「まだ見つからんのかね!?」 男は怒りに身を任せて研究机を叩いた。その拳は震え、歯は力強く食い縛られている。男の怒号が研究室に響く。後退る男や、震え上がる女。研究室には少しの沈黙が流れる。恐怖で研究員達は言葉を発せない。 その中で一人の男が恐怖に耐えながらも声を出した。 「い……いえ、まだ手がかりは何も……」 恐怖した男の声は小さく、いくつかの所で裏返る。声を発した男は冷や汗を大量に掻いて、言い終わるや否や床に腰が抜ける。周りの研究員達の顔は青ざめたまま変化しない。 「貴様等は……何をやっている!&ruby(・・){アレ};にはどれだけの価値があるか解っているのか!?」 再度、男が研究机に拳を降り下ろす。研究員達には余計に恐怖が募るばかりだ。 研究者らしき男の顔には明らかな焦りと怒りが露になっている。汗の量も尋常ではない。 男はまた研究机へと拳を叩きつけ、 「アレが力を使う時は膨大なエネルギー反応が出る筈だろう!一刻も早くアレの発見と回収を実現させろ!!必ずだ!」 男はそれだけの怒号を研究員達に浴びせると、そそくさと研究室から出て行き、乱暴に扉を閉めていった。刹那、床に崩れ落ちる研究員達。 「兎に角……大至急アレを見つるのよ」 「くそっ、データはまだか!」 そして少し経つと持ち場へ戻る研究員達。どうやら死力を尽くして取り組んではいるものの、目的は果たせていないようだ。未だに床に崩れ落ちたままの者もいたが、その後に仕事に励んでいた。 「回収を急がねば……」 その時、一枚のレポートが床に落ちた。一人の研究員が慌てて拾い、紙を並べて行った。 そのレポートの冒頭に書いてあったのは…… 『Explode Blaze』 爆発する、炎。 「うはぁー、お疲れ様でーす」 少年がベッドに横になったまま口を開き、寝返りを打つ。髪が少し長めのその少年は枕元に置いてある美味しい水を取って飲む。この少年、炭酸飲料が苦手だ。そのためにサイコソーダを買わずにいる。 彼は「ぷはぁーっ!」と叫び、伸びをする。 「お疲れ様でーすって……普通に『疲れた』でいいんじゃないの」 そんなトレーナーの戯&ruby(おど){戯};けた発言に的確なツッコミを入れて溜息を付いたマニューラは、ベッドの傍らにいる。 少年はツッコミに対して少し不機嫌な表情になる。マニューラはそんなことも知らずに爪を磨いている。 「別にいいだろう?面白成分も含まれていることですしおすし」 「バッカみたい、しねばいいのに」 「あふん、辛辣ダイたんー」 少年に罵声を浴びせたのは、ダイと呼ばれているフライゴン。彼女が罵倒するのはいつもの事という訳ではないが、トレーナーもふざけて言っていることぐらいは解っているため、心の底から笑って許している。 彼女は #pcomment(:コメント/焔、始動。) IP:61.124.148.49 TIME:"2014-04-25 (金) 06:40:33" REFERER:"http://pokestory.dip.jp/main/index.php?cmd=edit&page=%3A%E7%B4%85%E8%93%AE%E3%80%81%E5%A7%8B%E5%8B%95%E3%80%82" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (Linux; U; Android 3.2.1; ja-jp; A500 Build/HTK55D) AppleWebKit/534.13 (KHTML, like Gecko) Version/4.0 Safari/534.13"