ポケモン小説wiki
難しい恋愛観 の変更点


 作者:[[想夏]]
 恋についての歌を聞いて触発された小説です。
 他の小説の息抜き程度に書こうとしたら、結構長くなりそうで(汗
 でも、歌とはあまり関係ないお話です。
 そして官能表現を入れる予定です。直接的にするか間接的にするか、もし入れるとしたら何をさせるかはまだ予定が立っておりませんが、官能そのものが苦手な方はやめておいた方がいいかもしれません。
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「わ、私と付き合ってください!」
 ……またか。いったいこれで何人目だろうか。
 普通、異性に告白されるなんてかなり嬉しいことだろう。実際、嬉しさは俺にも半分程ある。だが、俺の場合は会って数日の間の雌に告白されてしまうのだ。多分、付き合い始めたとしてもそう長続きはしないだろう。
 今までこういったケースで告白されるのは、俺の指で数え切れないほどある。何で付き合わないんだ? と言われた事も多々……。
「ごめん。君とは付き合えない」
 そうやって振って、彼女たちは泣きながら去っていく。その光景は何度も俺の心を痛ませる。それぞれの泣きながら去っていく姿は嫌というほど目に焼きついている。俺のことをおかしいと言う人もいるだろう。付き合ってみなければ分からないじゃないかと言う人もいるだろう。
 でも、俺はそんな事はないって言える自信がある。だって、彼女たちが俺に告白する理由は同じだから。そしてそれは長続きしないと思う理由だから。それは、
 俺の『メロメロボディ』に当てられてしまったから……。
 
 昨日の夜は、彼女の涙を俺に届けるかのような激しい雨が降っていた。その雨の雫が葉の上にちょこんと座っていて、陽の光によって輝いていた。それが彼女の涙を形容しているのならば、その輝きはその心の輝きにぴったりなのかもしれない。だけど、俺は……。
俺は茶色い毛色が特徴で、惚れられやすいという特性を持つミミロップ。『告白してくれる人が本当に俺の事が好きなのか分からない』という、周りからは羨ましがれるような事を、俺にはとっても深刻な悩みとして抱えている。
 と、後ろの方からたかたかと軽快な足音が聞こえてくる。
「よっ。また告白されたって?」
 そうやって方を叩いてくるのは、昔からの知り合いで、メロメロに当てられない唯一のデンリュウのライト。メロメロにならない理由はなんでも、ずっと傍にいるから慣れたのだとか。
「ライトか……。ああ、そうだよ。あの人は本当に俺の事分かってくれていたのかなあ」
「さあ? それは聞いてみないと分かんないんじゃない?」
「はあ、俺って勿体ないことしてるのかなあ?」
「うーん……まあ、他のポケモンたちには分からない問題かもね。シンのお母さんに相談してみたら? 同じ問題を抱えてたのかもしれないよ?」
「むりむり。母さん、昔はいろんな雄から告白されてた、とか言うけど嘘だよ。だってあんな親父と結婚してるんだよ?」
 俺の母さんは俺と同じくミミロップ。対する親父はフーディンなのだが、この親父がケッキングと見間違えるほどのぐうたら親父なのだ。こんな親父と結婚しているのだから、母さんはあまりモテる方ではなかったのだろうと思う。
「そうかなあ? シンのお父さんも結構かっこいいと思うけど……」
「どこが? ……ライト、変な奴に捕まるなよ。」
「ちょっと。それどういう意味よ?」
 ライトが頬を膨らませながら怒る。
「そのまんまの意味だよ」
「もう怒った。ちょっと、待ちなさいよ!」
怒りの頂点に達したようだ。
ライトが俺に向かって10万ボルトを放ちながら追いかけてくる。あいつに捕まって痺れて動けなくなる前に俺は走り出した。
 周りからはこういうライトとの絡みを見て、付き合っているのか? とは聞かれるが、実際、そういう感情を持った事なんて一度もない。でも、俺にとってはかけがえのない存在には間違いない。こいつと一緒の時は、気が疲れる事はないのだ。今も、これからも、それ以上でも、それ以下でもなく、こいつとは変わらずに幼馴染という関係だと思う。
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好き……。
 シンには言ってないけど、私はシンが好き。
 でも、その気持ちを告白したとしても、特性の力と言って、私も他の雌と同じ結末になってしまうだろう。だから私は告白をしていない。
 最初の頃はメロメロにかかっていた事もあった。でも、私は同時にシンの事が嫌いだった。矛盾してるって言うかもしれないけど、燃えるような仮初めの恋心を抱きながら、相手を無理矢理そんな気持ちにさせるシンが嫌いだった。
 メロメロの効果が薄れてから私は、
「他の人の気持ちを踏みにじるような事をして、あなたって最低ね! 散々メロメロをしていて全員振るなんてどういう神経してるのよ!」
と言ってしまったことがある。本人にはどうしようもない事だって分かっているけど、どうしても言わずにはいられなかった。今にして思えば、それがきっかけでシンと仲良くなったのだけれど。
 その言葉を言われたシンはとても驚いた顔をしていた。そして、いつも周りを明るくしていた彼には似合わないほどの、悲しい顔もしていた。
「びっくりした。誰も俺に対してそんなこと言ってくれなかったから。俺だってそんな能力だけで見られるような事はされたくないんだよ。普通に接してもらいたい」
 その言葉は私には意外すぎる言葉だった。今まで私が思っていたイメージを見事に覆された。
 でも、私はすぐにシンのことを信じられなかった。もしかしたらあれもメロメロの能力の一部なのかもしれない。あいつに騙されちゃいけない。そんな考えがあって、私はメロメロから守ってくれる白いハーブを常に持ち歩く事にした。彼のあの言葉が本当は嘘で、彼の思い通りになってしまったら嫌だったから。
 しかし、彼のあの言葉は本当のようだった。彼とだんだんと話していくうちに、軽薄なのは表面上だけである事、実際の彼は、ちゃんと物事を受け止め、しっかりと向き合っている事が見えてきた。私とシンは友達として仲良くなっていった。
「俺が告白受け入れるときは、『こいつはちゃんと俺のことを見てくれるはずだ』って俺が思えるような子」
 これがいつも恋愛話をしているときのシンの口癖。今ならそれが本当のことだと、心から信頼できる。
 彼に「何でお前は俺の傍にいても平気なんだ?」とよく聞かれる。私は、白いハーブを持っているからって言うのは、シンのメロメロに負けてますってきっぱり言ってるような気がして、「ずっと傍にいるから慣れたし」といつもいっていた。
 他にもいろんなことをお互いに話せる。流石に性に関することは恥ずかしくて言えないけど、それ以外のことならお互いの事は何でも知っているってお互いに言える仲だろう。
 雌の中で一番彼と仲が良い。そう自信を持っていえる。実際、彼に告白したポケモンたちは私のことを羨ましいと睨んでくる事が多いほどなのだから。
 でも、最近の私はそれだけじゃ、だめみたい。幼馴染っていう関係じゃ物足りないんだ。メロメロによくあるような、燃えるような感情ではないけど、彼の事を考えただけで、幸福な気持ちが心の奥から染み渡ってくるような感情。彼の事をずっと見ていたい。彼の傍にずっといて、彼の笑う顔を見ていたい。そんな淡い恋心がだんだんと膨れ上がってきているのが分かる。
 叶わない恋かもしれない。でも、彼が私の事を見てくれるまで、絶対にもう無理って思うまで、私はこの恋心を持ち続けるつもり。
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「そういえば、今日この森に新しいポケモンがくるみたいだよ」
 一通り追いかけっこが終わった俺たちは、この森の広場に向かった。
 太陽が一番高く昇った時、ここに住んでいる森の住民たちで集会が開かれる。その内容は、例えば木の実の収穫状況。例えばエーフィさんたちによるこの後の天気模様。例えば今日のように新人さんの紹介などだ。基本的に、ここの森の人たちは仲良く暮らしている。
「へえ……どんなポケモンだって?」
「えっと、確かルカリオだったかな? ……詳しくは私も分かんない!」
 そうやって、とぼけるようにえへへーとライトは笑う。
「ま、誰でもいいけど……。また昨日みたいな状況は勘弁してほしいな」
 雄であることを願うばかりだ。雄だったら気軽に話しかけられるから。もしかしたら良い友達になれるかもしれない。
「そうだね。また何か言われるのが嫌でしょ?」
「ああ。その前は一ヶ月前で、酷い女性に告白されたからな。あれはかなり嫌だった」
 その時は今までの中で一番辛い経験だった。言い寄られるのは別にいい。ただ、俺がふった一週間後に、そのエネコロロが俺の苦手な知り合いとできていたのだ。
 さらに酷い事に、嫌な雄は俺にしつこく付きまとい、エネコロロとの夜の熱い一時についてかなり詳しく語ってくるのだ。あの時はれいとうビームでも撃って氷漬けにしたかった。
 そして、エネコロロが短期間で俺から入れ換えた所を見ると、やっぱり俺の事を見てないのだと思い知らされた。
 ま、その二匹は一ヶ月も経たない内に別れていたけど。ざまあみろ。
 ……その後にエネコロロに言われた「やっぱり貴方しかいないの」って言葉には、胸が気持ち悪くなって吐きそうになったけど。
「そろそろ、シンの事分かってくれる人が現れるって。元気だしなよ」
「本当、そうであって欲しいよ」
 それからは、その新人さんについてのそれぞれの予想を語り合いながら広場についた。
 ライトとはそこで別れ、それぞれの友達の会話の中に入った。やはりというべきか、俺の友達は昨日の告白の話題で持ちきりだった。
 だんだん広場に住人たちが集まっていき、それぞれの話が最高潮になりつつある時、俺の母さんが現れた。
「はいはーい、いつもの集会始めるよー」
 俺の母さんは何故かこの森でリーダーの役割を果たしていた。まあ、異性はもちろんだが、同姓にも好かれている。それに戦闘も強いのだから選ばれるのも無理はないかもしれない。
「じゃあ、まずは新人さんの紹介から。うちの馬鹿な息子と同じぐらいの年齢の子だ。それなのに独り暮らしをしているみたいだから、本当に偉い子だねぇ。ほら、そこの馬鹿息子。今から来る子の爪痕でも煎じてもらって、少しは見習いなさいよ! とまあ、そういう事だから、皆、彼女の手助けしてあげて欲しい。じゃあレイシー、こっちにきな」
 あたりには笑いが起きる。はあ……。いつも一言余計なんだよ。それと……彼女って事は雌か。しかも年も近いのか。
 母さんに連れられてきたのは、ライトが言った通りルカリオだった。
 容姿からはどんな性格をしているのか判断できなかった。毛並みが整っていて、どこにでもいそうなルカリオだった。
「私が先程紹介をしていただきました、ルカリオのレイシーです。どうぞよろしくお願いします」
 声は少し低めで落ち着いた調子だった。ライトの元気で明るい声とは正反対だ。
 近くの友人の様子を見てみると、
「ヤバい。かなり綺麗だよ。ここの雌にはいない感じの子だな。なんというか、洗練された美しさってぇの? とにかく、彼女は他のポケモンとは違う。……そうだ、会った瞬間からビビってきた痺れ。もっと早くから気付くべきだった。これは神様が俺に与えてくれた赤い糸だ! きっとそうに違いない!」
 ……このバカなライチュウは早くも惚れてしまったらしい。ま、こいつは初対面の雌には誰に対しても形振り構わず運命だ! って叫ぶからなあ……。
 それにしても、他のポケモンにはない洗練さか。言われてみれば感じなくもないな。
「っつう事でだ。シン、お前は彼女に近づくなよ? 俺の恋路を邪魔したらただじゃおかないからな?」
 と、そこへ母さんがやってきた。
「ああ、言い忘れてた。シン、お前にこの子がこの森に慣れるまで世話係を頼むよ。ここのリーダーの息子だから、そんぐらい出来るよなあ?」
 母さんは頼むよー、と言いながら俺の返事もろくに聞かないまま、どこかへ行ってしまった。
「そういう事だ。お前のせっかくの頼みは出来そうもないみたいだ。ごめんな」
「そんなことありかよ。いいよ。俺も一緒についていくから。雌と二人っきりはどうせ無理だろ?」
「ああ、じゃあ頼むよ。本当はお前に任せたい所だけど、全部任せたら母さんが黙ってないし、それにお前だと襲いかねないからな」
「なんのこと? 俺はいたって純情で健全な雄だぜ」
「へぇー、知らなかったよ。純情で健全な雄はどんな雌に対しても運命を感じるのか」
「いや、誰に対しても運命は感じない!」
 それは初耳だ。ちゃんとこいつにも選び方があったのか。
「俺は綺麗もしくは可愛い雌にしか運命を感じない……ぐぇ」
 ……それ最低だろ。という事で破壊光線を打ち込んでおいた。
「……お前、容赦ないな」
「今のやり取りをあのレイシーって言うルカリオに言って欲しいのか?」
「……すいません」
 まあ、彼女と二人っきりにならなくてすむし、こいつと一緒だから退屈はしないですむだろう。あぁ、雄だけだと彼女が気まずいだろうから、ライトも誘ってみるか。
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 大体のあらすじは決まり、結末は決めておりますが、まだまだ途中をどうするかも決めてないという無計画な小説ですが、指摘、感想をどんどん受け付けております。
 こちらからお願いします。
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