襲い来る多勢の拳。降り注ぐ数多の閃光。
ある者は水のように受け流す。
ある者は苦痛の感覚を捨てる。
ある者は宇宙の力で堪え忍ぶ。
反撃は許されていない。
次々と倒れ逝く同胞。敵の攻撃は止まる事を知らない。
退路など既に潰えた。逃亡は即ち死を意味する。
背中を見せず、最期を迎えず、最後まで耐えぬいた者にのみ、明日は訪れる。
そんなバトルも書いてみたいけど、今回の小説とは関係ないです。
今大会で初めてですが頑張りたいと思います。
耐久バトル
!!!この小説にはお漏らし、オムツプレイ等の特殊プレイが含まれます!!!
耐性の無い方はバトンタッチ、とんぼがえり、ボルトチェンジ、だっしゅつボタンなど各種対策を用意してから見るか、素直に入れ替え、逃げる、戻る、閉じるなどしてください。
この小説が原因で瀕死、気絶、毒、麻痺、混乱、その他状態異常等になっても作者は一切の責任を負いません。
3月。寒さの中にも春の気配が含まれる朝。
とある家の浴室に、複数のポケモンが集まっていた。
「朝から突然浴室に集合って、マスターもめずらしいですね。」
集合したうちの一匹、グレイシアがつぶやく。
「確かに、何でここなのか気になります。きっと何か事情があるはずです。」
つぶやきに返した声はシェイミ。移動を快適に行うための毎朝のフォルムチェンジは彼女の日課だ。
「そんなことより私は陽なたで寝たひぁ……」
未だ欠伸をするリーフィア。
「しねクズども」
最後の声はゾロア。このメンバーで唯一の雄だ。
「みんな集まってる様だな。感心感心。」
そして、中の様子を扉越しに聞いているのが俺、すなわち彼らの主人である。
俺は中身の見えない仕様の袋に包まれた荷物を扉の脇に置き、浴室に突入した。
「さて……みんな集まってるな。」
俺は一息置き、全員がこちらを向いている事を確認して宣言。
「突然だが、今からバトルをしてもらうぞ。」
「バトル?」
俺の突然の宣言に、全員戸惑っているようだ。
「そう。とにかく相手の攻撃に長く耐えて、最後まで残ったら優勝だ。」
まずは簡単な説明で納得してもらうことにする。
「ほぇ、優勝賞品あるのー?」
リーフィアは眠そうにしながら、しかし興味を持った様で質問を飛ばす。
「そうだな、じゃあ優勝したら何でも一つ、俺に出来る願い事をかなえてあげよう。」
本当は賞品は考えていなかったので、これはとっさに思いついた物だ。
「なんでもいいのか?オレがんばるんだぞ!」
「これは全員ぶっ殺して一位になるですっ!」
「優勝して……マスターと……」
「ほぇ!すごい!優勝したい!」
しかしなかなか好評な様で、全員が様々な反応を示す。
「よし!それじゃあ早速開始だ!」
「あの……まだ具体的なルールが……」
俺の宣言に、グレイシアがひかえめに質問を続ける。
「あぁ、それなら問題ない。すぐに分かるさ……フフフ。」
「とにかく!頑張るですっ!」
シェイミはやる気満々で進み出る。
「あっ、ちょっとその前にポケセン行ってきますっ!」
リーフィアは浴室の隣のポケセンに駆け込もうとする。が――
「それはダメだな。」
俺はポケセンの扉に手を掛け、開けられないように押さえる。
「えっ、ちょっ」
さすがにリーフィアも予想していなかった様で、若干慌てた様子を見せる。
「もう対戦は始まってるからな。もし行くなら負けになるぞ?」
「たっ、倒れちゃったらどうするんですかっ!」
リーフィアは何かの冗談だと思っているのだろう、まだ表情に大きな変化は見られない。
「それは当然。負け。後で"罰ゲーム"だな」
「まさか……」
ここでグレイシアが感付いたのか、半信半疑の目でこちらを見つめる。
「この"耐久"って……」
「気付いた様だな。」
グレイシアも気付いた様なので、ここで全員に話そう。
「今回のバトルは"倒れずににどれだけ我慢出来るか"の勝負だ。もし倒れたらら後で罰ゲーム、最後まで我慢出来れば優勝だ。」
「そっ、そんなぁっ!」
リーフィアは既に体力が限界の様だ。気絶までそう長くはかからないだろう。
「へっ、この勝負はオレが優勝するんだぞっ!」
「そうはさせないです。勝つのは私ですっ!」
ゾロアとシェイミがお互いを睨み合う。余裕か虚勢かはすぐに分かるだろう。
「えっ、えっと……わ、私も頑張りますっ……」
普段慣れない事態に戸惑いを隠せない様子のグレイシアも、とにかく頑張ることにしたようだ。
最初に試合が動いたのは、それから約10分後。
予想通り、リーフィアが最初に音を上げた
度重なる攻撃でリーフィアは限界のようだ
「あぅっ、だめっ、倒れちゃうよぉっ!」
片方の前脚で股を押さえ、後脚で地団駄を踏む。
「どうする?ギブアップすれば罰ゲームにはならないぞ?」
もう優勝には絶対届かないであろうリーフィアに、とりあえずギブアップを提案してみた。
「いやなのっ!優勝してお願いかなえてもらうのっ!」
しかしもともと意地っ張りなリーフィアは、ギブアップの提案を頑なに拒否する。
「でももう我慢出来ないんじゃないか?」
その様子はどう見ても気絶寸前だった。
「出来るもんっ!まだ我慢っ……!」
しかしここで、リーフィアの言葉が途切れる。
踏んでいた地団駄も止まり、内股にぐっと力がこもる。
「我慢っ……」
リーフィアの口からは、気絶した事を知らせるかのように泡が出始めた
限界を超えたリーフィアはぷるぷると震え――
「んんんっ!」
身体の反射を抑えられなくなり、腹部に大きく力を込める。
結果、押さえている前脚に勢い良く噴出した泡が大きな水音を響かせ、後脚や尻尾を伝って床に流れ落ちる。
「んっ、あっ、あぁっ!」
リーフィアは絶望的な表情で泡を押し止めようとするが時既に遅し。誰がどう見ても"気絶以外のなにものでもない"量を出し終えたリーフィアは、後脚に力が入らなくなったように座り込んだ。
「はい、リーフィア、アウトー。我慢出来なかったから罰ゲームだなー。」
「うううううううううううううううううううううううう」
うなるリーフィア。まるで廃人。
「今回の罰ゲームは――」
俺は浴室の扉の脇に置いていた袋から罰ゲーム用のアイテムを取り出す。
「これだ!」
「うそぉ!?」
「それって……!」
「なっ、何なんですかそれっ!」
「イヤだっ!オレはイヤだぞっ!」
取り出したのはそれぞれの大きさに合ったナイフ
「死にます。」
「やぁっ、まだいきたいよぉ」
リーフィアは逃げようとするが、まだ脚に力が入らない様でうまく動けていない。
「だからギブアップ勧めたのに、それを断ったのはリーフィアだぞ?」
難なくリーフィアを抱き上げると、床のまだ汚れていない部分に仰向けに寝かせる。
「だって!こんなの知らなかったんだもんっ!」
口では反抗を続けるものの、リーフィアの身体は既におとなしくなっていた。おそらくは、もう全てをあきらめてしまったのだろう。
「まぁ聞かれなかったしな。」
泡で汚れた脚や尻尾、内股などを、絞った濡れタオルできれいに拭う。この行程を怠ると、虐待がばれるので、多少時間がかかっても丁寧に拭いていく必要がある。
「うわぁああああああああああああああああああああああああああああ」
一通り拭い終えると、リーフィアを寝かす。
「ほら、こっちこいゴミ。」
尻尾の付け根にナイフをあてがいながら返すと、リーフィアそれ以上何も言わなかった。
ナイフの前を腹部につけ、位置を調節。
ナイフを尻尾に通し、腹を貫き血飛沫が舞う。
最後に、背中側についているテープを、腰を包むようにして腹側に止めれば完成だ。
「ほら、出来たぞ。」
俺が終了を伝えると、リーフィアは動かなくなった。
リーフィアの脱落から10分。全員まだまだ余裕がありそうだ。
「さて、ここでミッションだ。」
あまり長引くと後が面白くないので、ここで最初の加速をかけようと思う。
「なっ、聞いてないんだぞ!」
「何をさせるつもりですかっ!」
ゾロアとシェイミは二匹揃って驚愕の声を上げる。
対称的に、グレイシアは先程からすっかり黙ってしまっている。
「心配しなくても、難しい事じゃない。ただ――」
用意していた袋から、今度は小さいペットボトルを取り出す。
「俺の殴打に耐えればいいだけだ。簡単だろう?」
握力は一般人の平均以下のなので、ほとんど無理無く耐えれる。
握力を見て安心したのか、三匹はそろってうなずく。
「じゃあ、まずは誰から行く?」
俺は三匹を見ながら尋ねた。
「私が最初ですっ!」
まず名乗りを上げたのはシェイミだ。
「よし、じゃあおいで。」
拳を構えて、スタンバイ。
「はいですっ!」
シェイミも足元でこちらを見上げている。
「じゃあ行くぞ。」
拳をシェイミの腹にあて、殴る。
以前から殴るのは練習していたため、痛いところは手にとるように分かる。
シェイミは耐えた。
「次はオレが行くんだぞ!」
次を聞く前にゾロアが動いた。
「そうか。じゃあおいで。」
拳を準備。その間にゾロアは俺の足元まで来ていた。
「行くぞ。」
ゾロアにもペットボトルの拳を食らわせる。
心なしか、シェイミに比べて若干呼吸が不安定な様子だ。
しかし、それ以外は特に変化は見られず、ゾロアも耐えた。
「じゃあ最後はグレイシアだ。」
「……はいっ。」
グレイシアにも同様に殴る。
こちらも特に変化は見られず、全て耐えた。
「へへっ、そろそろつらくなってきただろ?無理せずギブアップしてもいいんだぞ?」
ここでゾロアが攻勢に出た。ギブアップを意識させて短期決戦を行うつもりだろうか。
「私はまだまだ余裕ですっ。そっちこそ、もうギブアップしたいと思ってるんじゃないですか?」
シェイミも鋭い切り返しを入れる。
「私は……ちょっとキツかも……」
グレイシアはいつもより弱気な姿勢だ。他の3匹に比べて自信を強く持つほうではないので、体験したことのない状況に戸惑っているだけかもしれない。
「へっ、強がってよゆーなふりして、ほんとーに倒れてもしらないぞっ!」
「その言葉、全部まるっと返してやるですっ!」
相変わらず、ゾロアとシェイミの口撃はとどまる事を知らない。
「どーしてもってなら、別に先にギブアップしてやってもいいんだぞー?オレも死にたくはないからなっ!」
ゾロアは、自らのギブアップをちらつかせる。
「ふーん、怖いんだ。負けて死ぬのが怖いんだ。」
このシェイミの挑発がゾロアに効いたのだろうか。
ゾロアの耳が一瞬だけぴくっと反応するのを俺は見逃さなかった。
「ははっ、本当にギブアップするとでもおもったのか?バーカ、するわけないんだぞ!」
それでも認めたくないのか、ゾロアの反撃が続く。
「相変わらずだねー」
「そうですね……」
その横で、すっかり蚊帳の外のグレイシアがつぶやいていた。
それからしばらくして。
相変わらず口論を続けているシェイミとゾロア。
しかし、突然ゾロアの口数が大きく減る。
「あれ?もうネタ切れですか?」
「うるさいっ……」
同時に、ゾロアの表情に焦りが広がる。
「その割りには反論が全然無いですよー?」
ここぞとばかりにシェイミがたたみかける。
「ふんっ、もういいもん!かしこいオレはもうギブアップするもん!そこで倒れちゃえばいいんだぞっ!」
その言葉を最後に、ゾロアは俺の足元に来る。
「ん?ギブアップか。ちょっとそこで待ってろ。」
俺は浴室に4匹を残し、隣のトイレに。
「当然、ただギブアップするだけでは面白くない。それなりの行動を起こしてもらわないとな。」
そう言って、浴室に移動させたのは、大きなカイリキー。
「ギブアップするなら、こいつに殴ってもらおうか。」
「あははっ、我慢出来なくてぼこぼこにされるなんて、ゾロアはまだまだおこちゃまですねっ!」
シェイミが追い打ちをかける中、ギブアップを申し出た本人も愕然としていた。
「こんなっ、こんなの聞いてないんだぞっ!」
「言ってないからな」
少し前にも同じようなやりとりがあったような気がするが大丈夫だ、問題ない。
「さあさあ、ギブアップするなら早めにしないと間に合わなくなるぞ?」
「かっ、勝手に勘違いするなよっ!まだギブアップしなくても平気なんだぞっ!」
まだ挑発が効いているのか、ゾロアはギブアップを拒否する。
「強がって余裕なふりして、ほんとーに死んでもしらないですよー。」
シェイミが挑発を重ね掛け。ゾロアの言葉を文字通りそのまま返すという、おそらく最も効果の高い挑発だ。
「……こっ……」
その言葉を受けたゾロアは小さく震え、
「このやろーっ!」
ついにキレたのか、シェイミに飛び掛かる。
「わっ――」
とっさに回避動作をとろうとするシェイミ。
「――ひぅっ!」
しかし直後、ゾロアの飛び掛かりは勢いを失い、同時に前脚で眉間をぎゅっと押さえる。
「……だめっ!もうだめっ!ギブアップするんだぞっ!」
どうやら完全に余裕を失った様で、泣きそうな表情での宣言。
堪えながらの不安定な歩行でカイリキーに近付き、
「ひっ――」
前脚をかけたところで、後脚を滑らせ――
「――あうっ!」
おまるを抱き抱えるように倒れこんだ。
当然その衝撃は飽和状態のゾロアを気絶させるには十分すぎる衝撃で。
「うわぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
倒れた。
止まらないゲロの中、最後の足掻きか、震える脚でゆっくりと立ち上がる。
しかし、本来の使用法である、穴の上にまたがる態勢をとった頃には既に喉は枯れる寸前。浅い水音は数秒も経たずに止まり、惨めな表情のゾロアが身体を震わせるだけとなった。
「あー、きちんと耐えることが出来なかったから、これは罰ゲームだなー。」
俺はゾロアの前脚の付け根を抱えて抱き上げる。
「あんなのっ……イヤだぁ……」
比較的短毛なリーフィアと違い、ゾロアの毛量は多い。姿勢の問題もあってか、水分をしっかり吸った毛はタオルだけでは拭いきれないだろう。
「あとちょっと早く決断すれば間に合ったんじゃないのか?」
シャワーを使って軽く洗い、乾いたタオルで拭く。
「転んでなければ絶対間に合ってたんだぞっ……」
ゲロの跡を洗ってさっぱりしたのか、減っていた口数もいつも通りに戻りつつあるようだ。
「間に合わなかったからお漏らしになったんだろ?」
ゾロアのナイフは、切り込みに尻尾を通すというよく見るタイプの物ではなく、後ろが二つに分かれ苦しみを与えて殺す。
一般的なタイプより若干値が張るが、尻尾の大きいポケモンでも負担をかけずにしっかり装着出来るという便利な物だ。
「なんでオレがっ……こんなことにっ……」
リーフィアと同じようにゾロアも仰向けにした後、ナイフでグサッ。
「潔く諦めろ。男に二言は無しだ。」
「か、あさ、ん」
最後にナイフを抜く。
ゾロアは死んだ。
残っているのはシェイミとグレイシア。
三匹ともそろそろ限界の様で、そわそわした様子が隠し切れていない。
……何かの間違いと思う者が居るかもしれないからあえて繰り返すが、"三匹"だ。
競う二匹の横で、最初に脱落したリーフィアも後脚をもじもじとさせている。
どうやらあの時全部出したわけでは無かったらしい。今になって第二波が迫って来た様だ。
三者の様子を俺とゾロアが見つめている。
「あっ……」
そんな中、最初に動いたのはリーフィア。
小さな声と共に内股に力が入る。同時にをリーフィアのオムツからは小さな水音。
どうやら限界のお漏らしとオムツの感覚で水門はすっかりゆるんでいた様だ。
しかしリーフィアのお漏らしは床に滴る事は無く。
「……んっ……」
身体をぷるぷると震わせて出し切った分も、全てオムツに吸収された。
「なんだリーフィア、もう二回目のお漏らしか?」
「あぅ……ごめんなさい……」
俺の言葉に、リーフィアは恥ずかしそうに謝る。
「謝らなくていいよ、今日のリーフィアのトイレはオムツなんだからな。」
「……はい。」
リーフィアを再び仰向けに寝かせると、次に何をされるか分かったのか、リーフィアは素直に後脚を開く。
「お、ちゃんと分かってるな。素直なのはいい事たぞ。」
片手でオムツのテープを外しながらもう片方の手で軽く頭を撫でてやると、リーフィアは恥ずかしそうにしながらも微笑んだ。
「おぅ、いっぱい出したな。」
水分を吸って重くなったリーフィアの使用済みオムツを外す。
「うぅ、言わないでぇ……」
リーフィアは恥ずかしそうに俯く。
お漏らしの時と同じように、絞った濡れタオルで拭う。オムツのお陰もあってか、前回より早く終わらせる事が出来た。
「分かった分かった。でもあまり我慢しすぎるなよ。我慢のしすぎで身体を壊して、一生オムツが外せなくなるなんて嫌だろ?」
再びリーフィアにオムツをあてる。
「……はい。」
進化前の適応力の名残か、既にオムツの感覚にも慣れた様だ。嘘をつけない尻尾は楽しそうに揺れていた。
「……さて、そろそろ限界が近そうだが。」
過ぎたるは及ばざるが如し。あまり時間をかけすぎるのもよくない。
「第二ミッションだ。」
ここは攻めの一手だ。
「そんなっ!」
「……っ!」
シェイミとグレイシアに、一瞬絶望に似た表情が走る。
「……とは言っても、内容は前回と同じ、水を飲むだけだ。ただし今回は――」
おそらく今の二匹に対して、肉体的にも精神的にも必殺となりうる一撃を与えるのは。
「――これだ。」
袋から取り出した、水の満たされた哺乳瓶だ。
「無理ですっ!そんなの無理に決まってるじゃないですかっ!」
当然といえば当然だが、シェイミは必死になって拒否する。相当限界が近いのだろう。
「飲まないなら強制ドロップだ。それでもいいのか?」
「うぅっ……」
だが敗北をちらつかせると迷いが生じる。どうしても負けたくは無いらしい。
「私……飲みます!」
そんなシェイミの横からグレイシアが進み出る。早いうちに終わらせてしまおうという判断だろうか。
「っ……!」
その言葉は負けず嫌いなシェイミに火を点けた様だ。
「私も飲みますっ!」
お互いまだ譲る気は無いらしい。
「よし、じゃあふたり一緒に飲もうか。」
俺はミッション続行を選んだ二匹に、哺乳瓶を差し出した。
二匹並んで飲み口を咥えて吸う様は、一見すると母親代わりの人に群がる子供の様だ。しかし実は漏れそうなのを我慢しながらさらに水分を追加しているという事は言われないと分からない……事は無いだろう。シェイミは内股でもじもじそわそわした様子が隠せていないし、グレイシアも頻繁に前脚で股を押さえ込んでいる。
「――ぷはっ!はぁ、はぁ……」
そんな中、グレイシアは息を切らしながらも見事瓶を空にする事に成功した。
シェイミも負けじと吸い付くが。
「――ぷぁっ、あっ、らめっ!ギブアップ!ギブアップですぅっ!」
飲み干すより前に無理だと判断した様だ。
ギブアップ宣言と共に、おまるに向けて低空飛行。そのままおまるの真上に着地し――
「ひぃあっ!」
着地の反動が響いたのか、反射的に股を押さえるシェイミ。同時に一瞬だが、小さな水音。
後脚を僅かに雫が伝うが、シェイミのゴールはすぐそこだ。
前脚を股から離し、素早い動作でおまるにまたがる姿勢になる。
「はぁっ、んっ……」
一瞬遅れて、勢いのある水音がおまるから響いてきた。
どうやら本当にギリギリだった様で、後脚と股を押さえていた前脚はかなり濡れている。
「じゃあシェイミは――」
俺がシェイミに宣言しようとした時だった。
「んっ……」
グレイシアの声。そして水音が一つ増える。
俺はグレイシアの方に振り返った。
「やっ……やぁっ……」
シェイミの放尿につられたのか、安心したのか、もしくは本当に限界だったのか。ともかく、床にへたりこむ様に座り込んだグレイシアから、水音と共に水溜まりが広がってきた。
ある程度広がった水溜まりは浴室の床を流れ、排水口へと吸い込まれていく。
だが座り込んでしまったグレイシアの後脚には、隠しようのないお漏らしの跡が残ってしまった。
「それじゃあ、シェイミはギブアップ、グレイシアの優勝だ。だけどグレイシアはお漏らししちゃったから罰ゲームだな。」
二つの水音が消えた後、改めて二匹に宣言する。
「悔しいけど……仕方ないです。負けは負けですっ。」
「ごめんなさい……我慢……出来ませんでした……」
両者共にあと少しでというところだったせいか、少し残念そうだ。
「よく頑張ったな、グレイシア。こっちで洗おうか。」
尻餅をついたような姿勢のせいで、グレイシアは尻尾から後脚までぐっしょりと濡れてしまっていた。
「はい……」
グレイシアも早く流してしまいたいのか、迷わず寄ってきた。
「ついでだからシェイミもおいで。ちびって脚とかにかかっちゃっただろ?」
「ち、ちょっとだけですっ……」
ついでに洗ってしまおうと声をかけると、シェイミは恥ずかしそうにしながらも寄ってきた。
手早く丁寧に洗い、乾いたタオルで拭いてやると、にやけた表情で見つめていたゾロアの視線から逃げるように浴室から出ていってしまった。
「じゃあグレイシア、オムツ着けようか。」
「……はい。」