【6】拷問獣ヌメルゴン
目次
地下組織・秘密結社・シンジケートカルテル……世にいう反社会組織に複数の名称がある通り、これら団体は互いの理念や思想、或いは単純な利権等を巡り、日々人知れずに抗争を繰り返している。
この日、そんな敵対組織のひとつに囚われてしまったサドラ・ウェル少年も、自身へと行われる拷問や……或いは処刑の瞬間を待っていた。
幹部の捕縛と違いサドラのような一構成員の捕縛とあっては、味方からしても進んで助け出そうなどということはない。
敵対組織側もそれを理解しているから、こうして捉えた捕虜のほとんどは生かされることもなく秘密裏に処分されて終わる。
事実サドラ自身も捉えた捕虜が拷問の末に衰弱死した場面に遭遇した経験から、自分もまた遠からずに同じ運命を辿ることを覚悟したのであった。
しかしながら問題はその殺され方だ。
大抵の場合、こうした捕虜には思い付く限りの拷問が与えられる。
一概に『処刑』や『制裁』などとは言ってもそれは結果にしか過ぎない。他の構成員達の娯楽ついでに拷問された挙句に死んでしまい、結果『処刑』という形に落ち着くのである。
その瞬間を10代の逞しい想像力をフルに活用しては、思いつく限り残酷な拷問に合わせられる自分を想像してサドラは眠れぬ日々を送っていた。
すでに捉えられてから三日が過ぎようとしていた。
両手両足は拘束されているものの、それでも日に一度のパンが提供されるところから見るに、自分の命運は拷問による処刑なのだということが分かった。
即座に殺すでもなく、はたまた丁重に保護するでもない、あくまで最低限の食料を与える理由こそは……拷問のその瞬間まで、とりあえず生かせておこうという相手側の意思だ。
先にも述べた通り、下部構成員に一任された捕虜の処置は彼らにしてみればちょっとした娯楽なのである。
今日までの三日間という期間も、サドラでどのように楽しむかを考えていたに他ならない。
いっそのこと毒薬でも差し入れてくれれば自分は喜んでそれを飲むのに……しまいにはいかにして『楽に死ねるか』を想像しだしてはその時を待つサドラであったが──ついにその瞬間は訪れてしまった。
その日、不意に房の鋼製扉が開いた。
その音に怯えては後ずさり、自身で押しつぶさんばかりに背後の壁面に身を寄せては怯えるサドラの目の前に、巨大な影が歩み出てくる。
明らかに人ではないその気配に、サドラも『このパターンか』と固唾を飲んだ。
それこそは、狂暴なポケモンを囚人へとけしかけるというものである。
こういった組織では言うまでも無く倫理や一般常識などと言うものは存在しない。
人間の構成員もそうならば、その元に控えるポケモン達ですらもそれは然りだ。
常日頃は人間達と友好的に付き合うよう教育されている彼らも、ことアンダーグラウンドにおいては道具でしかない。
あらゆる能力は犯罪や敵対組織との戦闘に活用され、そしてその暴力は人間を傷つけては、殺すことすらも厭わない。
もはやここにいるポケモンとは、最低最悪の獣でしかないのだ。
そんな狂獣と空間を同じくすることの恐怖と悲劇をサドルは良く知っていた。
人型の者は無惨に対象を殴り殺し、獣型とあれば食いちぎり、そして鉱物型ともあれば原型も留めぬほどに圧殺する──そのどれをもサドラは目撃したことがあった。
ならば自分が辿る運命とは……?
やがて裸天球の頼りない光の元に、ついにそのポケモンが姿を現した。
目の前にいたものは──巨大なヌメルゴンであった。
その登場にサドラの思考が停止する。
いったいコイツはその巨体に任せてどのような仕打ちを施してくるのだろう?
怪力に任せて手足を引きちぎるのか、それとももっと特殊な方法で苦しみをあたえてくるものか──いずれにせよ、願わくば一瞬で殺されることを祈った。
身を縮めては、恐怖に表情を引き攣らせるあまりに無表情と化しているサドラの白い顔をヌメルゴンは見下ろす。
その瞳は円らで、表情にもどういった意図かは分からずとも、その口元は微笑みを思わせるよう口角が上がっていた。
身を屈め、幾度となく小首をかしげてはサドラを見下ろしてその様子を観察するヌメルゴン。
しばしそんな見つめ合いが続くと、サドラにはこのヌメルゴンは人畜無害の存在なのではないかという希望的願望が生まれていた。
事実、目の前のそれは疑わしいまでにあどけなく、こういった場所で見かけるポケモンの荒んだ気配がこのヌメルゴンからは微塵も感じられないのだった。
もしかしたら助かるのかもしれない……そんな希望を僅かに抱いてはその緊張を僅かに緩めたサドラの鼻孔に──その瞬間、痛烈な衝撃が襲った。
目頭が一瞬にして焼けつくようなその衝撃に、サドラは何らかの外的な攻撃が顔面へと炸裂したのかと疑った。
ヌメルゴンの拳足や、或いは尻尾の一撃が鼻先に見舞われたかと思いきや……そこに流血や表面上の変形等は感じられない。
しかしながら、涙腺と鼻腔を崩壊させるような衝撃は依然として続いては、サドルから洟と涙とを滝のように溢れさせていた。
しばしして依然衝撃にさらされつつも肉体がこの状況に慣れてくると、一連のショックの正体はとある『匂い』によるものだとサドラは悟る。
それこそは──目の前にいるヌメルゴンの体臭に他ならなかった。
おそらくはサドラと目を合わせることでヌメルゴンの内部に、心情に起因する何らかの化学反応が起きたのだろう。
その興奮が作用しては、この腐臭に似た刺激臭をヌメルゴンから発散させるに至ったのである。
徐々にヌメルゴンが歩を進めてくるとその臭いは一層に激しさを増した。
もはやこの段に至っては、『臭い』などという気体的なものではなく、刺激物の液体を直接に顔面へ散布されているに等しい感覚がサドラには感じられた。
必死に身を仰け反らせ、顔を背けては背後の壁面に身を寄せて耐えるサドラのすぐ前へとヌメルゴンは迫った。
臭いに加えてそれの息遣いや体温までもがそこに加わると、サドラは無駄な抵抗と分かりつつも呼吸を止めてはヌメルゴンの接近に耐える。
しばしそんなサドラを興味深げに見つめていたヌメルゴンではあったが、突如としてその顔が満面の笑顔に咲き綻ぶや次の瞬間──ヌメルゴンは全身を使ってはサドラを抱きしめて、己の頬をすり寄せた。
臭気の発生源ともいうべき体液の直撃を受けて、皮膚の表面が幾重にも皺を寄せては収縮するのが感じられた。
そして呼吸を止めているのにも限界を感じて遂には大きく息を吐き出す。さらに肉体は当然の反射として、新たな呼吸を体内へと取り込んだ瞬間──サドラの意識は暗転した。
苦しみは一瞬だった。
その一吸いで完全に肉体と脳はその機能を停止させた。
意識が完全に途切れるまでのその数瞬、肉体の表面上にはなおもヌメルゴンがぬらつく自身の肉体を擦り付けている感触が伝わっていた。
粘膜特有の冷感を帯びたその感触は、さながらに巨大なナメクジやカタツムリに覆い被さられているような不快感をサドラに感じさせた。
もはや助からないことは疑いようもない。
ならば、それならば──……
願わくば、このまま死ねることをサドルは祈るのだった。
覚醒を果たしたのは、幾度となく頬を撫ぜられる感触に呼び覚まされたからだった。
目覚めてもなお状況が分からずに混乱するサドラを宥めるかのよう、その顔や額を撫でる動きが強くなる。
しばしして完全に意識と記憶とが同調を果たし、そして目の前のヌメルゴンを確認すると──
『え……うわッ!?』
サドラは甲高い悲鳴を短く上げた。
気絶する直前、自分はこの房に入室してきたヌメルゴンの臭気により気絶したことを思い出す。
そしてこれこそは次なる恐怖の呼び水でしか無い。
現状は、正座然に足を崩しては座り込むヌメルゴンの膝の上、赤ん坊さながらに抱きかかえられている状況であった。
おまけに今の自分はと言えばいつの間にか全裸に身ぐるみをはがされている状態でもある。
拘束の為に緊縛していた手足の縄も解かれてはいたが、いかんせんこのヌメルゴン相手では逃げることはおろか戦うことすらもおぼつかない。
2メートル以上は優にあろうかというヌメルゴンは、その体長に合わせて体つきもどっしりと頑強そうである。
脂肪質な体型とはいえ、丸太の如き手足をもつヌメルゴンにどうやったら自分などが素手で対抗など出来ようものか……無惨に返り討ちにあっては、幼児がオモチャを壊すよう手足を折られる自分を想像してサドラは背を粟立たせた。
完全に生殺与奪がヌメルゴンの手の中にある以上、これを刺激するべきではない──そう結論づけたサドラは、ただ為されるがままヌメルゴンに我が身を委ねるのであった。
サドラが意識を取り戻してくれたのが嬉しいのか、ヌメルゴンの舌で舐める動きはより一層に強さと、そして精密さを増した。
巨大で分厚い舌先は、その先端を細く窄めてはサドラの鼻腔や耳の穴をほぐしては、
『うわ、うあああ……ッ』
そこに在る垢や不純物といったものを舐め取っているようだった。
やがてはその舌先は徐々に下方へと移行していき、次にはサドラの胸板の上を這いまわる。
そのこそばゆさに必死で声が漏れるのを耐えながら身じろぎしていると、ヌメルゴンの舌先は固く閉じられたサドラの右脇の中へと侵入する。
『ひ、ひいぃ……くすぐったいぃ……!』
そしてその下を何度もヌメルゴンの粘膜が往復しては、舌先で脇の窪みを突き上げるに至り……サドラはこれがヌメルゴンの『食事』であることにようやく気付くのであった。
動物の垢を食べる以上『肉食』には変わりないのだろうが、それにしてもこの体中を這いまわる舌の動きには嫌悪を感じずにはいられない。
それでもしかし、
──残酷に食い散らかされたり、拷問されるよりはマシか……
まだこの状況は恵まれているのだと思い直し、サドラもまた息を殺してはヌメルゴンの食事に耐える。
垢を食べる性質上、汚れの強い部分程ヌメルゴンにとっては美味らしく、念入りに両の腋を舐め尽くした後は自然とその舌先は下半身へと移行していった。
その際にサドラの体の天地をひっくり返しては、その尻を天に向けさせる。
そうしてハンバーガーでも手にするかのようサドラの腰回りを両手で包み込んで持ち上げると──彼の尻を目の前に掲げてはヌメルゴンも舌なめずりをひとつした。
この姿勢に嫌な予感を感じつつも次なるヌメルゴンのアクションを待っていると……案の定、舌先はサドラの尻の割れ目手と食い込み、さらにはその先端にてサドラの肛門を激しく穿つのであった。
『ああああッ………んくぅ……!』
今日までの数日間を風呂に入らずに過ごしてきたサドラの局部は相当に美味であったらしく、もはやヌメルゴンも口中にサドラの尻全体を咥え込んでは鼻息も荒く肛門一点を貪ることに夢中になっている。
一方で肉体の内外から侵食をされるサドラの不快感は生半ではない。
外部からとはいえ、内臓へと直接に干渉してくる刺激にサドラも身を固くするが、不思議と肛門だけはその感覚だけがぼやけては括約筋が閉められない状態にあった。
おそらくはヌメルゴンの唾液による作用なのかもしれない。
麻酔か、あるいは肉そのものを溶かす作用があるものか、肛門はサドラの意思とは別に緩く広がり始めてはヌメルゴンの太い舌先を直腸内へと迎え入れてしまう。
斯様なヌメルゴンの舌先が直腸を舐めほぐし、さらにはそこから滲み出る唾液が直腸内へと満ちてくる感覚にもサドラは目を見開いては耐える他にない。
快感とは程遠かった。
それどころか押し込まれた大量の唾液に反応してか、下腹部は下痢の症状さながらの腹痛に見舞われている次第である。
やがてはその便意も限界に達し、遂にはそれも堪えられなくなると──
『あぁ…………いやぁ……!』
次の瞬間には、サドラはヌメルゴンの口中にて泄瀉を果たしてしまうのだった。
もはや意志とは別に体外へと放出されていく感のあるそれは、強制的にヌメルゴンから吸い出されている感すらあった。
そしてその予想も外れてはいない。
傍からヌメルゴンはそれを促すべくに自身の唾液をサドラの直腸へと押し込んでいたのだ。
今もヌメルゴンからの吸い上げを相成って肛門から流動している液体の感触は、もはや排泄などではなく自身の内臓が溶かされてそれが吸い上げられているかのような感覚すら覚えるほどである。
しかしながらこの時、サドラの脳内には別の感覚もまた生じていた。
それこそは一連の排泄行為を──
『んわ、あああぁ………気持ちいいぃ……!』
サドラは快感に感じていた。
下腹の重みがことごとく体外へと排泄されて軽くなっていく感覚には、得も言えぬ爽快感がそこに伴っている。
やがてはそんなサドラをよそに腹腔の全てを吸い上げると、ようやくにヌメルゴンは口を離して小さくゲップをひとつ。
そうして改めて目の前にあるサドラの尻を見つめた後──その臀部の片方にヌメルゴンは強く口先を吸いつけるのであった。
やがては大きく音を弾けさせて口先を離すと、サドラの尻そこには巨大なキスマークが刻み込まれてはヌメルゴンにもそこへ頬ずりをする。
振り返って見やるヌメルゴンの表情はこれ以上にない慈愛に満ちたものであった。
そんなヌメルゴンの仕草に……サドラは不思議と愛情のようなものすら感じていた。
しまいには今のこの感覚と、そしてそれに付随する多幸感に心身を満たされながら──
敵対組織に捕まったのだってまんざらでもない、とすらサドラは思い始めていた。
なおもヌメルゴンはサドラの顔を舐め続けたが、その行為は先程までの『食事』とは明らかに違う気配を帯びていた。
舌の腹を押し付けるよう舐め上げては、その終点で唇を吸いつけさせてキスをするそれは明らかに愛情を示す妖艶さに満ち満ちている。
一方でそれを受けるサドラもまた極度の興奮状態に陥っていた。
出会った頃こそはこのヌメルゴンに恐怖や嫌悪を感じていたというのに、今やこんなヌメルゴンを自分から求めてやまない。
そしてその心境の劇的な変化は勃起という形で表面に現れて、それを見つけるヌメルゴンの瞳を輝かせた。
膝の上にサドラを乗せたまま自身の乳房をその顔に宛がうと、同時にヌメルゴンの手はサドラのペニスへと伸ばされる。
そうしてサドラは上半身ではヌメルゴンの乳首を咥え込んでは弄び、そして下半身においてはヌメルゴンから手淫を受けるという相互の愛撫を展開するに至った。
女性経験など皆無に等しいサドラにとっては、ポケモンと言えども目の前のこの巨乳は蠱惑的だ。
口一杯に埋め尽くしてしまうサイズの乳首を食事さながらに食(は)みながら、同時に右手では余る乳房を揉みしだいては思うがままに愛撫する。
そんなサドラからの愛撫にヌメルゴンもまた切なげな声を上げては、天を仰いで快感に打ち震える。
そして斯様な興奮を反映させるよう、サドラのペニスを擦り上げる手の動きもまた激しさを増していった。
その相互愛撫の中でついに──
『あああ……イク、イ゛クぅ……ッ!』
ヌメルゴンの乳房に顔を埋めたまま、サドラは声を滲ませて呻きを上げると──ヌメルゴンの手によって絶頂へと導かれた。
純白の精液が掌の中で溢れる感触にヌメルゴンの表情にも驚きを宿した笑顔が咲く。
起用に手の平を亀頭の先端に覆いかぶせては、サドラの精液が一滴として漏れないようその全てをそこにて受け止めた。
しばし不規則に体を痙攣させては射精直後の余韻に肉体を支配されていたサドラも、やがては全ての放出を終えると乳房にしがみ付いていた力も緩め、後は脱力してヌメルゴンの胸元にもたれかかるのだった。
そんな力尽きた様子のサドラを笑顔で見守りつつ、まるで母親が幼子を褒めるかのよう幾度となくその顔に口づけの後戯を施しては射精の労をねぎらう。
やがてヌメルゴンもまた、手の平いっぱいに貯め込まれたサドラの精液を顔前へ持ち上げると、それの匂いを嗅ぎ取っては恍惚と身を震わせた。
手の角度を変えながら幾度となく精液の香りを楽しむと、やがてはその右手もろとも咥え込んでは、口中で幾度となくサドラの精液を咀嚼してはその味わいを楽しむ。
咥え込んでいた右手を引き抜いた後も、その短い指を広げては指々の谷間や指先に舌を這わせては、精液の取り残しが無いよう丁寧に自身の掌を舐め尽くした。
そんなヌメルゴンを、依然として射精後の忘我の中でぼんやり見つめるサドラの視線に気付くと、それに微笑むヌメルゴンはそのおすそ分けとばかりにキスをしては、精液の香りが残る唾液をサドラの口中へと口移した。
『あむッ……ん、んぅ……』
幾度となく自慰で嗅ぎ慣れた臭いのそれも、ヌメルゴンの唾液と相成ってはひどく美味に感じられ、サドラもまた激しくヌメルゴンの舌先へと自身の舌も絡ませると、よりディープに唾液の交換を行う。
そうしたキスの応酬をする中で、再び二人の情欲は昂っていった。
再び勃起を果たすサドラを床へ下ろすと、ヌメルゴンもまた彼を前にして尻もちをつき──両足を展開させてはその眼前に股間を開いた。
目の前にさらされるヌメルゴンの膣は、肥大した大小の陰唇が外へとはみ出しては肉厚なナメクジのヒレのように蠢いて粘液を滴らせていた。
それを前にサドラは引き寄せられるよう鼻先を寄せる。
鼻孔に漂ってくる臭気は魚貝を思わせる腐臭であった。
それが酸味を帯びて、さらにそこへ糞尿から醸される甘く饐えた香りが混じる。加えて仄かな血の匂いも落とし込んだ臭気は、日常で嗅いだのならばまずは顔をしかめたくなるような部類の悪臭には違いない。
それでもしかし、
『うわぁ……すごいくさい……最悪……』
今のサドラはそれを魅惑的な物と感じていた。
この匂いの発生源に舌を這わせたくて仕方がない衝動を胸に宿しては生唾を飲み込むと、さながら自分が汚物に群がるハエになったかのような錯覚を覚え、そのことにまた興奮した。
そしてその巨大な陰唇を両手でワシ掴むと──サドラはヌメルゴンの膣口へと鼻先を埋めた。
零距離とあっては、至近距離で嗅いでいた時以上のインパクトと、そして唇が縮み上がるかのような塩気が口中を満たした。
反射的に横隔膜が痙攣して幾度となく嘔気にえずきもしたが、それでもサドラは取り付かれたようにヌメルゴンの膣をしゃぶり、そこからの分泌液を味わう行為に夢中になった。
斯様なサドラからの愛撫にヌメルゴンもまた強い快感を覚えては声を上げる。
そして更なるハードクンニを求めては彼の頭をかい繰り、自身の膣へと強く押し付けていると──やがてはサドラの顔面が丸々とヌメルゴンの膣口に埋まった。
それでもしかしサドラを求めてやまないヌメルゴンの手は止まらない。
なおも押し込み続けていると──愛液の潤滑も手伝って、ついにはサドラの頭が丸々とヌメルゴンの膣に飲み込まれてしまうのだった。
呼吸器を完全に彼女の粘膜で塞がれる苦しさにサドラがもがくと、その膣道の中で彼の鼻先や唇といった突起が膣壁をえぐっては激しい快感をヌメルゴンへと与える。
もはやその快感に我を忘れては、ディルドやバイブさながらにサドラの頭をヌメルゴンは膣内で往復させるのだった。
直接に口を付けるどころではなく、文字通りに彼女の胎内に取り込まれてはその鼻腔や喉、さらには鼓膜にまでヌメルゴンの愛液が満ちると、サドラは自分という個が消えてさながら彼女の内臓の一部になってしまったかのような錯覚に見舞われた。
酸欠と、常軌を逸した臭気の中においてやがては──
『んぉごッ……お、おぉぅ……ッ…ゴポゴポゴポ………』
サドラは快感とも、はたまた絶命に瀕した肉体の反応ともつかぬ射精をして果てる。
そしてその瞬間と同じくして、ヌメルゴンもまた絶頂を迎えた。
彼女の絶頂にあわせ膣道が収縮すると、その強靭な膣圧に顔面を圧迫されてはサドラもまた身を硬直させる。
やがてはその余韻も脱すると、投げ出された両足の間から……サドラは出産されるかのようヌメルゴンオの膣から解放されては外へとひり出されるのであった。
そんなサドラを慌てた様子で抱き上げると、ヌメルゴンはその鼻腔や食堂に詰まった愛液を口づけで吸い上げては彼の蘇生に躍起になる。
『……──う、うげぇろ! げぼッ、ぐぇろぉ……うごぉ………!』
やがては激しく咳き込みながら意識を取り戻すサドラに安堵したのか、再びにヌメルゴンは彼の顔や体に舌を這わせては万遍なく舐めて清拭をした。
以降はその繰り返しであった──。
舐め続けてサドラが勃起や、あるいやヌメルゴンが昂ると二匹は思いつく限りの方法と、そして穴を使って交尾を繰り返した。
精液と愛液、糞尿と吐瀉物、そして汗と涙──互いの分泌液がヌメルゴンの体を介して融け合い、そしてそれらが再び互いへと還元される行為を繰り返しながら……
いつしかサドラは自身の境界を見失っていくのだった。
もう何時間……否、何日間こうしているのだろう?
サドラとヌメルゴンは時を忘れてまぐわい続けていた。
文字通り寝食を忘れ、互いの排泄物を糧に命を繋ぎ合ってはひたすらに交尾を続ける日々は、サドラの短い人生においてはまさに絶頂の瞬間と言えた。
もはやこのヌメルゴンさえいれば何もいらない……どんな拷問よりも、彼女と引き離されることこそが最大の苦痛だ。
そしてそのことはヌメルゴンもまた同じらしく、そんな互いが確かめ合う愛の形は回を増すごとにエスカレートしていった。
互いの体から出されるものは余すことなく摂取したし、ヌメルゴンは自身の肉体を食するようサドラへと要求すれば、サドラもまた血が滲むほどに彼女の乳首を噛みしめては痛みと歓びの絶叫を上げさせた。
タブーを越えるほどに互いの愛が深まるその実感に、サドラは究極の愛の確認方法をヌメルゴンへと実践してほしく、幾度となく彼女の口唇へ自身の体のあらゆる部位を挿入させた。
サドラが最後に望むこと──それこそは、ヌメルゴンに食されては彼女の体と一体化することにあった。
それを知らされてからはヌメルゴンにも躊躇いや逡巡の気配が窺えた。
言うまでも無く、『食』とは他の生命に対する最終行為だ。二人にとっては愛を確認する『過程』であると同時に、それは死という『結末』でもあった。
そしてそれを知りつつも、ヌメルゴンもまたサドラを己の胎(なか)へと取り込むことを求めてやまない……愛ゆえに二人の想いは矛盾し、そして大いに苦悩するのだった。
しかし遂にはその決意を──否、もはや堪えきれずにヌメルゴンはその一線を越えた。
サドラの体を両手にするや、そのまま高く掲げてその下でこれ以上になく大きく口を開けた。
サドラからも見下ろすそこに開け放たれたヌメルゴンの咽頭が見えて生唾を飲みこむ。
心には僅かな恐怖と、そしてついにこの瞬間を迎えらえるのだという期待と悦びとがサドラの中に満ちていた。
一刻も早く彼女の中へと逝きたい一心でサドラはその身を左右にうねらせる。
そしてついに──ヌメルゴンは頭からサドラを飲み込んだ。
口中での咀嚼は一切せず、まさにサドラの形のまま飲み下す。
サドラを内包した喉元は胴体と変わらぬほどに肥大しては、その苦しみにヌメルゴンも涙をこらえて耐える。
一方でそんなヌメルゴンの食道を抜けるサドラは、その身を締めつけつつも粘液の滑りを全身に帯びて彼女の体内を行く快感に震えた。
もはや交尾(セックス)などとは比べようもない挿入感と一体感──体中のどの穴にペニスや腕を挿入した時よりも直接的なこの一体感は、身命を賭して味わうにふさわしい感覚であった。
やがてはそんな喉元を過ぎてサドラは胃の中へと落ちる。
そこに満ちる強酸が身を焼き、そして肉を溶かす痛みもしかし、それこそが彼女の一部に慣れるという実感をより強くしては更なる快感をサドラの脳へと伝えた。
思い付くかぎりの究極の愛情行為の達成に『自分の人生もまんざらではない』と、満足と達成感に満たされてはこのまま死を待つだけのサドラではあったが──ヌメルゴンからもたらされる愛にはさらなるその『続き』が待っていた。
その身を包み込む胃が激しく蠕動を始めたかと思うと、サドラは次なる場所へと送られた。
咽頭の時以上の狭所さを以てその孔を抜け、サドラの体は腸へと送られた。
以降は幾度となく体を折り曲げ、その内臓の形に身をひしゃげさせながらサドラはヌメルゴンの胎内を巡る。
だいぶ無茶な姿勢へと体躯を矯正されているにも拘らず、もはやサドラはそこに痛みや苦しみは感じていなかった。
それどころか胸中は、新たに湧いた期待に激しく高揚すらしていた。
それこそはこのヌメルゴンの体を巡る短い旅の終着点──再び胎外へと産み落とされるその瞬間を想像して、サドラは感動にも近い興奮を覚えていたのだった。
早く外の世界に出たい──そしてそこでもう一度君に出会いたい。
この愛を幾度となく繰り返せるなんて──なんて素敵なんだろう。
強くそれを願い、そして求めるサドラは自らもその身をうねらせてはヌメルゴンの胎(なか)を進む。
やがては幾重にも折り曲げられていた狭所が一本道となり、サドラは重力に落とされるよう最後のその道を辿った……──
一方で外界においては、直立したヌメルゴンが壁に諸手をつき──前傾姿勢に両足を開いては渾身の力を込めて息ばんでいた。
尻尾を背負う様に巻き上げては肛門を晒し、一刻も早くサドラを産み落とそうと躍起になる。
痛みと苦しみから上目に剝かれ瞳からは涙があふれ、苦し気に開け放たれた口中からは逆流してきた涎や胃液といった体液が溢れだしては足元に液溜まりの池を作っていた。
ヌメルゴンにしても一連の飲み込みとそして間を置かずしての排泄は肉体に深刻なダメージを負わせる行為であった。
それでもしかし、その苦しみの中にヌメルゴンは確かな愛を感じた。
想い人を体内に取り込み、そして再びに生み出せる歓びは、何事にも替えようのない愛の最終形態である実感がヌメルゴンにはあった。
そしてその仕上げとばかりに彼女は最後の力を振り絞って力む。
サドラを内包した肛門は、その直腸内部から尻尾と見紛わんばかりに外部へと延びる。
その延長の頂点において肛門の間口が僅かに開き、遂にはその隙間からサドラの頭が現れた次の瞬間──サドラは一思いに床へと排泄されては現世に産み戻らされたのであった。
各種の消化液で身を焼かれた痛みと、肺へ急激に流れ込む外気、さらには温かかった胎内から一変して外に放り出されるその寒気に震えては、サドラは声の限りに泣いた。
そんなサドラを抱き上げると、己がぶちまけた鮮血と排泄物のその中でヌメルゴンは幾重にもサドラの顔や体を舐めてはその身を労わってやる。
やがてはそんなヌメルゴンの手の中で痛みも苦しみも引いていき、改めてサドラはヌメルゴンを見上げた。
二匹の視線が絡み合うと、その間には自然と笑みが浮かぶ。
後は想いのままに抱きしめ合い、二匹は再びにまぐわい始めた……。
究極の一体化と、そして新生とを経験した二匹の絆を断てるものなどはもはやこの世に無かった。
サドラはヌメルゴンの中に、そしてヌメルゴンはサドラの中に在る──斯様にして一体化を果たした二匹の愛は、その命が尽きる瞬間まで永劫に共に在り続けるのだった。
サドラが敵対組織に拉致されてから一週間後──彼の身内ともいうべき一同がその拠点を襲撃した。
急襲ともいうべき電撃作戦により敵対組織は瞬時に制圧され、その事後処理の中でサドラの捜索も行われた。
しかしながら一連のサドラ救出作戦は成り行き上の結果であり、彼らのアジト急襲はけっしてサドラを救い出す為のものではなかった。
そもそもがサドラが拉致されたことからして、彼らにしては織り込み済みの行動だったのである。
本人にも知られていないことだが、サドラには極小のマイクロチップが埋め込まれており、これを追うことにより敵組織の拠点を突き止めることに成功したのだ。
制圧後の本部事務室において、今回の襲撃の陣頭指揮を取った幹部はコンピューターによる機密情報のチェックに余念が無かった。
そんな彼の居る事務室へと、無骨なノックと共に部下の一人が入室してくる。連射式の重火器を袈裟に肩掛けしたいで立ちからも、まだ制圧後の混乱は収まっていないように思える。
『……サドラは見つかったかー?』
依然としてコンピューターに向き合ったままの幹部は、関心というよりは半ば形式的に今回の立役者の安否を問うた。
そんな幹部からの声に戸惑いと、そして逡巡を思わせる部下の気配に初めて幹部の手は止まり流し目に背後を見遣る。
部下には常に簡潔な物言いをするように教育している。それが言葉を濁すにはそれなりの理由があり、まだ敵拠点制圧直後とあっては些細な点であってもおろそかにするわけにはいかなかった。
『何があった?』
『いえ……その、サドラの姿が見当たりませんでして』
部下の報告を傍らに幹部は取り出した煙草をくわえる。この程度の事態如きではああまで言葉を濁す理由にはならない。
その報告の結末を黙したまま促すと、
『奴に取り付けた発信機は間違いなくこのアジトの中に存在してるんです。ですが……その場所に行ってみてもサドラの奴が居ねぇんですよ』
『……その部屋には何がある?』
部下の困惑に、即座に幹部はある思惑を巡らせる。
それこそは既にサドルが殺されていて、その遺体が損傷しているために発見できないというパターンであった。
『チップが埋め込まれてる頭だけゴミ箱にぶち込まれてりゃ、反応はあっても人間の姿なんて見出せないだろうからな』
しかしながら幹部の予測は思いもよらぬ方向で違えることとなる。
『その部屋なんですが……えらく臭ぇヌメルゴンとメタモンが居るばっかりで、他には人どころか家具のひとつもねぇんですよ』
『臭ぇヌメルゴン? ……だとしたら、大方そいつらの餌にでもされたんだろ。一件落着だな』
『それがぁ………』
なおも言葉を濁しては、報告しづらいというよりはなんと説明したらいいのか分からないといった体で、部下は事実の報告だけをすることとした。
『俺も生きちゃいねぇと思ってたんで、首実験に立ち会わせようと思ってサドラの知り合いってのを同行させてたんですが、そいつが言うにはその……メタモンの顔がサドラに似てるってんですよ』
言わずもがな、メタモンは標的に変身することを得意とするポケモンではあるが、肝心のサドラがメタモンに似てるというのは不可解であった。
そんな折、何か思いついたのか幹部は再び敵組織のコンピューターを操作した。
その過程でおそらくは部下が言っていたであろうヌメルゴンのデータを見つける。
その個体はこのアジトにて独自に研究し、そして遺伝子操作の末に作り出されたポケモンであることが判明した。
さらにはそのデータに紐づけられていた資料の中に動画が数点あり、その中のひとつにこのヌメルゴンがサドラの拷問に使用された録画映像もまた発見する。
それを再生し、やがて二人の前に展開されたのは──あの独房の一室で、ヌメルゴンと狂ったようにまぐわうサドラの姿であった。
動画の中で、当初サドラはこのヌメルゴンを恐れては逃げ回っていた。
壁にへばりついては必死にヌメルゴンから顔を背ける様子から、部下の言っていた臭気の凄まじさが窺えた。
やがてはそれに耐えかねて気絶すると、ヌメルゴンはそんなサドラを抱き上げては心配そうにキスなどをして介抱する。
データの中にあるこの人造ヌメルゴンはドガースとベトベトンの因子を組み込まれた個体であり、常人であれば数時間で死へと至らしめられる生物兵器の如き特性を持っていた。
しかしながら画面の中のサドラは生き残ってしまった。
幸か不幸か毒に耐性があったのか、それとも免疫の獲得に成功したものか……サドラは意識を取り戻した後もこのヌメルゴンと共に生活を共にしていた。
ただし、毒に犯された脳は正常な精神を保てなかったようである。
ヌメルゴンの毒と臭気に犯されたサドラは発狂し、やがては目の前の怪物と愛を語らい合うようになる。
しかしながらその耐性にも限界はあり、不眠不休でヌメルゴンと交尾を重ねるサドラの肉体はその毒性に耐えきれず徐々に崩壊していった。
ヌメルゴンもまたイタズラにサドラを殺してしまおうとは考えなかったようで、彼女なりにサドラの欠損した肉体を舐めて癒しては、その溶けた肉体を自身の体内で醸成し、流動食さながらの物へと変化させてはサドラに与えていた。
数日間のそんな生活でサドラの体のほとんどが解け落ち、画面にはその上半身のみで蠢くばかりのサドラがなおもヌメルゴンとの交尾を続けていた。
そしてついに事態はクライマックスを迎える。
ある時、ヌメルゴンはサドラを頭から飲み込んだのだ。
ついに補食したと思いきや即座にヌメルゴンは腹腔に力を込め、そして数分後には──飲み込んだサドラを肛門から排泄して、再び現世へと産み戻したのであった。
様々な分泌液にまみれたサドラを舐めて介抱するヌメルゴンではあったが、もはやその時のサドラは人間の原型を微塵も留めてはいなかった。
おそらくはもう彼個人の意思や思考といった精神も、そのほとんどが失われていただろう。
それでもしかしサドラはヌメルゴンを求め、そしてヌメルゴンもそれに応えた。
そんな転生を繰り返すうちに──いつしかサドラはメタモンに……否、ポケモン然とした何かへと変質しては人間としての境界を見失ってしまったのだった。
一連の動画を見終えて、一同に言葉は無かった。
部下に関しては、その頑強な体躯に似合わずに口元を押さえると嘔気を堪えているようですらある。
その最中、
『……そのヌメルゴンと『メタモン』はどうしてる?』
依然として画面に見入ったまま幹部が聞いた。
『は、はい。その、サドラを……サドラを取り上げられるって勘違いしたみてぇで、ずいぶんと抵抗してます。殺しちまいますか?』
『いや、出来るだけ無傷で捕らえろ。メタモンの方も同様だ』
『捕まえますか?』
『あぁ……コイツは色々と使えそうだ。人並みに愛情があるってんなら更に扱いやすい』
それだけ命じると、もはや目の前のサドラとヌメルゴンには興味を失くしたような体で幹部はコンピューターの電源を落とした。
そうして暗転した画面に映る自分を見つめたまま何も発しなくなった幹部に一礼をすると、部下もまた退室をする。
この時幹部はヌメルゴンの出自に考えを巡らせていた。
おそらくは拷問目的で生み出したものの、予想以上にヌメルゴンの個性が強かったことと、さらにはその毒性が強すぎて敵組織側も制御が出来なくなってしまったのだろう。
しかしながらこの時、幹部の脳内にはそんな拷問獣の手綱を引く方法が既に閃いていた。
それを考え付いた時……幹部は小さく鼻で笑った。
『良かったなぁサドラぁ……念願の彼女が出来たじゃないか。これからは二人で仲良く、組織のために頑張ってくれよ』
そう呟いて視線を上げる幹部の顔にはもはや感情らしいものは微塵として残っていなかった。
そうして彼もまた部屋を後にするとこの場所に──『人間』などは微塵も残されてはいなかった。
【 拷問獣ヌメルゴン・完 】
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