さかなさかなの作者ページへようこそ。
少しずつ作品も増えてきました。
作品リスト†
あとがきにはネタバレや制作裏話が含まれますので、もし読まれるなら本文読了後、余韻を楽しまれてからをおすすめします。
Re:initiation(3.3万字;エースバーン×リオル、ルカリオ、バンギラス;官能あり)†
どうして僕は進化できないんだ?
あとがき
長めのお話でしたが、楽しんでいただけたでしょうか。『好き』という安直な言葉を口にしなくても伝わる関係性、少年漫画っぽい恋愛を書いてみたかったのです。少年漫画と言うにはなんかエグい官能シーンがあるような気がしますがそれはそれ。
初めてまともにストーリーのある物語に挑戦した作品だったので、書き上げるまでにはかなりの紆余曲折がありました。具体的にはボツにした稿が二つあります。
没稿のうち、一つ目は半分くらい書いて投げたのですが、二つ目はほぼ完成していました。エースバーンにリオルが弟子入りして友情(と、それ以上の感情)を育むことで進化するという大筋は一緒でしたが、一万文字くらいの小ぶりな作品になっていて少しパンチが弱い。せっかくだからもう少しドラマが欲しいなあと思い、村でリオルが進化できなかったいきさつをより詳細に描いてみることにしたわけです。
村から逃げ出したルゥは、欠陥品の自分に足りない何かを必死に求めていました。エースバーンに弟子入りしたときも、バトルの技術を伝授してもらうことで進化できるんじゃないかと藁をも掴む思いだったのでしょう。
ですがポケモンファンの皆さんならご存じの通り、リオルの進化条件は能力でも石でもありません。そもそも他人から得られる何かですらありません。
『十分なついた状態で朝にレベルアップ』──最後の鍵はずっと彼自身の中にあったのです。
ルカリオに進化したルゥは、エースバーンとも対等に戦えるようになるでしょう。師匠と弟子というこれまでの関係は終わりを迎えるわけですが、それはきっと、彼らの新たな関係の始まりでもあるんじゃないでしょうか。そうなったらいいなあ。
あたしにできるのは未来予知さ。
あとがき
この作品は『あなたの人生の物語』と『あのときの王子くん』という二作品へのオマージュです。
ケモナーである作者は当然フォッコ族が大好きなので、彼らを主役に立てた物語を書きたいと前々から思っていました。しかし、未来を予知するカロスの狐、という彼らの設定から想像を膨らませていると、どうしても作者の愛するこの二つの作品が脳裏にちらつくわけです。いっそのこと、がっつり設定などをお借りしてパスティーシュ風味に仕上げてみようという考えに至って、本作のアイデアが浮かんできました。
一つ目に挙げた『あなたの人生の物語』は、寡作ですが粒ぞろいな作品で知られる短編SF小説家テッド・チャンの作品です。異星人とのファースト・コンタクトを任された言語学者が、これから産まれてくる自分の娘に語りかける、切ない愛の物語。実際に読まないと分からないある工夫がなされている技巧的な小説でもあり、SF界隈で評価が高いのも頷けます。
二つ目の『あのときの王子くん』は、サン=テクジュペリの代表作です。砂漠に不時着したパイロットの主人公が、小惑星からやってきた不思議な王子と出会う童話です。内藤濯による『星の王子さま』の題でよく知られていますが、大久保ゆうによる素朴な言葉で書かれたこちらのバージョンもおすすめです。青空文庫で読めますし。
最後に、時間SFものに興味が湧いたという方(もしいたら)のために、読みやすい短編作品を二つほど推薦しておこうかと思います。『あなたの人生の物語』も良い作品なのですが、やや読みにくい上級者向けなので。
『商人と錬金術師の門』:これもテッド・チャンによる作品です。『息吹』という短編集に所収。アラビアンナイト風の世界で時間を行き来する話ですが、難しい科学の話は出てきません。タイムトラベルもの初心者でも読みやすいように構成が工夫されていて、初めてのSFとして特におすすめ。
『百光年ダイアリー』:グレッグ・イーガンによる作品です。『祈りの海』という短編集に所収。百年先まで未来予知できるテクノロジーが発達した世界の話。少しだけ難しい科学の話が出てきますが、くすりと笑えるブラックなネタの数々とオチが秀逸です。
本作はこれらにも少しだけ影響を受けました。いずれも、ほんとうに正しく未来予知をしたならば、その未来は知っていたとしても変えることができないはずであるという価値観が共通しています。変えられない運命に直面した登場人物たちの心模様が胸を打つ時間SFの魅力を、本作でも感じてもらえたら嬉しいです。
苦難を乗り越えて、星を目指そう。
あとがき・感想返し
わくせい かいはつが できるよう ポリゴンを バージョンアップしたが まだ そらも とべない。
──ポリゴン2の図鑑説明文
初めての大会だったので張り切りました。作者の方はみんな投票すると思われるので、おおよそ全作品に目を通すはず。つまり……布教するチャンス! なんて思惑で、自分のSF趣味を詰めに詰め込みました。
詰め込みすぎたせいで展開がやや駆け足になったうえ、基本ファンタジーのポケモン世界で放射線障害とかロボット三原則を持ち出したのはさすがにそぐわなかった気もします。趣味の合う方々に刺さって何票かもらえれば御の字と思っていたら、まさかの優勝でびっくりしました。とっても嬉しいです。
お気づきになった方もいたかもしれませんが、本作はてるてるさんの片道ロケットにインスピレーションを受けて書きました。ただの模倣に堕してしまわないよう、引っ張られないよう意識した結果、むしろ対照的な物語になったような気もするので、読み比べてみると面白いかもしれません。ポケモン×SFの可能性とポリゴンの魅力を示してくれたこの作品とてるてるさんに、この場からではありますが心からの感謝を。
大会で頂いた感想にお返事させて頂きます。
最後のは卑怯!!!(褒め言葉
思わず「ほぉ~そう来たか…」と唸ってしまいました。無論、それまでの展開がそつなく描かれていたこそのラストの「映え」だと思います。文句なしに一票。 (2022/07/05(火) 22:53)
こういうラスト大好きなので、卑怯とは分かっていますがついやってしまいました()
伝わるかやや不安でしたが、他の方の感想でもたくさん言及頂いてるみたいなので一安心です。
2010年宇宙の旅やインターステラーを思わせる話でした。
最終的にとった選択がポケダン世界につながるのが面白いオチでした。 (2022/07/06(水) 20:57)
恥ずかしながら2010年宇宙の旅は読んだことがないのですが(今度読んでみます)、インターステラーは書いてる途中にも何度も頭をよぎったくらい印象深い作品です。愛の力で時空を越えるというテーマには共通するところがありますね。
遙かな宇宙と時を超えた壮大なラブロマンス。まさかのオチにもビックリしました。 (2022/07/09(土) 07:36)
おっしゃるとおり、二人の間には種族なんて関係ない深い愛情があったのだと思います。オチにも驚いてくれて嬉しいです。
某シンの特撮作品や某「はいだら」と叫びたくなるロボットものの要素も取り入れた本格SFとお見受けし読み進めていたので、まさか最後にポケダン展開になるとは予想もしていなかったです。ナイスライティング。 (2022/07/09(土) 08:29)
ラストギリギリまでSF描写をくどいほど入れたのは自分の趣味「ポケモンだけの世界に主人公が訪れることになる」というオチが意味するところから意識を逸らすためでした。うまくいっていたら嬉しいです。
ポケモンしかいないのに人間みたいな風習や技術を持つ世界。ポケダンや創作の世界ができたキッカケを垣間見たようでした。諦めない努力が徐々に実っていく様がとても見事でした! (2022/07/09(土) 20:33)
ポケモンだけが暮らしてる世界、良いですよね……。本編世界との関係はいろいろ考えられますが、同じ世界の別の星というのもありなんじゃないかというお話でした。
非合理的な夢想家であるが故に、どんな絶望的な状況でも諦めず努力を続けられるというしぶとさが、自分がこの主人公を一番好きなところです。その魅力が伝わっていたら嬉しいです。
新訳ポケモン不思議のダンジョンだなあと思いました。一つ一つの描写が緻密で、とても面白かったです。 (2022/07/09(土) 21:41)
ポケモン世界の終末ものと見せかけてポケダン世界の長い長いプロローグだったというどんでん返しでした。個人的には「(上の方も指摘されていますが)人間が一人も出てこないのに、人間という存在やその文化だけは伝わっている」ことや「主人公の姿が性格によって決まる」ことを説明できる点が気に入っています。
純粋にこうしたSF描写が書けるのは羨ましいです。そういう巧さだけに限らず、ラストへの接続の仕方にも膝を打ちました。 (2022/07/09(土) 22:00)
オチに説得力を持たせるためには科学描写を欠くことができなかったので、わくわくするような技術を虚実織り交ぜて描くのを頑張りました。
ロボット愛の強さからポケダンOPに繋がるフィニッシュはいい変化球でした。 (2022/07/09(土) 22:17)
お察しの通り、ロボット・AIもの大好きです。けなげなエイダかわいい……かわいくない?
遠く彼方の世界のどこかで、「彼女」と再会できる日を願って。 (2022/07/09(土) 22:42)
主人公が与えた希望を胸に、きっと彼女は待っているはずです。主人公の新たな冒険の果ての再会を、読者のみなさんにも願って頂けるなら、作者としてこれ以上の幸せはありません。
感想・投票頂き本当にありがとうございました。どれも、とてもとても励みになりました。
以下、雑多な裏話・元ネタ。
- 小型の探査機を光圧で押して深宇宙に送り込むというアイデアは実在します。ブレークスルー・スターショットという計画で、nanocraftという軽量宇宙船を4光年先のアルファ・ケンタウリに送ります。技術的課題は山積みで今のところ実現からはほど遠いですが、夢がありますね。
- 執筆当時は知らなかったのですが、野田篤司による恒星間 鮭の卵計画はnanocraftのかなり前に提案されており、発想も極めて似ているので触れておくべきでしょう。宇宙放射線などによる故障も考慮し、100万個の小型探査機を送り込むという大胆な計画。加速のための方法として、レーザーを用いた光圧推進についても詳細な検討がなされています。
- このアイデアを元に書かれた「沈黙のフライバイ」(野尻抱介)もおすすめ。野田篤司をモデルにした登場人物が「鮭の卵計画」を実現できないかと議論していると、思わぬところから届いたとある〝メッセージ〟で実現可能であることがわかってしまって……?
ガチガチのハードSFですが、短編なので読みやすいと思いますし、ほかの収録作品も科学への夢を感じさせてくれるものばかりです。
- 宇宙船を減速させるアイデアについても同様に既存のものです。マグネティックセイルというそうです。
- なお、これらのアイデアは、文字数の制約もあり、物語に合わせてかなり改変しています。できる限り現実の物理法則に即した展開になるように努力しましたが、科学的にあり得ない描写が作中にあったら、それは作者の力不足によるものです。
- タイトル「ライフゲーム」は、1970年に考案された数理モデルの名前を拝借しました。この数理モデルにおいて、障害物がない限り移動を続ける物体を「宇宙船」と呼び、宇宙船の中で最小のものを「グライダー」と呼びます。
元気なこおりとクールなでんきのボーイミーツガール。
あとがき・感想返し
自分のSVプレイ記みたいな小説です。登場人物たちの性格設定や経歴は、バイオレットでの旅パを元にしています。
例えば、主人公のモデルは序盤に出会った色違いのコリンクです。抜群のとれないクワッスで苦労しながら捕まえました。大切にかわいがってレントラーに育てあげ、ワタッコやソウブレイズともどもパーティーの主役として活躍してもらいました。「おくびょうな性格」ですが「ちょっぴり いじっぱり」だそうなので、過去を隠して姉御肌を演じているキャラにしてみました。
終盤、弱点を補完できるようにこおりタイプをパーティーにいれようと思い捕まえたのがグレイシアです。最初はレベルが低かったので、不思議なアメとかオージャの湖での特訓で強くなってもらっていたら、気づいたらパーティーで一番レベルが高くなっていました。「なまいきな性格」で「気が強い」とくれば、自信過剰でかっこつけてる男の子にするっきゃない。
ポケモン本編やるのけっこう久々だったのですが、今回深く描けなかった子も含め、旅パの手持ちみんなに強い思い入れが生まれました。ピクニックではじめて見つけた卵をドキドキしながら育て、元気なコリンクが生まれてきたときの喜びといったら! ポケモンってやっぱいいゲームだなあと心から思いました。そんな気持ちから膨らませて書いたので、自分にしては毒の少ない話になったと思います。三位タイ、とってもうれしいです。
追記:いいえ藤井さんに誕生日のお祝いで主人公二人を描いていただきました! 作者ページの最上部にどどんと貼りたいのはやまやまなのですが、ケイトが色違いというのが分かってしまうので本編ページの末尾に置かせていただいています……無念。こうしてイラストにしていただくと、ウルスとケイトの体格が倍以上あることがよくわかって大変興奮できますね。この体格差を頭にイメージしていただけると、本編でケイトがのしかかる官能描写のすけべさもひとしおなのではないでしょうか。
大会でいただいた感想にお返事させていただきます。投票・感想いただきありがとうございました。
丁寧な描写に惹かれ、何度も読ませていただきました。 (2023/01/01(日) 17:03)
何度も読んでいただいた……⁉ とてもうれしいです、ありがとうございます‼
バトルで仲を深めていき交わりに発展する、というオーソドックスなポケモンの官能作品であるがゆえに感じ入りやすかったです。 (2023/01/10(火) 23:44)
バトルのライバル・師弟からそういう関係になるのほんとエチチですよね……。自分も大好物です。
師弟ものの葛藤からくるお互いを探り合うような、もどかしいながらも着実に進んでいたふたりの関係。これ以上進んでしまったらもう戻れない……、というもどかしさはやはり読んでいて楽しいもの。濡れ場、後半に受け攻めが逆転する展開も良かったですし、何より擬音の表現がピカイチでしたよね。『ったん、腰を打ち付けられただけで〜』とか、『にやり、ウルスが笑うと〜』とか、『と』抜きで擬音擬態語を書いてくれるだけで臨場感2割増しですけべになるの、自分もやるので激しく分かります。なんなんでしょうね不思議……。最後タマゴができることを確信したり、体の内部描写が豊富だったり、くどくない♡喘ぎも使われていたりして官能表現が率直にツボでした。 (2023/01/13(金) 23:22)
特濃感想ありがとうございます‼ すけべ描写は個人的に羞恥心との戦いなので、これからも恥ずかしさに負けずに頑張っていきたい所存です。wikiでは♡喘ぎはあまり見ませんが、用法用量に気をつけて使えば大変エッチだと思うのです。皆さんもどうですか。
王道の良さを感じる作品でした。自分のコンプレックスを受け入れてもらえるって、とっても嬉しいことですね。 (2023/01/14(土) 15:26)
生まれる確率を考えると、色違いはポケモンたちの間ではマイノリティとして排斥されたりするかもなあ、と思って書いてみた話です。過去のトラウマを癒やして乗り越える話は、王道ですが自分も大好きです。
良かったです (2023/01/14(土) 23:14)
ありがとうございます!
外の世界へ行きたい。
あとがき・感想返し(ポケモンSVのネタバレがあります)
バイオレットを遊んだ後からずっともう一つの参加作品をマイペースに書いていたので、今回は官能部門にしか参加できないだろうな~と思ってました。一方で、未来パラドックス組たちの生命感のない異形を見たときから、こんなポケモンが公式から出るのかと驚くとともに、その出自について妄想が膨らんでいました。
そこで大会に間に合わなくとも何か書いてみようと手をつけてはみたのですが、なかなか話を膨らませられませんでした。しかし、エントリー締め切りの一時間くらい前、養殖コオロギで作った加工食品の記事を見ていたときに、マメバッタたちを主役にしたこのお話を思いついたのです。災害自体によって災害を語らせる、という突飛なアイデアはなかなか気に入り、あれよあれよといううちにあらかたプロットができあがったので、迷いましたが滑り込みでエントリーすることにしました。
書いている側としてはとても楽しく、自分史上ダントツの速さで書き終えました。しかし、前回大会のライフゲームよりもさらに人を選ぶ(wikiらしくない)話になってしまったなあと思っていたので、準優勝タイは本当に光栄です。wiki勢のみなさんの度量の広さに助けられました。
それにしてもSVのストーリー、本当に良かったですよねえ。友情・青春ものとしても素晴らしいし、何より個人的にはエリアゼロ・博士関係の設定がすっごくSFしてたのが嬉しかった。例えば、「タイムマシンでは大質量を持ってこれない」ことが作中で語られていたので、博士はボールだけ送って未来で捕まえ、そしてそのボールを再び現代に持ってきたのだと思われます。博士AIのパラドックス組が全員マスターボールが使われているという作中の描写は、おそらくここまで考えてのものなんですよ。すごくないですか?(ここまで一息)
そんなSV最終章「ザ・ホームウェイ」にオマージュを込めて、本作の終盤はその辺の展開に少し絡めてみました。SV本編を遊んでなくても読める作品にはしたつもりですが、遊んでいるとより楽しめたのではないでしょうか。この物語、すなわちカサンドラの手記の内容はでたらめだと作中では断じられていますが、未来から過去にテツノワダチが飛んでいけたのだから、もしかしたら……?
大会でいただいた感想にお返事させていただきます。
ポケモン小説というジャンルに無限の可能性を感じさせてくれる作品でした。 (2023/01/01(日) 17:15)
王道を書きたいと思いながらもつい変なものを書いてしまっては怒られないかとビクビクしているので、こういった感想をいただけるのはうれしい限りです。
閉じ込められていたマメバッタたちの一生懸命さが、なんとも哀れで愛らしく、エクスレッグの足が折れても穴を掘り進めた姿を読んだ時にはもう投票を決めていました。SFのアイデアとしても素晴らしく、個性的なパルデア解釈を楽しく読ませてもらえました。結末についてもカサンドラという名前で比較的納得がいくので、読後感もすっきりしています。 (2023/01/01(日) 19:32)
自分も書いてるうちにあのけなげなエクスレッグが大好きになり、心理描写に筆が乗りました。養殖場脱出までと後とではだいぶ毛色が違いますが、どちらも楽しんでいただけたようでよかったです。カサンドラという名前など、バイオレットのストーリーを下敷きにした小ネタをいくつか入れてみましたが、気づいていただけてうれしいです。
神話のような未来の物語。最初は訳も分からず読んでいましたが、どんどん引き込まれるような物語の展開が面白かったです。 (2023/01/14(土) 15:29)
読み進めるたびに少しずつ理解できる訳のわからなさを目指しました。最後まで引き込まれていただき嬉しいです。
生態を描いた物語として興味深い作品でした。そして物語の視点が「集合意識」というのも面白いです。実際にこういうことがあるんじゃあないかと思わされました。 (2023/01/14(土) 17:27)
自分の好きなSF作家曰く、SFの本質は馬鹿馬鹿しいアイデアを大真面目に考え、不可能を可能にしてしまうところにあるといいます。それに少しでも近づけていたらうれしいです。
未来パラドックス種への考察が、何かと重量のある文体と相まって独特の雰囲気を感じさせられました。 (2023/01/14(土) 22:03)
彼らが普通の進化で生まれる気がしなかったので、そこに頑張って説明をつけてみる試みでした。ハドロンエンジンなんていう格好よすぎる特性をあの最高の演出で見せられては、SFオタクとして絶対に二次創作を書こうと思いましたね。
投票・感想いただきありがとうございました!
以下、元ネタなど。
- マメバッタ関連の設定は、養殖コオロギのほかには蝗害を起こすサバクトビバッタの生態から拾っています。例えば、マメバッタが密集した環境で育つと足が弱くなって羽が生えるというのはバッタの相変異を元ネタにした嘘設定です。リージョンフォームってけっこういることがSVでわかってきたし、これくらいならいいかなって……。
- 語り手の設定に関して影響を受けた作品として、萩原朔太郎「死なない蛸」、伊藤計劃「人という物語」、テッド・チャン「息吹」「大いなる沈黙」(どちらも短編集「息吹」に所収)があります。どれもとても面白いので、気になった方はぜひ。
太陽に食べられる。
あとがき・感想返し
地球・月・太陽がこの順番で一直線に並んだとき、太陽が月に隠れて見えなくなります。いわゆる「日食」ですが、この現象のことを「掩蔽」とも呼ぶんだそうです。知ってましたか? ぼくは作品のアイデアが思いつかず必死で調べてたときに知りました。
月といえばブラッキー、太陽といえばエーフィ。というわけで「掩蔽/日食」をテーマにして、ブラッキーとエーフィが組んずほぐれつする作品を書いてみようと思い立ちます。ちょうどポケモンユナイトでブラッキーが実装されるので、舞台はエオス島に。エーフィとブラッキーでおそろいのホロウェア着させたら、可愛いし「掩蔽」というネタにも絡ませられるな……なんて発想でエントリーしていました。
ところがここである事件が起きます。
みなさんご存じのとおり、イーブイは尻尾の模様でオスメスがわかるようになっています。ポケモンユナイトにおけるブイズの性別もこの判別法でわかっていて、エーフィ・グレイシアがメス、ニンフィアがオスで、新規実装のブラッキーもオスでした。しかし、ブラッキーが実装された翌日(締め切り前日)のこと、驚くべき報告をTwitterで目にしたのです。
「チェックスタイルを着ると、ブラッキー(の進化前のイーブイ)は性別がメスになる」
そう、メスになるのです! 同じくオスのブイズであるニンフィアの方は、チェックスタイルを着ていてもメスにはならないのに、です。
その報告を見た瞬間、ぼくは確信しました。間違いなく、ユナイト運営の中にぼくたちの同類が、ブラッキーに異常な視線を注いでいる人がいる、と。その人が、ホロウェアTS二次創作を作れとユナイトプレイヤーに暗に告げているのだと。こんな熱いメッセージを送られたら応えるしかないじゃないですか。
そしてなにより、自分としても、TSのほうを主軸に据えた話に大きな魅力を感じ、書きたいストーリーがあっという間にできあがってしまったのです。それが締め切り当日の朝のことで、改訂前の話も三割くらい書き進めていたので、プロットを大きく変更することに対する迷いはありました。(なんで締め切り当日に三割しか進んでないの?)しかし、意を決して書き直し始めると意外に筆が進んで、締め切りにもあっさり間に合っちゃいました。やっぱり自分の直感と下半身を信じるのは大事ですね。
大会でいただいた感想にお返事させていただきます。
エフィブラはいいぞ (2023/06/04(日) 18:24)
エフィブラはいい、 (2023/06/05(月) 01:11)
エフィブラは……いいぞ……(握手)。
今回はブラッキーのほうがオスなのですが、カップリングとしてはブラエフィではなくエフィブラになることを目指しました。エーフィにいいように言いくるめられて手綱握られっぱなしのブラッキーくん、かわいいかわいいね……。
ホロウェアTS、そういうのもあるのか…。オスがおんなのことしての気持ちよさを刻まれてしまうのはやはりエッチだなあと思います。TSものですが個人的にオスに戻った後のアッこのあとめちゃくちゃ激しい交尾するんやな…って感じの空気感がたいへんよかったです。 (2023/06/10(土) 21:54)
まさにほしかったコメントをいただけて感動しております……。無言で頷くことしかできない。
ブラッキーくん、エーフィとのこれからの性生活もわりかし楽しめるとは思いますが、アブノーマルな喜びも忘れられなくなって時々モヤモヤしててほしい。
投票・感想いただきありがとうございました!
ちなみに、ブラッキーのホロウェアの仕様はアプデで普通に修正されたらしいです。そりゃそうだ。
私だけが、君の素顔を知っている。
あとがき
2.5万字と(自分の中では)結構ボリューミーになってしまった作品ですが、楽しんでいただけましたでしょうか。かっこかわいくて独占欲の強いマスカーニャに愛されたいのは全人類共通の欲求なので、きっとお楽しみいただけたことと思います。
wikiでは賢しらな話を書くことも多い自分ですが、下半身の欲望だけをエンジンに書かれたこういうお話も大好きなのです。実際、wikiデビュー前にpixivで書いていたお話は、ほとんどストーリーがないエロパロみたいなものも多かったですし。このお話も、久々にそういう官能一辺倒なものに回帰してみたくなって書き始めました。
なので、さっさとすけべ展開に入れるようにと冒頭のシャワーシーンから書き始めたのですが、結局本番に入るまでが長くなってしまいました。完成してから数えてみたところ、この子たち1万字もシャワー浴びててびっくり。短編大会ならシャワーシーンだけで終わってます。
こんなに長くなってしまったのは、おそらく、主人公たちが会話することができない設定にしたからでしょう。マスカーニャは主人公の言葉を理解できているようですが、彼の言葉は主人公にはすべて鳴き声として聞こえています。
自分はこれまで、主人公たちをポケモン同士にしたり、テレパシーを使えるポケモンにしたりと、なんだかんだ理由をつけて言葉が通じるキャラの間でのお話を書いてきました。ですので、会話できないというだけでここまで展開がもどかしくなるのか……と、書きながら絶望した覚えがあります。
しかし、書き進めていくうちに、このもどかしさとマスカーニャの最大の特徴である『仮面』は、テーマとしてとっても親和性が高いのではないかと思い始めました。そこに気づいてからは、最後までするすると書き終えられました。
どんなに近しい仲になっても、相手の本当の心にはたどり着けない。人間の間にも起こることですが、種族が違う彼らの間ではその壁はずっと高かったことでしょう。そんな一人と一匹が、お互いの気持ちを想像し合いながら、言葉以外で気持ちを表現しながら少しずつ歩み寄っていく初々しい展開は、書いていてとっても楽しかったです。
旅に出る。忘れかけていた何かを、思い出すために。
あとがき
前回の変態大会に参加できなかったので、本短編大会こそは参加したいなあと思い、開催が公表されてからずっと物語を練っていました。
はじめは、ユクシーを主役とし、記憶を消すことができる特性を組み込んだ物語を構想していました。しかし本作を読んでくださった方ならわかるとおり、結果としては全く別の物語になりました。ユクシーのお話は面白そうな設定だけは考えついたものの、全く話を膨らませられなかったのです。まあ、書き上げられなかった話についてとやかく言うのは見苦しいのでこの辺にして。
どうにも諦めがつかずしがみついてうんうん唸っていたのですが、あっという間にエントリー締め切り3分前。ええいままよとその話はすっぱり切り捨て、頭に浮かんだ文言をタイトルにエントリーしたのが本作です。まあ一週間もあれば何か思いつくだろうと思ったわけです。エントリー期間に何も思いつかなかったことは都合よく忘れたようです。
ですが幸い、次の日に主人公をドダイトスにすると決めてからはするすると話が組み上がっていきました。ドダイトスの英名Torterra(訳すとしたら「大地亀」「地球亀」あたりか)から想像を膨らませて、地球とドダイトスを重ね合わせるようなお話に決めました。鳥ポケモンたちが共有する棲家であるドダイトスが、地球という大きな「共有地」に何があったのかを語る。その聞き手として、かつてのパーティーメンバーだったレジギガスを持ってきて、シンオウの湖を巡る旅物語的な展開にしようと。ここで作者の悪い癖が出て、未来SF設定をひとつまみ。
元々はドダイトスをレジギガスが看取るシーンで終わろうかと思っていましたが、それだけではSF設定が生かし切れていません。そこで、そのシーンの舞台がシンジこであったことを利用してエムリットに登場してもらい、物語に隠されていた背景を語ってもらうことにしました。
大会でいただいた感想にお返事をさせていただきます。
ドダイトスとレジギガスに「長命」「大地」「苔」といった共通キーワードを見出す視点、そしてそれらを心地よく物語に落とし込む構成力に感嘆しました。
人類が肉体を捨てた後も一部の人間はボックスの外で慎ましやかに生きるという世界観も、人間も自然の一部に過ぎないという思想や、外部からボックスのメンテナンスが必要不可欠という人類の技術限界を思わせてとてもリアリティを感じます。
世界設定、ポケモンの生態の考察、お話の内容とテンポ、言葉選び......どれを取っても個人的にピカイチの作品でした。 (2024/06/18(火) 04:51)
年老いたドダイトスが地面にくずおれ、いまや若い頃の彼を知る唯一のポケモンとなったレジギガスがそれを見下ろしている……頭にふと浮かんできたそんな光景を種に書き進めていたのですが、そうするうち、主人公の二匹には長命であるというところ以外にも似たところがいくつもあると気づきました。中盤までの展開は、二匹がお互いに抱く友情と尊敬を軸に、彼らの共通点と相違点にフォーカスを当てて描いていたので、そこに注目していただけて嬉しいです。
そんな彼らの物語に並行して描いた世界設定ですが、こちらも気に入っていただけたようでうれしく思います。科学技術と自然に対する倫理を極めた結果、物言わぬ石塊となることを選んだ人類。そんな人類の墓標を、ごく一部は外で自然と調和して生きながら管理している……という、少しもの悲しくも、静かで平和な将来像。そこに現実味が出るように設定を肉付けしていきました。
ピカイチの作品との評価をいただき光栄です。数少ない同好の士に刺さればと思いながら書いているので、こういう感想をいただけるのは本当にありがたいことです。
SF風味のある壮大な物語でした (2024/06/22(土) 19:58)
上に書いたように、じつは書き始めた段階ではSF展開の予定はありませんでした。ついSFっぽさを入れたり話を大きくしてしまうのが作者の手癖なのですが、楽しんでいただけたようでよかったです。
自らの背中で環境を育むドダイトスと彼を支えるレジギガス。地球の環境を守るためボックスに自らを封じてナノマシンで世界を見守る人間たち。お題の扱いが非常に壮大でした。(2024/06/22(土) 20:47)
「縄で 縛った 大陸を 引っ張って 動かしたという 伝説が 残されている」という、やや信じがたい図鑑説明を持つレジギガス。本作は、たいりくポケモンのドダイトスと彼を共演させることで、その伝説を現実に起こしてやろうという企みでもありました。
ドダイトスの最期と、それを看取ったレジギガス、それに彼らを見守る人間たちや、ドダイトスの「ご主人」がどんな感情を抱いていたのか。エムリットだけがそのすべての答えを知っているわけですが、皆さんにもそれを少しでも想像してもらえたなら、この物語を書いた甲斐があったというものです。
命の輝きを感じる一作でした。 (2024/06/22(土) 23:53)
作者もドダイトスの生き様は大好きなので、そこに輝きを感じてもらえて良かったです。
最後に、本作にインスピレーションを与えてくれた作品に、この場からではありますが謝辞を述べさせていただきます。
- 本作のように、肉の体のくびきを離れ永遠の命を得た人間の姿が描かれているSFとして、柴田勝家「アメリカン・ブッダ」、ケン・リュウ「どこかまったく別な場所でトナカイの大群が」「円弧」がおすすめです。どれも文庫化されてる短編なので読みやすいです。
- 本作のラストシーンは、雛瀬かぐやさんのイラスト「むかーし むかし」を想像しながら書いていました。もしかしたら、かつてドダイトスとその主人の間にはこんな日々があったのかも、と想像しながら。この作品のような、あたたかで安らかな、でもどこかもの悲しい空気感が、本作でも出せていたらいいのですが。