注意事項
日が落ちて外はすっかり暗くなる。いよいよ訪れる待望の時。大広間の玉座に比べて控え目ながらも装飾の目立つ大きな椅子に座っていたルカリオ。その視界にバシャーモが映る。
「準備できたか?」
「とうにできている」
ルカリオは徐に立ち上がり、黄金色をした太腿の鎖が快い金属音を立てた。やんごとなくも雄々しい番は、ふたり並んで寝床へと向かう。従者によって丹念に仕立てられた柔軟な藁の上に薄布が敷かれた寝床の横で、彼らは立ったまま向かい合う。微かに赤く染まる頬。彼らの距離がぐっと近づく。部屋に咲く薔薇と衣装に焚き付けたお香の微かな
「水浴びしたばかりだってのに、もう汗臭いな」
「待ち切れない気晴らしに鍛錬をしていたからな。お前も私の体が臭う方が好きだろう?」
「ま、その通りだけどよ」
とバシャーモがはにかんだ。多感な思春期だった彼らの「初めて」が、体を洗わずに雄臭ムンムンな状態で行われたせいで、意図せずこのような嗜好が植え付けられてしまったのである。腋や胸板、諸々から発する種族違いの成熟した雄の芳香を、華やぐ部屋の空気諸共鼻に取り込んで堪能する。バシャーモは手を伸ばし、緑衣を盛り上げる左右一対の分厚い肉塊を布越しにそっと触れ、羽毛で撫ぜるが如く手指を緩慢に走らす。ぴくり、と鋼の屈強な肉体が反応を示した。
「お前の優勝、俺が存分に祝ってやるぜ」
バシャーモは目を細め、舌なめずりをする。ルカリオは厳つくも端整な相貌を一層甘美な朱に染めつつ、無言で頷いた。
胸の中心に聳える白い鋼の棘を爪先でなぞる。それだけでもバトル大会で幾度となく頂に立った屈強な肉体は、ぴくりと微かな振動を発する。攻撃や衝撃を受け止め慣れているとは言えど、あまりにも繊細で情熱的な刺激には素直な反応を示した。
再度鱗状の手指が御殿の主の胸板に触れ、胸や腋窩に滲んだ汗とフェロモンの芳しさと同時に、緊張と弛緩で大いに変化する分厚い筋肉の感触を嗜む。大いなる雄獣の波導が、呼吸と共にほんの僅かながら乱れが生じ始めている事を後頭部の房が感じ取る。噛み締める口元が力を込めて震えるのを目にしては嘴から感嘆の長い息を零し、それは奥方の証として身に着ける薄緑のフェイスヴェールに、燃え上がる情を艶めかしく揺らして映す。
ルカリオも黄金の腕輪によって引き立つ筋肉の凹凸を刻み込んだ太い腕を上げ、体形に合わせて仕立てられた緑衣から覗く、薄黄色の分厚い羽毛に覆われた伴侶の胸に大きな掌をそっと押し当てる。種族柄細身でありながらも闘の道に邁進するに相応しい胸肉の厚さを、炎の活力たる熱さと同時に黒い掌に主張する。鋭い嗅覚が伴侶の蒸れた腋臭を捉え、自身にない鳥特有の成分を鼻腔に広げては愉しむ。
相互に触れ合う手は、鳩尾から臍にかけて整然と六つ並んで隆起する腹直筋に伸ばされた。一山の大きく硬いルカリオとやや控えめな凹凸でしなやかなバシャーモ、対照的な様相は触れ合って堪能する彼らの高揚の糧としても作用する。その横に浮き立つ
「――まだお預けな」
「……うむ」
金色の前掛けに伸びようとした黒い掌を、悪戯な笑みを浮かべて制止する。青い毛に包まれた太腿に、硬質な感触の
バシャーモは突如、ルカリオの金色の前掛けの中に手を潜らせる。愛しの嫁に握られた肉鞘と膨らみは未だ普段通りの姿をしているが、それでもオヤブンだけあって存在感のある大きさを誇っていた。日頃前掛けにその形状を映し出しては、姿勢や動作次第で一層くっきり浮き立たせ、バシャーモのみならず従者達の目をも引いて夢中にさせる程。ルカリオ自身にとっても自信の塊と言うべき隆起。
フェイスヴェールを捲り上げて露になる赤い嘴が青と黒のマズルに重なり、口付けを交わす。同時にバシャーモの手は、ルカリオの臀部へと回された。ルカリオは呼吸を乱しながら、無抵抗でそれを受け容れた。
尻尾の付け根から下に左右並んだ青い双丘は、ぴくりと震える度に外側の窪みを浮き立たせ、下半身も隈なく鍛えている証とする。縦に走る谷間の底に位置する秘孔が、齎される刺激にキュッと窄まる。戦いの頂に立った雄の体が、無抵抗に伴侶の手によって弄ばれ、心地よさが次々と生まれては全身を巡っていた。負けじとルカリオも雄鳥の臀部を捕らえる。尾羽付近で分泌される脂の滑りを感じつつ、ぷりっとした大臀筋の硬さと凹凸を堪能してはより煽情的に舌を絡めた。
次第に前掛けが一点で持ち上げられる。普段は分厚い鞘に包まれている雄の自信が、徐々に外へと伸びて外気に晒されている様を映し出している。露出した部分はバシャーモの片手では握り切れない程に太く、再度前掛けに潜らせた手指を巧みに絡ませて刺激を与え始める。ルカリオの野太い呻きが喉仏から鼻に抜ける。鋼の肉体は一層熱を持って汗ばみ、雄臭く湿った空気を新たに生み出し続ける。
「ん、んんっ……!」
ルカリオは舌を絡ませながら愉悦を露にする。雄塔に持ち上げられた前掛けはいよいよ秘めていた自信の塊を隠匿出来なくなる。正面から見ても布の端から青黒い丸みが覗いて、その大きさを主張するようになった。無論横から見れば前掛けを押し上げて脈動する立派なオヤブンたる存在が丸見えだ。上を向いて金色が被さる鋭い突端に小さな染みが出来始め、それは徐々に周りへと広がる。
「そろそろ俺のマンコも刺激してくれ……!」
「ぁ……こ、心得たぞ……んっ……!」
一旦口を離し、バシャーモはルカリオに刺激を欲した。バシャーモの金の前掛けは既に股間に貼り付き、じわりと濡れていた。浮き立つ輪郭はルカリオと対照的にほぼ凹凸のない滑らかな物だった。そこにルカリオの手が伸び、前掛けの中に侵入する。再びマズルと重ねた嘴から、籠った音色の嬌声が漏れる。ルカリオが触れる赤い剛毛に覆われた部分は、雄の獣が持つような特徴的な突出が一切見られず、代わりに穴が開いているだけ。正にバシャーモに鳥の遺伝要素が見られる最たる証拠であり、御殿の内外で嫁や奥様と呼ばれる理由の一つだった。あまり自由に動かせない太い手指で窄まりを刺激すると、艶やかな装いに包まれた屈強な雄鳥はぴくりと身を跳ね、その窄まりから熱くねっとりした物が漏れ出す。水分が赤い茂みに籠り、相当な蒸れを実感した。一方のルカリオも立派な雄を両手で扱かれ、絶える事なく続く濡れた摩擦と刹那に硬く膨らんで更に汚れる双方の異なる快感に、低い音色の源たる喉仏を甘く震わせた。
「ぷは……もういい具合じゃないか……?」
「そうだな……!」
離れた口と口、相互に愛撫した性器と手、合わせて三箇所にそれぞれ成分の異なる銀糸が伸びて、揺らめく明かりを拾う。口内は混合した唾液で複雑な味わいが広がり、濡れた手は伴侶の秘めたる臭いを強く発していた。
「所詮今晩着替えるのだから、着たまま汚れても構わんだろう」
「そうしようぜ……」
彼らは金色の前掛けから濡れそぼつ劣情を曝け出す。前掛けと一体の腰布には、ルカリオには赤、バシャーモには青の宝石が埋め込まれている。無論前掛け部分は先の行為のみならず、着用してから約五日間分の汚れが染み付いている。自らの体と同じ宝石の色の前掛けに触れ、汚れの移った手を鼻に押し付けて大きく呼吸する。濃厚な伴侶の臭いは、その出所である解放された凸と凹を大いに悦ばせた。ルカリオはより突出して、バシャーモは穴を開いて、それぞれ更に気持ちよく汚れて激しく自己主張する。
ガチガチに勃起したルカリオは、柱どころか巨塔と呼ぶに相応しい太さと鳩尾付近に達する長さの淫肉に、血管と尿道沿いの裏筋を太く浮き立たせる。普段はぶら下がってずっしり重量を感じる体相応に大きな睾丸は、勃起に伴い硬く収縮して生命の営みに臨む姿勢を明らかにしていた。漏れ続ける我慢汁はバシャーモによって満遍なく塗り広げられて卑猥な艶めきを放つ。更に流れ下って一部は前掛けに染み渡り、残りは黒ずんだ丸い膨らみから長く糸を引いて滴っている。
一方でバシャーモは興奮で開いた赤黒い穴をひくつかせ、そこから粘度の高い蜜を零して前掛けや周囲の羽毛に水気を蓄える。含み切れなかった分が毛先から長い糸を引いて地面に垂れた。僅かに覗く内部の濡れたうねりが、ルカリオには中へおいでと招く禁断の黒薔薇として映った。
「さすが尖塔のモデルになるだけあって立派だぜ、お前のチンコ……!」
「た、確かに似てはいるが……!」
赤面しつつ屹立を眺めるルカリオ。尖塔とは先日行われた御殿の修復作業で大屋根に取り付けた物。バシャーモの言う通り、先端が尖り気味で根元は亀頭球のような丸みがある。だがそれはあくまで先代の故郷の建築様式に則った物で、性器がモデルは全くの出鱈目。
「そんな立派な主の嫁になって、大変だけど幸せだからな、俺は……!」
「お前……!」
ルカリオは先の弁解を封じられた挙句、挿れたい、と雄の欲望を掻き立てられる。挿れられたい、とバシャーモが燃える心に抱く、突出を持たざる雄による雌の欲望。それらが引力として働き、徐々に縮まる彼らの距離。いよいよ触れ合おうとした所で、バシャーモは待ったを掛けた。怫然と眉間に皺を寄せたルカリオ。
「もうちょっと味わわせてくれよ、なぁ?」
突然膝立ちになったバシャーモの眼前に、ぬめりを纏って赤黒く聳え立つ大いなる尖塔。表面の薄い皮膚を尿道に沿った筋や血管がそれぞれに太く盛り上げ、先走りと尿の混合した刺激的な獣と金気の臭いが直に鼻を刺激する。脈動を目で嗜み、熟成された雄を存分に嗅いでは陶酔する。そして鳩尾付近まで伸びて淫汁が溢れ出す先端から、徐に嘴が呑み込む。喉に達しても半分も咥え込めはしない。口内に雄犬の塩気を充満させつつ、御殿の主の大きさを再三実感させられながら、嘴と両手で刺激を齎し続ける。
愛しの嫁にご奉仕される巨雄は、愛らしさを纏った刺激に喜んでは硬く膨れる気持ちいい瞬間を迎え、尿道を広げて熱い口内に淫蜜を搾り出し、高貴な遺伝子を漏らしたがる。ルカリオはどっしり佇んだまま性的に弄ばれる快楽に屈強な巨体を打ち震わせ、腰布を彩る鎖が甲高い音を立てる。精悍な顔立ちを歪めては牙を覗かせて低く唸った。嫁の存在あって突出する性の悶えは魅惑の雄々しさを放つ。咥え込みながら見上げる視界に汗だくの隆々とした巨獣が雄臭く聳えて息を乱す様が映っては、情熱の炎を燃やした。
バシャーモが口を離すや否や、今度はルカリオが屈んでバシャーモを立たせる。
「お前ばかり味わうのは、不公平だからな……!」
眼前の濡れた前掛けと赤い茂みを掻き分け、蜜を零して咲く赤黒い薔薇を見つける。先のご奉仕の昂りが、真下の床に広がる水溜まりに現れていた。ルカリオは迷いなく淫花に顔を近づけ、放つ臭いを嗅いだ。むあっと汗と分泌物、そしてフェロモンの入り混じる強烈な薔薇の香が、長いマズルを満たす。息を荒げ、二度三度それを堪能した。そして今度は口を開き、舌を花の中へ侵入させる。バシャーモの身が刹那にガクンと戦慄く。塩気と仄かな渋味が、途端に舌に絡み付いては淫臭が喉から鼻腔に立ち上る。分厚い花弁の柔らかな感触は、これまで幾度となくルカリオを夢中にしてきた魅惑の存在。ぐるりと一周掻き回し、その凶悪振りを再確認する。見上げると、仰け反り気味に善がりを曝け出すバシャーモ。細身にくっきり浮き立つ筋肉の凹凸と、顔を覆うフェイスヴェールの対照的な色気がルカリオを一層煽情的に仕立て上げ、股間に聳える赤黒い巨塔を心地よく膨らませた。
「今度こそ、いいよな……?」
「おう、いいぜえ……」
立ち上がった二匹の距離が、じわじわ縮む。やがて触れ合う、共に赤黒い巨塔の先端と薔薇の花。周りの花弁を舐めるように雄先でなぞると、その刺激で気持ちよく漏れた粘りを、既に濡れた花弁に上塗りする。無論バシャーモもなぞられて感じてしまい、雄である事を示す汗に濡れたマッチョな肉体がゾクッと強張る。フェイスヴェールを彩る宝石が揺らめいては淫靡に煌めいた。
「いくぞ……!」
「きてくれ……!」
意思を確認した上で、ルカリオは腰をゆっくり押し付ける。開いた穴に嵌った先端が徐々に赤黒い薔薇を大きく花開かせる。自他共に黒薔薇あるいは雌の膣と喩えるうねった熱い肉の空間は、舌以上に巨きな侵入者を容易く捕らえる。膣奥へ進むにつれてルカリオの表情は性感に歪む。ましてや着衣したままの交わり。バシャーモの衣装はルカリオよりも慎ましく妖艶なため、それが尚の事熱情をそそる。種族柄の細身故に、ルカリオが侵入するにつれてシックスパックの浮き立つ腹部に不自然な棒状の隆起が目立ち始める。
途中に存在する大きな襞による狭窄を突き抜けた辺りから、バシャーモは内から雄の圧迫感を覚え、ルカリオは強まる肉壺の締まりによって生まれる快楽の突出に苛まれる。瘤の手前まで埋め込み、紛れもなく自身が犯す証拠たる形状を浮き立たせる伴侶の腹部に、優しく手を押し当てる。しなやかながら程よく硬い腹筋を押し退ける雄柱の立派さと、それを受け止める胎内に驚きつつも更なる興奮を掻き立てられる。押し当てた掌から、温かさを感じる何かがバシャーモの腹部に伝播していく。
「あぁ……あったかくて……きもちいい……!」
それはいやしのはどうだった。
「大きな私と交わるのは負担も大きかろうに……! 常々すまないと感じているが……っ、同時にとても愛おしくてたまらぬのだっ……うぅっ!」
「俺もお前を愛して体を重ねてんだから……気にするなよ……! もっと……お前でいっぱいにしてくれ……!」
バシャーモが自ら腹部を撫でつつ向ける、慈愛に満ちた眼差しの色気。すっかり中てられたルカリオは気持ちよく呻いて、バシャーモの胎内で新たな生命の片鱗たる力強い瞬間を迎える。
ルカリオはゆっくり腰を動かし、絡み合う熱い肉との刺激を味わいながら、潤目で善がる嫁を見つめる。赤黒く噛み合う凹凸を潤して、ぐちゅんぐちゅんと立つ水音に時折、主の腰布に飾り立てられた鎖の金属音が混ざる。
そしてバシャーモは、旦那が時折歯を食いしばったり野太い嬌声を零したりして雄々しく悶えながら、太い柱を見えつ隠れつ腰を振る様子に胸をときめかせる。雄を咥え込んだ薔薇から自身の花の蜜と中を汚す雄蜜の混ざった粘りを零し、抽送の度に無数の糸を引きながら真下の石畳を濡らした。
「今度は俺が……動いていいか?」
「ああ、いいぞ……」
攻守交替で、バシャーモが交尾の主導権を握る。オヤブン個体で全体的に太い体格のルカリオとは対照的な細い腰が、巨柱を満足させようと前後に動く。
「ううっ! たまらん……!」
自らの匙加減が通用しない営みは、ルカリオを愉悦に浸らせる。波導を以てしても戦法の読めないバトルにゾクゾクした一種の快楽を覚える彼は、情事に於いてもリードするよりされる方を好む傾向にある。無論それを知っているバシャーモは、肉壺で立派な雄を扱いて搾取を促しながら、大会で活躍した筋骨逞しい鋼の肉体を労うが如く愛撫する。バシャーモの熱が伝わって噴き出した汗を毛皮が吸って毛羽立たない分、元来の筋肉の凹凸が浮き上がり、汗に蒸れる異国の高貴な衣装との相乗効果で雄の色気を強めている。
「いいっ、いいぞぉ……!」
すっかり嫁からの快楽の虜となった旦那は、発情した雄の魅惑のフェロモンを強く発し、衣服に染み込んで更に雄臭くなる。肉壺に翻弄される巨柱は、中でぬめりに塗れながら更に躍動して新鮮なぬめりを搾られる。その繰り返しの中で、確実に黒薔薇に唆されて僅かずつ奥へ突出してはその快楽で胎内を雄に汚し、待ち望んだ瞬間へ駒を進めていく。
ルカリオの背中に手を回したバシャーモ。筋肉で盛り上がる広大な背中は、雄々しさを感じられる部位として彼も好きな部分の一つだ。片手は臀部に伸ばし、ぷりっとしつつも引き締まる鍛えた雄の尻が、時折快楽に強張るのを実際に触れて楽しんだ。結合部にも触れ、立派な雄柱とそれを飲み込む肉壺、バシャーモに捧げようと硬くなり、その中にバトルで名を馳せる遺伝子の詰まった睾丸。いずれも生命の神秘を伴う愛の営みによってとことんぬめっていく。命を漏らすために気持ちよく逞しい巨体を捩らせて鳴く旦那に対し、手に絡め取った性器の交わる汚れを見せ付け、煽情的な臭いを嗅がせてから舐めさせた。そしてもう一方の手は引き続き背中をまさぐり、衣装に隠れた一筋の毛が生えていない部分に触れる。そこをそっとなぞった。
「んおっ! そ、そこはっ! グルルルルルッ!」
屈強な肉体が大きく跳ねて腰の鎖を鳴らし、体内の巨雄がパワフルに張り詰めたのをバシャーモは身を以て実感する。そして初めて明確な体液の注入を感じ取る。少し遅れてボタボタと糸を引きつつ水溜まりを作っていった。
バシャーモが触れた背中の傷跡は、御殿を取り戻す戦いで愛しの者を守ろうと体を張って刻み込まれた、ルカリオの愛の勲章でもあった。
「駄目だ……! 瘤まで、挿れてくれ……!」
胎内に大量に漏らす快楽に震えながら、バシャーモにお願いする。その瘤は徐々に大きくなり、このままだと大きく張り出して赤黒い入口への侵入が叶わぬ程の太さまで膨れ上がってしまう。バシャーモは迷わず頷き、強く腰を押し当てる。膨らみ掛けた根元が、赤黒い薔薇を更に大きく開かせる。
「グゥゥゥゥゥッ!」
目を細め、牙を剥き出しにして強張り、最も敏感な部分の摩擦に耐える。バシャーモもこの時ばかりは少し眉間に皺が寄る。最も太く抉じ開ける瞬間を境にして、鳥穴は完全に瘤を飲み込んだ。自ずと密着して、ルカリオの鼻はバシャーモの鳥の特徴を含んだ雄臭さを一層強く捉え、じんじんした熱さを感じやすくなる。
「このまま……俺が動こうか……?」
「た、頼む……!」
肩で息をするルカリオに、容赦なく瘤や肉壺の摩擦と高い体温が襲い掛かる。
「ウオォォォッ!」
「あぁっ! これはキク……っ!」
バシャーモとて安泰ではなく、瘤が当たる部分に快楽の急所が存在して、刺激の度に身が戦慄くのに合わせ、フェイスヴェールに提げられた宝石が淫猥に揺れて煌めく。瘤は完全に膨らみ、これではしばらく抜けない。鼠径部が密着すると、突出したルカリオの先端が肉壺の奥で抵抗を感じる。他の雄では上手く届き得ない、ルカリオだけが開錠出来る存在。バシャーモの腰つきに合わせ、密着度を高めた鼠径部からぬちゃぬちゃと汚れた音が立ち、彼らを更に刺激する。
「グゥゥッ……! 玉が、疼いてきた……うあぁ!」
快楽の余り野性的な唸りを発し続けるルカリオが、陰嚢に持ち上げられた大きな精巣から新たな命が生まれ出る兆しを捉える。
「俺のっ、マンコがぁ……! 気持ちいい……!」
ルカリオの雄を完全に捕らえて胎内で爆発するのが確定する中で、快楽に膨らみ始めた突出に膣内を刺激されて表情を歪め、手首から炎が上がる。ルカリオがその炎に焼かれないよう、両肘で彼の脇腹を挟み込みながら腰を動かす。最奥の当たりは時を追う毎に強まり、彼らに齎される刺激もそれに比例していく。
「ウオォ! 我が子が……漏れるぞォッ!」
先端が襞に押し付けられた瞬間に脈打って搾り出される体液は、その異質な濃さを双方の性器に伝える。バシャーモの腹部には更にくっきり棒状の盛り上がりが見られ、ルカリオが彼の体内で仔作りする事を宣言するかのようにも見える。雄の根元に集中する波導を感じて歯を食いしばりながら、再び腹部の隆起を撫で、いやしのはどうを送る。その温かさは快楽を増幅させ、バシャーモは目を潤ませながら甘く鳴いた。
黒い手は、新たな命の蠢きにくすぐったさを覚え続ける陰嚢に自ら触れる。性行為の快楽に伴う収縮で分厚く皺だらけになった硬い膨らみ。黒薔薇を貫いた尖塔が捕らわれて刺激され、新たな生命を搾られようと膨らむ雄と、抉じ開けられて擦られる雌、それぞれの快楽に混交して溢れ出した命の蜜に塗れ、臭く誇らしい丸みを股間に目立たせる。そこに波導を送り込み、むず痒い金玉は仄かに温かみを帯びた。波導を送り込んでべっとり汚れた手は、先に味わった物よりも強烈に仔作りの迫る臭気を発し、悶えながら舐める彼らの舌が、強い塩気にほんのり混ざる甘味と渋味を捉える。
「ウウッ、最高だぁッ!!」
雄の根元で強まるわだかまりにいよいよ限界を覚え、足を開いて強まる、仔作り目前のぷっくりとむず痒い睾丸の存在感で更に気持ちよくなった。捕らわれた胎内に心地よく弄ばれ続けた末に厳つく目一杯張り詰めたオヤブンサイズの雄塔は、閉ざされた最奥の鍵を抉じ開け、丸く開いた危険な噴射孔が向こう側へ突き抜ける。
「あっあっ! クる!! クるぅぅぅっ!!!」
その刺激でバシャーモが果て、急激な膣圧の変化に襲われる。胎内から抜け出せぬまま淫らに汚れた巨雄には、最早それに耐えるゆとりがなかった。
バトル大会優勝のご褒美として愛しの嫁に発情から生殖まで導かれた強い若雄は、遺伝子が屈強な肉体から脱する時に発する強烈な性感に苛まれる。嫁の体内に包み込まれて最も太く長く突出した急所の中で、開き切った太い尿道を押し退けつつ、濃厚な物が競り上がって行くのを波導で感じ取る。
「ウオォォォォォォッ!!!」
噛み合って重なる二つの体内を通り抜け、赤熱せんばかりに昂った鋼の領域を脱する瞬間、ルカリオは伴侶持ちの雄として最も大きく立派にさせられて子孫を残す、最高の快楽に吼えた。愛と命に満ち溢れた白く濃密な波導が開き切った噴射口からバシャーモの胎内にブリュッと顔を出した瞬間、はどうだんが重く身に響く衝撃を伴って撃ち込まれる。それはバシャーモの腹部で棒状に隆起するその先端に、新たな膨らみとして現れる。
「うあぁっ……あったかい……!」
バシャーモも、胎内に収まる巨雄の律動、流れ込んで内から膨らませる心地よい波導を感じていた。逞しい巨体を完全に委ね、エネルギーの解放による猛烈な快楽に表情が解れて肩で息をする旦那が目に映り、更なる恍惚を覚える。手首の炎が消え、愛しの鋼の火照った頬に手を触れる。閉じていた瞼が徐に開き、現れる潤んだ赤い瞳に妖艶な伴侶が映った。ドクン、ドクンと重厚な注入を重ねるにつれ、赤い羽毛に覆われた腹を丸く膨らませていく。
「どうだ……? 俺からの優勝祝いは……」
「最高だったぞ……ありがとうな」
彼らの口が再び重なる。熱情こそ鳴りを潜めてきたが、赤黒い薔薇の花に打ち込まれた楔はまだまだ熱く抜けない。舌の厚さと口内の粘り、息遣いと吐息の生臭さ、情事に焦がれた肉体から立ち上るフェロモン混じりの臭気、そして互いの心拍を感じ取りながら、より体を密着させた。
横になるか? ルカリオの声にバシャーモは穏やかな面持ちで頷く。イヌ科の雄による拘束で動きが制限されつつも、ゆっくりと側の寝床で横になった。目の前でまだまだ膨らむ嫁の腹に、ルカリオの胸が高鳴る。そこに黒く大きな手を触れ、再度温かな波導を送り込んだ。
汗を吸ってべたつく羽毛の下の熱を持った皮膚は、腹筋の凹凸を残しながらも風船の如き強い張力を掌に伝える。膨張によって普段以上に目立つ臍。卵生であるにも関わらず発生過程で生じる獣ならではの魅惑の窪みを、丸く大きな指で穿ろうとしてはバシャーモに手を叩かれる。逆に仕返しだと黄色い獣毛に埋もれた最も深い腹の窪みを灰色の手に穿られ、擽ったさに震えた。高貴な御殿暮らしでもふたりきりの時に見せる無邪気さは、外の世界で出逢い、結ばれたあの時と変わらずにいた。
更に数十分して、ようやく巨楔が萎み出す。バシャーモは齎された波導のせいか微睡んでいた。寝床の脇にあるタオルを手に取って、外れ掛けの継ぎ目の下に敷く。密着した鼠径部を徐々に離し、萎んだ瘤が黒薔薇から抜ける。白を纏う真っすぐな幹がぬるぬると姿を現し、イヌ科独特の形状の先端が、部屋に咲く薔薇と獣のにおいを含む空気に晒された。その瞬間に開き切った黒薔薇は白く染められ、敷かれたタオルに青臭く金気臭い大量の精が迸って瞬く間に濡らす。赤い腹の丸みは徐々に解消され、名残惜し気にルカリオが撫で回す。その間にも赤黒い突出は青い毛に覆われた鞘へと収まりつつあった。
「俺の毛付いてんじゃん」
ルカリオの股間に手を伸ばしたバシャーモが、抜けて貼り付いた赤い羽毛を剥がしてルカリオの鼻面に押し付ける。まぐわった獣の強い臭気に、敏感な鼻が心地よく痺れる。
「お前こそ、ここに私の毛が……」
濡れた赤い茂みに絡み付く青い獣毛を一本手に着けては、バシャーモに見せ付けた。
「これじゃあ俺たちがヤったのバレバレだな」
「そもそも臭いで丸分かりだ。衣装諸共きちんと洗わねばな」
「もうちょっと楽しみたいけど、しかたないかー……」
疲労を覚える体を起こし、衣装や装飾品を次々外して一糸纏わぬ本来の姿になる。汚れた衣装やタオルは洗濯用の籠に入れ、その足で浴室へと向かう。途中の窓から覗く、黄色い満月。
「なぁ、久しぶりに外で水浴びしようぜ」
バシャーモの提案で、屋内の浴室ではなく、そのすぐ外にある池へと足を運んだ。澄んだ地下水を湛える池は砂漠地帯の小さなオアシスの一つとして周囲に草木を繁茂させている。その草木が視界を遮り、また兵士の並ぶ外郭からも離れているため、人目を気にせず伸び伸びと水浴び出来る場所でもあった。
満月に照らされる中で、御殿の主とその妻はありのままの姿で全身に水を浴びる。優勝記念に愛を営んだ汚れが、濁りとして澄んだ水に広がって行く。雄臭の原因たる汗に代わり、冷たくきれいな地下水が毛皮を濡らして体内に残った熱を心地よく冷ます。彼らの雄々しい肉体は月光を纏い、水の滴る鍛え抜かれた筋肉の機能美を引き立てる。吹き渡る冷め掛けた夜の砂漠の風が、尚彼らに爽快感を齎した。
「月が綺麗だな」
雲一つない夜空を眩しく照らす月に、ルカリオは目を奪われる。
「月なんかより、お前の方がもっと魅力的だぜ」
波導を読み取っていなかったルカリオには、十分過ぎる不意打ち。尻毛を抜かれたが如き様相で細身の伴侶に目を向ける。はにかみながらも、毛量の多い股間からポタポタと白く滴る。
「あのとき生きるのに精いっぱいだった俺が、恋焦がれてその先の愛に目覚めたのは、お前に出会えたからなんだ。これまでの感謝を込めて。愛してるぜ、――」
吹き抜ける強めの風に、バシャーモの声は掻き消された。耳に届かずとも、ルカリオには問題ですらなかった。それこそが、彼の本当の――
「おい、何チンコ反応させてんだよ」
バシャーモは未だ精を滴らせながら目を細めて揶揄う。股間を盛り上げる青い鞘から赤黒い肉が顔を覗かせる。卑猥な伴侶の姿に、先の情事を思い出されて鋼の体が再度熱を帯び始めていた。
「……ふん、口だけの返事より、この方が余程説得力があろう?」
照れ隠しに
広大な庭に咲き誇る薔薇の香が、風に乗って彼らの元へ仄かに届いた。
【原稿用紙(20x20行)】 37.6枚
【文字数】 13353文字
【行数】 160行
【台詞:地の文 台詞率】 76:78行 49% / 1526:11921文字 11%
【かな: カナ: 漢字: 他: ASCII】 6748: 956: 4615: 1114: 14文字
【文字種%】 ひら50: カタ7: 漢字34: 他8: A0%
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