ポケモン小説wiki
【50】追憶と箱庭の君 の履歴(No.3)


追憶と箱庭の君

たつおか




 この作品には以下の要素が含まれます。


【登場ポケモン】  
クチート(♀)
【ジャンル】    
身代わり・成りすまし・デート
【カップリング】  
主人公×クチート(♀)
【話のノリ】    
ノーマル






目次




第1話・運命のヒト



 その日のエイジスは、鏡・ショーウィンドウのガラス・果ては他人の車のボディの映る反射に至るまで──自身の姿を確認できる物の前に立ち止まってはその身だしなみを確かめた。

 今もトイレの手水場において、鏡に映し出される自身の前髪が気になって仕方がない。
 というのもこの日、彼は生涯で初めてのデートに赴こうとしていたのである。

 相手はネットにて知り合った女性(ひと)だった。
 出会いのきっかけは巷で有名なネットゲームをプレイした際に、初心者のエイジスを気に掛け彼女がゲーム内で世話をしてくれたことから始まる。
 当初は彼女の性別すらも知らずにゲームへ興じていたエイジスではあったが、次第に仲が深まるにつれては自身のことを話し合ううちに、恩人が女性であることが発覚した。

 とはいえその時は軽く感嘆した程度で、そもそもが視覚や聴覚に訴える情報が無い彼女の実像など、エイジスにとってはその事実を伝えられてもなお現実感が薄かった。
 だからその後も二人はゲーム世界を恙無く堪能しては信頼を深めていくわけではあるが……こうしたゲーム内での交流は徐々に二人の意識を変えていくこととなる。

 ゲームとはしかし仮想現実だ。
 ましてやネット環境によりCPUなどではない血肉の通った相手が通信の先に居る実感と、そしてそんな相手と共同作業して助け合う日々は、リアルな人間関係と何ら変わらない信頼を……さらには愛情とを双方へごく自然と芽生えさせた。

 そして遂に感極まったエイジスは、ゲームのキャラクター越しではあるが彼女へと告白をする。
 さらには強く会いたいことも伝えると、後は彼女の返事を待った。
 実にこの時、二人は既に5年の月日を共に過ごしていた。
 それこそ仕事や外すに外せない用事以外には常時二人きりでいるような関係性であり、時にはゲームにログインはしても、本来のクエストなどそっちのけで何時間も話し込むこともざらであった。

 そしてそんなエイジスからの告白を先方もまた好意的に受け止めてくれた。
 彼女にしてもエイジスのことは憎からず思っていたようで、もはや今日の告白が無くともいずれは自分からこの気持ちを伝えるつもりであったことも明かしてくれた。

 斯様にして晴れて互いが恋人であることを宣言し、二人はここに交際をスタートさせる。
 その関係性は依然と同様に親密であると同時、そこに互いの愛を語り合うことでより一層に二人の距離感は濃密さを増した。
 時に性にまつわる赤裸々な話をすることもあり、その際には彼女からの要望に応じエイジスは自身の顔写真や、はたまた半裸に近い体を写したものを求められるままに送ったりもした。

 しかしこの交際にはいくつかのミステリーもまた存在した。
 まず第一に彼女は、いつ如何なる時もネット上に存在していたという事……。
 仕事柄もあって帰宅が深夜へと及ぶ時、とりあえずは日課的にゲームへログインを果たすエイジスへも、彼女は必ず同じ時間帯に存在しては接触してきた。
 それはどんな深夜や早朝、そして日中の僅かな時間でおいてでさえも変わらなかった。
 
 さらに、交際を始めてから自身の顔写真を公開したエイジスに対し、彼女は自分のそれをひたすらに秘匿した。
 理由としては、容姿に自身が無く嫌われるのが怖いからという事ではあったが、『そんなことは気にしない』というエイジスの訴えにもしかし、自身の姿を明かすものは何一つとして彼女は公開を拒否するのだった。

 その反応に当初は、彼女がAIである可能性も訝しんだ。
 しかしながら何の根拠もない理由ではあるが、ゲーム内において交わす彼女との会話には確かな感情が存在しており、そこからもたらされる愛しさに都度エイジスは彼女が実在することを確信するのだった。

 そうして多少の疑問はあるものの、それでも激しく愛し合う二人はその程度のことなど何ら問題にすることも無く付き合いを続ける。
 その熱量はエイジスは元より、彼女にしても身を焦がすものであったようで、いつしか二人はコンピューター越しではない直での対面を望むようになる。
 かくして幾度となく対話を果たした末、二人は直接会うことを決意した。

 そしてこの日──エイジスは彼女との待ち合わせ場所へと向かっているのである。

 交通機関の乱れから、5分ほどエイジスが遅れる形となった。
 コミュニケーションアプリでのやり取りで、既に彼女が待ち合わせ場所へ到着した事を知るやエイジスも慌てに慌てる。

──『ゆっくり待っているから、気を付けて来てね』

 そう彼女からの返事を見ていよいよエイジスは今日、実際に会えるのだという実感を強くした。 
 その返信を確認してから数分もかからず、エイジスもまた待ち合わせ場所へと到着する。
 今日は共に水族館を見て回ることを約束していたエイジスは、チケット売り場の正面に設けられた広場を待ち合わせ場所としていた。

 イルカの像を中央に置いた円形の巨大な噴水の回りには男女を問わず多くの人々の姿があった。
 その中をエイジスは……

「えっと……たしか『黄色い服に黒髪のポニーテール』だったな」

 事前に教えてもらったコーディネイトの女性をその中に探す。
 今日の待ち合わせに際し、互いを発見しやすいよう身形や服の色などを二人は教え合っていた。
 それを反芻しながら広場を端から見渡したエイジスであったが、その目は目当ての人を探しだすこと叶わずに通りすぎてしまった。

 一度目はその事について疑問も感じなかった。てっきり見落としたのだと思った。
 二度目にも発見できなかった時は、その状況に訝しんでは『もしかして彼女もまだ到着していないのでは?』と疑った。
 そして三度目となるその時──エイジスの胸中には、得も言えぬ不審と不安とが広がる。

 見渡すそこには確かに指定通りの『人』などはいなかった……しかし、彼女から聞いていた通りの色合いと身形の者は確かにいたのだ
 四度目の確認で、エイジスの視線はその者へと固定される。
 視線の先には袈裟にポーチを肩掛けにしたポケモンが一匹──……

 遠目にも分かるほどに目鼻立ちの整った愛らしいクチートが──手持無沙汰に立ち尽くしては、その視線を何処ともなく遠くへと投げていた。

「まさか………」

 困惑は思わず言葉となって口から漏れ、エイジスもまた心ここにあらずといった体で件のクチートへと近づいていく。
 そしてそんなエイジスの接近に気付いたクチートもまたこちらへと視線を向けると、その先に彼を見止めては息を飲んでは両肩をすくめさせた。

 やがて二人は対面を果たし──しばし見つめ合ったまま固まる。
 互いに緊張した面持ちではあったが、じっとエイジスを見上げていたクチートの頬が穏やかに微笑んだ。
 その表情に魔法が解かれたようエイジスも我に返ると、なんとファーストコンタクトを図ったものか必死に言葉を繕ろうとする。

 そんなエイジスに先んじて、クチートはポーチの中からタブレットを一台取り出すと何やらそこを忙しなくタップし始めた。
 そうして向けられるその画面をエイジスは目の当たりにし、

『初めまして、エイジス。私がマチルナです』

 ようやくに会えた運命の人との邂逅に感動を覚えてはもう──相手が人かポケモンかなど、どうでもよくなってしまうのだった。



第2話・水族館デート



『ごめんなさい。なかなか言い出す機会がつかめなくて……』


 合流後、近くのベンチに隣並んで座ったエイジスとクチートは改めて自己紹介をした。
 その中でクチートはそうタブレットに入力してきては、まずそのことを詫びる。

「いや、驚いたけど……でも会えて良かったよ」

 一方のエイジスもだいぶ落ち着きを取り戻しつつあった。
 同時に冷静に我が身を振り返った時、『実はポケモンに告白していた』自分を滑稽にも思うのと同時に、それもまたネットあるあるなのだろうと割り切る。
 人伝に聞いた話では、こうした待ち合わせの場所に現れたのが実は同性であったり、遥かに年齢差があったりはたまた写真加工されていたりというパターンも多く聞く。
 それを考えた時、『意中の相手がポケモンだった』ということくらい大したことではないのだろう。……そうあってほしいとエイジスは思う。

 しかしながら反面、さしてショックに思ってもいないことも確かであった。
 初対面の時こそは驚いたがポケモンに詳しくはないエイジスから見ても、このクチートは美しく繊細な個体のように見受けられたからだ。
 惚れた相手という欲目もあるのだろうが、その立ち居振る舞いを観察するに、普段接している市井のポケモン達などよりもよほど高貴に思える。
 
 大きく、光彩も艶やかな赤い瞳は夕暮れの波間のように煌めいていたし、本来は威力的であろうはずの後頭部の大顎もそれを封じるよう赤いリボンが留められていて、そのギャップにはむしろ、より彼女に可憐な印象を覚させるようであった。
 自分よりも頭二つは小さいそんな隣の彼女に見惚れていると、その視線に気付いてはクチートもまたこちらを振り向いては見つめ返してきた。

 その視線に我に返りエイジスは慌てて取り繕う。
 
「ご、ごめんッ。ボーッとしちゃって」
『大丈夫ですよ。それで今日なんですけど……』
「ん? どうしたの?」
『その……やっぱりデート、しますか? 結局こんな風に騙しちゃってた訳で……』

 会話用のタブレットを見つめるクチートの横顔に影が差した。
 やはりというか、彼女自身も後ろめたさがぬぐえないようである。
 しかしながらエイジスの答えは決まっていた。

「なに言ってるんだよ。今日をどれだけ楽しみにしてたかなんてマチルナも分かるだろ? ──行こうよ、デート」

 弾けるよう笑ってみせるとエイジスはクチートの手を取った。
 そんな自分の手の上に重ねられる大きなエイジスの手を最初、目を大きくしては信じられない様子で見つめたクチートではあったが──再びその顔を上げてエイジスを見上げる瞳は僅かに潤みを帯びた。
 そして感極まったのか、クチートもまたエイジスへと強く抱き着く。
 胸元に感じる彼女の体温とそして力強さを感じると、いよいよ以て運命の人と出会えたことの実感がエイジスの胸にも湧き上がるのだった。

 かくして二人のデートは始まる──

 水族館内に入ると、クチートは子供のように駆けだしてはまず自分達を迎え入れた大水槽に張り付いた。
 照明の抑えられた室内は、見上げるほどの水槽から降り注ぐブルーライトに満たされて周囲を幻想的な空間に作り上げている。
 その中において、水槽の中を優雅に泳ぐリユルンやヘイラッシャを見上げる光景はまるで、自分達も何らかの魚になっては同じ海を泳いでいるかのような錯覚を二人に覚えさせた。

 そうして水槽に沿って歩きながら、二人は会話も少なく海底散歩を堪能した。
 言葉など無くとも、今エイジスとクチートが掛け替えのない瞬間を共有している実感は声に出す以上の感動を以て二人の胸には満ちている。
 その証拠にいつしか握り合った二人の手は、握り合う力の強弱を反映し合ってはまるで会話をするよう互いの体温を通じ合っていた。

 大水槽を抜け個別の展示スペースに移ってからは一変して会話が多くなった。
 普段見慣れない水中生物やポケモンを興味深く観察するクチートに対し、つどエイジスも展示の説明を読み上げてはおどけてみせたりとそこには笑いが絶えなかった。
 その後も屋外へ移ってはイルカマンのショーやラプラスとの写真撮影などを堪能すると──いつしか陽が傾き始めていることに気付いて二人は愕然とするのだった。

『なんだか……今日一日が10分で終わっちゃった気分です』
「本当にあっという間だったね。二人で見るとこんなに楽しいだなんて思わなかったよ」

 出口に近い水族館内の休憩スペースに落ち着いた二人は、食べそこなってしまった昼食がてらにソフトスナックなど摘まみながら一日を振り返っていた。
 出会った頃の緊張が嘘のよう今の二人はリラックスして、クチートなどはエイジスの膝の上に腰かけてはタブレットによる会話を交わしている。

『今日が終わっちゃう………』

 そうタブレットに表示させたクチートの後ろ姿は言いようもない寂しさをそこに帯びていた。
 それこそはまるで今日が今生の別れであるかのような悲壮感すら漂わせていた。
 そんな気配に思わずエイジスも息を飲んでは、無意識に膝の上のクチートを背後から抱きしめてしまう。

「離れたくない……」

 そうして彼女の頭頂部に鼻先を埋めては呟くように言うエイジスを、クチートもまた長い後頭部の顎をしならせては抱き包むようその背を覆う。
 しばしそうして互いの体温を共有し合っていると──タブレットには新たな文字が表示される。

『……思い出を、くれませんか』

 それに気付いて顔を上げたエイジスはその一瞬、その言葉が表す意味を理解できなかった。
 しかしながらすぐにそれを察しては、大きく胸を高鳴らせる。

 それは女性から肉体的な繋がりを求める、奥ゆかしい誘いだ。
 エイジスとてその意味合いを尋ね返してしまうほど野暮ではない。
 それどころか彼自信もまたそれを望んでは、それに備えて失笑を禁じ得ないような準備すらしてきている。

「君は……それでいいのかい?」

 背後から抱きしめていた両腕へ僅かに力を込めると、クチートの背がその一瞬反応した。
 うつむき加減の彼女の表情はエイジスから望めなかったが、すらりと延びたうなじが顔からの火照りを受けて真っ赤になる様からは、クチート自信も強い興奮状態に置かれていることが手に取るように察せられた。

 やがて声もなくクチートが小さく頷いてエイジスを受け入れると、いつしか抱き締めるエイジスの胸にはその小さな背中からは信じられないほどに力強い鼓動が肉体越しに伝わってくるのが感じられた。
 それこそは心のドアを叩いてくるノックさながらに感じられると、さらにエイジスは身を覆いかぶせてはクチートの小さな背を包み込むよう深く抱き込む。

 そうして彼女のうなじへと唇をつけ、ささやかに愛撫をするエイジスを──クチートもまた頭を翻しては、彼の横顔へと強く唇を押し付けて愛情の標を返すのだった。



第3話・モーテルの一室で……



 事前にチェックしていた水族館近くのモーテルにエイジスとクチートはしけこんだ。

 入店直後、電工モニターにて部屋を選ぶシステムに四苦八苦し、さらにはポケモン同伴での利用を咎められやしないかと危惧していたエイジスにもしかし、モーテル側は何を注意することもなかった。
 淡々と受付を済ませ、二人は目当ての部屋へと向かうエレベータに乗り込むと、完全に扉が閉じ切ったその中で大きくため息をつく。
 
 同時に息を揃えたことに気付いて顔を見合わせる二人は期せずして微笑み合ってしまった。
 見ればクチートは首筋に至るまでその顔が真っ赤である。
 おそらくは自分もそうなのだろうと思いながら見つめ合っていると、無意識にエイジスの手はクチートのおさげ然とした大顎に添えられた。

 思わぬ空間での接触にその一瞬身を硬直させたものの、性的興奮が昂っている肉体にその接触は心地よかったらしく、クチートも半ばに瞼を閉じるとさらなるその愛撫を求めるかのようエイジスの足元に擦り寄ってはそこに抱きついた。

 そんなクチートから伝わる体温といじましさに興奮の限界を超えてしまったエイジスは、移動中のエレベータ内にも拘らずクチートを抱き上げてしまう。
 幼児のよう腕の中に収め、そして目線の高さが等しくなると──無意識に二人は頬を寄せ、唇同士によるキスを果たしてした。
唇からの体温と、さらに喉から響く鼓動を通じて互いの興奮が手に取るように感じられた。
 そして恐る恐るに口先を合わせたそのキスが、すぐに互いの上唇をついばみ合うそれへと発展するのもすぐであった。
 さらに行為はエスカレートしていくと、もはや舌同士を絡め互いの唾液交換すら厭わない濃厚なそれへと発展していく。

 この段において最も乱れたのはクチートであった。
 エイジスの両頬を抱えるように手を添え、鼻息が吹きかかるのも意に介さずクチートは喉の渇きを潤すかのようその唇と舌先を貪った。
 やがてエレベータが予定階に停まり、そこから降りてもなおクチートの愛撫は止まない。
 舌同士を絡ませ合うキスに飽き足らず、しまいにはそこを離れた唇はもはや顔の境も無しにエイジスの顔面いたる所へと吸い付いては、そこへ濃厚な愛の証を刻み込んでいく。
 
 斯様なクチートを腕に抱いたまま、遂に二人は自分達の愛の巣へと辿り着くと──そのドアをくぐり、エイジスは後ろ手でドアに施錠した。
 入り口から入ってすぐの大広間には部屋の壁面中央にキングサイズのベッドが設えており、その対面にソファと壁掛けテレビが配置されていた。
 斯様な室内の雰囲気はいたって落ち着いた造りであり、おおよそラブホテル然といった下卑た雰囲気は窺えない。
 
 こういった場所への入室など初めてのエイジスは、その予想以上に清潔かつ快適に保たれた空間へ関心もしたが、その意識はすぐに腕の中のクチートによって引き戻される。
 腕の中、彼女は何かせがむよう声を発した。
 甲高く、美しい響きのそれもしかし──内容は強くオスを求めるメスの求愛であることを知ると、エイジスの興奮もまた最高潮にまで熱し上げられる。

 かくしてクチートをベッドへと降ろし、再びに二人は対面を果たす。
 ベッド上にてしばし見つめ合った後、後は本能が赴くままに情交を果たそうと互いに身を乗り出した瞬間──突如として熱に蕩けていたクチートの瞳に理性が戻った。
 それでもしかし本能との葛藤はあるようでどこか煩わし気にため息をつくと、何かを訴えて行為を中断してはクチートも肩掛けポーチからタブレットを取り出した。

 そうしてそれに向かい合い何事かを確認した後、そこに入力した文面をエイジスへと向けた。
 そしてそこに書かれていた彼女の言葉を確認し──

『今からのエッチを、撮影してもいいですか?』

 思わぬ申し出にエイジスの頭は真っ白になる。
 男性側であるエイジスからこうした申し出があるのは理解も出来るがまさかクチートから、さらには初体験のこの場でそれを求めてくるなどけっして正常なものとは思えなかった。
 それでもしかし──極度の興奮によって正常な判断が取れなくなっていたのはエイジスもまた然りであり、むしろこの時は目の前の愛しいクチートを映像に収めることが出来ることに対し、更なる興奮すら覚えたほどである。

 かくしてクチートはいくつかの操作を画面上でタップすると、そのタブレットを枕もとのヘッドボードへと立てかけた。
 撮影モードになった画面には、そこを隣並んで覗き込むエイジスとクチートの顔が写される。
 やがてクチートはそのカメラに向かい何やら語り掛けた。
 そして傍らのエイジスへ向き直るや先ほどの続きとばかりに──淫靡なポケモンへと豹変を果たしては、その唇を吸い貪る。

 それを受け、同様に応えるエイジスもまたカメラの存在などすぐに忘れた。
 クチートを組み敷く形に体位を移行させると、その頭部を抱き込むように抱擁しては唾液の撹拌音が響くほどに濃厚なキスを交わした。

 そうしてキスを繰り返しながら、無意識下にエイジスの手も動いてはクチートの体をまさぐる。
 一見したならば起伏の無い幼児体型にも見えるクチートの体も、強く掌を押し付けるとそこに心地好い弾力を帯びた乳房や腹筋といった肉の隆起が感じられた。
 それを堪能しつつ徐々に下降しつつあったエイジスの指先は、その先端に明らかに体温の高さの違う一ヶ所を感じ取っては瞬間的に指を離してしまう。

 高温に感じたその理由こそは、指先の触れたクチートの股ぐらが愛液を湛えては濡れそぼっていたからに他ならない。
 そしてそこに触れられる感触に対し、悲鳴のような声を短く発してはキスを振り切るクチートを前に、エイジスの視線もまた問題の場所へと下降をしていった。
 
 身を硬直させて腿を固く閉じ併せたクチートの股間からは、下腹や腿の上などを煌めかせるほどに愛液が滲んではその表皮の色を変えていた。
 やがて閉じて合わせていた内腿の間に指々を立て揃えた右手を差し込むと、エイジスに両足の開帳を促す。
 そうして徐々に開拓されていく己の肉体を見下ろしながら、自身の恥部を他者へ晒すことの羞恥に耐えかねては、涙を湛えたクチートの顔も困惑に歪んだ。
 それでもしかしそこに抵抗などは一切無い。
 こんな時であっても優しく扱ってくれるエイジスの手に、自身からもそこへの愛撫を求めるようクチートは自ずから両足を開いていった。

 やがては両ひざを立ててエイジスの前に晒される股関──一見したならば何の変化も見られないような陸続きの皮膚に見えても、そこには確かな恥丘の膨らみが存在しており、

「クチート……君の、すごくキレイだよ……」

さらにはその中央にうっすらと窺えるスリットのその下端からは、止めどない愛液のきらめきが滲み出していた。
 生身の肉体においては初めて目にする斯様なクチートの局部を前に生唾を飲み下すと、エイジスはその両淵に左右の指先を添える。

 そうして次の瞬間には……閉じ合わさっていたクチートの秘所を、無慈悲にもエイジスは押し開いてしまうのだった。
 
 

第4話・二人の初体験



 左右へと展開されたクチートの膣内は、それでもまだ粘膜が閉じ合わさっては奥底を覗かせなかった。
 愛液を帯びた肉壁がみっちりと凝縮された膣は、陰唇の隆起も少なければクリトリスですら見落としてしまいそうなほどに小さい。

 斯様に未発達な膣の眺めからも、このクチートは産卵はおろか交尾ですらもまだ体験したことがないであろうことが、童貞のエイジスを以てしても察せられる。
 そしてそれを前にし、もはや無意識にエイジスはそこへと舌を這わせていた。
 閉じ合わさった膣壁同士を剥離させるかのよう唾液を介した舌先を挿入すると、途端に舌上には濃厚な感覚が広がった。
 
 それはクチート自身の高い体温であると同時に、舌先が委縮するほどの強い塩味であった。
 さらには愛液の持つ性質に反応し、仄かな苦みを帯びた滑りが舌の表面を上滑りする感覚に──もはやエイジスは我を忘れては彼女のそこを貪ることに夢中となった。

 斯様に過敏な膣口へ侵入してくる舌の滑りにクチートもまた悲鳴に似た声を上げる。
 しかしながらワシ掴むよう添えられた両手はむしろ、更なる愛撫を求めてはエイジスの後ろ頭を強く掻い繰った。

 今日までの短い生の中において、今この身に生じている感覚はそのどれもが、これまでに体験したことの無い唯一の感覚だった。
 それゆえに衝撃的であると同時に、肉体は新たなる感覚を享受しては即座にそれを『快感』としてクチートの脳へと刻み込んでいく。
 息切れを起こした犬のようだらしなく舌を口角の外へと吐き出して呼吸を弾ませるクチートはその瞬間、さらなる感覚の昂りを予感した。

 それは性的絶頂を予期させるものではあったが、もはや完全に制御のつかない肉体と感覚を前に自身ではどうすることも叶わない。
 そして激しく膣内にて暴れまわるエイジスの舌に促されるまま次の瞬間には──突如としてクチートは絶頂へと導かれた。

 刹那クチートは身を仰け反らせると、これ以上に無いほど背に力込めては全身を硬直させる。
 膣を中心に自身の生命力が外へと放出されるかのような感覚は、瞬間的な死を予見させるほどの衝動でもあったがしかし──同時、そこには再誕もまた想起させるがごとき強い快感もまた存在していた。

 二度三度とその快感の波に晒されて脱力と硬直を繰り返すと……後には心地良い余韻が全身を満たしては溶けるかのようクチートはベッドに身を沈めた。

 一方でそんな彼女の絶頂と同時に、尿とも愛液の飛沫とも取れない体液の放出を多分に受けとめたエイジスもまたゆっくりと上体を起こす。
 口元を拭いながら見下ろすそこに、四肢を投げ出しては虚ろな視線を漂わせるばかりのクチートを確認し、改めてエイジスは胸焦がされる想いを抱いた。

 同時にその感覚は肉体へも伝播し、もはやエイジスのペニスはチノパンの下でハチ切れんばかりに勃起しては、目の前のメスへ己の遺伝子を植え付けることを躍起に訴えてくる。
 もはや脳とペニスのどちらが上位であるのかの判別もつかず、ただエイジスは本能に促されるまま着ていた衣類の全てを乱暴に脱ぎ捨てた。

 そうして一切の拘束を取り払っては怒張したペニスを握りしめると、道具を手に馴染ませる動作さながらに二度三度と扱き上げる。
 その感触だけで達してしまいそうになる衝動を必死に抑え込んでは、痛いくらいに反り返ったペニスの根元へ手を添え、その切っ先をクチートの膣口へと導いた。

「クチート、見て……もう、入れちゃうよ?」

 ふいに掛けられるエイジスからの声に、クチートも目覚めを促されては僅かに反応する。
 挿入の直前、そう声掛けなどして彼女の意識を己へと向けさせたのは、単に彼女を気遣う為だけではない。
 興奮もしきりのエイジスの心中には、今まさに処女喪失をしようとしているクチートの反応を見たいというサディスティックな感情もまた渦巻いていたのだ。

 それを受け、朦朧としていたクチートの意識もまた朧気ながらに結ばれる。
 そうして掛けられる声に導かれては、訳も分からずに自分達の体を見下ろしたクチートは──その曖昧であった意識を一気に覚醒にまで導かれた。
 今まさに矮小な自分を貫かんとしている槍の如きペニスが、その先端で膣口を撹拌しては腺液を塗り付けている光景が目に入った。

 エイジスのペニスそこへ強く視線を結びながら、恐怖のあまり嗚咽を漏らしては落涙するクチートは小刻みに首を振る。
 しかし反面で膣口は、幾度となく痙攣を繰り返しては愛液を噴き上げさせてと、まるで自ら眼前のペニスを咥え込まんとするかのよう貪欲に膣壁の粘膜を隆起させる。
 斯様な絶体絶命の窮状を目の当たりにすると同時、それを上回る興奮もまたクチートはそこに覚えていたのだ。

 やがてはそこへキスでもするかのよう、震える膣口に亀頭の先端が押し当てられる。
 そして、

「挿れるからね……」

 それを宣言しエイジスが身を沈めた瞬間──ペニスは無慈悲にもクチートの処女を貫いてはその亀頭の先端を彼女の中へと収めてしまうのだった。
 刹那クチートが感じたのは熱の爆発であった。
 胎内において他者の体温が炸裂する感触に頭を仰け反らせては激しくベッドに埋める。

 過呼吸に開け放たれた口角は声すら上げることも叶わずただ上下しては空を噛んだが、そこから更にペニスの挿入が進んだ次の瞬間──ようやくにクチートは声の限りの悲鳴を上げた。
 熱と痛み……肉壁越しに内蔵を掻き分けて移動してくるが如き衝撃を受けとめるクチートは半狂乱となって頭を振り乱し、唾液や洟を始めとしさらには放尿に至るまで肉体が放出するに任せてはそれらを周囲に撒き散らせた。

 それでもしかしエイジスも動きを止めない。
 ゆっくりとではあるが依然としてクチートの中に挿入したペニスを前進させ続ける。

 この時、激しい灼熱感を感じていたのはエイジスもまた同様であった。
 そんな熱を帯び癒着した膣壁を自身のペニスで引き裂きながら進む粘膜の感触は今日まで感じたどんな快感よりも衝撃的で、そして同時にクチートを征服しているという達成感と愛しさもまた心中に生じると、もはや自身の意思ではその挿入を制御できなくなっていた。

 既に全長の三分の二以上が膣内へ収まり、ようやく先端はより弾力の強い肉壁に阻まれてはその進行を止める。
 それこそは膣内の奥底にある子宮口へと亀頭が到達した事実であり、そこへ触れられる感触に痛みを訴えるクチートの悲鳴もまたなおさらに悲壮の度合いを増した。

 斯様なクチートの声が響く中、最低とは分かりつつもその声にエイジスは強い興奮を覚えざるを得ない。
 さらには自身のペニス全てをこの矮小な膣内へと納めるべくに挿入を敢行する。
 正常位に覆い被さり、クチートの後ろ頭を抱き込んでは体全体で抱き締めながら、より強引に体を密着させる。

 膣内において強く亀頭が子宮口を圧迫してその背を海老反りにひしゃげさせると、そこから生じる苦しみにクチートは完全に呼吸を止めた。
 そして遂に互いの腰元が密着し、子宮口をこじ開けては抑圧されていた反動そのままにエイジスの亀頭が子宮へと挿入された瞬間──


 二人は同時に絶頂を迎えると共に、エイジスは思いの限りの射精を無垢なクチートの子宮内へと大量に果たしてしまうのだった。

   

第5話・チャームポイント



 クチートの膣からペニスを引き抜くのに難儀した。

 サイズ違いの狭所に嵌め込んでしまったことも然ることながら、絶頂後もクチートの膣内は食むかのような収縮に加え、さらには降り出して来た子宮口が唇さながらに吸い付いてきては、なかなかに亀頭を解放してはくれなかった。

 それでも挿入した時同様の強引さで引き抜くと、自然吸い付いていた膣壁はそれに引きずり出される形となり、絶頂後の敏感な肉体がそれに晒されるとクチートもまた牛のような鳴き声を長く上げた。

 最後は吸飲していたスポイトが外れるかのような、水音を滲ませた空気の破裂音と共にエイジスのペニスはクチートから引き抜かれる。
 その瞬間、クチートは野太く一声だけ吼えた。
 そうして見下ろす互いの体は──キスマークめいて亀頭の背に内出血の痣が浮かんだペニスと、そして今の引き抜きと更には絶頂直後の脱力も相成ったことで体外へと脱してしまったクチートの子宮口が、酸欠の蛤さながらに中出しされた精液を吐き出しながら横たわるばかりだった。

 本体であるところのクチートもまた、上目に瞼を剥いては時折り来る断続的な絶頂の余韻に刺激されては、咳き込むよう声を発するばかりの機械と化してしまっている。
 先の脱子宮と併せるに、その見た目は完全に壊されてしまったと言っても過言ではなかった。

「あぁ、ごめんよクチート……あんまり君が可愛かったから」

 そんなクチートの下腹をさすりながら、さらには露出してしまった子宮口が元に戻らないかとその間口を指先でなぞってなどしてやるが、むしろその行為は一層に敏感となった肉体を刺激しては、潮とも放尿ともつかない飛沫を噴き上げさせるばかりだった。

 そんな大きく体を投げ出したクチートを見下ろしていると、自然エイジスの目には彼女の後ろ頭から伸びている大顎に目が行った。
 この部位こそはクチート最大の特徴であり、そしてバトルにおいては文字通り最大の凶器となる物である。
 しかしながら今の、熱に浮かされたエイジスにはそんな大顎でさえ蠱惑的に見えて仕方がなかった。

 口角の端から無数の鋭い牙が覗くそれではあるが、女の子らしくその先端には顎先を閉じるかのよう赤く大きいリボンが巻かれていた。
 今日のデートに合わせたクチートなりのコーディネイトであろうが、その見た目の凶悪さとギャップになっては、そのアクセントはより一層に本体であるクチートの愛らしさや儚さを際立たせるようである。

 そして行為直後のまだ頭に熱の残るエイジスの目には──そんな大顎でさえ、裸体が横たわるのと変わらない妖艶な眺めとして映っていた。
 見つめているうちに無意識に体は動き、大顎の鼻先に陣取るとまるでプレゼントでも解くかのようエイジスは顎に巻かれたリボンをほどく。
 それにより僅かに間口が開いた顎の中に赤く艶やかな舌先が蠢いているのを確認するや、そこへとエイジスは口づけを施した。

 巨大な顎に見合ったその舌とあってはエイジスの抱擁もその舌先を咥え込むような形となり、さらには自身の頭部丸々を顎の間に飲み込ませるような形となった。
 大顎の中は従来の口中よりも更に匂いも唾液の味も濃厚に感じられた。
 しかしながらこれこそがクチート本来の味わいであると理解すると、一層にエイジスの頭には靄がかかり、その舌上へ頬ずりと更には唾液を交換するようその表皮を幾度も舐め上げた。

 そんな大顎からの感触に、依然として放心状態のクチートも従来の口元をもごつかせては大顎越しに口中へと満ちるエイジスの味わいを感じ取っては唾液を飲み込む。
 さらにエイジスの愛撫はエスカレートの一途を辿り、舌全体を抱き締めてそれらを施すにいたっては、もはや上半身を大顎の中に収めてしまうような形となった。

 その光景たるやワニが得物を飲み込む光景そのものである。
 もし寝ぼけまなこにもクチートが反射的に牙でも噛みしめたりしようものなら、人間(エイジス)如きなどひとたまりもないであろう。
 それでもしかし、もはやエイジスはそうなってしまう結末もまたやぶさかではなかった。

 今この世界において最も愛しているクチートに食われて終わる結末も、愛に浮かされたエイジスは限りなく甘美なものととらえていたのだ。
 斯様にして彼女の大顎をセクシャルなものとして捉えると、自然それに触れているエイジスの肉体にも変化が現れる。 
 事もあろうエイジスは、この大顎に対し発情しては再びの勃起を促されていた。

 潜らせていた上半身を引き抜くと、唾液まみれの体でエイジスはクチートの大顎と面向かう。
 膝立ちになったその姿勢から両手にかの顎先を抱えてくると、その鼻先へこともあろう勃起した亀頭の先端を押し当てた。

 既に大量の腺液を漏らしていたそれを、口紅でも粧してやるかのよう存分に口先へ塗りたくると──やがてはその口中へとエイジスはペニスを差し入れた。
 巨大な顎とそして今の体位とを併せるに、さながらこの姿勢は後背位による挿入と変わらない見た目となる。
 そしてエイジスもまた本番同様のピストンをクチートの大顎に対して敢行した。
 閉じ合わされた大顎の口中は、膣とはまあ違った趣のある粘膜をそこに形成していた。

 同時に、舌上にペニスから漏れ出した腺液の味わいが広がると無意識に大顎もまた口先を窄めてはフェラチオ同様の吸い付かせる動きをそこに展開し始めた。
 面白いのは依然として眠り続けるクチート本体の口元もまた、大顎の動きに連想しては唇を細め、口中に飴でも転がしているかのよう舌鼓を奏でている事であった。

 その姿がたまらなく愛らしくなり、依然大顎にペニスを預けたまま身を乗り出させると、エイジスはそんなクチート本体の唇も奪う。
 小さな口の中で舌同士が絡み合うと、その動きは大顎にあるペニスにもフィードバックされた。
 一見したならば凶悪な見た目にもしかし、その細やかな舌と頬袋の吸い付けに晒されては徐々にエイジスの胸中にも昂りが込み上がる。

 もはや性交を交わすのと変わらない腰の動きでペニスを突き入れながら、エイジスの腰元は激しく大顎の鼻先に打ち付けられた。
 それを受け、依然として口づけを交わすクチートの眉元も苦し気に歪む。
 繊細な目鼻立ちが、淫靡に苦しみ歪むその表情がたまらなく愛おしくなっては、エイジスの腰の動きもさらに激化した。

 舌上においても唾液と共に撹拌された腺液が、純白の泡となっては顎の口角から漏れ出し始める。
 もはや射精と変わらぬその量を大顎で嚥下しては、クチート本体の小さな喉もせわしく上下を繰り返す。

「あぁクチート……もうイキそうだよ……このまま、顎の中に出しちゃうからね」

 その宣言を受け、無意識にも拘らず大顎からの吸い付きが強さを増した。
 そして一際強く腰を突き入れ、舌の根元においてペニスの裏筋を摺り上げた瞬間、

「イクッ! おおぉ………ッ!」

 エイジスは大顎の喉の奥深くへとこの日二度目の射精を果たした。
 それを受け、クチートもまた大きく声を上げるとその意識も覚醒へと導かれた。

 訳も分からず依然として寝ぼけまなこのクチートは、眼前に喉を仰け反らせては快感に打ち震えるエイジスを見上げると同時、後ろ頭の顎に収まる異物の感触にも目を剥いた。
 同時に口中には未知の味わいとゲル状の食感とが広がっていた。
 咽頭を経由して鼻腔に満ちる青臭さに瞬間嘔気も促されたが、大顎にて咥えさせられているものがエイジスのペニスと知るや、クチートの目は驚きに見開かる。

 いま口中にて吟味しているものがエイジスのペニスでありそして精液であることを本能的に察し、さらにはオスの局部を口にしている事実は再びにクチートの興奮を呼び起こすようであった。
  
 大顎の口中においてエイジスの精液を転がしてみる。
 斯様にして撹拌すると、舌上と口の甲には軋むような滑りが発生してその舌触りを面白く思った。さらには依然として鼻腔に満ちる青臭さもいつしか、癖のなるような蠱惑的な香りへとクチートの感覚にも変化が生じていた。
 僅かな塩味の中に生じる苦味の味わいが、回り回ってはつい先程まで撹拌されていた自身の膣の味であることもまた察すると、処女ながらにクチートはそれを淫靡なものであると受け止める。

 この段に至ってはもはや、エイジスのペニスとそして精液は甘美な味わいとして感じられては、以後夢中になって大顎をそこへとしゃぶりつかせた。

「あ、あああッ……くすぐったいよ、クチート……!」

 一方で依然として自分の上に乗り上げていたエイジスが、その執拗な刺激に弱々しい声を上げた。
 自分が気絶しているのをいいことに散々イタズラを仕掛けた罰だと思うと、クチートはその事が可笑しくなるのと同時に、そんなエイジスへの愛情もまた強く胸に募った。

 それを示してやるかのようエイジスの両方へ手を添えると、

「え? ん、んぅ……ッ」」

半ば強引に引き寄せてはキスをしてやる。
 思わぬクチートからの反撃にその瞬間、目を剥いたエイジスであったが……やがてはそれに応えるよう、再びエイジスもまた自身の舌を挿入してはクチートの舌先を絡めとる。


 そうして再びに愛し合いながら二人は、いつ果てるともなく肉体を重ね続けるのだった。



 

第6話・クチートの嘘



 あれからどれくらい過ぎた事か……いつの間にやら寝入ってしまっていたエイジスは、枕もとで蠢く何者かの気配で目を覚ました。
 
 右に身を横たえた姿勢のまま、寝ぼけまなこの視線だけを転じると──そこにはヘッドボードに立てかけたタブレットの前に立ち尽くすクチートの後ろ姿が窺えた。
 いったい何をしているものやら、そのまま声を掛けずに見守っていると、今なお撮影が続いているそこに向かい、自身の膣を両手で押し開いてはそこに貯められたエイジスの精液が滴る様をカメラに晒しているようであった。

 加えてその中へ立てた人差し指なども差し込むと、音が立つほどに撹拌しては更に奥まった場所のそれも掻き出してきては放屁さながらの下品な水音と共にそれが溢れる様も写していた。

 やがてはその撮影も終えると、クチートは二言三言を小声でそこに語り掛け……後はタブレットを両手にし、ようやくに撮影モードを解除する。
 後はベッド上に内腿を付けるようにして座り込んでは、タブレットへのチェックに余念が無いクチート──その段に至りようやくエイジスもまた、

「ん……起きたのかい、クチート?」

 さも今目覚めたかのよう振舞ってはその背後から声を掛けた。
 声を出す直前にはわざとらしく身じろぎのひとつもしていたことから、クチートもまたエイジスの目覚めに気付いては取り澄ました様子で振り返る。
 そうして互いの視線が合うと、期せずして二人の胸中には暖かいものが込み上がった。これは何の演技も打算も無い本心からの気持ちだ。

 タブレットを、液晶画面を伏せるようにしてベッドに置くとクチートもまた四つん這いに這ってきてはエイジスの鼻先へと顔を近づける。
 そうして猫の挨拶のよう口先を数度触れ合わせた後、二人は深くキスをした。
 上唇をついばみ、相手の口中に舌先を侵入させては絡ませ合う濃厚なものであったが、そこについ先ほどまでの燃えるような熱情は無い。
 親しみとリラックスのキスが今のそれであった。

 やがては頭の向きもそろえると、依然として唇を交わしたまま体を預けてくるクチートを、エイジスも両腕の中に抱きしめては左右に寝がえりなど打って過ごす。

 幸せだった……。
 このまま時が止まり、永遠にこの空間で過ごせたのならばと二人は真に思った事だろう。
 しかしながら、そんな楽園などこの世界になど存在はしない。
 いずれは時が二人を引き離す……だからこそ、エイジスは心に秘めていた『それ』の確認をクチートへとしなければならないのだった。
 一頻り愛撫を交わし、再び互いの視線を交わした時──遂にエイジスは終日胸に抱いていた疑問をクチートへと尋ねる

「クチート……本物の『マチルナ』は、何処にいるんだい?」

 その質問を理解した瞬間、クチートは赤く煌めく瞳を文字通り目一杯に見開いてはエイジスの顔を凝視する。
 そうしてその表情のまま固まったクチートの顔には何の感情も見ることは叶わない。事実、混乱のあまり思考停止状態に陥ったまま固まってしまっているのだろう。
 そしてその態度こそが、クチートが『マチルナ』を騙ってエイジスに会っていたことの証拠であり……そして同時に、そんな表情でさえエイジスは彼女を美しいと思った。

 一方のクチートは僅かに開きかけた口元を僅かに震わせては何か言葉を紡ごうともした様子であったが……やがて固まっていた表情が解け、代わりに深い悲哀をそこに湛えては視線を伏せると、観念した様子でその額をエイジスの胸元に預けてきた。

「……最初の疑惑はね、そのタブレットでの会話だったんだ」

 斯様なクチートを優しく抱き寄せると、慈しむようその後ろ頭を撫ぜながらエイジスは自分の気付きを語って聞かせる。

 曰くエイジスには、タブレットに表示される会話とクチートの行動が噛み合わないと思える瞬間が多々あった。
 最初こそはさして気にもならなかったものの、決定的な疑惑が生じたのは水族館に入ってからである。
 個別の展示コーナーにおいておどけるエイジスの仕草にコメントをしたり、はたまた展示生物の説明を求めたりする時のタブレット上の文面は、明らかにクチートの操作を待たずして入力されていたように見えたのだ。

 その異変に気付いたある瞬間、エイジスは次のコメントが入力されるであろうタイミングを見計らいクチートの手を取って次の展示へと走ってみせた。
 クチート自体もその時は大はしゃぎにそれを愉しんでいたからエイジスの行動を疑問にも思わなかったであろうが、その実──次の展示へ着くなり、入力する隙も無かったはずのタブレットへと表示される『前の展示へのコメント』に対し、エイジスはタブレットの先に自分達以外の第三者がいることを確信した。

 それでもしかし、エイジスはその疑問を口に出すこともしなければ、その場で問い詰めるような真似もしなかった。
 なぜならこの時のエイジスは既に……──

「もう君のことが好きになってた。クチートが目の前にいてくれれば、何でもいいって思えたんだ」

 告げられるエイジスの言葉を受け、胸元にすがるクチートの両手が強く握られる。

 かくして水族館デートは終わりを告げ、後はそれぞれの思い出を胸に帰路へ着くばかりとなったその時、クチートは──否、タブレットの向こうにいる『マチルナ』はクチートへと次なる指示を与える。
 それこそは、

──『お願い、エイジスとエッチして。彼の思い出を共有させて……!』

 エイジスの胸から離れたクチートは、再び例のタブレットを持ち出してきてはそこに残された『マチルナ』との密かなやり取りを見せてくれた。
 その瞬間、愉快犯的にからかわれていたものかとも疑っていたエイジスはしかし、この日マチルナとクチートの間に交わされていたやり取りを目の当たりにしては息を飲んだ。
 そこに残されていたものは……

──『今日のデート楽しみだね、エイジスの顔ちゃんと映してね』……
──『動いてるエイジス、かっこいいね。こっそり横顔の写真も撮って』……
──『リユルン綺麗だね……お願い、エイジスと手を繋いで』……
──『こんなに楽しいの初めて。もっと色んなことを聞いて。エイジスの声を残して』……
──『彼と離れたくない……まだ今日を終わらせたくない………』……


──『お願い、エイジスとエッチして。彼の思い出を共有させて……!』……


 ……そこに残されていたものは、今日のデートを心から楽しんでいる少女(マチルナ)の、切ないまでの恋心であった。

 それを確認した時、エイジスの胸には騙されていたことへの憤りではない、胸締め付けんばかりの切なさが込み上がる。
 これこそはエイジスが数年にわたり付き合い続けてきた追憶の女性(ひと)に違いなったからだ。

 小さく、しかし深くため息をつくとエイジスはタブレットを伏せる。
 そうしてそんな自分を傍らから涙目で見守っていたクチートに気付き、もう一度抱き寄せてはキスをした。

「クチート……二人で、帰ろう」

 深く抱きしめたまま、その耳元でエイジスは囁く。
 そうして身を放し、驚きの表情を向けてくるクチートに対し、

「僕は、君もマチルナも大好きだ。だから会いたい。3人でいろんな話がしたいよ」

 飾りも衒いも無い本心を打ち明けた瞬間、見開くクチートの瞳から真珠のような大粒の涙が溢れ出した。
 やがては感情が表情に追いつき、眉元が寄って口角が下がると──後は子供のようにクチートは声を上げて泣いた。


 そんな彼女をエイジスもまた黙って抱きしめる。
 ようやくにエイジスは、クチートと一つになれた心地がした。



エピローグ



 起こしたベッドを背もたれにして、マチルナは手の中のタブレットへと視線を落としていた。

 端末の中では動画が展開されており、そこに移り込むパートナーのクチートが普段の貞淑な様子からは信じられないほどに乱れては動物めいた嬌声を上げていた。
 いつ果てるともなく獣のようにまぐわい続け……最後はさんざんに愛され、雄(ペニス)の形に洞の掘られてしまった膣をカメラへと晒しその動画は終わった。

 食い入るように見つめていたそこから目を離すと、しばし天を仰いではため息をつく。
 水族館のデートから始まるそれの視聴は、ダイジェスト気味に早送りしながら既に3回を超えていた。
 それほどにこの日のエイジスとの仮想デートはマチルナにとっても感慨深いものと言えた。
 
 同時にそれを、嘘をつかせる形でクチートに負担させてしまったことも申し訳なく思う。
 彼女はいつだってマチルナの為に動いてくれていた。
 生まれながらにして病弱であったマチルナは、今もこうしてベッド上での生活を余儀なくされ、満足に外出もままならない身である。
 そんな彼女に幼少の砌から付き合っては身の回りの世話をしてくれていたのが、あのクチートであった。
 
 いつだってクチートはマチルナの代わりに動いてくれる──。
 日々の世話もそうであるが、マチルナの関心事には動けぬ彼女に成り代わりそれの代行もしてくれていた。
 繁華街へと出かけ、気になる話題の新作映画を観に行き、果ては山登りまでさせたこともある。
 申し訳ないとは思いつつもしかし、もはやマチルナにとってのクチートは自身の半身と言っても過言ではなかった。

「……もうあの子が『マチルナ』で、私なんて幽霊みたいなものね」
 
 多分にエゴイズムに過ぎるとは判りつつも、マチルナはそんな考えに思いを巡らすことがよくある。
 ふと視線を上げて自分の周囲を見渡した。
 ベッドを両隣から挟み込むよう設置された多種多様の機器からは幾本ものチューブやコードが自分へと繋がれている。
 最近ではさらに肉体の衰弱も進み、ベッドから降りないだけでももう4日は寝たきりだ。
 そんなマチルナは恋愛はおろか一般的な日常生活すら営むことは叶わず、結果として彼女はネットの申し子となった。

 この世界においてなら、自分は『ただのマチルナ』として誰とでも対等に付き合い事が出来た。
 そして運動への羨望を、ネットゲームに自身の分身を反映させることにより叶えようとするのも至極当然の流れと言えた。
 そんな時に出会ったのがエイジスだった。

 当初は、普段世話される身の上の自分が他者のそれを焼くという優越感を味わっていた付き合いも、徐々に同じ時・同じイベントを共有するうちにいつしか対等の……やがてはそれ以上となる恋心へと発展していった。
 それでも最初は行きずりのものとしてその感覚を楽しんでいたマチルナもいつしか真摯にこの気持ちと向き合う様になり、遂にはエイジスのことしか考えられないようになった。

 それに関してはエイジスもまた然りであったようで、いつか直接に会いたいと二人が願うようになるのは時間の問題と言えた。
 そして今回──マチルナはその役すらもクチートに演じさせては、現実世界のことでありながらも極めて擬似的なエイジスとの邂逅を果たすこととなる。

 こんな形でエイジスと合うことはマチルナにとっては茶番であるはずだった。
 むしろこのデートは自分のエイジスへの想いに対し、覆しようのない現実を知らしめては諦めざるを得ない状況に追い込む、一種自虐的な試みであるとすら思えた。
 彼の顔を見ることは楽しみではあっても、どこか冷めた思いでこの一日を迎えたマチルナではあったが──クチートを通じて体験する彼との一日は、本当に自分がそこに居てエイジスの存在を感じているかのような実感があった。

 心からこのデートを愉しみ、この一時は体調の不良さえ忘れては胸が高鳴ったほどである。
 そしてその一時が幸福であったが故に、別れに際してマチルナは今までに感じたことも無いような虚無と喪失感に見舞われる。
 もっと彼を知りたい、一緒に居たい、色々なことを分かち合いたい──もはや脅迫めいては胸に去来するその希求心に誘われるままマチルナは、無理な願いをクチートへとした。
 それこそが……──

──『お願い、エイジスとエッチして。彼の思い出を共有させて……!』

 もはや無意識でそれを懇願していた。
 クチートにとっては無体な命令であったろう。常識的に考えても人とポケモンであるのだ。
 それでもしかし、彼女はそれにすら応えてくれた。
 
 かくしてセックスが始まってしまったが、ここにおいてもマチルナは予想外の感覚にとらわれる。
 タブレットの目(カメラ)を通し、そしてクチートの体を通じてエイジスと繋がる喜びは、実体の自分が体験するものと遜色見劣りすること無くマチルナに女の幸せを体験させてくれた。

 この瞬間マチルナは、間違いなくエイジスに抱かれていたのだ。
 そして自分からの愛もまたクチートを通しエイジスへと注がれ、間違いなくあの瞬間は3人がひとつになれた実感がマチルナにはあった。

「この動画……一生の宝物になるなあ」

 セックスが始まる前の、エイジスとクチートが揃って画面に映し出される場面を静止したまま、愛おし気にマチルナはそんな二人の顔を交互になぞった。
 そんな折り、病室のスライドドアが静かに開く気配にマチルナは顔を上げる。
 見ればそこには肩掛けポーチを身に着けたクチートが立ち尽くしていた。

「あぁ……おかえりなさいクチート。今日は本当に……本当にありがとね」

 感無量の体でクチートに労いと感謝を伝えるマチルナの微笑はしかし──次の瞬間、凍り付くこととなる。
 ゆっくりと開き続けるスライドドアはさらに……クチートの隣に立つある人物の姿もまた露とした。
 隣にいたのは人間の男性──しかも彼はけっして知らない人物ではない。
 今日のマチルナにとっては誰よりも近く、そして誰よりも遠い存在であった最愛の人なのである。

「あぁ………エイジス」
「初めまして……ようやく会えたね、マチルナ」

 生身での対面を果たした瞬間、エイジスの胸にもまた感無量の感慨が波となって到来していた。
 体の芯がじわりと熱くなる感覚と共にうなじが粟立つ。
 今日の出会いに特別の感情を抱いてたのはマチルナだけではない。エイジスとても、この瞬間を一日千秋の想いで待ちわびたのだ。

 引き寄せられるようマチルナのベッドへと歩み寄ると、ごく自然にエイジスは彼女の手に自分の掌も重ねた。
 それを受け、青白かったマチルナの頬にも血流が巡ってはほのかにそこを色づかせる。

「ごめんなさい、エイジス……あなたを騙してしまって」
「本当に酷いよ。どれだけこの瞬間を待った、って思ってるの……」

 永らく待ち望んだはずの瞬間は、何気も無い会話で紡がれた。
 それでもこの瞬間の二人は、まるで今日までの空白を埋めるかのよう言葉を交わしていく。
 互いの印象を笑い合う内容は元より、この感動の場面でするのは憚れるような当たり障りも無い世間話から天気の話題と今日の朝食の内容など……それこそはネットゲーム上で交わす『いつもの会話』を繰り返したわけではあるがしかし──その一つ一つが今の二人にとっては掛け替えのない瞬間の繰り返しであった。

 今はPCなど介することなく、生身で二人は通じ合っているのだから。

 そんな二人の様子を見守っていたクチートは一歩身を引いた。
 後は2人きりにさせてやろうと気遣い、ここから立ち去ろうとしたその時──

「待ってクチート、あなたもここに来て」

 マチルナからの呼びかけに引き留められ、クチートは意外な思いで踏みとどまった。
 それから誘われるまま、エイジスとは反対の位置に着けては2人でマチルナのベッドを挟み込む形となる。
 マチルナはそんなクチートを深く抱きしめると、その額に幾度となく唇を押し当てては深い感謝を繰り返した。
 そうして顔を上げ、改めてエイジスへと向き直ると、

「紹介するわ……彼女も、私なの」

 マチルナは改めてそのことを告げた。
 それは今日のデートだけに留まらず、常日頃から自分の代替行為を担ってくれている存在であることを説明すると同時、実はエイジスとマチルナが知り合うきっかけとなったゲーム内においても、クチートはその代わりを務めていたことを教えた。

「私が眠っている時や、体調のすぐれない時は彼女が代わってあなたと冒険して会話もしてくれていたのよ」
 
 それの事実を伝えられエイジスもまた、いつのタイミングにログインしても必ずマチルナと出会えたことのカラクリを知るのだった。
 要は二人体制で常にゲーム内の監視をしていた訳である。
 そしてそれを知るという事は同時に……

「だからねエイジス、あなたとのお付き合いは彼女だって私と同じくらいに長いの」

 そう明かされると、一方のクチートははにかんだように俯いては上目遣いにエイジスを窺った。
 文字の読みかけに長け、人と何ら変わらぬ知性と感覚を持つクチートは、マチルナに代わりゲームの代行をすることにも何ら問題は無かった。
 それゆえに、エイジスとはけっして今日一見の仲などではなかったのだ。
 それどころかゲーム内においてエイジスが告白した時、それを受けたのも実はクチートであった。

 彼女もまた、同じゲームにおいてエイジスに人並みならぬ関心と好意を抱いていたのである。

「だから私とお付き合いすることは、クチートを愛することと同じなの。……私は、彼女と一緒に愛して欲しい」

 クチートを腕に抱いたマチルナのそんな二人の視線がエイジスへと注がれる。
 朝焼けのように赤い光彩のクチートと、そして極光を湛えるが如き澄み渡ったマチルナの深く蒼い瞳が並ぶ様子は、まさに一つの空を共有する二つの朝と夜の光景そのものであった。

 そんな二人をエイジスは、

「もちろんだよ」

 もはや悩むことなく応えては、両腕で抱き包む。
 相手が二人いたことや、病弱であったことやポケモンであったなど、その全てがエイジスには些細なことであった。
 マチルナとクチートがいてくれた──そして今は、それらを自分が愛している事ただそれだけが真実であり、そしてエイジスの求めていた全てであった。

 斯様にして力強く抱きしめてくれるエイジスを、マチルナとクチートもまた抱き返す。
 これよりようやく、三人の時間がひとつとなる──
 それは枝別れていた河がひとつになるよう、あるいは夜の闇が朝焼けに溶けて空を一つにするように……


 今ようやくに三人を、ひとつの存在へと導いてくれたのだった。











【 追憶と箱庭の君・完 】


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