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【1】通い妻コジョンド の履歴(No.6)


通い妻コジョンド

たつおか




 この作品には以下の要素が含まれます。


【登場ポケモン】 : 
コジョンド(♀)
【ジャンル】   : 
純愛・通い妻・軽度の流血とSM表現
【カップリング】 : 
人間(♂) ×  コジョンド(♀)
【話のノリ】   : 
ノーマル






目次




第1話・馴れ初め



 俺には身の回りの世話をしてくれる♀のコジョンドが居る。しかもそいつは野生のポケモンだ。
 彼女がこんなずぼらの男やもめの元へ通い出してからもう3年が過ぎようとしていた。

 事の始まりは、彼女がまだコジョフーであった頃にさかのぼる。
 山間の集落で果実園を営む俺はその日、山にて動物用の檻に囚われた彼女を発見した。
 おそらくはイノシシ用の箱罠であったろうが、その中においてコジョフーは身動きが取れなくなっていたのだ。

 そう言えば何年か前に、集落の猟師だったじいさんが死んだことを思い出す。おそらくこの罠は、そのじいさんが健在だった頃に仕掛けてそのままとなっていたものだろう。
 本来ならばコジョフーやコジョンドは膂力に優れたポケモンである。大抵の人間の罠や建築物などはその拳足で十分に破壊可能ではあるのだろうが、この箱罠に限っては違った。

 なにせ狭い箱の中にぎゅう詰めの状態である。
 自慢の拳法を振舞おうにも、斯様に緊縛された状態とあっては蹴りも拳も繰り出せないのだ。
 おまけに俺が発見した時点ですでに数日が経っていたようで、その時のコジョフーは微動だにしなかった。

 俺も発見時には死んでいると思ったほどで、ならば埋葬に際してはせめてそこから出してやろうと罠を外している最中──コジョフーは息を吹き返した。
 それでもその時には既に衰弱の度合いが激しく、彼女はそこから逃げ出すこと叶わずに、ただ為されるがまま俺が罠を解除するのに身をゆだねていた。

 体に力は入らずとも意識はしっかりとしていたようで、文字通り目一杯に瞼を剥いた彼女の表情はこれ以上にない恐怖で引き攣っていたのが印象的だった。
 その後、無事に罠からコジョフーを引き出してやって……俺は思案に暮れた。
 檻から出されても彼女は逃げなかったのだ。
 ただ浅い呼吸を小刻みに繰り返しては、引き出されたままの姿勢で横たわるのみである。

 今日まで飲まず食わずに加え、その数日間をこんな狭い檻の中で身動き取れずに過ごしたことで、その時の彼女は瀕死に近い状態にまで衰弱し切っていた。
 面倒なことになったと思った。

 そもそもが、相互不干渉が山と人との不文律だ。
 取って食う・取って捌くが目的の狩りならまだしも、同情から野生に干渉しようなどは、猟師ではない俺にしたってそれが好ましくないことだと分かる。

 それでも……そんな身勝手な情が優先されてしまうのが人間の悪い所だった。
 妙な仏心を起こした俺は、こともあろうそんな彼女を抱いては家に連れ帰ってしまったのだ。

 既に両親は他界していて一人身でもあったから、家にポケモンを持ち込むことの面倒は無かった。
 そもそもが超のつく高齢化が進んでいるこの集落においては既に若者などは俺だけという有り様である。
 帰りの道すがらも誰に会うことなく帰宅を果たし、俺は拙いながらも彼女に治療を施した。

 とはいえそれも体を拭いてやった後は目に見える傷口に軟膏を塗って布団に寝かせてやる程度のものではあったが──その翌日には彼女はいなくなっていた。
 枕元に置いておいた水と飯もキレイに平らげてあったことから無事に回復が出来たようだ。

 礼のひとつも無い別れとなってしまったことに憤ることもない。むしろ何事も無くに事が済んだことに俺は安堵すらした。
 ……その時までは。

 それ以来、俺の身の回りでは不思議なことが起きるようになった。
 事の始まりはそれから一月ほど経ったある日──仕事から戻ると玄関に柿が三つ置かれていたことに始まる。
 上がり框の真ん中に、ヘタを上にして綺麗に三角形に積まれたそれは明らかに第三者が作為的に置いたものであった。

 最初は隣近所に住むばあさんがおすそ分けをしてくれたものかと思いその礼を述べるも、当人には身に覚えが無いという。
 さらにその日を境に、定期的に俺の家には食べ物が届けられるようになった。
 それは旬のキノコやアケビであったり、はたまた雉が一羽置かれていたこともあった。

 数度目の時に俺の頭に浮かんだものは、子供の頃に読み聞かせてもらったお伽話だ。
 あの話の中では、子ぎつねがイタズラの贖罪として自発的に食べ物を運んでいたが、今回のこれはさしずめ『恩返し』といったところだろう。

 もしそうなのだとしたら、今も何処(いずこ)からこれを受け取る俺の姿を観察でもしているのだろうか?
 今日は玄関に栗が一山置かれているのを確認した俺はその瞬間、急激に身を翻しては背後を顧みた。
 その瞬間──後方少し先の茂みの中から頭を出していたコジョフーと目が合った。

 俺の動きは予想外だったらしく、向こうもまた両肩を跳ね上がらせては一目散に逃げて行った。
 そんな去りゆく彼女の背中に向かって俺は、

「いつもありがとう! この間のキノコ、旨かったよ!」

 一言礼を叫んだ。
 その瞬間、そんな俺の声に反応してコジョフーは身動きを止めたが──それでもしかし振り返ることはなく山の中へと走り去ってしまった。
 

 そうして俺と彼女の目に見えない交流が始まったのだった。
 男やもめの人間の元に通うメスポケモンとの交流の日々が……。




第2話・飯炊き女



 しばししてコジョフーはコジョンドへと進化した。とはいえ進化後も彼女は足しげく俺の家に通っては食べ物を運んでくれた。

 そんなある時、仕事先の職人達から不思議な話が出た。

『最近、集落の中にコジョンドが良く出るよなあ』
『あぁ、うちの母ちゃんなんか味噌汁作ってるところをじっと見られたって言ってたぞ』

 それは彼女と思しきコジョンドが俺の家以外にも出没しているという事実だった。
 とはいえ俺にしてくれるように食べ物を運んでいる訳ではなく、どの目撃情報でも彼女は各家の炊事を熱心に見守っていたそうな。

 皆、『人間の仕草が珍しいんだろう』と笑ったが、なまじ彼女のことを知る俺はそれの意味するところを知りたくて仕方がなかった。
 そしてその答えは、思っていたよりもずっと早く知ることとなる。

 数日後──帰宅した俺は家の中の雰囲気がいつもと違うことに気付く。
 室内の気温が高いというか、そこに漂う匂いが柔らかいことに気付いたのだ。
 明らかにいつもとは違うその雰囲気を訝しみながら家の中に入っていく俺は、居間において絶句した。

 居間のちゃぶ台の上には──飯と味噌汁と、そして切り分けた漬物とが整然と並べられていたからだ。
 茶碗に盛られた飯も椀の汁もまだ湯気が立ち上がっている。つい先ほどまで……俺がこの家に上がり込む瞬間まで、誰かがここにいたのだ。
 そしてこんなお節介をしてくれた者の正体も俺は分かっていた。

 ちらりと背中越しに流し目を向けては、開け放たれた縁側から中庭の様子をさぐる。
 その先の植え込みの一角には──あのコジョンドが興味津々といった表情で、興奮も露わにこちらの様子を見守っていた。

 そう……この食事は、間違いなく彼女が支度をしたものだった。
 俺もそんな彼女の存在などには気づいていない風を装っては席に着き、いざその賄いの相伴にあやかる。
 米はやや硬く、みそ汁はだいぶ辛かった……それでもしかし食えないほどではない。
 俺は豪快に飯を頬張り、そして汁をすすると──

「美味い! こりゃたいしたもんだ!」

 大げさに声を上げてはそう言った。
 そして再び庭のコジョンドを見やるや──そこには口角を大きく開き、あからさまなまでにその喜びを表情に湛えたコジョンドが目一杯に瞳を輝かせてはこちらに見入っている様子が窺えた。……というかもはや、喜びのあまりに互いの目が合っていることすら気付いていない。

 その日を皮切りに、彼女は俺の飯炊きまでしてくれるようになった。
 毎日作ってくれることで彼女の腕前も日々上達していき、時には焼いた魚や野鳥といった料理が食卓にも上がるようになった。
 最初の頃は不慣れなその料理を苦笑い気に喫食していた俺も、回数が増えてもはや常人並みの調理を彼女が出来るようになってからは、毎回の夕餉を仕事帰りに心待ちにすらするようになった。

 そうなってくると俺の彼女への見方も変わってくる。
 ある時ふと仕事中に自宅の前を通り過ぎた際──植え込みから覗き込む家の縁側で、折り目良く座ったコジョンドが俺の洗濯物を畳んでくれている光景に遭遇した。
 丁寧に一枚一枚を畳んでくれているその仕草に、俺は胸掻きむしらんほどの慕情を募らせる。

 もはやこの時、俺は彼女へと恋心に近い感情を抱いていた。
 ポケモンや人という垣根などはそこに存在せず、俺の目にコジョンドは一人の女性として映っていたのだ。

 しかしながら……彼女は単にあの日の恩返しをしているだけであり、なおかつ人間の生活様式をなぞることが楽しいというだけの関係だ。
 そのことは当然分かっている。
 だから俺も半ば一方的な片思いに身を焦がしつつ、それでもそうした想いが生活に与えてくれる潤いや充実感を存分に愉しむのだった。

 しかしながら、そんな俺達の関係をさらに一歩踏み込んだものとする事件が起きた。

 ある時、休日中の俺は縁側で長いこと昼寝をした。
 俺にしてみればいつも通りの休日の過ごし方のひとつではあったが、そんな俺の眠りは思いもよらない出来事によって妨げられることとなる。
 
 眠る横顔をなにや暖かいものが何度も往復してはなぞる感覚に俺は覚醒へと導かれる。
 それでもまだ寝ぼけまなこであった俺はしばし寝転がり続けた状態のままでそれを受けていた。

 一体何事かと思い、うっすらと瞼を開けば──目の前にはあのコジョンドが居た。
 しかも彼女は幾度となく舌を這わせては、俺の顔を舐めていたのだった。
 最初は他愛の無いイタズラや、単にじゃれついているだけかとも思ったが、その奉仕の熱心さは明らかに何らかの感情をそこに込めたものだった。

 顎先から頬までを舐め上げては、その終点で唇を吸い付かせる。
 その後も鼻や額の区別も無く、幾度となく彼女の口先はついばむようなキスを繰り返しては俺の顔を愛撫した。
 そうしてその行為を続けた後、しばしキスの手を止めて俺を見下ろしては──意を決したようその唇は、直に俺の唇へと触れ合わされた。

 その行為に彼女自身も興奮を覚えているのか、依然としてキスを維持したままコジョンドは幾度となく顔の角度を変えて唇同士を擦り合わせる行為に躍起になっていく。
 それを受ける俺もまた、状況を理解してからは徐々に興奮を覚えていった。
 もっと彼女を触れ合いたいと思うや、自然と舌先は伸びて、それを彼女の口中へと侵入させた。

 突然のそれに驚いてはコジョンドも目を剥く。
 それでもしかし、それに対する警戒以上に舌同士の粘膜がこすれ合う滑りにコジョンドは快感を覚えていた。
 そして彼女からもまた舌が下りてくると、俺達の舌は蛇の交尾さながらに絡みあっては互いの唾液の交換を果たしていた。

 それからは夢中になって互いの舌を貪り合った。
 俺の舌が口中に侵入するや、コジョンドは大きく頬を窄めては俺の舌そのものをしゃぶるよう唇で搾り取ったし、また彼女の舌を迎え入れた時には何度も俺はその肉厚の舌を噛みしめては存分に彼女の味を味わった。

 そうして感情が高ぶってくると俺の手は自然とコジョンドの体に触れる。
 下に組み敷かれている俺は、右掌を彼女の胸元へと宛がった。
 そこから徐々に力を入れて手の平を窄めると、そこになだらかなコジョンドの乳房を感じては、さらに掌を押し付ける力を強くした。
 
 強く押さえつけては捏ねるように展開させる手に彼女もまたそこへ自分の手を重ねては、俺の手を強く甲から握った。
 さすがに調子に乗り過ぎた俺を諫める行為かと思いきや、コジョンドは握りしめた俺の手を反対の右乳房へと誘導する。
 この行為を否定するどころか、彼女はさらなる愛撫を俺に求めてきていたのだった。

 依然として激しくキスを交わしながら俺の手はコジョンドの体を這いまわっていく。
 胸を揉みしだき、みぞおちをなぞっては下腹へと至り……そしてついに俺の手は、彼女の股間へと宛がわれた。
 
 それと同時、初めてコジョンドはキスを振り切ると頭を上げた。
 涎の筋が残る口唇を窄めながら強く瞳を閉じるその表情は、明らかに強い刺激に耐えるような顔だ。同時に手の平には生暖かい熱が広がった。

 その感触を確かめるべく僅かに手の平を前後させると、そこには滑りを帯びた液体の感触──宛がっていた指先を曲げ、より深く股間のスリットへと指を潜らせれば、さらに敏感に体を痙攣させてはコジョンドも声を上げる。
 指先から甲へと伝う滑りの正体それは、疑いようも無く彼女の膣からあふれ出る愛液だった。
 同時に、顔を下ろしたコジョンドは、眉元に険を込めては今にも泣き出しそうな表情のまま切なげに俺を見つめる。

 もはや互いの目が合ってしまっても逃げることはない。
 この時俺達は、互いが既に相思相愛であることに気付いてしまったのだ。

 そうして引き寄せられるようにもう一度キスを交わそうとする俺達の間に……──

『おぉーい! ガレン居るかぁーッ!?』

 玄関先からのその声に俺達は揃って肩を跳ね上がらせた。
 声の感じから察するに、どうやら向こう隣のデンじいさんが来訪してきたようであった。
 無視することもできない。狭い集落で昔からの顔なじみともあれば、家族同然に家の中へ上がり込んでくるのがこの村だ。

 事実、玄関廊下がきしむ床鳴りに俺の上のコジョンドはそこから大きく振り返っては縁側の廊下の突き当りを望む。あと数秒後には、玄関から続くその廊下の曲がり角からデンじいさんが顔を覗かせるはずだ。

 組敷かれた下から見上げる彼女の横顔には、眉をひそめては牙を食いしばりと、これ以上になく恨めしそうな表情が窺えた。

 やがてはその横顔が急にこちらへ戻ったかと思うと、彼女は最後の一口とばかりに俺の唇を奪い、しばし唇同士を数度吸いつけ合わせた後──廊下を蹴っては脱兎のごとくに中庭から続く雑木林の中へと走り去っていくのだった。

『おぉ、なんだぁ。寝てたか?』

 そうして想像通りに廊下から現れては縁側の俺に近づいてくるデンじいさんを傍らにしても、俺はその方向を向くことが出来なかった。
 いつまでも俺は彼女の去った庭と山の境界にある植え込みを望みながら……いつになく一人身を切なく感じてしまうのだった。




第3話・舐り合い



 それからしばらくの間、コジョンドは姿を見せなかった。
 さすがにあれは気の迷いだったというか、我が身を振り返るに思うところもあったのだろうと俺も考える。

 それでもしかし、あの瞬間を共にした時の熱はいまだに俺の胸からは冷めやらず、朝に夕に俺は縁側から山の雑木林を望んでは、そこに彼女が居ないのかを確認してしまうのだった。

 そして今日──帰宅して家に入ると、俺は家の中の雰囲気がまた違うこと気付く。
 その瞬間、俺は脱ぎ捨てた靴が何処に飛んだかも意に介せずに玄関に上がり込み、小走りに廊下を辿っては居間に出る。
 そこには食事の用意も無ければコジョンドもいない。
 そして再び廊下を駆けると台所にて──俺は彼女を見つけた。

 キッチンの前に立つコジョンドは、そこから驚いたように俺へと振り向いていた。

「コジョンド………」

 独り言つるようその名を呼んで歩み寄るや、俺は有無も言わさずに彼女を抱きしめた。
 それに対しコジョンドもまた……抱き返しては俺を抱擁してくれる。

 そうして一度身を離し、再びにお互いの顔を確認するや──どちらともなく俺達の唇は触れ合っていた。
 もはや互いの口角を噛み合うかのようなそのキスに触発されて、どんどん俺は熱せられていく。

 あの日の続きとばかりにコジョンドの股座に手を伸ばせば、既にそこからは毛並みを痩せさせるほどに溢れた愛液が俺の指先に熱い感触を伝えていた。
 一頻りキスを交わして俺は彼女の腰元へと跪く。
 そうして鼻先を股座へと近づけさせ、そこに芳しい雌の芳香を嗅ぎつけるや俺は僅かに毛並みを窪ませたクレバスの両端に指を添えては──コジョンドの膣口を目の前に広げてしまうだった。

 真っ赤に充血した膣の眺めは、陰唇の起伏も無ければ膣壁もシワなく張り詰めてはと、今までに誰の手も触れたことのないまっさらな姿を俺の前に展開させていた。

 そんなナイフで切り裂かれた傷口のように鮮明なその間口へと、俺は舌を這わせる。
 舌先が尿道のすぐ下へと触れてそこを穿つと、コジョンドは悲鳴のような声を上げた。

 舌先に伝わってる酸味と塩気……その中に血の味わいもまた入り組んだコジョンドの味に、俺は夢中になっては彼女の膣を貪り舐(ねぶ)った。
 そんな俺からの愛撫にことさらコジョンドは高く戸惑いを含んだ声を上げる。
 野生のポケモンとあっては、自身の膣などは排泄であったって触れることはなかっただろう。そこへ突然に舌を這わせられる感触は、彼女を前後不覚に戸惑わせてしまうには十分だった。

 そして俺の舌先が、引くつく膣口へと侵入した瞬間──おそらくコジョンドは達した。
 喉を反らせ、空に舌を吐き出しては身を震わせると、俺の口中にしたたかに失禁しては果てた。
 俺とてもその全てを受け止める。
 膣全体を唇で覆い尿道を塞ぐや、そこから溢れる彼女の飛沫を全て受け止めては飲み干した。
 
 荒い呼吸のまま、俺の口へ粗相をしてしまったことと……そして俺がそれを全て受け入れたことの一部始終を見届けるや、コジョンドは喉の奥からか細く切なげな声を上げた。
 それを聞いていると何とも頭の奥底がむず痒くなるような感覚に見舞われる。
 おそらくそれはコジョンドによる求愛の鳴き声だ。
 彼女は今、俺を一匹のオスと認めては改めて自分の気持ちを伝えてきてくれていた。

 そしてコジョンドもまた屈みこんでは身を沈めると、俺達は互いに座り込んだ状態で再び目を合わせた。
 台所で二人がこんな姿勢でいることがおかしくなって、期せずして俺達の間には笑いが上がった。

 一頻り笑いあった後は再び深くキスをする。
 つい先ほどの自分の穢れを清めてくれようと、コジョンドは丁寧に俺の顔を舐めては愛撫を施してくれる。
 やがてその舌先は首筋へと降り、鎖骨へ一度甘噛みに牙を立てると、その鼻先は俺の体温と匂いとを確認しながらにシャツの上を辿ってはついに股間の上にまで下りてくる。

 ジーンズ越しに、勃起した俺の股間そこを何度も嗅ぎたてては呼吸を弾ませると、やがては布地越しにそこへと前歯を噛みつかせた。
 顔の角度を変えながら何度も牙を立て、さらに舌を這わせる動きはジーンズの剥ぎ方が分からないというよりはむしろ、あえて自身を焦らせることで今の興奮を強く楽しもうという彼女の意図が見て取れた。

 やがては俺も完全に床に背を付けては寝そべると、そんな彼女を上にしたままベルトに手を掛ける。
 そしてジーンズのホックも解いては下着も露わにすると──その最後の一枚も下ろしては、完全に勃起させたペニスを彼女の眼前に屹立させた。

 目の前にそそり立つペニスの全容に、ただコジョンドは茫然と口を開きそれに見惚れた。
 まだ風呂前もあって、それなりの籠った匂いも立ち上がったはずではあるが、幸いにも彼女はそれを不快な物とは思わなかったようだ。
 むしろ開け放たれた口角からは唾液が玉となって漏れだしては、見つめる瞳孔も狩りをする動物さながらに丸く大きくなった。

 そして一度口を閉じては下あごに溜まった唾液を飲み下し、再び口中を開いては小首をかしげると──鈴口から腺液の滲む亀頭を、彼女は丸々と口の中に咥えてしまうのだった。

 直後くぐもった声を上げては、俺のペニスを咥えたままコジョンドは眉を寄せて目を剥く。
 小刻みに体を震わせるその様子に、さすがに排泄器でもあるペニスの味は馴染めなかったかと思った俺であったが、その反応が示すものは彼女の性的絶頂に他ならなかった。

 口中に満ちる腺液の独自な味わいと汚れたペニスの舌触りとが混然となって、彼女の本能を激しく刺激したようであった。
 しばし亀頭を咥え込んだまま痙攣を続けるコジョンドではあったが、その波が過ぎ去るや──今度は打って変わって素早い動きでペニスの口取りを開始した。

 口の甲に亀頭の背を張り付けさせるように吸い上げては、裏筋に接着する舌もまた激しく左右に動かしてと、まるでこれが初めてとは思えぬテクニックでコジョンドは俺を責め立てていく。
 全ては俺のペニスから滲む分泌液を味わおうとするが故の口の動きではあるのだが、図らずもそれはこれ以上になく効率的に射精を促す動きとなって俺のペニスを苛んでいった。

 最初は亀頭の先までを小手先にしゃぶっていた口唇も、今では喉の奥まで迎え入れる長いストロークに変化しては、俺のペニス全体を根元まで口中に収めてしまうハードフェラへと変容していた。

 その激しすぎる奉仕に、俺もまた絶頂を予期しては身を震わせる。
 そしてそれを告げる間もなく──俺は彼女の口の中にて射精を果たしてしまうのだった。

 ちょうどストロークの浅くなった折りでの射精は、コジョンドの舌上に大量の精液を吐き出す結果となった。
 それでも彼女はそんなペニスを吐き出すこともなく、動きを止めては口中にて溢れてくる熱いそれをゆるりと受け止める。
 時折り頬を窄めては放出を促し、もはや自力ではこれ以上の射出が出来ないほどに出尽くしたことを確認すると……口中の中の精液をこぼさぬよう口先を窄めながらコジョンドは俺のペニスを解放した。

 しばし頬の内側で俺の精液を右に左にと転がしては舌全体で撹拌してその味わいを確かめるコジョンド。
 唯一の呼吸腔である鼻から酸素の供給がされるたびに口中に満ちる精液の香りは脳に運ばれ、それがもたらす興奮に刺激されてはコジョンドも幾度となく浅い絶頂を繰り返す。

 口の中のそれが唾液と共に撹拌され、やがてはそれもするりと飲み下されてしまうと……コジョンドはげっぷともうめきともつかない汚い声を絞り出しては身を震わせる。
 涙の溢れた下瞼を半月のように上ずらせ、赤い舌を長く吐き出しては精飲から来る絶頂の余韻に震えるコジョンドの姿はこれ以上になく浅ましい動物の姿でありながらも、俺の目にはこれ以上にもない妖艶な美女にも映っていた。

 射精を果たした直後だというのに、それでも俺のペニスは再び勃起を果たしては、それに引き起こされるよう俺も寝そべらせていた体を起こす。
 そして未だに放心状態から抜け出せずにいるコジョンドを腕の中に抱き上げると──

「俺の部屋に行こう……もう、今夜は帰さない」

 もはやコジョンドの返事など待つことなく俺は歩み出していた。
 そんな半ば強引に連れ去られる腕の中でコジョンドもまた自我を取り戻すと、そこから俺の顔を見上げる。

 今の彼女にはもはや、俺に対して逃げ出したり怯えたりは無い。
 むしろこんな俺から与えられる全てを受け入れると言わんばかりに──コジョンドは俺の胸元へ横顔を付けては、その身の全てを委ねてくれるのだった。




第4話・交尾



 自室に着き、もどかしさからかつい強くふすまを開けてしまうと俺はコジョンドを片腕で抱きなおした。
 そうして空いた右手で三つ折りに畳んでいた万年床を伸ばすと、その敷布団の上へコジョンドを優しく下ろす。

 おそらくは布団なんて物自体初めてであったろうコジョンドは、そのうえで何度も身を翻しては今横たわる敷布団を顧みる。やがてはうつ伏せになると俺の枕に顔を深く埋めて──それを強く抱きしめては丸くなるのだった。

 俺の匂いが存分に染み込んだそれは、おそらく今のコジョンドには刺激的なものだったのかもしれない。
 その後も枕へ強く頬ずりを繰り返し、尻を高く突き上げては激しく尻尾振る。
 そんなコジョンドの尻に俺が手を置くと──瞬間、強く腰は跳ねその動きも沈静化した。

 それでもしかし、依然として枕に顔を押し付けたままこちらに送られる流し目には『この後』に対する強い期待とが込められている。
 それに応えるべく、俺は依然として突き上げられたままの彼女の尻へと顔を埋める。

 膣の蒸れたメス臭に混じり、肛門の籠った匂いもまたに鼻腔をくすぐった。
 どこか潮の匂いを想起させる発酵臭ではあるが不思議と不快ではない。むしろ嗅ぐほどに癖になっては、俺は幾度となく埋めた鼻先から息を吸い込んだ。

 そんな俺からの仕打ちにコジョンドは枕に顔を埋めては完全にその表情を隠してしまう。……どうやら恥ずかしかったようだ。
 これ以上こんな責め方をしても可哀相だと思い、俺も名残惜し気に彼女のアナルへとキスをしてやると、その舌先を下降させていった。
 その最後のキスで桃の蕾然としたアナルが痙攣しては固く閉じる。……いつかこっちも存分に可愛がってやろうと密かに心も決める。

 下降した舌先は再び膣口へと埋まった。
 そこから舌の根が吊るほどに舌を伸ばしては、彼女の中で存分にそれを暴れさせる。
 粘膜同士の滑らかな感触とそして溢れ出してくる愛液の味わいに我を忘れていると、期せずしてコジョンドは枕から顔を上げては声高く吠えた。
 
 口先を尖らせ、切なげに奏でられるその高音は明らかに絶頂を知らせるものだ。
 リードする身としてはここでインターバルなど取るのであろうが、この時は俺もまた興奮の絶頂にあった。
 もっと貪ろうと、そしてもっとコジョンドに声を上げさせてやろうと、その後も途切れることなく俺の愛撫は続く。

 舌先は一旦抜かれたものの、今度はそこへ人差し指を挿入してはピストンを開始する。
 同時に舌先は新たに尿道を突きえぐり、勢い余ったそれは尿道からずれてはその先のクリトリスを舐め弾く。
 膣と尿道と陰核の同時責めに、牙を食いしばったコジョンドはいよいよ以て低く呻るような声を上げだしては苦し気に身悶える。

 そして人差し指が一際強く挿入され、その奥底で子宮口を掻いた瞬間──コジョンドはまさに断末魔然の苦しみさながらの声を上げるや、一気に脱力しては枕に顔を沈めた。
 同じタイミングで膣口からは激しく潮を噴くのに伴い、脱力してからは失禁もして身を痙攣させ続けた。

 その段になりようやく彼女を開放するや、俺は身を起こしてそんなコジョンドを目下に見下ろす。
 切れ長の瞼に流線型を保ったスレンダーな腰つき……そのくせに尻の肉付きはよく、ポケモンでありながらもその肢体は、これ以上になく『女体』のメリハリをそこに宿していた。

 そんな女(メス)の体を前にして、いよいよ以て俺の男(オス)もまた自制が利かなくなっていた。
 身に着けていた服の全てを脱ぎ捨てては俺も一糸まとわぬ姿になると、溢れた腺液でずぶぬれになったペニスを茎全体に馴染ませるよう激しく右手の中で扱き上げる。
 
 そうして強く握りしめたそれを亀頭に向かって搾り上げ、その血流を存分にそこへ留めては勃起をより頑強にするや──改めて俺はコジョンドの背中へと乗り上げた。

 亀頭の先を、依然として脱力から開いたままとなっている膣口に宛がうと、その熱と滑りを帯びた感触にコジョンドは涙に濡れた半眼を巡らせては背後の様子を探ろうとする。
 そしてそこに、今まさに自分の膣へとペニスが挿入されようとしている光景を見出しては途端に覚醒し、コジョンドは目を見開いて息を飲んだ。

 どんなに無知なポケモンであろうと、メスである以上『交尾』の意味合いは本能から理解している。
 本来の子作りであるその行為を今、同種ではない人間と為そうとしている現実を目の前に、コジョンドは挿入されんとしているペニスから目を離すことが出来なかった。

 そこに感じているものはおそらく強い禁忌感だろう。それでもしかし、そんな感情こそが更なる興奮のスパイスとなっていることは俺もコジョンドも同じだった。

「入れるぞ……交尾、するからな?」

 わざわざ言葉に出して告げてやると、なおさらに彼女の膣口は収縮を繰り返しては、溢れ出させる愛液の量を増した。
 そうして数度、馴染ませるように亀頭の先で膣の間口をなぞった後──ついに俺のペニスは挿入されてしまった。

 それを受けて、コジョンドは長く大きく背を反らせると天を向いた。
 痛みだろうか、それとも快感か? 後背位からの眺めではそんな表情を確認することも叶わないが、むしろこの顔が見えない状況がなおさらに俺を興奮させた。
 悦ばせたいという思いとは裏腹に心の奥底で生じる『苦しませたい』という邪な感情にも突き動かされては、俺もピストンを開始した。
 
 初っ端からある程度の強さと速度で責め立てる……興奮と快感に囚われてしまっている俺は、コジョンドが処女であったことへの気遣いなどは微塵も無い。
 一方でコジョンドもまたそんな俺からの動きに強く反応を示していた。

 喘ぎ声などは一切上げず、短く吠えるような呻き声を漏らすと突き上げるたびに頭を振り乱しては俺からのピストンに耐える。
 体格差からも、規格外のペニスが差し込まれている膣は突き苛むたびに愛液とも失禁ともつかない体液をまき散らせては収縮し俺のペニスを締め上げた。

 既に腰を突き上げている姿勢すらをも維持出来なくなって完全にうつ伏せるもしかし、俺はその上に覆いかぶさってはさらに彼女へと追い打ちをかけていく。
 やがてはその責め苦にコジョンドは声を上げ始めたが、それは痛々しいまでの悲鳴であった。同種でなくとも分かるその悲壮な声に思わず俺も腰の動きを止めては彼女の様子を窺う。

 が、しかしその瞬間──俺のピストンが止まっているのに気付くや、コジョンドは大きくその鎌首を振り返らせては俺を睨んで吼えた。
 その反応に俺も混乱する。

 苦しんでいるから止めたというのに、いま彼女が見せている表情こそ不満をこれまでにもなく現した顔であった。
 まるで『なぜやめるの?』とでも訴えているかのような視線を受けて、再び俺もコジョンドの小さな膣を突き崩す行為を再開した。

 それに伴い──再び彼女は悲鳴を上げる。
 幾度となく枕に打ち付けるよう顔を沈めては上げるを繰り返し、さらには体を支えるべく頭の傍らに突いていた俺の腕に噛みついては牙を立てるなどの暴れようだ。

 そして同時に俺もまた気付く……彼女が、極度のマゾヒストであることを。

 試しに、激しく突き穿つ傍らで彼女の耳に噛みついてみた。
 肉の薄い部分を噛みしめてやるこれは相当に苦痛のはずではあるが──それに対してもコジョンドは声を上げる反面、膣は更なる締め付けを以て俺のペニスを締め上げた。
 その後も自分で前足の一部を噛みしめては悶える様子を見るに、相当な被虐性愛癖を持っていることが窺えた。

 しかしそれに気付くことは同時に俺の心を軽くした。
 ならばもう遠慮はいらないのだと分かったからだ。

 一度ピストンを止め、改めて体位を直すと俺は寝そべるコジョンドの尻に対し自分の腰とが真上に重なるよう調整をする。
 そして次の瞬間──まるで滝からの急落のよう垂直に、俺は今までとは一変した猛烈な勢いでのピストンを開始した。

 突き下ろすに際し、俺は完全にコジョンドを貫通しては亀頭が床の硬さを感じるまでに腰を落とした。
 それにより肉の薄い膣壁と子宮口は、上下のペニスと床の挟撃に潰されては完全にひしゃげる。
 膣から漏れ出す音も粘膜を撹拌するようなものではなく、水分を含んだ物体を押しつぶした際に鳴らされるような弾ける水音が残酷に漏れ出している。

 一方のそれを受けるコジョンドもまた死ぬ物狂いに頭を振り乱しては、手元の長袖然とした毛並みを目一杯に噛みしめる。
 もはや一方的な虐待と快感しか存在しないような交尾が展開される場ではあったがしかし、それでもそこに俺達は互いの歪な愛を感じていた。

 もはや後背位すら維持できなくなり、俺は自分の前面と彼女の背中とを隙間なく着けるようにして結合する。
 その最中さらにコジョンドの首元へ腕を回すと、その肘の内側に彼女の首を絡めとっては残る片腕の内肘でそれを固定し、腕全体を使ってはその首を強く締めあげた。

 その緊縛に威嚇のような呻りを上げては目を剥き、食いしばる口角から泡を吹いて身悶えるコジョンド……同時、苦し紛れに掻きむしられた彼女の両爪は手加減無しに俺の両腕も引き裂いた。

 そんな苦しみの中であってもしかし──この時の俺達は互いの存在を、文字通り痛いくらいに感じずにはいられない。
 
「愛してる……愛してるぞ、コジョンド……ッ!」

 そしてその想いの行きつく果てに俺達は──同時に絶頂を迎えた。
 一際強く腰を押し付けては彼女の尻を平になるまで打ち潰すと、その体内においてもペニスは膣口が歪むほどに子宮口を押し潰してはコジョンドに声すら上げさせずに圧倒する。

 その瞬間、同時に射精も果たされると──完全にコジョンドも失禁をしては、糸の切れた人形のように俺の腕の中で首を垂れるのだった。



第5話・獣のやり方




 とうにコジョンドは力尽き、うつ伏せに枕へ顔を埋めたまま微動だにしなくなっても……俺はそんな彼女に乗り上げては射精を続けた。

 事後の失心後もなお痙攣を続ける膣内は、当人の意識の有無とは別に、俺のペニスを締め上げては最後の一滴まで送精を促してくれた。まさに本能が為せる技だ。
 やがては全てのそれが終わると途端に極度の疲労に襲われては──同様に俺もまた、全体重を小柄な彼女の背に預けては息も荒くに脱力するのであった。

 しばしそうして過ごす内、ようやくに頭の霧も晴れると俺は思い出したよう体を起こした。
 その下では顔を横に向けては涙の筋も残る瞼を腫れぼったく閉じたコジョンドの痛々しい姿が窺えた。

「だ、大丈夫か? ごめん……夢中になっちゃって」

 急いで抱き起すと、腕の中のコジョンドへ必死に声掛けをする。
 しかしながら気絶しているのかそれとも本当に息絶えてしまったのか、首も座らずに脱力し続けるコジョンドは眉ひとつ動かさなかった。

 混乱の極みに達した俺は蘇生法とばかりに口移しの人工呼吸を敢行する。
 そのやり方もデタラメにただ口先同士を合わせては息を吹き込み続ける俺に、やがてはコジョンドも覚醒をした。緊急措置法が功を奏したというよりは、起きるべくに起きたという感じは否めないが。

 俺の手の中で覚醒を果たした彼女は、しばし訳も分からずに周囲を見渡していた。
 しかしやがては俺の存在に気付くと、その腕の中から俺を見上げては驚いたように一瞬だけ両肩を跳ね上がらせる。
 再度俺も声掛けなどしながら安否を窺うと、しばし見つめ合っていたコジョンドの目が柔らかく微笑んだ。

 そして打って変わったようその顔に喜びを満ち溢れさせると、両腕を伸ばしては俺の首に抱き着き、体全身を使っては俺への愛情をこれ以上になく伝えてくれるのだった。
 そんなコジョンドの様子にようやく俺も安堵しては抱き返す。

「それにしても……色々と酷いことしてごめん。つい興奮して……」

 改めてそのことを詫びる俺に首を振るコジョンドではあったが、同時に俺の片腕が血にまみれていることに気付く。
 その様に慌てた様子で傷に舌を這わせてくれる彼女であったが、しばししてこれが自分の爪によるものだとも気付いた。
 
 どうやらこのことも記憶にないらしく、そんな自分過ちを問い質すよう不安げな視線を向けてくるコジョンドに、

「これか? 痛くもかゆくも無いから気にすんな。むしろおあいこでいいじゃないか」

 俺もそう応えては笑ってみせる。
 事実そう思っていた。
 あの瞬間は俺もコジョンドも完全な『獣』と化していた感は否めない。むしろ無事に済んだというのであれば何も言うことは無い。……事実、この傷を差し引いても快感の一時であったことは間違いない訳で。

 それでも気が済まないのか、コジョンドはそんな俺のキズ口を舐め続けてくれた。
 優しく、傷口を広げてしまわぬよう丁寧に舌を這わせては周辺に流れた血糊を舐め取っていくコジョンドではあったが……ある時からその様子に変化が現れた。

 熱心に傷口を舐めるコジョンドの鼻息が妙に荒くなっていた。
 目つきもつい先ほどまでの穏やかな物ではなく、射貫くように眼光を鋭くした交尾中の眼差しが戻りつつある。

 その尋常ならざる様子に嫌な予感を感じていると次の瞬間、突如として彼女の両掌が突き出されるや、それに弾かれて俺は激しく背後にもんどりうつ。
 そうして布団の上、仰向けになりつつ何が起きたものか確認しようとする俺の目には──既に俺の体に乗り上がったコジョンドが、再びペニスへと舌を這わせている姿が確認できた。

 どうやら俺の血を舐めているうちに再燃した性欲へ火がついたらしい。
 そもそもがコジョンドは自身に激しい修行を科すポケモンだ。そんな超のつく武闘派の彼女にとっては、痛みや苦しみといった負荷は強く喜びの本能を昂らせてしまうファクターのひとつであった。

 そんな中で体験した今日のこの交尾である。
 俺の血を味わううちに肉体は先ほどまでの負荷や苦しみを思い出しては再びに、欲情を促してしまったという訳であった。

 やがては存分しゃぶられては俺もまた勃起を果たしてしまうと、今度は騎乗位に彼女が乗り上がる形で俺達は再結合を果たした。

 重力と自重も手伝ってか、その挿入は先程の後背位のものとはまた違った快感を俺とコジョンドの双方に感じさせていた。
 こうなると俺もまた引っ込みがつかなくなる。
 敷かれているその下から両腕を伸ばすと、俺はコジョンドの胸をワシ掴んではその毛並みの中にある乳首も探り出しては強くねじり上げた。

 そのピンポイントの衝撃に、コジョンドは笛の音のような甲高い声を上げる。同時に膣壁もまた狭まっては、その深部でコリコリと痛いほどに亀頭全体を締め上げる。
 さらには俺も陸の魚のように腰を跳ね上げては下から突き上げ、小柄で浅い彼女の子宮口を力強く小突いた。

 それらの刺激に目を剥き、下唇を噛みしめては快感に耐えるコジョンドはその苦し紛れに俺の胸板へ両手を突くと──そこから爪を立てては、その皮膚を掻き破っては左右4本線の疵を俺の胸筋へと刻んでいく。

「ぐッ、うぅ……このぉ、じゃじゃ馬!」

 それを受けてなおも発奮してしまう俺はもしかしたらこのコジョンドとはお似合いなのかもしれない。
 そしてそんな想いはコジョンドもまた抱いていたらしく、期せずして俺達は視線を合わせると……まるで示し合わせたかのよう笑いあってしまった。
 
 そこから俺も両腕を伸ばしては迎え入れるようなジェスチャーを見せれば、彼女ももはや遠慮するそぶりも見せずに俺の腕に飛び込んできては、強く抱き付いてきて唇を重ねた。
 そのまま抱きしめ合い、いつまでも舐り合うキスを続けているとやがて俺も限界を迎え、そのラストスパートをかける。

 強く彼女を抱きしめたまま下から突き上げる腰の動きを速めていくと、腕の中の彼女も投げ出した視線で遠くを見つめたままに自身のエクスタシーにも意識を集中させる。
 そうして俺の肛門も激しい収縮を繰り返し、一際強くそこを締めてはペニスを突き上げた瞬間──本日二度目の膣内射精を俺はコジョンドの中にて果たした。

 そんな馴染みとなりつつある胎内での灼熱感に触発されてはコジョンドもまた絶頂する。
 それに合わせ彼女もまた俺の胸板に縋りつくやいなや、俺の鎖骨の根元に激しく牙を立てては噛みついた。

「あぐぁッ! ッぐぅぅ……!」

 食とは違い性衝動ゆえの行為であるから本能的にその力加減もされてはいるのだろうが、それでの彼女の牙は皮膚を食い破り、筋繊維の一部も引き裂いてはまた俺を流血の憂き目に合わせる。

 そしてその後は……これの繰り返しとなった。

 発散後に我に返り、傷の手当てとばかりに舐めたりさすったりの後戯を施していると発情し交尾に至る──これを夜が明けるまで俺達は繰り返した。

 やがては二人、精魂尽き果てては気絶したように眠った。
 仰向けに寝そべる俺の体には、胸や首を問わず肉体のあちこちにコジョンドの牙や爪にによる咬傷や裂傷が無数と刻まれていた。……本当に無傷でいられたのはペニスぐらいなものだ。


 そしてその当の犯人はというと、すべての性的衝動を発散しては、これ以上にない疲労の余韻と愛情に包まれては──……

 俺の胸板に寄り添って幸せそうに寝息を立てるのであった。

 



エピローグ



 コジョンドが俺の元に通い出してからもう3年が過ぎようとしていた。

 最近では俺が引き留めることもあってか、山に戻るよりも一緒に暮らしている時間の方が多くなった。
 同時、実務的な面においても稼業である果実園の運営だってもう、彼女の手伝い無くしては成り立たぬほどだ。

 斯様にして生活を共にするコジョンドは自然、他の集落の人間からも認知され始めるようになった。……というかずいぶんと前からもう、俺達の関係はバレていたようだったが。
 いつだったかコジョンドも含めた皆での一服中にその話題が上がり、

『あんなに二人して大声出してりゃあなあ』

 と──そのことで大いに盛り上がる中、俺達は顔から火が出る思いで俯いてしまったものだ。
 しかしながらともあれ幸せだ。何も言うことは無い。
 ……いや、実はどうしても『言いたこと』がただ一つ有るには有るのだが。



 夕刻も迫り、俺は作業の終了を告げる。
 その声を聞きつけてコジョンドも戻ってくると、肩掛けのタオルで自身の汗をぬぐった後、俺の額の汗にも気付いてはそれで拭ってくれる。
 そんなコジョンドからの愛情を受けながら、周囲に俺達以外は誰もいないことを確認すると俺も覚悟を決める。
 そして彼女の名を呼び、改めて俺へと向き直らせると──

「結婚、してくれないか?」

 自分でもあっけないほどに飾り気なくそう言った。
 しかしながらこの瞬間に辿り着くまでの過程や心の葛藤はけっして単純なものではない。
 いま告げた一言だって考えに考え、そして覚悟に覚悟を決めて絞り出した一言だったのだ。

 そんなプロポーズを受けた当のコジョンドはと言えば、胸の前でタオルを弄んだままの姿勢で固まっていた。
 キョトンとこちらを見つめる瞳はあどけなく瞬きを繰り返すばかりで、はたして俺の意図が伝わったものかどうか分からなかった。

 しかし、その答えはすぐに分かることとなる。
 見つめるコジョンドの口角が僅かに上がっては、笑顔ともただ口を開けているだけとも分からない表情になる。
 次いで見る間に鼻頭が赤く染まっては上気していき、切れ長の瞼も見開かれては明らかにそこへ感情らしきものが現れた次の瞬間──

「うおッ──!?」

 俺は急激なタックルを腹に受けては背中からもんどりうった。
 何事かと思い身を起こすと、目の前には倒れた俺に乗り上がる形で身を寄せるコジョンドが見えた。どうやら激しく抱きつかれたらしい。

 彼女は『結婚』──しいては『夫婦』というものの在り方を、俺が思う以上に理解してくれていた。
 後になって知ったことではあるが、コジョンドが俺のパートナーとして集落に暮らし始めた頃から、そこのおばちゃん連中に『若奥様』として様々な情報を仕込まれたようであった。

 俺も気付かぬうちにコジョンドは自身を妻と決め、そして俺のことは夫と見定めては仮初めの夫婦生活を生活の中で楽しんでいたらしい。
 とはいえあくまで自分の胸の内にのみ秘めた想いであったそれが今日──改めて俺のプロポーズによって本物の『夫婦』となれた。……そのことに感極まってのタックルであったのだ。

 俺に抱き着いてからは幾度となく切なげに喉を鳴らし頬ずりをしてくる彼女──ポケモン語は理解できぬまでも、その時の俺にはコジョンドが何を継げているのかハッキリと分かるのだった。

『いい奥さんになるからね』──頑張り屋のコジョンドはそんなことを告げてくれていたのだ。

 そのけっして人間には無い純情でいじらしい仕草に、俺の中のコジョンドへの想いはより一層に強く募る。
 そしてそんな想いは──最悪の形で体に現れてしまった。

 依然として頬ずりをしていた彼女の動きがピタリと止まる。
 そうして止まった姿勢のまま、瞳だけが問い訊ねるように俺を見上げた。
 それを受け、思わず気まずくなっては視線をずらしてしまう俺。
 コジョンドが乗り上がるその下で……恥ずかしながら俺は勃起していた。

 コジョンドへの純粋な好意、プロポーズの達成感、仕事後の疲労、抱き着かれる彼女の体温とほのかに香る芳しい体臭……それらに刺激された体はすなわち性へと直結してしまったのだった。

 そしてそれに対し、俺が場を取り繕うと言葉を発するよりも先に──コジョンドは足元へと体をスライドさせ、慣れた手つきで作業着のジッパーから俺のペニスを取り出してしまうのだった。

 そうしてペニスごしに俺へ流し目を送ると、その茎へキスをするような仕草で妖艶に笑う。
 そんな視線に中てられて、ただぎこちない笑顔を返した俺と改めて目が合ったその瞬間──窄めていた口先を一変して大きく開くや、歯茎も剥き出しにコジョンドはペニスに牙を立てる。

 その刺激と快感に頭を仰け反らせては声を押し殺す俺──きっと今日のプロポーズを思い出すたびに、俺達はこのこともまた思い出しては気まずくなるのだろう……そんなそう遠くない未来をつい想像してしまう。

 そしてその時にはきっとまた、辛抱たまらなくなって激しく愛し合ってしまうのだろうこともまた分かって、俺達は笑わずにはいられなかった。

 それでもしかし……──

「愛してるぞ……お前」

 俺もまたそう声掛けしては彼女に応える。


 あの日、一人のコジョフーを助けてから3年──紆余曲折を経て、ようやくに俺達は夫婦(ひとつ)になれたのだった。








【 通い妻コジョンド・完 】


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