ポケモン小説wiki
スティグマ・ホリック の変更点


#include(第十回帰ってきた変態選手権情報窓,notitle)

 ──そんで? お前んトコの女房は最近どうなんだよ? なんか浮気してるかもっつってたよな? ……うーっわ、結局クロだったのかよ! ハッハッハ! そりゃご愁傷さん! ンだよ、笑い事じゃねえ? 万年夫婦円満のお前にゃ分かんねえだろって? おーおー分かんねえなあ、全ッ然わっかんねえ。俺もアイツもあん時から今に至るまでずーっとお互いメロメロがかかったまんま、解ける気配だってありゃしねえぜ。もうここまで来たら中毒レベルだな。そう、言ってみりゃ愛という名の麻薬中毒! どくタイプだけにフェアリーにこうかはばつぐんだ! ってなァ! それに──特に俺なんかは──仮に浮気したくってもまず無理なカラダしてっからよ。……いや、キモチ的なのもあっけど、なんかこう、物理的にっつーか? ……お、気になるか? いいぜ、うちの女房のノロケついでに聞かせてやるよ……いらねえだぁ? いーやダメだね。ありがた迷惑だろうが無理矢理聞かせてやる。
 そーだなァ、一月前にマキシマイザズのライブがあっただろ? シュートスタジアムのさ。そん時の話なんだけどよ……それが何の関係があるんだって? へへ、あるんだよなァそれが……ま、とにかく聞いてりゃ分かるって──



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 温かみのある照明の下には、品のある木製のシンプルな家具や無駄な装飾のないラグ、清潔感のある白の寝具で統一されたベッドと──初めに見た俺の印象としちゃあ、ラブホにしちゃ随分殺風景だなと思ったモンだが、彼女は二人だけのムードを作るにはこのくらいが丁度いいと言って、以来ここを俺ら夫婦の営みの場として頻繁に利用するようになった。
 その真っ白なベッドに腰掛けて、俺は真向かいに据えられたテレビでライブ中継をジッと、何時間も熱に浮かされたかのように眺めていた。贅沢にもシュートスタジアムのド真ん中で、観客の歓声に包まれながら彼らは高らかに歌い上げる。だが俺がこうして夢中になっているのは、甲高いシャウトが印象的なタチフサグマでも、ド派手なパフォーマンスで一際観客の目線を集める花形のハイなストリンダーでもなく、まして骨太なリズムを刻むゴリランダーでもない。俺の目線の先にはただ一人、彼らの陰でただ黙々と、まるで仲間たちの演奏以外何も聞こえていないかのように、ただ職人のようにルートを弾き続ける、ローなすがたのストリンダーである彼女ただ一人だけだった。
 ──おう、そうだぜ? うちの女房、マキシマイザズのベースやってるあのストリンダーなんだよ。ビックリしたか? ……あ? 何でメンバーの身内なのに現地に行けてねえんだって? そっ……そりゃあどうでもいいだろうがよ……とっ、とにかく話を続けるぜ。
 彼女は他のメンバーと違って観客の目を惹くパフォーマンスが苦手なタイプだ。だからハイな方がいつものド派手パフォーマンスで滅茶苦茶に動き回るとすぐカメラがそっちに向いてっちまう。それでも俺はしっかり目を凝らしてほんの少しの見切れも逃さず、ライブ開演からずっと彼女の晴れ姿を目に焼き付け続けていた。
 ミーハーなファン共は彼女の事を、バンドの紅一点なのに地味すぎだとか、酷いときゃ居る価値があるのかだの好き放題言ってくるが、所詮ミーハーだよな。そんな事が言えんのは音楽ってものを何一つ分かっちゃいねえ証拠さ。いいか? ベースってのはバンドの屋台骨と言われるくれえ重要な存在だ。ベースが無えと曲がカッスカスで間抜けな印象になっちまって、ロック特有の重厚なサウンドが演出出来なくなっちまう。何よりベーシストが一音でもミスると、他がやらかした時よりも恐ろしく目立つ。つまり彼女がステージで目立たねえのは、それだけアイツがベーシストとして高い技術を身に付けているっつー証拠でもあるんだよ。しかも彼女はそいつを鼻にかけるでもなく、誰からも評価されなくても黙々と技術の研鑽に励み続けてきたんだぜ! アーティストとしてこんなにカッコいいヤツ、そうそう居ねえだろ!
 それと、彼女の好きな所で特に堪らねえのがあってよ。ステージで演奏してる時……いわゆるゾーンってヤツなんだろうな、いっとう深い集中に入ったなって思える瞬間があるんだが──その時の横顔をジっと見てると、頭ン中がぼーっとして、胸が高鳴って、それでいてスゲえ心地良い──それこそ生涯そいつを見続けながらポックリ逝きてえって位カッコいいのさ。……あー、でもアレだな。微動だにせず一生あの横顔を凝視し続けんのは多分無理だな。何でかって? まあその……カッコ良すぎてムラムラ来ちまうんだわ。雄らしく押し倒して抱き潰してやりてえっていうんじゃなくて、逆に俺が雌として抱かれて、滅茶苦茶にされてえってタイプの興奮でよ。そうなっちまうともう我慢出来なくなっちまう。
 そいつを1フレームたりとも余さず捉え続けていたおかげで、俺は堪らなくなってベッドから立ち上がり、数歩離れた場所に置かれた姿見の前に歩いて行った。俺の身長程はある鏡に、オーロンゲの嗜みとして毎朝二時間かけて手入れしてる甲斐あって黒絹のように艶やかな髪の毛で覆われた、雄らしく逞しい筋骨隆々のシルエットが映し出された。少しだけそいつを眺めてから、俺はおもむろにその髪の毛をまるごと全部解いてみせた。黒絹の逞しい肉体の中から、一瞬にして芽を出したばっかのきのみの苗みてぇにヒョロリと情けない本体が露わになるが、俺の身体の他のヤツと違うのはここからだ。左首筋に一つ、鎖骨の左右二つずつに中央一つ、臍に三つの、銀色に光るバーベルピアス。両乳首に通されたフープピアスには一本の細いチェーンで繋がれていて、首には犬ポケモンの首輪みてぇな革のチョーカーが黒光りしてる。それだけじゃねえ、俺のまな板かって位うっすい胸板にゃあ紫色のトライバル・パターンで形作られた縦長の楕円形のタトゥーが四つ横並びに彫り込まれ、脚にも同様だがこっちは水色のトライバル・パターンで構成された横長が、縦並びに互い違いに三つ。他にも普段髪の毛で覆い隠す場所には色々と毒々しくてバチバチしたド派手なヤツで埋め尽くされている。──ヘヘッ、モロにローなすがたのストリンダーみてえだろ? そうだ、この髪の毛の下にあるピアスもタトゥーも、ぜーんぶ彼女に入れて貰ったんだ。物理的に浮気出来ねえってのは、つまりこーゆー事よ。こんなド派手なカラダ髪の毛の下に隠してたら、浮気とかぜってぇ無理だろ?
 俺はそのギラギラ光るボディピアスやストリンダーの発電器官や体の模様を象ったタトゥーの一つひとつを、左右六本の指先で愛おしそうになぞっていった。指先が熱を帯びた身体を滑る毎に、堪らなくなってヤラシイ吐息が漏れてきちまう。左手薬指(こういう時、俺らみたいに指が三本しかないと説明がメンドくせえよな。左の掌を前に突き出したときに一番外側に来る指のことさ)の指輪が、鏡越しに照明の灯りでキラキラとしつこく反射して、クラリと目が眩むようだった。

 ──おっ、その面は何で俺がここまでエグいマーキングをされまくってる上にソイツで興奮してるか気になってる顔だなぁ? 違う? そーかそーかしょーがねーなー! じゃそっちも話してやるかぁ! そいつを語るにゃまず俺と彼女の馴れ初めから振り返る事になるな。そう、まだマキシマイザズが駆け出しバンドだった頃だ──
 数十年前のあの日、偶然通りかかった寂れたストリートで、熱っぽくシャウトするヴォーカルや、激しく爆音をかき鳴らすギターの陰で、ただ黙々とルートを刻むその横顔を見たときから今に至るまで、俺は彼女に夢中だった。やや垂れ目気味のクールな切れ長の目、甘美に響くアルトボイス、静かなルート弾きから激しいスラップまで弾きこなす繊細な指先──それらさえも、俺のフェアリーの身体にはどうしようもない劇薬になりえた。
 そう、正に劇薬。その時にも彼女はあの横顔でベースを弾いていたんだ。たった一瞬、たった一瞬あの横顔に秘められた甘い毒を味わっただけで、俺はそこから逃げられなくなった。彼女から発せられる旋律を少しも聞き逃したくないが為に、全神経をこの長ァい両耳に集中させて演奏に聞き入った。ま、彼女に集中し過ぎててそいつがどの曲だったか覚えてないんだけどな。一番ギャンギャン目立ってたハズのヴォーカルやギターも聞こえないまんま、気が付いたら演奏が終わってた位だしよ。
 その後はとにかく必死だった。他の見物客の拍手で我に返るや否や彼女に詰め寄って、どんだけその技術が素晴らしかったか、次のライブはいつどこでやるのか……そんな事をヴォーカルやギター、ドラムもそっちのけでほとんど目立たない、しかもバンド紅一点のベーシストに向けて喋りまくるもんだから、そりゃあもう怪訝な視線が痛かったが、それでも彼女は面白そうに目を細めて(その艶やかさといったら!)俺の言葉の一つ一つに丁寧に答えてくれたのだった。
 それ以来、俺はどんなに小せえストリートライブであろうと一つ残らず駆けつけては最前列で応援し、どんだけヴォーカルやギターの華やかさの隅に追いやられようとも俺だけは絶対に彼女の姿を見出して、この目に焼き付けてきた。その間にちゃっかり交換しておいた彼女の連絡先でマメに連絡を取り合い、やがてプライベートでも会う仲になり、そして何十回目かになる食事の時に、俺は一世一代の告白をした。聡明な彼女にはやっぱりお見通しだったんだろう。彼女はあまり驚いた様子はなくて、けれど悩むように少し俯いてからこう言ったんだ。

「私ね、こう見えてすごく独占欲が強いの。自分のものには絶対に消えないように名前を彫り込んでおきたくなるくらい。貴方にも、そう……あの日のストリートライブで話しかけてくれたときから、ずっと私だけのものにしたくて、仕方がなかった……何処にも逃げられないように、絶対に消えない私の証を刻み込んで、鎖で繋ぎ留めて……でも、それは貴方の自由を奪う事になる……だから、ずっと言えなかった……」

 彼女はまた俯いて、黙りこくってしまった。俺にとって何より偉大な存在だったはずの彼女が、まるで、ずっと隠し通してきた重大な罪を告白して、その判決を待つ罪人のように、小さく縮こまって怯えているかのようだった。でも、俺の答えはとっくのとうに決まっていた。

「何言ってんだ、俺の心はとっくのとうにお前のもんだよ。お前のあの横顔を見た時からさ。ハートの時点でどうしようもなく離れられなくなってんだ、カラダの自由なんざあっても無くても一緒さ。むしろ──今すぐにでも縛り上げて、刻み込んで、俺の全部をお前のモンにして欲しい。俺の全部をお前に捧げさせて欲しい。なあ──頼むよ」

 どうだ、クッセェ上にバッカみてえだと思うよな。ハハッ、案の定分かりやすいくれえ歯ァガッタガタに浮いてそうな面してんな。でも分かるだろ? そんだけ夢中だったんだ。それによ、どんな形であれ愛した女の愛を一つ残らず受け止められなきゃ男が廃るってもんだろ。
 でもこれ言った後の彼女、嬉しすぎて泣き出しちまってさ。俺はアホみてえに焦って宥めすかしたり涙を拭いてやったり、さりげなーくちゃっかり抱きしめてやったりしてさ。店員とか他の客とかからの視線も痛かったがそこはグッと堪えた。少しして落ち着いてきた彼女は一言、俺にこう囁いてきたのをよーく覚えてる。

「後悔しても、知らないんだから」

 言うまでもなく、今に至るまで後悔した瞬間なんざ一度たりともありゃしねえ。
 ……余談だが、この時の話を彼女の前ですると恥ずかしがって嫌がるんだよな。公衆の面前でみっともなくワンワン泣いちまったのが恥ずかしかったからってよ。へへ、可愛いだろ?
 で、こうして俺は文字通り全身に彼女の証を刻み込まれて、絶対に逃げられない身体にされちまったってワケだ。そりゃあ、最初はビックリしたぜ。けど、それが彼女の最上の愛情表現だって思ったら段々歓びに変わってきて、今じゃこうして彼女からの愛の証を見てるだけで興奮しておっ勃てちまうくらいに調教されちまった。前々からマゾっぽいと&ruby(テメェ){手前};でも思っていたが、まさかここまでとは思わなかったぜ。
 ──これで分かっただろ? 俺がここまで彼女に身を捧げすに居られねえ理由が。ただのドMだろって言われりゃ確かにそうだけどよ……まあ実際ドMだしそこは否定しねえぜ。

 そんじゃ話を戻していつものラブホの一室。俺は姿見の前で彼女からの愛の証を一つひとつ確かめていくと、身体と同じようにピアスだらけのチンポがみるみるうちにムクムクと膨れ上がって、ヒョロい本体にはアンバランスな位デケェ自慢のイチモツが姿を現した。裏筋にフレナムが三つ、カリにはダイドーが三つ、尿道からはプリンス・アルバートの半円が伸びている。フツーにしてっと中々見えねえが、タマ裏にもギーシュが一つ入ってたりする。そいつらを含めた愛の証達や、ライブで見た彼女の凛々しい横顔をオカズにシゴき始めた。
 ──進化してまもないストリンダーの長男坊と弟のエレズン二匹、その三兄弟の子煩悩パパが、一皮剥けばこんなイヤラシイ身体をしている……日々の子育てやご近所付き合いの間、うっかりそいつを思い出すとアソコが元気になりそうで、そこが困りドコロなんだけどな。
 段々チンポをシコシコやってるだけじゃ物足りなくなって、俺は荷物の中からローションとディルドを取り出した。ディルドはひとがたグループモデルのエラがしっかり張ったカリ高の、血管までビキビキに再現されたブットいヤツ。俺のマグナムといい勝負出来そうなサイズ感だ。彼女と一緒にアダルトショップで選んだヤツで、もし彼女が雄だったら俺のよりデケェモンでケツ掘ってもらいてぇと思ってたから、ホントはもっとヤベーのが欲しかったんだが、彼女は俺の身体の負担が心配だっつって、色々話し合った結果こいつになったんだ。
 俺はその場でしゃがみ込んでローションを適当に掌に絞り出して、アナルに塗りたくってから指を入れた。散々使い込まれてユルユルのケツ穴はあっという間に指を二本も咥え込み、根元まで突っ込んでグチュグチュ音を立ててローションを馴染ませつつ、前立腺もコリコリ引っかいて、腰の奥から響いてくるような雌の快感に恥ずかしげもなく甲高い嬌声を部屋に響かせる。ディルドオナニーの為に解すつもりが、それだけでも気持ち良かったもんだから俺はそのままアナル手マンに夢中になっちまって、雌みてぇな声上げてイッちまった。
 余韻をたっぷりと味わってから、俺は巨根ディルドを手に取って吸盤をフローリングの上にくっつけ、余ったローションを先っぽから根元まで丹念に塗りたくった。彼女の空想上のチンポに手で奉仕する妄想をしながら、これでもかとヌルヌルにしまくってからその上に跨って、俺のイッたばっかのケツマンコにズブズブと挿入していった。ディルドに押し出されるみてぇに俺の喉奥から野太い呻き声が漏れ出してくる。肛門から直腸を少しずつデカくて硬ェシリコンの塊に押し広げられ、俺の腹ン中がその質量分だけ占領されて、快い息苦しさに身体が震えた。
 足腰周りにだけ髪の毛を巻き直し、両手を頭の後ろで組んでしゃがんだ姿勢からゆっくりと立ち上がる。カリ首で腸壁を引っかきながらアナルから抜け出していくディルドの感触を愉しみ、抜けちまうスレスレの所でまたゆっくりと腰を落としていって、再びカリが俺のイイトコロを抉ってくる。しばらくはこのねっとりとした変態スクワットで楽しんでいたが、段々と熱が入るとペースが速まってきて、髪の毛のパワーに物を言わせて欲望のままに快楽を貪った。
 玄関の方から誰かが入ってくる気配がした。それから、聞き慣れたアルトボイスが蕩けた脳ミソの片隅に入り込んで来た気がした。だがこの快感はそれよりも更に強烈で、お構いなしに情けない嬌声を部屋中に響かせてしまう。ジワジワとこみ上げて来る強烈な快楽を一秒でも早く味わいたくて、ヘコヘコとディルドの上で腰を振りたくり、遠慮ナシの野太い喘ぎを響かせて、とうとう盛大なアナル絶頂を迎えた。ケツの穴から全身に一気に響いてくる物凄い快感と多幸感で、鏡の前の俺はだらしねえアホ面を晒していた。
 ボンヤリとその余韻に浸っていた時、不意に後ろから抱き着かれる衝撃で俺は我に返った。照明の光を遮って俺の顔を覗き込んできたのは──ああ、決して見間違えるハズのない、世界一の美人のフェローチェのように艶美な笑顔だった。

「待ちきれなかったのね」
「テレビのお前を見てたら、カッコ良すぎてムラムラ来ちまってよ」

 彼女は俺の裸体をゆったりと撫で回したり、ぷにぷにした掌で頬や頭を包み込んだり頬擦りしたりしてきながら、俺に微笑みかけてくれた。
 その艶やかに細めた眼差しはとても甘美で、眺めていると時間を忘れてしまいそうになる。指が頬や髪を優しく撫でるだけで、雌みたいな喘ぎが漏れそうになる。胸の発電器官から奏でられる旋律と同じように低く澄んだ声は、身体の奥底に響いてキモチいい所まで刺激して、それだけでまたイッちまいそうだった。

「あら嬉しい。今日のベースプレイは我ながら絶好調だったし、きっと貴方もメロメロになってるだろうなぁって思ってたのよ」
「いくら何でも効きすぎだぜ、お前のメロメロ」
「ウフフ。ところでどの曲が一番良かった?」
「Master of Banetteン時のさ、弾いてる横顔で我慢出来なくなっちまってよ。そっからずーっとぶっ通しでサカり散らしてた」

 それを聞いた彼女の笑顔が、途端に不機嫌そうな表情に変わった。それから頬をむくれさせて、ジトリと俺を見下ろす。

「それじゃあ何? まさか貴方、トリのRide the Zapdosは聞いててくれてなかった訳? あのベースソロが今日一番の見どころだったのに、真っ先に聞いて欲しかった当の貴方はオナニーに夢中だったなんて。私がカッコ良くてエッチな気分になっちゃったのは嬉しいけど、ここ一番をちゃんと聴いてくれなかったのはちょっと傷つくわ」

 さっきと打って変わって不機嫌さ全開のトゲトゲしい言葉と目線に俺は申し訳ない気分でいたたまれなくなるが、同時に浅ましく期待に胸を躍らせていた。これはキッツ~イ『お仕置き』が来るぞってな。

「さぁ立って立って、お仕置きの時間よ。貴方のエッチなお尻を躾けてあげなきゃ」

 やっぱり! 彼女の口からその言葉を聞いた途端、飼い主の『ご飯』の一言で尻尾を振って狂喜するワンパチみてぇに俺のチンポが涎を垂らしてビンビンに歓び出した。彼女も不機嫌なポーズを取っているものの、大きな犬歯のある口元は吊り上がっていて内心楽しんでいるのが見て取れた。彼女は後ろから俺の両腕を持って引っ張り上げ、その拍子にアナルに挿さりっぱなしだったディルドがズルリと抜けて、情けない嬌声を上げて背中がのけ反っちまった。生まれたてのポニータ並みに覚束ねえ足取りの俺をベッドまで引っ立てて、その上に優しく突き倒された。俺のか細い身体を守り力を与えてくれる髪の毛も、ベッドの上にばらばらに投げ出されて、ひ弱な本当の俺自身を、恥ずかしい部分を隅から隅まで彼女の目の前に曝け出す。おまけにそのひ弱な身体はとうに彼女からのマーキングで埋め尽くされていたから、文字通り俺の全ては彼女だけのものと言って良かった。
 彼女は姿見の前の床からからディルドを外し、荷物を漁って黒いナイロンのハーネスを取り出した。そいつをベッドの上で伸びている俺に見せびらかすように身に着けると、彼女の股間に立派なイチモツがそそり立った。ベッドの上へ乗るついでに部屋の明かりを調節して薄暗くすると、背中のネオンブルーの燐光で彼女のシルエットだけがくっきりと光り輝いて見えた。
 股間のディルドを見せつけながら、彼女がのしかかってきた。ネオンブルーの逆光でよく見えなかったが、何故か最高にエロくて意地悪な笑顔をしているんだなってのが分かった。俺はブチ込みやすいように、自分から両脚を手で持ち上げたおっ広げの体勢でいい子に待ち構えていた。期待にヒクつくアナルにディルドの先端が二、三度擦り付けられる感覚の後、再度そのデカいシリコンの塊がズブブッと俺の腹の中に入り込んで来た。そいつが根元まで挿入されると同時に彼女からの深いハグで全身を包み込まれ、抱き返すと濃厚なディープキスを交わした。大きく裂けた口と口、肉厚な紫色の舌と黒色の舌とをねっとり擦り合わせては唾液を啜り合い、俺たちはたっぷり数分はそうやって愛を交わし合った。
 彼女は燐光を反射して光る唾液の糸を口先から垂らしながら上体を起こして、ズンッと奥を一突きした。堪らず俺が呻くと、更に容赦のないピストンで一番奥の結腸や、粘膜の壁の向こうにある精嚢なんかをガンガン責め立てて来た。やっぱ自分でヤるのとじゃ天と地程の差がある。俺は彼女からのケツ穴折檻に雌みたいに甘ったるい嬌声を上げて悦んだ。

「お仕置きだって言ってるのに嬉しそうな声上げちゃって。本当しょうがないんだから」

 アナルを犯してるだけじゃ足りないと判断してか、彼女は不意に俺の乳首ピアスのチェーンを引っ張り上げた。それぞれ銀のフープピアス一個で繋がっている俺の乳首は痛いくらいに引き伸ばされ、痛みと快楽で背中を仰け反らせて悶絶した。

「ひぐぅぅぅっっっ!!♡ ごっ、ごべんなざっ♡ 許じてぇぇぇっ!!♡」
「本当に反省してるの? 次はちゃあんと私のライブは最後まで見れるって約束できる?」

 下のチビ達のイタズラを叱るときみてぇな口調で問い詰めながら、許しを乞いむせび泣く俺のチェーンピアスを手綱のように引く。それと同時に激しくヨガリ狂う俺のリアクションからマゾ雄アナルが即イキ寸前なのを見抜いて、さっきよりも遥かに緩慢な、それでいてトン、トン、トン、と絶妙な突き加減で焦らすような腰遣いに変わったのを感じ取る。俺は両乳首の痛気持ちよさとイキそうでイカせてくれないじれったい感じに我慢が出来なくて、快感でトロトロの脳ミソを振り絞り必死になって懇願の言葉を喚き散らした。

「すりゅっ♡、やぐぞぐすりゅぅぅっ♡♡! お゛ッ、おまえのかっこいいとこっ♡、ぜんぶっ♡ ぜんぶみりゅかりゃぁぁっ♡♡ おねがいしますっ♡ イカせてくだしゃいぃぃっっっ♡♡」
「……ふふ、よくできました」
「あ゛ッ……んお゛ぉぉぉぉぉぉッッッ!!!♡♡♡」

 その一言が聞こえて来た刹那、ズンッ、と一番奥を突き上げる衝撃が全身を走る。再開されたピストン運動に焦らしに焦らされまくったケツマンコは大喜びで彼女のディルドをギュウギュウ締め上げ、俺は悦びに満ちた間抜けな絶叫を上げ、あっという間に本気アナル絶頂に達した。あまりに強烈すぎるメスイキに、背骨が折れちまいそうな程仰け反って痙攣しまくる俺を、彼女はぎゅっと優しく抱きしめてくれた。

「貴方はいつも私を見つけてくれる」

 上から覆い被さり抱きしめたまま、俺の耳元で彼女が呟いた。

「けど、そのせいですっかりワガママになっちゃったみたい……前だったら誰に見てもらえなくたって、自分の音楽を追求していけたのに……」

 いくら目立たないベーシストとは言え、彼女もあのマキシマイザズのメンバー。駆け出し時代とは違って、俺みてぇに音楽をよく分かっているツウを中心にそこそこの数のファンが出来た。でも彼女は、そのファン達からの何百という賞賛の声があろうとも、俺に見てもらえないなら音楽をやる意義さえないとまで言うんだ。彼女はそいつを『ワガママ』だと言い表しているが、むしろそれでいいと俺は思う。何故かって? 彼女が俺の全部をモノにしたのと同じように、俺もまた彼女の全てとも言える音楽自体をモノにしたみてぇで、この上なく光栄に思えちまうんだ。

「いいんだよ。そんくれぇのワガママなら余裕で叶えてやるぜ」
「あら、チケット争奪戦に負けて現地に行けなかったのはどこの誰だったかしら?」
「うっ……し、しょうがねえだろぉ……今回の倍率がエグ過ぎだったんだよ……」
「もう、わざわざ自分で買おうとしなくても私が用意するって言ってるのに」
「いくらメンバーの身内だからって、俺だけそんなエコ贔屓してもらう訳にゃいかねぇだろ」
「まったく、律儀なんだから……ファンの鑑ね。でも次は素直にチケットを受け取るように。でないと次はドタキャンしちゃうわよ?」
「ハハハッ、そいつぁやり過ぎだろ! 」

 ──っと、こんな具合に俺と彼女は夜が明けるまでいつまでも愛し合いまくるんだが、この後もまたスゲー事してくれて……っと、ちょっと待て……ヘヘッ、噂をすれば何とやらだぜ……もしもし? ……おう、今ダチと飲んでたトコでよ。たまたま会えたもんで……おいおい、んなワケねぇだろ? チビ達ほっぽり出してこんな遅くまで飲んでたのは申し訳ねえけどよ…………っ!! お、おう……分かった。じゃあ速攻で帰るわ。また後でな……おう、っつーわけだから速攻で帰らせて貰うぜ。楽しい楽しい『お仕置き』が待ってっからな、へへ……ま、今回は残念だったけどよ、俺らみてぇにお前にもいつか夢中になり合える運命の相手が見つかるって!
 そんじゃ、次会ったらまた彼女のノロケ話聞かせてやるよ。じゃあな!

#hr

 変態選手権が開催されるらしいのでノリでエントリーしてみた結果、初参加で優勝してしまうというまさかの展開に未だ信じられない思いであります。うわあなんだか凄いことになっちゃったぞ。
 正直普段の作風を隠しつつ一本書き上げる程の力量もないので、それだったら即バレ上等で最推しCPのオロストをwikiに布教してやんよという気概でマジの性癖を書きなぐってみた次第。皆様、オーロンゲ×ストリンダーを、オーロンゲ×ストリンダーをどうぞよろしくお願いします。(推しカプ選挙カー)

以下投票コメント返信です。

''>面白かった☺️ (2021/12/05(日) 23:26)''
 ありがとうございます☺️ シンプルにそう言っていただけて何よりです。

''>純粋な愛情で結ばれている2匹のsmは素晴らしいです。本当にのろけ話を聞かされている気分になりました。 (2021/12/09(木) 14:19)''
 その通り、純愛ラブラブソフトSMはいいぞ。このオーロンゲのおっさんはこうやって色んな相手に嫁のノロケ話を聞かせては相手がそのゲロ甘ぶりに楽しんでくれれば満足し、ウンザリすればマイナスエネルギーを頂いてやっぱり満足するという厄介者(?)なんですねえ。そのうちこの悪癖が嫁にバレてまた『お仕置き』を喰らう未来が約束されています。末永く爆発しろ。

''>「変態」という視点から見れば、ピカイチでした。ピアスやらタトゥーなどまだ序の口で、女性優位、♡喘ぎ、アブノーマルプレイの数々と要素に事欠きません。何よりオーロンゲの描写。筋肉のように見せている髪を解いて現れる痩躯さえもエロティックに描写するところに、オーロンゲに対するクソデカ感情を察知せずにはいられません。その辺りを含めて、「変態選手権」に相応しい作品ということで一票です。 (2021/12/11(土) 01:46)''
 個人的に本作のアブノーマルレベルはそれほど高いものではないかなと評価していたのですが、十分変態的に描写できていたようで何よりです。そしてオーロンゲへのクソデカ感情想定以上にスッケスケで草。そう、私クラスのオーロンゲ狂いならば普段の黒絹の逞しい肉体は勿論その下の痩躯にも想いを馳せずにはいられないものなのであります。なのでテーマの一つとしてそれをがっつり表現できたのも大変満足です。

''>実に楽しそうないちゃらぶえろえろで読んでいて楽しかったです! (2021/12/17(金) 08:20)''
 書いてる私も楽しかったです。お互いの純粋な愛情を想像しながら書くイチャイチャは本当に幸せな気分になれるので最高。

''>オーロンゲを覆う体毛の下に刻印をつけるという、なんとも種族ならではな性癖って感じがヨカッタです。自分がそういうの好きってのもありますけど、最初の被毛下描写からして凄まじくえっち。全身を覆う体毛がはだけるとあちこちにマーキングの痕が付いてるんでしょ? エッロ……。ちんちんにつけるピアスとかの名前、初めて知りました。行為も倒錯的で変態選手権を代表できる濡れ場なんじゃないでしょうか。ちゃんと子供いるのにパパこんなことしてるのかよ……好き♡''
''ロンゲ×ローストのコンビはTwitterでずっと慣れ親しんできたので、小説でも読ませていただいてありがとうって感じですね……。彼女を幸せにするのはお前じゃん……。 (2021/12/18(土) 14:09)''
 これは自画自賛なんですが、オーロンゲが自分の本体をパートナーに好き放題させる事で相手へのクソデカ愛情と全幅の信頼を表現するっていう発想を思いついたときは本気で自分のこと天才だと思いましたからね。ギモーから進化した途端に髪の毛でやたらムキムキアピールしてくる……すなわち、本来のヒョロガリボディは彼らにとって弱味であると考えられる訳です。それをさらけ出しあまつさえピアスやらタトゥーやらで不可逆的なマーキングを付けさせると言う事は……つまりそういう事ですよ。(ろくろ回し)
 性器ピアス周りの知識は[[或るベーシストの苦痛]]で取材した時のが活きました。あのデカチンにどういうのが入ってたらエロいかなーと考えつつ、ローストさん(※ドM野郎じゃない方)がソレで愉しむときの事も考えつつ……いや本当、子持ちの淫乱ドMパパっていいですよね。書いてる間もでしたがこのコメントで改めて言われてそのスケベさに興奮が止まらなかったので、これは新しい性癖が開拓されてしまったかも分かりません。
 ありがたい事にTwitterのオロストクラスタからのイラスト供給が非常に潤沢で、毎日それらに感謝しながら過ごす日々ですが、小説の方がまだまだ未開拓なのでこれを機にもっと増えて欲しいですね。この夫婦なら幸せになる以外あり得ないんだよなぁ……

''>大会タイトルにふさわしく、ストレートにド変態だったので投票させて頂きます。旦那さんすっかり仕上がってる……w (2021/12/18(土) 21:15)''
 ストレートにド変態評価ありがてえです。妻への深すぎる愛情故にちょっとだけ仕上がりすぎてしまっております。でもお互い幸せならそれでOK。

 その他感想等ございましたら、コメント欄の他Twitter、お題箱にも頂ければ幸いです。
 その他感想等ございましたら、コメント欄の他Twitter、お題箱にもお寄せ頂ければ幸いです。

Author: [[テルミン]]


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