ポケモン小説wiki
とある才能豊かな探検家のアフターケア の変更点


writer is [[双牙連刃]]

 某所で書いていた作品の後日談にございます。要望があったので引っ張ってまいりました。
短めのお話ですが、お楽しみ頂ければ幸い。では、どうぞ。

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 あのおっそろしいジャングルからなんとか帰ってきて三日(後日談の間の事ね)、今日の僕はなかなかにご機嫌ですよ。なんといっても、三日間探検に出ないで店の手伝いをして過ごしてるからね。
でも……問題が無いわけじゃない。ジャングルから連れ帰った、リーフィアの事で、ね。
驚いたよ、目が覚めたリーフィアにタウンの中を案内しようとしたら、外を歩いてた雄のブルーを見て怯えちゃってさ。まともに歩けなかったんだよ。
どうもジャングルでされた事がよっぽどで、精神的に相当不安定になっちゃってるんだ。スイッチが入ったらジャングルで会った時みたいな事になって、切れると極度に雄の事を恐れるみたい。
今は僕の部屋を提供して、そこに籠りっきりなのね……あ、僕も同じ部屋で寝てます。一緒に寝てる訳じゃあないよ?

「よっと、母さーん。タネ類の箱、ここに置いておくよ」
「ありがとうピカ。お店は今はいいから、あの子の事を見に行ってあげなさい。そこのモモンの実、持っていってあげて」
「了解。ちょっと行ってくるよ」

 ……実はまだ、リーフィアに僕が雌だって事は伝えてないんだ。
父さんのアイディアでね、雄への恐怖心の克服に役立つかもしれないからって事でさ。あぁ、リーフィアは僕と一緒に居るのは問題無いみたい。父さんと顔合わせたら震えあがっちゃったよ。……ただ怖かったからかもしれないけど。

「リーフィア、入るよ」
「あ……ピカチュウ君」
「具合はどう? もう疲れとかは残ってないと思うけど」
「うん、平気。あそこに居たのが嘘みたい」

 無理して笑ってる。まだ三日だもん、体はどれだけ元気になっても、心が治るのには短過ぎる。力になってあげたいんだけどなぁ。
ベッドに座ってるリーフィアの隣、ではなく少し距離を開けてベッドの縁に座った。一応雄って事になってるのを配慮してるのね。

「差し入れ、って言うのかな? まぁいいや、これ食べてよ」
「わぁ、美味しそう。ありがとう」

 はぁ~、僕なんかよりずっとお淑やかで可愛いのに、雄恐怖症で外に出れないなんてあんまりだよ。僕と話出来てるんだから、きっかけがあれば克服出来ると思うんだけどな。いや、僕が思うほど簡単じゃないのか。
そう言えば……まだ先生に診てもらってないな。ひょっとしたらひょっとするし、後で話を聞いてもらいに行こうか。

「ピカチュウ君、どうかしたの?」
「ん? いや、リーフィアの力にどうしたらなれるかなって思ってさ」
「……ごめんね、折角助けてもらったのに、私……」
「リーフィアが悪い事なんて一つも無いよ。僕はリーフィアが笑えるようになるのを手伝いたいだけさ」

 うーん、それっぽい事を言おうとしたらクサイ台詞になった。どっちかと言うとこんな事を僕が言われたい。多分、そんな機会が巡ってくる事はしばらく無いだろうけど。

「えっ、あ、その……ありがと」

 あら、なかなか効果があったみたい。ちょっと顔赤くしてはにかんだ笑顔なんてされたら、普通の雄なら胸ときめかせちゃうよ。
雌の僕でもちょっとドキッとしちゃったよ。むぅ、こんな魅力が僕にも欲しいです。

「あはは、じゃあ僕はちょっと出掛けてくるよ」
「探検?」
「ううん、知り合いにちょっと話をしてくるだけ。じゃ、またね」

 寂しそうな顔をするリーフィアを見つつ、僕は部屋を出た。早くなんとかしてなげきゃ。
母さんには、先生のところに行くって伝えていかなきゃな。店のほうは……大丈夫っぽい。

「母さん、これからちょっと出掛けてきていいかな?」
「あら急ね。リーフィアちゃん、どこか行きたいって?」
「いや、リーフィアの事、先生に話してみようかと思ってさ」
「あぁ、そういう事。そうね、ハピナス先生なら、良い助言をしてくれるかもしれないわね。いいわ、行ってらっしゃい」
「ありがと。じゃ、ちょっと行ってくるね」

 道具屋を後にして、それなりに賑わってる通りに出た。これが今のリーフィアには最大の壁なんだよねぇ……。
さて、先生の診察所は探検ギルドの横。顔は出さないけど、そう言えば父さんが今、ギルドに呼ばれてるのを思い出したよ。どうでもいいけど。
トレジャータウン、ホープセントラル。この町の名前さ。多くの探検家達が希望を胸に探検に向かう地として名付けられたんだって。僕は探検で絶望しかけたばっかりだけど。

「あれ、ピカチュウじゃないか」
「ん? あぁブルブルコンビか」
「コンビじゃない、俺達は『ブルブルズ』だ」

 一応幼馴染の探検隊、ドーブルとグランブルのコンビだからブルブルズなんだって。

「なに、これから探検?」
「おう! 今からライチュウさんのところで準備さ。ピカチュウは?」
「先生のところ。ちょっと相談でね」
「えっ、病気なのか?」
「僕の事じゃないって、めっちゃ元気でしょどう見ても」
「確かに。まぁいいや、元気なら今度は俺達と探検しようぜ」
「依頼を出してくれれば、この一級探検家がいつでもお手伝いするよ。貰う物貰うけど」

 勘弁してくれーって笑いながら二匹は歩いていった。今度、ちょっと手伝ってあげようかな。
因みに、一級探検家を雇うとなるとかなりの額か、それに見合う宝がある場所を探検するっていう事が必要になる。
額は、一番高くて5万ポケ(通貨ね)、僕はかなりお安くてゼロが一つ減る。ミミは3万ポケって言ってたかな。まぁ、これも商売の一環だから。あ、ミミからこの前の支払い貰ってないや。
僕の場合はボランティアで手伝ったりもするけど、本当はあまり喜ばれないんだよね、他の一級探検家から。安売りするなって。
思えば、僕って探検家を専門にやってる訳じゃないから、あまり他の一級保持者と会わないんだよねぇ。あ、リーフィアは二級でした。
ジャングルの洞窟で見掛けたルカリオ、あれがどうも一級で、リーフィアはそれのパートナーとしてあのジャングルに行ったんだって。
ったく、自分のパートナーも放っておいてバシャーモとお楽しみだったんだから酷いもんだよね。……あれも被害者なんだから悪く言っても仕方ない、か。
道を歩きながら、周りのポケモンに軽く挨拶していく。元々僕はタウンの皆と仲良かったし、一級になってからは探検家からも注目されるようになったよ。どうでもいいから、探検家の方は受け流してるけど。
よーし診察所到着~。ここの先生には小さい頃からお世話になってるんだ。主に僕の特異体質について。

「お邪魔しまーす。先生、お久しぶりです」
「あら、ピカチュウ君じゃないか。今日はどうしたの? 電磁砲でも使えるようになった?」
「いや、そんな技使えませんよ流石に」

 使えたら10万ボルトの代わりに遠距離のメインに……って違う違う。

「今日は相談があって来たんです」
「むぅ残念、君の力は、調べれば調べるほど面白いんだけどなぁ~」
「また今度でお願いします。話を始めても?」
「うん、聞こうか」

 ……あー、サイエンティストなところがあるハピナスさんなんです。でも腕は一流の名医だよ。
大まかにリーフィアについての説明中なう。ジャングルでの事は、それとなく隠しながらね。

「なるほど、心的なショックによる雄恐怖症かぁ。ちょーっと専門じゃないけど、診に行こうかな」
「えっ、先生忙しいんじゃ?」
「大丈夫大丈夫。患者さんが苦しんでるなら、その治療の為に忙しいのなんてへっちゃらへっちゃら。よーし、君の家に行こー」

 うわっ、言ってる事は凄く立派なんだけどウキウキした顔されたら妙に心配なんだけど。
あれだね、僕をダシにして、この後の診察をサボる気なんだ。こっちは助かるからいいけどさ……。
先生、もう出発する気満々なようだからさっさと行こうか。

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 ハピナス先生は、性格はちょっとあれだけど雌。っていうかハピナスに雄って居なかったか。リーフィアも、多分会っても大丈夫だと思うからそのまま部屋まで上がってもらいました。

「えっと、ピカチュウ君、この方は?」
「ハピナス先生っていって、このタウンのお医者なんだ。僕も小さい頃からお世話になってるから、リーフィアの事にも力になってくれるかなと思ってさ」
「という訳で、怪しいかもしれないけどよろしくねー」
 
 先生、それは初対面の相手にはブラック過ぎるジョークだよ。あー、リーフィアもすっかり怯えちゃった。

「大体の事情はピカチュウ君から聞いたけど、当事者からも話を聞きたいんだ。……話してくれるかい?」
「ピ、ピカチュウ君……」
「大丈夫、先生なら信頼出来るよ。僕が保障する」

 ちょっと迷って、リーフィアは頷いた。へぇ、僕って結構リーフィアから信用されてるのね。

「ふむ……本来ならリーフィアちゃんと一対一で話を聞くべきだけど、ピカチュウ君、一緒に居ようか」
「え?」
「その方がいいでしょ。ねー、リーフィアちゃん」
「あの……は、はい」

 マジっすか。そんな立ち入った話、僕が聞いていいのかなぁ?
でもま、リーフィアがそう言うなら一緒に聞きますか。

「オッケー、じゃ~あまずは、リーフィアちゃんがどこから来たのかとかから聞いていこうか」
「はい……私は、イーストウィッシュというタウンを拠点に探検をしていました」

 イーストウィッシュ? あー、ここから1週間位掛かるトレジャータウンがそんな名前だったな。ミミが二日前にそっちに行くって言って出掛けた……はず。
そこで生まれ育って、探検家の修業を始めて、今の実力まで頑張ってきたか。うーん、僕よりも立派な探検家だぁねぇ。
でも、一匹の探検に限界を感じて、丁度仲間を探していた一級探検家のルカリオと知り合って、探検隊を組んだんだ。

「彼は、一級探検家として間違い無い実力でした。私も、色々な事を彼から教わりました」

 あれが、ねぇ? 話の腰を折りたくないから別に言わないけど、バシャーモを犯してる姿はただの一匹の獣でしたよ。頑張っても知的には見えなかった。

「彼としばらく探検隊を続けて……一ヵ月前、くらいかな。ピカチュウ君なら分かると思うけど、あそこへ行く事になったの」
「あそこ? もしかして、ピカチュウ君が報告をしたって言う……」
「緑のジャングル、だね」

 リーフィアの顔が、だんだん悲しげになっていく。思い出したくない事な筈だから、当たり前の反応だよね。

「SSランクの場所にも行った事が無かったのに大丈夫かなと思ったんだけど、彼が一緒なら大丈夫だと思って賛成したの。でも……」
「それは間違いだったんだね」

 ……今思うに、あそこは本来Sランク以下でもいい位の場所だと思う。ただし、自分の色欲を抑えられる者限定だけどさ。
誘惑を振り払う頑なな意思と、二級クラスの力があれば何とでもなると僕は思う。
でも、前評判と実際の場所が持つその差を狙われるのがあの場所の怖さでもあるけど。

「ジャングルに入った私達は、周りの気配に気付かなかった。彼の危険な者は居なさそうだっていう一言にすっかり安心してしまって……だから、罠に掛かってしまった」
「……先生、リーフィアも、これ以上は止めておいた方がいい。まだ、思い出になるには早過ぎる」
「そこに行った事のあるピカチュウ君には、その先何があったのかも分かってるんだね」
「予想でしかないですけどね。リーフィア、まだ無理しちゃ駄目だよ」

 今にも泣き出しそうになってるリーフィアを見てるのが辛かった。そっとリーフィアの前脚に手を添えて、思い出すのを止めさせようとしてみた。
けど、ちょっとばかし遅かったみたいだ。

「辛かった、怖かった! 毎日毎日襲われて、泣いても叫んでも助けてくれなくて、彼ともう一度会った時にはもう、彼は私の知ってる彼じゃなかった! 私も何も考えられなくなっていって、それでもずっと!」
「もういい、もういいよ……」

 息を荒げて、泣きながら叫ぶリーフィアを抱きしめる。体のサイズ的に、ちょっと無理があるけど。
ずっとあの中に居たんだ、まず正常でいられる筈がない。数時間でも僕はしんどかったもん。

「辛い事を思い出させちゃったね。でも、知りたい事は分かった。ピカチュウ君、そのまま彼女が落ち着くまで傍に居てあげてくれる? 私はその間、ちょっと考えを纏めておくから」
「了解です」
「うわぁぁぁぁぁん! わぁぁぁぁぁぁ!」

 僕にすがりついて泣きじゃくるリーフィアを、頭を撫でて宥めようと試みております。でも、これじゃあしばらく収まりそうにはないや。
ここに来る時にもこんなには泣いてなかった。きっと、記憶と一緒に閉じ込められてた悲しみの蓋が今、外れたんだろうね。
しばらくして、リーフィアは泣き疲れて眠っちゃった。うはぁ、お腹の毛がぐっしょり濡れてる。

「思いっきり泣いたねぇ。でも、これで心に溜まってた澱みは相当出た筈だよ」
「それを見越して、リーフィアに思い出させたんですか?」
「半分はねー。よっぽどの事なら話せる相手は限られてくるし、当事者の溜め込んで余計に症状を悪化させちゃう。だから、こういうのはまず溜め込んでた物を吐き出させないと始まらないのさー」

 先生、専門じゃないとは言ってたけどもう治療を始めてらっしゃるではないですか。なるほど、確かに。

「そして、今後のケアにはピカチュウ君が大きなウェイトを締めてくる事になるっぽいよ」
「へ? 僕が?」
「そのとーり。さっきのもう半分はね、リーフィアちゃんを支えている物を見極めたかったんだ。それはどうやら……君だよ」

 僕が、リーフィアの支え? な、なんで? 会ってまだ三日ですよ?

「恐らく、私とリーフィアちゃんだけで話してたら、あそこまで踏み込んだ話はしてくれなかったと思う。話の中でも、誰も助けてくれない状況に陥ったって言ってたよね? それを助けた君は、彼女の中で大きな存在になったんだ」
「そんな事、起こりうるんですか?」
「うん。彼女のように、極限状態に晒されてる時は特にね」

 なるほど……だから他の雄は駄目でも僕は平気だったのか。言われると、納得出来なくもないかな。

「ピカチュウ君、彼女の悲しみ全てを担がなくてもいい。ただ、なるべく一緒にいてあげるんだ。それできっと、症状は改善されるよ」
「そんなもんですか?」
「孤独の中で震え続けた彼女にとって、大切な誰かが傍に居てくれるってこと自体がとても意味のある事なんだよ」

 それに選ばれたのが僕って事か。なんか難しいなぁ。

「私がやれるのは分析くらいかな。また何かあれば力になるけど、今日出来るのはここまで。ライチュウさんに挨拶して、私はお暇するよ」
「……先生、ありがとうございました」
「いえいえ~、今度は君の力をまた調べさせてね♪」
「ははっ、分かりました」

 手を振って、部屋から出ていく先生を見送った。僕は眠るリーフィアと二匹っきり、リーフィアが僕を枕にしてるから動けないよぅ。

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 ……日も沈んで、辺りも暗くなってきた。さっき母さんが様子を見に来てくれてよかったよ、部屋のランプ点けていってくれたんだ。

「ん……」
「あっ、目が覚めた?」
「ピカチュウ君? 私……眠っちゃってたんだ」

 リーフィアがゆっくり起き上がって、僕は解放された。うーん、お腹の毛は後で洗おう。カピカピになってる。
眠る前の事、覚えてるかな? いや、今は聞かない方がいいか。

「お腹空いてない? 母さんが何か用意してくれると思うけど」
「ううん、大丈夫」

 そこからリーフィアは黙っちゃった。こういう気まずいのって苦手なんだよなぁ。
僕から何か話題振ろうか。でも何の話しよう? 探検の話……うん、それならちょっと話が弾むかな。

「あの……」
「う? あっ、何?」
「眠る前にしてた話の続き、聞いてくれないかな」
「え? ……うん、僕でよければ」
「……ありがとう」

 いえい、考えてたらリーフィアから話しかけられちゃった。で、しかもさっきの話の続きと来ましたか。リーフィアが自分から話すって言うなら、僕はそれを聞くべきなんだと思う。

「あのジャングルで、私と彼は罠にかかった。待ち伏せされたの。そこで、彼と離れ離れにされた」

 僕達とほぼ同じだ。という事は、他の探検家達も同じ手の被害を受けたんだろうな。

「その場では捕まらずに、最初はなんとか逃げられた。でもそれも長くは続かなかった。追いつめられて、結局は蔓の鞭で縛りあげられる事になったわ」
「ジャングル中のポケモンが相手のようなもんだもん、逃げ続けるのは無理だと思う」
「うん。体中を撫で回されて、アソコに蔓が入ってきた時は気持ち悪かった。体の中で動く蔓に抗う事も出来ずに、声を殺すくらいしか私には許されなかった」

 うぅ、同じ雌として、なんかそれが想像出来ちゃって寒気が……ふぇぇ、おっかない。

「段々動きが速くなって、無理やり私に声を出させようとするの。頭もボンヤリしてきて、クチュクチュ音を立てながらお腹の中をかき回す蔓を、何処か遠くから見ているような感覚に堕ちていって……」
「う、うん」
「蔓が引き抜かれた時、もう私は脚一つ動かせなくなってた。体に力が入らなくて、アソコだけがヒクヒク動いてるのが分かるの。頭では嫌だって言ってるのに、もう、思い通りにならなくなってた」

 よ、よくこんな事淡々と話せるねリーフィア……。僕は聞いてるだけで恥ずかしくなってきたよ。
不謹慎だけど、改めて捕まらなくてよかったと心から思う。

「……始めてを誰が奪ったかも分からない。体を貫くような痛みが走って、熱い物が入ってきた。痛いのと恥ずかしいので涙が止まらなくて、お腹の奥が突かれて息が詰まりそうになるの」
「リ、リーフィア大丈夫? 一息ついたほうがいいんじゃない?」

 目、目が怖いよぅ。光が無いの……真っ暗な暗闇を見てるような、そんな黒色をしてる。大丈夫には見えないんだけど。
あ、でも僕の声は届いてるみたい。一呼吸置いて、深呼吸してくれた。

「水とか要る? 僕、持ってくるけど?」
「ううん、聞いてて。でないと私、もう誰にも話せないかもしれないから」
「わ、分かった」

 リーフィアも相当な覚悟をして話してるんだ。よし、僕もちゃんと聞かなきゃ。
すぅっと息を吸い込んで、リーフィアはまた語りだした。

「声を漏らしながら、アソコに出入りするモノを感じて体が熱くなっていって、それ以外の事がどうでもよくなっていく。それが気持ち良さにすり替わったのは、もう少し後だったかな」

 こういう体験談を僕が耳にする機会が来るとは……後学の為には知るべきかもしれないけど、やっぱりかなりインパクトがある。

「そうしてる内に、奥の方へグイっと押し込まれるような感じがしたと思ったら、お腹の中に更に熱い物が流れ込んできたわ。それで頭がハッキリして、私は叫びながら泣いた。お腹が膨らんでいって、収まり切らなかった液が隙間から零れ落ちていった……」
「そんな……」
「栓になってたモノが抜かれて、出口からは白いネバっとした液がポタポタと垂れてく。それでも、ずっとお腹の中は熱かった。お願いだから全部出てって思ったけど、奥まで入り込んだ液は出てくる事は無いの。悲しくって、もう叫ぶ事も出来なかった」

 リーフィアの心の痛みが、言葉に乗って僕の中へ入ってくる。
胸が締め付けられて、苦しい。

「その後も、代わる代わるモノが宛がわれて、私の中を欲で汚していった。何度目か分からない時に私の前に現れたのは……壊れてしまった彼。興奮して、私に腰を振り乱してる彼はもう、他のポケモンと同じ獣にしか見えなかったよ」
「…………」
「そうして、私も壊れていった。正直、タマゴが出来なかったのは奇跡だったと思うわ。後は、君の前に現れた時の私が全て……」
「もう、いいよ……」

 聞き終わった後、僕の目からは自然と涙が零れてた。
リーフィアは、ずっとずっと独りで泣いてたんだ。救いの無い闇の中で、仲間にも裏切られて、自分が壊れていって。
それでも、自分を無くさなかったんだ。もしリーフィアが全てを諦めてたら、僕の電気でも正気には戻らなかったと思う。

「もう終わったんだよ、リーフィアは苦しまなくていいんだ。だからもう、独りで泣かないで」
「ピカチュウ君……ピカチュウが言ってくれた事、凄く嬉しかった。今までの事は、これからの生き方でどうとでもなるって。だから私……ピカチュウには知っておいてほしかったの、私の、今までを」
「……ごめん、無責任な事言って。そんなに辛い目に遇ってたとは知らずに……」
「責めて言ってるんじゃないよ。その苦しみから、君は私を救い出してくれたの。それを教えたかったの」

 僕の涙を、リーフィアが前脚で拭ってくれた。ははっ、リーフィアもまた泣いちゃってるじゃないか。
リーフィアは僕に全てを話してくれた。なら僕も、隠し事してるのはフェアじゃないよね。……話そう、僕の事を。

「……あのねリーフィア、僕も言わなきゃならない事があるんだ」
「……うん」

 リーフィアと僕で、寄り添ってベットに横になってます。改めて言うけど、僕にそっちの気は無いからね。リーフィアにも、……多分。

「なんとなく、そうじゃないかなとは思ってたんだ」
「え、そうなの?」
「なんていうか……匂いが違うっていうのかな」

 ん~、僕にはさっぱり分かりません。そもそも、そんな違いがあるなら鼻の良いポケモンにバレる筈だよね? 言いたくはないけど、そんな事無かったよ?

「でも、体つきじゃ全然分からないね……」
「父さんの血が強過ぎた所為だって先生は言ってたよ」
「ライコウさんだもんねぇ。ちゃんとお礼言ってないから、明日言わなくちゃ」
「……大丈夫?」
「まだちょっと怖いから、一緒に居てくれる?」
「ふふっ、僕で良ければ」
「うん、ありがとう」

 こうして、四日越しになったけど、リーフィアは正式に父さんと母さんにお礼を言ったんだ。最初に怯えられたのがショックだったらしくて、父さんは感激してちょっと泣いてました。
んで、まだ色々抵抗があるから、店を手伝いながら慣らしていこうって事になったわけ。店なら母さん達が居るし、僕が探検に出ても安心でしょ。……父さんに睨まれてすくまないポケモンなんて、滅多に居ないし。
部屋は今まで通り僕と兼用。僕が居る時は一緒に寝てます。雌同士だし、問題無し。と、言いたいんだけど……時々ね?

「……やっぱりここは、ちゃーんと雌になってるんだね♪」
「ちょっ、後ろ足で何探ってるのさリーフィア!?」

 ……こんな事がありから、最近僕は不安になってます。大丈夫……かなぁ?

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後書き!
はい、お付き合い頂きありがとうございました。官能有りですが…過去話としてだから物足りなさもあった気もしないでもないような…まぁ、百合なんて書けないのでお許しください!

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IP:119.25.118.131 TIME:"2013-01-31 (木) 16:10:19" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?guid=ON" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 10.0; Windows NT 6.1; Trident/6.0)"

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