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そして戦士は竜を抱く Ⅲ の変更点


この小説はこの私、闇魔竜の独自の世界で物語が作られています。
尚、この小説には&color(violet){[官能的表現]}; 、&color(red){[流血表現]};が含まれます。

以上の事に注意してください。







 無事、俺は退院することが出来、ジルの為に休みを取った。といっても、依頼を受諾していないだけなんだが。
「なんかさ、ユウキ随分柔らかくなったよね」
「何のことだ?関節は硬い方だが……」
「そうじゃなくて、雰囲気とか物腰とかだよ」
「そうか?」
「うん。確実に」
 自分では自覚が無いが、優しくなった印象を与えているらしい。確かに……町を歩いていても、今までの感じは無い。ティッシュ配りやチラシ配りも他の人と同じように気軽に渡してくる。
 あの事件でバイクは修理不能なまでにこわれてしまっていた。今、ジルの服を買いに出かけているのだが、家から歩いてきている。偶にはこういうのも悪くない。
「服、何着まで買っていい?」
「三着までだ。そのうち一枚は絶対部屋着にしろ」
「わかった」
 この町で一番大きなファッションストアにやって来た。ここはポケモン用に洋服を仕立ててくれるサービスがある。それでここを選んだ。
 店に入ると、程よく暖房が効いた空間が広がっていた。ずらりと並べられた棚には様々な洋服が陳列されている。店の奥には大量の布地が並べられていて、それらからオーダーメイドすることもできる……らしい。
「これと……あ、これもいいかも……」
 早速ジルは服を物色し始めた。彼女はジャケットやジャンパーの類が好みのようだ。革ジャンのコーナーでウロウロしている。
「ジル」
「何?」
「金は幾らか渡しておく。気に入ったのがあったら自分で買え。俺は他を見てくる」
「ユウキも服買うの?」
「あぁ、お前が洒落た服を着るのに、俺だけこんな地味な服ばかり着ているのは……」
「フフフ……」
「何がおかしい」
「だって、ユウキがその長いコート以外に着ている姿なんて想像できないんだもん」
「フンッ、悪かったな……」

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 そう言って、ユウキは店の奥に姿を消した。
「ま、ああ言ってることだし……」
 私は一目で気に入った赤の革ジャンと、ダブダブとやけに大きな暗い緑のズボンを選んだ。なんでも、人間用に服をポケモンの身体に合わせて仕立ててくれるらしいから、気軽に選べて楽だった。
「あとは……部屋着だったよね」
 部屋着となると……特に気に入った服はなかった。とりあえず部屋着は人目につくことは少ないし、どうでもいいや。と、その辺にあった青のポロシャツを手に取った。
 レジでお金を払って、その服を仕立ててもらった。背びれが出るように、背中の部分に切れ込みが入った。ズボンは尻尾が通る穴が開いた。もともとブカブカだから穿くのは楽だと思う。
「ユウキはまだかな?」
 ユウキが居なくなった奥の方を見てみても、ユウキは居なかった。
「あれ?どこ行った?」
 ふとレジを見ると、いつの間にかユウキが支払いを終えて紙袋を受け取っていた。
「いつの間に?」
「お前の後ろに並んでたけどな」
「あ、そうだった?」
「それにしても、いい趣味してるな。革ジャンにカーゴか……」
「でしょ?んでユウキ、そっちの軽くラッピングされた紙袋は何?」
 ユウキは二つ紙袋を持っていた。一つは私が持っているのと同じスクラップ用紙でできたようなものだけど、もう一つはビニール加工された薄ピンクの紙袋だった。小さなリボンまでついてる。
「っ……これは……気にするな!」
「んー気になる。もしかして彼女いるの?」
 それを言ったとき、急に胸が痛くなった。彼女?ユウキに……?
「どうした?」
「いや……なんでもないの」
「ならいいが……。そうだ、買った服、今から着て行くか?」
「え?うん、着てく」
 ユウキに促されて、更衣室に入る。私の爪しかないような手でも簡単に着ることが出来た。カーテンは閉まっている。更衣室の壁につけられている鏡に向かってポーズをとってみた。
「うん、我ながらかっこよくなったわ♪」
「ジル、まだか?」
「あ、今出る」

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 カーテンを開けて出てきた彼女を見て、俺はめまいを感じた。いかん、カッコ可愛い。ストリート風にイメージチェンジしたジル。
 軽く着こなした革ジャン。ラフな感じのズボン。全てがジルの為に作られたかのようだった。ふと、俺は自分の視線が変なところにちょくちょく行くのに気が付いた。それは彼女の胸。
「…………///」
 彼女は細かい鱗を持つ、ちょっと変わったドラゴンだが、それなりに皮膚は硬く、乳首や秘所といった部分は殆ど目立たない。元々毛が無い為に目立たないように周りと同化するような色をしているのだ。
 だが、革ジャンというものが胸の頂点を隠している所為で妙にエロティックに見えてしまう。ズボンも腰パン状態なので、これまた妙に股から腹に伸びる脚の付け根のラインが微妙に見えていて……
「ちょっと、あまりジロジロ見ないでよ。恥ずかしいからさぁ」
「んむ……スマン」
 確かに……彼女をそういう意味で見た事が無かったために、余計にそういう所が気になってしまう。……以外に……胸大きいな……。俺の手で掴みきれるギリギリの大きさだ。
「あれ、ユウキも着替えたんだ」
「あぁ、似合ってるか?」
「うん。イメージピッタリ」
 俺は暗い色のジーンズに黒のシャツ。その上から同じ色のジージャンを着ている。着てきたコートや他の服は紙袋に入れてある。
「ん……あぁこんな時間か……」
 気が付くと、既に昼飯時だった。だが、然程腹は減っていない。
「ジル、軽く何か食べよう」
 店を出ると、丁度いい具合にホットドッグ売りがやって来た。近くにソフトクリーム売りもいる。早くも客が並び始めている。
「待ってろ。買ってくる」
 ジルに荷物を預けて、列に並ぶ。そういえば……ジルにどれだけ腹が減っているか聞くのを忘れた。すぐに俺に順番が回ってくる。とりあえず、三つ頼むことにした。
「三つだ。一つはケチャップを多めに頼む」
「おろ?お前、ユウキだろ?」
 ホットドッグ売りは俺を見ると、嬉しそうに微笑んだ。
「俺を知ってるのか?」
「おいおい、俺っちを忘れたのか?」
 少し太った男。鼻の下の立派な髭が特徴的だ。そして、ふと男の足元を見ると、そこには見覚えのあるポチエナが。
「……まさか?」
「うちのポチエナを助けてくれてありがとよ」
「あの時の運転手か!」
 そう、あの事件の時に護衛……いや、監視していたトラックに乗っていた運転手だ。
「ちょっと病院代が嵩んじまってよぉ。倉庫に仕舞い込んどったホットドッグメイカーを引っ張り出してきたんだ」
「ほぉ」
「ポチエナを助けてくれたお礼にこれを奢るよ。持ってけ」
 ポチエナも嬉しそうに尻尾を振っている。俺はポチエナの頭を撫でてやると、ホットドッグを受け取った。
「ありがとう。でも、次からはちゃんと代金払わせてもらうからな」
「あったりめーよ!いつも奢ってたら赤字だぜぃ」
「はは、頑張れよ」
「おめーもな」
 湯気の上がるホットドッグを持ってジルを探す。ジルは近くのベンチを確保して座っていた。
「すまん、結構待たせたな。偶然にもホットドッグ売りがあの運転手でな……」
「え、本当?」
「あぁ、食べ終わったら挨拶してくるといい。ポチエナと他の二匹もいるようだったぞ」
 ジルは俺からホットドッグを二つ受け取ってあっという間に平らげた。そんなに慌てなくてもいいのに、と言いたくなるようなスピードでホットドッグ売りの男に向かっていった。
 男は最初ジルが誰か分からなかったようで、正体を知って驚いているのが見えた。
「……もう……俺の周りで人は死なないみたいだな……」
 久しぶりに食べるホットドッグ。初めてその美味さを味わう事が出来た気がした。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 家に帰ったときはもう夜だった。今日一日がもう終わっちゃった。楽しいと時間はすぐ流れていく。なんだか寂しい。でも、これで終わりじゃない。また、ユウキの休みに一緒に行く事ができる。あのホットドッグ売りの男にも、ポチエナ達にも会える。
「ジル、来い」
 ユウキが私を呼んでる。なんだろう。部屋を出て、ソファーに座っているユウキの元に行く。
「何?」
「……」
 ユウキは無言で座ったまま私に紙袋を差し出す。それは昼間ユウキが持っていたあの薄ピンクの紙袋だった。
「え、何、これ」
「……それは……俺からの……その……プレゼントだ」
 ユウキは恥ずかしそうに顔を逸らした。それを受け取ると、早速中身を取り出した。それは、薄水色のネグリジェだった。同じ色のクラゲみたいなナイトキャップまである。
「俺のパートナーになって、何も祝ってやってないからな。その代わりだ」
「……」
「お前は雌なんだから、雌らしいところも大事にしろ。いいな?以上だ。部屋に戻れ」
「……」
 照れ隠しのつもりかも。ユウキはパソコンを立ち上げると、意味もなくネットを弄り始めた。
「ユウキ……」
「どうした?戻っていいんだぞ」
「……ありがと」
 私はユウキに黙っていたことを言う事にした。後ろから抱きつくと、頬にキスをした。
「な、な、何を……」
「ちょっと……言いたい事があるの」
「……何だ」
「……」
「……」
 私はあえて間をおくことにした。ユウキが、私に意識をちゃんと向けるように。
「私、ユウキが好きみたいなの」
「……パートナーとしてか?」
「違う」
「……」
「……んっ」
 また、ユウキの頬にキスをした。今度はちょっと長めに唇を押し付けた。
「……俺は人間だぞ」
「そんなの構わない。本当に好きならそんなの関係ない」
「……フンッ……」
「……」
 ユウキは立ち上がって、私に向かい合った。次の瞬間、身体に暖かい感じが広がった。一瞬何が起こったか分からなかった。私は、抱きしめられてた。
「お前は……俺が爆発の後、泣きながら、血だらけになりながら探してくれたな?」
「うん……」
「凄く……うれしかった。出会って間もないのに、そんなに俺のことを想ってくれて……。お前と出会えて、良かったと思う」
「……ユウキ……」
 ホワホワと、身体が熱くなるのを感じた。コレが、恋なんだ……。この感じは初めてだった。私にとってこれが初恋だった。ユウキの優しさと愛に包まれて、凄く幸せ。
「…………ふ……風呂に入ってくる」
 ユウキは急に恥ずかしくなったのか、私を離すとバスルームに姿を消した。かと思うと、とんぼ返りしてきた。
「あれ?どうしたの」
「た……タオルと着替え忘れたっ!」
 顔を真っ赤にしてタオルを着替えを取りにいくユウキの様子がおかしくて、笑っちゃった。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

俺はなんであんな事を言ったのか自分で分からなかった。今思い出すと恥ずかしくて顔から火が出そうだ。
「……好き……か……」
 頭に付いた泡を洗い流そうとシャワーを手にとって頭からお湯をかぶる。そのとき、後ろから声がした。
「入るよ」
「な、何っ!?」
 慌てて目を開けてしまい泡が目に入って染みる。痛くて目を閉じてしまった。一瞬だが、ジルがバスルームに入ってくるのが見えた。
「おい、俺がでるまで待ってろ!」
「何言ってるの?私一人じゃ身体洗えないわ」
「……そうか、悪かった」
 落ち着いて泡を洗い流す。シャワーを手探りでラックに引っ掛けて顔の水滴を払い、後ろを見た。そこにはタオルを身体に巻いたジルが立っていた。といっても、手で押さえていないとずり落ちるようで、片手で胸元を押さえている。
「じゃ、背中流してくれる?」
「あ……あぁ」
 こいつは昨日まで普通に裸だったのに、何故急に隠すようになったんだ?いや、俺に告白したのだから、裸を見せることに少し抵抗が生まれてもおかしくは無いか……。
 ジルは椅子に座ると俺に背を向けてタオルを取った。俺は背中からシャワーをかけてやった。そのツルツルとした肌に水が流れて、ツヤツヤと光りだす。体の僅かな凹凸に合わせて水が流れていく。わき腹の筋肉や背骨の溝、それを見ていると、どうも興奮してしまう。
「……」
「ユウキのエッチ」
「な……何を根拠に……」
「私のお尻見てるでしょ」
「は……?何を馬鹿な……」
 俺が見ていたのは背中だ。ジルに指摘されて尻が気になり始めてしまった。少し目線を落とすと、そこには椅子に納まりきらない大きな尻が。そこから伸びる太い尻尾。その付け根もなんだか……
「……馬鹿野郎。そんなこと言うから本当に気になるだろうが!」
「あ、やぶへびだった?」
「あ……当たり前だ!」
「……」
「……」
「でも……いっか。ユウキになら」
「な……何がだ!?」
 ジルは急に立ち上がり、俺に向き直った。俺はつい目を閉じて慌てる。シャワーも落としてしまった。お湯が俺の足に降りかかる。
「どうして目をつぶるの?前にも私の裸は見てるでしょ?それが普通だったから」
「……」
 世の中にはポケモンを慰み者として扱うような馬鹿もいるが、俺は違う!その証拠に、俺の下半身は萎えていた。俺はまだ正常だ。
「ほら……ユウキの事を思うと、身体が反応しちゃうの……こんなふうに……」
 どんなふうだ?そう思ってゆっくりと目を開いてしまった。それが間違いだった。
「うぁ……っ!?」
 パッと見なにも変わらないようだったが、よく見ると……
 殆ど目立たなかった乳首はやや勃起して微かにピンク色に染まっている。乳輪だろうか、その周りも同じように染まっている。
 単なる筋にしか見えていなかった秘所もプックリと膨れており、中のピンク色の肉が見えてしまっていた。ヒクヒクといやらしく痙攣している。
「馬鹿野郎!」
 俺はたまらず部屋を出た。身体を拭いてパジャマを着る。そして自分のベッドにもぐりこんだ。掛け布団を頭までかぶり、必死に寝ようと目を閉じた。
「……馬鹿野郎……」



 翌朝、俺はなかなか起きてこないジルを起こしに彼女の部屋に入った。掛け布団もかぶらずに大の字でうつ伏せに寝ていた。風邪ひいてなければいいが……。
「ジル、起き……んっ?」
 そのとき、今までに嗅いだ事の無い匂いを感じた。毒ガスなどの有害な薬品の類ではないようだが……何の匂いだ?
「……どこからだ?」
 その匂いの元を探った。部屋を歩き回り、一番匂いが強くなるところを特定した。それは、ジルだった。とりあえず、ジルを起こすことにした。
「ジル、いい加減起きろ!」
「んぅ……?」
 ジルは寝ぼけているのか、上半身を起こすとフラフラと揺れている。次第に意識もしっかりしてきたのか、目を擦ると背伸びをした。
「んー……っと、おはよユウキ」
「もう九時だ。早くなんか無い。それよりもだ……」
「何?」
「この匂いはなんだ?お前から匂ってるようだが……」
「……ぁっ!?」
 ジルは何かを思い出したように慌てて布団で身体を隠した。
「どうした?何があった?」
「なんでもないの!大丈夫だから……!」
 だが、俺は引き下がらなかった。もし彼女に何かあったら……!
 嫌がる彼女を押し付けて布団を剥ぎ取った。するとそこには……
「寝小便……か?」
「………………」
 ジルの下半身が乗っていた箇所が、一度ぬれた後に乾いたようにゴワゴワとしていた。それにしてはあの独特のアンモニア臭がしない。一体……
「どうしたんだコレは……」
「……ゴメン、私……」
「…………」
 俺はジルの言葉を待った。これは無理に言わせない方がいいかもしれない。ただ、そう感じた。ジルはなかなかその後に言葉を続けない。諦めて部屋を出ようと重心を動かした時、ジルが再び口を開いた。
「あの……私……」
 最後は蚊の鳴くような声で聞き取れなかった。彼女は恥ずかしそうに顔を赤らめている。
「なんだ?何て言った?」
「……そのぉ……オ、オナニーしたの……昨日……」
「なっ……す、スマン、変なことを聞いて……!」
「……私こそゴメン。ベッド汚して……」
 その後、俺はジルに朝食を食べさせている間にシーツを取り替えて洗濯機に入れた。
「……」
 よく考えてみれば、オナニーをすることぐらい予想できたはずだ。彼女は昨晩俺に卑猥なことをした。そのまま興奮状態が続けばそのあと何が起こるかぐらいは……。
「……」
 しかし、何を発奮材料にしたのか、俺には何も思いつかない。俺は彼女に何もしていない。生殖器を見せた覚えも無い。シャワーを浴びている時も、たしかタオルが乗っていて隠れていたはずだ。
「……」
 洗濯機の電源を入れて、始動させる。中でドラムが回り始め、シーツを回転させた。水が注ぎ込まれ、モーター音と水の音が響き始める。
 洗面所を出ると、ジルは朝食を食べ終えていた。
「……ジル」
「……」
「ああいう事をするのはいいが、できればバスルームでやってくれ。洗濯代が嵩む」
「ゴメン」
「以後気をつけろ」
 食器を片付けると、俺はパソコンを立ち上げて依頼状況を確認した。一刻も早くこの忌まわしい考えを消さなくては……
 そして、俺は背筋が凍るようなものを見た。
「…………まさか……」
「……『New-Ⅱ』モドキ……?」
 依頼リストはいつも何十件もズラリと並んでいるのだが、今見ると一つしかない。それをクリックして内容を確認する。そこには、あの『New-Ⅱ』モドキの画像が貼られていた。
「『New-Ⅲ プロトタイプ』の破壊……?」
「奴の名前か……」



 その日の午後、俺はギルドの会議室に居た。他にもSSランクのバウンティーハンターが何人かいる。しばらく待っていると、大柄なボディーガード二人を連れて黒いスーツの男が入ってきた。
「バウンティーハンター諸君。私は地球連合政府の幹部、ケンヤだ。諸君も知っての通り、『New-Ⅲ プロトタイプ』と呼ばれる正体不明のポケモンがこの町を出て行った民間の輸送トラックを襲撃した」
「こいつ……!」
 俺はすぐにコイツがあの事件の首謀者だと分かった。まず目だ。あれはこの世の生き物を全部見下した目だ。そして、あの顔はどこかで見たことがある。そうだ、今は無きロケット団のボス、サカキに似ているんだ。
 奴は昔、とあるポケモントレーナー一人の活躍で逮捕されて牢獄で生涯を終えたはず。となれば……今ここにいるアイツは……
「『New-Ⅲ プロトタイプ』は今砂漠に潜伏している。その砂漠にはかの有名な最終牢獄がある。あの砂漠では奴とて生き延びれるはずが無い。となれば奴はその牢獄に逃げ込むはず。現に牢獄の管理局と連絡が出来なくなっている」
「一つ質問をよろしいですか?」
「なんだ?」
 ケンヤは嫌そうな顔をしたが、俺に発言の許可をくれた。俺はすかさず攻撃した。
「そのトラックの運転手は無事なのですか?」
「ふん、そんなことか。情報では死んだようだ。木っ端微塵になって」
「嘘だっ!!!」
 俺はわざと大声で反論した。ボディーガードが身構える。ほかのハンターも何事かと驚いている。
「俺はそのトラックの護衛……いや、監視を任されていた。俺はしっかりと見た!トラックから奴が出現するのを!そしてトラックの荷台が、大げさなくらいに装甲が施されていたのを!それに運転手は今ちゃんと生きててホットドッグを売っている!お前、何者だ!」
「何を根拠にそんな事を言う?」
「これがその根拠だ畜生め!!」
 俺はコートの懐から一枚の指令所を取り出して広げた。そこには、あの事件に繋がった依頼の日にちと内容。そして任務内容が書かれていた。その下にはしっかりとギルドの最高責任者の書名。さらには判子まで押されている。これは間違いなく本物。奴が本当に首謀者なら効くはず!
「ぐっ……」
 ケンヤはうろたえている。ボディーガードも半信半疑になっているのか、ケンヤから間をおいている。
「そ……それは何かの情報伝達ミスだろう……気にするな……」
 ザマぁ見ろだ。そのあと、ケンヤは作戦内容を伝えるとさっさと部屋を逃げるように出て行った。
 その後、ギルドでケンヤの姿を見た奴は殆ど居なかった。



          そして戦士は竜を抱く Ⅲ    END
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IP:133.242.146.153 TIME:"2013-01-30 (水) 14:00:13" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E3%81%9D%E3%81%97%E3%81%A6%E6%88%A6%E5%A3%AB%E3%81%AF%E7%AB%9C%E3%82%92%E6%8A%B1%E3%81%8F%20%E2%85%A2" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/5.0; YTB730)"

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