ユウキ、逃げて!」
 またあの波動弾が連続で放たれる。プロトタイプのようにエネルギー切れというのが無い。その所為でユウキは苦戦を強いられてる。私は『New-Ⅲ』の後ろからメタルクローで切りつけた。
「……甘い……」
「!?」
 『New-Ⅲ』が急に私にその波動弾を撃ち込んできた。私は飛び掛るようにして宙に浮いていたから、回避ができなかった。腹に直撃してしまい、私の意識はそこで途絶えた。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「ジル―――――――――ッッッ!!!!!!!!!!」
 ジルがやられてしまった。死んだ……?
「……リズ……いや、『New-Ⅲ』……俺はお前を殺さなくてはならなくなった……手加減はしない……」
 俺はマテバに装填されていた通常弾を全て抜くと、特殊炸裂弾に変えた。これは炸裂弾を強化したものだ。ギルドの倉庫に『危険』の張り紙と共に封印されていたものだ。ギルド長の許可を得て手に入れた。発射すると六つに分裂し、それぞれが着弾すると普通の炸裂弾のように炸裂する。要は拡散炸裂弾だ。全部で六発。
 つまり、これを使うと奴は奴の原型を失う。リズの身体を傷つけることになる。だが……
「リズ……許してくれるよな……?」
 目を閉じると、そこには俺の知っているリズが。彼女は何かを言おうとしている。
『私の亡霊を……眠らせてあげて』
 俺はマテバを構える。向こうも波動弾を構える。
「……悪夢なら……さっさと覚めて欲しいもんだな……」
 向こうが先に仕掛けてきた。俺は慌てずそれを避ける。
 一発。マテバの銃口から火を吹く。六つに分かれた炸裂弾は『New-Ⅲ』に向かっていく。だが、それらは波動で簡単にそれてしまった。
 二発。奴は大きくそれを避けると、俺に向かってあの極太ビームを撃ってきた。こればかりはどうにもならない。横に飛んで避けると、そのまま前転して走り出す。
 三発。ビームを撃っている最中なら避けることはできない!だが、撃っているビームの波動で弾がそれていく。どうやら、奴が攻撃をしている時は全部当たらないようだ。
「厄介だな……もう三発消費……勝てるか?」
 そのとき、足元にマインスロアーを見つけた。まだ懐に弾は三発残ってる。マインスロアーを拾い、奴に見えないようにコートの影で弾を込める。これで奴には何発弾が入ったか分からない!そして、設定ダイヤルを『モーションセンサーモード』にした。着弾すると弾が起動して、使用者……つまり俺以外、奴がそこに近寄ると起爆するモードだ。
 ビームが止まった。すぐに奴は俺に向かって走ってくる。ルカリオの足腰は強靭で、瞬く間にトップスピードに達する。俺はマインスロアーを直接奴に向けて発射。当然、弾速が遅いので簡単に避けられてしまい当たらない。だが、代わりに地面に着弾してその名の通り「マイン(地雷)」となる。
 一気に撃たずにタイミングをずらし、意図が読まれないようにする。全部撃ち切ると、俺はそれを捨ててマテバで応戦した。使えるのはあと二発。残りは最後のトドメに。
 その二発を大事に撃ち、マインスロアーの弾が着弾した位置に誘い込む。
「最後の一発!」
 そして、使える最後の弾を撃った。それを避けようと奴が避けた。そして……
「ウガァッ!?」
 奴は即席地雷原に飛び込んだ。マインスロアーの弾が炸裂し、両足が吹き飛ぶ。もうこれで奴は起きれない!
「よしっ……ん?」
 俺の横に、プラズマランチャーが落ちていた。なんでこうも武器が落っこちてるんだ?と、ふと思い出した。そうか、武器、持ち込んだの俺だったな。
 俺はそのプラズマランチャーを持ち上げた。といっても、座り込んだ状態で床に立てただけだが。このプラズマランチャーを使って倒すことで、マッドの仇討ちと、俺の過去との決別をする。
 奴は何が起こったか分からずに悶えている。
「これで終わりだ……」
 引き金を引く。レールに稲妻が走り出す。そのバチバチという音に気が付いた『New-Ⅲ』は必死にもがいた。だが、殆ど動けていない。俺は照準を調整し、いつでも当たるようにした。
「……喰らえ」
 ライチュウが三匹同時にかみなりを落としたような音と同時にプラズマが発射される。その瞬間、全てがスローに見えた。プラズマがゆっくりと伸びていく。まるで光の矢だ。それは『New-Ⅲ』の胸に吸い込まれていく。と、奴の背中から機械のようなものが爆ぜる。

「ジル……ジル!」
 呼びかけると、ジルはゆっくりと目を開いた。
「よかった……生きていたか……」
「ユウキ……」
 ジルを抱きしめる。初めて助けた、初めて救った命。それは物凄く暖かかった。俺の腕の中でたしかに鼓動しているそれは……もはや自分の一部だった。
「……やったのね……」
「……あぁ……終わったんだ……全部……これでリズも……やっと休める……」
「……ケンヤは……?」
「あいつか……アイツなら……今頃仲間が取り押さえてるだろう……」
 ジルは俺から離れるとゆっくりと立ち上がり、上を見た。そこにあったバリアは消えていて、ケンヤは居なくなっていた。

 施設を出ると、そこにはあっけなく逮捕されたケンヤが。そして、警察隊とギルド長が。
「……ギルド長……」
「バウンティーハンターNo.002457、ユウキ。お前の活躍によって、ひそかに進んでいた計画を阻止することができた。たった今より、ユウキを次期ギルド長に任命する」
「……なっ……!?」
「お前はバウンティーハンターという職業でありながら、目の前の陰謀と脅威に臆することなく立ち向かった。それを地球連合政府と全警察隊は英雄と称え、評価した」
「……」
「異論は?」
「いえ……ありません」
 俺は今までにないくらいの素晴らしい礼をすると、胸を張った。
「自分、ユウキはギルド長として勤めを果たさん」
「……よろしい……」
 ギルド長……いや、前ギルド長は満足そうに車に乗って町へと帰っていった。
「……ユウキ……」
 ジルが、俺に寄り添ってきた。
「なんだこんなところで……」
「やっぱり、ユウキと一緒でよかった」
「……」
「もし貴方と出会ってなかったら、今は無かったかもしれない。それに、ユウキも死んでたかもしれない」
「……」
「全部……運命だったのかな……」
「かもな……」
「……」
「お前が来て俺が仕事を増やしてなかったら、この事件を解決することも関わることもなかっただろう……下手すれば、あのアホに世界を奪われてた」
「……ユウキ」
「なんだ?」
「帰りましょう……私たちの家に……」
「……そうだな……」
 俺はジルに抱きかかえられて夜明けの空を切り裂き、町へと帰った。



        そして戦士は竜を抱く Ⅴ    END

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IP:133.242.146.153 TIME:"2013-01-30 (水) 14:01:33" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E3%81%9D%E3%81%97%E3%81%A6%E6%88%A6%E5%A3%AB%E3%81%AF%E7%AB%9C%E3%82%92%E6%8A%B1%E3%81%8F%20%E2%85%A4" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/5.0; YTB730)"

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