ポケモン小説wiki
夏の終わりごろ の変更点


夏の終わりごろ by[[ツララ]]

-1-

「私、もうあなたのことを愛してないから……」
「……え?」
嘘。本当は愛してる。結婚したいとも思ってる。
でもある感情のせいでこの言葉しか出てこない。

どうしてこうなったのか……



夏の終わり頃、少し冷たい雨が降っていた。
ブースターの私は体が濡れるのが苦手だから雨宿りしていた。雨さえ降り止めば家に帰れる。だが、そんな雨は弱まることを知らないように強くなってきている。
「今日中に帰れるかなぁ……」
早く帰らなきゃいけないわけでもないが、帰りたい気持ちはある。だが、こんな雨。せめて小雨になればなぁ…なんて思っていた。

「どうしたの?」

その声に反応して振り返ると、びしょ濡れになっている雄のブラッキーがいた。見た感じは私と同じ年代かな?
「あ、いや、ちょっと雨宿りを……」
「ふぅん。雨宿りねぇ…。いつまでしとくの?」
「雨が止むか、小雨になるまで…だけど」
「それは残念。雨は今日中には止まないみたいだよ」
「え……」
本当に!? 彼の言うとおりだったらこのまま帰れないかもしれない。無理矢理にでもこの雨の中帰ったら、水に弱い私なら重度の風邪をひいてしまうかもしれない。どうしよう…。
「…大丈夫?」
「へ?」
「なんか悪い考え事をしているように見えたから…。もしかして、帰れないことにショック受けてるとか…」
図星なことを聞いてくるブラッキーだなと思ったが、ここは嘘をついてもしょうがない。
「そんなところです…」
「それならうちに来る? すぐそこだし」
ブラッキーは自分の家の方向に指を差した。指の方向に目を向けると本当に近いようだ。
「ここから…10~15mくらいかな? 数秒あれば行けるよね? その時間水に濡れても大丈夫?」
見ず知らずの私に家に案内しようとするブラッキーに少々の不安があった。
この世の中、犯罪をするものがちらほらいる。優しくしておいて金銭を騙し取ったり、レイプされたり。殺されることもあるかもしれない。そんな不安があった。
「私は…その……大丈夫です」
優しく断ろうとしたが、言葉が出てこない。悪いポケモンじゃないとしても、出来るだけ傷つけないような言葉捜しに手間取っていた。
「強がらなくていいよ。僕は騙す気なんてないから。困ってたらお互い様って言うしね。…まぁこんな時代だからいきなり信じろって言われても厳しいかな…はは」
ブラッキーは言葉と表情で「騙す気はない」というのが出ていた。本当に親切なポケモンなのかもしれない。
「じゃあ僕は先に行ってるから。…もしよかったらでいいからね」
その言葉を残し、ブラッキーは足早に自分の家へと走った。本当に近くのようで、ブラッキーが行き着いた場所…家かな? ここからでもブラッキーの姿がはっきりと見える。
確かに自分の今の状況から救ってくれるポケモンだと思った。100%の信頼感はないが…。いざとなれば正当防衛として相手を火傷にさせて逃げればいいか。

私は雨の中へ飛び込んだ。

ほんの数秒間の雨でも体は嫌がっている。だが、そんな苦痛はすぐに終わり、気が付けばブラッキーの隣まで来ていた。
「大丈夫? 先に体振るっていいから」
「あ、はい……」
その言葉に甘え、ブルブルと自分の体を振って付着した雨水を周囲に撒き散らした。ブラッキーにも雨水がかかってしまったようだが、彼は気にしてないようだ。
「先に家に上がってていいよ」
家の入り口の扉を開けて私を家の中へ入れさせた。その後、彼も体を振ってから家の中へと入ってきた。

-2-

家の中は…綺麗とは言えないが、生活感が感じられる。部屋はワンルームしかないようだからきっと1匹暮らしなのだろう。
「適当に座ってていいよ」
そんなこと言われても図々しく座ることが出来ないでいた。
部屋の中を目で追っていく。雄の部屋としては散らかっているわけでもなく、綺麗と言うわけでもなく。…まぁ普通の部屋と言えるのかな? 雄1匹が住んでいる家なんて行ったことないからわかんないけど。
「体拭くかい?」
ブラッキーはタオルを持ってきていた。気が利くというか親切と言うか…。少しときめいてしまう自分がいる。
「あ、はい。ありがとうございます」
ブラッキーからタオルを受け取り、体を拭いていく。が、背中のほうに届かない。
本来の自分ならタオルを床に敷いて、その上に自分仰向けに倒れてゴロゴロして拭くが……こんなところでそれはお披露目できるわけないな。
「拭いてあげるよ」
ブラッキーは自分の体を拭いていた手を止め、私からタオルを受け取って背中を拭いてくれた。その時も慣れ慣れしく拭いてくれるわけでもなく、お客さんとして扱っているような丁寧に拭いてくれた。
「これでいいかな?」
「あ、ありがとうございます」
ブラッキーは少し照れながらも、再び自分の体を拭いていく。やはり私と同じイーブイ種、背中を拭こうとするが、手が届いてない。そんな姿が可愛く見える。
「拭きますよ」
「いいの? ありがとう」
ブラッキーからタオルを受け取り、彼の背中を丁寧に拭いていく。
「そんな丁寧にしなくても…。ごしごしとやっていいから」
「いいじゃないですか」
つい、私は嬉しそうに彼の体を拭いていた。彼の使っていたタオルは水をかなり含んでいた。
「もう大丈夫、ありがとう」
「いえいえ」
彼にタオルを返し、私は部屋の隅っこに座っていた。

「…名前聞いてもいい?」

彼はタオルをどこかへとやり、私の元へ来て隣に座ってきた。気を使っているのか、若干距離はあったが。
「フレアです」
「フレアさんかぁ。僕はルナです」
「ルナ…さん? えっと…」
「あ、雌らしい名前だけど雄だよ。あと、“ルナ”でいいから」
「それなら私も“フレア”でいいですよ」
変わった名前だけど、呼び捨てでいいということで私もそうするようにした。

「さっきも話したけど、今日は雨が止まないみたい。どうする? 泊まっていく?」
見ず知らずの私にいきなり聞いてきた。ルナは悪いポケモンとは思えないけど、私のことは疑ってないのかなぁ…。普通はこんなに簡単に「泊まる?」なんて聞かないよね…。
「あ、別に襲ったり、後からなにか言うわけじゃないから」
彼は慌てるように言葉を付け足してきた。そんなことするようなポケモンだと思えないし、大丈夫…だよね。
「じゃあ…お言葉に甘えていいですか?」
「もちろん!」
ルナの言葉を信じて今晩はここに泊まることにした。

「そう言えばもう晩御飯は食べたかな?」
「いえ、まだ…」
「それなら、えーっと…ポフィンは僕好みのしかないから、オレンの実でもいい?」
「うん。ありがとう」
正直食べれるものならば何でもよかったが、ルナは気を使ったのか、誰でも食べれるオレンの実とポフィンを取り、オレンの実を私に差し出してくれた。
「じゃあ、いただきます」
「いただきます」
オレンの実を一かじりする。…なんか自分の家で食べるオレンの実とは少し違う味がしたような気がした。おいしいことに変わりはないが。
――全部食べ終わった後、ルナも食べ終えたようだ。
「ごちそうさまでした」
ルナに一言告げ、この後はなにをしようか悩んでいた。
「そういえばフレアってどこに住んでいるの?」
「△△町の6丁目辺り」
「へー。ここは1丁目だから近くなんだね。それでさ――」
彼と話していると自然に笑みが出た。おもしろい話をしているわけでもない普通のたわいもない話なのに楽しかった。だんだんと彼への距離が縮まっていた。


-3-

「シャワーでも浴びてくる?」
「…いいの?」
「遠慮なくどうぞ。…後で覗きに行くから」
「えぇっ!?」
覗くの!? べ、別にポケモンは服を着ているわけじゃないから全裸って言えば全裸なんだけど……。それはそれで恥ずかしいか。でもそれはポケモンにとって普通だけど、シャワーを浴びてる姿はちょっと恥ずかしいな……。
「冗談だよ。覗かないから行っておいで」
「もう…。じゃあ使うね…」
風呂場へ入り、シャワーから熱湯を出す。炎タイプの私には熱いぐらいがちょうどいい。全身を洗っている時、思い出した。…あがったとき用のタオルがない。
「タオル、ここに置いとくから」
外からルナの声がした。ここまで気が利くとありがたく思う。
「ありがとね」
「いやいや」
ルナの足音が離れて行き、風呂の扉を開けてタオルを取り、また扉を閉めた。そしてそのタオルで全身に付いた水を拭き、風呂場から出た。
「シャワーまで借りて、ありがとね」
「どういたしまして。じゃあ僕も入ろうかな。…覗いていいからね」
「覗きません!」
「…だよね」
ルナは笑いながら風呂場へと入っていった。
さて、なにをしよう。話し相手は風呂。部屋を物色するのも…いいわけないよね。暇だけど、座っておこう。無心に。
数分後、ルナは風呂からあがり、体から湯気を出していた。
「まさか、あんな熱湯にしておいたとは…」
「あ…」
たしかに熱湯にしておいたのは私だ。元の温度設定に戻すのを忘れていた。
「ごめんなさい!」
「いいよいいよ。火傷したわけじゃないし、大丈夫」
ルナは苦笑いしながら私のことを許してくれた。本当に大丈夫だったのかなぁ?

「そろそろ寝る?」
ルナがそう言い出したのは私があくびをしたからだ。確かに眠たかった。
だが、気になるのは、この部屋で眠れるのはシングルベッドのみ。
「フレアはベッドで寝ていいよ。僕は床でいいから」
「そんな…。私がお邪魔しているから床で…」
「いやいや、雌を床には寝させるのは嫌だよ」
いろいろ話した結果、私とルナはベッドで眠ることにした。詰めれば2匹入る。
電気を消し、先にベッドに入っている私の隣にルナが入ってきた。
「狭くてごめんね」
「いや、私こそ邪魔してごめんね」
「いいよいいよ。フレアは暖かいし、気持ちよく眠れそうだよ」
狭いベッドで雌雄が2匹。本来なら交尾してもおかしくないシチュエーションだが、ルナは交尾どころかキスすらしようとしない。あくまで他人だからか…。別にキスしたって嫌じゃないんだけどな…ってなに言っているんだろ。
しばらくするとルナは寝息を立てて眠っていた。そして私も夢の中へと入っていった。

翌朝。
「ん……」
朝日が差し込み、まぶしくてまぶたが少ししか開かない。そして鼻から呼吸するとルナの匂いが入り込んでくる。
もっと目を開けて目の前を見るが、ルナがいない。
バッと起き上がると、そこにルナが驚いた表情で私の方を向いていた。
「おはよう」
ルナは驚いた顔から優しい笑顔に変わって挨拶した。
「お、おはよう」
「朝ごはん食べる? …って言っても、オレンの実はなくなったからポフィンしかないけど…」
「私はなんのポフィンでも食べれるから大丈夫だよ」
「じゃあどうぞ」
作り置きしていたポフィンをルナが2つ手に取り、1つを私に渡してくれた。もう1つはルナが持っている。
「「いただきます」」
2匹が声を合わせてポフィンをいただいた。
…おいしい。好みの味ってわけじゃないけど、甘くておいしかった。
あっという間に食べ終わり、窓の外を見た。
「晴れてる…」
昨日の雨とは違い、外は晴れ晴れとしていた。これなら家に帰れる。
「じゃあ私はこれで…」
「もう帰っちゃうの? もっとゆっくりしてもいいのに…」
「ちょっと用があってね…」
「そうか…」
ルナはさみしそうな顔をしたけど、用があるから帰らなければならない。
扉へ立ち、見送りをするルナの方へ振り返る。
「…また来ていい? 昨日と今日のことで恩返ししたいから…」
不意にこの言葉が出てきた。少なからず、私はルナに好意を持っていた。彼の優しさが最も私を惹きついていた。
「いつでも何度でもおいで」
ルナも嬉しそうな表情で返してきた。私も嬉しくなった。
「ありがとう。またくるね」
扉を開き、扉が閉まるまで私とルナは手を小さく振り合っていた。

これが、2匹が出会った日。

-4-

「ルナいる?」
ルナの家の扉を叩きながらルナの留守を伺う。その後に中の方からドタドタと音がする。おそらく家の中を片付けてるのかな? 別に少々散らかってても気にしないのにな。
「いらっしゃい」
その日以降、私は何度もルナの家を訪れては他愛もない話をしていた。ルナとの話は楽しく、時が流れていることも忘れさせていた。けど、それは幸せだった。
いつの日か、私はルナに告白した。「恋人になってほしい」と。ルナは笑顔で頷いてくれた。
その日に私は初めて彼と1つになれた。
すごく幸せだった。こうした日々が続けばとても幸せだった。

ところがある日の夜、見たくない光景を見てしまった。


通いなれた街路樹の道をご機嫌に歩き、ルナの家へと向かっていた。重大な用があるわけでもなく、ただ話がしたいがために向かっていた。もうすぐルナの家だ。
ルナの家の前に付いたとき、見たくない光景が目に映った。

ルナが……誰かとキスしている……

暗くてよくわからないけど、相手はグラエナだと思う。いや、今は相手のポケモンが誰だか関係ない。
今知った事実、それはルナが浮気をしていること。
ルナがしていたキスは相手が無理矢理やるようなキスでもないようだったし、ルナも嫌がっているようではなかった。
その場にいることができなくなり、私は無言で走り出した。止め処なく流れる涙を拭くこともせずに自分の家へと走った。
家についてはベッドに力なく倒れた。
「どうしたらいいの……」
ルナとの過ごした日々が走馬灯のように蘇る。

海に行ったけど、泳げない私を怒ることなく砂浜で遊んだこと。
料理もろくにできない私においしいポフィンの作り方を教えてくれたこと。
大したこともない悩みを真剣に聞いてくれたこと。

短いようで、長い月日を共にしてきた。どれも眩しすぎて、涙が溢れ出てくる。
様々なことを考えていたが、気が付けば泣き疲れによって眠っていた。

-5-

それからはルナに会うのが怖くなって家に行くのも、外出するのも避けた。会ったらどんな顔、どんな言葉を言えばいいかわからない。家に引きこもりながらいろんなことを自問自答するが、結局ルナのことが頭から離れないでいた。
一方、ルナはルナで会いに来てくれない。私のことよりあのグラエナの方を優先しているのかもしれない。そうかもね……。
こんなすれ違いの日々を過ごしても、家にずっと居ても腹は空く。食べ物を買いに行くにしても人目を避けるように歩いている。こうしていると惨めな気分になる。どうしてこんなことになったのか。

このままではいけないことはわかっていた。だから今日ルナの家に行く。ある決心を抱えて。
そして今日は出会った日のように、夏の終わりごろで冷たい雨が降っていた。
ルナの家へ着き、扉をコンコンとノックする。今日はどたどたと音はしていない。すぐにルナが出てきた。
「久々だね。急にどうしたの?」
久々に会うルナ。なにも変わった様子は無い。私の表情を見てなんとなく察しているようだ。
「中に入って」
「……いや」
言葉が出ない。ルナが前にいると言葉が詰まって出てこない。体も震え始めている。寒いせいじゃない。怖いからだ。これから起こることが怖いからだ。
そんな私にルナはそっとキスをしてきた。あまりにも突然で驚いた。
嫌なキスではないが、どこか冷たく感じた。そのキスのせいで余計に怖さが増してしまう。
ルナは私の口元から離れ、優しい笑顔を見せる。
「入らないと風邪ひくよ?」
たしかに体は雨によって冷えているが、今は自分の体調を優先している場合じゃない。もっと大切なことを言わなければならない。
震える自分の体と唇をなんとか静止させて言葉を放った。

「私、もうあなたのことを愛してないから……」

-6-

「……え?」
嘘。本当は愛してる。でもある感情のせいでこの言葉しか出てこない。
この言葉を聞いたルナは驚いた顔をしている。当然よね。いきなりこんなことを言われているんだから。
「どうしてなの?」
「………」
自然と涙が出てきた。やはり悲しい。愛しているのにこの言葉を言わなきゃいけないことが悲しい。
「…泣いているの?」
「泣いてない……」
泣いているのを雨のせいにしているけど、心配そうな顔して見つめてくるルナ。あの頃からルナの優しさも、私の強がりもそのままなんだね。あのまま何も変わらずに過ごせてたらどんなに幸せだったか。そう思うと余計に涙が出てくる。
本当に愛してる。愛しているのに「さよなら」が言えない。未練があるってことなんだよね……。
「ゆっくり、深呼吸して。悩みがあるなら聞くよ?」
自分が悪いとでも思っていなさそうな顔している。憎いが、やはり聞かなければ私自身が納得しない。どうにか重たい口を無理やりにでも開ける。

「前に見たんだけど……、グラエナとキスしてた?」

この言葉を聞いたルナはハっと思い出し、まずそうな顔をしていた。「あぁ、浮気だ」って言うんでしょ? 私を捨てるんでしょ? でも、そんな言葉は聞きたくない。逃げ出したい。けど、ここで逃げたら答えが聞けない。逃げようとする足を踏ん張り、ルナの答えを待つ。
「あれ見てたのか……。今から言うのは真実だけど、聞いてくれる?」
言い訳を言うつもりなのかな? 本当の気持ちかどうかわからないけど、聞くしかないよね。

「あのグラエナは……たしかに彼女だった。君と付き合う前のね。僕から振ったんだけど、やはり未練があったのかな。君が来ない日にあのグラエナが来て『やり直そう』って言われたんだ。もちろん僕にはフレアがいるからやり直す気はなかったよ。でもグラエナが強情だったから、この日を最後に清算することにしたんだ。フレアが見たのはグラエナとの最後の別れのキスしているところだよ」

全てを言い終えたルナは不安そうな顔をしている。ルナの表情から嘘とは言えない。真実を言った。これは私でもわかる。だって、ルナは嘘を付くと顔に出て、目を逸らすから。でもルナの表情はまっすぐで、私の目を見たまま話してくれた。
というより、私の勘違いだったんだね。なんかすごく恥ずかしいというか、申し訳ないという気持ちになる。
そしてルナは続けて言った。

「フレア、君と結婚したい」

信じられなかった。まさかこんなときに言うとは思ってもいなかった。だがルナの顔は真剣そのものというのが伝わってくる。
「はい」
ルナと一緒にいたい一心で返事をした。返事をしてすぐに涙がまた出てきた。これはさっきの悲しい涙ではない。嬉し涙だ。
「強がりなフレアが泣いているのは似合わないよ」
涙で濡らしている私の顔をルナが舐めてくれた。少しくすぐったいけど、うれしかった。
「家、入る?」
ルナが手招きしている。もちろん拒むことなくルナと一緒に入った。


-7-

さっきまでシリアスな状態だったのに、そこから一変してこんなに幸せな気分になるのが信じられないけど事実だよね? 夢じゃないよね? 夢なら覚めないで欲しいな……って言っても間違いなく現実だね。
「結構濡れたんじゃない? シャワー浴びる?」
「うん。ルナも一緒に……」
「お、フレアから誘ってくるなんて珍しいね」
「ふふっ」
ルナとシャワーを浴びることになった。確かに私から誘うのは珍しいかな? ちょっと恥ずかしいけど、夫婦になるなら全部見せなきゃね。……ってもういろんなところ見られてるから言ってることはおかしいけど。
「今日は流すだけでいいからね」
「はいはい、いくよ」
ルナがシャワーの取っ手部分を口で咥え、ノブを右前足で回してお湯を出させる。シャワーから出るお湯が適温になったかどうかを私の足元に掛けて確認する。
「このくらいでいい?」
「うん」
ルナの表情から「熱すぎるよ!」と伝わってくるけど、炎タイプだから仕方ないんだよ。ルナが私の体全体にお湯を掛ける。
体が暖まればルナと交代。お湯の温度を下げてからルナにかける。この温度の場合、「寒くない?」と聞きたくなる。ルナが気持ちよさそうにしてるからちょうど良いんだろうね。
「ありがとう」
そう言うとルナはキスしてきた。私は素直に受け止める。
「続きはあとで」
嬉しかったけど、行為はベッドで。ルナの口と離れ、風呂場から出てタオルで自分の体の水分をすべて取り除くように丁寧に拭く。


「フレア……挿れるよ……」
「うん…きて……」
ルナの雄棒がゆっくりと私の中へと入ってくる。
「動くね」
ルナはそう言うとゆっくりと腰を前後に動かす。だがその内に雄の本能か、スピードが早まってくる。私の中で雄棒が動くたびに快楽の波が押し寄せてくる。
「んあぁぁ!!」
「ここがいいの?」
ルナが少しだけ体勢を変えたせいか、声が漏れてしまった。純粋に気持ちよかった。それがわかった途端、ルナは執拗にそのポイントへ攻めてくる。
「ルナぁ、これ以上突いたら……」
「突いたらどうなるの?」
ルナがニヤニヤしながら聞いてくる。しかも私の快楽を与えないように腰の動きも止めている。答えを言わなきゃ動いてくれないんだろうな……。
普段は優しいのに、こういうときになるといじわるになる。だけど、そういうところも好き。
「…おかしくなっちゃう」
「じゃあおかしくなろうか」
ルナの腰が再び動き出す。
「ひゃ、ひゃあぁぁぁぁぁぁんんん!!!」
いきなり高速で突くから声を殺すことができずに放出してしまい、あまりの気持ちよさに気絶してしまうところだった。
「ふふ、相当よかったみたいだね。でも止めないよ?」
私が絶頂に着いたというのにルナは休むことなく突いてくる。ルナもそろそろ絶頂になるころかな? 膣内で雄棒がビクっビクっと動いているのが感じられる。
「ルナ……私のなかに出して……」
「いいの?」
「だって、結婚するんでしょ?」
「そうだったな」
いきなりルナはキスをしてきた。本当に絶頂が近いみたい。
私はルナと離れたくない一心で四足を使ってルナに抱きしめる。ルナが離れることはないだろうけど、こうしたかった。
「そんなことしなくても離れないよ」
その言葉を言った後はルナの腰の動きがガクガクとしてきた。もう限界なのだろう。
「出すよフレアのなかに出すよ!!」
「きて! あぁぁぁぁんん!!」
「フレアぁぁ!!」
ルナの雄棒は私の奥で留まり、精液が子宮へと注ぎ込まれていく。ルナの熱いのが私のなかに入ってくる……。

「ルナぁ」
「ん?」
「キス…して……」
私のお願いに対し、ルナは私にキスをしてくれた。
「今度は…抱きしめて……」
ルナは何も言わずに抱きしめてくれた。
「ねぇお願い…離さないで」
不意に涙が流れてしまう。私にはルナが必要であり、もう離れたくなかった。
「あぁ、離さない」
ルナはぎゅうっと力強く抱きしめてくれた。少し痛いけど、心地よい。
「フレア」
「……?」

「愛してるよ。君が思うより…もっと……」

Fin


----
あとがき

初wiki投稿作品です。
表現力がないですね(^^; そのせいかストレートな文章しかかけないorz

浮気の表現と期間(文字数)が少なかったかな? とも思いましたが、あれ以上言葉が見つからないんだ……。

最後まで見てくださった方々へ。ありがとうございました。
----
コメントをよろしくです。

- この後の展開が楽しみですね。続きを頑張ってください!
――[[GL]] &new{2010-05-25 (火) 20:27:15};
- ブイズ・・・!!
続きまってます!!頑張ってください!!
――[[ブラック★]] &new{2010-05-29 (土) 19:57:04};
- 頑張って、続き書いてください
期待してます!
―― &new{2010-06-05 (土) 00:29:49};
- 凄く楽しみです~

続き頑張ってください!
――[[赤いツバメ]] &new{2010-06-14 (月) 20:16:34};
- 頑張れ~! 応援しています。
――[[ブイズがめっちゃ好きやねん]] &new{2010-06-16 (水) 23:31:57};
- 頑張れ~! 応援しています。
――[[ブイズがめっちゃ好きやねん]] &new{2010-06-16 (水) 23:32:26};
- よかったです。
気になったのですが、最後の方の「出すよ、ルナのなかに出すよ!!」
はルナのなかではなくフレアのなかでは?
―― &new{2011-01-05 (水) 16:37:49};
- すげー!
こんなにまでクールなブラッキーも始めて見ました!!
かなりハイレベルな話だなぁ!!
――[[リシア]] &new{2011-01-06 (木) 07:51:05};
- かなり遅くなりましたが返信します。

GLさん・ブラック★さん・赤いツバメさん・名無しさん>>
初投稿かつ捻りのない文章でしたが楽しめたでしょうか?

間違い指摘者さま>>
指摘ありがとうございます! 修正しました!

リシアさん>>
ブラッキーはクールなイメージなんでそのまま書いてみました。
ハイレベル…そう言って頂けうれしいです!
――[[ツララ]] &new{2011-03-27 (日) 17:03:02};
- とても面白かったです^^
幸せな感じがあり、
官能シーンも程よくエロいのがイイですね。

初とは思えないくらい、ハイレベルだと思います。
自分もブイズで書いているので
官能や感情、行動の表現方法が
とても参考になりました^^

これからも執筆がんばってください!
長文失礼しました。
――[[kazutio]] &new{2011-04-04 (月) 21:27:51};
- kazutioさん>>
官能シーンは未だにうまく書く実力がありません…orz でもお褒めの言葉を頂いてうれしいです!

ここ以外でも話を書いてたので初書きではないのです。
ポケモン小説は人間と同じように暮らす話か、野生動物のように暮らす話などバリエーションがあっていいですよね!
――[[ツララ]] &new{2011-04-24 (日) 18:12:53};
- この現代的な恋愛方法!!

ポケモン世界に当てはめると凄く良いなぁ〜

官能表現もシンプルでわかりやすい!!

ブイズが淫乱なのも尚ヤバイ!!

焦らされ興奮する!!
なんか本当にブイズが存在したらなぁ〜

なんて思えました!!
――[[リシア]] &new{2011-04-27 (水) 17:47:48};
- リシアさん>>
官能表現がシンプルというより、表現が下手なだけかも知れませんw

ブイズは淫乱でも紳士でもなんでもイメージできるのがいいですよね! もちろん、淫乱が大好きで(ry

ブイズがいたら…ゴクリ
――[[ツララ]] &new{2011-05-25 (水) 18:19:11};

#comment(パラメータ);

IP:125.13.214.91 TIME:"2012-08-04 (土) 14:13:25" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E5%A4%8F%E3%81%AE%E7%B5%82%E3%82%8F%E3%82%8A%E3%81%94%E3%82%8D" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/5.0)"

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