#hr 作)[[純心の瞳]] 懲りずに作ってみました。 文章的に少しおかしく、非エロですが、読んでいただければ嬉しく思います。 ---- 「み~つけた!」 その言葉は、どこにでもあるかくれんぼの言葉。 「あ~、見つかっちゃたか。」 くすくすと笑い声がこみ上げる。 「じゃあ今度は僕の番だね。」 そう言って、また、みんなが隠れていく。 「も~いいかい?」 「ま~だだよ!」 楽しいかくれんぼ…。 「も~いいかい?」 「も~いいよ!」 僕はただそれを見続けていた。 僕の名前はパチリス、 性別はオス、話し方のとおりにね。 見た目的からメスとよく勘違いされるんだけど、 一応オス、立派なね。 今日もこの公園に僕はいた。 ほかの子供たちの楽しい声が聞こえる。 「じゃあ鬼を決めるよ!最初はグー!ジャンケン…」 いいな、楽しそう…。 僕は目を細めて、子供たちを見る。 いつだろう? 僕が遊ぶのをやめたのは…。 「も~いいかい?」 「ま~だだよ!」 「も~いいかい?」 「も~いいよ!」 「よ~し全員見つけるぞ!」 そう息せきいって、探し始めたのは一匹のサンド。 夕暮近い公園、おそらくこれが今日最後のかくれんぼになるだろう。 日が暮れたら、みんな家路につく、そしてあったかいご飯が待っているのだ。 「おなかすいたなぁ…。」 サンドはひとりごとをつぶやいた。何気ないただのひとりごとだ。 グウゥ~。 だが、そのひとりごとにこたえるかのように、誰かのおなかがなった。 「あははっ!み~つけた!」 「あ~ん、なんでなるんだよう!僕のおなか!」 「あははははっ!食いしん坊なんだからじゃない?」 そう言って見つけられたのは、ジグザグマ、 たしかに、くいしんぼうだ。 僕は必死に笑いをこらえる。 フフフッ…。 誰かが思わず笑ってしまったようだ。 「だ~れかなっ!ここだ!」 「あ~あ、見つかっちゃった…、なんでおなか鳴らすのよ! ジグザグマ!」 「そ、そんなこと言われたって~!」 声の主はエネコだった。 よほど悔しいのか、ジグザグマにあたり散らしている。 「も~、このままじゃ悔しいからまた明日もやりましょ?」 「うん、大歓迎だよ、僕は。」 サンドが言う。 「ぼ、僕も!」 ジグザグマも言う、ちょっとおどおどしているが、 内面はしっかりしているのだろう。 「決まりね。」 エネコがまとめた。 どうやらこの中のリーダー役みたいだね。 「じゃあ残りのメンバーも探しましょ?」 「わかった。」 そう言ってサンドは取りかかる。 「あの木が怪しいな~…。」 サンドが目をつけた木は、公園の中でも、一番大きい木だ、 子供ポケモンが隠れるなら絶好の場所だと言える。 しかし、立て札にはこの木に登るなと書かれているのだが…。 「よし!ずつきだっ!」 ドンッ! 「わわわわわっ!あっ!」 ズシャッ! 「はい!ヒコザルみ~つけた!やっぱりここに隠れていたんだね、 気づかないとこだったよ。」 「も~ひどいよ~。サンド…。」 「あははっ!もともと木には登っちゃいけないんだからおあいこさ!」 そう言って今度は噴水のほうにサンドは行った。 なるほど、よく知っているね、子供同士、付き合いが長ければ 自然と性格もわかってくるものなんだ。 僕は少し、子供たちの成長に、感心する。 そして、サンドは噴水にたどり着いた。 「え~と…怪しいのは…。」 じっと水面を見るサンド…。 「ん…、」 そうすると、急にサンドは顔を伸ばし変な顔をして見せた。 「ブハッ!」 サンドの顔に水かがかかる。 「…はい、もうばれたよ、ワニノコ。」 「ケホッケホッ!み…みず飲んだ…!」 「水ポケモンがおぼれたら、情けないよ~?」 意地悪な表情でサンドはワニノコに言った。 「仕方ないだろ…ケホッ!…おまえが…コホッ! 笑わせるから…ゴホッ!ゴホッ!」 「やれやれ、大変だね!ワニノコッ!」 肩をポンッと叩くとまたサンドはメンバーを探しに歩いて行った。 …、大物だな、ありゃあ…、 僕は、サンドのセンスに感心していた。 あれが人気者ってやつなのかもしれない。 あれからサンドは、順調にメンバーを見つけていった。 「さて、後は誰かな?」 あれからさらに2人を見つけたサンド、 最後に残ったのは、後、二匹となった。 「ヒメグマと、ディグダね。」 エネコが言った。少し寒そうだ。 夕日はすでに沈みかけ、街灯がちらほらつき始めていた。 「ん~そろそろ、時間的に危ないな…。」 サンドが言う。 「それならもう呼んじゃいましょ?」 エネコが言った、寒いのか震えている。 「そのほうがいいかもね、夜になると急に冷えてくるから…。」 ヒコザルも言った。 「じゃあ仕方ない、全員見つけられなかったのは残念だけど…。 みんなっ!終わり!出ておいでっ!」 サンドの声が公園内に響いた。よく通る声だ。 もこもこと砂場が膨れ上がった。 「ジャジャ~ン!僕はここに隠れていたのであります!」 ディグダだ。なるほど、砂の山に隠れていたのか、これなら ほとんど違和感がない。 「おまえこんなとこにいたのかぁ…、全然気付かなかったよ…。」 悔しそうにサンドが言った。 「えへッ!明日もまけないよ!」 ディグダは、勝ち誇った表情で、サンドに言う。 「何の、負けないさ!」 お互いにらみ合う、だがそれは嫌悪ではなく、 ライバル同士の熱いにらみ合いだった。 「待って、まだヒメグマがいないわ…。」 エネコが不意に言う、確かにそうだ、さっきからヒメグマの姿がない。 「どうしたんだろう…、何かあったのかな?」 不安そうにジグザグマが言う。 「まさか寝てるってことないよね?」 ワニノコが若干つまらなそうな表情をしていった。 「そ、それはないと思うよ、…さ、寒い…!」 ヒコザルが震えながら言う、唯一の炎タイプなので 寒さには弱いのかもしれない。ただ単に寒がりなだけかもしれないが…。 「…仕方ないわね、みんなで探しましょ?」 エネコが言った。もうすでに日は暮れている…。 「お~い!ヒメグマ~!」 「お~い!ヒメグマ~!」 「なあ、もしかして帰っちまったんじゃあないのか?」 ワニノコが言う。 「あんまり考えられないけど、あるかもしれないね。」 サンドが言った、少し険しい表情になっている。 「ちょっと!君たち!いま何時だと思ってるんだい!?」 「わわっ!」 声の主は、警察官のドーブルだった。 「どうしたんだい?みんな揃って、こんな夜に…。」 「はい、ヒメグマ君がいないんです…。」 エネコが代表で答える。 この子も、だいぶしっかりしている子だ。 「そうか…、」 少しドーブルは考えるような表情をする。 「よし、おじさんが探しておこう、 もちろん他の人も呼ぶ、君たちは、帰りなさい。 夜は冷えるからね、風邪引かないよう気をつけるんだよ?」 そういうと、ドーブルは半ば強引に子供たちを帰した。 「もしもし、こちらドーブルと申します。 ヒメグマ君はお帰りですか?」 どうやらヒメグマの家に電話をかけているらしい、 ドーブルも険しい表情をしている。 「…わかりました、また電話します。」 そういうと、ドーブルは、元来た方向へ走りだした。 どうやら帰っていないみたいだな。 僕は少し、かなしい気分になった。 探しても探しても見つからない。 もうかくれんぼは終わったのに、それを知らずかくれてる。 やがて、みんなからも忘れられても、かくれてる。 「も~いいかい。」 「ま~だだよ。」 「も~いいかい。」 「も~いいよ。」 そう、もう、いいよ。 はやく…見つけてあげて…。 「おにいちゃん…誰?」 「えっ?」 びっくりして振り返る。 「どうしたの?おにいちゃん?」 ヒメグマだ、 「ああ、僕かい?僕は…、」 何をしてるんだろう? 「かく…れんぼかな。」 「そう、わたしもかくれんぼしてるの…でも、 みんな見つけずに…わたしを置いて帰っちゃった。」 何なんだろう、この違和感は…。 街灯はもう、すべてついている。 各家々からは、晩ご飯のいいにおいが漂ってくる。 「もう遅いよ?君は帰らないの?」 僕はヒメグマにたずねる。 「帰れないの、みんなが見つけてくれなきゃ、私、帰れないの…。」 「…。」 僕は黙ってしまった。 「ねぇ、おにいちゃん、私を、見つけてくれないかな?」 その言葉の意味がわからず、少し僕は戸惑う。 「三つ、目をつぶっててそしたら私は隠れるから。」 一つ、 二つ、 三つ、 「あっ…。」 足音も何もしなかった。でも…確かにヒメグマは隠れたらしい。 こうして、不思議な、かくれんぼが始まった。 いつ以来だろう? もう思い出せないほど昔なのかは分からない。 でも、懐かしい、 みんなを探すこのワクワク感…。 子供の頃、全員見つけられなくて、よく泣いてたっけ…。 いまでは、もう、誰がいたのかさえ分からない。 「ここはどうだろう?」 たどり着いたのは砂場、 くまなく探すがいなかった。 「はずれか…。」 よく、だれかが砂場に埋もれて見つかったら、 砂をかけられた思い出がある。 「じゃあ、次は、あそこの茂みを調べてみようかな…。」 僕は足早に向かった。 その途中、噴水が目に入る。 あの噴水も…、みずタイプポケモンの絶好の隠れ場所だったね。 初めのころは、覗き込んでる最中に落っこちて、よく頭をぶつけたっけ…。 「ふぅ、なんだか、本当に懐かしいね。」 今度は茂みを探す、 フェンス越しに家が見える、窓の中で、 家族が楽しく食事しているところがよく見える。 家族…ね。 結局、ここにもヒメグマはいなかった。 「いったいどこにいるんだろう…?」 僕は正直困ってしまった。 あの子供たちのように、もっと相手のことを知ってたら、 わかるのかもしれないけどね…。 あの子供たちの姿が目に浮かぶ…、 やんちゃな子、むじゃきな子、いじっぱりな子…。 みんなそれぞれ性格があって、個性がある。 なかでも、あいつは、特に厄介だったなぁ…。 名前は分からないけど、とってもわんぱくな奴だった。 はいっちゃいけないところにも、よくはいってたっけ…。 よく立ち入り禁止になってる所に入って行って、そのたんびに怒られてた。 そういや、僕もよくそいつについていってたっけ…。 僕の足はある場所に向かっていた。 たどり着いたのは、ヒコザルがいたあの木、 公園のシンボルである。 「…。」 無言で僕は登りだした。 あいつは、かくれんぼになると妙に意地を張っていた。 よく、この木に登っていたよな…。 僕も、よく、便乗させてもらってた思い出がある。 「いない…。」 そんな馬鹿な。 これ以上隠れられる場所はないはずだ。 「ヒメグマ…君はどこに行ったって言うんだい…?」 ふと空を見上げる、すると、夜空がよく見えて、 星が無数に光っていた。 それは、なんともきれいで、小さい頃、 帰る時間を無視して、ずっと、あいつと眺めていたことを思い出す。 「今頃みんな何してるんだろうなぁ…。」 今はもう昔の子供時代、顔も忘れた子供時代。 あの頃の思い出は、妙に僕にとって、あったかく、そして冷たかった。 いったい僕は何をしているのだろう? その答えはまだ見つからない。 「そういえば、よく、ひみつきちとか言ってたよな、あいつ、」 変なものを見つけたりしては、お宝とわめいてたことを思い出す。 「ふふっ…。」 小さな思い出だ、 なんだかんだ言っても、やはりこの公園は、自分にとって 最高の思い出の場所なのだろう、 そして…。 「…っ!」 そう、思い出の場所である。 僕が見つけたのは、この木に出来た穴… うろというのが正しいかもしれない。 それは、かくれんぼの終わりであり、 僕の思い出の終着点…。 「み~つけた。」 やっぱりヒメグマガいた。 「見つかっちゃったか…、ありがとう、おにいちゃん。」 そう、僕は確かにかくれんぼをしてた。 あの日も、かくれんぼをしてた。 「よし、おまえら!俺が鬼になったからには絶対見つけてやるからな!」 あいつが鬼だった。 僕は、あいつに見つからないよう、あの木に隠れたんだ。 あいつは思った通り、この木を探しに来て、僕は、 うまくはっぱ利用しごまかしてた。 すると、あいつは頭突きをして、この木を揺らしたんだ…。 僕のほかにも隠れてたのが仇になった。 僕はこの穴に落ちて、そのまま気を失ったんだ。 気づいた時には、もう日が暮れて、みんな帰ってしまってた。 木の穴は思ったより深くて、僕じゃあとても登れなかった。 どうしようもできないまま、 僕はみんなが見つけてくれるのを待つしかなかったんだ。 ガチャンッ… 何かが落ちる音がした。 僕は振り返る。 すると、ドーブル警察官が立っていた。 「…そっか…あの時から変わっていないんだな…。 パチリス…。」 その場に泣き崩れるドーブル。 大方見当はついた。 「ごめんよ…、ごめんよ…、俺が…、俺がもっと早く気付いてやれたら…。 一番近くにいる俺がわかってやれたら…。」 そっか、やっぱりな、 あいつは…ドーブルだったのだ。 すべて思い出した。 僕は…、 誰かに、見つけてもらいたかったんだ。 そのために、ずっと、この公園にいたんだ。 「ドーブル…。」 僕はドーブルに声をかける。 「ドーブル、見つけに来てくれたんだね。」 そう――― 僕は、死んでるのだ。 そう思いたくないが、事実だ。 僕は誰にも気づかれず、 あの夜、凍え死んだ。 それからずっとさまよっていたんだ、僕は…。 やっと、やっと見つけてもらえた…。 「もういいよ。」 「パチリス…やっと、見つけた…。」 体が軽くなるのを感じる。 あ…僕、このまま成仏するんだ…。 「あの世でも、友達できるかなぁ…。」 僕の視界が光に包まれていく…。 できるさ…きっと。 最後、あいつがそう言ったように聞こえた。 そしてその後、木からは、意識不明のヒメグマと、 パチリスの亡骸が発見された。 幸い、ヒメグマのほうは命に別状がなかったらしい。 一説には、パチリスの魂がヒメグマを守ったのではないかという話があるが それは定かではない…。 「も~いいかい。」 「ま~だだよ。」 「も~いいかい。」 「も~いいよ。」 今、僕は現代世界にいる。 そう、さまよってたあの頃のように。 僕の時間は止まってしまったけど、みんなや、 あいつの時間は止まらずに、今も動いている。 僕は、あの世に行って、この世を見守るいわば 番人になった。 ただし、この世に関することには干渉してはいけない。 それがルールだ。 いまでは、この街を楽しく見ることが、僕の日課となっている。 あっ、あいつだ!今日も、自転車で町内を見回っているな。 あいつも、今は、子供たちを見守りながら仕事をしている。 元気そうで何よりだ。 今では、公園にあった木はもうない、その代わり新たに像ができた。 あの頃を思い出をなくさないように、ドーブル自身がたてたそうだ。 それは、木に集まるポケモンたちを描いた像…。 中心には、パチリスと、ドーブルが手をつないでいる。 「やってくれるね…、あいつも…。」 「やった!ヒメグマみ~つけた!」 元気な声が聞こえてきた。 「あ~ついに見つかっちゃたかぁ…。」 ヒメグマだ、あれから元気に回復したみたいだね。 「それじゃあ今日はこれで終わりにしましょ! 明日もまた、遊びましょうね!」 エネコが元気に言う。 「おう!次は負けないぞ!」 ワニノコも元気に返事をする。 みんな、何もないようだな。いいことだ。 僕は、それを見届けると公園を後にした。 また、明日も子供たちが元気でありますように…。 おしまい #hr とんでもなく最後が駄文になってしまいました。 申し訳ないです…。 ---- 何か、感想、アドバイスとかをいただければ嬉しく思います #pcomment(コメントページかくれんぼ,10,below);