[[星葬]] -新たな命を授かり全うするのではなく、輪廻という形で巡る神獣の命と与えられる使命。始めこそ、自らの使命感に燃え、時には奮起、あるいは粛々とこなしてきたのであろう一柱も、ぶつかったのは深くてそれでいてシンプルな疑問。 教えを乞う先代がいなければ、同じ使命を持つ片割れがいるわけでもない生にはもはや約束された悩みなのかもしれない。 「死」というシンプルでかつ難しいテーマを、王様の冒険とともに書き上げることができるその想像力と創造力にただただ感服と脱帽です。 また、一柱一柱のキャラが濃く、物語に惹きつけるいいスパイスとなっておりました。同じ使命を持ったものがおらず、直接答えにたどり着くことはできない。それを支えるのが、友という存在か。互いに煩悶の苦しみが分かっているからこそ、支え導き合える。輪廻する伝説ポケモン達の関係とは、なんと尊いことなのだろう。 語彙力すごすぎて語彙力がたりないぼくがこれ以上無理して書くのもあれなので、簡単な感想書きます。 動揺するルギアさま可愛い。あと一人称ぼくのイベルタルは安定感がある -- [[h]] &epoch{1539540639,comment_date}; -とても美しい表現の数々が清流のように流れてきて、物語をすんなりと受け入れられて種も寿命も超えた友情に心が温まりまして、夢中で読むことができました。 表現の美しさや読みやすさ、それは今回の大会において最も優れていたと思います。 お互いの価値観を伝え合うことではぐくまれる友情、種が違うからわからないことだらけ、それを理解できなくとも、想像できるということの幸せを感じました。 -- [[リング]] &epoch{1540731703,comment_date}; -僕はミステリものを好んで読むのですが、その中でとりわけ気に入っているシリーズがあります。そのミステリの主人公は読書に飽いて一切の本を読まなくなったのですが、唯一の例外として、この世のすべての定理が淀みなく明快に完璧に、かつエレガントに書かれている『The Book』と呼ばれるものを探し求めています。それは彼の求める『本そのもの』であり、それは命を懸けてでも手に入れたいものなのだそうです。 彼の求める完璧な本がThe Bookと呼称されるなら、僕はこのページに書かれているおおよそ二万と六千字の文字の連なりをThe Storyと呼びたいと思います。つまり何が言いたいかというと、『星葬』は僕の求める完璧な物語でした。淀みなく、明快。エレガント。極致と言うべきでしょうか。 文章は美麗というか流麗というか。数年前、大震災の影響による大規模な停電のさなか、わけあって人のいない山中のガソリンスタンドにいたのですが、そこで見た星空は見たこともないくらいに綺麗で、感動と同時に恐怖すら覚えたのですが、この小説を読んでいて巻き起こった感情はそれに似ていました。もともと美文には定評がある氏ですが、今回は輪をかけて洗練されていたと思います。 物語はギラティナが&ruby(レゾンデートル){存在事由};を探究し、そして他者理解へと歩み、かけがえのない繋がりを得て、見つけた答えをさらに別の他者へ返す、といった風に展開されますが、この起承転結はサブテーマである輪廻転生の概念とリンクしているように感じました。ギラティナの眩い成長ですが、他の登場キャラクタがいい味を出しているからこそさらに眩しいです。ルギアは、ギラティナの友ではありますが兄らしい側面もありますね。イベルタルは過ちを犯した幼い弟のようにも思えます。アルセウスが万物の父として登場してますからそういう解釈をしてもいいですよね。 素晴らしい物語なので好きなシーンはいくらでもあるのですが、アメイシャがパイを焼いてギラティナに食べさせるシーンが好きです。理解の一歩目、物語が動き出した部分ですね。あと、星の王様という呼び名が果てしなく好き。影とか灰とか闇とかじゃなくて星――素敵メーターが振り切れてる。 いい加減そろそろ締め括らないといけないので最後に。 めっっっっっちゃ好き。必修科目。全人類必読。聖書。ギラティナかわいい。あとルギアとイベルタルもかわいい。おわり。 -- [[朱烏]] &epoch{1544448655,comment_date};