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ユナイトバトル。エオス島で行われるバトルの通称である。
このバトル、通常のバトルではあまりお目にかかれないピカチュウが当たり前の様に活躍しているのが特徴だが、それには理由がある。
このエオス島には、独自のエネルギーであるエオスエナジーという現象が確認されており、そのエナジーを利用することで、ポケモンの進化はもちろん、退化も行うことが出来るのだ。そのエオスエナジーを使えば、ポケモンの身体能力を、下げる方にも上げる方にも調整可能だ。
特に、広いフィールドを走り回るという競技の性質上、機動力は極端なくらいに調整されている。目にもとまらぬ速さで移動できるカイリューやファイアローが、カビゴンと同程度の機動力になるよう調整されている事からもわかるだろう。
そうでなければ、機動力に優れたポケモンは一瞬のうちに試合場の端から端まで駆けつけることが出来るため、あまりにも大きすぎるアドバンテージとなってしまう。
もちろん単純な殴り合いでの性能も、ある程度同一になるよう調整されている。そうでなければ、幻のポケモンや人に作られた最強のポケモンに混ざってピカチュウが活躍する光景など拝めない。忖度の無い、ポケモン本来の能力や強さでのバトルを望む声もなくはないが、結果的には多くのポケモンが活躍できるこの方針は、多くのポケモンを活躍させることが可能なために、成功した方針と言えるだろう。
しかしながら、その調整というのは本当に緻密で難しい。全てのポケモンを平等に活躍させてほしいという運営の願いとは裏腹に、あちらを立てればこちらが立たず。あのポケモンを強くすればこのポケモンが使われなくなる、そんなことは日常茶飯事だ。
デビューしたてのポケモンをみんなに活躍させてほしいがために過剰な調整を施されて、大会の参加者たちに文句を言われることもしばしば。極端な調整で特定のポケモンの使用率が跳ねあがったときなどは、『あのポケモンは運営と寝ている』なんて呼ばれることもしばしばである。
もちろん、運営はそんなことしていない、というのが表向きの見解だが、実態はそうもいかないのである。
「ほほう、後輩に頼れるところを見せたい、か……なるほどねぇ」
『アンタに頼れば活躍させてもらえるって、他の子から聞いたんだ』
ユナイトバトルに参加するポケモンは、人間の言葉を完全に理解し、そして一心同体レベルで息を合わせることのできるエリート中のエリート。テレパシーで人間と完璧な意思疎通を行えるポケモンも珍しくない。
その日、運営の男の前に現れたのはテレパシーが得意なギルガルドだった。進化前のニダンギルの時は自身の片割れとテレパシーを行い一心同体のコンビネーションを繰り出すポケモン。成長してからもそのテレパシーの腕は健在である。
「その後輩ってのはあれか? ザシアンか?」
『う……』
運営の男に図星を突かれて、ギルガルドは言葉に詰まる。
「図星か。あのキュワワーとかいう花の首飾りみたいなやつがザシアンに巻き付いてるの、いっつも羨ましそうに見ているからなぁ……バレバレだぜ? 全然種族が違うじゃねえか。そんなに魅力的なのか?」
『それは、その……』
「なんだよ。教えないなら協力してやんないぞ? 教えろよ」
恥ずかしくて口を噤みたいギルガルドだが、運営の男にそう言われては喋らないわけにもいかない。
『あの全身の筋肉……ただ逞しいだけでなく、動くときはまるで波のようにしなやか、力を籠めれば鋼のごとく。あの赤い虫のデカいだけの筋肉とは違って、柔軟性と適度な脂肪の調和が取れている。そして、白く鋭い牙……桃色の綺麗な舌。いつもは手の平に握られることを考えていた私が、初めてあの牙に触れたい。あの舌と吐息の湿り気に晒されたい……振り回されたい……そう思えるだけの王の器を初めて見たんだ。
間違いない、私が求める王の器ってのは、あのお方の事なんだ……そんなお方にふさわしいように、私は勝ち続けなくちゃいけない。いいところを見せて、彼女に私のことを見てもらいたいんだ』
「そのためにやることが、八百長すれすれの枕営業か? ホントのことを知ったら、ザシアンには幻滅されるだろうなぁ……」
男に痛いところを突かれるとギルガルドはわかりやすく視線を逸らした。
『確かにそうだけれど、バレなきゃ大丈夫だよ……誰にも秘密なんでしょ? ザシアンも、強いけれど心は読めないはずだ』
ギルガルドがそう伝えると、男は笑いだす。
「違いねぇ。俺もバレなきゃ大丈夫ってことで色々やってるからな。まあいい、そこまで言うなら覚悟は出来てるってことだな? いいぜ、ザシアンの前で格好良く活躍できるようにしてやる。ほら、目立たないようにボールに入れ」
『は、はい……』
こうして、勝利を求めるギルガルドは、意中のポケモンを射止めるために悪魔に魂を売ることに決まった。ボールに入れられたギルガルドは、運営の男に身を捧げる事への不満や嫌悪感を押し殺し、その後に待つであろう輝かしい活躍を夢想する。
運営に優遇されたポケモンの活躍はすさまじいのだ。誰もが強化されたポケモンを指名し、使ってくれる。ギルガルドが惚れているザシアンは特に、あの首に巻き付く花もどきとともに何度も指名されて休みがないと愚痴るほどに指名されていた。きっと自分もそれくらい、嬉しい悲鳴を上げられるくらいに強くしてもらえるはずだと、明るい未来を想像して、嫌悪感を必死に振り払うのだ。
ボールに入れられたままベッドルームまで案内されたギルガルドは、その鋼の体を白いLEDの明かりに晒す。人間と違い、裸そのものを見つめられたところで嫌悪感はないが、それでも運営の男の視線がいつも向けられる視線とはあまりにも別物なので、ギルガルドは盾がすくむような思いがした。
「こうやって近くでまじまじと観察してみると、お前いい女じゃねえか……刀身は全部ピカピカに磨き上げられてるし、腕も絹のような光沢がある。盾だって、傷や凹みはあるが、きちんと攻撃をいなしているから大きな破損はない。テレパシーのうまさはもちろんだが、強さもまた、ユナイトバトルに選ばれる条件ってのがよくわかる」
男は見るだけじゃ我慢できずに、ギルガルドの体を値踏みするように独り言を漏らしながら、盾の縁を優しく撫でる。専門のトリマーに盾を手入れされることはあったが、こんなにいやらしい手つきで触れられたのは初めてだ。
清潔な布ではなく、嫌らしい男の手つきで触れられたギルガルドは、ゾクゾクと刀身が震えてしまう。
感じているとかくすぐったいというよりは、怖気が走ったというのが正しい感覚か。こんな不躾に触ってきたのがただの不届きなファンならば、軽くアイアンヘッドをぶちかまして警告してやるところだが、今は目の前の男の機嫌を取らなければならない時。ぐっとこらえて無遠慮な手を受け入れる。
何も考えないように、頭を空っぽにする。それでも送られてくる感触に無視することは難しい。叩きつけられる衝撃ならば、防御に適した姿勢を取っていればいくらでも耐えられる自信はあるが、このこそばゆく、むずがゆい刺激にはどうも慣れない。
あまりにしつこく触られるものだから、ギルガルドからはシャン、と金属をこするような鳴き声が漏れる。思わず出してしまった声に恥ずかしさを覚え眼を逸らすが、そんなことは許さないとばかりに男はギルガルドの鍔を掴んだ。
強引に前を向かせられ、そのままベッドに押し倒される。抵抗したら先ほどの交渉が台無しになると思うと、抵抗は出来ない。ザシアンに振り向いてもらうために今は耐えるのだと、ギルガルドは拳を握り締める。すると、男はギルガルドの円錐状の柄に指をかけ、くすぐるように撫で始めた。
そこは、基本的にはギルガルドが認めた者にしか触れさせない場所。不届きものが不用意に触れれば、その腕を逆につかんで生体エネルギーを吸い尽くして殺してしまうような絶対領域だ。柄はトリマーにすら触らせず、手入れも自分で行う場所。初めて触ってもらうのはザシアンのような王にふさわしい存在が良かったのに、その初めてをわけのわからない男に差し出すのは酷く不快だ。
けれど、ここまで運営と交渉を進めた以上、今更後には引けない。どんな手を使ってでもザシアンに振り向いてもらうため、強化してもらい活躍するため。ギルガルドは頭の不快感に気づかないふりをし続ける。眼を瞑り、必死に無視をしようと決め込む。男は抵抗されないのをいいことに、円錐状の柄に舌を這わせる。
さすがに不快感にこらえきれずに身を捩るギルガルドだったが、嫌がるそぶりを見せても男の舌は止まらない。心を無にするにも限界がきて、思わずうなり声をあげても男は止まらなかった。
舐めるだけじゃなくしゃぶりつくように、授乳するように。ギルガルドの柄は、まだ狩りが出来ない同族の幼子にとっては授乳期間の代わりにもなる。手から生体エネルギーを吸い尽くす彼女の種が、親からエネルギーを分けてもらうために柄を利用するのだ。
だからと言って、陸上グループのギルガルドがそうするようにしゃぶるのは違う。あまりにも感覚が違い過ぎて、体全体に虫酸が走る。柄から切っ先まで、あまりの嫌悪感に身を小さく震わせていると、男はようやくギルガルドの柄から口を離した。
「いい鉄の味だ。ゴーストタイプらしく、普通の鉄よりも冷たくて、それでいて不純物が少ない……」
『そりゃ、どーも』
「なんだよ? あまりいい反応じゃねえな。不服な評価か?」
『あんたに言われても嬉しくない』
「つれないなぁ。これでも、あんたのこと美人だと思っているから、強化の話にも乗ってやってるんだぜ? 誉め言葉は素直に受け取ってくれよ」
『そんなの要らない。早く終わらせてよ……』
「まったく、風俗嬢なら稼げないタイプだな、お前さん。まぁ、お前ほどのテレパシーの能力があれば、ユナイトバトルに限らずいくらでも働き口があるんだが……何がどうなって、こんな娼婦の真似事なんてすることになったのやらなぁ。ザシアンに振り向いてもらうため……女同士だってのによくやるぜ」
『王の器があれば、それが異性だろうと同性だろうと関係ない。その手に……いや、その口に咥えられて振るわれることこそ、私の幸福なんだ!』
「と、いうことはつまりだ。女同士なら、お前らがそういう関係になることもないというわけだ。じゃあ、安心して処女を散らしてもいいってわけだな? 遠慮なく、お前の初めてをいただくぞ」
『元からそのつもりの癖に……』
「おや? バレた? たしかにまぁ、元からそのつもりだけれど安心しろよ。お前と人間とじゃ子供は出来ないから、ゴムも要らねえな?」
『好きにしろ……』
吐き気を催すような男の物言いだが、背に腹は代えられない。
「じゃあ、まずは研いでやるよ。お前ら、野生じゃ交尾するときは雄に研いでもらうんだろ?」
『そうだよ。好きにすれば?』
男はダイヤモンドシャープナーを取り出す。ダイヤモンドの粉末が練り込まれたそのきめ細かなやすりは、切れ味が落ちた彼女の刀身を研ぐのに適している。体に刃を持つ鋼タイプのポケモンの手入れにも推奨される代物で彼女の体を優しく擦り始めた。
普段から自分自身でも手入れを行っているのだろう、ある程度は全体的に切れ味が保たれているが、やはりよく使う真ん中部分は少し切れ味が鈍くなり、指で触れないとわからない程度の刃こぼれがある。
それを丁寧にシャープナーで手入れをしていくと、刃を撫でるだけで指紋の凹凸を感じられる程度には切れ味を取り戻す。先ほどまで彼女の腕はこわばっていたが、やはり研がれるのは好きなのか、幾分か緊張がほぐれたように見えた。彼女が大事そうに抱えている盾も、最初こそ冷たい金属そのものであったが、今は少しだけ温かみを帯びてきたように感じる。
彼女の呼吸が落ち着いてきたところを見計らい、男は彼女の盾をそっと手に取った。顔は嫌そうではあったが、逆らうことはしない。今までも十分に嫌な時間だったが、これから先が本番だ。
男が彼女の盾をベッドの上に置くと、それを遠慮なしに舌を這わせた。盾の取っ手の裏側に秘所は存在するが、そこに逸物を突っ込んで、そのまま果ててくれればどれだけ楽だったか。男は彼女の盾をねちっこくねちっこく舐め、しつこく撫で、くすぐられる彼女は体を震わせたり、声を出さないようにすることで精いっぱいだ。
質が悪いのは、本当にくすぐったいばっかりで、それが快感には微塵も結びつかないところだ。あまりのくすぐったさに声の一つでもあげたいが、それだと弱点を晒すようで本能的に口を閉ざしている。その堪えている様子は男も把握しているのだろうが、何を勘違いしたのか男は得意げな顔をしている。当の本人、もとい本ポケは全く気持ちよくないのに、彼女が感じているものだと思い、調子に乗って愛撫を加速させる。
幸運なことに、撫でるというよりは擦るという感触になったおかげで、くすぐったさと気色悪さは大分ましになった。それでも、嫌悪感がこみ上げてくることには変わりないが、物理的に不快になるよりかは大分いい。
そんな、なんの快感も湧かないような愛撫でも、長く続けていればそれなりに効果はあるようで、彼女の体は男を受け入れる準備を終えてしまった。本来、そのギルガルドの種は手に生殖器があるポケモン。それを知ってか知らずか、男は盾の取っ手の裏側にある秘所に、ずぶりと指をめり込ませてきた。
痛くはない。だが、気持ちよいかと言われればこれもノー。交尾の際に敏感な粘膜を傷つけないよう、機械オイルのようなサラリとした油が彼女の秘所から漏れている。しかしそれは、あくまで傷つけないために出ているのであって、決して気持ちよさとは無縁である。
「汁がだだ洩れだぜ」
男が嬉しそうにそんな報告をしたところで、男の盛り上がりとは裏腹に、ギルガルドは酷く白けている。心の中で首を横に振り、ため息をついているギルガルドだが、どんなに気持ちが冷え切っていても、体はちゃんとオスを受け入れる準備は出来ているのが皮肉なものだ。
潤滑液が膣内を満たしているのみならず、充血して内部の肉もほぐれている。同族の太い指を受け入れられる彼女の体なら、人間の指はもちろん、標準的な性器ならば問題なく受け入れられるだろう。
男は彼女の胎内をひとしきり指で楽しんだ後、ズボンの中でいきり立った逸物を解放する。立ち上がったそれをギルガルドに見せつける男だが、そんなものを差し出されても、人間のように咥えたりとか握ったりとか、そういうことをすると人間の雄は喜ぶという知識までは無かった。
男はつまらなそうに鼻を鳴らすと、ギルガルドの盾を掴んで、無遠慮に彼女とつながった。彼女は痛がることもなく、かといって善がることもなく。嫌そうな顔をしながらひたすら時間が過ぎるのを待つ。
男はそんな状況でも一丁前に快感は感じ、ユナイトバトルに映える彼女の美しい肢体に、テンポよく自身の体を打ち付けた。体から独立した盾に異物が入り込む感覚。それが愛し合ったつがいによるものであれば、感慨もわくのだがギルガルドにとっては虚無の時間が流れるばかり。
ユナイトバトルの一試合よりもずっと短い時間だというのに果てしなく長い時間に感じた交尾の本番を味わうはめになったが、ようやく男は満足したようだ。
「ふぅ……もうちょっといい感じに喘いでくれたら楽しいんだけれどなぁ……」
『喘ぎ声まで注文された覚えなんてないし。それより、約束……守れよ』
相変わらずギルガルドはそっけない態度だ。男はそれに不満げに舌打ちするも、約束は約束だし、枕営業で抱ける相手なんてこんなものだというのは分かっている。
「はいはい、約束は守るよ。次のシーズンでお前が有利になるように調整してやるからな」
『あと、できればキュワワーが味方の首に巻き付けるように、私も誰かに握られて振り回してもらえるように……』
「あ、それは無理」
『……く、仕方ない。でも、強化は絶対だからな』
ギルガルドは釘をさすようにそう言って、まるで泥でも浴びたかのように自分でシャワールームに向かい、念入りに体を洗い、そして早くこの場を去りたいとばかりに、自分からボールを男に押し付けた。
男はギルガルドを、やっぱり娼婦としては下の下だと思いつつも。このプライドの高い相手を、運営という立場のおかげで屈服させられるのは、それはそれで愉悦であった。
そうして、次のユナイトバトルの調整が入った。
「うわぁ……ギルガルドめっちゃ強化されてない? これ運営と寝てるだろ」
「ぶっ壊れだろ、ナーフしろよ……」
その日のうちにギルガルドは各種動画サイトやSNSにぶっ壊れだのなんだのと批判じみた言説がアップされたが、『割といつもの事』なので、その物言いも数日もすれば落ち着いていった。
そんな中、そのバランス調整の中で、強化された者もいれば弱体化された者もいる。
『おい、運営……頼みがある』
「あぁ、ザシアンか。なんだ? ナーフされたのが不満か? お前、ずっと優遇されていたんだから少しは我慢しろよな」
『……私は勝ち続けなければ、故郷で私の活躍を期待している家族への面目が経たない。妖精王として、私は勝ち続けなければならないんだ! そのためにも、強化を……』
「まったく、高すぎるプライドも厄介なもんだな? 言っておくが、あんまり露骨な調整は出来ないぞ?」
ギルガルドが憧れるザシアンも、見栄やプライドのために運営に尻尾を振っている。これからも、自身の強化を求めるポケモンたちの枕営業には困ることがないという実情に、運営の男は笑いをこらえきれなかった