writer is [[双牙連刃]] うーん、純愛って難しい。こんなんで良いのかと迷いながら書いてるのでちょっと出来が不安な作品です。 あまり期待せず、たまにこんなのも書くんだなーって感じで読んで頂ければ幸いです。面白いかは……期待しないで下さいませ。 ---- 体が痛い。なんとか追ってきてた奴等からは逃げられたけど、しばらくは動けないかもしれない。 草むらに隠れても、この毛色じゃあまり意味が無い。あの人間達を撒けても、別のポケモンに見つかって終わりになるのかも知れないな。 父さんごめん、囮になってまで俺の事を逃がしてくれたのに、俺はもう、駄目かも知れない……。 「ふんふふ~ん♪ ん?」 くっ、見つかった。目が霞んで見ずらいけど、幸いにも俺と同じくらいの大きさのポケモンだ。俺の姿を見ておどおどしてるって事は、襲ってくる事は無いだろう。 「あ、あの、大丈夫? 体、傷だらけみたいだけど」 「俺の事は気にしないで、何処かに行ってくれ。もし願いを聞いてくれるんなら、俺がここに居るのを、誰にも言わないでほしい」 少しだけ躊躇うような素振りはしたけど、何も言わないで立ち去った。まだ、なんとか休んでいられそうだ。 でも、体力が回復しても、傷がそんなに早く治ることは無い。せめて、木の実の一つでも食べれれば、少しは違うんだけどな。 無い物ねだりをしてもどうしようも無い。今は、少しでも早くここを動けるようにならないと。……ん? 「木の実……これ、傷にも効くって聞いたから……」 半分閉じかけた目が、さっきのポケモンを捉えた。まさか、取ってきてくれたのか? 震えながら差し出されたそれを、言う事を聞かない体に鞭打って口に運んだ。あぁ、美味しい……。 これは食べた事がある。癒しの効能のある実、オレンの実だ。少しだけ、体に力が戻った気がする。 「ふぅ、ありがとう。でも、どうして木の実を?」 「んと、近くにあったから」 理由はどうであれ、助かった。これでもう少しマシな隠れ場所を探せる。 「ねぇ、君はなんて名前なの?」 「……ゾロアの、ラーセ」 「ラーセだね。ロコンのナルです、始めまして」 ナル、か。笑ってる顔を見たら、なんだかホッとした。少しだけ、母さんの笑顔に似てたからかもしれない。 母さん……生きててほしいな。また、皆で一緒に暮らしたいな……。 「ラーセ、泣いてるの? どこか痛む?」 「ううん、大丈夫。気にしないで」 「お~いナル~! 何処に居るんだよ~!」 「あ、皆が呼んでる。行かなきゃだけど……」 「俺はもう平気。ナル、友達のところに行ってあげなよ」 「本当に?」 「うん。……木の実、ありがとう。必ずお礼をしに行くよ」 「えへへ、ラーセが元気になったならよかった。じゃあ、またね」 ……この約束が果たされる事はきっと無い。でも、生きる為の足掛かりがほしかった。襲われるだけじゃない、俺を、助けてくれた奴も居る。 この先に、絶望以外の何かが必ずあると、自分に言い聞かせたかったんだ。また逢える、そう……信じる事で。 ---- 記憶って、時間が経てば経つほど薄れていく。子供の頃の記憶なんて、特にそういう物なんだと思う。 でも、僕には一つだけ、薄れる事無く今もはっきりと覚えてる事がある。 あの日出会った、傷だらけのポケモン……友達と遊んだ後に様子を見に行ったら、もう影も形もなかったあの子の事を、僕は忘れずに覚えてる。 どうしてなんだろう……必ずお礼をしに行く、そう言ったのが印象に深く刻まれたからなのかもしれない。 聞きながら分かったんだ。それが、破られる約束だって。きっと、ラーセにはもう会えないんだって。子供ながら、そう、確かに僕は思ったんだ。 なんだか今日はラーセにあった日と風が似てて、不意に思い出したんだ。 穏やかで、それでいて少し悲しげで……おかしいかもしれないけど、あの日も確かに、そう感じたんだった。 「どしたナル? 空なんか見上げて」 「……なんでもない。ちょっと昔の事思い出してただけ」 「ほーん? って、ボーっとしてないで俺の話をちゃんと聞け!」 「あぁ、ごめんごめん」 だって、面白くないんだもん。牝の子ゲット作戦だかなんだか知らないけどさ、そういうのどーでもいいし。 なんか熱く語られてるけど、多分駄目だと思うんだよね。勢いで押し倒せば何とかなるって言ってる時点で。 「二ール、その作戦の一番の欠点を教えてあげようか?」 「ん? なんだよ?」 「相手は?」 今この場には、さっきから喋ってるニールっていうニドキングと、僕を含む数匹のポケモンが居る。けど、僕の一言で皆俯いちゃった。 そもそも牡ばっかりでこんなところに集まってないで牝に声掛けろって話。探せば居ない訳じゃないんだし。 まぁ、僕以外が皆怪獣クラスのポケモンしか居ないのも問題なんだけど。他に集まってるの、オノノクスにドサイドンにユキノオーだよ? 迫力が違うよね。 「ナルみたいにスラッとした奴なら幾らでも声掛けられるだろうがな、俺達は相手を慎重に選ばないとならないんだよ!」 「そうかなぁ? 結構皆いけると思うけど? ほら、フブキ居るじゃない? 彼女はがっちりした相手がタイプだって言ってたよ」 「なにぃ!? それ本当か!?」 「うん。あと、シキちゃんも頼りがいのある相手の胸に飛び込んでみたいって言ってたし」 ……わーお、聞いた途端に皆走っていっちゃった。あ、因みにフブキが同い年のグレイシアで、シキちゃんは年下のシキジカ。どっちも僕の友達。 僕はこれで解放されたし、ゆっくり散歩でもしようかな。ニール達が玉砕しないといいんだけどね? 森の中は今日も静かだ。時々人間が来て、仲間が連れて行かれる事もあるけど、そんなに頻繁に起こる事でもない。ここが人間の暮らす場所から離れてるからなんだってさ。 「……そこのキュウコン。少し聞きたい事があるんだが、いいか?」 「ん?」 木の陰から一匹のポケモンが出てきた。僕と違って二本足で歩くポケモンだ。黒い体の毛も、赤い鬣もカッコいいなぁ。 「はい、なんですか?」 「この辺りに、牝のキュウコンが暮らしているか分からないか?」 「キュウコンですか? この辺りには、僕以外は暮らしてませんね。この辺りに群れを作ってるって話も……聞いた事ないですね」 「そうなのか? ……もう、ここには居ないのか……」 ふーん、誰かを探してたんだ。でも、ここには昔から僕の家族しか暮らしてないし、父さんも母さんも旅に出るって言って出て行ってから帰ってきてないし、勘違いしたんだろうね。 でも、もうって事はここで逢ってるって事だろうし、昔ここに僕達以外のキュウコンが暮らしてた事ってこともありえるか。 「えっと、誰を探してるかは分からないですけど、僕が知らないだけで他の誰かが知ってるって可能性もありますし、お手伝いしましょうか?」 「はは、この森のポケモンは気の良い奴が多いみたいだな。でも大丈夫、そういう事なら、自分で他のポケモンに聞いて回るさ」 くるっと背を向けて立ち去っていく。まぁ、そういう事なら僕も出しゃばらなくていいか。 そういえば、見た事無いポケモンだったな? 種族がなんていうかぐらい聞いてもいいかな。 「あ、もし!」 「ん?」 「これも何かの縁ですし、種族名だけでも教えてくれませんか。お名前までうかがう気はありませんから」 「俺か? あぁ、構わないぞ。ゾロアークだ。じゃ、引き止めて悪かったな」 「あぁいえ、こちらこそ」 ゾロアークと名乗った彼は、木の枝に飛び移ってそのまま姿を消した。凄い身の軽いポケモンだなぁ、ちょっと羨ましい。 ん? ゾロアーク? ゾロアー……ク……いや、まさかな。ラーセは四足のポケモンだった。今の彼は二本足で歩くポケモンなんだし、関係無いよな。 でも、なんだろう? 何か、大切な事を聞き忘れた気がする。といってももう追えないし、諦めるしかないか。 ……で、また僕はニール達に捕まりましたっと。なんだかホクホクした顔してるし、脈ありだったのかな? 「いやぁ~、持つべき者は心の友だな!」 「その分だと、上手くいったんだ」 「あぁ! と言っても……お友達からって奴だけどな」 それでも何もしなかった時より前進したじゃない。よかったねぇ~。 「これはもう、お先に失礼と言っといたほうが良いかもしれんな~、むふふふ」 「どうぞご自由に。早く僕に、子供の顔でも自慢しに来てよ」 夢見てるのを邪魔してもなんだし、そっとしておこう。ってかどうでもいい。 だけどね、ニール。一般的にお友達から恋人にランクアップするのは狭く細い門を通らないとならないんだよ。その巨体が通れるか、難しいところだね。 「そういえば……話は変わるが、ここに来る前に知らない奴を見かけたんだよ」 「ん、そうなの? 僕も逢ったから、多分同じポケモンじゃないかな。特徴は?」 「あぁ、でっけぇ赤い鬣だった」 間違いない、あのゾロアークだね。本当に森の中のポケモンに聞いて回ってるんだ。 「って、逢ったって?」 「うん。この森に牝のキュウコンは居ないかって聞かれた」 「ふーむ、ナルしか居ないよな?」 「僕もそう伝えたんだけど、別のところから来たキュウコンの事かもしれないでしょ? だから、誰か他のポケモンなら知ってるかもって教えてあげたんだよ」 「なるほどなー。……見てみると、ナルも牝って言われりゃそう思えなくもないプロポーションだよな。こう、キュッとしてスラッとして、ロコンの頃なんか、話し方もそっちに近かったからぜーんぜん分からなかったし」 「あー……そうかも」 よくナルちゃんナルちゃんって呼ばれて可愛がられたっけ。進化してからは流石に恥ずかしくなって、話し方なんか変えたんだよね。 「うーん、見てれば見てるほどこう、ムラムラっと」 「じゃあ、僕は帰るよ。そっちの趣味は無いし」 慌てて俺も無い! なんて言われてもちょっと鼻息荒くなってるんだから怪しいって。まったく、欲情するならちゃんと牝にしてよね。 別に帰るって言っても、いつもの木の下で寝るだけなんだけどさ。自分の匂いを辿っていけば、はい到着……って、あら? あれは、ゾロアークだ。どうして僕の寝床に? 「こんなところで逢うとは、ちょっと驚きましたよ」 「君はさっきの。奇遇だな」 「というより、そこ、僕の寝床なんです。なんでゾロアークさんはここに?」 「何!? ま、まさか……君がナル、なのか?」 僕の名前を知ってる。ほ、本当にそうって事だよね。正直、そうじゃないかなーとは思ってたけど。 「もしかして……ラーセ?」 「覚えててくれたのか……あぁ、俺だよ」 これは、流石に分からないって。進化前と毛色以外殆ど違うじゃないか。 って、いきなり近付いてきて抱きしめられるとは思わなかった。ん? この匂いは? 「ようやく、逢いに来れたよ。あ、すまない、迷惑だったな」 「ううん、構わないよ。しかし……姿が全然違うから分からなかったよ」 「それはお互い様さ。雰囲気がまったく違ったから分からなかった」 なんだか、ラーセだって分かった途端に笑顔になっちゃった。僕の様子を見て、ラーセも笑ってる。 さて、このまま話すのもいいけど、少し明かりが欲しいかな。適当に木の枝拾って焚き火にしよう。時々するから、草に燃え移ったりしないようにしてるから大丈夫。 ラーセにも手伝ってもらって木を集めて、着火。うん、これならラーセの顔もよく見える。 「これでよし」 「ありがとう。しかし、再開出来て本当に良かった。まさか、ナルが牡だったとはな」 「あ~、確かにラーセに逢った頃の僕って、よく牝に間違われたからね。勘違いしてもおかしくないよ」 焚き火を囲むようの腰掛けて、まずは再開を素直に喜ぼう。 うーん、聞いてみたい事は色々あるんだけど、上手く言葉にならないな。どうやって切り出そうか。 「まずは、ずっと謝りたかったんだ。すまない、急に姿を消してしまって」 「あ、あぁ。確かに、あの時は心配したよ。怪我も治ってないのに居なくなっちゃうんだもん」 「あの時の俺には追っ手が掛かってたんだ。それで、すぐにでも身を隠さなければならなくてね」 「……僕が、聞いてもいいのかな?」 「あぁ……俺を助けてくれたナルには、知る権利がある。気分の良い話ではないが、聞いてくれるか?」 静かに頷く。ラーセは、星の広がる夜空を仰いで、これまでを僕に話し始めてくれた……。 ---- ……俺が暮らしてたのは、ここよりも北にある森の中だった。ポケモンが助け合って暮らしてた良い場所だったよ。 そこで俺は、両親と兄弟と一緒に生活していた。父さんがゾロアークで、母さんはナルと同じキュウコン。兄弟は皆ロコンだった。 「そうだったんだ」 「あぁ。元々ゾロアークはあまり頭数の居ないポケモンらしくて、ゾロアーク同士で番いになれる事って言うのはそうそう無いって父さんから聞いたよ」 そう、そのゾロアークの珍しさが、俺の運命に影を落とした。……人間の、捕獲作戦とかいうな。 それまで俺達は、ただ静かに暮らしてただけなんだ。なのに、森にゾロアークが居ると知った人間達が、大挙して森に押し寄せてきた。父さんと……俺を捕まえる為に。 「酷い……別に、人間に何かしたって事はなかったんでしょ?」 「それでも人間達は来たんだ。俺達を従えているって言う優越感を得たいが為だけに」 それに逸早く気付いたのは、母さんだった。慌てて住処に帰ってきた時は、何があったか分からなくて、ただ怖かった事だけを覚えてる。 母さんの知らせを聞いて、父さんは俺と、母さんは他の兄弟達と逃げる事に決まった。その方が、母さん達に危険が及ぶ可能性が減るから。 そして逃げ出そうとする時、森の中にポケモン達の叫び声が木霊し始めた。人間が、攻め込んできたんだ。 母さんは俺の額にキスをして、兄弟達と一緒に走り出す。俺は、父さんに抱えられ反対へと進みだした。 人間達は俺達の事を調べ尽くして捕獲に向かってきたらしく、幾ら木々があるといっても、昼間の森の中で俺達が逃げ切れる事は無かった。人間達が迫ってきてるのを、抱えられてるだけの俺でも分かったくらいだからな。 だから父さんは、一匹で人間達に向かっていく事を選んだ。俺を、逃がす為に。 「そんな……」 「諦めるな、それが、父さんが俺に言ってくれた最後の言葉だったよ。そして俺は、泣きながらずっと走った。絶対に、捕まらない為に」 途中で木の枝で体を切っても、人間が連れてきたポケモンに見つかっても死に物狂いで逃げ続けた。父さんが作ってくれた時間を、無駄にしないために。 「そうか、そして僕と会ったあの場所に着いたんだね?」 「あぁ。あの時、見つけてくれたのがナルで本当によかった。今でも、あの時の感謝の気持ちは忘れてない」 「じゃあ、追っ手っていうのは人間なんだね?」 「そういう事だ」 ナルと別れた後、俺は痛む体を引きずりながら森を出た。それからはずっと、様々な場所を巡りながら人間から逃げ続けた。この、ゾロアークになるまではな。 これで、あの頃の話は終わりだ。良い事なんて、ナルに出会えた事くらいしか無かった。追われてる俺を助けてくれるような物好きにはナル以外、出会わなかった。 ん? 話を聞いていたナルがこっちに来たな。どうしたんだ? 「ちょっとだけ、じっとしててね」 「あの、な、ナル?」 そっと、ナルが俺を抱き締めた。急だったから何が起こったかと思ったが、ナルから伝わってくる温かさが心地良くて、俺は静かに目を閉じた。 「よかった、もう一度君に逢えて。絶対に会えないと思ってたから、嬉しいよ」 「……本当は、俺ももう会えないだろうと思ってた。でも、これが使えるようになったから、捕まる可能性がグッと下がったんだ。お陰で、かなり自由に動けるようになったよ」 ナルに少し下がってもらってと、見せるのは、これが一番分かりやすいだろうな。 自分の姿の上に、ナルの姿の幻影を映す。これで、ナルにはナル自身が見えている筈だ。 「え、えぇ!?」 「イリュージョン、ゾロアークの持つ特性さ。本当はゾロアの頃から使える力なんだけど、俺はあまり得意じゃなかったんだ」 あまり驚かせても悪いし、すぐに消そう。これが使えるようになって、身を隠すのが本当に楽になった。見た目がゾロアークじゃないってだけで狙われない事も多々あるし。 だからこうして、またここに来る事が出来た。どうしてもナルにもう一度会いたかったんだ。俺が今まで諦めずに来れたのは、ナルとの出会いが、俺を支え続けてくれたからなんだ。 だからあの日の約束を、俺は果たしに来た。それが、俺が今ここに居る理由。 「ナル、覚えてるか? あの日、俺が君にした約束」 「覚えてるよ。でも、木の実一つのお礼なんて気にしなくていいさ。元々僕が勝手にやったことなんだし」 「いや、ぜひさせてもらいたいんだ。今の俺があるのは、君のお陰なんだし」 「そう? ん~、そう言われても、特に何も思いつかないんだよなぁ」 「焦らなくていいんだ。君の願いが決まったら俺に言ってくれ。可能な限り、叶えさせてもらう」 といっても、願いを叶える力なんてものがあるわけじゃないから、かなり限られた事しか出来ないんだがな。 ……しかし、こうして間近に見ると牝のキュウコンに見えてくるな。黙ってたら牡だなんて分からないかもしれない。 「あ、話は変わるんだけど、今日はどうするの? もう暗いし、嫌じゃなければここで休んでいってもらっていいよ」 「助かるよ。あまりうろついたらここのポケモン達の迷惑になるし、どうしようかと考えてたんだ」 これは本当に。余所者である俺が勝手をやれば、間違いなくこの森のポケモンともめる事になる。ここに滞在する以上、それは避けたい。そもそも人間によく襲われるのにポケモンとまで争いたくはない。 礼の内容は考えておくって事になったんで、今日はこれくらいにして休もう。今夜は、良い夢が見られそうだ。 ---- いつものメンバーにラーセの事を紹介したら、案外すんなりと受け入れられた。ニール辺りに紹介しておけば勝手に辺りのポケモンにふれ回ってくれるから、ラーセも怪しまれずに動けるようになる筈だ。 「しっかし、強敵が現れたもんだぜ……」 「ん? 君達に敵対するつもりはない。その点は安心してもらって問題無い」 「いやラーセ、ニールが言ってるのはそういう事じゃないんだよ」 多分、牝関係の事を言ってるんだろう。で、ラーセはスタイルが良いから強敵だって事ね。正直、勝負になってないんだけど。 でもニール達が危機感を持つのは間違ってない。今日だって、出歩いてるだけでかなり話しかけられたからね、牝ばっかりに。それに便乗する形で僕も話しかけられたよ。 ま、ラーセにその気が無いから結局は徒労に終わるんだけどね。 「おし! フブキに会いに行くかな! 毎日ちょっとずつでも仲良くならねば!」 「まぁ、頑張って~」 「この野郎、俺が必死になってるのに余裕だな! ナルやラーセより絶対に早く幸せな家庭を築いちゃるからな!」 「な、なんだか謂れの無い恨みを抱かれてしまったような気がするんだが……」 「気にしないほうがいいよ。いつもの事だから」 「……幸せな家庭、か」 あ……そうか、ラーセには辛い一言だったね。昨日の話を知ってる僕が止めるべきだった。 「ごめん、ニールが余計な事を……」 「いいんだ、気にしないでくれ。それに、俺が目指さなきゃならない物はそういう物なのかもしれないし」 「え?」 「幾ら願っても、人間を呪ってもあの日々が戻ってくる事は無い。父さんも、そんな事をさせる為に俺を逃がしてくれた訳じゃないってな。最近は、そう思うようになったんだ」 寂しそうに笑うラーセを見てると、胸が痛くなった。幸せな家族、本当にそれを求めてるのはきっとラーセなんだ。でも、ラーセにとってのそれは、過去の中にしか無い。 何も出来ない自分を、こんなに無力に感じたのは初めてだ。昨日はあんなに簡単にラーセを抱けたのに、今は、触れる事も出来ない。 所詮僕は一度だけ、偶然にラーセを助けたに過ぎない。それ以上の者には、なれないんだ。 「……ナル? どうかしたか?」 「あ……ううん、なんでもない。少し、歩こうか」 ラーセの事を少しだけ知って、ラーセの内面に触れて、何も出来ない自分が不甲斐無くて、煮え切らない想いが僕の中にある。 同情の言葉なら幾らでも浮かんでくる。頑張ったんだね、大変だったんだね。でも、そんな事言えない。そんな言葉で済ませられない苦痛を受けてきたんだって、ラーセの言葉からは感じたから。 「ねぇ、ラーセ。これから君は、どうするの?」 「……まだ、何も決めてない。兄弟や母さんの行方を捜そうかとも思ってるんだ。もっとも、無事かどうかも分からない途方も無い旅になるだろうけどな」 じゃあ僕が願いを言ったら、ラーセはまた独りに戻るんだ。それからずっと、独りであり続けるかもしれない。僕は……それでいいのかな。 答えも出せないまま、ただ僕はラーセと並んで歩く。ラーセは恩返しに来たって言ってたけど、僕の事をどう思ってるんだろう……。 僕は、どうしてラーセをずっと忘れなかったんだろう……。 考えれば考えるだけ彼の、いや、彼女の名前が頭の中を埋め尽くす。僕は、どうしちゃったんだろう。 分かったんだ、ラーセが抱きついてきた時の彼女の匂いで。ラーセは、牝だ。 それを意識すればするほど、僕の中の煮え切らない塊は大きさを増していく。 「大丈夫か? ナル。さっきから調子が悪いように見えるが」 「……ごめん、少しだけ風に当たってきていいかな?」 「え? あ、あぁ……気をつけて」 何かを振り切るように、僕は走った。認めたくなかったんだ、認めたら僕は僕を許せない。 ―――このまま願いを言わなかったら、ラーセは独りにならないで済む――― 確かに僕はそう思った。でも、それはラーセの為じゃない。ラーセの為じゃないんだ。 全力で、脇目も振らずにがむしゃらに走る。脚がもつれそうになりながらも、もつれて転んでも。 何時から? 再開した時から? それとも、話を聞いた時? 違う、そもそもなんで僕は傷だらけのラーセを助けた? 本当なら恐れて離れる筈なのに、どうして木の実まで渡した? どうしてずっと忘れなかった? 何度目か分からないくらい転んだ後、僕は仰向けに倒れた。空は、重く暗い雲に覆われていた。 九本の尻尾も、体も、薄汚れてる。まるで、今の僕の心を表してるみたいに。 ラーセの悲しみを知ったのに、僕が思ったのは同情と自分の欲を満たす方法だけ。ラーセを助けたのだって、気まぐれに近い同情からだ。 力になれない? 違う、力になろうとしてない。傍に居るだけで、何処か僕は満足してた。 同情しか浮かんでこない? そうじゃない、そう言えばラーセが僕を意識してくれるようになるかもしれない、そう思ったんだ。 認めたくない自分の本心に気付いて、煮え切らない物の正体が分かった。 興味が、心配が、思い続けた全ての想いが混ざって生まれた……。 「僕はラーセを意識してる。ラーセを……恋しく思ってる」 顔に一滴の雨粒が当たった。それはだんだん増えて、僕の体を濡らしていく。 吐き気がする。前脚を口の中に突っ込んで、全てを吐き出してしまいたい。 次にラーセと会って、僕はどんな風に接すればいい? 始めに会った時みたいに? 出来ないよ……出来ないよ! ラーセの悲しそうな顔は見たくない! ラーセを独りにしたくない! でも、ラーセが求めてるのは僕じゃない、家族なんだ! 僕は! ……ラーセの家族には、家族の代わりには、なれない……。 だって僕は、彼女に……恋をしてるんだから……。 ---- 走っていったナルを見送って、俺はしばらくそこに立ったままになっていた。 ナルが離れていく時に感じた寂しさ、それの答えをずっと探していた。 勝手に自分の支えにしていた相手、ナル。それが遠ざかっていく……見えなくなる……。 堪らない孤独感に襲われて、俺はその場にへたり込んでいた。体が震えて、動けない。 再会を願って、必死に生きてきた。父さんや母さんを思った事もある。それでも俺は、夜の闇の中で、ナルの笑顔を追っていた。 今度会ったら何を話そう? 何をしよう? そう思って耐えた夜はもう数え切れない。ほんの僅かな繋がりが、折れてしまいそうな心を何度救ってくれたか。 それを失って、俺には何が残る? ……空っぽの、器だけじゃないか。 ナルへの恩返しが済んだら、ナルとの繋がりを失う。ここに来るまでは、思いもしなかった。 嫌だ、失いたくない。兄弟も、父さんも母さんも失った俺にはもう、ナルとの繋がりしか無いんだ。 ふらつきながら立ち上がって、僅かに残るナルの匂いを辿る。 涙が、込み上げてくる。置いていかないで、俺の……私の傍に居て……。 「ナル……待って……」 掠れた声を漏らすのがやっとだった。また、私は失うの? 大切な物を? 支えを? 何かが鼻先に触れて、空を見た。雨だ、雨が降ってきた。このままじゃ、ナルの匂いも雨に流される。もう、分からなくなる。 涙を拭く事も忘れて、私は走り出していた。このままじゃもう、ナルに追いつけない、会えなくなりそうな気がして。 お願い、消えないで。そう願いながら、薄れていくナルの匂いを必死に追った。 雨に濡れた体が冷えていく。それでも走るのを止めない。動けなくなったっていい、だからナルに会わせて! どれ位追ってきたか分からなくなった時に、私の目がある物を捉えた。 「な、ナル!?」 綺麗だった薄黄色の毛は汚れて、雨に打たれ続けるナルが、そこに居た。 慌てて近づいて、ナルの体を抱きかかえた。微かに息はあるけど、体が冷え切ってる。炎タイプであるキュウコンでは、命に関わる状況だった。 どうしてこんな事に!? 見たところ怪我は無いし、襲われたような痕跡も無い。ここで、一体何があったの? そんな事を考えてる場合じゃない、早く雨を凌げる場所に行かなきゃ。このままじゃナルが! 雨が当たらない場所を求めて、ナルを強く抱いたまま走った。消えないで、居なくならないで! 一際大きな樹を見つけて、その下に滑り込むようにして入った。雨粒は全て枝と葉によって遮られ届かない。ここなら雨を凌げる。 濡れたナルの毛を擦りながら、少しでも温かくなるように体を密着させる。濡れた私の体でどれだけの効果があるかは分からないけど、今はこれしか出来ない。 弱くなったナルの吐息を聞くだけで、胸が張り裂けそう。私はどうなっても良い、だから……。 「ナル、お願い……死なないで!」 「ラー……セ?」 「ナル!? そう、私よ! 分かる!?」 「ごめ……ん……ぼく……」 「喋らないで! ごめんなさい、私が独りにした所為でこんな事に……」 何かを言おうとして、ナルはそのまま気を失った。 全身の血が引いていく感覚がする。急いでナルの胸に耳を当てると、小さく、ナルの命の音が聞こえてきた。 絶対に死なせない。私が生きているのはあなたのお陰なの、それを伝えたい。伝えさせて……。 ん……いつの間にか眠っちゃってたのね。確か、ナルを追いかけて、それでここに来て……。 そうだ、ナルは!? 「ナル!? あ……」 私の腕の中で、静かに寝息を立ててるナルが、目の前に居た。よかった、毛も乾いてるし、ナルの温かさをちゃんと感じる。 守れたんだ、自分で、自分の大切なものを。 辺りはもうすっかり暗くなってる。雨は上がったみたい。夜風に揺れる木の葉の音色が、とても心地良い。 眠るナルの顔を覗くと、何故だか勝手に笑みが零れる。愛おしくなって、きゅっとナルを抱き直した。 「ん……あれ、ここは?」 「あ、目が覚めた? おはよう」 「ラーセ? えっと、どうしてこうなってるんだっけ?」 「覚えてないの?」 「ちょっと待って……そうか、僕、雨に打たれたまま気を失って……」 思い出したみたいね。でも、そんな事いいの。ナルが無事だった事が一番。 「ごめん、迷惑、掛けちゃって」 「いいの。こうしてナルが目を覚ましてくれれば、それでいいの」 え……ナルが、私の腕を振り払った。そして、背を向けて座り込む。 突然だったから何が起こったか一瞬分からなかった。一体、どうして? 「僕には、君に抱き締めてもらう権利なんてない」 「え? 何、どうしたの?」 「僕は、最低だ。君が親しく接してくれるのを利用しようとしたんだから」 「どういう事? 何を言ってるの?」 「あのまま雨に打たれ続けてればよかったんだ。そうすれば、おかしな事を君に言う前に……」 「止めて……」 「死ねたのに」 爪を当てないように、思い切りナルの頬を叩いた。目を覚ましたと思ったら、本当にどうしたのよ? また、涙が滲んできた。どうして死なんて口にするの? 「私がどんな気持ちでナルを助けたか、分かる!?」 「え……」 「生きてて欲しい、居なくなって欲しくない、そう思って助けたの! なのに何で死ねたなんて言うの!?」 「ラーセ、でも」 「でもじゃない! 死ぬなんてもう絶対に言わないで! 言ったとしても、絶対に死なせない!」 ナルが俯いたのを見て、私は深呼吸をゆっくりとした。涙を拭いて、もう一度ナルを見る。 ぶたれた頬に前脚を当てながら、涙を流していた。今なら、ちゃんと話してくれるかな。 「もう一度聞くよ? 何があったの?」 ぽつりぽつりと、ナルは自分の胸の内を話してくれた。自身の本心への絶望と、私への思い。それらに折り合いが付けられなくて、自暴自棄に陥った事。 「はは、馬鹿みたいでしょ? 自分の考えた事に耐えられなくなって死のうとするなんて、どうかしてるよ、本当に」 「ううん、それだけ私の事を本気で想ってくれたんでしょ? 凄く、嬉しいよ」 「ラーセ……」 薄く掛かっていた雲が晴れていき、満点の星空が姿を現した。 月明かりが照らし出す中、もう一度私は強くナルを抱き締める。私を想ってくれている、大切な存在を……。 ---- いつもの僕の寝床、ここにやっと帰ってきた。そして昨日と同じように、僕達の目の前には焚き火がゆらゆらと燃えている。 本当に、僕は馬鹿だ。勝手に暴走して、ナルに迷惑を掛けて、泣かせちゃったんだから。正直、穴があったら埋まりたいよ。 「もう落ち着いた? ほんと、さっきのナルは別のキュウコンかと思っちゃったよ」 「それは僕自身もだよ。こんなに想像力豊かだったとは、自分でも驚き」 おどけて見せたら、彼女は笑ってくれた。よかった、さっきので嫌いになられたりしてたらそれこそ後悔してもしきれないところだった。 はぁ、体も汚れたままだし、明日朝日が出たらすぐに洗いにいこう。反省も兼ねて、今晩はこのまま過ごすしかないや。 「そういえば、その喋り方は? 随分雰囲気が変わったけど」 「……元々俺って言ったり、牡みたいな口調にしてたのはわざとだったんだ。牝だって知られると危険が増えるから、そうしろって父さんから言われてたの」 「そうだったんだ。じゃあ、今のしゃべり方が」 「うん、素の喋り方。家族以外でこうやって喋るのは、ナルが初めてだよ」 これも人間や危険から身を守るための工夫だったって事か。なるほどなー。 「ねぇ、私が牝だって何時気が付いたの?」 「ここでラーセから抱きつかれた時。その、ラーセから甘くて良い匂いがしたからもしかしてと思って」 「そ、そうだったんだ」 良い匂いって言われたのが恥ずかしかったのか、ラーセは照れてモジモジしてる。可愛いなぁ。 元はやっぱり牝の子なんだね。別に俺っ子でもよかったけど、こっちのほうがやっぱり牝って感じはしっくりくるな。 目の前の炎を見ながら、自分の気持ちを整理する。余計なものを消していって、大事な一つだけを残す。こうすれば、もう暴走することは無い。 「僕からも一つ聞いて良いかな?」 「うん、いいよ」 「どうして、あんなに僕の事を思ってくれたの? そんなに親しくなる時間なんてなかったのに」 「それ、ナルが言っちゃう? 時間なら幾らでもあったじゃない。ナルが私を忘れないで居てくれた時間、私もナルの事を忘れた事無かったんだから」 ラーセは教えてくれた。独りで居る間も、僕との再会を願う事で乗り切ってきた事を。 そうか、僕はラーセにとって、そういう存在だったんだ。よかった……凄く嬉しいよ。 僕の想いと、ラーセの想い。たった一時の出会いで生まれたその想いは、時間が流れても消えずに、僕達をもう一度出会わせてくれた。 なら、もう僕はこの想いを歪めないし、迷わない。真っ直ぐに、ラーセに伝えよう。 「ラーセ」 「どうしたの?」 「僕は、君が好きだ」 照れくさくて、正面を向いては言えなかったけど、横目に見たラーセは、口元で手を合わせ、感激しているように見える。 「僕は、君の家族の代わりにはなれない。けど、君の新しい家族になりたい。ずっと、一緒に居たい」 続けた僕の言葉で、ラーセは泣き出した。でも、悲しいから泣いてる訳じゃないよね? すっとラーセの腕が伸びてきて、僕とラーセの視線が合わされた。彼女の顔が、ゆっくりと迫ってくる。 触れ合った唇から感じるラーセの温かさが、僕の心を満たしていく。 「恩返しのお願い、もう、変えさせないからね?」 「あ、そうか。それを使うって手もあったんだった」 「忘れてたの? もう、元々私はその為に来たんだよ?」 「それじゃあ、改めて……」 ――僕の妻に、なってくれますか? 「なにぃぃぃぃぃ!?」 「煩いなぁ、そんなに驚く事無いでしょ?」 「いや、無理も無いと思うけど」 ニール含む四匹のポケモンが固まった。今、僕とラーセが番いになったのを伝えたから。 あまりのショックで真っ白になっちゃったよ。あ、ユキノオーは元々か。 「な、なんでだ!? 昨日あった時はそんな素振り無かっただろ! っていうかラーセ牝だったのかよ!?」 「う、うん。ちょっと事情があって牡の振りしなきゃならなくてあんな感じに」 「ヴァかな……そんな一晩で変わるものなのか!? もうラーセの中はナル一色なのか!?」 「ぶっ!」 「ちょっ、な!」 なんて事を言うんだこのニドキングは! ないない、昨日の晩そんな如何わしい事は無かった! 一緒に寝たけど! すっごい落ち込んでる……で、でも僕にだって幸せになる権利はあるし、いいよね? 「そ、そんな事してません!」 「番いになったと言ってもお互いまだまだ知らないところだらけなんだから、それはそういうのがちゃんと分かってから!」 「何!! という事は俺にもまだチャンスが」 「あるわけ無いでしょ! ラーセはもう僕の妻! 変な事しようとしたらただじゃおかないよ」 皆の前でわざとラーセに抱きついてみせる。っと、後ろ足だけで立たなくちゃいけないからバランスを取るのがちょっと難しいな。 いや、そんなに赤くなって見られるとは思わなかった。こりゃ、皆に春が来るのはまだまだ先そうだね。 「う、羨ましくなんかない! ちくしょぉぉぉぉ!」 あらら、四匹とも走っていっちゃった。まぁ、皆もその内相手を見つけるでしょ。 さて、ラーセと二匹っきりになったところで、ちょっと話があるんだよ。 「ねぇ、ラーセ。今日はちょっと遠出しようか」 「遠出? 何処へ?」 「ラーセが暮らしてた森。ここからそんなに離れてないんでしょ?」 「そうだけど……どうして?」 「うーん、僕が見てみたいって言うのもあるんだけど、もしかしたら、ラーセの家族について分かるかもしれないでしょ?」 「あ……」 分かれた時の状況を聞いた限り、ラーセのお父さんについては何とも言えない。でも、お母さんや兄弟については無事である可能性があると思う。 僕はラーセの新しい家族になりたい。でも、それでラーセが兄弟やお母さんの事を諦めるのは違うと思う。 「……これからは、僕も一緒。独りじゃなくて、僕もラーセと一緒に、ラーセの大切なものを探すよ」 「ナル……ありがとう」 そう、一緒に歩いていけばいいんだ。また分かれてお互いを思うより、そのほうがずっと良い。 何処までも行こう。ラーセが隣に居てくれるなら、そこが、僕の居場所なんだから。 ---- という訳で、作者的に官能の無い純愛をテーマにしたのはこれが始めてかな? 避難所のリクエストスレより貰ってきた題材でございました。リクエスト頂いた方にはご満足頂けたかな……もしなんか違ったらごめんなさい! こんな感じで、色々な作風を開拓する機会があればまたやってみたいですね。リクエストスレはときどき覗いてるので、また何かあれば挑戦したいものです。 ではでは、ここまでお付き合い頂けた皆様、拙い作品をお読みくださりありがとうございました! もうお決まりのコメントエリアですよ~ #pcomment IP:219.115.200.118 TIME:"2012-05-31 (木) 13:22:37" REFERER:"http://pokestory.rejec.net/main/index.php?guid=ON" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; Trident/5.0)"