【24】西領の耳嫁(マフォクシー)
目次
雪深い山間に西領(せいりょう)と呼ばれる地域がある。
そこに存在する王族の間にはポケモンを嫁や婿として送り出し、そして時に受け入れる『耳嫁・耳婿』なる風習があった。
風習と言えば前時代的にも聞こえるが、この地方では現代においてもなお有効な政治的駆け引きのひとつである。
例えるに──とある王族同士が縁故や同盟を結びたく画策する場合に、最も有効でなおかつ手頃な手段はといえば一族同士の婚姻だ。
しかしながら数ある王族達の中で有力になるであろう者を見極めるべく複数にそれを行う場合、必然的に子供の数が足りなくなってくる。
そこでいわば、『婚姻の約束』だけを形式的に取り付ける為の嫁や婿の代理が、耳嫁や耳婿と呼ばれるポケモン達であった。
また受け入れる側もその者達をポケモンとは捉えず、あくまで相手王族の一員とみなしては厚遇を以て預かる。
しかしながら無事に婚姻が成立すればそのポケモンは大義として身の安泰を保証されるも、それが決裂と相成った場合には……そのほとんどで彼ら彼女らは悲惨な結末を迎えることとなる。
ポケモンを人として捉えるこのシステムは一見するならば人とポケモンとの垣根を無くす平等なものにも見えようが、その実はポケモンを約束手形の代わりとして取り扱う人間の業(エゴイズム)を凝縮させたかのような習わしでもあった。
閑話休題(はてさて)──
そんな西領の一王族の元へその年──一人のポケモンが耳嫁として遣わされた。
送り出されてきたのはメスのフォッコであり、相手となる王子はその時6歳であった。
先にも述べたよう、政略結婚の意図が強いフォッコの嫁入りであっても、幼い王子にとっては『新しい友達がやってきた』程度の認識しかない。
また耳嫁たるフォッコもまた、聡明で愛情深い性格であったから、二人は出会って一時間とせずに親友となった。
名目上は嫁であり、そして二人はそれに倣った許嫁同士でもある訳だから、実に密にそして多くに時間を共に過ごしていくこととなる。
精神年齢的にはフォッコの方が長じていたことからも、彼女にとっての王子は愛し守るべき『弟』とともいうべき存在となり、また王子も幼いながらそれを察しては懐き、二人は実に仲睦まじく王宮での幼少時代を共にするのであった。
そんなある時、
「うぅ~……フォッコぉ~、おしっこ~……」
王子が中庭で尿意を催した。
無作法ではあるが屋外である。人気が無い庭の一角を探し出すと、フォッコはそこへと王子を誘導した。
恙無く排尿も済ませ、ペニスをしまおうとすると王子へとフォッコは静止を訴える。
そうして訳も分からずに待機する王子の腰元へ鼻先を寄せると──
「わッ? なぁに?」
フォッコはそのマメ科のさやのように先端のよじれたペニスを咥え込んでは、そこの後掃除や消毒ともいうべき愛撫を施した。
尿の残滓を吸い上げ、さらには包皮の中にも舌先を潜らせてはそこに溜まる恥垢といった穢れもまた、王子が痛がらない範囲でフォッコは舐め清めてやるのだった。
当然ながら、幼い二人に性の知識や性欲に根差した感情の類は一切無い。
フォッコにしてみれば、汚れやすい場所だけに王子の身を案じてはその場所を清潔にしてやろうという姉心的なお節介からの行動であった。
「うふふッ、うふふふ。くすぐった~い」
それでもしかしそんなフォッコの気遣いは王子も嬉しかったようで、以降はこの排尿後の『口によるお掃除』がフォッコの習慣となっていった。
さらにこうしたフォッコのお節介は度を越えていく。
ある時など宮中において王子が尿意を催した際には、トイレまでの辛抱が間に合わぬと判断したフォッコは──こともあろう観葉植物の陰に王子を招き入れると、前足を揃えて座り込んでは小便器よろしくに王子の前へと大きく口を開けた。
「えぇ……いいのぉ?」
さすがに他者の口に粗相をしてしまうことには躊躇いも見せた王子ではあったが、いよいよ以て尿意も限界となり、さらには口を開けたままのフォッコからも喉を鳴らされて催促されるに──王子も意を決する、
フォッコの下前歯の上にペニスをちょこんと乗せると、そこから長く排尿を果たした。
一方のフォッコもまた一滴も漏らさじと、大きく喉を隆起させては下あごに溜まるそれを飲み下していく。
やがてはその排泄が完全に終わり王子が大きく息をつく様子もまた見届けると、フォッコはようやくに口を閉じては口中の残滓も飲み下し小さなゲップを一つ。
その後はいつも通りに包茎の掃除もまた舌先でしていると、不意に王子がフォッコの頭を抱きしめては掻い繰った。
「いつもありがとー……フォッコ。大好きぃー……」
幼さゆえの飾りも衒いも無い言葉ではあるが、だからこそストレートにフォッコの耳と心には届いた。
目の前にある王子のはにかんだ上目遣いがたまらなく愛しくなっては──思わず立ち上がって前足を掛けると、そこからキスや舌による愛撫の嵐をフォッコは王子にお見舞いしてしまうのだった。
「うはぁ。うははは……くちゃーい♪」
それに対して王子もまたコロコロと笑った。
本人達は気付きもしてない二人のファーストキスは、尿の味と匂いにまみれたものとなった。
そんな蜜月の内に二人の幼少時代は過ぎていく……。
この時、王子は6歳──今より12年前の、春の日の出来事であった。
耳嫁が嫁いでから4年──王子は10歳となり、フォッコはテールナーへと進化した。
二人の友情はなおも変わらずで、何処にいても何をしている時も一緒という生活にも変わりはない。
しかしながら、この時期より王宮内部はにわかに騒がしくなる。
テールナーの送り出し先である王室とはまた別の他家より婚約の申し出があったことから、テールナーの王家はその身を引くのではないかと囁かれ始めた。
もっともそんな水面下での政治闘争など知ろうはずもない王子とテールナーは、なおも青春を謳歌していた。
ある時、午前の習い事を終えたテールナーに王子は引き止められる。
耳嫁・耳婿たるポケモンは嫁ぎ先である王族の習わしを学ぶため、『乳母』と呼ばれる専属のトレーナーから実にいろいろなことを教わる。
王子もまた、自分の知る家の礼儀や作法をテールナーに教えては彼女の予習と復習の手伝いをしてやることが日課となっていた。
だから今日もそのことで呼び止められたのだろうと王子も思っていた訳だが──この日のテールナーはどこか違った。
王子の手を引きながらも笑顔が抑えられないといった様子から何かイタズラを画策しているだろうことが予想された。
幼少の砌からテールナーと行動を共にしてきた王子にはそんな彼女の企みが知れると同時に、王子自身もまた期待せずにはいられない。
今日はいったい何を思い付いたのだろうか?
手を引かれるままに連れていかれた先はテールナーの寝室であった。
室内は足の踏み場もないくらいにクッションや枕、そしてぬいぐるみや布団の類が敷き詰められている。
これはフォッコ時代には四つ脚だったことも考慮して作られた彼女仕様の特別な一室である。
そしてそんなテールナーの部屋を、
「わぁー♪ ふかふかー」
王子もまた好きだった。
どこに寝転んでもクッションが優しく体を受け止めてくれることと、そして何よりもそれらクッションの類には何処もテールナーの匂いが満ちていて、この部屋で彼女と共に過ごすことは、幼い王子の心安らぐ一時でもあった。
そして今日も例に漏れずそんな布団の上に飛び込んでは存分に泳ぎ、転げまわっては体を丸くなどしていると、後から入室してきたテールナーも王子へと追いついた。
そうして布団の上で改めて向き直り、今日の用向きを尋ねる王子に対し──テールナーは鼻先を寄せては軽くキスをした。
テールナーとのキスなどは挨拶の一環として幾度もしていることではあった。
しかし今回のそれは違った。
ただ唇を一瞬だけ触れ合わせるいつものそれとは違い、今日のテールナーから施されるものは唇に噛みついては口中に吸い込んでしまうという、捕食されるがごとくに濃厚なものだった。
それでも嫌悪や恐怖が湧かないのが王子自身も不思議でしょうがない。
それどころか、もっとそれを求めたくては王子からもテールナーの口先を吸いだしては同じよう唇でついばんでしまう。
そんなキスを続けていると、やがてはテールナーの舌が口中へと侵入した。
唾液同士の潤滑と、そしてそこの表面をなぞる僅かにざらついた感触はさらに王子を忘我の域へと連れ去った。
舌同士が絡み合う感触に加え、そこへテールナーの体温とそして唾液の味とが加わると、いよいよ以て王子は眩暈に似た感覚に見舞われては呼吸を乱れさせるのだった。
そうしてついには座ってすら居られなくなって仰向けに倒れ込むと、そんな王子に覆い被さるようにテールナーは身を重ねた。
体全体で感じられる彼女の毛並みの手触りと体温とが心地いい……テールナーの体などいつも触っているし、ハグによる挨拶だって毎日のように交わしているというのに、どういう訳かいま彼女から施されるそれは、そのどれもが心地良くて王子の幼い意識を朦朧とさせた。
そうして存分にキスをすると、テールナーは一旦体を起こしてはそんな王子を満足げに見下ろす。
この日──テールナーは乳母から性に関する講習を受けていた。
それはキスやペッティングによって殿方を喜ばさせるという、房事にまつわる授業であった。
耳嫁や耳婿にとっては、幼い婚約者への性の手解きや慰めもまた大切な勤めであった。
外世界では、ことポケモンとのこうした行為についてはタブーや嫌悪が付きまとうものでもあるが、ここ西領に関しては──斯様なポケモンとの閨房もまた、永らく続けられてきたしきたりの一部であるのだった。
そしてその手ほどきを受けたテールナーは、真っ先にそれを王子へと施したくては彼を探していたという訳であった。
話は戻り、ベッド上で未だ脱力から抜けきれぬ王子をうつ伏せにひっくり返すと、そこからテールナーは王子の履き物を下着もろともに引き剥がした。
さらにその下から露になった王子の色艶のいい臀部を目の当たりにし、テールナーは期待と興奮あまりについ──
「きゃんっ!? なぁにー?」
そこを平手で叩いてしまう。
……いかに性の手ほどきを受けたとはいえ、子供とあってはムードもデリカシーもあったものではない。
さらに王子へ尻を上げるように要求すると──両膝をついては天に向かって突き上げられる王子の臀部を目の当たりに、テールナーも大きく鼻を鳴らす。
そして荒々しく王子の尻を両手でワシ掴んではそこを押し広げると……その中央で鎮座する彼のアナルへとテールナーは舌を這わせた。
「んきゃあッ!?」
そんな箇所への今までに体験したこともない感触に王子も声を上げた。
テールナーの唾液が染み込んでくる感触が潤滑を伴っては、染み入るような暖かさとして肛門の奥底に感じられる。
始まりこそは力を込めて身を固くしていた王子ではあったが、徐々にその感覚に慣れてくると緊張もほぐれ、自然と肛門はその淵を広げてはテールナーの舌先を受け入れ始めた。
「んわわ……んわわわ、なにこれぇ? ヌルヌルしてるぅ……ッ」
そんな王子の肉体の変化を受けてテールナーの責めもさらに激しさを増す。
もはや完全に臀部のクレバスへとマズルを埋め込み、限界まで伸ばした舌全体を直腸の中に収めては縦横無尽にそこを舐りつくすのであった。
そんな中でやがては王子にも新たな感覚の波が生まれる。
「……んう? あ……テールナー、オシッコしたい……」
一切の前兆も無しに突如生じた尿意に王子も戸惑った声を上げる。
しかしテールナーは愛撫による奉仕を止めようとはしない。
王子の声に反応して耳が動いたことからも、その要望も聞こえてはいるはずであろうが、むしろテールナーの舌先はなおさらにその力強さを増した。
「あ、ああ……ダメェ……テールナーのお部屋で、オシッコ出ちゃうよぉぉ……」
そんな無慈悲な責めに晒されては、幼い王子の忍耐にも限界が訪れようとしていた。
そしてついには失禁のタブーから一際高く声を上げた瞬間、王子は失禁を──
「え? なにこれ? 変なのチンチンから出てるぅ……ッ!」
否、人生で初となる『射精』を果たした。
彼の体を支えるべくに腹部へ添えていた手の平に熱い粘液の感触を感じ、テールナーは顔を埋めていた尻から鼻先を抜き取り、改めて精液が漏れだし続けているペニスへと注視する。
幼く勃起した王子のペニスの下に、左右の小指同士を擦り合わせた両掌の杯を作り、その上に溢れ出てくる初精を全て受け止める。
そうして両手の上になみなみと満たされたその精液に鼻先を寄せ、数度匂いを嗅いだ後──テールナーは一思いにそれを煽り、王子の精液を全て口の中に含んでしまうのだった。
そうしてうがいをするかのよう口中でそれを転がしては味わいを吟味する。
男性の射精についても今日の授業においてレクチャーがあった。
その中で王子から出された精液は飲んでしまう様に教えられていたテールナーはその教えの通りに──王子の精液を飲み下してみるのだった。
精飲への嫌悪や味の不快感は一切感じなかった。
それどころか王子の遺伝子そのものでもある精液は、その味や香りのどれをとっても、テールナーが今日までに飲み食いをしたどんな食物よりも美味に感じられた。
王子の体から提供されるものは今の精液を始め、尿もそして肛門の穢れにおいてもそのどれもがテールナーには愛しいものであるのだ。
そしてそんな望外の御馳走を堪能するテールナーの傍らですっかり初めての射精に疲弊してしまっては目を回している王子にも気付く。
改めて仰向けに直しては正面から抱きしめると、その頭を掻い繰ってはテールナーも深く強く彼を抱きしめた。
そうしてつむじの匂いを嗅いだり、はたまたその額へ強く唇を押し付けては愛撫したりと後戯に興じながら、いつまでもテールナーを腕の中に王子を抱きしめ続けるのだった。
この時、王子は10歳──今より8年前の、夏の日の出来事であった。
王子も14歳を迎えると、だんだんと性や女体に対する興味というものが強まってきた。
子孫繁栄は長の務めであり、それに対して嫡男が旺盛ということは喜ばしい限りである。
王家としてもそれに対し禁忌を押し付けることもなく、むしろ奔放に振舞えるよう女中の類を多く王子の周囲に侍らせた。
にも拘らず王子が興味を示すその相手は──
「ねぇねぇ、テールナー! 今日もアソコ舐めさせてッ!」
いつの時だって、王子はテールナー一筋であった。
もっともこうした王子の相手もまた耳嫁たるポケモンの務めである。
常日頃から男を悦ばせる技術や知識といったものを教え込まれているテールナーは、王子に対しても存分にそれを振舞った。
そもそもがテールナーにしても王子のことは憎からず思っており、彼のために奉仕することは斯様な役割や使命を抜きにしても嬉しいものであった。
故にそんな二人が互いを求めあう行為は、一般的な男女の仲以上の濃密さと、そして異常性とを以て燃え上がっていくこととなる。
そんな二人が好んで逢引きの場として使うのは、敷地内の隅にある中庭の一角であった。
室内での情交よりもむしろ、二人は屋外での行為を好んだ。
今日も針葉樹のひとつに背を預けると、テールナーは屈みこむ王子の前へとそのスカート然とした毛並みの裾をたくし上げる。
さらには黒の色違いとなる股間の毛並みの奥底へ両手もまた添わせると……左右に開いたそこに真っ赤な断面を咲かせた。
既にすっかりと濡れしとっているテールナーの膣を目の前に、王子もそこへ鼻先を着地させる。
上唇が尿道のすぐ下に置かれると、伸びだしてきた王子の舌先はテールナーの膣口へと侵入していくのであった。
テールナーの細い腰を両手でワシ掴み、愛撫というよりは食事さながらの貪欲さで膣壁を舌腹で深く刮いでは、それに反応して溢れてくる愛液を強く吸い上げる。
テールナーもまた自身でクリトリスの根元を指先で穿ちながら、更なる快感を自身へと科していった。
きつく瞼を閉じ、疾走後の犬よろしくに舌を吐き出しては呼吸を荒くさせるともう、テールナーの限界も近い。
そしてそのことをよく知る王子は、なおさらに深く膣口へと顔埋めると尿道を唇で塞いでは激しく吸いだす。
その刺激が最後の一鞭となり──テールナーは絶頂を果たした。
次の瞬間、膣からの愛液を吹き上がらせると同時に尿道からも激しく失禁をしてしまう。
激しい膣の痙攣と共に口中に溢れ出してくるそんなテールナーの体液に対しても、王子は一切動じることなくその全てを受け取める。
喉を鳴らし、大きく喉仏を隆起させては残らずそれを王子は飲み干していた。
もはや二人の間に、これを不浄と捉える感覚は無くなっていた。
互いの身から出されるものは、その全てが麗しくそして愛しかった。
やがてはその勢いも弱まり、自力での排泄が叶わぬまで絞り出すと、その最後の仕上げとばかりに王子は激しくテールナーの尿道を吸い上げては、その奥底に残る一滴までも口中に取り込んでしまう。
そんな絶頂の締めくくりを受けては、テールナーも喉を反らせ身を痙攣させる。
「ふふ、今日も健康そうだねテールナー。さあ今度は僕の番だぞ?」
ようやくにテールナーを開放して身を起こすと、王子もまたスラックスのジッパーを展開させて自身のペニスを取り出す。
すでに角度の調整すら難しいほどに天を向いて勃起を果たしていた王子のペニスは、その包皮が完全に剥かれては赤々しい亀頭をそこに晒していた。
幼少期からのテールナーによる奉仕の賜物か、齢14歳にして王子のペニスは完全に包茎からは脱していた。
そうしていつも通りならば、今度はテールナーがそのペニスへと口取りの奉仕をして精液を授かるはずが……その日は王子に対し背中を見せては豊満な尻尾を揺らした。
そのいつもと違う様子に王子もまた事の成り行きを見守っていると、目の前で揺れている尻尾が徐々に持ち上がり──やがては完全に天を向いてその下を露にする。
促されるままにそこを見る王子も同時、いつもとは違うその様子に目を見張る。
下半身の黒い毛並みの中には一点、いつもテールナーが尻尾に刺している木の枝が突き立っていた。そしてその根元は、何処でもない彼女のアナルへと挿入されていたのであった。
「これを抜くってこと?」
尋ねる王子に応えるよう、振り向いていたテールナーの流し目が哂いで歪んだ。
言われる通りにそれの引き抜きに掛かる王子ではあったが、思いのほか長く木の枝が差し込まれていることに驚きを禁じ得ない。
そしてそれが完全に抜き取られると──テールナーのアナルは、その直腸の内壁をバラの花弁さながらに体外へはみ出させては肉蕾をそこに咲かせた。
そんなものを目の当たりにされてはもう、二人に言葉などは必要なかった。王子の心中はもはや、その中へとペニスを挿入したいという情欲しかない。
そしてそんな心の赴くまま、その肉の中心に王子は自身のペニスを宛がう。
十分に腸液で粘膜が潤滑しているとあっては、もはやローションや唾液の必要すらない。
亀頭はするりと飲み込まれてはその根元まで──王子のペニスはテールナーのアナルへするりと飲み込まれてしまうのであった。
「あぁ……熱い……ヤケドするぅ……!」
完全に腰と尻とを密着させると、互いの焼けるような体温に王子は呻きを漏らし、テールナーは野太く吠えた。
今より少し前──教育係である乳母から、アナルによる性交の為の知識を教わっていたテールナーは、今日のこの日の為に肛門の拡張と直腸の感度を高める為の下準備を進めていた。
とはいえ自身の指や木の枝で行うその練習もどこか無味乾燥としたもので、これは一方的に王子だけを悦ばせる為の行為になると思っていた矢先──いま直腸に感じる王子のペニスの存在感とその熱は、想像以上の快感を以てテールナーの脳を貫いていたのであった。
やはり練習と生のペニスは違うということか……そう考える反面、いまこの身を愛してくれているのが王子だからこその快感であることに気付く。
そう分かった瞬間、肉体はさらに収縮を繰り返しては、この部分においても王子の愛を搾り取ろうとして躍起になる。
そんなテールナーの直腸のうねりに反応するよう、
「あ、あぁ……ダメ! イクよ! このままお尻に出すからねッ!」
次の瞬間には──王子が絶頂を果たした。
テールナーの薄い尻がひしゃげてしまうほどに腰を押し付けては打ち放たれる王子の精液は、さながら腹の中でマグマでも湧き出しているかのような感触だ。
へその奥底に感じるその熱に晒されては、テールナーもこの日二度目となる王子からの絶頂を心底に愛しく思った。
やがては欲情の滾りを余さず吐き尽くし、王子のペニスがゆっくりとそこから引き抜かれると──間髪入れずしてテールナーは振り返り、その場に屈みこんでは王子のペニスを咥え込む。
いかに事前の処理はしていたとはいえ排泄器官での行為であることには違いない。そこに従来は挿入するはずもないペニスを入れてしまった王子の身を案じたのだ。
案の定ペニスには僅かな穢れが付いていたが、そんなものおかまいなしにテールナーは口中にてそれを濯いでいく。
特に亀頭の裏筋やカリ首といった汚れの集中しやすい部分は徹底的に舌先で刮ぎ、尿道に対してもまだ中に満ちる精液や腺液の残滓を激しく吸い上げることで、そこの洗浄を意識した。
そんな折、テールナーにも変化が訪れる。
浣腸さながらに直腸への射精をされたからか、それとも不浄を口に含んでしまったからか──突如としてテールナーは激しい腹痛に見舞われた。
しかしながら今、行為を中断してトイレに走るわけにもいかない……更にはここが自分達以外にはまず誰も足を踏み入れない屋外であることもまた知るテールナーは、ここでの排泄を決めた。
依然としてペニスを咥え込んだまま上目遣いに王子を見遣っては、その許しを請う。
一方でそんなテールナーの苦しげな視線が何を意図するものか考えあぐねる王子をよそに──テールナーは想いの限りの排泄をそこにて果たした。
膝を折り、つま先立ちで股間を開脚するよう屈みこんだ姿勢から、激しい空気の流動を伴ってはテールナーの泄瀉が地へとぶちまけられる。
勢いはその瀉だけに留まらず、光線さながらに放出された尿もまた激しく地面の落ち葉や土をえぐってはそこに尿だまりを作る。
その光景を目の当たりにして……王子は再びペニスに血流が巡るのを感じていた。
依然として見つめ合ったまま排泄をするテールナーも愛しければ、周囲に漂う彼女の芳香もまた蠱惑的だ。
既にテールナーの口の中で収まりがつかないほどに硬化してしまったペニスを握りしめると、
「テールナー……もう一回お尻でさせて。もっと君のお尻でしたい!」
有無を言わさずに、テールナーの口中から取り上げたペニスを王子は激しく手中の中で扱き上げる。
そんな要望と王子を前に驚いた様子のテールナーではあったが、すぐに立ち上がると再び彼へと尻を向け、そして尻尾を上げた。
同時、一切の前置きも無く、再びにペニスは根元までアナルの中へと挿入される。
そこから何度もテールナーの名を呼びながら、その豊満な尻尾を抱きしめてはピストンを開始する王子……。
そんな王子の不器用なまでに幼い愛を全身で感じながら──テールナーはこの瞬間がいつまでも続いてくれることを願わずにはいられなかった。
この時、王子は14歳──今より4年前の、秋の日の出来事である。
王子が18歳になる頃──二人の関係はいよいよ以て深いものとなっていた。
その頃にはテールナーも見目麗しいマフォクシーへと進化を果たし、長身の王子と並び立って談笑するそんな二人の姿は、誰が見てもため息を漏らさずにはいられない高貴に映えた光景となって周囲の目をときめかせた。
とはいえしかしその中身はと言えば……
「畜舎にデカいウンコする牛がいるみたいだぞ? マフォクシー、いっしょに見に行こう!」
二人とも初めて出会った7歳当時と何ら変わってはいないわけではあるが……。
しかしながらこの時期、宮中にはこのマフォクシーに関する不穏な噂が飛び交っていた。
曰くそれは、王家が別の婚約者を近々迎え入れるであろうということ……ついてはマフォクシーとその乳母は後宮を追われるという内容であった。
当然のことながらその噂は王子の耳にも入っていたし、事実として父王より直にそのことも告げられていた。
マフォクシーのその後を訊ねる王子に対しても父は、「お前の知るところではない」と一蹴してはそれ以上の詮索を王子に許さなかった。
ふと──マフォクシーに語り掛けられて王子は我に返る。
見れば件の牛は脱糞を終わらせていた。考え事に夢中になるあまり、一緒に見ていたはずがまったくとして覚えていない。
王子が今回の婚約解消についてもっとも考えることは──マフォクシーは自分の来たるべき未来を知っているのだろうかということだった。
噂に聞く限りでは、そもそもが耳嫁とはその婚姻が成立しなかった場合には例外無く殺されてしまうのだと聞いたことがある。
長年にわたり王宮に暮らすことで多く内部事情にも通じてしまうこととなる耳嫁とその乳母は、けっして外に出すことの出来ない存在となってしまう。
そして王家はそんな存在を生涯飼い殺しにするような手間などは掛けない。婚約の破棄された他家の耳嫁など、荷物以外の何物でもないだから。
むしろ生かしておくほどに、外部漏洩へのリスクが増すことを考える時──秘密裏に始末してしまうことこそが王家によっては一番手間が無く、そして後腐れも無い方法だった。
当然ながら、遣わせた王族側が彼女達を守ることもない。
双方にとってはそのためのポケモンの嫁であり、その役割もまた『耳嫁』の一部であるのだから。
「そんなこと……絶対にさせないぞッ」
その考えに思いを馳せていた王子は再びに独り言ちては決意を新たにする。
そんな折、再び目の前で不思議そうにこちらを見つけているマフォクシーと目が合って王子は我に返った。
見れば家畜小屋の藁の上に寝そべってはマフォクシーが王子のスラックスに手をかけていた。
「今日は気分じゃない?」と訊ねて来るようなその視線に王子も慌てて頭を振る。
「ち、違う! そうじゃないんだ! 考え事してて……」
我に返っては取り繕うの繰り返しは、ここ数日何度も起きていることだった。
なおさらに今は彼女との時間を大切にしなければならないというのに、むしろマフォクシーと一緒にいる時にこそそのことを考えてしまう。
一方でそんな王子の心情など知らないマフォクシーは不安を募らせるばかりだ。
もしかして王子の体調が悪いのかとも気遣っては、添い寝に寄り添っては深く胸の内に抱き込み、幾度となく王子の額やつむじにキスをして慈しんだ。
そんなマフォクシーの気遣いに王子も気分を切り替える。
マフォクシーの腕の中から王子もまたキスを返して見上げると……
「──久しぶりにマフォクシーのアレも見たいな。……だめ?」
そんな頼み事をしてみる。
長い二人の付き合いである……王子のそれが何を要求するのかはマフォクシーもまた理解していた。
やがてもう一度王子の額にキスをして体を起こすと、マフォクシーは背を反らせて屈みこんでは、背中越しに王子を見遣った。
そんなマフォクシーの準備に、途端に王子の不安は追いやられては興奮が頭を占める。
フレアスカート然とした毛並みをたくし上げ、しっぽもまた背負う様に突き上げるとマフォクシーは毛並みに覆われた肛門から性器までの全てを王子の前に露とさせる。
カエルの座位さながらに、踵同士を合わせそこて両手も収束させた姿勢で王子の前に尻を突き出させると──マフォクシーは腹腔に力を込めた。
最初は蕾のようであった肛門は見る間に間口を広げ、そこの淵に充血した無数の瘤もまた浮き上がらせると──開き切った直腸の奥にはなにやら別の物体の影が頭を覗かせ始めた。
やがて場に満ちる芳しいまでの匂いのそれ……王子がマフォクシーへと所望した行為とは、彼女の脱糞に他ならなかった。
まだ幼少期だった頃のフォッコ時代にはジョークや度の過ぎた遊び延長であったそれも、テールナー時代にアナルセックスを覚えてからはその意味合いがまったく違ってしまった。
そしてこれは王子への義理を果たす行為に留まらず、マフォクシー自身もまた、想い人の目の前で果たす排泄に強い興奮と快感を見出すようにすらなっていた。
今もいつ王子の求めがあってもいいように、よほどな事情が無い限りは極力トイレを我慢しているという有り様のマフォクシーである。
そして今日のこれは、そんな一週間ぶりでの解禁でもあった。
徐々にマフォクシーの肛門から頭を覗かせたのは、その表面が硬くひび割れた茶褐色の塊だった。
さながら亀の甲羅のようなそれは見るからに堅そうで、いかにマフォクシーが今日までこの便意に苦しめられてきたのかが分かるようだ。
よほどのそれが堅いのか、あるいは巨大か──一度の力みでそれが胎外へ伸びてくるのも数ミリといった塩梅である。
しかし、だからこそその眺めは王子を発奮させる。
この瞬間は排便に苦しむマフォクシーの姿が見られるからだ。
上目を剥いてあの端整な眉元を八の字に強(こわ)め、口角から涎が垂れるのにも意を介さずに牙を噛みしめては鼻息を荒くする姿の浅ましさは、平素の美しく典雅ですらあるマフォクシーとは天地ほどのギャップとなっては、王子に興奮を覚えさせずにはいられない。
そして行為の絶頂となる瞬間は突然に訪れた。
力み続けていたマフォクシーが王子へ何かを知らせるよう低くくぐもった声を上げた。
それに反応してさらにそこへ顔を近づける王子の目の前で事態は動く。
その瞬間、突然に渋滞が解消されたかと思うと──突如とてそれは、尋常ならざる速度を以て進行を始めた。
ひり出されるその勢いたるや、巨大な円柱形の見た目とも相成っては大蛇がマフォクシーの尻からはいずり出してきたかと錯覚するほどだ。
その例えの通りに排泄されたそれも地に降りるや途端にその身をくねらせては、文字でもなぞるかのように曲線を描きつつのたうつ。
いつしかマフォクシーも頭をうなだれては、低く野太い呻り声をため息のよう長く発する。
今日まで溜められたそれが激しく腸壁を掻いて流れ出ていく快感は何物にも代えがたい感覚だ。ましてや想い人に見守られながらの排泄ともなれば、それもまた一入であった。
やがてはマフォクシーの腹腔に貯められていた全てがひり出される。
一度として肛門で切られることなく出し切られたそれは乾いた暗褐色の先頭に、以降は水分を多く含んだきめ細かいオークルの表面を持つ一本物で、その形こそはまさしくヘビのさながらの姿であった。
次いで激しい失禁の解放感にも晒されては絶頂の余韻に浸っていると、ふと目の前に影が差した。
疲れた眼差しを向けるそこには、すでに一糸まとわぬ王子が佇んでは、その手に痛いほどにまで勃起したぺニスを握りしめている。
この段にいたり、もはや二人の間に言葉は必要なかった。
マフォクシーもまた口中を開いて首を伸ばすと、示し合わせたかのようそんな王子のペニスを咥え込んではしゃぶり始める。
濃厚かつ濃密な二人の時間は、まだ始まったばかりだった……。
厳冬の最中とはいえ、畜舎内はひしめき合う家畜の体温と発酵した堆肥の発熱とで噎せ返るような湿気と高温を保っていた。
その中の一角にある干し藁の上で王子とマフォクシーの遊びはなおも続く……。
壁面に上半身を縋らせると、マフォクシーは尻尾を跳ね上げては露とした局部を王子の前に突き出す。
出会ってから今日にいたるまでの10年以上──弄びに遊び尽くした彼女のアナルは、もはや常人のそれとは明らかにその姿形が変質してしまっていた。
輪郭も露わに、大きく盛り上がって充血した肛門の淵は縦に裂肛が走り、もはや『穴』などではない『割れ目』の様相をそこに呈している。
そこへ息を詰めては腹腔に力を込めると──肛門はいともたやすく左右に展開し、たちどころに直腸の内壁を放出させては、そこに肉の花弁を咲かせた。
冬場の外気に晒されて真っ赤に充血したそこからもうもうと湯気が上がるその様は、それを見守る王子に食欲すら催させる光景ですらある。
そんな腸液にぬらついては鈍く室光を返して煌めく肉蕾(にくらい)に、今までしてきたことと同じように、ペニスを挿入しようとしたその時──振り向きざまに伸ばされたマフォクシーの手が王子の右手首を取った。
突然のそれは静止を訴える行動ではあったが、すぐにそれが行為の中止を求めているものではないことにも王子は気付く。
マフォクシーは斯様にして取った王子の右手を別な場所へと誘導していった。
そしてその先は──どこでもない、先の脱肛された直腸の肉蕾の上へと王子の右こぶしは宛がわれていた。
「こ、このまま……入れちゃっても、いいの?」
今はまだ触れているだけの拳骨にマフォクシーの熱と、そして腸液の滑りを感じながら王子は訊ねる。
テールナー時代から、そこへペニスは元より指や木の枝などを挿入したことはあっても、拳や腕そのものを入れてみようなどは一度としてなかった。
しかしながら今、マフォクシーはそれすらをも王子に許そうとしている。
僅かに振り向かせたマフォクシーの横顔もまた、未知の興奮から上気しては半閉じの瞼を腫れぼったくさせている。
そんなマフォクシーを目の当たりに固唾を飲み込むと……王子はいよいよ以て右腕の侵入を始めた。
改めて握り直した拳は、それでもそのままでは挿入が叶わずねじ込むかのように幾度となく手の甲を反転させてはマフォクシーのアナルに馴染ませていく。
やがては徐々に拳骨の先が飲み込まれ始め、そして挿入に際しては一息に拳が収まってしまうと──その瞬間、マフォクシーは喉を反らせて頭を振りあげては、家畜の牛よろしくの野太い声を上げた。
その後も口先を細めた形のまま、侵入を続ける王子の右腕の動きに連動しては、咳き込むように太い声を吐き出し続ける。
やがて、
「うわぁ、熱い……それに、ちぎられそう……!」
ついに王子の腕は、その肘の手前までを完全にマフォクシーの直腸内へと収めてしまうのだった。
その頃には、マフォクシーはその額を壁面に擦り付けては、ただ類人猿のように短く吠え続けては身悶えた。
今マフォクシーの中を駆けまわる感覚は、苦しみも然ることながらそれに起因する強い悦びこそが脳と体とを占める全てであった。
今までにない深さとそして規模を以て侵入している王子との一体感は、これまでに体験したどんな性的接触よりもマフォクシーに充実感を覚えさせた。
それゆえに王子の腕から与えられる痛みと苦しみは、その度合いが大きいほどに喜びを実感させては、幾度となくマフォクシーに絶頂を繰り返させるのであった。
そんな中──しかし王子は更なる一線を越えようと画策していた。
依然として右腕をマフォクシーの中に収めたまま背後に立つと、左手に携えたペニスの先端を彼女の膣口にも宛がっていた。
そんな膣への感触に驚いては首を振り返らせるマフォクシーへと……
「今日は……こっちもやるよ」
王子もまた真剣そのものの眼差しをマフォクシーに向けてはそう告げる。
今日にいたるまで二人は本来の生殖行為……セックスを体験したことは無かった。
二人の遊びとは、その言葉の通りに肛門や直腸の器官を使った疑似的なものでしかなかったのだ。
肛門期真っただ中であった幼少時には気にも留めなかったそれも、思春期を迎え、互いの『ポケモンと人間』という種の違いを意識し始めてからは、本能的に本来のセックスを忌避する気持ちが双方に芽生えていた。
それでもいつかは本当に結ばれたいと思い続けてきた想いの果てに今日──王子はその決意をマフォクシーへと伝えたのであった。
それを目の当たりにし……もはやマフォクシーにもそれを拒む理由などは無かった。
否、むしろいつか来る今日の日をどれほど待ち望んだか知れない。
紛う方なき『子作り』の行為を王子と果せるその瞬間を前に、切なげな声をマフォクシーは喉の奥から鳴らした。
そしてそれを受け止めた次の瞬間──王子は一切の躊躇いもなく挿入をしては、求めてやまなかったマフォクシーの処女を一思いに奪ってしまうのだった。
その結合にマフォクシーは喉を反らせては甲高く吠え、そして絶頂する。
先ほどまでの直腸へと手首をねじ込まれていた時とは正反対の澄んだ声だった。
「あぁ……お尻とは全然違う……気持ちいいよ、マフォクシー……!」
一方で王子もまた射精こそは踏み止まったものの、今まで遊び続けた直腸の感触とは明らかに違うそれに、身を震わせてはか細く息を吐き出した。
そこから──王子のピストンが始まる。
最初は動きも緩慢で、浅いそれを繰り返した王子の腰も、未知の感覚に慣れて更なる快感もまた求めだすと、王子のピストンは徐々に力強くそして素早いものへと変わっていった。
そうしてマフォクシーの膣を突きえぐる傍らで王子は直腸内に埋めていた手首の抜き差しもまた敢行する。
膣壁と腸壁とが交互に擦れ、時にはその最深部にて亀頭と拳骨とかその先端を鉢合わせる感触に、もはやマフォクシーは半狂乱に頭を振り乱しては身悶えた。
さらに王子の責めはエスカレートの一途を辿り、ついには直腸内で握られていた拳が解かれ、その腸壁ごしに膣のペニスを握りしめた瞬間──その激しすぎる感覚に限界を迎えた肉体は激しく放尿や、はたまた肛門の淵から腸液を漏らし散らせてと、如実に肉体の限界を表へと現せた。
その全てを受け止めるマフォクシーは、壁面に額を擦り付けたままこれ以上になく瞼と口角を開いては、嵐のような衝動に耐える。
その身を晒しているものは痛みと苦しみ……そしてそれらを上回る快感と、王子に尽くす悦び──それらがない交ぜになった肉体は、その全身の穴という穴から蓄え得る限りの全ての体液を放出させては、マフォクシーの心身に満ちた悦びを全身で表すのであった。
そんな嵐のようなセックスの中で、ついに王子が限界を迎える。
絶頂を控えてもはや我を失った王子は一層に膣内のペニスと、そして直腸を突きえぐる右腕のピストンを深めて行く。
そしてペニスは子宮口を、右腕が直腸の終点であるS字結腸の間口とを同時突きえぐった瞬間──二人は同時に絶頂を果たした。
膣の奥底に溢れる精液の奔流に、マフォクシーは確かな命の鼓動を感じる。
本来の生殖を果たせたことへ喜ぶマフォクシーと王子の肉体は、片や存分に射精を果たし、はたまた子宮口は幾度となく蠕動を繰り返して注がれる精液を余さずにその肉体の中へと飲み込んでいくのだった。
やがて王子のペニスが硬度を失ったことで抜け落ち、同時に直腸へと収められていた右腕もまた、互いの体が離れるのに任せて引き抜かれた。
瞬間──今までの栓が喪失したマフォクシーの直腸からは、大量の宿便が排泄される。
もはや括約筋が疲弊しきって閉じることも叶わなくなった肛門と直腸にそれらを押しとどめることは叶わず、さながら豪雨の雨どいから水があふれるが如く勢いでマフォクシーの腹腔からは液状固形を問わぬ大量の便が排泄された。
その中において、もはや生涯においても最高となるその解放感に忘我してはマフォクシーも意識を失う。
そして闇に意識が落ちるその瞬間──王子の両腕が自分を抱き留めてくれたことにも気づき、マフォクシーは幸福の内に深い眠りへと落ちるのであった。
一体、その炎の中に何を見ているのだろうか? そして何を思うのだろう? ──それでも端整な彼女の横顔に見惚れていると、やがては王子の視線に気付いたのか、マフォクシーもまた驚いた様子で王子へと向き直り、慌てて木の枝の炎も消した。
「何を見てたんだい?」
再び添い寝しては寄り添うマフォクシーを抱きながら王子は訊ねる。
その瞬間、マフォクシーは戸惑いの色を強くその表面に現しては王子を見つめたが……それも本当に一瞬のことで、すぐにまた柔らかい微笑みを満たすと小さく小首を振った。
たいしたことではないと言いたげなその態度にもしかし、やはり根本は近々マフォクシーとその乳母が、新たな許嫁に追いやられてはこの後宮を出て行かざるを得ない状況を懸念していることだと王子にも察しが付いた。
だからこそ──
「大丈夫……心配しないで」
王子はそう言い添えては、マフォクシーの目を見つめる。
「後から来る姫なんて関係ない。僕が好きなのは……僕が一番結婚したい人はキミなんだ、マフォクシー」
言いながら改めてその想いを再認識すると、王子は不思議な力が体に漲るのを感じた。
「絶対に守ってみせるから! だから……だから君も、僕のそばを離れないで」
その想いの通りに、王子は強くマフォクシーを抱きしめる。
そんな王子の腕の中で、しばしマフォクシーは為されるがままに抱かれた──しかしやがては、マフォクシーもまた王子の体に手を這わせると、きつく抱き返しては応える。
かくして再びに燃え上がっては身を重ねる二人……
この時、王子は18歳──これより起こる悲劇などは、まだ微塵も知る由は無い。
父王へマフォクシーの処遇を訴えようとした翌日、逆に王子は新しい許嫁の王家へ挨拶に出向くよう命じられた。
その時には既に王も後宮を離れており、とりあえずは臣下の義務を果たすべくに王子も旅の支度をする。
そうして出立のその日、マフォクシーが寄り添ってきては王子に一本の木の枝を手渡した。
それこそは彼女が肌身放さずに持ち歩いているものであり、なおかつ『マフォクシー』というポケモンにとってはアイデンティティとも言えるアイテムのひとつであった。
当然それの重要性も理解している王子はこれを預けようとしているマフォクシーを案じもしたが、それでも彼女は半ば押し付けるようにしては強引にそれを王子へと渡した。
「わ、わかったよ。それじゃあ預かるね。ちゃんと返しに行くから」
そうして最後にもう一度だけキスをして旅立つ王子と見送るマフォクシー。しかしながら──……その抱擁こそが、二人の今生の別れとなるのだった。
相手国へ到着すると、王子は国を上げての歓迎をされた。
祭りさながらの雅楽隊によるもてなしと王との謁見、さらには宝物庫にて門外不出の国宝も見学させてもらい、最後には許嫁になるであろう姫の紹介もされた。
存外にかの姫の印象は悪くなかった。
素朴な性格の姫は、慎み深い大人しい女性でありその朗らかな笑顔は好感的ですらあった。
思いのほか居心地も良く、引き留められるままに一週間をそこにて過ごしてしまった王子は、王と姫に暇を告げてはようやくの帰路につく。
これにて臣下の義務は果たした。
後は、帰国後に父王へマフォクシーのことを進言するだけだ。
たとえどのような恫喝をされようとも……あまつさえ一族からの追放を告げられようとも、王子はマフォクシー保護の決意を新たにした。
そうして帰国を果たし、王の元へと向かうそのすがら──どうにも後宮の様子がいつもとは違うことに気付く。
具体的な変化は分からぬも、違和感を覚えるそれはしかし、明らかにこの場所の変質を王子に訴えていた。
かくして王の元へとたどり着き、役目の報告もそこそこにマフォクシーの件を切り出す王子に対し、
『………ついてまいれ』
父王は大仰に立ち上がると、王子には目もくれずに歩きだした。
その跡を訳も分からずに続く王子はやがて、マフォクシーの部屋へとたどり着く。
さては彼女も交えての話し合いかと思い、父王に続いて入室を果たした王子は──言葉を失った。
部屋はもぬけの殻であったからだ。
床一面に敷き詰められていたクッションの類はおろか、天井から垂れる天蓋のレースも、そして絨毯や観葉植物の類までもがそこには存在していなかった。
まさに空箱と化した部屋である。
この段に至り、王子は後宮内に感じていた違和感の正体にもまた気付いた。
後宮には、一切の飾り気が無かったのだ。
絨毯も、植物も、家具も調度も──その全てがここからは取り払われていた。
今見るマフォクシーの部屋同様に、この建物は広大な『箱』と化していたのだった。
しばしして父王は再び歩き出す。
無言のそれに続く王子には不吉な胸騒ぎが去来していた。
つい一週間前とは全く様相を変えてしまった生家……見れば自分の周囲に居る家臣も、見覚えのない武人達ばかりだ。
そんな王子を連れて父王が次に向かった先は──王子とマフォクシーが青春の一時を過ごしたあの中庭であった。
そしてその場所において、王子は全てを知ることとなる。
中庭もまた全ての植物がなぎ倒されそして払われては、ほぼ更地に近い状態に戻されていた。
そんな広場の中央には、傍目からも分かるほどの巨大な穴が掘り穿たれている。
一切の歩みを止めることなくそこへと父王は向かい、王子も後に続いた。
そしてその穴の淵にて父王が立ち止まり、おそらくはその下を見下ろしているだろう視軸につられ、追いついた王子もまたそこを見降ろした瞬間──その光景の凄惨さに我が目を疑った。
深く穿たれた大穴の底には……大量の人間の死体が投げ込まれていた。
その光景に圧倒されては恐怖と嫌悪のあまりに後ずさる王子ではあったが、その中にふとまた違和感を感じる。
その違和感こそは、こんな死の穴蔵の底に見覚えのあるモノを発見したからだ。
それこそは、自分に仕えていた侍従の一人であった。
特徴のある鼻の造詣は間違えようも無く、そして見れば累々と積み重ねられる屍はそのどれもが、この後宮に仕えていた者達の成れの果てであった。
幼少の砌より見知った彼らや彼女達は皆、王子にとっては家族も同然だった者達だ。
それがなぜこんな姿に? ──そんな王子の心を読んだかのよう、
「……この者達は、お前が生まれた時にここへ仕え始めた者達だ」
その一言で王子はあることを思い出す。
それはいつしか後宮内で囁かれていたもの……内部事情を知り過ぎた耳嫁は始末されるというそれ。
そのことは、耳嫁だけに限らなかったのだ。
王子が生まれたその日にここへ集められた者達は、端からこうなる運命を背負わされていた。
誰一人、この未来など知ることなくその日まで生きて──そしてある時、不条理に殺されては今……ゴミのように集められて埋められようとしている。
全ては王家の内部事情を面に出さぬが為だけという、究極のエゴの元にこの殺戮の全てが行われていた。
もはやマフォクシーの追及などは頭からは無くなっていた。
激しく身を震わせる王子を今包み込んでいるものは、こんな非道さえもが許されてしまう父王とそして王家の権力に対する恐怖だ。
それを王子に教える為だけに父王は王子が生まれたあの時に家臣達を集め、そして今、殺した。
「これが、いずれはお前のものだ……」
それだけを言うと、父王は踵を返しては中庭を後にする。
もはや王子にそれを追う気力も勇気も無く、その心の折れるが様を体現するかのよう膝から頽れ──処刑人に頭を押さえられるが如くに項垂れては、いつまでも家臣達の遺骸を見下ろし続けるのだった。
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