ポケモン小説wiki
フライゴントーク2 ・ 歯医者に行ってきた の変更点


作[[呂蒙]] 







 やぁ、ナイルだよ。今日はね、病院に言ったときのことを話そうと思う。ぼくらポケモンには野生のポケモンと人間と一緒に暮らしているのがいる。人間と一緒に暮らしている分には、ぼくらのすることって言うのはあんまりない。せいぜいご主人の手伝いくらいかな。病院としてのポケモンセンターはない(まぁ、グッズを売っている所で『ポケモンセンター』ってのはあるけどね)んだ。代わりに総合病院ってのがあって、何かあったらそこへ行けば、大抵は何とかなっちゃう。
 例えばさ、病院って言ったら怪我や病気を治してくれるでしょ? ぼくのご主人は保険に加入しているから、治療費とか診察費の一部を負担すればいいようになっている。もちろん、野生じゃそういうことはできないから、その点は恵まれているのかもね。
 ぼくはご主人と一緒に暮らしているから、普段の生活もご主人に合わせている、もちろん、嫌って訳じゃないからね。ご主人は、ああしろ、こうしろと指図もしないし、無理強いもしないから、気楽でいい。まぁ、欠点もあるけど、誰だって欠点の一つくらいあるでしょ? ぼくは別に気にしてないから。
 ご主人は、時々家に同じくポケモンを持っている友達を連れてきて、お酒を飲むことがある。ご主人が言うには、居酒屋に行くよりも安く上がるからということらしい。友達を呼んでくるのは、一人じゃつまらないかららしい。じゃあ、大学の寮に入ればいいじゃんっていう話だけど、寮はいろいろと規則が多いから、それはそれで嫌なんだってさ。ご主人ってさ、ケチなんだよね、悪い言い方をすると。よく言うとお金にしっかりしているし、倹約家ということになるけどね。
話を元に戻そうっか。で、そう。保険といっても、いろんな種類がある。健康保険っていうのが一番ポピュラーかもね。これに入っておくと、毎月保険料を払うのと引き換えに、病院に行ったときに、1割の負担で済むようになっているんだ。本当は3割負担なんだけど、ご主人は学生だからね、特例で納める保険料と、診察の代金が安くなっているんだ。ん? 学割みたいなやつかって? ああ、そんなもんかな。学生って言うのはいろいろと得をする身分なのかもね。他にも紹介しておこうっか。んーっと、傷害保険。これはね、ポケモンが他のポケモンや人間に怪我を負わせた場合に、かかった治療費だとか、損害賠償とかが保険からおりるようになっているものなんだ。ご主人も加入しているって言ってたっけ。万が一に備えてとか言ってたっけ。
 ぼくなんかはいいけど、生まれてから間もないポケモンは病気にかかりやすかったりする。ご主人の友達が家に遊びに来たときもそんなことを言っていた。
「本当に大変だよ、いろいろと予防接種を受けさせないといけないし、体が弱いのか、風邪を引きやすかったりするから」
「しょうがないさ。ナイルだって病気だから」
え? そうなの?
 え? そうなの?
「『体がエビフライ病』なんだ」
 回し蹴りかましていいかな?

 ぼくは健康そのものだから、病気にかかったのは、だいぶ前だったような気がする。まぁ、結局風邪だったんだけどさ。
 でも、別の日のこと。ぼくは病院に行くことになってしまった。なんかさぁ、何日か前から、歯が痛くてさ。これじゃ、何かを飲んだり、食べたりするのも一苦労だよ……。
ご主人に言うと、すぐに歯医者を予約してくれた。
運よく、次の日に予約を入れることができたみたいなので、予約をした時間にご主人が歯医者に連れて行ってくれた。ご主人が問診の紙にボールペンで、いろいろと書き込んでいる。
「んで、備考欄に書くことはなにかあるのか?」
「蜂蜜食べたい」
「お前は、くまのプーさんか」
「冗談だよ、早く何とかなんないのかな…」
 診察室に呼ばれ、ご主人と診察室に入る。で、診てもらった結果…。
「ここの下の牙ですがね、かなり進んでいますね。ドラゴンは牙が生え変わる種族がほとんどですから、次の診察のときに抜いてしまいましょう。このまま放っておくと、あごの骨などにも影響が出てくるかもしれません。ちゃんと見てあげないとダメですよ」
「すいません。自分は酷い虫歯を経験したことがないもので……。まさかこんなことになっているとは」
とりあえず、痛み止めをもらって、次の診察日を予約して、この日は家に引き上げた。ご主人は気を遣ってくれて、あまり噛まなくても、飲み込めるような食事を作ってくれた。 
 で、この3日後。この日は歯医者を予約していた日だった。まぁ、そう。牙を一本抜かれちゃうわけ。まぁ、また生え変わるからいいんだけどさ。あぁ、もう最悪。すごいドキドキするんだけど。
「うぅ……」
「自業自得だろ」
 うう……。返す言葉がないよぅ……。
 係の人が呼びに来たので、ぼくは診察室に入る。歯茎に麻酔をして、でかいペンチのような物で、牙を抜く。
「はい、じゃあ、さっさと抜きますよ」
 あうぅ……。口を開けて、その時を待つぼく。ペンチが口の中に入れられ、牙をつかんだ。「さっさと」という言葉通り抜くのにそんなに時間はかからなかった。鏡を見ると、下の右の牙が確かに抜けていた。その牙は、ところどころが黒く変色していて、確かに虫歯の菌に冒されていることが分かった。ぼくの口からは血が流れ出ていた。牙を抜いた後、傷がふさがるまで、少し時間がかかるらしい。
口から血が出ているため、ぼくはテイッシュを渡され、それで、傷口を押さえていた。今度はご主人が診察室に呼ばれる。
「抜くときに『アッー』とか言うなよ」
「そんなこと言ってないよ」
 聞きようによっては下ネタに聞こえるかもしれないけど、全くそういう意図はないから。
 しばらくして、ご主人が診察室から出てきた。ご主人は歯医者さんから、牙を抜いた後の傷口の説明や、無料の定期健診のチラシをもらってきた。
「歯医者さんはなんて言ってた?」
「傷口が完全にふさがるまでに2~3日かかるから、それまでは刺激物は食べさせないようにってさ。しかし、ポケモンの歯の定期健診ってやってたんだな。知らなかったオレにも責任があるな……。結局さ、軽いうちにかかってたほうが良かったんだよ、体にも財布にもな」
 反省してます。ご主人も不安とかで、今度、市が行う無料の歯科定期健診を受けることにしたらしい。
 家に帰って、ご主人は夕飯を作り始める。まぁ、とにかく、これで牙の痛みを気にせずに御飯が食べられる、と、思ったんだけど……。
 出てきたメニューを見てびっくり。
「な、なに、これ?」
「夕飯に決まってるだろ?」
「いや、そうじゃなくてさ、なんかずいぶんあっさりしたメニューだね」
 お粥に、味噌汁、豆腐サラダ。ほぼ精進料理。比叡山で修行しているわけでもないのに……。
「歯に刺激物は良くないって言うからさ、まぁ、量はいつも倍あるから、足りないということはないぞ」
「……いただきまーす」
 傷口がふさがるまで、しばらくはこんな超あっさり系のメニューが続いた。ご主人ってこんな料理まで作れるのか、ちょっとびっくりだな。
「ご主人って、こんなに料理のレパートリーがあったなんてね」
「もちろんさぁ。ご主人は料理がだーいすきなんだ。今度いっしょにお料理しようよ」
「そんなこと言わなかったじゃん」
 ご主人は自分ができることを、あまり見せびらかさないので、損をしているところがあるようにも思うけど、そういうのも大事なことといえば大事なことだよね。
 もっとも、料理は必要だから覚えたっていうのが本当のところらしいけど。

 今日はこの辺にしようか。話を聞いてくれてありがとうね。歯は皆も大事にしようね。我慢していても、いいことは一つもないから。




 おしまい



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IP:42.144.186.155 TIME:"2013-05-12 (日) 23:32:28" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?cmd=edit&page=%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AF%EF%BC%92%E3%80%80%E3%83%BB%E3%80%80%E6%AD%AF%E5%8C%BB%E8%80%85%E3%81%AB%E8%A1%8C%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%8D%E3%81%9F" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.0; Trident/5.0)"

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