ポケモン小説wiki
ポケモンライダーチャリザード の変更点


#include(第十八回短編小説大会情報窓,notitle)

この小説には&color(white){スリット、小スカ(尿)};の描写が含まれています                                written by [[慧斗]]

#hr


「目的地まで7020キロ」
「7020キロ⁉」
「いや『南西20キロ』だ、ダイレクトに行くから報酬は高いぞ?」
「了解、それなら余裕だ」
 セキエイ高原上空を飛行していたリザードンとそれに乗るトレーナーは南西に進路を変更、降下しながら加速して飛翔する。

「数が多すぎるな…!」
 近くの洞窟でトレーナーが野生ポケモンと交戦中だが、ゴルバットの数が多すぎて手持ちのカイロスも苦戦中。
 そんな時、遠方からの火炎放射がゴルバットの群れを一掃した。

「ケタックさんですね?お届け物です」


*ポケモンライダーチャリザード [#hBAkTJi]


「届け物だと?」
 ケタックと呼ばれたトレーナーはカイロスをボールに戻して怪訝そうな表情を浮かべる。
「はい、プラズマ所長って方から小包の配達を頼まれたので」
「やはりそういうことか、チベット…」
 送り主を説明すると納得したらしくタブレットの受取確認画面を押す。
「それではこれで」
 それだけ言うと洞窟の外に出た。

「とりあえず今日はこれで終わり…今アーマルドが洞窟に入らなかった?」
「そうか?俺は何も…」
「ウワァァァァァァ!!」

「…帰ろっか」
「…ああ」
 ケタックの心の叫び(悲鳴)をBGMに俺はヒワダタウンの家に向かって飛び立った。


「遅くなっちゃったけど今日もお疲れ、イザード!」
 普段ならもう寝る時間で少し疲れたが、労いの言葉を聞きながら飛行用ハーネスを外される感覚にリラックス。
 日常的にポケモンに乗って空を飛ぶ事を楽しむトレーナー、通称「ポケモンライダー」は個人でカスタムしたハーネスやスーツを身につけて空を飛び、それぞれのスーツやハーネスを自慢に思っている。
 俺のトレーナーのスバルもその一人で、機能性とデザインを両立させたハーネスやスーツを作成している。
 俺のハーネスはブラックとシルバーを基調に色々を合わせたシートやハンドル、ヘッドライトとテールランプは光源だけでなく雨天時に顔や尻尾の炎を守るバイザーとしての機能を両立している。
 見た目はかなり重そうが、俺の動きやすさを最優先にしているらしく軽量素材を使用して、常に負担にならないように微調整してくれている事には感謝している。
 スバルのライダースーツは黒が基調でシルバーのプロテクターにアクセントの赤いライン、黄色のバイザーにアンテナの二本立った黒のフルフェイスヘルメットといった感じだ。
 俺のハーネスとデザインを似せたらしいが、ベルトのスイッチを入れるとバイザーとラインが発光するという謎ギミック搭載だ。
しかもハーネスの左ハンドルに仕込まれた着地誘導用の特殊警棒も赤く発光するため、夜間に発光ギミックを全て起動させると地味に綺麗だ。

「そうそう、明日は配達の前にアサギシティで別の依頼来てるから朝早いよ」
「別の依頼?配達じゃなくて?」

 俺たちの様なポケモンライダーの中にはフリーで荷物を配達する仕事をしているライダーも多く、段ボール一個程度の荷物や同じ地方の中での配達なら、大手のメーカーに依頼するより早く当日中に届けられるため、ここジョウト地方では密かなブームになっている。
 配達の依頼を受けたら依頼人の所へ向かって届け先を聞いて荷物と料金を受け取り、届け先の家まで運ぶか本人の所までダイレクトに飛んで届けに行く。
 流石に本人の所まで飛ぶのは料金が高くなるが、確実に届けられるのは大手のメーカーにはない強みだ。
 そして配達が完了したら依頼人にメールを送って完了。
 少し複雑だけど、タクシーに乗る時をイメージしたら分かりやすいかもな。
 俺とスバルはブームになる前から始めていたことや配達での実績もあってエリート扱いされる事も多い、もしかしたら地元メディアの取材かもな?

「それは明日のお楽しみ、今日は執筆するから先に戻るね、おやすみ」
 それだけ言ってスバルは部屋に戻ったので、俺も木の実を数個食べて眠ることにした。


 翌朝、アサギシティの灯台に来ていた。
「スバルさんとイザード君ですね、少々お待ちを」
 受付の人が奥に入ったので欠伸しながら待つ。
「お待たせしました、こちらを一週間着用して配達お願いしますね!」
 受付の人はスバルに何かを渡して仕事に戻ってしまった。

「イザード、ハーネス付け替えるよ」
「このハーネス、変な構造だな…」
「縦に走るメインのハーネスが手足に繋がってるからね、動きづらくない?」
「腹に密着してるけど手足と羽はちゃんと動かせるぜ」
「なら良かった、とりあえずは大丈夫そうだね」
「にしてもこの素材はなんだ?初めて見るけど…」
「帆布。アサギシティの町おこしの一環で、帆布でトレーナー用品を色々作ったんだってさ、ハーネスもその一つ」
 つまりこれを付けて新作ハーネスの宣伝をしてくれってことらしい。別の依頼って宣伝の依頼か!

「帆布の手触りはいいし、背面にバックパックとタブレットのホルダーあるのは地味に助かるな!」
「それはいいけどさ、スバルは着替えないのか?帆布のライダースーツとかに」
「いや、渡されたのは帆布ハーネスだけだから、僕は今日もお手製ライダースーツ」
「そうか…」
 俺だけハーネスが変わるのが少し寂しくて聞いてみたが、残念ながら今日も同じスーツのままらしい。超アンバランス…

「さて、配達の依頼もこなす、宣伝の依頼もこなす、両方やらなくっちゃあならないってのがポケモンライダーのつらいところだな、覚悟はいいか?」
 飲みかけのロズレイティーを俺に渡してスバルは聞いてくるが、これに対する答えは一つ。
「俺はできてr」
「答えは聞いてない!」
 そっちか…

「それ飲み終わったら出発、早速配達の依頼だ」
「すぐ飲み終わるからもうちょい待って!」
 スバルが俺に乗っているうちに急いで飲み干して、ボトルを捨てれば準備完了。
 一度大きく羽ばたいてから勢い良く飛び上がった。


 あれからほぼノンストップで荷物を輸送しながら飛行中…
 朝から依頼人から荷物を受け取り、それを届けているうちに正午はとっくに過ぎてしまった。
 普段なら正午過ぎには一度ポケモンセンターに立ち寄って休憩することも多いのだが、今日はいつもより配達の依頼が多くてそんな暇もない。そろそろ休みたいから嬉しい悲鳴だ…!

「とりあえずこの配達終わったらポケモンセンターで休憩する?イザードも疲れたでしょ?」
「ああ、ちょっと疲れたし喉も乾いた…」
「了解、とりあえずタンバシティに行ってその荷物届けたら休憩だね、あと15分頑張ろう!」
 背中のホルダーに入れたタブレットを操作して目安時間を割り出してくれたらしい。目安時間が分かるのは結構ありがたいしタブレットホルダー付きなのは結構ありかな、なんて思いながら進路をタンバシティに変えた。


 海沿いの民家に住むトレーナーに荷物を届けて配達の依頼は完了。
「お疲れ、今のところ依頼は来てないからポケモンセンターで休憩しようか」
「待ってました!」
 普段より遅くはなったがこれで休憩できる…!

 スキップしたくなる気持ちを抑えて嬉々としてポケモンセンターに入ろうとした時、スバルのスマホの着信音が鳴り響く。
「はい、了解です。キキョウシティですね、受け取りに行きますので少々お待ちを…」
 あっ…

「ごめん、新しい配達の依頼が来たからポケモンセンターでゆっくり休憩する時間なくなっちゃった!」
「配達の依頼なら仕方ないよな…」
「でもちょっと待ってて、すぐ戻るから」
 それだけ行ってポケモンセンターに入って行き、数分後冷えたサイコソーダとミックスオレの缶を持って来た。
「ゆっくり休憩、はできないけど飲み物で一息つくぐらいはできるからね、どっちがいい?」
「サイコソーダ、喉渇いてたからスゲー助かる!」
「OK、はい」

 プルタブを開けて渡されたサイコソーダを勢い良く飲む。すっきりした甘さと喉を流れる炭酸の刺激が心地良い。
「半分だけどミックスオレも飲む?」
「いいのか?ありがたく頂こうかな!」
 すっきりした味のサイコソーダは喉の渇きを潤してくれて、甘いミックスオレは長時間の飛行の疲れを癒してくれる。
「それじゃ、次の配達の依頼も頑張りますか!」
 本当はもう少し休みたかったけど配達の依頼もあるからそんな事は言ってられない。
 次の目的地に向けて勢い良く飛び立った。


「今日はいつもより配達の依頼が多いね、ジョウトに住んでそれなりに経つけど荷物を送りあうような行事とかあったかな?」
「さぁ…」
「だよね、ちなみにあと一件依頼を達成すれば普段の儲けを超えそうだよ」
「マジか⁉マジで⁉」
「マジだね、これもイザードの頑張りのおかげだね」
「そうか…?」
 天然なのにたまに俺が照れるような事を不意打ちで言ってくるスバルはちょっとズルい、なんて思いながら乱れそうになった飛行フォームを整える。

「それじゃ、今日はガッツリ稼ぎますか!」
「お、おう…」
 少し気乗りしない本心が漏れ出しそうな声でヨシノシティに向かって降下する。

 気乗りしない理由は別に大したことじゃない、「尿意を催してる」ただそれだけだ。
 朝早くから飛び続け休憩もないので、朝の一番搾り以降用を足してない。
 まぁ、大丈夫だろ。スバルに言い出すのは恥ずかしいけど、いずれポケモンセンターで休憩するからその時すればいいし、俺だってもうガキじゃない。

「おっ、噂をすれば依頼が来たな、ポケスロンドームに荷物を届けてフスベシティに直行するぞ!」
 スバルはいつもより多い配達の依頼にご機嫌そのもの。
 とりあえずこの荷物を届けるべく、飛行ルートを変更した。


「ケイスケさんですね?こちらTシャツのお届け物です」
 今度はチョウジタウンのトレーナー宛の届け物。
 俺は「ポケモンセンターに寄る時間はないけど、お客さんに荷物渡してる間に少し休んでね」、とサイコソーダを渡され待機中。
 本当はポケモンセンターで休憩してその間に済ませる、って算段だったけどそうも行かないらしい。
 さっきよりも少し下腹が張ってきたような気がするし、喉が渇いた時に美味しいサイコソーダもちびちびとしか飲めない。
 でも今日の配達は午後7時までで確か今の時刻は…
 10数メートル先の建物の外壁に設置された時計があった、ちょうど午後4時半をまわったところって感じか。
 あと2時間半、配達のペースを遅らせることなくこの尿意に耐えきる、俺にならできるはずだ…!

「完成したのか、私のエクササイズ公式Tシャツ」
「エクササイズ?フィットネスの方のトレーナーさんですか?」
「ちょっとエクササイズ動画を投稿していてな、投稿から半年で753回再生、高評価も315だ」
 …得意げに言うけど、それ多いのか?
「…それはすごいですね!」
 スバルも苦笑い。
「そうか?ならばもっと褒めなさい、そして君も私のチャンネルを登録して193人目の登録者になりなさい!」
「僕はまだ次の配達がありますので僕はこれで…」
「そうか、ならば、『その脂肪、神に返しなさい!』」
「…なんですかそれ?」
「私の動画のラストでいつも言う言葉だ、君も私のような健康な肉体を…」
「ああ、行くよイザード」

 …かなり変な人だったな、ってかさっきの時計のあった建物よく見たらポケモンセンターじゃねーか!
 畜生、どう考えてもこの間にポケモンセンターで用を足して帰ってこれたはず、その事に今更気づいてポケモンセンターを名残惜しく思いながら飛び立った。


 そろそろ日が沈むって頃になって暑い曇が出てきた。
 日が隠れると上空の気温も少し冷えてきて、それがまた地味に膀胱を刺激してくる。
「イザード」
 スバルは気づいてないみたいだけど、さっきからさりげなく足を閉じていないと飛ぶのも辛くなってきた…
「イザード!」
 もういっそスバルに頼んでポケモンセンター寄ってもらうか?いやスバル相手でも恥ずかし過ぎる…

「イザード!!」
「お、おう!どうした?」
「さっきから反応ないけど大丈夫?」
「悪ぃ、ちょっとボーっとしてた」
「そっか、今日はちゃんとした休憩も取れてないし、天気も悪くなってきたから今日は早めに切り上げる?」

「…いいのか?」
 思わず「是非!」と答えたくなったのをぐっと堪える。
 俺はもうガキじゃないし、我慢できないとか悟られたくない…
「今日は普段以上に稼げたからね、6時25分…6時半までに配達の依頼来なかったらポケモンセンターに寄ってから美味しいもの食べに行く?」
 理想的なシナリオを提案されて無言で頷く。
 あとはこの3分間に全てを懸ける…!

 残り2分30秒、今のところ順調…!
 残り1分25秒、何故か嵐の前の静けさに感じる…
 残り30秒、頼む、このまま過ぎてくれ…!
 残り10秒、あと少しだ…!

 背面のタブレットから鳴り響く着信音。
 残り9.8秒、それが俺の絶望までのタイムだった…

「なぁ、スバルはトイレとか行かなくて大丈夫なのか…?」
 何となく嫌な予感がして遠回しに誘導してみる。
「何回か行ってるから大丈夫だけど、どうかした?」
「ほら、休憩してないからさ…」
「色々心配させてるね、時々ポケモンセンターの自販機で飲み物買った時に済ませてるから問題ないよ」
「おぅ…」
 誘導作戦失敗。
 朝のロズレイティーに始まりサイコソーダにミックスオレ、それらのせいで俺の膀胱はかなりヤバいってのにスバルは原因だけ作って華麗に回避かよ…!
 話が終わってしまい余計に言い出しづらくなったし、何とか配達を終わらせてこの張り詰めるほど痛くなった膀胱の中身を無事に解放する、俺が助かる道はそれしかないらしい。


 15分程度の配達時間をここまで長く感じた事はない。
 キキョウシティからエンジュシティまで筑前煮の入ったタッパーを届ける程度、普段なら準備運動みたいなものなのに、尿意のせいで激しい空中戦をした後みたいな疲労を感じている。
 これ以上飛行速度を上げたら間違いなく膀胱は決壊する。
 さっきから我慢を続けての飛行で息は荒くなり、相対的に飛行スピードも落ちてどちらかの手はスリットのある場所に固定。
「イザード、息荒いよ?ちょっと具合悪い?」
 荒くなった呼吸でスバルは俺の異変に気づいたらしく、近くの陸地に緊急着陸。
 あ、勢い良く着地したせいでちょっとちびった…
 それを認識して一気に冷や汗が出てきた…
「なんか息荒くなってるけど何かあった?」
「スバル、俺…」
「ん?」
「じつは、その、ずっと我慢してたんだよ…!」
 直接的な表現で言うのは恥ずかしい、けど今言わなきゃ決壊しそうで苦し紛れの折衷案で限界アピール。

「そうだった?ポケモンセンターで休憩とか…」
 普段は天然な言動の多いスバルの表情が一瞬で真剣になる。
 ポケモンセンターに寄って休憩や回復をしていない代わりに利尿作用の高いロズレイティーやサイコソーダ、ミックスオレを沢山飲んでいて、なおかつ多忙で今日はポケモンセンターに寄ってないために朝の一番搾り以降一度も用を足してない…
「ごめん、言い出し辛かったね。もうちょっとだけ我慢してられる?」
 黙って頷くとスバルはタブレットで素早く何かを検索する。
 こんな時スバルは馬鹿にしない奴なんだからもっと早く言えば良かったな…
 って何で漏らした後みたいな事考えてるんだよ俺は!

「ちょうどここから200メートル先に32番道路沿いのポケモンセンターあるよ!しかも直線距離でね!」
 200メートル、そのぐらいならギリギリ飛べそうだ…!
「今高いとこだし一気に行くよ!」
 最後の力を振り絞る様な思いで飛び立つと、すぐにポケモンセンターの灯りが見えた。ここからなら低空飛行で一気に中に入れる…!


「!」
 虚空に浮かぶお馴染みのエフェクトに内心絶望する。

「めとめがあったら ポケモンバトル!」
 最悪のタイミング、ポケモンセンターまであと10メートル程度だってのに…!
「すみません、ちょっとこの子具合悪いんでバトルは他の人として貰えませんか?」
「そのリザードン今普通に飛んでたじゃん!ウソつかないでよ!」
 スバルが交渉してくれたがトレーナーの少年は聞く耳を持たない。
「ほら、一万あげるからお願い!」
「ダメだね、一万も持ってるならバトルで全額貰ってやる!」
 どんだけ金に執着してんだよこのガキ…!

「それと欲しくないけどお前の着てるそのダサいスーツも貰って裸にしてやろうかな~?」
あっ、逆鱗…
「テメ―、今なんつった⁉」
 スバルに限らずポケモンライダー達にとってはお手製のスーツやハーネスをけなされる事は逆鱗に触れるのに等しい。

「おい小便臭いクソガキ、ポケモンライダーに対するスーツやハーネスの侮辱は仗助の髪型をけなしたり、シャアに『赤いモビルスーツはダサい』って言う程度には命取りだぜ…さぁ、お前の罪を数えろ!」
 スバルの手にはキーストーン、Zパワーリング、ダイマックスバンドのフル装備。
 結局バトルするのかよ!ってかジョウトでダイマックスは無理だろ…

「望むところだ、行けニャオハ!」
 ポケモンライダーを知らない時点で予想してたけどやっぱ他の地方からの観光客だったか…
 とにかく、相手も一匹ならここは火炎放射でさっさと…!

「甘ったるい臭い垂れやがってよ…ライダーに喧嘩売ったらどうなるか教えてやる、イザード、メガシンカだ!」
「ゑ?」
 とにかくスーツをけなされた事が頭に来ているらしく、気がつくと俺はメガリザードンYになっていた…
「さぁ、地獄を楽しみな!」
 どう考えてもオーバーキルな戦術に流石の俺も内心啞然としている、よっぽど怒ってるな…
 スバルのクロスした腕に輝くZパワーリングと炎Z、最初からクライマックスかよ!
 Zパワーが体に集まる感覚で尿意が少し楽になった気がしたが、多分一時的だ、膀胱を決壊させないように解き放つ!

「ダイナミックフルフレイム!」

 メガシンカで底上げされた力でZ技にタイプ相性や天候も重なり、着弾地点半径5メートルの草もろとも消し炭とかいう割とえぐい結果になった。
「ああもう、覚えてろ!ニャオハ、どこ行っちゃったの⁉」
 多分無事ではないと思うけど、少なくとも灰になってないといいな…


「イザード、ポケモンセンターはもう目の前だよ!」
 対戦相手が離れて行ったことでメガシンカと天候が戻り、普段の姿に戻る。

 けれど、メガシンカとダイマックスにZ技を同時に使って体や膀胱括約筋に上手く力が入らない…
 バトル中のも合わせて数えたら今ので多分5回ぐらいちびってる…
 さっきよりさらに量も多いし、ポケモンセンターまでの10メートルすら決壊せずに動ける自信がない…

「ねぇ、今誰もいないしここでしちゃう?」
スバルが本当に決壊しそうになった俺に聞いてくる。
「誰か来ないか見張っててあげるからしておいで!」
 それを聞いて、数歩歩いた先の物陰に狙いを定める。
 朝からずっと我慢し続けたけど、ようやくスッキリできる…!
 あとは下腹のスリット部分から竿を…


「おい、嘘だろ⁉」
 スリットのある位置にハーネスがあって、それが邪魔で寸止めを喰らうなんて考えもしなかった。
 昨日付けてたスバルの手作りハーネスは、俺のスリットのある場所にはハーネスにもスリットが付けられていて、ハーネスを付けたままでも用を足せていた習慣が裏目に出るなんて…!

 ハーネスを左右にずらして竿の先だけでも出せないか試したが、幅広のハーネスは体に密着してできそうにない。
 思わずハーネスの帆布を爪で切ろうとしたが、これは宣伝用だからうっかり破ったら宣伝の依頼をこなすどころか弁償かもしれない。
 焦ってるうちに竿の先からは尿がじわじわと漏れ出してくる、もうダメだ…

「イザード、どうしたの⁉」
「ハーネス外してくれ!スリットの邪魔になって出せねぇ!」
 自分でも涙声になってるのがなんとなく分かる。
 でも本当に漏らしそうだからそんなこと気にする余裕もないけど…!

「ちょっと待てよ…マジか、これ背面で全部繋がってるから前面スリットないなら全部外すしかないのか…!」
 なんか今不穏な単語が…

「イザード、11秒だけ我慢してて」
 スバルの冷静な言葉を聞いて、マイナスの思考は完全停止、カウントダウンに集中した…

「11、10、9」
 背面のホルダーの下にあったメインの留め金が外される。背中に付いていたシートやハンドルが外される―

「8、7、6、5」
 翼や手足に繋がった細いハーネスを外していく。一瞬も油断できない一秒は永遠にさえ感じられる―

「4、3、2」
 首と尻尾に通っていたメインのハーネスを繋ぐ輪が外される。あとはスリットを覆い隠すメインのハーネスだけ、そう考えると急に尿意が今まで以上に強くなってスリットの中が少しずつ温かくなって―

「いc」
「お待たせ!」
 ゼロより1を言う前にスリットを隠していたのを含め全てのハーネスが外される、そしてその直後にようやく解放された竿の先から本流が溢れ―


「はああああああっ…!」
 決壊する直前に、半日貯まり続けた膀胱の中身をようやく解放できた。
 尿道が痛くなる程の水流はハイドロポンプだと言われても信じそうなレベルで草むらに降り注ぎ壁を濡らす。
 右手で濡れた竿を持ちながら思わず排尿の快感に浸る。こんなに我慢してたなんて自分でも驚きだ…

「ごめん、こんなに我慢させちゃってたんだね…」
 一分以上続いた放尿も終わり、膀胱の中身を出し切った快感の余韻に浸ってるとスバルが謝ってきた。

「今日はちゃんといつも以上に稼げたんだろ?」
「そりゃ、今日は普段の三日分くらいは…」
「だったら晩飯に何か美味いもの食わせてくれよ」
「それでいいの?」
「OKだ、にしても11秒って言ったけど10秒で全部外せたんだな」
「いや、10秒もあれば全部外せたけど10秒の時点で油断しちゃったら大変だから1秒は保険」
「そうか…」
 確かに10秒と言われたら10秒の時点で気が緩んで本格的に出し始めていたかもしれない、そこまで考えてたなんてスバルには頭上がんねぇな…

「ありがとう、それにしてもポケモンセンターにマーキングとはイザードも隅に置けないね」
「マーキング?」
 暗くて気付かなかったがよく見ると目の前にポケモンセンターがあり、俺はその手前の草むらと壁に向かって気持ちよく放尿していたらしい。
 数分前までここで涙目になってハーネスに悪戦苦闘していたのが不思議な感覚。
 ある意味では「ポケモンセンターで用を足す」ことはできたのか?

「スッキリした?」
「まぁ、そりゃな」
「なら良かった、イザードの飛行速度なら多少忙しくても飛ばせば巻き返せるから今度から我慢できなくなる前に言ってね」
 小さい子供に言う様な言葉と共に頭を撫でられて赤面する。

「じゃあポケモンセンター寄ってからご飯食べに行こっか」
「今更寄る意味あるのか?」
「スリットの中、洗わないと濡れて気持ち悪いでしょ?」
「確かにな…」
 言われて気づいたが、何度もちびり続けて濡れたスリットの中は結構気持ち悪い…

「それに、これも洗っとかなきゃね」
 笑いながら窓の外の灯りでスバルが見せたのはさっきまで俺が着けてたハーネス。
 そしてスリットのあった場所には大きな黄色いシミが…

「おい、待て、恥ずかしいから見せびらかすな!」
「大丈夫、アサギシティの担当の人には『スリットの上をハーネスが覆うならハーネスにスリットを入れないと長距離を飛ぶポケモンが漏らしてしまいます』って伝えとくから」
「なるほどそれは大事だな、ってそれだと俺が漏らしたみたいじゃんか!」
 慌ててスバルを追ってポケモンセンターの中に入る。

 尻尾の炎が俺の尿に濡れた草むらと壁を一瞬照らした。


「さてと…」
 イザードも夕飯とデザートで満足して今は夢の中。
 パソコンの画面には限界放尿中のイザードの動画が映る。
 タブレットのヘルスアプリでイザードが昼過ぎから尿意と戦ってたことは把握済み、性格を踏まえれば限界まで我慢することは想像通り。
 トレーナーの邪魔は入ったがお目当ての品は手に入った。

 イザードがヒトカゲだった頃から食事、運動、排泄などの世話をしている時に不思議な感覚を覚えていたが、リザードンに進化した時確信した。
 自分はこのポケモンによって性癖が歪んでいた事に。
 普通じゃないことは自覚してるが後悔はない。
 最近はリザードンの魅力を広めるための創作活動を始めて官能小説も書いている。
 今日撮影した動画も創作資料であると共に…

「あいつの前では普通のトレーナーと騙る“ライアー”、か…」

 一人呟くと昂ぶりを鎮めるために動画を巻き戻した。



#hr

後書き


 どうも、三度目の挑戦にしてようやく票を頂けた[[慧斗]]です
 今回は作品数28作・総票数95票というかなり大規模な大会で色々寝付けないぐらいに不安だったけど、4票も頂けて本当に諦めなくて良かったな、なんて気分です…
 投票してくれた4名の方、及び票を貰っていると教えてくれた[[某氏>P-tan]]、この場を借りてお礼を言います、本当にありがとうございました…!
(ずっと0票続きで喜びもひとしお…)


 とりあえず本編の話に触れるとして、作品のできたきっかけとしてはハーネスを付けて荷物を運ぶリザードン→ライダーって方向性はまとまったけど、ハーネス単体だと今一つインパクトに欠ける…
 とか思いながらモンエナ片手に悩んでた時に、wiki勢にも伏せていたケモナー以外のもう一つの性癖が頭をよぎったのが全ての始まりだったりする…


荷物を運ぶのに忙しくてトイレ休憩する暇もないリザードン
↓
休憩代わりに回復ドリンクをいっぱい飲まされ普段より配達の時間が伸びて我慢の限界
↓
やっとできると思ったらハーネスがスリットの位置にあって邪魔で出せない

 このストーリーならハーネス要素を有効活用しつつ、前回上手く行かなかったスリットネタにもリベンジできるって事に気付き、完全にこの流れで行くことが決定してしまった…
(ちなみにスバルがハーネスを外すのが間に合わなくて漏らしてしまうのもオチとして悪くない気はしたけど%%個人的には限界放尿の方が抜けるので%%今回は没)

 あとはライダー要素を維持するためにライダーネタを仕込みまくってお約束のバトルシーン挟んで完成!って具合に趣味と性癖で作った小説になってます
(ライダーネタは知らなくても読めるレベルなので知ってる人だけ笑ってくれたら本望)
(ライダーネタは知らなくても読めるレベルなので知ってる人だけ笑ってくれたら本望&興味ある物好きな人は[[ここへ>ポケモンライダーチャリザード 元ネタ解説]])



ここからコメント返信(初めてなので上手く出来てるか不安)


趣味嗜好に溢れていて何より (2022/07/08(金) 00:10)
>>ありがとうございます。
 自分でもトップクラスに趣味嗜好を詰め込んだ自覚ありです。

リザードンのハイドロポンプは熱湯みたいに熱く滾ってそうですね! (2022/07/09(土) 16:08)
>>熱湯みたいに熱くてハイドロポンプみたいに滾ってそうですね。
 しかも限界まで我慢したから更にすごいことに…!

永遠の課題ですね。配達中のトイレ問題。まあ、人間だと長距離の場合は途中でトラックごとカーフェリーに乗ってしまうこともありますが、ポケモンじゃそうもいきませんもんね (2022/07/09(土) 16:32)
>>生理現象である以上課題として存在し続けそうですね…
 安全な配達ラインを維持するためにもポケモンのトイレ休憩もお忘れなく…!

これは酷いと思いつつも実際ライドリザードンのエロさは変えられない事実なのですよね……。 (2022/07/09(土) 22:20)
>>いやもう全くもっておっしゃる通りです……!!!(いろんな意味で)
 ただでさえエロいポケモンにハーネスなんて装着させたライドリザードンはエロいの一言に尽きます…!


個人的には出し切った(意味深)って言える仕上がりだったし、大会で認められる作品ってのは書いてる自分が満足出来ることが必要十分条件なのかなって、凝り固まった考え方もほぐれた気分です。



遅くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!


%%コメント欄でガッツリ褒められたらまた小スカネタ書くかもしれない、とだけ…%%



#pcomment

トップページ   編集 差分 バックアップ ファイル添付 複製 名前変更 再読み込み   新規作成 ページ一覧 ページ検索 最近更新されたページ   ヘルプ   最終更新のRSS
This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.