[[長編小説]]
人×ポケですよ・・・(注意 肛虐のシーンがありますので、苦手な方は控えてください・・・) 作 [[ピカピカ]]
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<第4話 伝思>
俺はこの日、昨日と同じで晩飯が・・・(以下省略)
理由は昨日とは違うが・・・
イナ・・・何のつもりだ・・・?あんな事するなんて・・・てかあいつあんなキャラだったっけ・・?まぁ、そこは触れないで置こう・・・。
とにかくだ・・・イナは俺に・・・キス?をしてきた・・・唇には何かまだ甘いようなキスの感覚が残っている・・・。
「・・・ノン・・?・・アノンってばっ!!」
いきなり俺の目の前にリムの顔が写った・・。当然の事ながら俺は後ずさる。
「んあっ?わわわわっっ!!何だよいきなり!!」
「早く食器片付けちゃってよ!!洗い物ができないから!!」
よく見てみれば無意識の内に飯を食い終わっていた・・。味の感覚がまったくないが・・。
「あぁ・・ごめん・・」
俺は素直に謝った。いつもとは違う俺の反応にリムは頭の上にクエスチョンマーク。
「どうしたの?何か変だよ?」
「いや、何でもない・・・気にしないでくれ・・」
俺はリムとは顔を合わさずに下を向いていた・・。
「う~ん・・・そう言われると逆に気になっちゃうんだよなぁ・・」
リムは悪戯っぽい顔を浮かべて俺に顔を更に近づけていく。
「べ、別にいいだろっ!!リムには関係ないっ!!」
俺はつい興奮してしまって、リムを怒鳴りつけてしまった・・・。リムは何も悪くないのに・・・。俺の声に反応して母さんも洗い物を中断して近くにきた。
「ど、どうしたの!?アノン!?」
母さんはめったに怒ることの無い俺に少しだけリムと同様、戸惑いを見せる。
「あっ・・・いや、何でもないんだ・・・リムも・・ごめん・・・俺・・」
俺はその場にいるのが辛くなった・・・。俺は二人に顔を合わせずに部屋に向かって走っていった・・・。
「アノン・・・」
リムはアノンの事を見えなくなるまで見つめていた。(と言ってもほんの数秒だが・・)
一方アノンは・・・
「俺・・・何やってんだよ・・・リムに当たったりなんかして・・」
ベッドの上で仰向けに寝ている俺は手を頭の後頭部に重ねて、天井を見つめていた。もっと素直になれたらな・・・リムみたいに・・
その時、ドアが静かに開いた・・。
ドアを開けた本人は紛れも無くリムそのものだった・・。
俺は上半身だけを起こしてリムを見る。
「り、リム・・・その・・・さっきはごめん・・俺・・・」
リムは俺に何も言わずに近づいてきてベッドの上に乗って、俺に跨ってきた。
「り・・・リム・・?」
「アノン・・昔はこうやって私がアノンの足に乗っかって筋トレの相手してあげたよね・・」
俺はいきなりそんな事を言うリムに疑問を持ったが、そんな事は今は気にせずに、リムの質問に答えた。
「あぁ・・・そういえばそんな事もあったな・・・」
「アノン・・その時私になんて言ったか覚えてる?」
俺は記憶を探ってみるが、全然おぼえていない・・
「何だっけ?覚えてないや・・」
つい恥ずかしさで頭をポリポリ掻いてしまう俺を見て、リムは笑いながら言った。
「あの時、アノンは私の事少し重いって言ったんだよ?」
あっ・・と今思い出した俺はなんか申し訳ない気持ちでいっぱいになった・・。
「あの時は・・・そのごめん・・・俺・・」
「ううん、いいんだ・・・私それを言われたとき少し腹がたったけど、その後にアノンに言われた事で嬉しくなったんだもん・・」
「へっ・・・?俺何か言ったっけ?」
これも記憶にない・・と・・。
「うん・・その後ね、アノンは言ってくれたんだよ?リムが重いのは体重の重みなんかじゃない・・・優しい人を思う心がぎっしり詰まっているから重いんだって・・」
「そ、そんな事言ったっけ・・?」
俺はそんな事を言っていたのかと思うと凄く恥ずかしくなってきた。
「うん・・・確かに言ったよ・・私凄く嬉しかった・・アノンにそんな風に思われていたんだなぁ~って、凄く胸がいっぱいになった・・」
俺は再び頭を掻く。恥ずかしくなるとやってしまう癖だ・・。
「ねぇ・・・アノン・・?」
「んっ・・?何?」
リムは俺の手を持って自分の胸のところに押し寄せた・・。
「うわっ!?リムッ!?何して・・・」
リムは頬を少しだけ赤く染めている・・。もちろんそれは俺だって同じだ・・。
「アノン・・分かる?私の心の鼓動・・・早くなってるの・・・アノンが言ってくれた私の心・・・感じる・・?」
それはもう嫌というほど伝わってきますよ・・・。心のドクドクといっている音・・。はっきりと聞こえる・・。
「リム・・・」
「アノン・・」
俺は段々リムの顔に自分の顔を近づけていく・・・。それに加えてリムも瞳を閉じて顔を近づける・・・。
そして・・・
チュッ・・・
俺とリムの唇は重なり合った・・・。柔らかいリムの唇からキスの温かさが伝わってくる・・。さっきのイナとのキスとは違う、互いが認め合うキス・・。
俺たちはしばらくして唇を離す・・。リムの顔はかなり赤みを帯びている。
「ご、ごめん・・・リム・・・俺勝手な事しちゃって・・」
リムは俺に対して首を横に振る。
「いいの・・・嬉しいよ・・・アノンとする事が出来て・・・」
リムは俺に跨っている状態のまま、体をもじもじさせている。俺はそのリムの行動一つ一つが可愛いとさえ思ってしまっている状態だった・・。
「り、リム・・・俺・・・」
俺はもう理性を抑える事が出来なかった・・・。俺は知らず知らずのうちにさっきのイナと同じようにリムのお尻に手を添えていた・・・。
「あっ・・・アノン・・・?」
お尻から来るゾワゾワした感覚にリムは身を震わせる・・。俺は構わずにお尻を擦りながら、揉んだりする。
「あっ・・・やっ・・・アノンっ・・・」
少しずつ喘ぎ声に似たリムの声が俺の耳に届く。
「リム・・・もしかして感じてるのか・・・?」
「うっ・・・んんっ・・・感じてなんか・・・ないもんっ・・・アノン・・・やめてよ・・・何か体が変なんだよぉ・・・」
首を横に振って喘ぎ混じりの否定をするリム。俺は少し意地悪をしたくなってしまった
。
「それは感じてるんだと思うぞ・・・じゃあもっと感じさせてやる・・」
「ふぇ・・?」
俺はリムを自分の体に寄せて、リムを抱きかかえる。リムは俺の胸の辺りに顔をうずめる状態になった・・・。
「あ、アノン・・?何するの・・?」
「こうするんだよ・・」
俺はリムを抱えていた両手のうちの片方の手を再びお尻に添える。再びリムがビクッと反応するが、俺は構わずにリムのお尻の穴に指を一本挿入する・・・。
ズプッ・・・
「いっ・・!!」
リムがさっきより大きくビクッと体を震わせる。そりゃそうだろう。何たって第2の性感帯と言われているお尻の穴に指を入れたのだから。
俺は入れた指を出し入れする。
ヌプッニュプッ・・・
「あんっ・・!!やぁ・・やめっ・・!!指出し入れしちゃ・・やっ・・」
もう穴の中は腸液でヌルヌルだった・・。段々滑りがよくなってきたから俺は出し入れすスピードを早くする。それに反応してリムの喘ぎ声が大きくなる。
「ああぁぁッ!!んんんッッ!!!いたっ・・・痛い・・ぬっ・・・抜いてぇ・・」
悲願するリムだがもうここまで来たら遅い。俺は更に指を一本追加した。
ズププッ!!
さっきよりも大きく喘ぐリム。
だらしなく口をあけ、口からは涎がツーっと垂れていた。
「ひうぅぅぅッ!!!指増やしちゃ・・・あんっ・・」
「女の子が涎なんか垂らしたらダメだぞ・・」
俺はリムの口から垂れている涎を舌で舐め取っていき、そのままリムとキスを交わす。さっきとはまた違い、今度は舌を絡ませてキスをする。
「ふむぅっ・・・!!ピチャピチャ・・・はぁっ・・・んむぅっ・・」
キスとアナルの両方攻めにリムはただ身を任せ始めるようになってきた・・・。つまりは快感に身を委ねるようになってきたと言うこと。
「そろそろイってもいいぞ・・?我慢できなくなってきただろう・・?」
俺は口を離してリムに言うが、相変わらずリムは喘いでいて、話す事もままならない感じだった・・。
「あんっ・・・あんっ・・・ううぁぁぁっ・・・お尻ぃ・・・イッちゃうよぉ・・・」
「イってもいいから・・・ほら、キスするぞ・・」
そう言ってリムと俺は再びキスをする。互いに唾液を混ぜながら荒い息でキスをする。
「ふぁん・・・い、イクッ!!・・・アノン・・・イッちゃう・・!!」
リムは口を突然離し、派手に喘ぎ始めた。絶頂が近いのだろう・・。リムの体が一際大きくのけぞると、アナルではなく、リムの秘所から愛液が放出された。
「あああああぁぁぁぁぁぁッッッッッ!!!!」
秘所から垂れる愛液は結構な量だった・・・。リムは俺の胸の上ではぁはぁ言っている・・。俺も疲れたから目を閉じる・・最後にリムがこう言った・・。
「はぁ・・・はぁ・・・アノン・・大好き・・だよぉ・・・」
俺はリムの頭を撫でて目を閉じた。
「・・ノン・・・アノンッ!!アノンってば!!」
「んあっ?」
俺は目を開けた。目を開けると目の前にはリムの顔・・。俺は部屋のベッドでそのまま寝ていた。でもさっき寝たときは夜だったのに、俺が起きてもまだ夜だった。
「何だよ、リム・・・疲れたから眠らしてくれよ・・」
リムはさっきの疲れが溜まっていないのか・・・いや、あんだけ喘いだのに疲れていないのはおかしい・・。
「お前・・・大丈夫なのか・・?」
「・・?何が・・?」
リムはとぼけた声を出している。
「何がってさっき・・・」
「さっき・・・?さっきって私に怒鳴りつけた事・・?」
「違うよ!!さっき俺とお前は・・・・あれっ・・?」
「何寝ぼけてるの?アノンが部屋に行ってからまだ10分しか経ってないよ?」
俺は部屋の時計を見てみたが、本当に十分しか経っていなかった。
さっきのは・・夢・・?
「まぁ・・・いいわ・・・さっき私に怒鳴りつけたのは許してあげる・・私も悪かったしね・・」
俺は夢の中でリムと・・・うわっ!!めっちゃ恥ずかしい・・・
「じゃあ私行くね?あんまり寝すぎると体に悪いわよ・・?」
「あ、あぁ・・・分かった」
そう言ってリムは部屋から出て行った。
部屋から出たリムはその場にへたりこんでしまった。そりゃそうだ・・・さっきアノンとやってしまったんだから・・・あまりにも恥ずかしくて時計の針を3時間もずらしてしまったし・・・。バレはしないかと内心ビビっていた。
「アノン・・・ごめんね・・・」
そう言ったリムの秘所からはまだ少しだけ愛液が垂れていた。それをリムは手で隠す。
アノンは未だ勘違い中・・・。ご愁傷様である・・・。
実際の時間は11時だった・・・。もう寝てもいい時間である。アノンは何故か体に違和感を覚えたまま、また眠りについた。
<第4話 伝思 終>
<第5話 交差(前半)>(今回はラフとイナの話?)
朝、俺は目を開けた。何か下半身辺りが湿っぽい・・・。それに何か匂いがする・・・。俺は不振に思って下半身を見てみる。
げっ・・・・・もしかしてこれって・・・・む、む、夢精・・・?
俺は昨日自分がやったことを振り返ってみる。
海に行ってイナと久しぶりに出会い、キスをされる。
帰ってから晩飯を食う。そしてリムを怒鳴りつけてしまう。
部屋に戻ってリムと・・・(顔が赤くなる)
しかし行為が終わり、寝て、しばらくして起きるとリムは平然としており、夢だった事が分かる。(勘違いだが)
寝る
現在に至る。
いくら夢の中とはいえ、リムを犯してしまった・・・。しかもそれに対して夢精する・・。最悪のケースだな、おい・・・。
アノンは気づいていないが、下半身に付いているのはリムの愛液であり、けしてアノンが放ったものではない(これ確認)
「うわ~~・・・べたべたじゃないか・・・着替えて洗わなくちゃ・・見られたりでもしたら大変な事に・・・」
俺は背筋が凍る。こんな事リムや母さんに知られたらと思うと、背筋がピーンとなってしまう・・。
そして部屋にいるリムを起こさないように部屋から出る。母さんも同様起こさないように静かに一階の洗濯機の方へ・・・幸い、ばれる事はなかった・・。綺麗に洗って干しておいた・・。
そして数時間後・・・
「あああああぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!」
俺は違う事で絶叫した。忘れていた事に今日は夏期講習の日で学校に行かなくてはいけなかった・・・。しかし残された時間はわずか24分。これから準備して行くとなれば最低でも30分はかかる・・・。諦めるか・・・
否ッ!!あきらめてなるものかっ!!何としてでも間に合って夏期講習に出てやるっ!!
何で夏期講習ごとき熱くなってるんだろうな・・・自分でも不思議なくらいだ・・・
「リム!!お前は行かないのか?」
と俺は二階にいるリムに呼びかけた・・・が、リムはしっかりしているので準備して一階に下りてきた。
「しっかりしてらぁ・・・・」
「アノンも早くしないと遅れるよ?」
さっきまで寝ていた奴に言われると何か腹立つな・・・俺はぶつぶつ言いながらも準備して、リムと一緒に家を出た。(俺は食パンを口に咥えながらだが・・・)
学校に向かう途中の道でリムが俺に話しかけてきた。
「ねぇ?アノンってさぁ・・・頭良いのに何で夏期講習行くの?」
「んあっ・・?いや、行かないとうるさい奴がいるからな・・」
そう言って俺は食パンを一口かじる。
「誰?うるさい奴って・・・」
「その内分かる・・」
俺はまた食パンを一口かじる。
と、その時後ろから聞き覚えのある声がした。
「ほら、来たぞ・・・」
「えっ・・・?」
俺が後ろを振り返るとリムも同じように振り返る。
「分かったろ?誰だか・・・」
「うん・・・分かった・・・」
後ろから来るのはポケモン一匹、人が一人。しかも二人の知り合い。
「ほらっ!!急がないと遅刻するよっ!!?」
「うるへぇっ!!元はといえばお前がいつまでたっても起きないのが悪いんだろ!!」
人の方はさっきのアノン同様、口にパンを咥えている。もう一匹の方はそいつより前に出て先を走っている。
ラフとイナだ・・・。相変わらず朝からケンカかよ・・・。
「おはよう!!イナ!!久しぶりだね?」
リムが近づいてきたイナに挨拶をする。それに気づいたイナも
「あっ!!リム、久しぶり!!アノンも久しぶり」
昨日会ったばかりですよ・・・。それともわざとか・・?
「ぜぇ・・・はぁ・・・ぜぇ・・・リムっ・・・アノンっ・・・おはよう・・」
そこに遅れてきたラフも挨拶をする。
「ラフも久しぶりだね!!おはよう!!」
今だにぜぇぜぇと息を切らしているラフ。リムはそんなラフを見て苦笑いをしている。
「じゃあ、行こっか?ほら、ラフも早く行くよ!!」
「ちょっ・・・まっ・・・置いてくなって・・」
ラフの言葉も無視して三人は学校へと向かい、何やかんやでぎりぎり間に合った。でもこの学校でまじめに講習受けてるのって俺達のクラスでもこの4人だけなんだよな・・(汗)
俺達は話しながら教室へと向かう。ラフは未だにハアハア言っている(はっきり言うとうるさい)
教室に行くと、先生がもう教室にいた。先生はカメックスですか・・・よりによって水泳部の顧問・・・気まずいったらありゃしない・・。
「席につけ・・・始めるぞ・・」
そう言って俺達は席について授業を受ける・・・。
時間が経つのが遅く感じる・・・。
窓から時折流れてくる風の音・・・グラウンドでは野球をしている小学生達・・。
って・・・俺なにぼーっとしてんだ・・・
俺はため息をつく。
ふと見るとラフは疲れて寝てる。イナは意外と真面目に授業を受けている。リムも同じように真剣に授業に参加している。その時先生がラフを思いっきり教科書の角で叩いた。ラフは頭に来る痛みによって起きた。
しばらくするとイナが手を挙げた。
「先生、具合が悪いです・・・保健室へ行って来ていいですか?」
「んっ・・?あぁ・・行ってこい。じゃあ付き添いには・・・ラフ、お前が行け」
いきなりの指名にラフは目を丸くしたが、すぐに頷いてイナと一緒に教室を出て行った。
「大丈夫かな・・・イナ・・」
俺は心配そうな顔をするリムの頭をポンと叩いた。
「そんな心配そうな顔するなって・・・あいつなら大丈夫だ。ラフもついてるからな」
「うん・・・そうだね・・・」
そう言って俺とリムだけが授業を受ける事になった・・・。
(後半に続く)
<第5話 交差(前半) 終>
<第5話 交差(後半)>
ラフとイナは二人並んで保健室に向かっていた。イナは少しだけふらつきながらもラフの前を歩いていた。その様子を見て少し動揺するラフはイナに思い切って話しかけてみる。
「な、なぁイナ?大丈夫か?」
ラフのいきなりの問いかけにイナは振り返ってラフに言う。
「心配してくれてるの・・?」
「あ、当たり前じゃないか・・・俺はお前のパートナーだぞ?心配しないわけないじゃないか・・・」
ラフが顔を少しだけ紅潮させている様子を見て、イナはクスクスと笑った。
「な、何がおかしいんだよっ・・!!」
「だって、ラフがいきなりそんな事言うもんだからおかしくって・・・大丈夫だよ?心配してくれてありがとね」
そう言ってイナは再び歩き出す、が相変わらず足はふらついていた。
「はぁ~~・・・しょうがねぇなぁ・・・よいしょっと・・」
「ひゃっ・・!!な、何っ!?」
ラフはいきなりイナを抱きかかえた。それに対してイナは焦りをみせる。
「昔からそうなんだよな・・お前は・・・心配かけたくないからって無理にがんばろうとする・・・」
ラフはイナを抱えたまま保健室へと向かい始めた。
「そ、そんな事ないって・・・私は本当に大丈夫だから・・下ろしてよ・・」
「いいからいいから、それとも俺にされるのが嫌か?」
そう言ってラフはイナの顔を見る。イナは少し赤くなった顔を背けてラフに言った。
「・・・・じゃあお願いする・・・」
そう言ってイナはラフの制服をギュッと掴んだ。それに対してラフは笑いながら言った。
「了解っ!」
イナは時折見せるラフの優しさに今回は甘える事にした。イナは依然ラフの制服を掴んだままでいる。イナはずっとこの時間が続いてくれればいいのにと思い始めていた。
が、現実は違う。すぐに保健室に着いてしまった。
「すみません~~!!先生はいますか~~?」
ラフが保健室に入ってすぐに先生を呼ぶ。がどうやら保健室の先生はいないらしい。
「困ったな~・・・しかたない、ベッドを勝手に使わせてもらうか・・」
そう言ったラフは保健室の奥にあるベッドにイナをそっと置いてあげた。
「あ、ありがと・・・」
「おう、気にすんな。じゃあ俺戻るから、先生が来るまで休んでろよ?」
ラフはイナに言うと部屋を出ようとする。
「あっ・・・ラフ・・・」
イナが突然ラフに呼びかける。ラフはドアノブに手をかけたまま振り返った。
「どうした?イナ?」
ラフはドアノブから手を離して、イナの寝ているベッドに再び歩み寄る。
「あ、いや・・・その・・・もう少し傍にいてほしくて・・・ダメ・・?」
イナが顔を紅潮させながら、ラフに言う。その予想外の反応にラフは驚いて目を丸くしていたが、すぐにラフは近くにある椅子に座ってイナに言った。
「いいよ、先生が来るまで俺がいてやる」
「うん、ありがと・・」
「お礼なんていいからお前は寝てろよ・・?」
そう言ってラフはベッドの布団を寝ているイナにかけてあげる。
「「・・・・・」」
二人はしばらく黙っていたが、突然ラフが立ち上がってイナに顔を近づける。
「・・・ラフ・・?」
いきなり顔を近づけるラフにイナは少し動揺する。
「イナ、ちょっと目つぶってて・・・」
「えっ・・・な、何で・・?」
「いいから・・・」
いつもとは違うラフの表情にイナは圧倒されて目をつぶってしまう。イナは少しだけ次に何が起こるかを予想していた・・・。このケースは・・・キス・・・
いつラフが来てもいいようにイナは心の準備を整えていた。
コツンッ・・・・
コツン・・・?イナはおでこにちょっとした違和感を感じて、目を開けてみた。ラフはイナと自分のおでこを合わせていた。
「ん~~~熱はなさそうだなぁ・・・さっき走って疲れたのかもしれないな・・」
イナは自分の考えを粉砕(?)されて少しだけ落ち込んだ。そして何より早とちりしてしまった自分が恥ずかしくなっていた・・・。その様子をみてラフはイナの顔を覗き込んだ。
「イナ・・・?どうした?」
「もう・・・バカぁ・・・」
イナは少しだけ目に涙をためて、目を潤ませていた。その目にラフは少しだけドキッとした。
「ど、どうしたんだよ!?イナ・・今日のお前何か変だぞ?」
「・・・・うぅ・・・・」
いつものイナだったらここで俺に怒鳴りつけているはずだ・・・それなのに今日は何か違う・・・。もしかしたら、心の底ではかなり怒っているのかも・・・。
そう考えたラフはイナの後頭部に手を置いて、自分の胸板の辺りにイナの顔を寄せた。
「・・・?ら・・ふ・・・?」
イナがラフの顔を見る前に、ラフはイナを抱きしめていた。
「・・・・!!」
イナは突然のことに驚きを隠せないでいたが、次第にイナ自身もラフを抱きしめ返した。
「・・・・ごめん・・・」
ラフがいきなりイナにこう言った。イナは何故と思ったが、今は気にしないでラフに言った。
「・・・い、いいよ・・・別に・・・」
何分、いやほんの数秒かもしれない・・・。二人は静かに体を離した。
「昔にもこんな事したっけなぁ・・・・・」
突然ラフが言い出す。
「えっ・・・そうだっけ・・?」
「あぁ・・・お前とケンカした時はいつも俺が謝ってばかりでさ・・・最終的にはお前が最後にいつも俺を抱きしめてた・・・」
そういえばそんな事もあった、と思うイナ。今では恥ずかしくてそんな事出来るわけがない・・・(じゃあ、何で昔はやっていたのだろう?)
「でも、今はケンカなんかしてないじゃない?何で抱きしめたの?」
イナが首をかしげると、ラフは頬をポリポリ掻いて言った。
「いや、お前が怒ってるんじゃないかなと思ってさ・・・いや、違うな・・・可愛いと思ったからかな・・・」
イナはラフにそういわれて顔を真っ赤にする。
「な、何言ってるのよ!?そんな冗談・・」
「じょ、冗談なんかじゃねぇよ!!本当のことだよっ!!あっ・・・」
ラフは言ったあとに顔を真っ赤にした。イナはビックリして、何も言えなくなっていた・・。そしてもう我慢の限界に来ているラフはイナに言う。
「い、イナ・・・俺は・・・」
と、その時ラフの唇は何かによって塞がれた。
「んっ・・!!?」
目の前を見るとイナの顔があった。ラフの唇はイナの唇によって塞がれていた。
「んっ・・・ふぅっ・・・」
イナの息の荒い声がする・・・。最初はラフも抵抗していたが、次第にキスに溺れていく・・・。
「ぷはっ・・・はぁ・・・」
しばらくして唇を離した二人は呼吸を整えようとしていて、またしばらくしてから呼吸を整えたイナが再び話しかける。
「今日はこれまでね・・・今したら後から水泳に影響でるかもしれないし・・」
「これまでって・・・この後にする事があるのかよ!?」
ラフは驚きを隠せないでいた。いきなりキスをされてからの追い討ちに、これは誰だって驚くだろう。
その時、保健室の扉が開く音がした。入ってきたのはアノンとリムだった。
「大丈夫?イナ・・・」
リムが心配そうにイナを見る。
「うん、大丈夫だよ?ごめんね、心配かけちゃって・・」
イナは少しだけ顔を下に向けていた。
「ううん、イナが元気そうで良かった!!ねっ?アノン」
アノンは静かに何も言わずに頷いた。冷たくしてるような態度だがイナにはアノンがリムと同じくらい心配しているのが分かった。
「それにしても疲れたな~~・・・イナのお守りは・・・」
ラフが冗談混じりで言うと、イナの体から少しだけ稲妻が走る。
「何か言った・・?」
「いいえ、何も・・・」
ラフは身の危険を感じて口にチャックをする。少しだけ沈黙が続いたが、リムが沈黙を破るようにこう言った。
「そうだ!!後四日後にはお祭りがあるよね?それ皆で一緒に行かない?」
リムが突然お祭りの話を切り出す。
「えっ・・・?私とラフは別にいいけど・・・リム、アノンから聞いてなかったの?お祭りの事・・」
「えっ・・・そうなの・・?」
アノンはヤバイといった表情で静かに部屋を出ようとした。その時リムがアノンを呼び止める。
「ア~~ノ~~ン~~?どういう事・・・?」
「あっつ・・・いや・・その・・・ごめんっ!!」
そう言ってアノンは部屋を思いっきり飛び出す。それを追いかけるようにリムも部屋を飛び出る。
「こらぁ~~~ッッッ!!!待ちなさ~~い!!アノン~~!!」
「俺が悪かった~~~!!許してくれ~~!!」
その声を保健室から聞いていたラフとイナはお互いに笑っていた。
<第5話 交差(後半) 終>