ポケモン小説wiki
:救世の召喚師 の変更点



キリッ☆



[[南雲>:南十字の裏ページ]]




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……

………

…ぇ……ねぇ………





「ねぇ、君。僕と契約して&ruby(サモナー){召喚師};になってよ」


は?  つーかここどこだ?
見覚えのない真っ暗な空間。俺の前には桜色をした猫のような何かが座っている。なんか見覚えが……

そうだ、エーフィっていうポケモンだったっけ?


「ここは君の夢の中だよ」


エーフィの声が反響して聞こえる。俺の心を読んだ…?
そうか、ここは夢か。それなら一安心だ。起きればまた何気ない日常に戻る。それはこの上ない幸せなのだろうが非日常もいいものだ。たとえば、心を読まれるような今みたいなこれとかな。
覚めるとわかっていながらもこの緊張感は人間の気持ちを昂らせてくれる。


「でも夢だからって君の行動が現実に影響しないかかどうかは保証しかねないよ」

……どういうことだ?
夢が現実に影響って時点で俺は理解できない。夢は夢であり俺の脳みそが勝手に作っている偶像。それはあくまで俺の脳内で起きていることで現実には影響しない。
…強いて言えば寝起きが悪かったり良かったりっていったほどしか影響しないな。


「戸惑ってるね。僕の言ってる言葉の意味が分からない?」

「わかんねーよ。大体&ruby(サモナー){召喚師};って何だよ?」


俺の声もこの空間に反響する。目の前のエーフィはほんの少しだけ口元を釣り上げると言った。

「それは約束上教えられない。ただ、この契約を成立させるのならば、君の願いを一つだけ叶えてあげる」

「願いを……ひとつ?   それと引き換えによくわかんねー&ruby(サモナー){召喚師};とか言うのになるんか?」

「うん、そうだよ。&ruby(サモナー){召喚師};になった君はある使命を帯びてこことは別の世界へと送られる」

なるほど、この夢の原因はきっと寝る前にやったゲームのせいだな。
……でもそれにしては意識がはっきりしすぎている。夢と言われてもそんな感覚は無い。


「さあ、決断の時間だよ」
目の前の猫の嬉しそうな声が響く。それも待ちきれないと言ったところか?
どうせ夢なんだし。ここは乗ってやった方が面白そうだ。


「なかなか面白そうじゃん…。いいよ。&ruby(サモナー){召喚師};ってものになってやるよ!」

「いい返事だね。それで、君の願いは?」

「俺をポケモンにしてくれ」

もちろん本気で言ったわけではなかった。目の前にエーフィがいるのだから、とノリで言ってみたのだった。


「わかった。  じゃあ、若き&ruby(サモナー){召喚師};よ。 異世界に誘われたまえ!」



ほんの遊びのつもりだった。夢の中の出来事に違いないと。ただ眩しい閃光が俺を包んだ後、俺は意識を失った。ああ、これで夢から覚めるのかと思った。


だが、そうはいかなかったのだった。





   ♪  ♪  ♪





気が付いたら俺は肌触りのいい草の上で大の字になって寝ていた。全身で感じる柔らかい草の感触………って俺の服は!?
急いで半身を起こすと妙に目線が低いうえに見慣れない風景。
恐る恐る下を向くと青青青、ときどき黒。短い毛が全身を覆っている。なんだこれ。多分俺の記憶が正しければリオルって言うポケモンのパーツに酷似している……と思う。
辺りはどこまでも続く草原で、俺が今まで知っていた世界では少なくともお目にかかれることは一生のうちないのかもしれないという広大な緑の世界。

本当にポケモンになった。本当に俺の知らない何処かに飛ばされた。
それだけで俺を混乱させるのに十分だった。

「そうだ、あのくそ猫に訊けば……」
「僕、怒ったら怖いよ?」
一瞬ぞわっと全身の毛が逆立った。まさか背後にいただなんて……って、結構大きいな。いや、俺が小さくなったのか?まあいい。

「おい、ここはどこだ?何の世界だ?」
「……さあ?」
「おいっ!無責任にもほどがある!」
俺がどなるとエーフィは涼しげな顔をして答えた。
「僕との契約の内容に『その後のサポート』は含まれていないからね」
「なっ……!」
「まあ、ホントのことを言っちゃうと、それぞれの世界に名前が付いてること自体変だろ?
 この世界もまた無名の世界でここに住む生き物たちはここ以外に世界は無いと思っている。だから名前は無いんだよ」
「へぇ……」
言われてみればそうだ。俺がもといた世界だって名前があったわけじゃない。さっきは混乱しててどなったけど大丈夫かなぁ…。
「ところで、&ruby(サモナー){召喚師};って……なんだ?今の俺、どーなっちゃってるの?」
「ああ、それを教えないとね。ちょっと長くなるよ?聞いてくれる?」
「聞かなきゃわかんねぇ」
「んじゃ、話すよ」


―――まずここの世界のことから話すよ。

ここの世界は君がいた世界とは別の世界。そして、ポケモンの住む世界とリンクしやすい世界なんだ。
互いに繋がっては別れ、干渉しあいながら共存している。でも、問題がないわけじゃない。
数日前、ポケモンの住む世界の神の力が衰えて姿を消した。そこから世界の均衡は崩れ、この世界にポケモンが迷い込むようになった。
世界が急に変わり環境も変化したポケモンたちは混乱し暴れ出すものたちがいた。もとからそういう気質のポケモンもいたのだけれでも非力な人間にとって見ては大きな脅威になりうる存在。
そのポケモンたちを止めるのが君。&ruby(サモナー){召喚師};のお仕事だよ。
異世界のポケモンを&ruby(サモン){召喚};し人々を守り、神の力が取り戻されるまで闘い続けるんだ。わかった?


「へ、へぇ~……。で、他の&ruby(サモナー){召喚師};は?」
「いないよ」
「は!?」
「正確に言うといるけど力が弱すぎる。今の君みたいに」
嫌味を吐きながら鼻で笑いやがった。このくそ猫。
「そして、今の君が&ruby(サモン){召喚};できるのはこの僕だけ。だから、くそ猫だなんて心の中でも呼ばないでほしいんだけど」
「は!? なんでお前だけなんだよ!?」
心を読むのは2回目だし別段驚くこともなかったがこんな嫌味なやつと一緒にいるのか?たまったもんじゃない。
「まあまあ、仕方ないじゃん。 そうだ。呼び出し方を教えるよ。帰る時は勝手に帰るから安心して。カードを宙に掲げて念じるだけ。簡単でしょ?
 カードも同じように手を掲げれば呼び出せるからいらないときはカードも消しちゃった方が便利だよ」
勝手に話を捻じ曲げやがった。コノヤロウ。
俺がいらついたまなざしを向けるとエーフィはどこからともなくカードのようなものを取り出した。それを受け取ると俺は材質を確かめた。
確かに紙のようだが薄すぎる上にそれと全く不釣り合いなほど強い。簡単に言うと折れない、硬い、そんなところだろう。触れれば一瞬で伝わるこの不思議な感じ。やはり特別なカードなのだろう。
そしてそこには神々しいデザインのエーフィが描かれている。目の前のくそ猫とよく似ているからやはりこいつの絵なのだろう。
「僕の名前。つけて」
俺がカードを観察している時に目の前のくそ猫はさらりととんでもないことを言ったのだ。今まで名前がなかったのか…。
なんか捨て猫相手にしているみてぇだ。もう野良猫から取ってノーラ……。なかなかいい名前だな。ちょっと雌っぽいけど。
「よし、ノーラだ」
「まあ野良猫よりは聞こえがいいね。 それより、よく僕の性別がわかったね」
「え…。お前雌……!?」
「うん。そうだよ。  男の&ruby(サモナー){召喚師};には雌のポケモンしか契約者になれないからね」
「なにその俺得仕様」
「だって契約者の力は愛に比例して強くなっていくからね。これからよろしく、カイ」
「ちょっ、ちょっと待て!愛って何だ!愛って!?」
慌てる俺に黒い笑みを満面に広げたノーラが言った。
「君が生きるためにも契約者は愛していかなくちゃだね……♪  あー。楽しみ」
「ちょっとまてぇぇぇぇえええぇぇえぇぇぇっっ!!!!」
慌てている俺を余所にノーラは鼻歌を歌い出す。喚く俺の右手のカードに美しい筆記体でノーラと言う名前が記されていたのだった。


これが俺、&ruby(サモナー){召喚師};カイの誕生の瞬間ってやつだった。





「とりあえず、街を目指そうよ」
ノーラはそう言うと歩きだす。俺は少しあわてながらノーラの横へと追いつくと限りなく広がる草原の中に一つぽつんと見える家の固まっている場所へと歩いて行った。

「なぁ、&ruby(サモナー){召喚師};ってさふつう人間なのか?」
「うん、君はポケモンになりたいっていうお願いを優先したらこんなことになっちゃったけどね」
やっぱり普通は人間がポケモンを呼び出すものなのか。あ~ぁ、もうちょっと別のお願いにすりゃあよかった。彼女欲しいとかリア充になりてぇとか。これじゃあ何の揶揄でもなくリア獣じゃねぇか。
「なぁ、なんで俺なんだ?まさか適当に選んだら俺だったとかじゃないよな……?」
「ふふん。お決まりな設定だけど君が僕ら携帯獣に一番適合するんだ。だから選ばせてもらったんだよ」
早速メタ発言をかましやがったコノヤロウ。お決まりな設定とか言うなよ。読者様が萎えるだろ。
まあそれはともかくとして本当にありきたりだな。俺が読んだ小説にもそんなストーリーの物が数冊あったかのような気がする。でも、それらでは勇者が必ず勝つ。この猫も俺が一番適しているということを言ったということは俺が地球にいた生命体の中で最も勝利に近い存在なのだろう。それならこの勝負、楽しょ……
「甘い考えは捨てて」
急にノーラが鋭い目つきになっていった。
「君はまだ弱い。この僕との関係も弱い。故に僕の力は全く発揮できない状況。
 そういう状況で、あいつに敵うとでも…?」
ノーラが指し示した先には一人の子供と息を荒くしているバッフロン。
「お、おい……あの状況やばいんじゃないの?」
「そうだね」
そうこうしているるうちにバッフロンは子供の方へと突っ込む。子供はあわてて逃げようとするものの、バッフロンのスピードにはかなわず背中から吹き飛ばされ宙高く跳ぶ。
人間が、目の前で飛ばされた。軽く考えていた俺は息をのむ。これには世界がかかっていると言っても過言ではない……。ましてや今、目の前で人が飛ばされた。それだけで足がすくんでるっていうのに……。
「気が付かれる前に、逃げるよ。カイがここで死ねば僕の手間が増える」
「お、おう……」
俺は死という言葉に恐れを抱いた。ノーラが背をかがめて歩いてゆくのに背後からついていくことしかできなかった。


「………ついたな」
「なかなかいいところだね」
街というよりかはどことなく集落と言った様子だ。見たところ電気などは通ってそうにもない。全ての家は木造で本当に自分は少なくとも日本以外の別の場所に飛ばされたのだと認識することができた。
行き交う人々はじろじろと俺達のことを見てくる。そのことにほんの少しだけ居心地の悪さを覚えながらノーラの横を歩いてゆく。俺はノーラに小声で訊く。
「おい、これからどーすんだ?」
「とりあえずは住む場所を確保することからだね。ここの長に話を通しに行こう」
「……大丈夫なのか?」
「平気だよ」
妙に自身のあるノーラの顔。通りすがった人の前にノーラが立ち堂々と……いや、図々しく長の居場所を聞き出していた。
ほどなくして俺達は長の家へと着く。特に警備などもされていないところから財力的には他の庶民と変わらないのか。木のドアノブをノーラの不思議な力でひねり開ける。そこには白い長髭を生やした老人がいた。玄関に置いてあった鉢の手入れをしていたらしくポケモンのいきなりの訪問に少々驚きを見せながらも中へと入れてくれた。
老人は毛皮を張って作られたソファに俺達を腰かけさせるとお茶まで出してくれた。俺はそれを飲みながらノーラと老人の話を聞く。
「ほうほう。つまり、お前さんたちは住む場所が欲しいと……」
「そうです」
「しかし、タダではくれてやれんのぉ……」
「それも分かっています。……これでどうでしょう」
木のテーブルの上にそっと手を置きそれをさっと横へと動かすまるで手品のような動きをしたノーラの手の下には……外から差し込む光を反射して眩い光を放つ金色の金属が置かれていた。
「…こりゃあたまげたぁ…。よし、それだけ上質な金があれば足りるじゃろう。早速、村のもんには伝えておこう」
「はい、ありがとうございます」
そう言って安心したかのようにため息をつくノーラ。俺はそっと耳元で囁いた。
「なぁ……今何やったんだ?」
「……それを知るにはまだ早いよ。カイが一人前の&ruby(サモナー){召喚師};になったら教えてあげるよ。
 いや、自ずと分かるかもね」
そう言うとさっさと長の家を後にし、丁度空いていたいた家へと向かう。
俺は首を傾げながらノーラの後についてゆく……





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僕にコメントして魔h……召喚師になってよ!
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IP:121.117.110.102 TIME:"2011-12-24 (土) 13:23:47" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%3A%E6%95%91%E4%B8%96%E3%81%AE%E5%8F%AC%E5%96%9A%E5%B8%AB" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; Trident/5.0)"

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