屋根裏の同居人
目次
この部屋には自分以外の誰かがいる──違和感程度だったそれが確信へと変わったのは食パンの枚数にあった。
僕はいつも8枚切り一斤の食パンを主食としている。
食べる時には必ず2枚──食べないことはあっても、食事をする際には必ず2枚を食べるのが習慣だった。
それにも拘らず、いま僕が確認するパンの袋には3枚の食パンが残されている。
先に述べた習慣があるからこそ、食パンの枚数が奇数で残ることなどあり得えない。
仮に一枚だけしか食べなかったにしても、斯様なルーチンを繰り返しているのならば印象にも残って然るべきである。
それでも最初は気のせいだと思った。
なにせ朝は忙しい。『食べたつもり』で一枚しか消費しなかったのだと考える方が自然だろう。
しかしながらそれが二度三度と続き、ようやくにそのことへ違和感を覚えては今朝、僕は改めてパンの枚数をチェックした。
そして帰宅後──それが明らかに奇数となっている現状に、これが自分の勘違いではないことを確信しては戦慄を覚えるのだった。
この部屋には僕以外の誰かがいる。
ただ単に食料が食べ荒らされていただけならば、どこかから忍び込んだポケモンや動物がくすねていったとも思うところだが、例の食パンはご丁寧にも袋のバッククロージャーが嵌め直されているのだ。
その行為こそは明らかに何者かが犯しているであろう『食パン泥棒』を秘匿する行為に他ならない。
誰が、どこに、そしてその理由も分からず──その日は眠れぬ夜を過ごした。
そしてその日以降、僕は今まで以上に生活の変化へと目を凝らすようになった。
案の定というか、斯様な『犯人』の足跡は件の食パン以外にも散見された。
蛇口のハンドルの戻し位置やシンクの水汚れ、マットやソファクッションの位置のずれや、はたまたTVリモコンの向きに至るまで……どうやら犯人が僕の留守中に、この部屋において生活をしていることは明らかだった。
使用後には何事も無かったかのようそれらを元に戻そうと心掛けていることからも、犯人から僕に危害を加えようなどといった意思は感じられない。
それでもやはり生理的な嫌悪を払拭できない僕は、そんな犯人を突き止めてやろうと思い立つ。
今にして考えれば自力で解決するのではなく、警察なり大家なり然るべき第三者へと相談するべきだったのだろうが、その時の僕は自分のテリトリー内で身勝手を働く犯人への僅かな憤慨と、そしてそれを直接自分の目で確認してやろうというゲーム感覚めいた興味に心駆られてもいた。
かくして監視カメラ数台を購入すると、僕はそれらを部屋の要所へと接地して回る。
観察地点は全部で4か所──気付きの発端となった台所を始め、リビング、洗面水回りにそして僕の寝室だ。
それらを設置した翌日、果たしてそのカメラに何が映っているものやらと考えると僕は気もそぞろになってまったく仕事が手につかなかった。
件のカメラはスマホロトムとも連動していて出先からでも確認は可能であったが、それでもリアルタイムでそれを視聴するのはあえて我慢した。
帰宅後にそれの検証をしてやろうと考えるこの時の僕にとってはもはや、一連の犯人探しは一つの娯楽へと昇華していたのだ。
今日まで趣味らしい趣味も無ければ恋人も無く友人も少ない僕にとって、この降って湧いたが如きトラブルはむしろ、思いも掛けないエンターテイメントと化していたのだった。
終業後──小走りに駅から自宅までを駆け戻ると、僕は自室に籠るなりパソコンの電源を立ち上げる。
本来ならば嫌悪と恐怖の対象でしかないその映像を確認するはずの行為をしかし、僕は胸弾む思いで行った。
監視カメラ専用のアプリを起動すると、ブラウザには確認用の動画ソフトが立ち上がる。
一つの画面の中はカメラの台数分に四分割されており、左上から順に台所・リビング・洗面所、そして右下に寝室で構成されていた。
僕が出勤した直後にはまだ、それら映像に変化はない。
しばし見守り続けていても何も起こらないことから、僕は動画のシークバーをドラックするや少しづつ時間を早めていった。
そして撮影開始から1時間後──ついにその変化が現れた。
最初のそれは左上に表示されていた台所を撮影していたカメラが反応したものである。
カメラの正面左手にコンロとそして反対の壁面に冷蔵庫を挟んだその空間は、天井に点検口と思しきアルミ枠の外蓋が設置されているわけだが、それが突如として開いてぶら下がるや──天井には30センチ四方の穴が穿たれた。
詳しくはないものの、こういった設備は何らかの方法で施錠されていてそれが自然と開くなんてことはあり得ない。
事実、この部屋に限らず僕が今まで生活をしてきた空間においてこんなことが起きたなんてことは皆無だった。
そしてそんな自然ではあり得ない状況が今、目の前に展開されている……。
斯様にして天井の開口が解放されてもなお、しばらくはそこに何の動きも見受けられなかった。
おそらくは相手側もまた警戒しているのであろう。
先ほどの派手に扉を開ける行為も先方の不注意というか故意によるものだ。
それなりの音も出た今の開錠を聞きつければ、もし誰かしらが家に残っていた場合なら必ずこれの確認に訪れることだろう。
いわばこれは犯人側からの周到な安全確認であるのだ。……こいつ、中々に小賢しい。
覗き込む映像はしばし点検口の開け放たれたキッチンの様子を映していた。
この段に至っては、僕も緊張のあまりマウスに右手を預けた状態のまま固まっては映像に見入っている。
一体この先には何が映っているのだろうか?
犯人はいったい何者で、奴は日中この部屋で何をして過ごすしているのか──いつしかそれを心待ちに観察している自分こそが何か過ちを犯しているような気がしてゾクゾクした。
そして斯様に見守り続ける映像の中、遂に決定的な変化が現れる。
開口の間口から僅かに何者かの爪先がのぞいた。
あの天井から外へと出るに際しては飛び降りる他に方法がない以上、その着地点を見定める為の所作であるのだろう。
同時にそれを見守る僕の興奮もまた最高潮へと達せられる。
早くその姿を見せろ……お前の目的を明かしてみせろ──いつしか画面に見入る僕はそんな犯人へと語り掛けるかのよう呟いていた。
そして遂にそれは安全を確認したのか、天井から台所へと飛び降りてみせる。
それこそは僕の与り知らぬ同居人の存在を今──確定した瞬間であった。
天井から降りてきたそれを最初──僕は件の『犯人』とは思えなかった。
その理由は存外にそれが小柄であったことにある。
重力など感じさせず、さながら綿帽子のようふわりと舞い降りた様子には、何かのぬいぐるみがそこに投下されたのかと思ったくらいだ。
しかしながらそれは台所の床へ下り立つや大きく伸びをして深いため息をつく。
毛量が多く、背中全体を包みこむ夏の雲のような白い鬣と黒檀の体に宿した小さな手足──カメラが捉えているそのポケモンはエルフーンに違いなかった。
そして僕は、
「あれ? コイツって……」
そのエルフーンには心当たりがあった。
他人の空似かもしれないが偶然にも一ヶ月ほど前、僕は職場の近くにおいて一匹のエルフーンを救出していた。
それは僕の職場があるビルのエアスポットに迷い込んだエルフーンで、彼女は終日そこに滞留する気流に翻弄されては抜け出せずにいた。
なにぶん体の軽いポケモンゆえに気流の渦巻くそこから自力で脱すること叶わず、遂には精魂尽き果てては建物の隅に打ち捨てられていたエルフーンを不憫に感じ、僕は近くの公園へと放してやったのだった。
その時には別段交流があった訳じゃなかったけど、タイミング的にいま目の前に映し出されているそれが無関係とは思えない。
一体どういった意図で彼女は僕の家に潜伏しているのか興味を以て観察を続けると、エルフーンは床へ降り立つなり慌てた様子で走り出した。
その後カメラ外へと出ていってはしまったが、直前にリビングもまた走り抜けたことから察するにトイレへと駆けこんだようだ。
なるほど……人知れずに借りぐらしをするとあれば深刻な問題だ。
その後も僕は彼女がこの部屋で過ごす様子を観察し続けた。
トイレから出てくると再び台所へと戻り、今度はシンクの上へ飛び乗っては蛇口のハンドルを上げて水を飲む。
水流を調整しながら垂れ落ちるそれを直に飲む様子に『コップでも使えばいい』と思ってから、ここにある食器や調度の類はみな彼女には大きすぎるのだと悟る。
やがて当初の疑惑の発端にもなった食パンも一枚くすねると、シンクの上に座り込んではそれを食べ始めるエルフーンをしかし、僕はどこか心和む気持ちで見つめていた。
まずは件の犯人が人畜無害そうなエルフーンであったことに安堵したところも大きい。
これがアーボやラッタといった、見るからに害獣といった容姿の輩であったのなら即座に駆除業者へと連絡を取ったことだろう。
しかしながら見目も愛らしいエルフーンとあってはそうした感情も起こりにくく、結局は留守宅で身勝手を振舞われているという事実もよそに、僕はそんな彼女の生活を微笑ましくも見守るのだった。
その後も彼女はリビングへと移るとテレビを点けてはそれに見入ったり、はたまた僕の部屋を訪れてはそこにあるベッドに埋もれてみたりと自由気ままに過ごしていた。
やがては僕のベッド上で寝落ち、以降は僕が帰宅する直前までそこで過ごした様子だった。
そうして午後5時──ベッドから起き上がり小さく伸びをすると、彼女は台所へと帰路を辿った。
そして降りてきた時と同じく無重力さながらにジャンプもすると、点検口へと戻って行くその途中で降ろしていた蓋もまた持ち上げて──……彼女は完全にカメラの視界から消えた。
元通りに天井の点検口は閉じられ、後は静寂が満ちるばかり。
その数分後に僕の寝室を映したカメラ映像には誰でもない僕自身が入り込んできては机上のノートパソコンを引き寄せる映像が映し出された。
斯様な一連の動画を見届けると、僕も小さく伸びをしては頭の後ろで両手を組む。
誰も映らなくなった監視カメラの映像をぼんやりと眺めていた僕は、ふいに自室のベッドへと視線を映した。
あの動画の中では、彼女は終日をこのベッドの上で過ごしていた。
数度の寝返りを打ちながら、このベッドシーツの上で身を捩じらせていたエルフーンの姿が脳内に再生されると、僕は無意識にそこへと移動していた。
その場に屈みこみ立ち膝になってベッドを観察すると、なるほどシーツの中央に彼女が寝ていたであろう小さなくぼみが窺えた。
思わずそこに鼻先など埋めてみて一息吸い込むと──鼻腔には花とも草ともつかない、仄かにハーブのような香りが充満する。
その香りに改めてエルフーンの存在を実感すると途端に胸には、彼女への愛しさが募った。
斯様な一件を皮切りに、僕はこの一室におけるエルフーンとの共同生活を意識するようになった。
あくまでも彼女には悟られてはいないという前提で、僕の生活は小さな変化を迎える。
まずは主食としていたパンを、食パンから小振りのロールパンが多く詰め込まれた物へと変えた。
これは、いつしか枚数の違和感に彼女が気付いた時に食パンを食べなくなるのではないかという心配からだ。
そしてスナック菓子然としたポケモンフードを、さも人が食するかのよう木ボールへ盛りつけてはそれもリビングに置く。
全ては彼女の盗み食いに対する気遣いを減らすための配慮ではあったが──思いのほかにこの作戦は功を奏した。
件のロールパンもそしてポケモンフードもエルフーンは気に入ってくれたらしく、その乱雑な置き方にも安堵したのか心置きなくつまみ食いをした。
さらにはあの飲みづらそうであった水の問題も解消すべく、僕は彼女専用に小さくて軽いプラスチック製のコップを買ってはさりげなくシンクの周りに置いた。
これにはエルフーンも大層気に入ってくれたようで、それで水を飲んでくれたのは元より、さらにはその日一日中そのコップを手にしては過ごしていた。
さらに元の天井裏へと帰るに際してもよほどあのコップに未練があるのか、こっそり持ち帰ろうかと葛藤する彼女をカメラで確認する僕は、それへの愛しさが募るあまり抱きしめてやりたくなる衝動に駆られる。
かくして僕は、斯様な天井裏の同居人との生活を楽しむようになった。
直接の触れ合いは無いものの、それでも他人を思いやることの出来る毎日は何とも僕の心を慰めてはまた、豊かにもしてくれた。
日々、一日の終わりに彼女がこの部屋で過ごしていた映像を確認する習慣は、僕にとって欠かすことの出来ない癒しのルーチンへと変化していったのだ。
しかし──……そんな数日を過ごしていたある日、その事件は起きた。
それを確認した瞬間、僕の抱いていたエルフーン像は粉々に破壊されると同時、僕の心までもそれは破壊してしまうこととなる。
斯様にして僕の価値観を一変させるようなその事件は、思いも掛けず唐突に……そしてどこでもない僕の寝室において行われたのだった。
依然として彼女に気付かれることなく、僕とエルフーンの共同生活は続いた。
あれから更に一ヶ月が過ぎる頃には、僕の部屋の至る場所にはポケモン用のオモチャやオヤツが散見されるようになった。
もちろんそれらは全て僕が用意したものだ。そしてそれに対しエルフーンもまた存分に遊び、そして味わった。
一日の内で彼女がこうして屋根裏から出て来られる時間は少ない。だからこそその僅かな時間を少しでも充実させてやろうと思ったが故のお節介であった。
件のアイテムを買い始めた当初は、これによって彼女が自分の居候を僕に気付かれたと感づいて出て行ってしまうのではないかという不安もあったが、それも杞憂でむしろ彼女はこの部屋での借りぐらしライフを今まで以上に満喫する様子が見て取れた。
最近では天井裏に帰るのが名残惜しいのか、僕のベッドの枕に顔を埋めては残りの数時間をただ漫然と過ごしていることも多くなった。
そんなエルフーンを見守る僕は、そこへ覚える切なさに胸掻きむしらんばかりだ。
事ここに至ってはもう、僕にとって彼女は無くてはならない存在と化していたのだった。
一日の仕事を終え、こうして日中に録画した監視カメラの映像を見ていると、時折りこの昼の最中に突然帰宅などして彼女を驚かせてやりたいという衝動に駆られることもあった。
彼女に触れてみたい……この腕の中に抱き上げて存分にキスをしてやったり、そのふくよかな鬣の中に鼻先を埋めて匂いなど堪能したいなどと考えると、仕事を終えた後の疲れた体であっても僕は目が冴えて眠れなくなってしまうことすらあった。
それでもしかし、そんなもどかしさもまた楽しいのだと僕も弁えている。
この、自身の存在をバレていないと思いこみながら居候をするエルフーンと、そしてそれに気付かぬ振りをする僕の予定調調和こそがこの場所を『楽園』たらしめているのだから。
願わくばいつまでもこの恙無い幸せが続いてくれることを、僕は祈らずにいられないのだった。
しかし……──そんなささやかな僕らの日常は、とある些細な事件を皮切りに崩壊してしまうこととなる。
その日もいつものように日中の彼女の様子を観察していた僕は、その中でエルフーンの異変に気付く。
いつもの如く天井裏から降りてきた彼女の表情はどこか熱っぽかった。
目蓋を半ばに閉じ、明らかに両肩を上下させては呼吸する姿はどこか息苦しそうな印象を抱かせた。
「あれ? もしかして風邪ひいたかな?」
その様子に僕の気もそぞろとなる。
病気に関しては考えたこともなかった。彼女もポケモンであり一個の生物である以上、体調不良に陥ることだってあるだろう。
こういう時、今の関係性は何とも歯がゆい。
手持ちのポケモンであったのならば薬を投与したり、あるいは地元のポケモンセンターへと連れて行ってやることも出来るだろうに。
そんな不安な気持ちになりながらも見つめ続けていると、画面の向こうの彼女はいつもの専用のコップで水を飲んだ後、今日は食事を摂ることも無く台所を後にした。
依然として右手にはあのコップを持ったまま彼女が向かった先は──どこでもない僕の寝室だった。
そうしてベッドの上へとダイブするや、そこのベッドシーツに顔を埋めては幾度となく身を捩じらせる。
さては病気で弱まっていたが故にベッドで横になりたかったのかと見守っていた僕ではあったが──それらは全て僕の勘違いであり、この時エルフーンの肉体には想像もつかない変化が現れていたのだった。
偶然か否か、エルフーンは左側臥位に身を起こしたかと思うと、膝を立てガニ股に開脚するような姿勢を取った。
メスである彼女の何も無いのっぺりとした股間が、遠目ではあるもののカメラの前に晒される様子に僕の不整脈は大きくひとつ高鳴る。
そこからはもう混乱もしきりだ。
ともすれば下品とも取られないその姿勢で彼女は何をしようとしているのか……何も分からず想像もつかない僕ではあったが、ある種の期待が胸の中に渦巻いていた。
マスコット然とした愛らしさゆえ『その妄想』をエルフーンへ当て嵌めてしまうことの禁忌感に、僕は必死にその妄想を頭から振り払おうとする。
それでもしかしカメラの前の彼女は、おおよそ信じられない……しかしある意味では僕の期待へと大きく応えるような行動をとった。
開かれた股間の中心へ、パンのようにふくよかな指先を這わせたかと思うと……次の瞬間、彼女は小さくその先端で螺旋を描いては自身の局部を愛撫した。
その刺激に瞬間、エルフーンは瞳を閉じて苦し気に顎先を上げたかと思うと、そのまま硬直しては小刻みに体を震わせる。
依然として指先が置かれたままの股間は、いつしか切り裂かれたようなスリットがうっすらと現れだしては、その端から液体の流れる煌めきを午前の日差しに反射(かえ)しては寝室の監視カメラへと晒す。
おそらくはその一掻きで絶頂してしまったのだろう。
体の硬直が解け、大きく両肩を上下させながら息荒く泣き濡れた表情を晒す彼女もしかし、次の瞬間には再び膣へと指先を這わせてはその顔を苦しみにしかめさせた。
その後も彼女の自慰は続いた。
幾度となく絶頂を迎えては、今までその足跡を隠し続けてきたのが嘘のように僕のベッド上へ自身の愛液をまき散らしては身悶えるエルフーン……やがて傍らの枕を抱き寄せたかと思うと全身を以てそれを抱きしめ、股座に挟み込んだ枕の鋭角へ股間を押し付けてはこれまた存分に噴き上げた潮をそこに染み込ませた。
もはや声を押し殺すような真似もせず、歌うように嬌声を上げる彼女の声はしかし──どこまでもそれを見守る僕を刺激してやまなかった。
いつしか僕もまた、無意識に勃起したペニスをスラックスのジッパーから解放しては握りしめ、さらにはそれを激しく慰める。
そして数度目のエルフーンの絶頂に合わせ──僕もまた生涯に感じたことも無い快感と開放感の中で果てるのだった。
視界に星をきらめかせるほどの快感の余韻を帯びながら、僕は重いその体を引きずってはベッドへと移動する。
そうして日中に彼女が愛していたであろう枕を抱き寄せ、その角に僅かな湿り気を憶えてはそこに鼻先を潜らせた瞬間──アンチョビを煮詰めたかのような深く濃厚な芳香を確認した僕は、再びペニスを上下に擦り上げる運動を再開させた。
これこそはエルフーンが幻ではなく確かに此処に存在していた証だ。
その蠱惑的な匂いの元をさらに咥え込んでしまうと、僕もまた口中に彼女の味を堪能しながら何度も達した。
その合間にふとパソコンの画面へ目を走らせると、そこには依然として僕の枕を抱きしめては声を上げ続けるエルフーンが映っている。
「はぁはぁ……エルフーン……エルフーン……ッッ!」
その後も数時間に渡り自慰を繰り返す彼女と褥を重ねるよう、僕もまた自身を慰め続けた……事この瞬間においてはもはや、これは枕を媒介とさせた彼女とのセックスに他ならなかった。
翌日は一切の仕事が手につかなかった。
それどころか事あるごとに脳裏にはあのエルフーンの艶めかしい姿と、そして枕やベッドシーツに染み込んだ彼女の芳香とが再生されて、もはや狂いだしそうなほどに僕はいま胸を焦がしている。
そしていつまでも彼女のことが頭から離れない僕は、トイレへと立つ傍ら個室にて密かに監視カメラのアプリを立ち上げた。
時間は午前10時を少し過ぎたところ……いつも通りならば既に彼女は起き出している時間である。
アプリ起動の際の、その僅かなその読み込み時間ですらもが永遠のように感じられた。
そこに僕は昨日同様の刺激的な光景を強く望むのと同時、あれは一時の間違いであって、今日の映像にはまたいつも通りの朗らかなエルフーンの日常が戻っていてくれていることもまた強く望んでいた。
斯様にして矛盾する願望の真意は、もしもう一度あんな彼女の姿を見せられたらもう──僕は理性を保てる自信が無かったからに他ならない。
そしてそんな僕の僕のささやかな願いは無惨にも断たれることとなる。否、ここに至ってはもう叶えられたとも捉えるべきか。
画面がスマホロトムのモニターへ映し出されるや──最大音響のエルフーンの嬌声が突如として響き渡った。
彼女は今日もまた僕の部屋にいる。
そして何処から見つけてきたものか、僕が普段愛用している万年筆の柄尻をペニスに見立てては、それを幾度となく激しく膣へ挿入してはそこから愛液の飛沫をまき散らせていた。
その映像を前に、僕は音が外部へと漏れている危機感も忘れては齧りつくようにそこへ見入る。
ベッドへ横顔を押し付け、その小振りな尻を天高くに突き上げては声を上げる彼女──股座から通した右手に握りしめた万年筆を、見ていて不安になるくらいあの小さな膣へ深く挿入しては引きだす光景はただただ僕を圧倒した。
幾度となく絶頂を繰り返しながらも、なおも貪欲に挿入を続ける彼女の嬌声にしかし、僕はふと不思議な法則性を見つける。
一際感情が高ぶる時や、そして絶頂の瞬間に彼女は同じイントネーションの単語を必ず叫んだ。
おそらくは同一の単語であろうそれ……一体それが何を意味するのかと、ふと興奮のエアスポットの中で考える僕は、画面の中のエルフーンが枕を抱きしめそこに強く口づけを交わしながらをそれを叫んだ瞬間──それが意味することの全てを僕は察してしまうのだった。
「僕を……呼んでるのか?」
身勝手ながら、その時の僕はそれを確信していた。
そもそもが彼女が僕の部屋に居候を始めたのもけっして偶然などではない。
あの日僕に助けられた時から既に、少なくとも彼女にとっての僕との関係は始まっていたのだ。
彼女が僕を愛してくれている。
そして求めている。
そのことに気付いた次の瞬間には、僕はトイレの個室を飛び出していた。
さらには会社からも駆け出し、僕は自宅までの帰路を駆ける。
ここから自宅までは一駅分の距離があり、効率を考えるならば何らかの交通手段を利用した方が労も無く帰宅することが出来る。
しかしながらその時の僕は駆けださずにはいられなかったのだ。
身の内に湧き上がる興奮──それこそはエルフーンを性的に翻弄してやりたいという強い性欲に突き動かされた情動と、そしてそれに負けないくらいに彼女を強く愛でたいという息苦しいほどの恋情。
その二つを内に燃え上がらせた肉体は、今にも爆発しそうなそのエネルギーと想いとを発散させるべく、僕に走らせることを選択させたのだった。
走り続ける中、視界に映る景色は残像を帯びてはどれ一つとして制止した像を結ばない。
それでもしかし通い慣れた道順を辿る肉体は本能的に正確な帰路を辿った。
瞬く間にいつも乗り降りをする最寄りの駅前を通り抜け、いよいよもって自室への距離が目と鼻の先に迫ると──焦燥感に駆られた僕は、もはやまともな思考を保つことが出来なくなっていった。
そうしてアパートの自室前に辿り着き、震える手でもどかしくもドアの開錠を果たすと、僕は脱いだ靴を跳ね上げるようにして玄関の上がり框を跳び越す。
直線の廊下を抜けてリビングへ出ると、左にキッチンが在りそして右壁面のドアから僕の寝室へと通じるドアが見える。
瞬く間にリビングを越え、そして一切のノックや気遣いも無しにそこを開け放った僕は──ベッド上において、仰向けに両ひざを立ててはその股座へと万年筆を挿入しているエルフーンと遭遇した。
その一時、入り口のドアで立ち尽くす僕を見つけてもエルフーンに取り乱す様子は見られなかった。
むしろこの瞬間もなお激しい絶頂の中にあった彼女は、そんな僕を──想い人を目にした瞬間、快楽に泣き濡れた表情を溶かしてはむしろ僕へと満面の笑顔を向けたのだった。
同時、彼女の膣からも潮が吹き上がっては入り口の傍らに立ち続ける僕の鼻先へと浴びせかけられる。
その生々しいまでに匂い立つ彼女の芳香を嗅ぎ取り、そして鼻筋を伝ったそれが唇へと流れ落ちては口中に得も言えぬ彼女の味を感じさせた瞬間──
「エルフーンッッ!」
僕は飛び込むようにして彼女のいるベッドへと身を乗り上げさせていた。
そこから荒々しく唇を奪う蛮行に対しても、エルフーンはむしろそんな僕の両頬へと手を添えては自らも深くキスを交わしては僕からの抱擁を貪った。
互いの舌を噛ませあいながら粘着質に音を立てては唾液を啜り合うキスを交わす僕のポケットからスマホロトムが零れ落ちては床に転がる。
依然として監視カメラの確認アプリを起動したままの画面には──ベッド上にて激しく絡み合う、僕とエルフーンの姿が映し出されていた。
ベッド上において仰向けに両ひざを立てて寝そべるエルフーンの前へ、僕も立ち膝でにじり寄る。
スラックスから取り出したペニスは下腹へ付いてしまうほどに反り返っていて、その根元に指先を添えて角度を調整するのにも痛みすら覚えるほどだ。
そんなペニスを一度、エルフーンの下腹の上へと置いた。
決して大きくはないはずの僕のペニスであっても、小柄のエルフーンにとっては規格外のそれだ。
彼女の体の上に置かれたそれは、実にみぞおちを越えて胸元にも届かんばかりの大きさだった。
それを目下に見下ろすエルフーンの目が見開かれ、その中に驚愕と恐怖の色とがありありと見て取れた。
それを示すかのよう、震える彼女の膣は勢いよく失禁を果たす。
今からこんな規格外の一物をこの小さな体へと収めようとするのだから、それを想像し彼女の恐怖たるや計り知れない。
さながら串刺しにされる気分を味わっているであろうエルフーンにもしかし……その目には同時に強い期待の色も帯びていた。
性的興奮で霞のかかった頭と、直前までのオナニーで熱し切った体──そして誰よりもその相手を務めようというのは誰でもない想い人であった僕なのだ。
そして斯様なトランス状態に置かれているのは僕もまた同じだ。
焦らすように、はたまたサディスティックに凶器を見せつけるようペニスをしならせては腺液の滲む裏筋でエルフーンの下腹を小太鼓よろしくに打ちすえてやる。
やがては僅かに腰を引いてさらにペニスの位置を下ろすと、ついに僕は彼女の膣口へと亀頭の先端を触れ合わせた。
途端に溢れ出していた愛液と僕の腺液とが溶け合っては互いの肉体の境界を失くすかのような滑りを帯びた。
指先を添えた陰茎の根元を僅かにブレさせると、その先端の亀頭は大きな振り幅を以ては上下して濡れた膣口を撹拌する。
極端な体格差からも、亀頭の鈴口がクリトリスを挟み込む感触にエルフーンも頭を仰け反らせてはその快感に震えた。
もはや愛液とも失禁ともつかない膣の惨状を前に僕も亀頭を制止させ、やがてはその狙いを膣口一点へと定める。
そうしてゆっくりと味わうよう身を沈めていくと……遂に僕のペニスはエルフーンの膣へと挿入された。
癒着した小さな膣道を亀頭で押し広げていくその挿入は、文字通り肉を引き裂くかのような感触を僕に覚えさせる。
一方でそれを受け止めるエルフーンもまたその感想は同じことだろう。
その幼く端整な目鼻立ちが歪むほどに歯を食いしばり、そして眉元を強(こわ)めてはその衝撃に耐えるエルフーンは皿のように目を丸くして瞼を剝いた。
ペニスの全長の半分にも満たない程度でやがて、亀頭はその奥そこにある子宮口へと当たって動きを止めた。
到達のその瞬間、直に子宮を押し上げられるその感触に身悶えてはエルフーンも激しく失禁して果てる。
結合する下腹に打ち付けられるエルフーンからの排尿の飛沫を熱く思いながら、その時の僕もまた忘我の状態にあった。
こちらは一変して快感に由来するそれである。
亀頭全体を包み込む熱は焼けるかのようで、同時に滑りを帯びた膣壁の粘膜は電気仕掛けのよう絶えず痙攣を繰り返しては咥え込む陰茎を刺激し続けていた。
それでもしかし、これでまだ全体の半分しか挿入が果たされていないことに僕の希求心は強く煽られる。
もっと挿入したい……ペニス全体をこの淫肉に包みこませては、更なる快感を得たいと無慈悲にも望んだ僕は、その最低最悪の願いを叶えるべくに行動をしてしまうのだった。
エルフーンを体の中に抱き込んで固定すると、僕はその限界状態から更なる挿入を敢行した。
そんな僕の行為に最初、エルフーンも何が起きているのか分からない様子だった。
しかし胎(はら)の中に収まったペニスが更に進行を始め、文字通りに子宮を押し潰してくる感触に焦りを覚えては戸惑いの声を上げる。
やがてそれは抜き差しならない痛みへと変わり、他の内臓器もまた圧迫してくる苦しみに恐怖を感じては、その非力な手の平で覆い被さる僕の体を打ち始めた。
それでもしかし僕はその挿入を止められない。
彼女の身を切り裂く陰茎がその肉坪の中へ埋まるほどに、僕はペニス全体に広がる快感に忘我しては更なるそれをペニスに帯びようと更に挿入を進めた。
既に陰茎はその三分の一を残すほどにまで挿入され、そこに到ってはどんなに力を込めようとも進むこと叶わなかった。
彼女の中において亀頭はその先端が折り畳まれているかのようひしゃげているのが実感できる。
幾度か腰を打ち付けてみるも瞬間的に沈むそれは、硬い弾力に押し戻されてはエルフーンにカエルめいた呻きを上げさせるばかりだった。
そんな状況を前にしてようやくに小刻みな前進を続けていた僕は腰を止めた。
同時にエルフーンは大きく息をつくと暴風のような音を喉からならせては荒い呼吸を続ける。
体全体で抱きしめているそんなエルフーンの息遣いとペニス越しに伝わってくる鼓動を感じ取っていると──その哀れさに憐憫と慚愧の想いに苛まれるもしかし、
「はぁはぁ……ごめんよぉ、エルフーン……やっぱり、僕は君を壊したい……」
僕は彼女の耳元で、おそらくは自分の生涯において最も無慈悲で残酷な宣言をする。
それの意図も分からずにすっかり脱力したエルフーンは僅かに顎先を上げては抱き込む僕の表情を窺う。
体の下に組み敷いたエルフーンと目があった瞬間、身勝手にも僕は心に溢れる彼女への愛しさからその口元へ微笑みを浮かべてしまった。
それを受け、依然として状況の掴めない彼女の額へキスをすると僕は覆いかぶせていた上体を起こしては目下にエルフーンを捉える。
その小さな体の股間部には、まるでエルフーンが勃起しているかのようなペニスの陰影が大きく浮き上がっていた。
みぞおちの少し下くらいまで止まっているそれを捉えたまま、僕は彼女の儚い腰元をまるで筒でも携えるかの両腕でワシ掴む。
その下半身に生じた僕の握力の圧に驚いては、涙に呆けていたエルフーンの瞳が再び大きく見開かれた。
言わずもがな、彼女は察したのだ──あの地獄のような強行突破が再び行われようとしていることを。
それを直前にして、彼女はいよいよ以て泣き声をあげるとすがる様に僕の掌の上へ自身の手も重ねては、懇願するような弱々しい声と共に小さく首を振った。
でも……そんな仕草はもう、僕をより発奮させてしまうだけの燃料でしかない。
その可憐な姿に胸焦がしながら、僕は胸中に滾る思いのままに彼女の名を叫んでは一息に腰を突き出した。
深く抱き込んでいた時とは段違いの力の入った一撃は──今度こそ僕のペニスを根元まで彼女の中へと収めてしまう。
亀頭の先端に、彼女の内部で数多の臓器を押し分けて進む複雑な圧迫感が感じられた。
その瞬間、一切の感情も無くしては表情を頬消させたエルフーンも次の瞬間には──
声の限りに……さらには胃の中の内容物すらも吐き散らせては、弓なりに身を仰け反らせるのだった。
改めて見下ろすそこには──エルフーンの悲惨極まる姿があった。
胎(はら)の皮膚一枚下に収められたペニスの陰影は胸元にまで大きく浮き上がり、それを受け止めるエルフーンもまた上目に瞼を剥いては開き切った口中から舌を吐き出してと、まさに瀕死さながらの様相である。
涙と涎にまみれたその横顔へ指先を添えてやるとその瞬間、触れられる触感に反応しては彼女も大きく身を引き攣らせる。
その僅かな刺激ですら膣壁を通じては包み込んだペニスを刺激してくるのだから、僕もまた不用意に動くことなどできなかった。
少しでも動けば……このまま彼女の中からペニスを引き抜く動作ですらその刺激に負けて僕は達してしまうことだろう。
膣壁ごしに感じる彼女の浅い呼吸と鼓動からくる、その連続した僅かな刺激に忘我していると──突如として生じた肉の激しいうねりに晒されて、僕も眼を剥いた。
何事かと思い再び視線を目下に結ぶと、そこには盛り上がった胸元の皮膚越しに僕のペニスを両手で揉みしだいては刺激しているエルフーンの姿が目に入った。
その行為は彼女自体へも刺激があるらしく、その小さな指先が左右から亀頭の陰影を揉み挟むたび、エルフーンは短い悲鳴めいた嬌声と共に身を痙攣させては潮を噴き上げるのだった。
斯様にして我が身を呈するかのようペニスへと刺激を与え続けるその理由に気付いては思わず僕も息を飲む。
限界に達しているであろう自身の肉体へさらに鞭打つその理由こそは──
「僕を……喜ばせようとしているのかい?」
思わず口をついてその想いが漏れた時、あらぬ方向に向けられていたエルフーンの瞳にも明確な意思の光が宿った。
それからその頼りない視線を震わせながらに僕へ結ぶと、彼女は小さく微笑んでみせる。
さらにはそれに合わせるようにペニスを揉みしだく動きを強める様から、僕の予想は当たったようである。
正に身を裂かれんばかりの苦しみの最中にあってもなお、彼女は僕がこの行為に快感を見出している様を目の当たりにし、そこへ強い悦びもまた感じていた。
自分の体でもっと僕に愉しんでもらいたいと思い、ゆえに行き着いた行為こそがこの、肉壁越しに刺激する愛撫に他ならなかったのだ。
そんな彼女からの気持ちと、そして新たな快感を享受したその瞬間──
「エルフーン!」
僕は再びその身を倒すと彼女を深く抱き込んでいた。
そんな突然の激しい動きに加え、さらには深く抱きしめることで挿入が進んでしまう刺激に再びエルフーンは苦しげな声を上げたが……そんな彼女を哀れみつつもしかし、僕は溢れ出る感情を抑えずにはいられなかった。
「ありがとう……すごく、気持ちいいよ! 僕も、エルフーンのことが好きだ!」
僕からの告白を受け、明らかに今までとは違う肉のうねりが生じては僕のペニスを刺激する。
そしてそんな僕をさらに迎え入れてくれるかのよう収縮を始めるエルフーンを……
「好きだ……大好きだぁ!」
僕もまた激しくピストンを繰り出しながら全身を以て彼女を感じた。
もはや射精に達してしまうことへの戸惑いも、彼女を壊してしまうことへの躊躇いも無い。
ただ全力で彼女の肉体を感じるべくに、でたらめなペニスの出し入れを僕も敢行する。
密着する僕の胸元に、エルフーンの肉越しに突き上げる自身のペニスの硬さが幾度となく感じられた。
そして内からはペニスと、そして外からは抱き潰さんばかりに圧縮される僕の胸板にその薄い肉壁を挟み潰されてはエルフーンもまた獣染みた声を上げる。
それでもしかし、そこに込められているものがけっして苦しみだけではないことは僕にも察せられた。
彼女もまた全身で僕を感じては、けっして同種同士では味わえないであろう快感に身を浴していることが。
その中でついに僕も限界を感じる。
「あああ……もうダメぇ……このまま、出すよ? エルフーンの、体の奥に出しちゃうからね!」
僕からの無慈悲な宣告を受けてもなお、エルフーンは強く僕の体に抱き着いた。
射精の宣言に反応し、彼女の肉体もまたそれを受け入れるべくに絶頂を予期した収縮を繰り返す。
そして痙攣しきりであった膣壁が一変して強く鋭く僕のペニスを絞り上げる動きに移行したのを最後に──僕もまた彼女の胎(なか)において、思いの限りの射精を果たした。
そのあまりの勢いとそして量ゆえに、ペニスの陰影を浮き上がらせた彼女の薄い胸板にも、その表皮に湯が湧くかのような隆起が幾度となく盛り上がってはそして消えるを繰り返した。
そうしてしばし深く抱き込んだまま送精を続けていると、その体液の流動にひしゃげられていた内臓もまた反応し、エルフーンへ激しい嘔吐を催させる
「ああ……ごめんよ………ゴメンね、エルフーン」
そんな彼女を前に僕もまた上背を丸めると、口や鼻腔を問わずに溢れ出し続ける彼女の吐瀉物をすすり上げた。
幾度となくそれを繰り返しながら彼女の味を感じていると、やがてはそんな僕の口中に侵入してくる熱い何かを感じて僕も眼を剥く。
それこそは彼女から伸ばされてきた舌先であり、それを確認すると僕もまたそこへ自分の舌根を絡ませては激しいディープキスへと展開していく。
そうして互いの唾液を貪り合っていると、熱の引いていく体はそれに比例するよう僕のペニスからも硬度を失わせていく。
見る間に肥大化が解けていくと、今度は腹の中から異物の流れ出る喪失感に反応してはエルフーンもくぐもった声を上げた。
やがて嵌まり込んでいたペニスは完全に彼女の膣から抜け落ち、僕もまた一歩腰を引くと──目の前には洞穴の如くに穿たれたエルフーンの、剥き出しの膣口が露となっていた。
幾重にも皺を寄せた薄紅色の膣壁は、ペニスによる栓が抜けてもなお閉じ切らずにその内面を晒し、小さなこの体は見合わぬ異次元さながらの如き光景をそこに展開していた。
見守り続ける中、僕のペニスによって押しやられていた内臓が定位置へと流動しだすと、それに合わせてエルフーンの膣底奥深くに鎮座する子宮口は、まるで会話するかのよう開閉を繰り返してはその間口から湯立つような水音を漏らしながら僕の精液を吐き出し続ける。
やがては最後に胃や腸類を含んだ消化器官が水の溜め込まれた風船さながらに下腹へと降りてきてその表面を大きく波立たせるや──開き切っていた膣口は完全に閉じ切ると同時に、貝の呼吸器よろしくに子宮口を外部へとはみ出させては……後は凍えるかのよう震え続けるばかりであった。
「あぁ……大変なことになっちゃったあ……ごめんよエルフーン……ごめんよぉ」
そんな目の前に晒される脱子宮へと、僕は自分お精液にまみれているのもお構いなしに舌を這わせては愛撫を敢行する。
その表皮を舌先で強く刮ぎ、さらには子宮口へとそれをねじ込むに至ってはエルフーンもまた再び強く反応しては身を反らせてはへそを天に向けて突き上げる。
子宮口からは更に夥しい僕の精液を吐き出すそんなグロテスクな眺めにもしかし……僕は再び興奮を覚えていた。
やがてはそんな彼女の脱子宮に手を添えるや──僕はその間口へと再び高質化した亀頭の先端を宛がう。
「ごめんね、エルフーン……君が可愛すぎてまた我慢できなくなっちゃった」
亀頭をその間口へと擦り付けたまま、鈴口と子宮口によるディープキスさながらの愛撫を施しながら尋ねる僕にエルフーンもまた、鳴き濡れては朦朧とさせた瞳をそこへと向ける。
それこそはまたしてもあの行為の再行に他ならない。
『セックス』とは名ばかりの、生殖器同士による歪な遊び──……それでもしかし、エルフーンは微笑んだ。
さも嬉しそうに微笑みながら両足を持ち上げては胸元へ付けるように畳み込み、自ずから括約の緩んだ子宮口の両淵へ指先を掛けると──再び僕を迎え入れるべくにその間口を広げた。
エルフーンの表情さながらに、まるで笑みを湛えるかのよう間口のひしゃげた子宮口へと、
「あぁ! エルフーンッ!」
僕は再び、一切の手加減も無しにペニスの挿入を敢行する。
始まりの頃とは違い、すっかりと解された肉壺は難無くペニス全体を飲み込んでしまうと、それに反応してエルフーンの顎先を天へ突き上げさせるかのようにして仰け反らせた。
そこからは幾度となく互いを貪り合いながら、僕達は時間も忘れてまぐわい続けた。
やがてはそのまま朝を迎え、それでもしかし互いにきつく抱き合ったまま眠りに落ちる僕達はようやくに──
この幸福な瞬間を共に分かち合うことが出来た充実を、互いの中に実感するのだった。
晴れてエルフーンは僕の家の子となった。
予想通り彼女は過去に助けたエルフーンであり、それ以来僕に恩返しをと追いかけるうちに自然とこの部屋へ上がり込むことになってしまったようだった。
そして以降は知っての通りである。
紆余曲折はあったものの彼女は僕の前へ正体を明かし、果てに結ばれては改めて僕のパートナーとなったのだった。
とはいえしかし僕達の間柄は単なる『ポケモンとトレーナー』の範疇に収まるものではなかった。
その関係はもはや、恋人同士ともいうべき親密かつ濃厚な絆をここに築き上げたといってもいい。
その何よりも証として、僕と彼女にとって性的交渉によるスキンシップは欠かせないものとなっていた。
とはいえヒトとエルフーンという体格差である。
体長1メートルにも満たない小柄な彼女とのそれはいつだってハードだった。
毎度、規格外のペニスを受け入れる彼女の事後は半ば猟奇的とも取れる様相を呈してもいたが──僕はそんな彼女もまた愛してやまなかった。
むしろ始まる前こそは躊躇する僕に対して乗り気な彼女という図も、いざ行為が始まってしまえば泣き叫ぶエルフーンを興に乗った僕が無慈悲に責め立てるという逆転の光景が展開された。
そうして最後には体中を僕の精液にまみれさせ、さらには膣へ巨大な空洞を穿たたせては横たわるエルフーンの姿など、まともな精神の者が見たならば発狂も然りな光景と言えた。
それでもしかし──世間一般ではおおよそ眉をひそめられるような関係においても僕らは満足をしていた。
それどころか最近では……むしろエルフーンこそが更なる関係の発展を求めてきては僕を戸惑わせる毎日である。
今も彼女は、帰宅を果たした僕へと駆け寄ってきてはその足に抱きつく。
そこから強く頬擦りなどをして日中の淋しさを存分に癒してくる彼女を、僕もまたその両脇に手を差し込んでは眼前に抱き上げた。
斯様にして視線の高さが合うと、彼女もまた伸ばした両手を僕の頬へ添えては愛撫をし、そこから僕達は濃厚なキッスを交わした。
エルフーンの唾液の味わいに、日中彼女が何を食べてどのように過ごしていたのかが伺い知れると同時、彼女もまた同じくに僕の唾液から情報を貪ろうと、幾度も舌鼓を打っては再開のキスに躍起となる。
そうして二の腕へもたらせるよう抱き直しながら、ふと彼女の体へと目を落とした僕は……そこへ従来にはないエルフーンの肉体の変化を発見する。
その下腹部は球体然として膨張し、腰のくびれなど消失させてはお尻に至るまで真円のラインを形成していた。
その発見を前に、僕の興奮を宿した不整脈が湿り気を帯びて鼓動する。
それこそは彼女が胎内に何かを挿入しているに他ならないからだ。
「またお腹に何か入れて遊んでるね……?」
キスに一区切りをつけ、僕は演技染みた様子で語りかけながら彼女の膨張した下腹を擦った。
薄い彼女の皮膚越しに感じるその硬質的で丸みを帯びた感触に興奮を覚えると、その愛撫を受けるエルフーンもまた熱に浮かされた瞼を腫れぼったく半ばに閉じては、その愛らしい見た目にそぐわない妖艶な笑みを浮かべる。
そうして僕の腕のなか、膝の裏を抱えるようにして腰を畳むと、彼女は自身の局部を天へ向けるようにして晒した。
そんな彼女のいる腕の中を見下ろす僕の目に入ってきたものは……
「……食いしん坊のいけないポケモンだ」
膣口から僅かに頭を覗かせたナスのヘタであった。
このナスには見覚えがある。それというのも昨日、彼女と共に夕食の買い出しへ出掛けた際に強く所望されたものだった。
てっきりそのまま食べるのかと思いきや、まさかこんな形でお腹の中へと納めてしまうとは……。
半ば呆れつつもしかし、興奮も顕に僕はそのナスのヘタを指先につまみ上げる。
そこから引き抜こうと力を込めるも、ナスは膣の中で向きを変えては彼女に声を上げさせるばかりで、一向にそこから降りてくる気配をみせない。
「あれれ……これ、本当に取れないんじゃないの?」
そこからは僕も、半ば握りしめるよう強くそのヘタをつまみ上げると──そこから渾身の力を込めて抜き出しにかかった。
おそらくは今日一日をかけてこれを挿入したのだろう……日々のスキンシップでだいぶ拡張が為されていたとはいえ、件のナスの胴回りは明らかにエルフーンの膣口よりも大きいものと言えた。
それでもしかし力任せに引き抜いていると、やがて膣内に嵌まり込んでいたナスもまたゆっくりと動き始める。
ほぼ真円と言える水茄子の形状そのままに膣口は張り詰めてその縁を膨張させ、尿道も横一文字にひしゃげればその上に鎮座するクリトリスもまた内から押し上げられる形で屹立しては、勃起するペニスさながらに天を向いてはその身を震わせる。
その段に至るともはやナスは中頃まで体外へと引き出され、その最大径となる胴回りの引張を以ては激しくエルフーンを責め苛めた。
隙間なく嵌まり込んでいた物体の喪失に伴って真空状態となった腹腔に連動するよう、エルフーンのみぞおちは紙のように薄くなっては下あばらの陰影をくっきりと浮かび上がらせる。
やがては完全にそのナスが引き抜かれると──周囲にはおおよそ生理音とは思えないほどに軽快で甲高い破裂音が一つ響いた。
その衝撃にエルフーンもまた顎を突き上げて身を仰け反らせると、同時に小さなこの身を飲み込んだ大きな快感に絶頂しては──屠殺される家畜さながらの泣き声を絞り出してその余韻に打ち震えるのだった。
いったい彼女はどのくらいの時間これをお腹の中へ納めていたものだろうか?
掌に感じる重く艶やかなナスは調理でもされたのかと思うほどに、エルフーンの体温を宿しては熱くなっていた。
同時にもう片手に抱き止めている彼女はといえば、開ききった膣口は依然として元通りに閉じ合わさることもなく、幾重にもシワを寄せた深紅の内壁を僕の目の前に晒すばかりだ。
おそらくは既に僕の握り拳よりも大きく開け放たれた彼女の穴を前に、僕もまた思い付くままにその中へと右の拳を挿入してみた。
途端、新たな物質の挿入に反応し膣内は収縮をしては閉じ合わさって僕の拳を一分の隙間もなくまとわりついては吸着をする。
その新たな刺激に反応しては彼女もまた僕の腕にもたらせていた体を跳ね上がらせる。
そこから僕の右手が丸々と埋まってしまった自身の膣を見下ろしては驚愕に瞼を剥く彼女の反応に……僕の中のエルフーンへの愛しさと加虐心とが今宵もまた熱く滾るのを感じた。
「凄いねエルフーン。僕の右手なんか簡単には飲み込まれちゃったよ……だったら今夜は、両手も全部入れちゃおうか」
その残酷な期待から笑みが洩れてしまう僕とは対照的に、エルフーンはその顔から血の気を引かせると不安げに幾度も頭(こうべ)を振っては声にならない許しを懇願する。
しかしながらその反面──僕の右手を飲み込んだ膣壁は激しく蠕動を繰り返し、その内部においては下がり始めた子宮口がまるで熱烈に迎え入れるディープキスさながらに僕の拳へと吸い付いてくるのだった。
そうして僕は彼女を腕の中に抱き直すと寝室へと向かう。
そんなに移動の途中『あること』に気付いて振り向くと、僕はそのまま天井の一角を望んだ。
そこには室内を移動する僕達に反応してその行動の一部始終を見つめてくる監視カメラの姿があった。
なるほど──今もなおコイツは役目を果たしてくれていて、なおかつ今度は僕が見張られる番という訳だ。
そんなことを考えると、この状況もまんざらではないことのように思えた。
あの時は見えない誰かを発見する為のカメラではあったが、今度は僕達の記念を残す役割をこのカメラは担っているという訳だ。
ならばせいぜい見る者が愉しめる記録を残してやろうと、僕は恥知らずにも開き直る。
僕とエルフーンの思い出を、今度は未来の僕達へと見せつけてやるのだ
【 屋根裏の同居人・完 】
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