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〜いたちごっこ〜 1 の変更点


*&color(purple){〜いたちごっこ〜 1}; [#u92b1820]
※カフェ名勝手に考えていたので、直しました。

前話 [[〜いたちごっこ〜プロローグ]]


[[スペード]]

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トレジャータウンやギルドを繋ぐ十字の道の端にある小さな穴。地下へ続く階段の奥からは楽しそうな笑い声やジャズ風の音色が聴こえてくる。穴の側には看板が立っており、綺麗な字で「−パッチールのカフェ−〜一攫千金!夢とロマンの店〜」と書かれている。
とある一匹のポケモンが、丁度穴の中へ入っていく…

階段を降りていくと、小さな電球で淡く照された広間に辿り着く。周りは強度十分の木材で固められ、地下とは思えない程しっかりとした造りをしている。
其処らに大小様々なサイズのテーブルがあり、それ等を囲う様に落ち着いたデザインの椅子が置かれていた。
少し奥にはカウンターが2つある。左側にはパッチールを象ったアーチが、右側にはソーナノを象ったアーチがカウンターの上に付いており、各々アーチの通りにカウンターにはパッチールとソーナノがいた。またソーナノの隣には、口周りが赤いソーナンスもいる。
外からも聴こえていたように店内にはジャズの音色が鳴り響き、テーブルを囲んで多くのポケモン達が雑談をしていた。
実に平和的で明るい光景。しかし、全てという訳ではなかった。

楽しそうに会話を交すポケモン達を尻目に、大きなテーブルを一匹で陣取っているポケモン。細く綺麗な足を見せ付けるように組み、頬杖をついている姿は魅力的だが、何者をも寄せ付けないオーラを放っている。その為かそのポケモンの付近には誰1人居らず、よく見れば店は半分だけ混雑しているという妙な光景でもあった。
そのポケモンは暫く店内を眺めていたが、やがてテーブルに置かれたグラスに鋭い鉤爪のある手で掴み、注がれている漆黒の液体を口へ運ぼうと持ち上げた。

「よぉ。」

周りの声よりやけにはっきりとした声に顔を上げると、破顔したザングース立っていた。自分の世界への不法侵入者へと向けられていた瞳は、存在を理解すると同時にその鋭さを失った。

「…久しぶりね」

そのポケモンは微かな笑みをザングースに向けつつ、持っていたグラスをテーブルに置き直した。素っ気ない態度の相手に若干の不満を抱いたのか、ザングースは許可も取らずに黒い美女──マニューラの隣へ腰掛けた。

「随分と軽いな。久々だってのによ。…で、最近はどうなんだ?ゼロの島は進んでんのか?」
「ふん、ぼちぼち儲かってるよ。ゼロの島はまずまずだけどねぇ。ま、今は別のとこをしらべてんだけどさ。」

ぐいぐいと顔を近付けるザングースに対しマニューラは背を向け相変わらず冷めた態度である。ザングースはまだ気にしている様だったが、マニューラの言葉に興味があるのか続けて話しかけた。

「別のとこ?」
「地獄の谷っていうとこ。色々とキツかったりするけど、ゼロの島よりかは楽にお宝が見つかるからね。噂じゃかなりの財宝も眠ってるらしいしねぇ…」

嬉しそうに語るマニューラとは対称的に、ザングースの表情は徐々に暗くなっていく。たいして気にしていないのか、マニューラは沈黙の中辺りを引き立てるジャズに耳を傾けていた。

「…いい加減止めろよ。」
「何を?」
「盗賊なんて…もう止めろよ。」

唐突な発言にマニューラはまたザングースの方へ意識を持っていく。

「お前は強いし、探検の才能だってかなりある。なのによ、それを悪い方向に持ってったら意味ねぇよ。お前だって、本当は解ってるだろ?」

それを聞いたマニューラは微笑し立ち上がる。ザングースの真剣な眼差しを背に受けつつ、呆れたように言い放った。

「ならアンタも解ってるだろ?今更堅気に戻ったところで、あたしには何も無いんだよ。余計な気遣いは止めな。」

そのまま、マニューラはグラスとザングースを残し立ち去ろうとする。カウンターで様子を窺っていたパッチールが、慌てて声を掛けようとしたが、目の前の光景を見て言葉を呑み込んだ。去ろうとしたマニューラの腕をザングースが後ろから強引に掴み、自分とマニューラに見えるよう引き寄せたのだ。
驚いた表情のマニューラに、ザングースはマニューラの目をじっと見上げながら言った。

「何も無いんなら、新しく造ればいいだろ?お前なら何でも出来るって。」
「……」

黙り込むマニューラ。ザングースはお構い無しに視線をマニューラの鋭い鉤爪へ移す。

「この爪。お前は本当にいい爪してるな。…実はな、俺達のチームにはまだ1つ空きが有ってな。今まで色んな奴を見てきたんだが、どれもぱっとしねぇんだよ。でも、お前なら俺達にとってもお前にとってもいい経験になる筈だぜ。よかったら、俺のチームに入れてやっても──」

ばしゃ、という水音に、ザングースの言葉は途切れた。意外と店内に響いたその音は、騒いでいたポケモン達までも引き付けるものだった。
ポケモン達の視界に映ったのは、白い体毛を黒い液体で汚したザングースと、空になったグラスを持ったマニューラの姿だった。

「勘違いするな。あたしは自分からこっちの世界に入ったんだ。堅気に戻る気なんか更々無い。…それに、あたしを仲間にしたいだとか、そんな話は──」

静まり返った店内に、マニューラの声が広がる。マニューラはグラスとポケをテーブルに置くと、地上へ続く階段の方へと歩いていく。階段の前で立ち止まると、状況をよく理解していないザングースを振り返った。

「あたしを捕まえてから言いな。」

──その目は、完全に見下した色をしていた。


「…おい。どーした?」
「なんかあったんスか?ベタベタじゃないスか。」

ぼーっとその場の空間を見つめていたザングースは、買い出しに出ていた仲間のストライクとサンドパンの声にハッとした。

「そういや、今そこでMADのマニューラとすれ違ったんスが、ひょっとして何かa」「何でもねぇよ!」

サンドパンの言葉を遮り、ザングースは二匹に背を向けテーブルに頭を乗せた。そんな様子に、サンドパンは首を傾げていたが、ストライクはなるほどな、という様な表情をしていた。

(あたしを仲間にしたいんなら、あたしを捕まえてから言いな。)

ザングースの頭の中で、マニューラがそう呟き続けてくる。

(畜生…!畜生…!!)

ザングースは歯を食い縛り、目から雫を流しながら誓った。


(必ずお前を…捕まえてやるからな。)


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Q.マニューラがザングースにふっかけた液体は何?

A.黒いグミドリンクです。
…またマニューラですみません。

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