ポケモン小説wiki
かたどり の変更点


#include(第十六回短編小説大会情報窓,notitle)

&color(red){!r18です};

*かたどり [#c9ixzPH]

「オラ、ちんこ出せ」
「何で!?」
「うるせーな、型取るに決まってんだろ」
 何でこうなったかは、今やふたりとも覚えていない。
 ただ、この日にふたりは一線を越えた。といってもそんなにキツイ物じゃない。片方の雄がちんこをおっ勃てて、もう片方が抜いてやった。
 文字に起こせば、それだけ。誰も見ちゃいないし記録もない。それでも抜かれた側の記憶には結構残るものだ。抜く側がどう思ってるかはわからないけど。頭のネジも吹っ飛んでるし。
「型取るって、おかしいだろそれは」
「商用利用じゃなくて個人利用だからへーきへーき」
「たとえ張型でもいい気分がしねえよ……」
「冗談だ。お前がどーしてもというならアナル処女をくれてやってもいいが」
「いらんわ!」
 もう一度言う。
 主人は雄で迫られているガブリアスも雄だ。背びれの切れ込みが主張している。
 ここの主人は頭のネジが吹き飛んでいたか薬物か何かでトランスしていたらしい。いや、もともとそういうケはうっすらと見せてはいて、ちんこを出せと迫られているガブリアスも覚悟はちょっとだけしていた。
 ノギスとメジャーとあとなんだかよくわからない、たぶん型が取れるようになってる石膏みたいなやつと、写真撮影用のカメラ。たぶん着色か何かに使う。
 人間にしてはこの男、とても力が強い。ガブリアスが単純勝負で負けてる。このためだけに柔術だか合気だかを習い日々の筋トレと技術研鑽を欠かさなかったと聞けばガブリアスはどう反応するだろうか。
 まあ、反応を見るまでもない。聞いてあきれるだろう。
「時代は二本差しよ二本差し」
「サムライか?」
「時代はヘミペニスよ」
「台無しだな!」
 ぐぐぐ、と必死に押し返そうとするも全く動かないことに冷や汗をかくガブリアス。ちょうど股の間の例のブツが隠れている割れ目に人間の太ももが擦り付けられる。
 まだ中で縮こまっているフカマルを、肉の上からぐりぐり。狙ってやっているというのはガブリアスにも分かった。ヘンな感触に、股間が勘違いしてしまいそうになる。
 俺にそんな嗜好はねえと首を振る。
「協力してよ生物部の夏休みの自由研究だと思ってさ。心配すんなって。ちゃんと”私から作りました”って顔写真載せてやるから」
「絶対にやめろ」
 だいたいそういうので顔出すのは生産者じゃないのかとボヤいたら、性具はモデルの顔に決まってんだろと言われた。
 店先に並んでるオナホによくわからんおっさんが私が作りましたって顔出して誰が買うか。とも。いやいやそもそもオナホが店先に並んでいるのを見たことがない。世も末すぎる。
 人間が一つ舌打ちした。お返しにと、ガブリアスは睨みつけた。それはもうけがらわしい汚物を見るような目で。
「ふふふ、興奮するじゃないか」
「あー、悪い、もうツッコミが出てこない」
 ひれの付け根から尻にかけてがぞくぞくしてきた。これは……貞操の危機じゃな? と今は亡きひいお爺様の声が聞こえる。確かジジーロンだったか。あの世から見てるなら助けてください。
「タダでとは言わんよ、今ならヌメルゴンちゃんのヌメヌメお風呂120分コースを考えている」
 沈黙。そして、ごくり。
 ヌメヌメお風呂コースというあからさまに卑猥な響きに、ガブリアスの喉が鳴る。あっ、これ流されるやつだ、と頭の隅っこで思ったのを奥にしまい込んだ。
 ガブリアスの抵抗が凍ったように止まったので人間はガブリアスの下半身に手を伸ばす。ガブリアスの方は自分が抵抗をやめたのに気づいていない様子。
 人付きのポケモンはどこそこ構わず子種を振りまけるわけではない。しかるべき施設で、しかるべき手続きを踏んだのちに、ようやく『なか』に出せるのだ。
 いい加減恋人が両手かそれが持つティッシュか、本物を模したおもちゃというのでは満足できなくなっているころだった。生きた膣穴に出したいという欲が最高潮に達している。今はそれどころではないが。
 ひょっとすると、人間はガブリアスの性的危機を察知して張型を作ることに決めたのかもしれないが、ガブリアスはそこまで思い至ることはなかった。
「ま、まあ少しぐらいなら」
「すけべ」
「お前が振った話だろ!?」
 そしてあっさり陥落した。ひいお爺様も草葉の陰で泣いておられるだろう。
 こんなやり取りでも少しながら効果はあった。まあ、ちょっとだけ……ちょっとだけとはいえ想像してしまったから。
「俺に型取られるのを?」
「そっちじゃねえっ」
 スリットの切れ目からぴょいんと顔をのぞかせるピンク色の突起。ヌメルゴンちゃんのヌメヌメ穴とやらを思い浮かべて、最近ご無沙汰なガブリアスのソコは俄かにいきり始めていた。
「小さいな。レートバトルに引っ張りだこの最強ドラゴン、一皮むけばトカゲなみ……ってか?」
 ちょん、と人間が先に触れる。
 想像がまだ完全じゃなくて逆に助かった。限界まで屹立した戦闘態勢になっていたらこいつに何と煽られるやら。
 触り方がもどかしい。初めて雄を見る生娘でもあるまいに、人間は指の腹でコンニチハしている双子のガバイトの頭をちょんちょん触る。
 これだけ強引なのだからスリットを無理やりこじ開けて引きずりだされるのかと思っていたのに、あっけにとられるガブリアス。空振るのはげきりんだけで十分だ。
 期待していたようで悔しいので、人間を睨む。当の人間は初めてじっくりと観察する怪獣に興味津々で、まるで気にしていない。
「おいおい、こんなに小さくちゃ型取れねーぞ」
「そりゃあ……オカズもないしな」
「オカズと言われてもなー。俺変態じゃないしなー」
「どの口が言うかっ!?」
 とはいっても、さすがは同じ肉棒を持つもの、性的に興奮するか排泄を極度に我慢するかくらいしか海綿体が勃起、肥大しないことは承知している。
 人間のコレクションという人間からふていけいまで網羅されたおこちゃまはお断りな画像集は逆にガブリアスのストライクゾーンからはいくつかど真ん中のものがあったものの大部分は大暴投を決め、事態の解決には至らなかった。
 やっぱりお前は立派な変態だよ、とは全てが終わってから思い出したガブリアスの談である。
 こいつが型を取れないのは、まあいい。それは許そう。
 ただ、ここでこの通り縮こまったままだと、人間から何を言われるかわからない。短小だの不能寸前だのあらぬ風聞を振りまかれかねない。ガブリアスの背中が珍しく汗を噴き出している。
 一方の人間もこのままでは目的が達せないと不満顔。ガブリアスも達せないだけにイライラを募らせる。本気でぶちぎれたら人間なんかひとたまりもない。上の首ならともかく下の首がちょん切られかねないことをしているのだから。
 そこでこの男、指を鳴らしてアレを使おうと言い、席を外した。しばらくしてのち、分厚い本を抱えて戻ってきた。
 あ、何でこの隙に逃げ出さなかったのだろうとガブリアスが思った時には、もう人間がそれを開いてガブリアスの前に差し出していた。
「……最近のポケモン図鑑は過激なんだな」
 ポケモン図鑑、なのだろう。多分。ポケモンの生態や解剖図や全体図のスケッチが、参考画像としてかなりきわどい、というか完全にアウトなピクチャたちが乗っている。加えて交尾の章の充実っぷりは言うまでもなく、ガブリアスのフカマルは徐々にガブリアスへと成長していた。
「そりゃそうだ。だってこれ即売会で買ったやつだし」
 正真正銘の図鑑だった。もとい、分厚い薄い本。一時期人間の餌が10円の黄色いコーンスナックで、ガブリアスの飯がディスカウントスーパーでグラム40円の処分品だった伏線が回収された。そりゃベラボーな散財にもなるわな。どうも人間のアングラカルチャーに寛容なガブリアスで助かっているようだ。
 というかガブリアスにしてみれば正規のポケモン図鑑で興奮しなくてよかったという安心感の方が強い。
 だから油断してしまった。ぺらぺら初見のえっち本をめくられて、意識はそっちに、血流は下腹部にと集中しており、人間のもう一方の手の位置に気づけなかった。
「!!???」
 人間の手が二本のペニスの片方を握りしめた。すかさず扱き、潰し、先端を愛撫する。人間と違って余計な鞘とかついてないから感触は直に伝わる。
 件の本から意識が離れるころには、すでに爆発寸前の白いマグマが片方の噴火口まで上がってきていた。ガブリアスが変な声を出す。やめろ、と叫びたかったようだが、そんな音にはならなかった。
 これまで割と溜め気味だったことやガブリアスの涙ぐましい工夫では満足のいく処理ができていなかったのもあるのかもしれない。

「おーなんだ? 俺の手コキがそんなに良かったか? 次は口でしてやろうか」
「いらんわ……」
 ともかく、ガブリアスは射精した。それはもう大量に。図鑑にも人間にもぶちまけて。息を切らしつつも被害を確認するガブリアス、そこで彼が見たのは精液を興味深そうに眺める人間。
「マッハポケモンだけに、早漏ってか」
「うるせえ……」
 意外とサラサラ流れるその液体を掬い、指で混ぜてみる。そして、伸ばしてみる。
 人間のとは違うなと言いながら、それを口に含んだ。直視に耐えられずガブリアスがそっぽを向く。人間は味、香り、触感をまるで料理評論家のように比喩していく。
 強い雄の臭気ながらも独特の性的興奮を煽るような香り。人間の喉に引っかかるようなそれよりも粘土は低く色も薄い、生卵の白身というよりは固める前のゼラチン……それをわざわざメモをする。
 口に出ているのがさらに恥ずかしく、ガブリアスは耳をふさぐのに精いっぱいだった。いっぱい射精しただけに。 
「201ガブならぬ801ガブだな、やおいガブ」
「やかましいわ!」
 人間がメモを取り終わり、図鑑に出した分も何とかぬぐい取って再びガブリアスと対峙する。沁みついた痕はもうどうしようもないが。
 ガブリアスはまだ何かあるのか、と露骨に嫌そうな顔をする。といっても、既にキツイ恥辱を与えられたため、デカい態度では抗議できない。
 下半身に集中しているはずの血は頭の方にもだいぶ上ってきたらしく、顔が火照っているのが感じられた。変温動物なのは伊達じゃない。
「ところで俺はこんなに早くいくとは思ってなかった」
「……俺だって思ってなかったよ」
 目を合わせずに対応するガブリアス。しかし実はこのとき人間の目線は彼のチンしか見ていなかったのを、彼は知らない。
 人間は努めて冷静に――カメラとノギスと型取るためのよくわからない道具を取り出した。
「まだ写真も撮ってないし測定もしてないし何より型も取ってないんだ。まだ精液のレビューしかしてない」
 幸か不幸か、片方のちんこはだらしなく吐精してしまったが、もう一本の方が元気なので、それにつられて愚息も復活を果たしている。
 世の中には見られて喜ぶ猛者もいるというが、自分は決してそんな癖はないと言い聞かせた。勃起は収まる様子はなかった。無駄な努力であった。
「……ヌメヌメお風呂お泊りコースに変更な」
「任せろ」
 こうなってしまえばもうヤケクソ。人間がえっちなポケモン図鑑だけでなくムスコが反応しそうな薄い本のコレクションをどかどか持ってきたので、それを堪能することにした。
 2回目ということもあって精巣の方は落ち着いたらしく、滾る二本がうごうごしているのがよくわかる。
 人間はこれよこれ、と歓喜の声を上げつつ写真を一枚。間違っても『私のちんこです』なんてされないように本で顔は隠した。むしろこっちの方が恥ずかしい説もあるが。
 そして、メジャーで直径を測る。ガブリアスはメジャーとはいえ締められる感覚に声を上げそうになる。耐えきれてよかった。
「缶コーヒーくらいあるな」
 それは雄として恥ずかしいのか及第点なのかどっちだ。言おうとして、人間に聞いても分からないことだったと反省。
 お店のポケモンはそりゃあちっちゃいですね、なんてひどいことは言わない。
「根本はどうなってんだ?」
 そしてまたまさぐられる。ガブリアスも平常心、平常心と軽く深呼吸。今読んでるのもちょうどシリアスパートだから、ちょうどいい。
 いつの間にか持ち替えられたノギスの歯が先っぽに食い込み、声を出しそうになる。というか痛い。しかも冷たい。人間はおお悪かったと言いながらメモを付ける。
 同時に根元をふにふにされるとやはり二本ともぴくぴく動く。
「んじゃあ最後にこれで型取るから、イクなよ?」
 最後に取り出されたのはやはり型取り用だった箱。中の様子は窺うこともできないが、きっとなんかこう、えぐいことになっているのだろう。
「オナホじゃないから期待はしないように」
「んんっ!」
 即座に二本まとめて咥えこまれた。スライムとシリコンと片栗粉の三等分点くらいのやわらかいがしっかりした材が、自分の形に押し広げられていくのが分かる。
「これいつまでつけてりゃいいんだ?」
「一瞬だ」
 スポン。型から解放された性器がぶるりと跳ねる。長かった。そんなに時間は取られていないはずなのに、いろいろいじくられて自分のペースでできないというのはかくも辛いものだったらしい。
 人間がガブリアスの表情を見る。きっと本人は気づいてないのだろうが、早くいかせてくれと懇願するような顔をしていた。息は荒く、目つきも睨んでいた先ほど窓とは違い、どこか媚びるものがある。
 ほう、これは……人間がまた、股間に手を伸ばす。今度は両手だ。ミルタンクの乳を搾るがごとく、天を地に見立ててとにかく絞る……扱く。ガブリアスの悲鳴も聞かぬふり、人間は最後の仕上げにと射精させることに夢中だった。
 これぞ、ザ☆搾精。
「ほーれ、いっちまいな」
「ぐっっ……あ!!!」
 本日二度目とは思えないほどの量の精液を、荒ぶる二本の固定砲台からいつまでも吐き出し続けていた。

----

「できたぞガブリアス」
 それからしばらくのち。
 人間は凶悪なちんこを携えて帰ってきた。形も、色も、おそらく質感も。
「……これ、俺の?」
「こっちの方がいいんじゃないかと言われてところどころ誇張した形になってるけどな」
 人間がそれを近づけて来る。紛れもなく自分のものだとは言い切れないが、非常に見慣れた形をしていた。複雑な気分に襲われるガブリアス。
「協力してもらったお礼に一つ差し上げようかと」
「いらんわ!」
 これ以上変なことをされて万が一にも変な気分にならないように、ガブリアスはそのまま逃げだした。

----

*あとがき [#N81H1ce]
 お題の「かた」を見てからこれしか思い浮かびませんでした。[[私>pt]]です。
 今回はしんみり感動系が多くを占める中完全に一人だけ後ろを向いてヨーイドンしてましたね。
 何でガブくんじゃないといけなかったかというと「マッハポケモン」と「201」のくだりをやりたかったからというだけです。巡り合わせが悪かったね。
 
 笑いました報告でもつまんねえぞ報告でもいいのでお便りお待ちしています。

#pcomment


トップページ   編集 差分 バックアップ ファイル添付 複製 名前変更 再読み込み   新規作成 ページ一覧 ページ検索 最近更新されたページ   ヘルプ   最終更新のRSS
This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.