ポケモン小説wiki
ご主人はもう の変更点


 ご主人が死んだ。

何故かは知らないが、俺達がモンスターボールから出されたとき、
白い部屋の中いて…、目の前にご主人は居なくて…、白い白衣を着た人が涙を溜めながら…、
ご主人が死んだ事を知らされた。ごめんねと何度も繰り返していた…。
その時は何がなんだか解らなくて、隣に居たプクリンとエーフィが涙を流していて、
その夜、ご主人が気持ちよさそうに寝ていて、揺さ振っても起きなくて…、
その時初めて泣いた。病名は知らないがご主人はこの世に居ないのだ…。

 それから数日、いきなり俺達3人はトラックに詰められ、状況も解らぬまま、
白い建物に連れて来られた。後で聞いたが保健所って言うらしい。
何でも親がいないポケモンを、親族や担当の医師の判断で、野生に返すか、保健所で暮らすかを
決めるらしい。俺達の種類は野生の数が少ないらしい。

 俺はフライゴン、ご主人のエースであり最高のパートナー。
砂漠で倒れていた俺を命がけで救ってくれたのだ。俺はご主人の最初のポケモンになった。
砂漠のせいれいと呼ばれるだけあって、野生数は極端に少ない。
次がプクリン、たまごが森に落ちていたから拾ったのだ。ププリン時代から2つの進化を成し遂げて
プクリンになった。まあプクリンも命を救われたのかな。
プクリンの種族も、まだはっきりした場所が解っておらず、野生数も解らない。
最後がエーフィ。メンバー内で唯一の雌だ。ご主人が虐待場面を偶然見てしまい助けたのだ。
コイツも命を救われた。ペット用が多く、野生は珍しい。

 まあ、こうして俺達は保健所暮らしている訳だが、生活は不十分じゃない。
好きな時に寝て、好きな時に食べられる。食堂が24時間営業だからだ。
集合などは緊急の時以外無く、好きな時に寝れる。と言っても、地下二階なので外からの光は
一切無く、時計だけの生活の為、睡眠時間は崩れるだろう。
温泉もある為、とても豪華な生活なのだが、この建物の中にいるポケモンは、一匹も笑っていない。
プクリンはいつもニコニコしているが、内心は辛いだろう。
俺の個室のベットでご主人の写真を見ているとき、偶然プクリンが来た。絶対に見られた。
プクリンの顔が一瞬悲しい顔になった。しかしプクリンは見てみぬフリをしてくれた。
ここにいるポケモンは、誰もが俺達みたいな奴。みんな心は悲しいのだ。

「フライゴンッ!」
プクリンだ。俺の隣の部屋で寝ている。しかし、同じ部屋で寝ているようなもんだ。
プクリンが 誰だ~~~!! 何て大きな声で俺とプクリンとの唯一の壁の一部を蹴飛ばし
大穴を開けてしまった。その正体はねずみ、いくらこんな綺麗な場所でも、こんなでかい建物なら
ねずみ位居るだろう。今はのれんで応急処置。まあ意味が無い位悲しい処置だ。
「あのさぁ、壁ノックしてって言ったじゃないか」
少し怒った顔で言った。まあ、そんな怒ってないけど。
「じゃあやり直ししてくる」
「ちょ、待って!別に良いから!」
コンコン「失礼しま~す」
「……どうぞ」
----
 「でさ、何しに来たわけ」
「寂しいから」
「……」
プクリンはいつも変な理由でここに来る。
しかもだ、寝ている時に勝手に俺のベットに入ってきて、
俺を抱き枕代わりに使う変な性癖を持っている。マジ止めてほしい。
「じゃあ何するの?テレビでも見る?」
「いや…話があってさぁ」
少し不安な声をしている。大した事じゃ無いと思ったとき。
「ボク達って死ぬまで一生ここに居るの?」
……!プクリンがこんな事を言うとは思わなかった。
まあ考えてみればそうだな。でも別にそれがどうしたのだろう。
「ボク達さぁ、脱走しようよ」
顔は真剣だった。
「……はぁ?」
「いや、勿論エーフィも一緒だよ?」
「いやいやいやいやいや、そうじゃなくてさ。脱走!?何で!?」
脱走なんて考えた事も無かった。プクリンはいつも変なことを言う。
「ボクはもうこんな生活は嫌なんだ。毎日と言っていいほど泣いているポケモンがいる。
それを見るたびに辛くなる。…ご主人を思い出す!こんなジメジメした所に閉じ込められたくない!」
「プクリン…」
「外の空気をいっぱい吸いたい!太陽を浴びたい!…そして…」
「ご主人に…ご主人に…会いたい…」
「でもプクリン…残念ながらご主人はもう…」
「会えないのなら…せめて!御墓に…」
プクリンの気持ちが良く解った。俺もそんな気持ちだったんだ。理解は遅くなかった。
俺もご主人に死ぬほど会いたいんだ。プクリンの気持ちは痛いほど解る。
しかもここの人たちは、何か怖い。泣きじゃくるポケモンを怒鳴ったりする。
『ひどい…!』いつも思っていた。もうこんな場所には居たくない。
「解ったよ。プクリン」
「びぇぇぇん!フライゴ~ン!」
泣きながらプクリンは抱きついてきた。いつもなら蹴飛ばしていたが今日はそんな気にならなかった。
今までよく我慢してたな…。プクリン。

~30分後~

 「じゃあエーフィを呼んでくるよ。少し待っててくれ」
「わかった~」

 「おい、エーフィ。入るぞ」
ガチャッ
「キャ~~~~~!」
ヒューーーーー
え、何かこっち向かってきてるよね。何あの鉄。え、もう当たっちゃうよね。
ゴンッ!
あ、良かった。翼に当たったから結構平気…あれ、なんか予想以上に結構飛んできてるよ?
ヒューーーーーヒューーーーーヒューーーーー
「ま…待ってくれエーフィ!話を聞いて!」
「無断侵入者め~!早く出てけ~!!」

~1時間後~

「何だ。フライゴンだったのね。じゃあ言ってくれれば良かったのに…」
「言える状態じゃないっつの…」
「で、なんの用?」

 ・ ・ ・

「へぇ~。別にいいけど」
無関心そうに言う。
「ありがとな。じゃあさっき言ったとおり夜中の2時に俺の部屋に」
「わかったわ。作戦は今言ったのでいいのよね」
「…あぁ」
----
 夜中の1時半。
フライゴンは脱走の準備をしていた。といっても何を準備すればいいのだろう。
一応肩がけバックの中にライトを入れといた。脱走するルートは暗いからな。
「フライゴンッ」
「お…早いね」
プクリンだ。その顔の笑顔には緊張があった。隠しきれない緊張。俺もだ。作り笑顔で返事した。
しかしあんな作戦で成功するのだろうか…。少々不安があったが、考えないことにした。
「ねぇフライゴン…あんな作戦で大丈夫?」
「え?プクリンが決めたんじゃないか!」
そう言われると不安が蘇って来た。プクリンが考えた作戦、まさに“当たって砕けろ!”が相応しい。
「プクリン。作戦の紙、もう一回見せてくれ」
「はーい」
 相変わらず読みにくい字だな。プクリンと俺は鉛筆を持つ位、余裕だった。
ポケモンの世界には文字は足型文字くらいかな、まあ、殆どのポケモンは字を使わない。
俺達はここで文字の勉強をする。いや、強制では無いが、読めないと食券が買いにくいしな。
読むために勉強するので、俺達みたいに書きにはあまり使わないだろう。
おっと、時間が無い。早く読まないと。

 ~さくせん~

1月の3日 よなかの2時に ふらいごんのへやに しゅうごう。

さくせんは まず しょくどうにいって たべものがとどく ば所にいって

そこから 外にでる。けいびいんさんは きょうこうとっぱ。

そこから 外にででも まだ なかにわ なので とらっくが とおる どうろを とおる。

そこには かんしカメラが ついているけど きにせずいく。

そしたら そとに でるはず。 がんばろう!
                                      プクリン

 “行こう”位漢字で書こうぜ。と思ったが、俺も文字がスラスラ書ける訳では無いので、
変な事は言わないでおこう。
「ホントに大丈夫かよ。やる気じゃ何とかならないぜ」
「む~、これ超考えたんだよ?」
プクリンの頭では、これが精一杯だろう。まあ考えてみればこんな生活してるより、当たって砕けた方がマシだ。

 「入るわよ」
エーフィだ。返事をしない内に入ってきた。エーフィも緊張を隠しきれずにいた。
「いまは何時だ、プクリン」
真剣な眼差しで訊いた。
「2時ちょうどです。作戦を開始しましょう」
プクリンも真剣な眼差しで言った。冗談半分の。
「行こうか、二人とも、もう後戻りは出来ないぞ」
「わかってるわ」
緊張が混ざっている顔でエーフィは言った。
「承知の上ですぜぃ!」
ふざけた顔でプクリンが言った。

ドアが開いた。廊下は暗かった。俺達は駆け出した。
----
 暗い廊下を駆けていく。食堂に着くまでに、警備員が数人居たが、
あまり不審なポケモンとは思われなかった。一応ここは何匹ものポケモンの通路。
急いでる位にしか思われなかった。
 「あそこが食堂のトラックが着く場所までの通路の入り口だな?」
フライゴンが肩で息をしながら言った。
「うん。普通に警備員がいるけどね」
「…強行突破するしかないの?」
エーフィが呆れた顔で言った。
警備員の腰には黒光りする拳銃が装着されていた。
「じゃあボクが3、2、1、0って言うから強行突破してね」
「3…2…1…」
「……0!」
俺達は走り出した。警備員はこちらを見ている。最初はポカーンと見ていたが、
俺達が近づいてくると真剣な顔になってポケットから麻酔銃を取り出した。
拳銃は脅しの道具だったようだ。
「お前ら!止まりやがれ!」
あと10m位で麻酔銃を発砲した。残念ながら当たらず、代わりにプクリンに捨て身タックルを、
思いっきり当てられた。警備員は倒れた。
俺達が喜ぶ暇も無く前に進んでいると、前方からも応援の警備員が来た。
3人か、フライゴンは口に光を溜め始めた。高威力の特殊技。“破壊光線”だ。
5秒位溜めるとその光を警備員に向かって発射した。
警備員は吹き飛ばされ、俺達は出口に向かっていった。ついに外へ出られた。
外の空気を吸う暇も無く、外からも警備員が来た。
軽く10人は超えているだろう。しかも武装している。
「次から次へと…!」
フライゴンは破壊光線の反動で避ける気力もない。
相手はそれを見計らってか、フライゴンに向かって大量の麻酔銃を発砲した。
もうダメか…。そう思ったときに、フライゴンの前に影が出来た。
上を向いた。暗くて最初は解らなかったが、匂いで解った。プクリンだ。
「プクリン…」
プクリンが倒れた。大量の麻酔が注ぎ込まれていた。
「プクリン!」
エーフィが大声を上げる。麻酔銃がエーフィにも当たった。一発だったが小柄なエーフィは
すぐ眠りについてしまった。
反動から立ち直ったフライゴンは、頭を天に向け目を瞑った。
外だからこそできるドラゴンタイプ最強の技。“流星群”と言う技。
さすがに高威力技を二回試した事は無いが、相手は武装。地震よりは確実な技だった。
フライゴンは口から光る物を天に向かって発射し、それが分散されて、地面に散らばった。
相手は全滅した。が、フライゴンも疲労が限界を達しそうだった。
最後の力を振り絞り、翼を動かした。天に舞い上がったフライゴンは。
バランスを崩しながらも、空へ向かっていった。
上から見たのはすべて、森、森、森。トラックの運転手は迷子にならないのだろうか。
東に向かって飛ぼうとした時、フライゴンの疲労は限界。空を飛べなく、地面に向かって
落ちていった。
大きな音をたてて、保健所にそう遠くは無い森に落ちた。
薄れていく意識の中、フライゴンは泣いた。プクリンとエーフィの笑顔を思い出す。
そう、俺は1匹になった。何も身寄りがない。俺は1匹となったのだ。
脱出は成功だった。しかし、大きな存在を無くしてしまったのだ。脱出の代償が多すぎた。
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 ――チュン…チュンチュン
鳥ポケモンの鳴き声が聞こえる。強い日差しが眩しかった。
考えてみれば、何年ぶりの太陽だろうか。しかし、感動には浸れなかった。
最悪の朝だ。フライゴンは思った。
脳裏にあの時の悲劇が蘇る。
あそこで破壊光線をしなかったら…
後悔しても仕方が無いのは解っている。だけど、俺は最低なんだ。仲間を見捨てた。
俺は最低…俺は最低…。呪文のように繰り返す。俺は最低…俺は最低…俺は最低…………

 ブオン ブォォォォン

 何かが聞こえた。車のエンジン音のような音が。
トラックが近づいてきている。どうやら食料を取りに行くらしい。
あれに乗ったら…。フライゴンは上空で見た街の風景を思い浮かべた。行動は早かった。
翼をはためかせトッラクに向かって飛んでいった。
トラックに乗ると、そこで身をかがめた。ゴーグルで目に強風が当たらないのがいい。
まずは情報を集めるんだ…。あんな都会なら何か情報があるはずだ…!
フライゴンを乗せたトラックは街に向かって走っていった。

 トラックが止まった。着いたみたいだ。
人とポケモンが6:4位の割合で歩き回っている。
ここはポケモンでも仕事に就ける。人とポケモンが差別されない街だった。

 ……!フライゴンが固まった。街の中央の大型テレビにはあの保健所が映し出されていた。
『えーこちら森ノ中央保健所前です。ここから脱走したポケモンに対して、
凶器などを使い、脱走したポケモンに重軽傷のポケモンを出させた疑い…』

重体!?誰だ!?しかしフライゴンには予想はついていたのかも知れない。
フライゴンの前まで来て大量の麻酔を浴びせられた…

『重体のポケモンは、種族名、プクリン、名はラウト…』

フライゴンは思い出した。そうだ…ご主人からプクリンはラウトと呼ばれていた…。

『種族名、エーフィのレイは麻酔で未だ眠っていますが、命に別状は在りません。』

レイ…思い出して来た。ご主人が名づけたんだ…。
そして…、俺の名は…。

『未だ脱走している、種族名、フライゴンのライアは解りません。
尚、警察は“探す気は無い”としています。』

ライア…そうだ…。あんな生活だから忘れていた…!ライアだ!俺は!
フライゴンは嬉しかった。ご主人につけて貰った名前を思い出せたのだ。
メモがあればすぐ書きたいフライゴンだったが無かったので肩を落とした。

『この保健所は後にポケモンを売りさばこうとしていた様です。
これを機に、ポケモン達は野生に返されました…。次のニュースです。』

 フライゴンは朝の大都会を1人歩いていった。
----

作者[[フーライ]] 官能的表現が入ってきます。

第一話【一通り説明しました。エーフィ以外の性格は大体わかりましたね。】
第二話【脱走を企てます。プクリンのモデルは“おやかたさま”という設定です。】
第三話【脱走の前の緊張…。不安…。エーフィは積極的な性格ですが隠している様です。】
第四話【脱走は成功に終わった…。いや、失敗なのか…?アニメで知りましたが、流星群って口から発射した物を分散させてるんですね。】
第五話【フライゴンは一人になった…。この孤独な環境でどう生きていくのか?】
- これからの展開が楽しみですね^^
こういう物語、好きです。
――[[純心の瞳]] &new{2010-01-06 (水) 22:57:52};
- ■純心の瞳さん
ありがとうございます!
これからの展開は…今続きをUPしたのでご覧下さい。
――[[フーライ]] &new{2010-01-07 (木) 18:06:12};
- ついに書き始めたんですね!フーライさんはフライゴンが好きだといっていましたしね! 自分も好きなのでこの物語が完成するのが楽しみです。
――[[ヒカル]] &new{2010-01-08 (金) 16:02:38};
- ■ヒカルさん
ありがとうございます!
フライゴンの良さ!解ってくれますか!いいですよね!
赤いゴーグルに隠された純粋な瞳!あのシルエット!
バトルでも結構使えるんですよ!まず流星群ととんぼ返り!他にもバランスがとれた能力h(ry
――[[フーライ]] &new{2010-01-16 (土) 17:29:01};

#comment

IP:61.22.93.158 TIME:"2013-01-14 (月) 18:50:28" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E3%81%94%E4%B8%BB%E4%BA%BA%E3%81%AF%E3%82%82%E3%81%86" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/5.0)"

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