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アドバンズ物語第四十一話 の変更点


&size(20){''ポケモン不思議のダンジョン 探検隊アドバンズ物語''};
作者 [[火車風]]
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第四十一話 残された可能性 すいしょうのどうくつのパズル! 後編


道具などの準備を万端に整え、四人はすいしょうのどうくつの入り口までやってきた。

「ここがすいしょうのどうくつか・・・。この洞窟のどっかに、湖へ通じる道があるのか・・・。」
ソウイチはつぶやいた。

「一から調べてたらきりがないし、とりあえず行けるところまで行ってみようよ。」
ゴロスケが言った。

「だな。とりあえず行くっきゃねえな。」
そして、ソウイチはモリゾーのほうを振り向いた。

「モリゾー、大丈夫か?」

「うん。もう一度会って、今度こそはっきりさせる!」
モリゾーの言葉はしっかりしていた。
気の迷いは完全に吹っ切れていた。

「よし!じゃあ行こうぜ!」
そして、一行は洞窟に足を踏み入れた。
洞窟の中は、色とりどりの水晶があたりから突き出ていた。
大きいものもあれば小さいものもあり、実にさまざまだった。
ソウイチが興味本位で抜こうとしたときもあったが、ソウヤに説教されていやいやあきらめた。
ビッパがもっていきたくなるというのもわかる気がする。

「(だけどほんときれいだな~・・・。売ったらどんくらいなんだろうな?)」
ソウイチはそんなくだらないことを考えていた。

「ソウイチ。間違っても売ろうなんて考えないでよね?」
ソウヤはその考えを見透かしているのか顔をしかめた。
ソウイチは冷や汗たらたら、なかなかポーカーフェイスは難しい。
と次の瞬間、ソウイチは何かに吹っ飛ばされて宙を舞っていた。
飛んでいると気付くまでには時間がかかり、ようやく我に返ったころには、目の前に水晶の塊が迫っていた。

「おわあああああああ!!!」
ソウイチは何とかしようとしたが、よけれるはずもなかった。

ゴツーーーーン!!

ものすごい音があたり一面に響いた。
ソウイチは顔面から水晶の塊に激突してしまったのだ。

「ソウイチ!!大丈夫!?」
モリゾーとゴロスケがあわててソウイチの元へ駆け寄る。

「もう!くだらないこと考えてるからこうなるんだよ!!」
ソウヤはため息をつくとソウイチのところへ駆け寄った。

「いてててて・・・。くっそお!!誰だ!!!」
ソウイチが頭にきて周囲を見渡すと、ゴローンとゴローニャが二匹ずつこっちを見ていた。

「てめえらか!!よくもやりやがったなこの石ころ!!」
ソウイチは相当腹が立っていたのか暴言を吐いた。

「あん?誰が石ころだ?このチビねずみが。」
ゴローンもバカにした目つきで言い返す。

「ち・・・、チビだとおおおおおお!?」
ソウイチのおでこに血管が浮いた。

「チビって言うんじゃねええええ!!!」

「あ!ちょ、ちょっと!!」
ソウヤ達が止めるのも聞かず、ソウイチは素手でゴローンたちに殴りかかって行った。

ゴーーーーン!!

あたりに鐘のような音が響いた。そして・・・。

「ぎゃあああああああ!!!」
ソウイチの絶叫もこだました。殴った手は真っ赤にはれあがっていた。
いわタイプを持っているゴローン達に素手で勝てるわけがない。
ソウヤ達はもうあきれ果てて言葉が思いつかず、その場に呆然とたたずんでいる。

「フン。その程度か?」
ゴローン達はこばかにしたように笑うと、四匹一斉にいわおとしで集中攻撃をかけた。
痛がっているソウイチは気付く様子もなく、そのまま岩に埋まってしまった。

「そ、ソウイチ!!」

「威勢がいい割にはたいしたことなかったな。」
ゴローン達はその場を去ろうとした。
しかし・・・。

ゴゴゴゴゴゴゴ・・・。

どこからともなく不気味な音が響いてきた。

「な、なんだ・・・?」
ゴローン達が驚いて振り返ると、ソウイチが埋まっている岩が小刻みに揺れているのだ。
そして・・・。

「うらああああああああああ!!!」
雄たけびとともに岩が当たり一面に飛び散った。
もちろんソウヤ達のほうにも、ゴローン達のほうにもだ。
両方とも大慌てで岩をかわすが、すばやさが低いゴローンとゴローニャは全てをよけきれなかった。
岩のあった場所には、ソウイチがものすごい形相で立っていた。
かなり怒っている。

「てめえら・・・、オレをコケにしてすむと思ってんのか・・・?」
ソウイチの手はぶるぶると震えていた。

「オレの本気を思い知れええええええ!!!」
ソウイチはまた素手で突っ込んでいったが、今度はさっきとどこか違う。
そう、ソウイチの手が何か光を発していたのだ。

「でやあああああああ!!!」
ソウイチはゴローンを思いっきり殴りつけた。
すると、ゴローンはいとも簡単に吹っ飛び、水晶に体をぶつけた。

「ぐうう・・・。」
ゴローンはうめき声を上げ、そのまま動かなくなった。
ソウイチはどうやら、ばくれつパンチを覚えたようだ。
かくとう技はいわタイプには効果抜群だ。

「す・・・、すごい・・・。」
モリゾーとゴロスケは目を見張るばかりだった。
土壇場で新しい技を覚えたばかりでなく、ゴローンを一撃でのしてしまうとは思わなかったのだ。
さらに、ヒノアラシは普通ばくれつパンチは覚えない。
ここでも、人間のときにけんかをしていた特性が技となって実を結んだのだろうか。

「さあ、てめえら。覚悟はできてんだろうな?」
ソウイチは手の先をぽきぽき鳴らすと残りのゴローンとゴローニャに近づいていった。

「お、お前ええええええ!!!」
ゴローニャはソウイチのほうへ勢いよく転がり始めた。
スピードはかなり速い。

「ソウイチ!危ない!!」
みんなが叫んだが、ソウイチは相手を見据えて動こうとしない。

「もう一度吹っ飛べえええええええ!!!」
ゴローニャは勢いよくソウイチの元へ突っ込んだ。
ところが・・・。

「たいしたことねえのは、てめえらのほうだな!」
ソウイチはゴローニャを素手で受け止めると、もう片方の手でばくれつパンチを繰り出し、ゴローニャを思いっきり吹っ飛ばした。

「ごべあ!!」
ゴローンは水晶の角に頭をぶつけて目を回してしまった。
これ以上は戦えそうもない。

「ひ・・・、ひえええええええええ!!!」
残りのゴローニャとゴローンは恐れをなして全速力で逃げ出した。
残りの二匹をほったらかしにして。

「はん!おとといきやがれ!!」
ソウイチは逃げていく二匹に向かって吐き捨てた。
他の三人はその様子をただただ見ているだけだった。
自分たちも加勢しようと思ったものの、ソウイチがいとも簡単に相手をのしてしまったので、出番が全くなかったのだ。

「おい、なにぼ~っとしてんだ?先行くぞ。」
ソウイチはそう言うと奥の方へ歩き出した。
みんなもその後を追いかける。
それからひたすら洞窟を歩いていると、急に目の前が開けた。

「ここがどうくつの一番下かな・・・?」
モリゾーが言った。

「たぶんな・・・。これ以上先は・・・、ん?」
ソウイチは言葉を途中で切ると、あるものに気がついた。

「お、おい!あれ!!」
みんながソウイチの指差すほうを見ると、3つの大きな水晶があった。
その水晶は、3つそれぞれ色が違っていた。

「それぞれ色が違ってて、なんか他の水晶とは明らかに違う感じがするな~。」
ゴロスケがつぶやいた。
確かにどこか違う感じがする。

「だけど、ここに来るまで特に変わったような場所はなかったよね?」
モリゾーがソウイチに聞く。

「ああ・・・。ってことは・・・、この水晶に何か秘密があるのか・・・?」
ソウイチは水晶をしげしげと眺めた。

「(そういえば、他の湖にも何かしらの仕掛けがあったよね・・・。ユクシーのいたところはグラードンの石像、エムリットのいたところは流砂・・・。ここがアグノムのいる湖につながっているとしたら、あの二つの場所と同じように、何かしら仕掛けがあるに違いない。)」
ソウヤは水晶を見て、今までのことを思い出していた。

「だけどきれいだな~・・・。これいくらぐらいするんだろうな?」
ソウイチは思わずつぶやいた。

「もう・・・。またそんなことを考えて・・・。」
ソウヤはため息をついた。
不意に、ソウイチは水晶に近づくと、水晶を触ってみた。
すると、色が紫から赤に変わった。

「うおっ!!色が変わった!!」
ソウイチはびっくりした。

「わわ!何やってるのさ!勝手に触っちゃだめだよ!」
モリゾーがあわててソウイチを引き離す。

「知らなかったんだからしょうがねえだろうが!!」
ソウイチはモリゾーに腹を立てた。
その直後・・・。

「(うおっ・・・!こんなときにじくうのさけびかよ・・・!!)」
オレはまためまいに襲われ、声が聞こえてきた。


[なるほど・・・。知識・感情・意志という三つの精神のうち、アグノムは意思をつかさどる神だ。意志とは、成し遂げようとする心。つまり、意志の色を・・・、水晶の色を一つに合わせれば、道は開くのか。問題はアグノムの心の色だな。アグノムはすいしょうのみずうみに住んでいる。ならば、アグノムの心もまた水晶に・・・。]


そこで音声は途絶えた。

「(い、今のは・・・?今まで見えたやつとは違う・・・、声しか聞こえなかったし・・・。グラードンの石像のときと同じだ・・・。なぜだ?なぜあの時も今回も声だけなんだ・・・?)」

「ん?どうしたの、ソウイチ?」
モリゾーはソウイチの顔をのぞきこんだ。

「あ!もしかして聞こえたの?じくうのさけびが!」
ソウイチの顔から、モリゾーは言おうとしたことを察した。
ソウイチもこくんとうなずいた。

「それで、どうだったの!?」
ゴロスケが聞いた。
ソウイチは聞こえた内容をみんなに話した。

「なるほど~・・・。意志をつかさどるか・・・。」
モリゾーはつぶやいた。

「意志の色をひとつに合わせるか・・・。意志の色を・・・。ん?色・・・?そうか!!」
ソウヤはぶつぶつとつぶやいていると、急に大きな声を出した。

「ど、どうしたんだよ・・・?」
ソウイチ達はびっくりした目でソウヤを見た。

「分かったんだよ!どうすれば道が開くのか!」
すると、ソウヤは水晶に近づいて何度も触り、色を透き通った水色に合わせた。

「い、いったい何したんだ・・・?」
みんなはソウヤの行動を理解できなかった。

「アグノムは意志の神でしょ?そして目の前にあるのは水晶という石。意志の色を合わせるって言うのは、水晶の色を合わせるってことなのさ。」
ソウヤは分かりやすくみんなに説明した。
しかしみんなの反応はがっくりしたものだった。

「それってただのだじゃれじゃねえかよ・・・。しょうもねえ・・・。それが分かるお前もしょうもねえ・・・。」
ソウイチは完全にあきれ果てていた。

「なんでだよ!仕掛けがそうなってたんだからしょうがないでしょ!だいたい意志と石をかけてるけど、問題は水晶の色だよ!アグノムの心の色、つまりアグノムを象徴している色に三つの水晶をそろえればいいんだ。」
ソウヤは少しむっとしたものの、またみんなに説明した。
どうやら今度はみんなも納得したようだ。
そのとき、水晶が光ったかと思うと、急に地面が揺れ始めた。

「わわわわ!!な、なんだよ!?」

「と、とりあえず避難しよう!!」
みんなは水晶からできるだけ遠ざかった。
すると、三つの水晶から電気のようなものが発生し、真ん中から大きな水晶が突き出してきた。
みんなが恐る恐る近づいてみると、真ん中に大きな穴が開いていた。

「こ、これって・・・。」

「間違いねえな・・・。きっと湖へ通じる道だ。」
ソウイチが言った。

「すごいよソウヤ!ソウヤの考えは間違ってなかったんだ!」
ゴロスケは興奮して言った。

「ほんとほんと!さすがソウヤ!」
モリゾーもソウヤをほめた。
ソウヤは恥ずかしいのか照れているのか顔を赤くしていた。
その様子を見てソウイチはやきもちを焼いた。

「ほら、さっさと行くぞ。」
ソウイチはぶっきらぼうに言うと水晶の中へ入っていった。

「え・・・?ちょ、ちょっと!どうしたのさ!?」
みんなは、突然ソウイチがいらいらし始めた理由が全く分からなかった。
ソウイチの勝手な都合など分かるはずもないだろう。
ソウヤ達はあわてて後を追いかけ、だいすいしょうのみちへ足を踏み入れていった。


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[[アドバンズ物語第四十二話]]
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ここまで読んでくださってありがとうございました。
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