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①:大会にこの小説以外の「PM」小説が存在する場合、この小説はフォルダから特殊投稿できる。
②:年齢18.00未満の読者を対象として発動できる。その読者を全て除外する。
③:この小説は「⚣、尿描写、毒描写」を含む小説として扱う。
オーロラポケモンの朝は早い。
日が昇る頃に目覚めてペルシアン風な伸びを一つ。その後ロケット団やハンターの気配を確認、周囲に人間の気配なし。
「いかりのみずうみの水質も問題なし、だな」
なんてことを考えてるのはオーロラポケモンのスイクン。
ロケット団やハンターに狙われるのは変わらずとはいえ、朝は落ち着けるらしい。
酷暑で凶作な木の実もこの辺りはオボンもあって朝食には十分。食べ過ぎない程度なら限られた量でも問題はない。
「ライコウやエンテイなら朝でも3つは食べてしまうか、そういえばライコウはともかくエンテイとは久しく会っていないが…」
そんなことを考えつつ2つだけ食べて、今日はどの水場を綺麗にするか考えていると、近づく羽ばたきの音。
「スイクンさん、大変だ!」
見慣れないピジョンだが用があるのは間違いない。
「ロケット団やハンターの襲撃か?」
「そうじゃないが、助けてほしいポケモンがいて一刻を争う事態なんだ!」
「分かった、場所を教えてくれ」
「ウバメの森だ、陸路で付いて来てくれ!」
言いながらピジョンは飛び立っている。相当せっかちらしい。
スイクンもオボンの実を3つたてがみの中に入れてピジョンの後を追いかけた。
「そういえばどんなポケモンだ、水ならともかく岩や地面タイプの助け方は分からないが大丈夫か?」
「急いでて名前は忘れたが、多分スイクンさんのお仲間だ!」
「…huh?」
ウバメの森、ジョウト南部の昼でも薄暗い森。
ロケット団やハンターも来ない場所だが、ここが住処の仲間なんて心当たりがない。
祠の近くに進むにつれ待ち望んでいたと言わんばかりの声が大きくなっていく。
「まさか、ホウオウでもこの奥にいるのk」
「よぉスイクン、お前元気そうだな…」
「お、お前…」
二週間ぶりに再会した
「どうしてこんな死にかけなんだ⁉」
「毒喰らっちまってな、今年はモモンもラムも凶作だろ…」
「そうだとしても何故こんなになるまで放っておいたんだ⁉」
「法廷でもないのにそんなゆさぶるなって、ガチで走馬灯見える…」
丁度二週間前、スイクンはロケット団やハンターの襲撃に遭っていた。
普段なら6匹程度造作もなかったが、この時は野生ポケモン達を守りながらであり、ロケット団やハンターは何度倒しても元気の塊で蘇らせた。
「…やられるぐらいならやってやる!」
ロケット団とハンターの合計は5匹、そして残された技のPPは唯一使わず伏せてきた技の5回分だった。
「我を狙うどころか罪のないポケモン達を傷つけたこと、償うがいい!」
「まずい、守ったり隠れるんだ!」
スイクンに集う強力な冷気の前に手持ちポケモンに対策させるが、逃がしはしない。
「大気ごと凍てつけ、エターナルf、絶対零度!!」
大気すらも凍らせる冷気は身構えたポケモン達のうちの一匹を氷漬けにした。
「こいつ、やりやがった…!」
「だが一匹だけか、来るなら来い!」
背後のポケモン達に逃げるように指示を出して、背後に誰もいなくなったのを確認した。あとは逃げてしまえば問題ない。
「そうかよ、お望み通り捕まりな!」
「だが捕まる気はない!」
捕獲ネットと攻撃が飛んできた瞬間に素早く走り出すが後ろ足が重くて倒れてしまった。
「電磁波…⁉」
「逃げ足を封じるなら電磁波でも十分なんだよ。さてと、まずはじっくりいたぶってから捕まえてやるよ!」
レアコイルの電撃が五臓六腑を襲い、リングマの猛攻が傷ついた体を痛めつける。
痛みに耐えかねたスイクンも叫びながら悪あがきをするも、打開には繋がらない。
「悪あがきも通じないか…」
柔らかい腹を殴られて肺から息が抜ける。
「あー心が晴れる、散々手を焼いてくれたスイクン様がこのザマなんて最高の娯楽だな!」
嘲笑を睨むことしかできず、流石のスイクンも震えが止まらなくなっていた。
ゴルバットの牙が大きく開いていく。あの毒牙でも致命傷になりそうな自分が恨めしい。
(ホウオウ様、みんな、すまない…)
目をつぶって致命傷の苦痛に耐えようとしたスイクンだったが、毒牙の苦痛はいつまでも襲ってこない。
恐々目を開けると、黄色い肢体に紫のたてがみのポケモンが毒牙からスイクンを庇っていた。
その姿が誰なのかを怯えた頭が理解するより早く、反撃の爪がゴルバットを引き裂いた。
「ニンゲン相手にだらしねぇぞ?ご自慢の【エターナルフォースノーブルブリザード】も命中3割じゃ切り札には心もとないぜ」
かつて共に蘇った仲間、ライコウが再び自分を助けるためにここに来ていた。
「お前、それをどうして…」
「近くで元気な声がしたんでな、それ食っとけ!」
「盗み聞きとは感心しないな…」
転がされたオレンとクラボの実を食べると生気が少し戻ってくる。
「まったく俺様も性格いいぜ、強情で素直じゃないくせに肝心な時はビビって漏らしちまうお友達を、助けてやるんだからよ」
ライコウに指摘されて意識を向けると、濡れている後ろ足からほんのり尿臭がする。今更気づいた自分の醜態にスイクンは赤面を止められなかった。
「その辺の草むらに隠れてな、すっきりしてる間には片づけてやるよ」
――1匹で頑張ったな、綺麗なお水にして証拠隠滅しとけよ
最後はは雷鳴に遮られて聞き取れなかったが、よたつく足で草むらに隠れると、それを見届けたライコウは光弾を一発放ってレアコイルに接近する。
電撃とラスターカノンを躱しながら間合いを詰めて爪で切り裂こうとするが、逆にレアコイルの浮遊による三次元移動で躱される。
「覚悟しなっ!」
だが、躱されることを想定していたように飛んできた光弾、波導弾によってレアコイルは一撃でKOされる。
「おのれライコウ、リングマで始末して仲良く捕まえてやる!」
リングマの暴走を軽くいなしながら、放電を飛ばして牽制しようとしていたライコウだったが、レアコイルに当てただけでで止めてこちらを向く。
「来いよ、俺はレアだぜ!」
「ヤロウ、ブッコロシテヤァァル!!」
挑発に突進してきたリングマの位置がレアコイルとライコウの間に来た瞬間、拡散性のある放電が一本に収束、二つの電極の間に生まれた雷撃の槍にリングマの全身が鋭く貫かれた。
「貫け、サンダーシューティングソニック!!」
迸る雷光の中で黒煙を吐き出しながらリングマは身動き一つとれずに倒れて動かなくなった。
「マズい、ここは逃げるぞ!」
ゾンビ戦法も限界になったらしく、ロケット団員とハンターはそそくさと退散して行った。
「来てくれて助かった、しかし急にどうして…」
「……んじゃな」
どこか寂しげな言葉を最後に行ってしまったが、あの時既に毒に苦しんでいたとは気づけなかった…
「荒療治だが解毒なら…!」
癒え切らない胴の傷口に前足を当て意識を集中させる。血は変えずに毒だけを水に変える、水の排出までだるさはあるが毒の危険は去った。
「助かったぜ、ポケセンにもこれ以上迷惑かけられなくてな…」
「全く、ピジョンがお前を呼ばなきゃ死んでいたぞ」
「かもな」
ライコウは少し落ち着いてきたが、スイクンの心は怒りに染まっていた。
「何故私を呼ばなかった⁉助けた時に居場所も知っているならもっと早く呼べたはずだぞ!︎」
「…」
ライコウの表情は目以外笑っていた。
「一度蘇った身とはいえ命は大事にしろ!私に言えないならせめてエンテイにでも…」
「そっかお前知らねぇんだな、無理もないや…」
目以外笑ったままライコウはゆっくりとスイクンを見据えて立ち上がった。
「ついて来い、お前は知るべきことがある」
普段と違う真剣な低い声にスイクンはただ頷きついて行った…
「ここは、ポケモンセンターか?」
「ここのニンゲンは敵じゃねぇ、裏から入るぞ」
ニンゲンの施設に嫌悪感を示すスイクンを宥めつつ、ライコウは裏口から病室に入っていく。管や機械に繋がれて眠るポケモン達の中を通り、一番奥のドアを開けた時、スイクンの疑問は驚愕に変わっていた。
「エンテイ⁉︎何故お前がこんな姿に…⁉︎」
「生きてるから安心しろ、けど半年前からこのまま目を覚まさないけどな…」
「そんな…」
あの勇敢で冷静だったエンテイが、姿を見ないと思えばニンゲンの治療を受けても目を覚まさない重症だった事実がスイクンの心を動揺させるには十分だった。
「驚くのも無理ねぇけど今は出るぞ、長居すると騒ぎになる」
管や機械に繋がれた状態で昏々と眠り続ける仲間の姿に感情を整理できずにいたが、ライコウに言われて裏口から外に出た。
「不味いな、多勢に無勢といったところか…」
「地面タイプばっかぞろぞろと地面ジムかってんだよ…」
ちょうど半年前、エンテイとライコウは同じようにロケット団員やハンターの襲撃を受けていた。
野生ポケモンを庇いながらの防戦は、タイプ相性も相まって少しずつ追い詰められていた。
「クソッ、スイクンの奴さえいればこんな奴ら…!」
「よせ。あいつもあいつなりの方法でジョウトを守る使命を果たしているんだ、今できることに集中するぞ!」
「分かってるけどよ、このままじゃジリ貧だぜ!」
「……お前の意見も一理ある」
そう言ってエンテイはライコウを野生ポケモン達の方へ蹴り飛ばした。
「いってなにすんだ、ってお前まさか…!」
「そのポケモン達を連れて早く逃げろ!逃げ切れば本懐は遂げられる!」
自分が囮になってライコウやポケモン達を逃す、その作戦はライコウを激しく動揺させた。
「だからってお前が残る理由ねぇだろ!」
「足の速いお前が適任なだけだ、心配されずともこのエンテイ、時間ぐらい稼いでみせる」
凛々しい表情も今は不安を掻き立てるだけだったが、怯えるポケモン達を見て小さく頷いた。
「理屈は分かったがお前は…」
「案ずるな、我が王者の鼓動は易々と消えはしない!」
格好良く言って見せた瞳の揺れ動くさまが虚勢だったことを示すと気づいた瞬間には炎の壁が二匹を隔てていた。
「やっぱお前ばかりに美味しい役取らせるかよ…!」
炎を飛び越えようとしたライコウの心を怯えた目のポケモン達が踏みとどまらせ、意を決したように炎に背を向けた。
「…すぐ戻る、絶対くたばるんじゃねぇぞ!」
目から願いの溢れる一滴を流しながら、死の荒野にすら思える道を駆け抜けていった…
「それでエンテイは…」
「戻った俺が見たのは、地割れに飲まれた一帯だった」
ウバメに戻ってきた二匹の足取りは行き以上に重くなっていた。
「地割れに飲まれて捕獲を避けられたのは不幸中の幸いだが、それきり意識が戻らねぇ…」
苦悩の表情を浮かべるライコウの表情もスイクンの視界には少しずつ歪んで写り始めていた。
「ではお前はまさか、ずっと一匹でジョウトを守っていたのか…!」
かつて自分が別行動を取ろうとした時、任せろと言ってくれたエンテイは意識不明、反発しながらも応援してくれたライコウもや自分を庇って重症だった、その罪悪感に苦しめられそうになるが向き合っても先の動き方はスイクン自身にも分からなかった。
「俺はやるべきことしてただけだ。お前だってジョウトのポケモンなら助けるまでだし、最悪我が身を捨ててでも…」
慢心にすら聞こえる格好いい言葉もライコウ自身を苦しめ、俯かせていた。
そんな状況でふいにスイクンが口を開いた。
「…ライコウ、上手く言えないが聞いて欲しい」
「…?」
「身を挺して助けてくれたことや私を大切に想ってくれていることは礼を言う。だがそれは私も同じだ!」
俯き合っていた視線が真っ直ぐに交錯する中でスイクンは次の台詞を必死に紡いでいた。
「守ることに理由はないし傷つく辛さも分かるからこそ、もう一匹で無茶をしてくれるな…」
ライコウの姿が大きくなると共に視界から外れ、スイクンのたてがみに濡れた温もりが触れた…
「なんで、今更そんなこと言いやがんだよ…!」
「…」
「エンテイを傷つけた償いとお前のためにも俺は一匹で死ぬまで戦う覚悟だったのに、そのお前に優しくされたら覚悟揺らいじまうじゃねぇかよ!」
「お前もエンテイも共に蘇った大切な仲間だ。もうどこにも行かないし一匹で全部背負わせはしない」
「畜生、傷心を満足させる台詞ばっか言いやがって…」
「また一緒にいような、ライコウ…」
たてがみ越しに温もりを求める嗚咽を感じながら、様々な感情の共鳴する中で再び感じる円満な絆の繋がりにスイクンもまた涙を流していた。
「…こんなジョウト屈指のイケメンを大泣きさせたんだ、責任取れよな」
しっとりした雰囲気の中でしばらくしてライコウが呟いたが、スイクンもそれに黙っている気はなかった。
「…心配させて大泣きさせたことはお前も同じだろう」
「それもそうだな、うん……」
何故か少し考え込んだ後、急に悪そうな笑みを浮かべてスイクンを見ていた。
「そういやお前、俺に恥ずかしい秘密知られてるよな?バラされたくなかったら…」
「それってまさか…」
スイクンが制止に入るより早く、ライコウは笑顔でその口を開いた…!
「良い子の諸君!みんな大好きスイクンお兄さんはクールだけど意外と怖がりで…」
「おい待て、やめろ!」
「じゃあ俺のささやかな願いを一つ聞いてくれ」
「絶対ささやかではないだろう!断る!」
「あ、そう。それなら、スイクンお兄さんはこの間ロケット団との戦闘中におもら」
「……何が望みだ!」
「しばらく俺の世話してくれねぇか?解毒されたとはいえまだだるくてな…」
「始めからそう言えばいいだろう…!」
暗に「言われたらする気だった」という事実を認識した二匹の間に少しの沈黙が流れた…
「嬉しいねぇ、そこまで大事に思ってくれてたなんてさ」
「…黙れ、雑に世話するぞ」
薄暗い森で誰かと歩く感覚は久々すぎて、どこか上手く言えない感覚を覚えていた。
「…血中の水が抜けたら回復するからそれまでだぞ」
「それだけでも満足できるように至れり尽くせりしてくれよな」
「お前…」
あまりライコウを図に乗らせたくなくて言ったはずが、逆に出し抜かれたような感覚に思わず苦い表情になってしまう。
「なぁ、スイクン」
「…どうした」
「ちょっともたれさせてくれ」
「急になんだ馴れ馴れしい」
「ちょっとヤバいからガチで頼む…!」
「…具合悪いならやむを得ないか」
少し焦りを帯びた声に不調と察してスイクンは四肢に力を入れると、右半身に自分以外の体重が加わった。
どこが不調なのか聞こうとした時、少し勢いのある水音が耳に入ってきた。
「お前、道のど真ん中でするなど行儀が悪いうえに私にもたれかかる理由ないだろう…!」
「そう言うな、急に小便したくなっちまったうえにまだふらつくんだからよ…」
自分にもたれたまま木々に向けて放物線を描かれる構図はスイクンにとっては気に入らないものではあったが、ライコウの急激な尿意も自分が原因と思うと責められなかった。
「なんか密着しながらだと興奮するな、お前も一緒にどうだ?」
「……遠慮する!」
「はいよ、いきなり下の世話させて悪かったな」
「全くだ、なるべく我慢せず早く言え」
「…どうも」
なんだかんだ言って気にかけるスイクンの一言を噛みしめながらライコウはもたれた体重をゆっくりと戻した。
「藁も変えれてなくてな…」
「無理もない、少し待っていろ」
新しい藁を敷き詰めたあとライコウを少し離れた位置に寝かせる。
「寝る前に体と心を清めてやる」
「助かる、毒で悪い汗かいててな…」
スイクンは静かに頷いて口元に水を集中させる。
汗をかいて時間も経っているなら水で誘発させて徐々に綺麗にした方がいい。
毛繕いの要領で綺麗な水に濡れた舌でライコウの体を舐め、滲んだ水を浄化して行く。
「こんなことされるのいつぶりだろうな…」
リラックスして目を細めているライコウを見ると、不思議と謎の満足感があるが、最後の一箇所を考えると動きは遅くなっていた。
「…股は無理しなくていいぜ」
「…だが綺麗にした方がいいだろう」
言い出した責任はあると言い聞かせてそっと舌を添わせる。
鼻腔を刺激する汗と小便の臭いを水に染み込ませて浄化する。体という意味では胴や四肢と変わらないはずなのに胸の鼓動が早くなって行くのがスイクン自身にも分かっていた。
「なんか、さっきはからかって悪かったな…」
「こういうことは頼みづらいだろう、今回は大目に見る」
「助かる、だがそろそろ終わってくれ…」
「もうすぐ終わるから気にするな」
「いやそうじゃ、すまねぇ…」
突然謝ってきたライコウに困惑するスイクンだったが、口元で少しずつ大きくなるそれに全てを悟った。
紅潮させたまま目を合わせないライコウと、止めるのが間に合わなかったことから来る気まずさを感じるスイクンの間に静かな時間が流れていた。
「私も雄だ、事情は分かるから気にするな」
「…」
「別に勃起ぐらいいつもの感覚で自然現象で押し通しても構わんのだぞ?」
「…」
「案外恥ずかしがり屋だったのか?相手が好意を寄せてる相手ならともかく…」
「おい」
「どうした?」
「交尾しろよ」
「…huh?」
「病み上がりで思考もおぼつかないのは分かるが落ち着け!交尾って私達は雄同士だぞ…!」
「…だよな、気付け薬に水飲ませてくれ」
「分かった、清めて汲んで来る」
「いや、直に出してくれたのでいい」
「? 分かった」
脈絡のない言動に困惑しながらもスイクンが口内に水を溜めて口から少しずつ流し始めた時、体を起こしたライコウの口がゼロ距離で重なった。
水を求めるように動くライコウの舌がスイクンの舌を捕らえ、逃げようとすると小柄な歯列と口内をなぞり、逃げる力が弱まっていくにつれ抱きしめるように舌が触れ合い、呼吸を思い出すまで絡み合う口の隙間から溢れたみずがライコウの顔を濡らしていた。
「気は確かか⁉︎よりによって雄同士でこんな破廉恥な…」
「確かだ、そしてはっきり言うぜ。俺はスイクン、お前が好きだ」
目元に流れた水の跡を残しながらもその瞳に噓偽りはなかった。
「…それは、愛情か友情か、どの意味合いだ?」
「そこの解釈は任せるよ、けど失うことの怖さと悲しさは多分番と同等かそれ以上だろうし、一緒にいられることへの喜びだって同じだ。そこは譲らねぇぜ」
「ライコウ…」
「だからよ、そんな奴に股舐められて勃起したままほったらかしで寝るなんて不満足なことされたくねぇんだよ」
「四足では自力で致すのも病み上がり故普段以上に苦労するのは分かる。だが雄同士…」
「そこ気にしてくれてんのな、どうも」
気にするポイントに内心安堵したようなライコウは笑ってみせた。
「俺は性別より相手自体をどう思うかの方が大事だから性別はどっちでも問題ないぜ、あとついでに教えとくとエンテイの奴は自他公認ホモだから雄同士もセーフだな」
「えぇ…」
ついでの方に愕然としつつも、同時に蘇った故に感性は似るのかと内心結論づけていた。
「そういう訳だから俺のことは気にするな、最も無理強いはさせないしさせられる体でもねぇけど、もし少しでも俺に思うところがあるのなら俺を満足させて欲しい…」
「そんなもの欲しそうな目をするな、雄でも可愛く見えてしまうだろう…」
自分に対して勃起してねだるような言葉を口にする仲間を前にして、流石のスイクンも心を揺さぶられるものがあった。
「正直断りたいがロケット団から助けてくれた恩もある、その借りを返すだけだから勘違いするな」
「…恩に着るぜ」
「とは言っても流石に後ろの穴は、少し怖くてな…」
「かなり痛いからな、エンテイのとかきつかったし無理するな」
「えぇ…」
「ゆっくり慣らせばいける。俺も手伝うし今は無理するな」
病み上がり故かがっつかれず済んだことに内心安堵しつつ、スイクンはライコウの股にそっと触れた。
「なんとかやってみるが、少し慣れされてくれ…」
「痛いことしなきゃ構わねーよ」
それなりに大きかったことは知っていたものの、いざこういう場面になると緊張してしまう自分を少し可笑しく思いつつ、スイクンは潤した前足でライコウの竿を扱き始める。
「おぉ…」
快感の声が漏れ出たのを聞いて少しずつ場所や強弱を変えて色々試していく。
「やべ、誰かにされるの久々すぎて気持ちいいどころじゃねぇんだが、扱き慣れてる…?」
「生憎相手はいなくてな、余計な詮索はするなよ」
「自家発電ね、それに相手は今日から出来た、だろ?」
「そんなこと言う暇あれば早く出してしまえ…!」
「んにゃぁっ…!」
余計な深入りを制止すべく先端をくり付かせるように弄ると突然の嬌声が返事に帰って来た。
「本当にお前、未経験かよ…」
「本当に偶然だ、しかしそんなに良かったのか…?」
「それなら期待の新星だ、幸い同類だったみたいだしな…」
「?」
久々の快感に思考が溶け始めているライコウの瞳には、一連の出来事に呼応するようにスイクンの竿も勃起していたが、それを気付いていないほど一生懸命になってくれていることを噛みしめて返答を止めた。
「どんな感じだ?上手く出来てないのか…?」
「いや、誰かにされるだけでもヤバいのにスイクンにしてもらえてんだ、最高だけど単純にこのペースだともうちょいかかる…」
「なるほど、だったらもっと濃密に満足させてやる…」
「濃密ってどういう…」
「ここまで来たら誤差だ、どうせなら今まで溜まってきた分いっぱい出せ…」
濃密さの意味を聞こうとしたライコウの思考を潤った温もりに包まれた竿の快感が駆け抜けた。
「何もフェラまで頑張らなくても、無理すんなんぉっ…」
スイクンが発した意味を全身の快楽によって感じながらも、むずつく尿道と膨らむ陰嚢に少しずつ近づいてくる快楽の瞬間に体がスタンバイを始めていた。
「頼んでおいてアレだが、そろそろ口離せ…!」
聞こえているはずだがスイクンのはライコウの竿を咥え先走りを舐めることに夢中な状態だった。
気を遣って離れようと動けば口内の感覚が密着してさらに掻き立てられていく、そんな限界の近い状況の中で、スイクンの表情は別離に迫った悲しみも一連の絡みでの困惑もなく、どこか満足げな笑顔を浮かべていた。
「本当に、いいんだな…」
スイクンの表情は少し自身ある笑顔に変わった。分かり切ったこと聞くぐらいなら早く出せとでも言わんばかりの普段通りな反応に安心してライコウは力を抜いた時、スイクンの先端を吸い上げるような動きがトリガーになった。
「スイクン、出すぞっ…!」
絶頂に駆け巡る刹那に叫んだ瞬間、熱き想いの咆哮が解き放たれていた。
熱く潤った口の中に負けない程熱く溢れんばかりの射精だった。
「どうもありがとな」
「全くだ、竿周りの世話ばかり頼んでくるとは…」
出し過ぎだと怒りながらもまんざらでもない様子でスイクンが事後の面倒を見てくれて、二匹は寝藁に並んで横になっていた。
「なぁスイクン、きっとエンテイは戻ってくる。それまでは俺たちが力を合わせてジョウトを守って行こうぜ」
「言われるまでもない」
「だな、三匹で共に戦ったり交尾する日も近そうだぜ」
「お前という奴は、と言いたい所だが…」
そこまで言って、スイクンは赤面しながら後ろ足をもじつかせていた。
「ライコウ、私も満足させてくれないか? ずっと収まらなくてな…」
「そういうことね、病み上がりだからお手柔らかに頼むぜ…」
ジョウトで再び結ばれた絆が奇跡の再会を巻き起こすのは、もう少し先の物語だ。