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黎明の水玉story0,dawn-prorogue- の変更点


 ----――――Dawn by birth. 
         story-0,=dawn..... 
              prologue―――--- 

幻の如く、影は闇と姿を重ね、紅蓮の光は痛めつけるが如く全てを眩めかせていた。 
全てが紅色に染まっていた。逢禍時という、血の色にも似た流れの中で、全てが赤く、紅く輝いている。 
もう時間は少ない。夕闇は刻々と世界を蝕み、光を飲み込んでいる。だがその光さえ、すでに色を変えている。 
痛めつけられた四肢は今尚躍動し、躍動しては止まり、俊敏に動いてはまた痛みに身を崩す。 
そして、そのまま大地に身を横たえる。影は滲み、広がり、そのまま他の影に飲み込まれては、形を変え、光を失う。 
群青は黒さを一層深め、色と言う概念を超えていた。そしてその中から、条が射すように体を貫く。 
それは鋭利に冷たく、そして同時に柔らかい。もう痛みさえ感じず、ただただ壮大な世界に飲まれるだけだ。 
突風が上空で踊り、樹海が轟音を立てて叫ぶ。その度に風は唸り、空に轟く。 
闇色に染まった空には光達が見下ろし、その弱く、小さい、微かな届かぬ光を瞬いては狂おしいほどに光る。 
それさえも、自らの下を滑るが如く潜り、冷たく、黒い雲を貫くことはできずに、悲しげに幕の奥に消える。 
暗く、黒い幕は空を覆い、そこから幾数かの鋭い条が落ち、全てを打ち震わせる。 
そのなか、何もできない体を世界に預け、次のことに盲目になった精神を放して、「それ」は空を見つめる。 
開けて置くには重過ぎるほどの瞼の裏には、見たことのないような不思議な光景が浮かび上がる。 
嵐。黒雲。地割れ。洪水。溶岩。稲妻。群青。光条。深紅。津波。 
全てが分からない。全てが知らぬことばかりで、その精神に反して次々と見知らぬ風景が脳裏を掠めては消え、つながる。 
そのとき、「それ」は瞼と目の間に微かな、しかし確かな「何か」を認めた。その存在は自分が一番知り、そして自分が一番知らない。 
深い海の色と同じ、紺青の水玉。 
それは―― 
そこで「それ」は、力尽きたかのように臥した。そこにその小さな体に背負うには痛いほどの冷たさが殴打する。 
夜はまだ明けぬ。まだ光は遠く、目覚めもまた遠く。 
重く揺らめくがように、弾けては飛沫を上げる海。全てを映し出しては歪み、常に揺れ動いては崩れる。 
すでに、物語は始動していた。 


  黎明の水玉  -Water gem at dawn- 
                by 28×1 


同じ光が照らし、照らされ、同じ朝を迎えた。しかしすでに、幕は上がりきっていたのだ――。 


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