ポケモン小説wiki
この中にメタモンがいる の変更点


何故か英語でのタイトル編集ができなかったので日本語にしました。原題「There is 1 "Ditto" in among us」


 ある日、幼なじみのケンちゃんが海外の面白いゲームがあると連絡してきた。廃墟になったポケモンセンターを舞台にトレーナーたちが探検するのだが、中にメタモンが紛れ込んでいる設定だ。

 プレイヤーはトレーナー側とメタモン側に分かれて、トレーナーは廃墟を探検しながら幻のポケモンの謎に迫り、メタモンは縄張りを荒らすトレーナーを食べる。

 会議をしてメタモンを見破りジュンサーに引き渡すか、真相にたどり着けばトレーナーの勝ち。上手く会議をやり過ごして、自分たちと同じ数まで減らせばメタモンの勝ちだ。

 CPUにおまかせは出来ないらしいから、同じクラスのマーくん、ジュン、隣のクラスだけどよく遊ぶカツジ、ユリちゃんとグループ通話を繋いで、六人で遊ぶことにした。みんな嫌になるほど退屈でしょうがなかったから、断るやつなんかいなかった。

 流行病が広がってもう二年。どこへ行っても行かなくても息が詰まるような毎日だ。こんなご時世だから、誰かの家に集まってゲームするのも難しい。みんなでだらだらお菓子を食べながら、スマブラするのが楽しかったのに。

 放課後の校内で遊ぼうともしたけれど、非常事態になってからは先生の目が厳しくて、部活も中止。授業が終わればすぐ追い出された。公園はもちろん立ち入り禁止、道端で話していると近所の爆弾ジジイが爆発するし、未成年の自由は脅かされたままだ。

 ケンちゃんは大体のルールを説明してくれて、歩く速度がどうとか、見える範囲がどうとかの難しいことも決めてくれた。トレーナー五人とメタモン一匹の設定になっているらしいけれど、開始の直前まで、どっちになるかはわからないようになっている。僕はトレーナーの一人だった。

「それじゃあ始めるよ。会議になるまでおしゃべり禁止だから、そこだけお願いするよ」

 ケンちゃんの合図で、ゲームが始まった。開始地点の受付から、みんなそれぞれ散らばっていく。
 僕は幻のポケモンの謎を解き明かすべく、懐中電灯を手にしたトレーナーを操作して小学生でも簡単に出来るパズルを解いたり、数字合わせをして探索ゲージを溜めることに専念した。みんなが頑張ってゲージが満杯になると、真相が解明され勝利するらしい。

 それにしても、繋がっているはずなのに誰とも会話せずリアルタイムでゲームが進むのってドキドキする。もしも自分がメタモン側だったら、食べる時緊張して手が震えてしまうだろうな。

 三つ目のパズルを解き終わったくらいに、緊急通報が鳴った。これは誰かがメタモンに食べられた跡を見つけた時に鳴らすやつだとマーくんに教えてもらった。

「カツジが食べられてる!」
 マーくんが見つけたようだ。食べられたり引き渡されたプレイヤーは喋ってはいけないので、カツジは会議になってもミュートにしている。

「さっきユニオンルームにいた気がするんだよな。ジュンも一緒じゃなかった?」
「え、あ、いや、カツジの姿は見なかったと、思う……」
 ケンちゃんが聞くと、ジュンは覚えていないとはぐらかした。言い方もなんだかたどたどしい。怪しいな。

「ユリちゃんと僕はWi-Fiひろばで合流してから結構一緒にいたよね」
「うん、最後呼ばれるちょっと前までコミュニケーションセンターにいたよ」

 お互い今回の件に関与してないことを確認するのは大事だ。変に一人で行動すると、怪しまれるからな。

「うーん、そうなると俺的にはジュンが一番怪しいが」
「言動がおぼつかないのもそうだし、誰とも一緒じゃなかったみたいだし、消去法でそうなるよね」

 マーくんとケンちゃんはめちゃくちゃ怪しんでいる。僕も同じ気持ちだ。

「いやいや! オレじゃないよマジでマジで!! ちょっと記憶が曖昧だっただけだって!!!」

 必死の弁明も虚しく、ジュンに四つ票が入った。会議で怪しいと思ったら、投票でジュンサーに引き渡す人を決められるのだ。

 ※ジュンがジュンサーに引き渡されました

 会議が終わり、ジュンがいなくなったがゲームは終わってない。ということは、彼はメタモンではなかったようだ。悪いことをした。が、戻れるものでもないので、引き続きパズルをこなしていく。

「いや待てよ、マーくんが食べて自分から通報した可能性もあるな。これ解いたら探しにいってみよう」
 ふと先程の会議を思い出し、マーくんにも目撃証言がなかったと気づいた。ゲージも進んでいないし、様子を見に行きたい。



 ……? やけに静かだ。誰かが移動しているなら、どこかですれ違うはずなのに。こういう時どうしたらいいんだっけ。えーっと。

 ケンちゃんから送られてきたゲームのやり方をスクロールしていくと、緊急招集ボタンが受付にあると書いてあった。

 僕はいつどこで食べられてるのかとヒヤヒヤしながら走り、受付まで戻ってきた。ここにも誰もいない。

 ボタンを押すと会議の画面になったが、妙なことになっていた。僕だけしか生き残っていない。みんなトレーナーのアイコンに×がついていて、ミュートになっている。

「あれ、メタモンは自分と同じ数になるまで減らしたら勝ち……だよな? 僕しかいないなら、もうとっくに終わっているはずなのに、まだ操作できる。バグったか?」

 それ以上進まなくなり、ミュートのままだったので解除してみんなと話そうとすると、

「ユキ? 誰か遊びに来てるの?」

 階段からお母さんの声がした。今日は仕事から早く帰ってきたみたいだ。

「ううん、通話してるだけ」

 まずい、ゲームしながら通話してるのがバレるとめんどくさい。最近やっとゲーム機をネットに繋ぐ許可が出たばっかりなのに。

「そう? ケーキ買ってきたから降りてらっしゃい」
「わかった、すぐ行くよ」

 と応えて、ごめん親に呼ばれたから抜けるとチャット欄に書き残し、通話から抜けてリビングに降りていった。


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